商標取消審判
2023-300485
アスクロ、エジュクロ
- 審判番号
- 2023-300485
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2019-087290
- 登録番号
- 6261593
- 請求日
- 2023年07月12日
- 審決日
- 2024年12月03日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】株式会社 SPES
- 【請求人代理人】小林 幸夫
- 【請求人代理人】木村 剛大
- 【請求人代理人】藤沼 光太
- 【被請求人】株式会社 マレ
- 【被請求人代理人】弁理士法人IPX
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 相崎 裕恒
- 分類
- T131 .1 -Z (W2535)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条、商標法第50条第2項、商標法第50条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6261593号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第6261593号商標の商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6261593号商標(以下「本件商標」という。)は、「ASCLO」の文字を標準文字で表してなり、令和元年6月21日に登録出願され、第25類「革製又は人工皮革製の被服,皮革製被服,シャツ,男性用スーツ,スーツ,ニット製被服,革製短靴,帽子,マフラー,半袖シャツ,靴,紳士服,礼服,コート,被服,ジャケット,ジャンパー,カーディガン,Tシャツ,パーカー,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,仮装用衣服,履物,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」及び第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,インターネットを利用した被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,インターネットを利用した履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,インターネットを利用したかばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として、同2年6月19日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和5年7月26日であり、その請求の登録前3年以内の同2年7月26日から同5年7月25日までの期間を以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第2号証を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務(以下「請求に係る指定商品役務」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
裁判例において、商標法50条2項ただし書の「正当な理由」については、商標権者の責めに帰すことができない事由により、登録商標を使用できなかったことが必要であると解されている。
しかし、登録商標を使用するために「BUYMA」でブランド登録しなければならないという理由は一切なく、「BUYMA」以外の方法によっても、登録商標を使用することが可能な状況であったにもかかわらず、使用をしていないのであるから、登録商標の不使用は、商標権者の責めに帰すべき事由によるものといえ、「正当な理由」はない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第14号証を提出している。
1 審判事件答弁書
(1)本件商標が日本において登録された時期は、新型コロナウイルスが蔓延していた真っただ中であり、渡航制限等もあった関係で外国企業が日本でビジネスをすることが困難な時期といえ、日本での販売が難しい状況であった。また、権利者の代表が精神的な病を患っていたこともあり、販売ができないという事情もあった。
(2)2023年になりコロナも収束し、本件商標の指定商品の販売のために「BUYMA(バイマ)」というファッション通販サイトにブランド登録を試みたところ、この登録ができない事態に陥った。BUYMAにおいて「ASCLO」を使用しているアカウントは、NEXTという会社のものであり、この会社の代表は、異議2020-900214の異議申立人と同一人物である(乙5~乙7)。本件商標に異議申立を行っていた者が、正当な権利を有していないにも関わらずBUYMAにおいて「ASCLO」という名称を使用し、そのことを理由に、正当な権利者である被請求人が本件商標を使用できなくなっているという状況になっている(乙1~乙7)。BUYMAが登録を認めてくれないという不可抗力により、被請求人は商品の販売ができない状況であり、加えて、正当な権利を有しない者が「ASCLO」という名称を使用していることが理由となっており、正当な権利者が商標を使用できない状況を意図的に作っており、悪質極まりないといえる。
2 令和6年1月30日付け上申書
株式会社NEXTは、2021年6月26日・27日に渋谷で開催された「シックスティーパーセント」が主催するイベントに商品を出展する予定であったので、本件商標権者は、「シックスティーパーセント」に対し同月25日にメールで警告状を送付したという事実があり、商標の不当使用者である株式会社NEXTに対して警告を行ったという実績がある(乙11~乙14)。
第4 審尋及び被請求人の回答
1 審判長は、令和6年3月28日付け審尋において、被請求人に対し、被請求人の審判事件答弁書及び令和6年1月30日付け上申書における主張が本件商標権者の責めに帰すことのできない事由によって本件商標の請求に係る指定商品役務についての要証期間内の使用ができなかったことを示すものとなっていない旨、及び被請求人提出の乙第1号証ないし乙第14号証が本件商標権者の責めに帰すことのできない事由の立証になっていない旨の合議体の暫定的見解を示し、これについての反論及び請求人提出の弁駁書に対する回答を求めた。
2 被請求人は、上記1の審尋に対し何らの応答もしていない。
第5 当審の判断
1 本件商標を使用していないことの正当な理由について
(1)商標法第50条第2項ただし書にいう「正当な理由」とは,地震,水害等の不可抗力によって生じた事由、放火、破壊等の第三者の故意又は過失によって生じた事由、法令による禁止等の公権力の発動に係る事由その他の商標権者等の責めに帰すことができない事由(以下、「不可抗力等の事由」という。)が発生したために、商標権者等において、登録商標をその指定商品又は指定役務について使用することができなかった場合をいい、また、不可抗力等の事由の発生と登録商標の不使用との間には、因果関係が存在することを要するものと解すべきであり、さらに、当該因果関係が存在するというためには、不可抗力等の事由が発生した時点における、商標権者等の登録商標使用の具体的準備の有無・程度を前提とし、その時点から予告登録までの間が、仮に当該不可抗力等の事由の発生がなかったとすれば、登録商標の使用に至ることができたと認めるに足りる程度の期間であり、かつ、当該不可抗力等の事由が、その発生により、上記期間内に商標権者等が登録商標の使用に至ることを妨げたであろうと客観的に認め得る程度のものであることを要すると解すべきである。(知的財産高等裁判所 平成19年(行ケ)第10227号判決)
(2)新型コロナウイルス感染症の蔓延について
ア 令和2年4月7日に埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県及び福岡県の7都府県を対象区域として緊急事態宣言が発出されたこと、その後、同5年5月8日に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが第5類へ引き下げられたことは、合議体において顕著な事実である。そして、当該宣言による感染症法上の位置づけの引き下げ後において、新型コロナウイルス感染症の蔓延によって被服、履物等の商品の販売やこのような商品の品揃え等の小売等役務のような、請求に係る指定商品役務の提供ができなかったとは認められない。
イ さらには、当該宣言による感染症法上の位置づけの引き下げ前であっても、被服、履物等の商品の販売やこのような商品の品揃え等の小売等役務をインターネットを利用して実施したり、販売や役務提供の延期や不実施の告知を含め、商品や品揃え等の小売等役務の広告をインターネットを利用した電磁的方法により提供することは可能であったと考えられ、これらを行うことが不可能であった理由は見当たらない。
ウ 被請求人の主張は、要証期間を通じて(新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの第5類へ引き下げの前後にわたって)、商品の販売や商品の品揃え等の小売等役務についてのインターネットを利用しての実施や電磁的方法による広告の提供が不可能であった理由を具体的に主張立証するものとなっていない。
(3)その他の事情について
ア 被請求人は、権利者の代表者が精神的な病を患っていた等と主張する。
しかし、権利者の代表者が精神的な病を患っていたことは、不可抗力等の事由に該当するとはいえない。
イ 被請求人は、「BUYMA(バイマ)」にブランド登録ができなかった等とも主張する。
しかし、「BUYMA(バイマ)」によらずに被服、履物等の商品の販売やこのような商品の品揃え等の小売等役務の提供を行うことが可能であることは明らかであり、「BUYMA(バイマ)」にブランド登録ができないことは、不可抗力等の事由に該当するとはいえない。
この点、被請求人が提出する乙第1号証ないし乙第14号証は、いずれも不可抗力等の事由により被服、履物等の商品の販売やこのような商品の品揃え等の小売等役務の提供を行うことが可能でなかったことを示すものでない。
ウ 被請求人は、イベントを主催する「シックスティーパーセント」及び株式会社NEXTに対して警告したと主張する。
しかし、警告をしたことは、不可抗力等の事由に該当するとはいえない。
(4)以上によれば、被請求人が主張する事由は、いずれも、その責めに帰すことができない事由と認めることはできないから、商標法第50条第2項にいう「正当な理由」には当たらないというべきであり、その他、本件に関し、上記「正当な理由」があるとみるべき特段の事情も見当たらない。
2 本件商標の使用の有無について
(1)被請求人は,前記第3のとおり,要証期間に,請求に係る指定商品について本件商標を使用していることについては,何ら主張,立証していない。
(2)上記1(3)ウに示したように、被請求人は、イベントを主催する「シックスティーパーセント」及び株式会社NEXTに対して警告したと主張するが、警告をしたことは、商標の使用事実に該当しない。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,要証期間に日本国内において,商標権者,通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが,請求に係る指定商品について,本件商標を使用していた事実を証明したものとは認められない。
また,被請求人は,本件商標を請求に係る指定商品に使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしたともいえない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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