商標取消審判
2023-300548
ビーライン、ビー
- 審判番号
- 2023-300548
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2005-067136
- 登録番号
- 4961531
- 請求日
- 2023年07月28日
- 審決日
- 2024年07月10日
- 公報発行日
- 2024年12月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ビー-ライン エス アール エル
- 【請求人代理人】弁理士法人筒井国際特許事務所
- 【被請求人】日本ベッド製造 株式会社
- 【被請求人代理人】桐山 大
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 雅也
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 富澤 哲生
- 分類
- T132 .1 -Y (Y20)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第2号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第4961531号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第4961531号商標(以下「本件商標」という。)は、「BELINE」の欧文字と「ビーライン」の片仮名を2段に表してなり、平成17年7月21日に登録出願、同18年6月16日に第20類「荷役用パレット(金属製のものを除く。),貯蔵槽類(金属製又は石製のものを除く。),輸送用コンテナ(金属製のものを除く。),カーテン金具,金属代用のプラスチック製締め金具,くぎ・くさび・ナット・ねじくぎ・びょう・ボルト・リベット及びキャスター(金属製のものを除く。),座金及びワッシャー(金属製・ゴム製又はバルカンファイバー製のものを除く。),錠(電気式又は金属製のものを除く。),クッション,座布団,まくら,マットレス,木製・竹製又はプラスチック製の包装用容器,帽子掛けかぎ(金属製のものを除く。),家具,つい立て,びょうぶ,ベンチ」を含む第20類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、令和5年8月21日になされたものであり、この登録前3年以内の期間(令和2年8月21日~令和5年8月20日)を以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第20類「荷役用パレット(金属製のものを除く。),貯蔵槽類(金属製又は石製のものを除く。),輸送用コンテナ(金属製のものを除く。),カーテン金具,金属代用のプラスチック製締め金具,くぎ・くさび・ナット・ねじくぎ・びょう・ボルト・リベット及びキャスター(金属製のものを除く。),座金及びワッシャー(金属製・ゴム製又はバルカンファイバー製のものを除く。),錠(電気式又は金属製のものを除く。),クッション,座布団,まくら,マットレス,木製・竹製又はプラスチック製の包装用容器,帽子掛けかぎ(金属製のものを除く。),家具,つい立て,びょうぶ,ベンチ」(以下「請求に係る指定商品」という。)についての登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とするとの審決を求め、審判請求書及び令和5年10月23日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年12月21日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
なお、以下、証拠の表記に当たっては、甲第1号証を「甲1」、乙第1号証を「乙1」のように省略して表示する場合がある。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、請求に係る指定商品について、継続して3年以上日本国内において、本件商標の権利者(以下「商標権者」という。)、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁書による主張
答弁書において、被請求人は、本件商標が、要証期間に「ベッド」、「ベッド用フレーム」について使用されていた旨主張し、その証拠として乙第1号証ないし乙第3号証を提出している。
しかしながら、請求人は、以下の理由から、本件商標は要証期間に日本国内において請求に係る指定商品について使用されておらず、したがって被請求人の主張には理由がなく、本件商標の登録は取り消されるべきものと思料する。
(1)「ビーライン FE」又は「ビーラインJFE」の本件商標との社会通念上の同一性について
ア 本件商標「BELINE/ビーライン」は、辞書等に掲載されている用語ではなく、上段の欧文字「BELINE」、下段の片仮名「ビーライン」のそれぞれも、辞書等に掲載されている用語ではないので、造語であると考えられる。
また、上段の欧文字「BELINE」からは、下段の片仮名「ビーライン」の称呼の他、「ベリン」、「ベリネ」、「ベーライン」等の称呼が発生し得ると考えられる。他方、下段の片仮名「ビーライン」からは、上段の欧文字「BELINE」の他、「BEELINE」(「BEE」は蜂を意味する単語)も想起し得るものである。
したがって、本件商標の上段の欧文字「BELINE」と、下段の片仮名「ビーライン」は、同一の称呼及び観念を生ずる商標ではないことは明らかである。
イ 被請求人は、「ビーライン FE」、「ビーラインJFE」の文字が表示された仕様書(乙1)、包装(乙2)、出荷伝票(乙3)を提出し、当該「ビーライン FE」、「ビーラインJFE」について、本件商標の社会通念上同一と認識し得る範囲内の使用であると主張している。
(ア)しかしながら、「ビーライン FE」、「ビーラインJFE」は、仕様書(乙1)、包装(乙2)、出荷伝票(乙3)のいずれにおいても、横一連でまとまりよく表示されている。したがって、「ビーライン FE」、「ビーラインJFE」は、「FE」、「JFE」と分離して認識されるものではなく、一体として認識されるべきである。
ここで、被請求人は、「「FE」や「JFE」は商品記号であり、同じ「ビーライン」でも仕様が異なるものが複数あり、商品記号で判別している。これらが商品記号であることは明らかであると思われるので、「ビーライン」と社会通念上同一の使用である。」と主張している。
しかしながら、商品記号とは一体どのようなものか、また、その裏付けとなる証拠は提出されておらず、「ビーライン」と「FE」、「JFE」を分離して認識すべき証明はなされていない。
特に、「ビーラインJFE」は、仕様書(乙1)、出荷伝票(乙3)において、「ビーライン」と「JFE」には隙間がなく間断なく表示されている。
また、出荷伝票(乙3)には、商品名の欄に「ビーラインJFE」と表示されており、商標は、一般的に商品名として表示されることから、「ビーラインJFE」は、需要者・取引者に一体の商標として認識されるべきものである。
そして、上記本件商標の構成のとおり、「ビーライン FE」の文字も、「ビーラインJFE」の文字も、本件商標の上段、下段のいずれにも表示されていないことは明らかである。
したがって、いわゆる2段書きの商標において、上段又は下段の文字のみの使用が社会通念上同一の商標として、使用が認められる場合もあるが、「ビーライン FE」、「ビーラインJFE」も、本件商標のいずれか一方の使用とは認められないので、本件商標の社会通念上同一の商標の使用とはいえない。
なお、「ビーライン FE」については、乙第2号証の包装での使用例のみ提出されており、この書証には使用日等が明らかでないから、本号証のみでは、「ビーライン FE」は、本件商標の使用を証明していない。
(イ)仮に、「ビーライン FE」、「ビーラインJFE」について、「ビーライン」が単独の標識と認識されるとしても、本件商標の社会通念上同一の商標の使用を示すものではない。
すなわち、「ビーライン」は、本件商標の下段の片仮名「ビーライン」のみの使用に該当し、本件商標を使用しているとはいえず、本件商標の使用を証明するものではない。
ここで、審判便覧(甲2)には、社会通念上同一と認められる商標の事例等が説示されているが、「ビーライン FE」及び「ビーラインJFE」はいずれも、ここに説明されている事例には該当しない。
上述したとおり、本件商標「BELINE/ビーライン」は、辞書等に掲載されている用語ではなく、造語であると考えられる。
また、上段の欧文字「BELINE」から、下段の片仮名「ビーライン」の称呼の他、「ベリン」、「ベリネ」、「ベーライン」等の称呼も認められるものである。
他方、下段の片仮名「ビーライン」からは、上段の欧文字「BELINE」の他、「BEELINE」(「BEE」は蜂を意味する単語)も想起し得るものである。
したがって、審判便覧(第3頁)の例示「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」に該当又はこの記載の趣旨に基づいた使用に該当するとはいえない。
言い換えると、「ビーライン」は、上段の欧文字「BELINE」の同一の称呼及び観念を生ずる商標の変更の使用とはいえず、本件商標の欧文字「BELINE」の使用を示すものではない。
また、本件商標は、造語であるので、上段の欧文字「BELINE」と下段の片仮名「ビーライン」の観念は比較することはできず上段及び下段の文字の観念が同一であるとはいえない。
したがって、審判便覧の第5頁に例示された、「登録商標が二段併記等の構成からなる場合であって、上段及び下段等の各部が観念を同一にするときに、その一方の使用」とは認められない。
よって、「ビーライン FE」、「ビーラインJFE」について、「ビーライン」が単独の標識と認識されるとしても、本件商標の社会通念上同一の商標の使用を示すものではない。
(2)その他、本件商標の使用の証明が不十分な点について
ア 「ベッド」、「ベッド用フレーム」に使用しているとの主張であるが、使用証拠として、「ベッド」、「ベッド用フレーム」自体の写真等の提出がなく、仕様書(乙1)、包装(乙2)出荷伝票(乙3)のみでは、「ベッド」、「ベッド用フレーム」に使用していることを証明していない。
イ 出荷伝票(乙3)は、「株式会社家具の大正堂」宛の請求人作成による書証であるが、取引の相手先の「株式会社家具の大正堂」の受領書等の提出がなく、「株式会社家具の大正堂」と実際の取引があったことが証明されていない。
ウ また、出荷伝票(乙3)の第1頁には、「(株)家具の大正堂 辻堂店」と、その下に、「(株)家具の大正堂 物流課」/「町田市小川6-6-1」と記載されており、「(株)家具の大正堂 物流課」/「町田市小川6-6-1」に出荷されたものと推認され、その他の出荷伝票も同じ記載であるので同様に物流課に出荷されたものであると推認される。
ここで、株式会社家具の大正堂は、甲第3号証に示されるように、販売店名を「ルームズ大正堂」として運営していると推認され、ルームズ大正堂のウェブページには、「(株)家具の大正堂 物流課」/「町田市小川6-6-1」は、掲載されていない。
したがって、商品が実際に第三者と取引されているか証明されていない。
(3)審決例
いわゆる2段書きの商標において、上段又は下段の一方の文字の使用が、登録商標の使用と認められない審決例は、次のとおり存在する。
取消2005-31257号審決(甲4)では、2段書きの登録商標「ビオン/BION」について、「BION」及び「株式会社バイオン」の使用は、社会通念上同一の商標の使用とはいえないと判断している。
さらに、取消2005-30543号審決(甲5)では、「サーパス」の片仮名と「SERPAS」の欧文字を上下2段に横書きした登録商標について、「サーパス」、「サーパスシリーズ」、「サーパススキンケアシリーズ」、「サーパスナチュール」及び「サーパスプラスナチュール」の使用は、登録商標と社会通念上同一と認められる商標を使用したものということはできないと判断している。
(4)まとめ
以上のとおりであるので、本件商標は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定商品について使用されていなかったことは明白である。
第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
1 答弁の理由
本件商標は、請求に係る指定商品中の第20類「家具」の範ちゅうに属する「ベッド用フレーム、ベッド」について、要証期間に日本国内で、本件商標と社会通念上同一の商標を使用している。
したがって、請求人の本件審判の請求は成り立たない。
以下、その理由を証拠に基づき詳述する。
2 使用事実の説明
(1)「ビーライン」は、日本ベッド製造株式会社が製造するベッド、ベッド用フレームの名称であり、いわゆる消費者向けの商品ではなく、BtoB(企業が企業に対して行う商取引)の商品である。
仕様書(乙1)のとおりの構成であり、商品の包装に「ビーライン FE」の文字が記載されている(乙2)。
また、出荷伝票にも「ビーラインJFE」の文字が商品名に記載されている(乙3)。
(2)ここで、「FE」や「JFE」は商品記号であり、同じ「ビーライン」でも仕様が異なるものが複数あり、商品記号で判別している。
これらが商品記号であることは明らかであると思われるので、「ビーライン」と社会通念上同一の使用であるといえる。
(3)また、「ビーライン FE」又は「ビーラインJFE」は、アルファベットの記載がない本件商標と「同一」とはいえないとしても、商標の使用は、商標を付する対象に応じて、適宜に変更を加えて使用されるのがむしろ通常であり、本件の場合も、アルファベットの有無により、本件商標と若干異なるとしても、そのことにより、商標の印象に格別の差異を感じさせるものとはいえず、また、使用に係る商標からは、本件商標から生ずる「ビーライン」と同一の称呼を生ずるものと認められるから、この程度の変更がなされているとしても、社会通念上同一と認識し得る範囲内の商標と認めて差し支えないものというべきである。
第4 当審の判断
1 事実認定
(1)被請求人の提出した主張及び乙各号証によれば、以下のとおりである。
ア 乙第1号証
乙第1号証は、商標権者が製造する「ベッド、ベッド用フレーム」の「仕様書」であり、表中、標題として「ビーラインJFE チーク」の記載、その下の「コードNo」の行における「フレームセット」欄に「E181」、「フレームユニット」欄に「ヘッドフット 40412」、「フレーム 30120」及び「床張り 20628(B-350)」の記載、「サイズ」欄に「S」、「SD」、「D」及び「CQ」の記載がある。
また、その下の「略図(mm)」欄に、「全長 1991」、「床面 260」等の寸法数値を伴ったベッドの側面図及び「全高850」、「フット155」等の寸法数値を伴ったベッドの正面図が示されている。
さらに、その下の「梱包外寸法(cm)」欄に、3個の箱の図が示され、それぞれに、「ヘッド、フット」、「サイドレール」、「床張り」等の記載がある。
イ 乙第2号証
乙第2号証は、商品の包装であり、2葉目の写真から、箱に貼られているラベルの青色枠内に、「ビーライン FE」、「SD.セミダブル」及び「40412」の各記載、その下に、箇条書きの「マットレス 1」、「ヘッド、フットボード 1」、「サイドレール 1」及び「床張り 1」の各記載を受けて「の4個口です」の記載、その下に、商標権者の名称の記載があることが見て取れる。
ウ 乙第3号証
乙第3号証は、商品の「出荷伝票」であり、1葉目に、書類が撮影された写真が見て取れ、当該書類において、上部中央に「出荷伝票(デスク控)B」の記載、左上に「(株)家具の大正堂 辻堂店 様」、「(株)家具の大正堂 辻堂店 物流課 様」及び「町田市小川6-6-1」の各記載、右上の「納品日」欄に「23/04/08」の記載、その下に、商標権者の名称の記載がある。
また、これらの記載の下に提示された表中、「セット・ユニット・企画」欄(審決注:本号証の1葉目では「セット」における「セ」の文字は視認できないものの、同様の表が存在する2葉目の書類の対応する欄においては視認できることから、1葉目にも同じ記載が存在するものとみなしている。)に、「11316 11316 D」、「30120 30120 D」、「40412 40412 D」及び「20628 20628 D」の各記載、「商品名」欄に「ビーラインJFE」の記載、「サイズ」欄に「D」の記載、「数量」欄に「1」の記載、「単価」欄及び「金額」欄にそれぞれ「122500」の記載がある。
(2)上記(1)アないしウによれば、次の事実を認めることができる。
ア 商標権者は、2023年4月8日に「ビーラインJFE」と称する商品を「(株)家具の大正堂」(以下「家具の大正堂社」という。)に出荷し、納品した(乙3)。
そして、上記(1)アのとおり、仕様書(乙1)には「ビーラインJFE」の記載が存在するとともに、ベッドの側面図が示されており、出荷伝票の「30120 30120」、「40412 40412 D」、「20628 20628 D」は、それぞれ、「サイズ」が「D」の当該ベッドの部品である、仕様書に記載の「フレーム 30120」、「ヘッドフット 40412」及び「床張り 20628(B-350)」に基づいた記載であると認められることから、商品「ビーラインJFE」は、その仕様書が乙第1号証のとおりの構成部品からなる「ベッド、ベッド用フレーム」である。
イ 商品の包装に係る写真(乙2)のラベルにおける「ビーライン FE」の記載は、「ビーラインJFE」と欧文字部分が相違するものの、「ビーライン」において共通することや、「SD.セミダブル」の記載から、当該ラベルは、「ビーラインJFE」とは別の商標権者に係る「ビーライン FE」と称する商品「ベッド、ベッド用フレーム」の梱包に使用される箱に付されたものと認められる。
ここで、仕様書(乙1)における「ヘッドフット 40412」の記載によれば、「ヘッドフット」の型番は「40412」であり、「梱包外寸法」欄における3個の箱の図によれば、商品「ビーラインJFE」は部品単位で梱包されることが理解できるところ、上記ラベルの「40412」の記載は、商品「ビーライン FE」も同様に、部品単位で梱包されること、当該ラベルが付された箱が、「マットレス」、「ヘッド、フットボード」、「サイドレール」及び「床張り」の各1個からなる「4個口」の部品のうちの1つであって、上記仕様書では「ヘッドフット」と表記される「ヘッド、フットボード」と称する部品を収容するものであること、及び、当該部品に関して商品「ビーラインJFE」と型番が同じものが共通して使用されていることを示すものといえる。
ウ そうすると、上記アのように商標権者が2023年4月8日に「ビーラインJFE」なる名称の「ベッド、ベッド用フレーム」(以下「使用商品」という。)を家具の大正堂社に出荷、納品し、また、その際、その構成部品である型番が「40412」の「ヘッド、フットボード」が梱包された箱には、商品「ビーライン FE」についての乙第2号証と同様にラベルが付されており、当該ラベルには、商品名に合わせて「ビーラインJFE」の文字(以下「使用商標」という。)が記載されていたものと推認できる。
2 判断
上記1からすれば、次のとおり判断できる。
(1)使用者、使用時期及び使用行為について
商標権者が、2023年4月8日に家具の大正堂社に出荷、納品した使用商品の構成部品である「ヘッド、フットボード」が梱包された箱に付されたラベルに、使用商標が表示されていることは、使用商品の包装に使用商標を付する行為であるとみて差し支えないものといえる。そして、上記の商品を出荷、納品する行為は、商標法第2条第3項第2号にいう、商品の包装に標章を付したものを譲渡又は引き渡しする行為に該当するものといえる。
また、使用商標の使用者は商標権者であり、使用時期は要証期間である。
(2)使用商品について
使用商品は、「ベッド、ベッド用フレーム」であるから、請求に係る指定商品中の第20類「家具」の範ちゅうに属する商品である。
(3)本件商標と使用商標との社会通念上の同一性について
本件商標における下段の「ビーライン」の片仮名は、上段の「BELINE」の欧文字の読み(称呼)を表したものと理解される。
また、「ビーライン」及び「BELINE」のそれぞれからは、特定の観念が生じるものではなく、各文字の観念が異なるということはできない。
さらに、使用商標において、「ビーライン」の文字は、「JFE」と文字種が異なることに加え、上記2(2)イのとおり、使用商品のベッドとは別の商標権者のベッドである「ビーライン FE」が存在することに鑑みると、「JFE」の文字部分は同じ「ビーライン」なる名称の商品の型番、品番を表す記号といえるから、使用商標中の「ビーライン」の文字は、独立した自他商品の識別標識としての機能を有する部分として認識し得るものである。
そうすると、使用商標は、本件商標を構成する「ビーライン」の文字と同一の文字を使用したものであって、本件商標と社会通念上同一の商標であると認められる。
(4)小括
上記(1)ないし(3)によれば、商標権者は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定商品中「家具」の範ちゅうに属する商品の包装に、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる使用商標を付して譲渡する、商標法第2条第3項第2号に該当する行為を行ったことが認められる。
3 請求人の弁駁書による主張について
(1)請求人は、使用商標は、仕様書(乙1)、出荷伝票(乙3)において、「ビーライン」と「JFE」には隙間がなく間断なく表示されており、また、出荷伝票(乙3)には、商品名の欄に「ビーラインJFE」と表示されており、商標は、一般的に商品名として表示されることから、使用商標は、需要者、取引者に一体の商標として認識されるべきものである旨主張している。
しかしながら、上記2(3)のとおり、使用商標における「ビーライン」と「JFE」との文字種の違い及び「ビーライン FE」の存在に照らして、「JFE」の文字部分は商品の品番、型番を表したものであって、「ビーライン」の文字が独立した自他商品の識別標識としての機能を有する商標と理解されるから、取引書類の商品名の欄に「ビーラインJFE」と隙間なく記載される場合があるとしても、需要者、取引者がこれを常に一体の商標と認識するということはできない。
(2)請求人は、欧文字「BELINE」から、片仮名「ビーライン」の称呼の他、「ベリン」、「ベリネ」、「ベーライン」等の称呼も認められ、他方、片仮名「ビーライン」からは、欧文字「BELINE」の他、「BEELINE」も想起し得るものであり、また、本件商標は、造語であるので、上段の欧文字「BELINE」と下段の片仮名「ビーライン」の観念は比較することはできず上段及び下段の文字の観念が同一であるとはいえないため、審判便覧に例示された「登録商標が二段併記等の構成からなる場合であって、上段及び下段等の各部が観念を同一にするときに、その一方の使用」とは認められないから、使用商品の「ビーライン」が単独の標識と認識されるとしても、使用商標は本件商標と社会通念上同一ではない旨主張している。
しかしながら、本件商標における下段の「ビーライン」の片仮名は、上段の「BELINE」の読みとして不自然なものとはいえず、無理なく欧文字の称呼を表したものと理解される一方、かかる2段の構成態様において「BELINE」の文字をあえて「ベリン」、「ベリネ」及び「ベーライン」と称呼することに不自然さを免れ得ない。
また、本件商標の構成中「ビーライン」及び「BELINE」のそれぞれ文字からは特定の観念は生じないことから、各文字は観念が異なるものとはいえず、下段の片仮名の使用をもって、本件商標と使用商標とは社会通念上同一の商標と判断することができるというべきである。
(3)請求人は、「ベッド」、「ベッド用フレーム」自体の写真等の証拠が提出されていないことから、仕様書(乙1)、包装(乙2)出荷伝票(乙3)のみでは、「ベッド」、「ベッド用フレーム」に使用していることが証明されていない旨、主張している。
しかしながら、「ベッド」、「ベッド用フレーム」自体の写真等の証拠が提出されていないとしても、被請求人が乙各号証として提出した商品の仕様書、包装写真等によって、使用商品が「ベッド、ベッド用フレーム」であると認められることは、上記1(2)で検討したとおりである。
(4)請求人は、出荷伝票(乙3)は、被請求人の作成による書証であって、取引の相手先の家具の大正堂社の受領書等の提出がないため、同社と実際の取引があったことが証明されていない旨主張するとともに、出荷伝票(乙3)の宛先及び住所が家具の大正堂社のウェブページに掲載されていないことから、使用商品が実際に第三者と取引されていることが証明されていない旨主張している。
しかしながら、被請求人が提出した出荷伝票(乙3)については、商標権者の名称とともに記載された住所は商標権者の本社の住所であることがうかがわれ(https://www.nihonbed.com/company/office/)、当該住所の記載のみをもって、その信ぴょう性を殊更否定することはできず、ほかに、商標権者が使用商品を出荷、納品したことついて作成した出荷伝票であることを否定すべき合理的な疑いは認められないから、取引先の受領証の提出がないとしても、使用商品が取引されたことが推認できるものというべきである。
(5)したがって、請求人の主張はいずれも採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、請求に係る指定商品中「家具」の範ちゅうに属する商品(「ベッド、ベッド用フレーム」)について、本件商標と同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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