特許訂正審判
2023-390139
トイレットロール
- 審判番号
- 2023-390139
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2019-021500
- 登録番号
- 7206458
- 請求日
- 2023年12月04日
- 審決日
- 2024年03月18日
- 公報発行日
- 2024年06月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】日本製紙クレシア 株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 住田 秀弘
- 審判官 古屋野 浩志
- 審判官 西田 秀彦
- 分類
- P141 .851-Y (A47K) / P141 .852-Y (A47K) / P141 .857-Y (A47K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項2号特許法126条1項4号特許法126条5項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第7項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7206458号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7206458号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5,6〕について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7206458号は、平成31年2月8日に特許出願されたものであって、令和5年1月10日に特許権の設定登録がなされ、その後、令和5年12月4日に本件訂正審判の請求がされたものである。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第7206458号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~6について訂正することを認める、との審決を求める。」というものであって、その請求に係る訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。(下線は訂正箇所を示す。)
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「巻長が45m以上93m以下であり、」と記載されているのを、「巻長が53m以上93m以下であり、」に訂正し、訂正後の請求項1の記載を直接ないし間接に引用する訂正後の請求項2、3、4、および5も同様に訂正する。
2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5に「前記記トイレットロールのロール密度が、」と記載されているのを、「前記トイレットロールのロール密度が、」と訂正(訂正事項2-1)し、さらに、「請求項1から4いずれか1項記載のトイレットロール。」と記載されているのを、「請求項2から4いずれか1項記載のトイレットロール。」に訂正(訂正事項2-2)する。
3 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項5において、請求項1を引用する部分を新たな請求項6とし、その記載を下記のとおりに訂正する。
「ダブルエンボスが施され、2プライに重ねられたトイレットペーパーをロール状に巻き取ったトイレットロールであって、
前記トイレットペーパーの幅方向に設けられたミシン目、及び
前記トイレットペーパーの長手方向に設けられたプライエンボスを有し、
巻長が60m以上93m以下であり、
巻径が100mm以上124mm以下であり、
1プライの坪量が11g/m2以上19g/m2以下であり、
2プライのトイレットペーパーにおいて、前記ミシン目を含む領域の、DMDTが2.5N/75mm以上8.3N/75mm以下であり、DCDTが1.9N/75mm以上5.9N/75mm以下であり、
ロールの外側の1プライのトイレットペーパーにおいて、前記ミシン目を含む領域の、DMDTが1.3N/75mm以上4.2N/75mm以下であり、DCDTが1.0N/75mm以上3.0N/75mm以下であり、
前記プライエンボスの高さが0.10mm以上0.50mm以下であり、
前記プライエンボスの幅が1mm以上20mm以下であり、
前記トイレットロールのロール密度が、0.17g/cm3以上0.25g/cm3以下であるトイレットロール。」
第3 当審の判断
1 訂正事項の検討
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1に「巻長が45m以上93m以下であり、」と記載されているものを、「巻長が53m以上93m以下であり、」に訂正するものであって(下線は当審にて付した。以下同様。)、巻長に関する「45m以上93m以下」との数値範囲の下限を「53m以上」とし、数値の範囲が狭まるように限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、特許請求の範囲の請求項2~5は請求項1を引用するものであるから、訂正事項1は、請求項2~5についても、上記請求項1と同様の訂正事項を含む訂正を行うものであるところ、当該訂正事項も、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
本件の願書に添付した明細書の【0016】には、「巻長は、53m以上83m以下であることが好ましく、60m以上73mであることがより好ましい。」と記載されており、巻長の下限値として「53m」との値が示されており、訂正事項1に係る訂正は当該記載に基づくものであるから、本件の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の全てを総合することによって導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであるから、特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことについて
訂正事項1に係る訂正は、上記「ア」のとおり、数値範囲が本件訂正前の範囲内で狭まるように限定するものであって、上記「イ」のとおり、新規事項を追加するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。
エ 独立特許要件について
訂正事項1に係る訂正は、上記「ア」で検討したとおり、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、特許法第126条第7項の規定により、訂正後の特許請求の範囲の請求項1~5に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができることが要件となるところ、当該要件について検討すると、訂正後の請求項1~5に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとする理由は発見しない。
したがって、訂正後の請求項1~5に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるから、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
(2)訂正事項2
ア 訂正事項2-1
(ア)訂正の目的について
訂正事項2-1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項5における「前記記トイレットロールのロール密度が、」との記載を、「前記トイレットロールのロール密度が、」との記載とするものであり、「前記記」との明らかな誤記を含む記載において、連なる「記」の文字のうちの一つを削除するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる、誤記の訂正を目的としたものと認められる。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項2-1に係る訂正は、上記(ア)において検討したとおり、明らかな誤記を訂正するものであるから、当初明細書等に記載した事項の全てを総合することによって導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項2-1に係る訂正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであるから特許法第126条第5項の規定に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことについて
訂正事項2-1に係る訂正は、上記(ア)において検討したとおり、誤記の訂正を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合する。
イ 訂正事項2-2
(ア)訂正の目的について
訂正事項2-2は、訂正前の請求項5が請求項1~4を引用するものであったところ、訂正前の特許請求の範囲の請求項5における「請求項1から4いずれか1項記載のトイレットロール。」との記載を、「請求項2から4いずれか1項記載のトイレットロール。」との記載に変更することにより、請求項5における請求項1との引用関係を解消して、請求項2~4のいずれかを引用するようになすものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項2-2は、上記(ア)で検討したとおり、請求項1との引用関係を解消するものであって、当初明細書等に記載した事項の全てを総合することによって導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項2-2に係る訂正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであるから特許法第126条第5項の規定に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことについて
訂正事項2-2は、上記(ア)で検討したとおり、請求項1との引用関係を解消するものであって、上記(イ)のとおり、新規事項を追加するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 独立特許要件について
訂正事項2-1に係る訂正は、上記「ア(ア)」で検討したとおり、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。
また、訂正事項2-2に係る訂正は、上記「イ(ア)」で検討したとおり、請求項1との引用関係を解消するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、特許法第126条第7項の規定により、訂正後の特許請求の範囲の請求項5に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができることが要件となるところ、当該要件について検討すると、訂正後の請求項5に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとする理由は発見しない。
したがって、訂正後の請求項5に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるから、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
(3)訂正事項3
ア 訂正事項3の訂正事項について
訂正事項3は、訂正前の請求項5が請求項1を引用するものであるところ、請求項5が引用していた請求項2~4との間の引用関係を解消し請求項6とした(以下「訂正事項3-1」という。)上で、訂正前の請求項5が引用する請求項1に「巻長が45m以上93m以下であり、」と記載されているものを「巻長が60m以上93m以下であり、」とし(以下「訂正事項3-2」という。)、「巻径が100mm以上143mm以下」と記載されているものを「巻径が100mm以上124mm以下」とし(以下「訂正事項3-3」)、「ブライエンボスの高さが0.10mm以上0.80mm以下」と記載されているものを「ブライエンボスの高さが0.10mm以上0.50mm以下」とする(以下「訂正事項3-4」という。)ものであり、以下訂正事項3-1~3-4について検討する。
イ 訂正事項3-1
(ア)訂正の目的について
訂正事項3―1は、訂正前の請求項5が請求項1を引用するものであるところ、請求項5が引用していた請求項2~4との引用関係を解消するものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とする。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項3-1は、上記(ア)で検討したとおり、請求項5における請求項2~4との引用関係を解消するものであって、+当初明細書等に記載した事項の全てを総合することによって導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項3-1に係る訂正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであるから、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことについて
訂正事項3-1は、上記(ア)で検討したとおり、請求項5における請求項2~4との引用関係を解消するものであって、上記(イ)のとおり、新規事項を追加するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 訂正事項3-2、訂正事項3-3、訂正事項3-4
(ア)訂正の目的について
訂正事項3-2は、訂正前の請求項5が引用する請求項1に「巻長が45m以上93m以下であり、」と記載されているものを「巻長が60m以上93m以下であり、」に訂正するものであって、巻長に関する「45m以上93m以下」との数値範囲の下限を「60m以上」とし、数値の範囲が狭まるように限定するものである。
また、訂正事項3-3は、訂正前の請求項5が引用する請求項1に「巻径が100mm以上143mm以下」と記載されているものを「巻径が100mm以上124mm以下」に訂正するものであって、巻径に関する「100mm以上143mm以下」との数値範囲の上限を「124mm以下」とし、数値の範囲が狭まるように限定するものである。
さらに、訂正事項3-4は、訂正前の請求項5が引用する請求項1に「ブライエンボスの高さが0.10mm以上0.80mm以下」と記載されているものを「ブライエンボスの高さが0.10mm以上0.50mm以下」とするものであって、ブライエンボスの高さに関する「0.10mm以上0.80mm以下」との数値範囲の上限を「0.50mm以下」とし、数値の範囲が狭まるように限定するものである。
したがって、訂正事項3-2~3-4に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
本件の願書に添付した明細書(以下「当初明細書」という。)の【0016】には、「巻長は、53m以上83m以下であることが好ましく、60m以上73mであることがより好ましい。」と記載されており、巻長の下限値として「60m」との値が示されているから、訂正事項3-3に係る訂正は当該記載に基づくものである。
また、当初明細書の【0017】には、「巻直径DRは、110mm以上134mm以下であることが好ましく、114mm以上124mm以下であることがより好ましい。」と記載されており、巻径の上限値として「124mm」との値が示されているから、訂正事項3-3に係る訂正は当該記載に基づくものである。
さらに、当初明細書の【0030】には、「プライエンボスの高さは0.20mm以上0.65mm以下であることが好ましく、0.30mm以上0.50mm以下であることがより好ましい。」と記載されており、プライエンボスの高さの上限値として「0.50mm」との値が示されているから、訂正事項3-4に係る訂正は当該記載に基づくものである。
そして、訂正事項3-2~3-4は、当初明細書等に記載した事項の全てを総合することによって導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項3-2~3-4に係る訂正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであるから、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことについて
訂正事項3-2~3-4に係る訂正は、上記(ア)のとおり、数値範囲が本件訂正前の範囲内で狭まるように限定するものであって、上記(イ)のとおり、新規事項を追加するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。
エ 独立特許要件について
訂正事項3-1~3-4に係る訂正は、上記「イ(ア)」及び「ウ(ア)」で検討したとおり、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び第4項に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
そこで、特許法第126条第7項の規定により、訂正後の特許請求の範囲の請求項6に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができることが要件となるところ、当該要件について検討すると、訂正後の請求項6に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとする理由は発見しない。
したがって、訂正後の請求項6に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるから、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
2 本件訂正請求に係る訂正の単位について
(1)一群の請求項について
本件訂正前の請求項1~5について、請求項2は請求項1を引用し、請求項3は請求項1又は請求項2を引用し、請求項4は請求項1~3を引用し、請求項5は請求項1~4を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1~5に対応する訂正後の請求項1~6は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
(2)別の訂正単位とする求めについて
請求人は、訂正後の請求項6については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めている。
第4 むすび
以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号、第2号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ同条第5項~第7項の規定に適合し、本件訂正請求に係る訂正は認められる。
そして、請求人の求めのとおり、訂正後の請求項6については、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することが認められるものである。
よって、結論のとおり審決する。
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