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商標取消審判

2024-300064

エイニミルク、エイツーミルク

審判番号
2024-300064
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願2017-117493
登録番号
6044548
請求日
2024年02月01日
審決日
2025年05月15日
公報発行日
2025年08月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ファーマーズホールディングス 株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人前田特許事務所
  • 【被請求人】ザ エイツー ミルク カンパニー リミテッド
  • 【被請求人代理人】田中 克郎
  • 【被請求人代理人】稲葉 良幸
  • 【被請求人代理人】廣中 健
  • 【被請求人代理人】太田 雅苗子
  • 【被請求人代理人】江藤 聡明
審判長/審判官
  • 審判長 高橋 幸志
  • 審判官 白鳥 幹周
  • 審判官 清川 恵子
分類
T131 .1 -Y (W0529)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法50条
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第2条第3項第2号、商標法第38条第5項、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第2項、商標法第50条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第6044548号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6044548号商標(以下「本件商標」という。)は、「a2 MILK」の文字を標準文字で表してなり、第5類「乳児用食品,乳児用牛乳及び乳児用粉ミルク,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,栄養補助食品,プロテインを主原料とする栄養補助食品」及び第29類「粉乳,牛乳,クリーム,バター,チーズ,ヨーグルト,乳飲料」を指定商品として、平成29年9月5日に登録出願、同30年5月18日に設定登録されたものである。 そして、本件審判の請求の登録は、令和6年3月1日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、令和3年3月1日から同6年2月29日までの期間(以下「要証期間」という。)である。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書及び審判事件弁駁書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証(審決注:当合議体において、審判事件弁駁書と同時に提出された甲第1号証ないし甲第15号証は、審判請求書で提出した証拠の続き番号(甲第2号証ないし甲第16号証)に置き換えた。)を提出した。 以下、証拠の表記に当たっては、「甲(乙)第○号証」を「甲(乙)○」のように省略して記載する。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 (1)本件商標について 2011年8月15日の内閣府、食品安全委員会の資料(甲2)には、オーストラリア・ニュージーランド食品基準機関(FSANZ)が公表したファクトシートの概要の記載があり、その中に「牛乳中のたん白質の約80%はカゼインたん白質である。(中略)主なカゼインの一つはベータカゼインである。様々な型のベータカゼインが存在するが、最も一般的なのはベータカゼイン A1(この型を多く含むミルクはA1ミルクとして知られている)及びベータカゼインA2(このタイプを多く含むミルクはA2ミルクとして知られている)である。」という記載がある。すなわち、「ベータカゼインA2を多く含むミルクはA2 Milk(原文の英語)として知られている」のである(甲3~甲5同旨。)。また、甲6ないし甲9に示されているように、日本においてもA2ミルク(A2牛乳)という言葉が、乳中のベータカゼインがA2タイプのミルク(牛乳)のことであることが広く知られている。 本件商標は語頭が小文字であるが、称呼「エイツーミルク」は「A2 Milk」「A2 ミルク」と同一であって、「A2 Milk」とは綴りも同じであるので、需要者は本件商標が「A2 Milk」「A2 ミルク」のことを指すものと認識していると考えられる。したがって、語頭が小文字ではあるものの、本件商標は、「A2 Milk」「A2 ミルク」という普通名称(乳中のベータカゼインがA2タイプのミルク(牛乳))を表示した商標であって、需要者にそのように認識をされているものである。 (2)乙4について ア 商標表示 被請求人は、乙4の4を本件商標の表示としてあげているところ、乙4の4ではマーキングにより一部の文字が隠れているが、この部分に記載されているのは”MADE WITH a2 Milk FORMURATED FOR(不明)”で(甲16)、つまり、「a2 Milkから作られた(不明)のための乳児用人工乳」という意味であり、「a2 Milk」は原材料としての表示になっている。すなわち、この「a2 Milk」という表示は、(R)(審決注:(R)は○の中にRの文字を記載したものを表す。以下同じ。)が付されているが、商標としての表示ではなく、「A2ミルク」という普通名称の牛乳としての表示であり、本製品の原材料を表示しているものである。したがって、これは本件商標の表示とはいえない。 イ 時期について 被請求人は、乙4は本件審判の請求後の令和6年6月20日に印刷したものであるが、乙3の8(2023年9月18日 本件商標権者の幼児用粉ミルクが米国でデビュー、オンラインでの購入も可能になる)の記載より本件審判の予告登録日(2024年3月1日)よりも前から継続して商標使用が行われていたと主張し、また、乙4の3の「USAストアからの輸入品」との表示を指摘しているが、この表示は「USAの販売会社が出品した商品であって、購買者にとっては輸入品である」という意味であって、オンラインショッピングサイト「Ubuy」(以下、単に「Ubuy」という場合がある。)がUSAストアであることを意味していない。USAの販売会社から「Ubuy」が購入してそれを日本に輸出することはコストの点からあり得ず、「Ubuy」は「DesertCart」や「Amazon」と同様に、Web上のECサイトとして販売会社に出店スペースを提供しているだけである。乙3の8の記載よりは「Ubuy」による日本向けの販売(日本語表記によるWebサイト作成)の予定があるとは読み取ることはできない。 したがって、乙4の3の印刷日(2024年6月20日)及び本件審判の予告登録日(2024年3月1日)より前に、本件商標権者の製品が「Ubuy」において販売されていたということはできない。 なお、インターネットアーカイブのWayBack Machineによって乙4の3のWebページが過去に存在したかを2024年8月1日に検索したが、アーカイブデータは存在しなかった。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、令和6年6月28日付け審判事件答弁書、同年11月11日付け上申書及び同年12月10日付け審尋に対する同7年2月3日付け回答書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙1ないし乙18(枝番号を含む。枝番号を全て含む場合には枝番号の表記を省略する。)を提出している。 1 審判事件答弁書 (1)被請求人(本件商標権者)について 本件商標権者は、ニュージーランドにおいて2000年に設立されたA2コーポレイションリミテッドの承継人として、牛乳、粉ミルクその他の乳製品、酪農製品の製造・販売を行うニュージーランド有数の企業である。本件商標権者が開発し、販売する乳製品は、A1型と呼ばれるプロテインを含有しないことによって、消化しやすいなどの優れた特徴を有することから市場で人気を博し、本国のニュージーランドはもとより、オーストラリア、中国、韓国、米国等でその商品を販売するなど、活発な事業活動を行っていることが我が国においても報道されている(乙2)。 (2)本件商標の使用について 本件商標は、「a2 MILK」の欧文字及び数字からなるところ、以下のとおり本件商標を付した商品「乳児用粉ミルク」が日本国内において販売されている。 ア 「Ubuy」(乙4の1、2)は、日本国外で販売されている商品について、日本に在住する顧客からの受注を受け、販売し、購入者指定の日本の住所に配送するサービスを提供している越境eコマースウェブサイトであるところ、以下に示すとおり「Ubuy」上で、本件商標を付した本件商標権者の商品が、日本の需要者向けに展示され、宣伝広告されている事実がある。 イ 乙4の3は、「A2プラチナプレミアム幼児ミルクドリンクステージ3から1年900g」との商品名で販売されている本件商標権者の商品「乳児用粉ミルク」の販売画面である。 当該ページに表示されている商品の包装(円筒形の缶)の右上部分には、水滴様の図形の中に「a2 Milk」の文字が表示されている(乙4の4)。乙4の1ないし3に示す「Ubuy」では、ウェブページの右上部分に配送先の国と言語を選択できるプルダウンメニューがあり、これを操作することによって、ウェブページ内の言語が日本語で表示され、価格も日本円で表示される。乙4の3においても商品の価格が日本円で「JPY13963」と表示され、「カートに追加」のボタンを押すことで、商品が買物かごに追加される。 これらのウェブページは日本語で表示され、取引通貨も日本円で表示されるから、「Ubuy」のウェブサイトは日本において「商業的効果(commercial effect)」を有するものと認められる。したがって、かかるウェブページ上における商標の使用は、日本国内における商標の使用行為に当たる。 そうすると、乙4の3において本件商標がその包装容器に付された商品を譲渡のために展示する行為は、日本国内において、「商品の包装に標章を付したものを譲渡のために展示する行為」(商標法第2条第3項第2号)に該当し、「商品に関する広告」ないし「商品に関する取引書類」を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為(商標法第2条第3項第8号)に該当する。そして、当該ウェブページに表示されている商品の包装に付されている「a2 Mi1k」は、本件商標と欧文字の字体(大文字・小文字)のみを異にするものであって、本件商標と社会通念上同一と認められる商標(商標法第38条第5項)である。 ウ 乙4の3は本件審判の請求後である令和6年6月20日に「Ubuy」の表示画面を印刷したものではあるが、本件商標権者の商品の販売画面には「USAストアからの輸入品」と表示されているところ、乙3の8のとおり、本件商標権者の商品は遅くとも2023年9月頃より継続して販売されているから、乙4の3に示すようなインターネット上での商標の使用行為が、本件審判の予告登録日よりも前から継続して行われていたものであることは明らかである。 2 上申書 本件商標権者が本件商標をその指定商品である「粉乳,牛乳」について要証期間内に使用したことについて上申する。 (1)本件商標を付した商品「粉乳」が、日本国内において販売され、宣伝広告されていること 乙5の1は、「Ubuy」で「Full cream milk」との商品名で販売されている本件商標権者の商品「粉乳」の販売画面である。「製品詳細」の欄には、「3歳以上の子供、十代の若者、大人に適しています」との記載があり、「アイテムフォーム」として「粉末」とあるから、当該商品は一般消費者向けの粉末ミルクであることがわかる。 当該ページには「a2 Milk」の表示がされている他、表示されている商品の包装には「a2 Milk」の文字が表示されている(乙5の2)。当該ウェブサイトでは、ウェブページ内の言語が日本語で表示され、価格も日本円で表示されるから、かかるウェブページ上における商標の使用は、日本国内における商標の使用行為に当たる。 そうすると、乙5の1に示すようなインターネット上での商標の使用行為は、商標法第2条第3項第2号に該当し、同項第8号に該当する。そして、商品の包装に付されている「a2 Milk」は、上記1(2)イと同様に本件商標と社会通念上同一と認められる商標(商標法第38条第5項)である。 乙5の1は本件審判の請求後である令和6年11月8日に「Ubuy」の表示画面を印刷したものではあるが、当該頁の「製品詳細」の欄には「Date First Available」として「2021-03-27 02:36:56」と記載されているから、本件要証期間内である2021年3月27日以降今日に至るまで本件商標権者の商品は継続して販売されているものである。 したがって、乙5の1に示すようなインターネット上での商標の使用行為が、本件審判の予告登録日よりも前から継続して行われていたものであることは明らかである。 (2)本件商標を付した商品「牛乳」が日本国内において販売され、宣伝・広告されていること 乙6の1は、「Ubuy」で「GRASS FED」との商品名で販売されている本件商標権者の商品「牛乳」の販売画面である。当該ページに表示されている商品の包装には、「a2 Milk」が表示されている(乙6の2)。 そうすると、乙6の1に示すようなインターネット上での商標の使用行為は、商標法第2条第3項第2号に該当し、同項第8号に該当する。そして、商品の包装に付されている「a2 Milk」は、上記1(2)イと同様に本件商標と社会通念上同一と認められる商標(商標法第38条第5項)である。 乙6の1は本件審判の請求後である令和6年11月8日に「Ubuy」の表示画面を印刷したものではあるが、当該頁の「製品詳細」の欄には「Date First Available」として「2023-04-01 20:00:08」と記載されているから、本件要証期間に相当する2023年4月1日以降今日に至るまで、本件商標権者の商品は継続して販売されているものである。したがって、乙6の1に示すようなインターネット上での商標の使用行為が、本件審判の予告登録日よりも前から継続して行われていたものであることは明らかである。 3 審尋に対する回答書 (1)乙4ないし6について ア 「Ubuy」が本件商標権者自身によって運営されるショッピングサイトではないとの点について 商標法第50条第1項の審判において証明されるべきは、登録商標と社会通念上同一の商標について商標の「使用」があったことにある。商標法第2条第3項第2号及び同項第8号は商標の「使用」と定義しているところ、これらの行為は商標権者自身によって行われる場合のみならず、「Ubuy」のような流通業者等が当該商品を販売等するにあたって「展示する行為」や「電磁的方法により提供する行為」を含むと解するべきである。 この点、知的財産高等裁判所平成25年3月25日判決は、「商標権者等が登録商標の使用をしている場合とは、特段の事情のある場合はさておき、商標権者等が、その製造に係る商品の販売等の行為をするに当たり、登録商標を使用する場合のみを指すのではなく、商標権者等によって市場に置かれた商品が流通する過程において、流通業者等が、商標権者等の製造に係る当該商品を販売等するに当たり、当該登録商標を使用する場合を含むものと解するのが相当である。」と判示しており(乙7)、知的財産高等裁判所平成25年1月10日判決においても、「商標権者等が商品に付した商標は、その商品が転々流通した後においても、当該商標に手が加えられない限り、社会通念上は、当初、商品に商標を付した者による商標の使用であると解される」(乙8)と判示されている。 これらの判示にしたがえば、商標権者が商標を付した商品が、流通経路を転々とする中で、商標権者以外の第三者(流通業者)によって、販売(譲渡)され、あるいは展示されるその行為は、商品に商標を付した者による商標の使用であると解すべきである。 乙7の判決において述べられているように、今日の取引実清に照らせば、商品を製造した者が、自ら直接消費者に対して販売する態様が一般的であるとはいえず、むしろ、中間流通業者が介在した上で、消費者に販売することが常態であるといえるから、「Ubuy」が本件商標権者自身によって運営されるショッピングサイトではないことを理由として、当該ショッピングサイトにおいて本件商標権者が市場においた商品を「展示する行為」や、これに関する広告等を「電磁的に提供する行為」が本件商標権者による商標の使用に当たらないということはできない。 イ 「Ubuy」に本件商標権者が使用商品を引き渡したことが証明されていないとの点について 「Ubuy」で販売されている商品が、本件商標権者が製造し、市場においた商品であることが明らかである以上、さらに加えて、「Ubuy」に対して本件商標権者が使用商品を引き渡したことを証明する必要はないものと思料する。その理由は、「Ubuy」に対して本件商標権者が直接引き渡した商品であれ、第三者を介して間接的に「Ubuy」に引き渡された商品であれ、本件商標権者によって商標が付された商品である以上は、上掲の裁判例に照らしてみても、そこに付された商標は「社会通念上は、当初、商品に商標を付した者による商標の使用であると解される」からである。そこに付された商標が本件商標権者によって付されたものである以上、転々流通したことによって商標としての機能を喪失したとか、本件商標権者の商標ではなくなったとみるべき理由はない。 仮に、乙5の1及び乙6の1の「Ubuy」のウェブページ上に表示されている「a2 Milk」の表示については、ウェブサイトの運営者である「Ubuy」がウェブページに付したものであって、本件商標権者が付したものではなく、本件商標権者自身が商標を付した広告等を「電磁的に提供する行為」が行われたとは評価できないとされたとしても、これらのウェブページにおいて展示されている商品については、当該商品に商標を付した者が本件商標権者である以上、少なくとも、商標を付した当該商品を「展示する行為」は本件商標権者による「使用」にあたるというのが妥当である。 なお、いわゆる「グレーマーケット」(合法的な流通チャンネルを通じているが元の製造メーカーが意図していない商品の取引)での売上は、本件商標権者の「乳児用粉ミルク総量の約60%を占めると推定され」ており、本件商標権者にとって自己の商品を販売するうえで最も重要で、かつ、成功している商品の販売チャンネルであって、このような流通経路を介した商品の販売を容認している(乙9)。 (2)「Ubuy」における乙4以外の商品で、本件商標権者に係る第5類の商品が取り扱われた日が要証期間内であることについて ア 乙16の1は「Ubuy」において、「a2 Platinum Premium Infant Formula」との商品名で販売されている本件商標権者の「乳児用粉ミルク」の販売画面である。乙16の1の2頁目の「製品詳細」の欄には「Date First Available」として「2023-11-29 05:43:02」と記載されているから、本件要証期間である2023年11月29日以降今日に至るまで、本件商標権者の当該商品が継続して販売されているものである。 乙16の2は、乙16の1の商品画像のうち当該商品の背面、乙16の3は、当該商品の側面が表示された状態を示し、乙16の4は、乙16の1ないし乙16の3で表示される商品写真の部分を拡大したものである。 これよりは、当該商品の正面と側面に「a2 Milk(R)」の表示があり、また、当該商品の背面には、本件商標権者の100%子会社であるエイツーインファントニュートリションリミテッド(乙11、乙12、乙14)が当該商品の販売者として表示されている。 イ 乙17の1は「Ubuy」において、「A2プラチナプレミアム乳児フォーミュラ0-12ヶ月」との商品名で販売されている本件商標権者の「乳児用粉ミルク」の販売画面である。乙17の1の2頁目の「製品詳細」の欄には「Date First Available」として「2023-11-29 05:43:02」と記載されているから、本件要証期間である2023年11月29日以降今日に至るまで、本件商標権者の当該商品が継続して販売されているものである。 乙17の2は、乙17の1の商品画像のうち当該商品の背面、乙17の3は、当該商品の側面が表示された状態を示し、乙17の4は、乙17の1ないし3で表示される商品の写真部分を拡大したものである。 これよりは、当該商品の正面及び側面に「a2 Milk(R)」の表示があり、また、当該商品の背面には、本件商標権者の100%子会社であるエイツーインファントニュートリションリミテッドが当該商品の販売者として表示されている。 ウ 乙18の1は「Ubuy」において販売されている本件商標権者の「乳児用粉ミルク」の販売画面である。 乙18の1の2頁目の「製品詳細」の欄には「Date First Available」として「2023-11-22 06:49:51」と記載されているから、本件要証期間である2023年11月22日以降今日に至るまで、本件商標権者の当該商品が継続して販売されているものである。乙18の2は、乙18の1の商品画像のうち当該商品の背面、乙18の3は、当該商品の側面が表示された状態を示し、乙18の4は、乙18の1ないし3で表示される商品の写真部分を拡大したものである。 これよりは、当該商品の正面及び側面に「a2 Milk(R)」の表示があり、また、当該商品の背面には、本件商標権者の100%子会社であるエイツーインファントニュートリションリミテッドが当該商品の販売者として表示されている。 エ 小括 以上より、日本語により、日本の需要者向けに作成された「Ubuy」において、本件商標権者の商品「乳児用粉ミルク」が譲渡のために展示されており、当該商品の包装(缶)には本件商標と社会通念上同一の商標が表示されていること、これらの商品が遅くとも2023年11月29日又は同月22日以降、今日に至るまで、譲渡のために展示されていること、これらの商品には本件商標権者の100%子会社の名称と住所が表示されていることは、いずれも明らかであり、また、これらの商品の包装上における商標の使用は、本件商標権者の使用にあたるものとみて何ら差し支えのない。仮に、本件商標権者の使用に当たらないとされたとしても、本件商標権者の100%子会社が、本件商標権者から許諾を受けた通常使用権者として使用するものと認められる。 (4)審判事件弁駁書に対する被請求人の意見 ア 本件商標は商品の普通名称ではないこと 請求人は、2011年8月15日の内閣府、食品安全委員会のウェブサイト上の資料を根拠として、本件商標は「乳中のベータガゼインがA2タイプのミルク(牛乳)」の普通名称であると主張しているが、本件商標については特許庁による審査を経て十分に自他識別力を発揮する商標として登録が認められたものであり、かつ、登録日から5年を経過しているものである。請求人が指摘する資料は、食品安全委員会のホームページにアクセスし、その中に表示されている「世界の情報(検索ページ)」をクリックし、検索キーワードとして当該資料の番号を入力する等して初めて表示されるもので、かつ、13年も前の日付のものであり、一般の需要者、取引者が目にする機会はないと思われるものである。また、当該資料に付されている資料のリンクも、情報源として表示されているURLも、既にリンク先が表示されない。 よって、かかる資料の存在をもって本件商標が商品の普通名称であるということはできない。 イ 本件商標は商標として表示されていること 請求人は、乙4の4における本件商標の使用について、「a2 Milk」は原材料としての表示であり、 「A2ミルク」という普通名称の牛乳としての表示であって、商標としての表示ではないと主張しているが、「a2 MILK」は登録商標であり、そもそも牛乳の普通名称ではないから、請求人の主張は当たらない。なお、この点は、今回提出する乙16、乙17及び乙18に示す商品の包装上における「a2 Milk」についても同様である。これらの商品包装上において、本件商標が「Made with a2 Milk(R) from cows not/treated with growth hormoner BST」や「When your baby is older than 12 months try/ a2 Milk(R)Whole cows’milk」のように使用されているとしても、そもそも「a2 Milk」は商品の普通名称ではないことに加えて、登録商標をどのように使用するかについて、商標権者は自由な裁量を有するから、その使用の態様によって商標権者以外の者が、出所表示ではないと断定することができるものではない。さらに、本件商標の使用態様においては、 「(R)」の表示が付されていることや、太い文字で表示されていることからも、これに接した需要者、取引者においては、これが商品の説明の中における単なる普通名称からなる語と認識されることはなく、商品の出所を識別する標識として認識されることは明らかである。 第4 当審の判断 1 被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。 (1)「A2 Infant Nutrition Limited(エイツーインファントニュートリションリミテッド)」(以下「A2インファント社」という場合がある。)は、本件商標権者の100%子会社である(乙11、乙12、乙14)。 (2)乙16は、ショッピングサイト「Ubuy」において、円筒形の缶入りの商品写真が掲載された画面であり、円筒形の缶の表面には、紫の円図形の中にデザインされた「a2」の文字を白抜きにし、その円図形を囲むように上下に「THE a2 MILK COMPANY」の文字が表された標章を配し、その下に大きく「Platinum」の文字を表し、さらにその下に「Premium Infant formula」の文字の記載がある。そして、その商品写真の下には「a2Platinum Premium Infant Formulaは、乳児用粉ミルクのカテゴリーで」との記載がある(以下、当該円筒形の缶容器の商品「乳児用粉ミルク」を「使用商品」という。)。 さらに、その下には「赤ちゃんのためのA2プラチナプレミアム乳児フォーミュラ0-12ヶ月-栄養的に鉄、ビタミンE、プレバイオティクス、DHAと完全な粉末」との記載、「JPY8338」の記載、「製品詳細」の項目には「Date First Available 」として「2023-11-29 05:43:02」と記載がある(乙16の1)。そして、円筒形の缶入り商品写真の背面には、「Distributed by A2 Infant Nutrition Limited」の記載(乙16の2、4)、円筒形の缶入り商品写真の側面の下部には、「a2 Milk(R) Whole cows’milk」が表示されている(乙16の3、4、以下「a2 Milk」を使用商標という。)。 2 上記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。 (1)使用商標について 本件商標及び使用商標は、いずれも「a2」「M」「I(i)」「L(l)」「K(k)」の欧文字と数字からなるものであり、両商標は、大文字小文字の差異はあるものの、構成文字を共通にするものである。 そうすると、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。 (2)使用商品について 使用商品は「乳児用粉ミルク」であるから、本件商標の指定商品中、第5類「乳児用粉ミルク」と同一の商品である。 (3)使用時期及び使用行為について 上記1(2)のとおり、「Ubuy」で使用商品が取り扱い開始となった日(「Date First Available 」(当審訳:最初に入手可能となった日)。)は、2023年11月29日であり、使用商品が使用商標とともに掲載されており、そこには、「Distributed by A2 Infant Nutrition Limited」(当審訳:提供者はエイツーインファントニュートリションリミテッド)の表示、日本円の価格と認められる「JPY8338」の表示、「カートに追加」「今購入」などの表示が日本語で掲載されている。 そうすると、A2インファント社は使用商品に使用商標を付し、2023年(令和5年)11月29日に、「Ubuy」を介して、日本の需要者向けに使用商標を付した使用商品に関する広告をインターネットにより提供したといえる。 そして、2023年(令和5年)11月29日は要証期間内である。 (4)使用者について 上記1(1)のとおり、本件商標権者の100%子会社であるA2インファント社は、本件商標権者から本件商標の使用について黙示の許諾があったものと推認し得るものである。 そうすると、A2インファント社は使用商品に使用商標を付し、2023年(令和5年)11月29日に使用商標を付した使用商品に関する広告をインターネットにより提供したのであるから、本件商標の使用者は、通常使用権者であるA2インファント社である。 (5)小括 以上によれば、通常使用権者であるA2インファント社が、要証期間内である2023年(令和5年)11月29日に、日本国内において請求に係る指定商品中「乳児用粉ミルク」に関する広告を内容とする情報に、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付して、インターネット(電磁的方法)により提供したと認めることができる。 この行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「商品・・・に関する広告・・・を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。 なお、被請求人は、「Ubuy」と本件商標権者及び通常使用権者等との取引事実等を証明する書類等を提出しておらず、本件商標権者又は通常使用権者が「Ubuy」に使用商品の掲載を依頼したことなどは明らかにしていない。 しかしながら、乙7の判決においては、商標権者等が登録商標の使用をしている場合とは、商標権者等がその製造に係る商品の販売等の行為をするに当たり、登録商標を使用する場合のみを指すのではなく、商標権者等によって市場に置かれた商品が流通する過程において、流通業者等が、商標権者等の製造に係る当該商品を販売等するに当たり、当該登録商標を使用する場合を含むものと解するとされているところ、この判決から検討するに、上記1において認定した事実によれば、ア ショッピングサイト「Ubuy」で2023年(令和5年)11月29日に、a2インファント社の販売に係る使用商標が付された「乳児用粉ミルク」(使用商品)の取り扱いが開始され、イ 「Ubuy」のウェブサイトには、a2インファント社の販売に係る使用商標が付された使用商品の画像が掲載されており、ウ 商品写真の背面には、a2インファント社の販売に係る商品である旨の表示が認められる。 そうすると、たとえ「Ubuy」とa2インファント社との間の取引書類の提出がないとしても、使用商標が付された使用商品は、a2インファント社が市場におくことで流通され、それが流通業者である「Ubuy」によって取り扱われたものといえ、当該ショッピングサイトにおいて使用商標は、使用商品がa2インファント社の販売に係るものであることを表示する機能を発揮しているといえるものである。 したがって、第三者である小売事業者(中間流通業者)である「Ubuy」における販売における使用商標の使用は、「Ubuy」を介したa2インファント社の販売に係る使用商品に関する広告を提供しているというのが相当であるから、a2インファント社による使用商標の使用に該当するものというべきである。 3 請求人の主張について 請求人は、本件商標は語頭が小文字であるが、称呼「エーツーミルク」は「A2 Milk」「A2 ミルク」と同一であるから、需要者は乳中のベータガゼインがA2タイプのミルクのことを指すものと認識しているものと考えられる旨主張している。 しかしながら、上記のとおり、使用商品の円筒形の缶容器の側面には、本件商標と社会通念上同一と認められる「a2 Milk」の文字が表示されており、当該「a2 Milk」の文字自体は、一般の辞書類に載録されている語ではない上、当該文字については、それが本件商標権者の所有する登録商標である旨の表示「(R)」が付されている。 そうすると、上記使用商品に接する者は、その側面に表示されている使用商標について、本件商標権者の所有する登録商標であると看取、把握するといえるから、使用商標がA2タイプのミルクとしてのみ認識され、自他商品等の識別標識としての機能を喪失しているとまではいえない。 したがって、請求人の主張は、採用できない。 4 まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が、その請求に係る指定商品中「乳児用粉ミルク」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしたことを証明したということができる。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-300064

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