商標取消審判
2023-300539
アイキュレーター、キュレーター
- 審判番号
- 2023-300539
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2013-028661
- 登録番号
- 5608877
- 請求日
- 2023年07月26日
- 審決日
- 2024年04月12日
- 公報発行日
- 2024年09月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】カルネ グローバル フィナンシャル サービシーズ リミテッド
- 【請求人代理人】弁理士法人浅村特許事務所
- 【被請求人】メタウォーター 株式会社
- 【被請求人代理人】弁理士法人酒井国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 啓之
- 審判官 大山 健
- 審判官 鈴木 雅也
- 分類
- T132 .1 -Y (W0942)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第2号、商標法第50条第2項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5608877号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5608877号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、図案化された「i」の文字の右側に「CUraTOr」の文字をやや右に傾けた書体で横書してなり、平成25年4月17日に登録出願、第9類「電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品」及び第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,上下水道施設の設計・管理・運用に関するコンピュータデータベースヘのアクセスタイムの賃貸,電子計算機及び電子計算機用プログラムの遠隔監視,水処理施設に関する試験・検査・調査・研究・技術開発,水処理施設の運転を最適化するための電子計算機プログラムの技術的指導又は助言,水処理施設の劣化診断」を含む、商標登録原簿に記載の第9類及び第42類に属する商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年8月16日に設定登録され、令和5年5月16日に存続期間の更新登録がされたものである。
そして、本件審判請求の登録日は、令和5年8月9日であり、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和2年(2020年)8月9日ないし同5年(2023年)8月8日である(以下「要証期間」という。)。
第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品及び指定役務中、第9類「電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品」及び第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,上下水道施設の設計・管理・運用に関するコンピュータデータベースヘのアクセスタイムの賃貸,電子計算機及び電子計算機用プログラムの遠隔監視,水処理施設に関する試験・検査・調査・研究・技術開発,水処理施設の運転を最適化するための電子計算機プログラムの技術的指導又は助言,水処理施設の劣化診断」(以下「取消請求商品及び役務」という場合がある。)についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、取消請求商品及び役務について、継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから、その登録は、取消請求商品及び役務について商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は、被請求人の答弁に対して、何ら弁駁していない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
本件商標は、商標権者により、取消請求商品及び役務中、「電子応用機械器具」について、要証期間に国内で継続的に使用されている事実がある。
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、本件装置の取扱説明書である。
本件装置は、主に浄水場、下水処理場、農業用深井戸施設において、施設の運転情報(例えば、ポンプON、ポンプOFF)、異常情報(例えば、水質異常発生、水質異常復旧)及び計測値(例えば、浄水場への流量、取り込んだ原水の濁度)といった情報を収集・蓄積・加工・転送するためのサーバーコンピューターである。浄水場では安心で安全な水を水道へ供給するために、下水処理場では河川への放流水の水質を適正に保つために、農業用深井戸施設では農作物の生育に必要な水を供給するために、水処理等が適切に行われているか及び処理をするための機器が正常に動いているか等を常に監視しているおり、そのためのデータ収集を行うのが本件装置である。
本件装置は、浄水場や下水処理場等を運営する地方自治体や、その委託を受けて施設を管理点検するメンテナンス事業者に対して販売・貸与するもので、販売台数は限られることから、カタログや取扱説明書は印刷会社に発注するのではなく、自社で制作している。
本件装置の機能は概略次のとおりである。
<データ収集機能>
運転情報(例えば、ポンプON、ポンプOFF)、異常情報(例えば、水質異常発生、水質異常復旧)及び計測値(例えば、浄水場への流量、取り込んだ原水の濁度)を収集する。
<データ蓄積機能>
収集したデータを、他のデータと比較したり、過去のデータと照らし合わせたりするため、データの蓄積も行う。
<データ転送機能>
本件装置は、遠方の監視室ヘのデータの転送も行う。
<データ加工機能>
収集されたデータは電気信号であるため、人がみて分かるような値に変換する(例えば、入力された電流値を変換して原水濁度:2(度)のように変換する。)。
<専用プログラムについて>
本件装置は、商標権者が開発したソフトウェアを搭載している。
(2)乙第2号証について
乙第2号証は、商標権者が平成30年(2018年)6月に、本件装置の追加製造を富士アイティ株式会社に委託した際に、先方から提示された製造費用に関する見積書であり、品名として「i-Curator」と表示されている。
本件装置は、耐用年数が5年であるため、水処理施設等に納入後、定期交換を行っている。平成30年の追加製造依頼は、主としてこの定期交換に対応するためのものである。
なお、同社との取引は、EDI(Electronic Data Interchange (電子データ交換))で行われているため、納品書等はない。
(3)乙第3号証について
乙第3号証は、本件商標の付された本件装置が、要証期間である令和4年7月12日に定期交換のため、顧客である豊中市に引き渡された事実を示す写真である。
乙第3号証の1は、定期交換前の本件装置(不鮮明ではあるが本件商標が付されている。)の豊中市農業用施設遠隔監視システム(大阪府豊中市・・・所在の二ノ切池北深井戸ポンプ場のもの)における設置状態を示す写真である。
乙第3号証の2は、交換対象の本件装置とルーターが取り外された状態を示す写真である。
乙第3号証の3は、交換用の本件装置(本件商標が装置に表示されている)を示す写真である。
乙第3号証の4は、交換後の本件装置(不鮮明ではあるが本件商標が付されている)の設置状態を示す写真である。
(4)乙第4号証について
乙第4号証は、乙第3号証に示す本件装置の定期交換に関する豊中市長宛ての保守等完了報告書であり、「i-curatorおよびルーターの定期交換を実施いたしました。」と記載されている。
2 むすび
被請求人は、以上の証拠方法により、商標権者が、要証期間に、本件商標を、「電子応用機械器具」について日本国内で使用した事実を立証した。
第4 当審の判断
1 被請求人提出の乙各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(1)乙第1号証
乙第1号証は、「SPECIFICATIONS SHEET」、「i-Curator」の見出しの下、1葉目に「概要/i-Curatorはフィールド情報を収集して現場の情報を手軽に分かりやすく扱うことのできるユニット装置です。施設や装置を管理することなどに利用できます。GSA2に入出力部を一体化させたことによってトータルエンジニアリングコストを抑制しています。」との記載があり、2葉目以降の「制御部仕様」、「デジタル・パルス入力仕様」、「アナログ入力仕様」、「ACアダプタ仕様」等の記載より、全8葉からなる「i-Curator」なる名称の装置(本件装置)に関する取扱説明書であるといえる。
また、乙第1号証の2葉目の「制御部仕様」の表には、「制御部(CPU)」、「メモリ」、「通信部」、「診断機能」、「RTC機能」の記載があり、7葉目の外形図の表面には、図案化された「i」の文字の右側に「CUraTOr」の文字をやや右に傾けた書体で横書してなる商標(別掲2。以下「使用商標)という。)の表示があり、さらに8葉目には、使用商標(別掲2)はメタウォーターの登録商標である旨の記載及び商標権者の名称、住所が記載され、1葉目等には「メタウォーター株式会社」の表示がある。
(2)乙第4号証
乙第4号証は、被請求人が、豊中市長に宛てた保守等報告書であり、「保守等完了報告書/標記の件について、下記のとおり報告します。」の記載下の表中に、「保守作業完了日 令和4年7月12日」、「故障等内容 「二ノ切池北深井戸ポンプ場」/巡回点検を実施し、良好稼働状態を確認しました。」、「その他 i-curatorおよびルーターの定期交換を実施いたしました。」の記載がある。
(3)乙第3号証
被請求人の主張によれば、乙第3号証は、「i-Curator」なる名称の装置が、令和4年7月12日に定期交換のため、「二ノ切池北深井戸ポンプ場」において発注者である豊中市に引き渡された事実を示す写真であるところ、乙第3号証の3及び4の写真画像から、「i-Curator」の筐体の表面に、使用商標が付されていることが看取できる。
(4)上記(1)ないし(3)から、以下の事実を認めることができる。
被請求人であるメタウォーター株式会社は、要証期間である令和4年7月12日に、二ノ切池北深井戸ポンプ場で、その筐体に使用商標が付された「i-Curator」なる名称の装置(以下「使用商品」という。)の交換作業を実施し、その交換作業後に、豊中市長に作業完了報告をした。
2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標及び使用商品について
被請求人は、使用商品は、主に浄水場、下水処理場、農業用深井戸施設において、施設の運転情報、異常情報及び計測値等の情報を収集・蓄積・加工・転送するためのサーバーコンピューターであると主張しているところ、その取扱説明書(乙1)の2葉目の「制御部仕様」の表に、「制御部(CPU)」、「メモリ」、「通信部」、「診断機能」、「RTC機能」の記載があることとも整合しているから、使用商品は、情報を収集・蓄積・加工・転送するためのサーバーコンピューターであるとみて、差し支えない。
よって、使用商品は、本件審判請求に係る指定商品中、第9類「その他の電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうに属する商品であるといえる。
また、使用商標は、別掲2のとおりの構成よりなるところ、図案化された「i」の文字の右側に「CUraTOr」の文字をやや右に傾けた書体で横書してなる本件商標(別掲1)と、文字構成及び外観がほぼ同じであるから、本件商標と社会通念上同一であるといえる。
(2)使用行為、使用時期、使用者について
商標権者である被請求人は、要証期間である令和4年7月12日に、豊中市の二ノ切池北深井戸ポンプ場で行った保守業務(点検、交換)に際し、その筐体に使用商標が付された使用商品を譲渡又は引き渡したということができるから、商標権者が要証期間に、商標法第2条第3項第2号にいう使用行為を行ったと認めることができる。
(3)小括
上記(1)及び(2)からすれば、商標権者は、要証期間に、日本国内において本件審判の請求に係る指定商品及び指定役務中、第9類「その他の電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうに属する情報を収集・蓄積・加工・転送するためのサーバーコンピューターの筐体に、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付して使用した(商標法第2条第3項第2号に該当。)と認めることができる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、その審判の請求に係る指定商品及び指定役務に含まれる商品について本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したといわなければならない。
したがって、本件商標の請求に係る指定商品及び指定役務についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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