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特許拒絶査定不服審判

2023-022224

外科用鉗子

審判番号
2023-022224
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-502885
請求日
2023年12月27日
審決日
2025年03月25日
公報発行日
2025年09月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】アトリキュア, インコーポレイテッド
  • 【請求人代理人】村山 靖彦
  • 【請求人代理人】実広 信哉
  • 【請求人代理人】阿部 達彦
審判長/審判官
  • 審判長 佐々木 正章
  • 審判官 村上 哲
  • 審判官 土田 嘉一
分類
P18 .57 -Z (A61B) / P18 .121-Z (A61B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-502885「外科用鉗子」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 7月16日国際公開、WO2020/146422、令和 4年 5月20日国内公表、特表2022-525823〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2020年(令和 2年) 1月 7日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2019年 7月15日 (US)アメリカ合衆国 2019年 1月25日 (US)アメリカ合衆国 2019年12月13日 (US)アメリカ合衆国 2019年 1月10日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その手続の概要は以下のとおりである。 令和 5年 3月14日付け:拒絶理由通知 令和 5年 5月19日 :意見書及び手続補正書の提出 令和 5年 8月21日付け:拒絶査定 令和 5年12月27日 :審判請求書及び手続補正書の提出 令和 6年 1月 5日 :手続補正書(方式)の提出 令和 6年 6月25日 :上申書の提出 第2 令和 5年12月27日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和 5年12月27日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正 (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線は補正箇所を示す。)。 「【請求項1】 外科用デバイスのためのエンドエフェクタであって、 該エンドエフェクタは、 第1の顎部と、 第2の顎部と、 前記第1の顎部を、前記第1の顎部と前記第2の顎部とが分離され、実質的に非平行である開位置と、前記第1の顎部と前記第2の顎部とが分離され、実質的に平行である中間位置と、前記第1の顎部と前記第2の顎部とが実質的に隣接し、実質的に平行である閉位置と、の間で移動させるように動作可能な関節機構と、 を備え、 前記関節機構は、 前記第1の顎部に連結される第1の顎部取付部であって、前記第1の顎部取付部は経路に沿って移動可能であり、前記経路に沿った前記第1の顎部取付部の移動は、前記第1の顎部取付部および前記第1の顎部の回転および並進を引き起こし、それによって、前記第1の顎部を、前記開位置と前記中間位置と前記閉位置との間で移動させる、第1の顎部取付部と、 枢動可能に取り付けられたクランクであって、前記クランクは第1のアームおよび第2のアームを備え、前記クランクの前記第2のアームは前記第1の顎部取付部にスライド可能におよび枢動可能に連結され、前記クランクは、アクチュエータリンク機構を移動させることが前記クランクを回転させるように、前記アクチュエータリンク機構を前記第1の顎部取付部に動作可能に連結し、前記クランクの回転は前記第1の顎部取付部を前記経路に沿って移動させる、クランクと、 近位端および遠位端を有する接続リンク機構であって、前記接続リンク機構の前記近位端は前記アクチュエータリンク機構の遠位端に枢動可能に連結され、前記接続リンク機構の前記遠位端は前記クランクの前記第1のアームに枢動可能に連結され、前記接続リンク機構の前記近位端は、案内スロットにスライド可能に配置される案内部を備え、前記案内スロットは略線形であり、かつ、前記アクチュエータリンク機構と略一列に配向される、接続リンク機構と、 を備える、エンドエフェクタ。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の、令和 5年 5月19日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 外科用デバイスのためのエンドエフェクタであって、 該エンドエフェクタは、 第1の顎部と、 第2の顎部と、 前記第1の顎部を、前記第1の顎部と前記第2の顎部とが分離され、実質的に非平行である開位置と、前記第1の顎部と前記第2の顎部とが分離され、実質的に平行である中間位置と、前記第1の顎部と前記第2の顎部とが実質的に隣接し、実質的に平行である閉位置と、の間で移動させるように動作可能な関節機構と、 を備え、 前記第1の顎部および前記第2の顎部の各々は、前記エンドエフェクタのヘッドに近接する第1の実質的に真っ直ぐな部分と、第2の実質的に真っ直ぐな部分と、前記ヘッドから遠くの第3の実質的に真っ直ぐな部分と、前記第1の実質的に真っ直ぐな部分と前記第2の実質的に真っ直ぐな部分との間の第1の湾曲した部分と、前記第2の実質的に真っ直ぐな部分と前記第3の実質的に真っ直ぐな部分との間の第2の湾曲した部分と、を備え、 前記関節機構は、 前記第1の顎部に連結される第1の顎部取付部であって、前記第1の顎部取付部は経路に沿って移動可能であり、前記経路に沿った前記第1の顎部取付部の移動は、前記第1の顎部取付部および前記第1の顎部の回転および並進を引き起こし、それによって、前記第1の顎部を、前記開位置と前記中間位置と前記閉位置との間で移動させる、第1の顎部取付部と、 枢動可能に取り付けられたクランクであって、前記クランクは、アクチュエータリンク機構を移動させることが前記クランクを回転させるように、前記アクチュエータリンク機構を前記第1の顎部取付部に動作可能に連結し、前記クランクの回転は前記第1の顎部取付部を前記経路に沿って移動させる、クランクと、 を備える、エンドエフェクタ。」 2 補正の適否 本件補正の、本件補正前の請求項1の「前記第1の顎部および前記第2の顎部の各々は、前記エンドエフェクタのヘッドに近接する第1の実質的に真っ直ぐな部分と、第2の実質的に真っ直ぐな部分と、前記ヘッドから遠くの第3の実質的に真っ直ぐな部分と、前記第1の実質的に真っ直ぐな部分と前記第2の実質的に真っ直ぐな部分との間の第1の湾曲した部分と、前記第2の実質的に真っ直ぐな部分と前記第3の実質的に真っ直ぐな部分との間の第2の湾曲した部分と、を備え」るとの限定を削除する補正は、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するものでない。 また、当該補正が、請求項の削除、誤記の訂正、明瞭でない記載の釈明を目的とする補正のいずれにも該当しないことは、明らかである。 したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項各号のいずれを目的とするものにも該当せず、同法17条の2第5項に規定する要件に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~30に係る発明は、令和 5年 5月19日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~30に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の[理由]1(2)に記載されたとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、以下の理由を含むものである。 理由3:本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 引用文献1:米国特許出願公開第2005/0165429号明細書 引用文献5:米国特許第5618307号明細書(周知技術を示す文献) 3 引用文献の記載事項及び引用発明 (1)引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1には、以下の事項が記載されている。なお、和訳及び下線は当審で付した(以下同様。)。 ア「[0017] FIG. 1 illustrates a side view of a first embodiment of a clamp head for a surgical clamp pursuant to the invention, shown in a fully closed clamping position of the clamp jaws; [0018] FIG. 2 illustrates a side view of the surgical clamp head of FIG. 1 in a partially opened position representing the parallel displacement of the clamp jaws; [0019] FIG. 3 illustrates a side view of the surgical clamp head of FIG. 1 in the fully opened position;」 (和訳)「[0017]図1は、本発明による外科用クランプのクランプヘッドの第1の実施形態の側面図を示し、クランプ顎の完全に閉じたクランプ位置が示されている; [0018]図2は、図1の外科用クランプヘッドの側面図を示し、クランプ顎の平行変位を表す部分的に開いた位置が示されている; [0019]図3は、図1の外科用クランプヘッドの側面図を示し、完全に開いた位置が示されている;」 イ「[0023] FIG. 7 illustrates a side view of further embodiment of the surgical clamp head, shown in the fully opened position thereof; [0024] FIG. 8 illustrates a perspective exploded side view of the surgical clamp head of FIG. 7;」 (和訳)「[0023]図7は、外科用クランプヘッドのさらなる実施形態の側面図を示し、その完全に開いた位置が示されている; [0024]図8は、図7の外科用クランプヘッドの透視分解側面図を示す;」 ウ「[0027] Referring now in more specific detail to the embodiment disclosed in FIGS. 1 to 4, there is illustrated the components of a surgical clamp, such as a surgical clamp head 10 mounting a pair of clamp jaws 12, 14, which is configured for effectuating a parallel clamping motion between the paired jaws 12, 14 of the clamp, as is depicted in FIG. 2, combined with a scissors-type further opening movement, as depicted in FIG. 3, to accommodate hollow body vessels, such as the aorta of a patient or the like.」 (和訳)「[0027]ここで、図1~4に開示された実施形態をより具体的に参照すると、外科用クランプの構成要素、例えば、一対のクランプ顎12及び14を取り付けた外科用クランプヘッド10が図示されており、この外科用クランプヘッド10は、図2に描かれているように、クランプの一対の顎12及び14の間の平行クランプ動作を、図3に描かれているように、患者の大動脈等の中空の体内血管を収容するためのはさみタイプのさらなる開口動作と組み合わせて実施するように構成されている。」 エ「[0028] Jaws 12, 14 are shown in the closed position in FIG. 1, in the intermediate, parallel opened position in FIG. 2, and in the fully open position in FIG. 3.」 (和訳)「[0028]顎12及び14は、図1における閉じた位置、中間の図2における平行に開いた位置、図3における完全に開いた位置、に示されている。」 オ「[0037] In another preferred embodiment, a clamp head 110 shown in FIG. 7 includes upper and lower jaws 12, 14, a plate 113, an L-shaped hinge 116, and an actuating connector 130 attached to hinge 116 via a lower pin 126. Hinge 116 is connected to plate 113 by means of a guide pin 122 and to a plate 112 formed at the proximal end of jaw 12 by means of a pin 114. Hinge 116 is also connected to a plate 120 formed at the proximal end of jaw 14 at a pivot point 118 and via guide pin 122 at an distal end of hinge 116. Guide pin 122 is slidable in a vertical slot 124 formed in plate 120. Vertical slot 124 includes an angled slot 124a, which extends proximally from vertical slot 124. FIG. 8 depicts an exploded view of the components of the clamp illustrated in FIG. 7, omitting plate 113 for clarity. Actuating connector 130 is connected to cable 16, and is arranged within a plate-like housing 132 attached to lower jaw 14. [0038] Upon actuation of cable 16 in direction A, lower pin 126 moves in the same direction. Because hinge 116 is fixed at pivot point 118, movement in the direction of arrow A, causes pin 122 to move vertically within vertical slot 124 and upper and lower jaws 12, 14 move from a closed configuration to an open, parallel configuration. When pin 122 is displaced such that the pin 122 moves into angled slot portion 124a, the distal end of upper jaw 12 pivots outwardly relative to the distal end of jaw 14 in a scissors-type angular motion so as to accommodate a larger hollow body vessel between the jaws 12, 14. Again, as in the previous embodiments, the scissors-type opening or motion between upper and lower jaws 12, 14 is effected in the furthermost opening movement between the jaws, whereas during closing of the jaws, as the pin 122 in the angled portion 124a of the slot 124 moves downwardly into the vertical portion of slot 124, upper jaw 12 assumes a parallel orientation relative to lower jaw 14 and then a parallel closing motion as guide pin 122 moves down vertical slot 124. In this way, jaws 12, 14 clamp in the desired parallel configuration to occlude a body vessel disposed between jaws 12, 14.」 (和訳)「[0037]別の好ましい実施形態において、図7に示されるクランプヘッド110は、上側の顎12及び下側の顎14、プレート113、L字形ヒンジ116、及び下側のピン126を介してヒンジ116に取り付けられた作動コネクタ130を含む。ヒンジ116は、ガイドピン122によってプレート113に接続され、顎12の近位端に形成されたプレート112にピン114によって接続されている。ヒンジ116はまた、ピボット点118において、及び、ヒンジ116の遠位端においてガイドピン122を介して、顎14の近位端に形成されたプレート120に接続されている。ガイドピン122は、プレート120に形成された垂直スロット124内でスライド可能である。垂直スロット124は、垂直スロット124から近位に延びる角度付きスロット124aを含む。図8は、図7に示されたクランプの構成要素の分解図を示しており、明瞭にするためにプレート113は省略されている。作動コネクタ130は、ケーブル16に接続され、下側の顎14に取り付けられたプレート状ハウジング132内に配置されている。 [0038]ケーブル16をA方向に作動させると、下側のピン126も同じ方向に移動する。ヒンジ116はピボット点118で固定されているので、矢印A方向への移動により、ピン122は垂直スロット124内で垂直に移動し、上側の顎12及び下側の顎14は閉じた構成から開いた平行な構成に移動する。ピン122が角度付きスロット部分124a内に移動するように変位されると、上側の顎12の遠位端は、顎12及び14の間により大きな中空の体内血管を収容するように、はさみ式の角度動作で顎14の遠位端に対して外側に枢動する。再び、先の実施形態と同様に、上側の顎12及び下側の顎14の間のはさみ式の開口又は動作は、顎の間の最も離れた開口運動で行われ、一方、顎が閉じる間、スロット124の角度付き部分124a内のピン122がスロット124の垂直部分に下方に移動するにつれて、上側の顎12は、下側の顎14に対して平行な向きをとり、次いで、ガイドピン122が垂直スロット124を下方に移動するにつれて、平行な閉じ動作をする。このようにして、顎12及び14は、顎12及び14の間に配置された体内血管を閉塞するために所望の平行配置でクランプする。」 カ 図1 「 [図:0001426387000001.jpg] 」 キ 図2 「 [図:0001426387000002.jpg] 」 ク 図3 「 [図:0001426387000003.jpg] 」 ケ 図7 「 [図:0001426387000004.jpg] 」 コ 図8 「 [図:0001426387000005.jpg] 」 サ 段落[0023]及び[0038]の記載、図7の図示内容から、上側の顎12及び下側の顎14の間のはさみ式の開口又は動作が、顎の間の最も離れた開口運動で行われ、上側の顎12及び下側の顎14は、完全に開いた位置となる。そして、クランプヘッド110が、完全に開いた位置、開いた平行な構成、閉じた構成、となる際に移動するのは上側の顎12であるから、クランプヘッド110は、上側の顎12を、完全に開いた位置と、開いた平行な構成と、閉じた構成と、の間で移動させる機構を備える。 (2)引用発明 上記(1)を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「クランプヘッド110であって、 該クランプヘッド110は、 上側の顎12及び下側の顎14を含み、 上側の顎12を、完全に開いた位置と、開いた平行な構成と、閉じた構成と、の間で移動させる機構を備え、 前記機構は、 プレート113、L字形ヒンジ116、及び下側のピン126を介してL字形ヒンジ116に取り付けられた作動コネクタ130を含み、 L字形ヒンジ116は、ガイドピン122によってプレート113に接続され、上側の顎12の近位端に形成されたプレート112にピン114によって接続され、 L字形ヒンジ116は、ピボット点118において、及び、L字形ヒンジ116の遠位端においてガイドピン122を介して、下側の顎14の近位端に形成されたプレート120に接続され、 ガイドピン122は、プレート120に形成された垂直スロット124内でスライド可能であり、 垂直スロット124は、垂直スロット124から近位に延びる角度付きスロット124aを含み、 作動コネクタ130は、ケーブル16に接続され、下側の顎14に取り付けられたプレート状ハウジング132内に配置されており、 ケーブル16を矢印A方向に作動させると、下側のピン126も同じ方向に移動し、L字形ヒンジ116はピボット点118で固定されているので、ケーブル16の矢印A方向への移動により、ガイドピン122は垂直スロット124内で垂直に移動し、上側の顎12及び下側の顎14は閉じた構成から開いた平行な構成に移動し、 ガイドピン122が角度付きスロット部分124a内に移動するように変位されると、上側の顎12の遠位端は、はさみ式の角度動作で下側の顎14の遠位端に対して外側に枢動し、上側の顎12及び下側の顎14の間のはさみ式の開口又は動作は、顎の間の最も離れた開口運動で行われ、 顎が閉じる間、スロット124の角度付き部分124a内のガイドピン122がスロット124の垂直部分に下方に移動するにつれて、上側の顎12は、下側の顎14に対して平行な向きをとり、次いで、ガイドピン122が垂直スロット124を下方に移動するにつれて、平行な閉じ動作をする、 クランプヘッド110。」 (3)周知技術を示す文献の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献5には、以下の事項が記載されている。 ア 第19欄第58~61行 「FIG. 34 illustrates a side-biting clamp 304N clamping onto a blood vessel 510 in a manner to restrict but not prevent fluid flow through the blood vessel as suggested by arrow 512.」 (和訳)「図34は、矢印512によって示唆されるように、血管を通る流体の流れを制限するが妨げない方法で血管510にクランプする側方噛み合わせクランプ304Nを示す。」 イ 図34 「 [図:0001426387000006.jpg] 」 4 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)引用発明の「クランプヘッド110」は、その機能及び構造からみて、本願発明の「外科用デバイスのためのエンドエフェクタ」に相当する。 (2)引用発明の「上側の顎12」及び「下側の顎14」は、本願発明の「第1の顎部」及び「第2の顎部」にそれぞれ相当するから、引用発明の「上側の顎12及び下側の顎14を含み」は、本願発明の「第1の顎部と、第2の顎部と、」「を備え」に相当する。 (3)引用発明の「完全に開いた位置」は、図7の図示内容からみて、非平行であるから、本願発明の「前記第1の顎部と前記第2の顎部とが分離され、実質的に非平行である開位置」に相当する。また、引用発明の「開いた平行な構成」及び「閉じた構成」は、本願発明の「前記第1の顎部と前記第2の顎部とが分離され、実質的に平行である中間位置」及び「前記第1の顎部と前記第2の顎部とが実質的に隣接し、実質的に平行である閉位置」にそれぞれ相当する。また、引用発明の「上側の顎12を、」「移動させる機構」は、本願発明の「前記第1の顎部を、」「移動させるように動作可能な関節機構」に相当する。 (4)引用発明の「上側の顎12の近位端に形成されたプレート112」は、ガイドピン122が垂直スロット124内及びスロット124の角度付き部分124a内を移動することに伴い、所定の経路に沿って移動することが明らかであるから、本願発明の「前記第1の顎部に連結される第1の顎部取付部であって、前記第1の顎部取付部は経路に沿って移動可能であ」る「前記第1の顎部取付部」に相当する。 (5)引用発明は、ガイドピン122が垂直スロット124内で垂直に移動することに伴い、プレート112及び上側の顎12は並進するから、引用発明の「ガイドピン122は垂直スロット124内で垂直に移動し、上側の顎12及び下側の顎14は閉じた構成から開いた平行な構成に移動」することは、本願発明の「前記経路に沿った前記第1の顎部取付部の移動は、前記第1の顎部取付部および前記第1の顎部の」「並進を引き起こし、それによって、前記第1の顎部を、」「前記中間位置と前記閉位置との間で移動させる」ことに相当する。 (6)引用発明の「ガイドピン122が角度付きスロット部分124a内に移動するように変位されると、上側の顎12の遠位端は、はさみ式の角度動作で下側の顎14の遠位端に対して外側に枢動し、上側の顎12及び下側の顎14の間のはさみ式の開口又は動作は、顎の間の最も離れた開口運動で行われ」ることは、図7及び8を参照すると、ガイドピン122が角度付きスロット部分124a内に移動するように変位し、上側の顎12の遠位端が枢動する際、プレート112及び上側の顎12が回転することであるから、本願発明の「前記経路に沿った前記第1の顎部取付部の移動は、前記第1の顎部取付部および前記第1の顎部の回転」「を引き起こし、それによって、前記第1の顎部を、」「前記開位置と前記中間位置」「との間で移動させる」ことに相当する。 (7)引用発明の「L字形ヒンジ116」及び「作動コネクタ130」は、その機能及び構成からみて、本願発明の「枢動可能に取り付けられたクランク」及び「アクチュエータリンク機構」にそれぞれ相当する。そして、引用発明の「作動コネクタ130」が「下側のピン126を介してL字形ヒンジ116に取り付けられ」、「矢印A方向に作動」する「ケーブル16に接続され」ており、「L字形ヒンジ116は、ガイドピン122によってプレート113に接続され、上側の顎12の近位端に形成されたプレート112にピン114によって接続され」ることは、作動コネクタ130を移動させることがL字形ヒンジ116を回転させ、L字形ヒンジ116の回転がプレート112を経路に沿って移動させるから、本願発明の「前記クランクは、アクチュエータリンク機構を移動させることが前記クランクを回転させるように、前記アクチュエータリンク機構を前記第1の顎部取付部に動作可能に連結し、前記クランクの回転は前記第1の顎部取付部を前記経路に沿って移動させる」ことに相当する。 したがって、両者は、 「外科用デバイスのためのエンドエフェクタであって、 該エンドエフェクタは、 第1の顎部と、 第2の顎部と、 前記第1の顎部を、前記第1の顎部と前記第2の顎部とが分離され、実質的に非平行である開位置と、前記第1の顎部と前記第2の顎部とが分離され、実質的に平行である中間位置と、前記第1の顎部と前記第2の顎部とが実質的に隣接し、実質的に平行である閉位置と、の間で移動させるように動作可能な関節機構と、 を備え、 前記関節機構は、 前記第1の顎部に連結される第1の顎部取付部であって、前記第1の顎部取付部は経路に沿って移動可能であり、前記経路に沿った前記第1の顎部取付部の移動は、前記第1の顎部取付部および前記第1の顎部の回転および並進を引き起こし、それによって、前記第1の顎部を、前記開位置と前記中間位置と前記閉位置との間で移動させる、第1の顎部取付部と、 枢動可能に取り付けられたクランクであって、前記クランクは、アクチュエータリンク機構を移動させることが前記クランクを回転させるように、前記アクチュエータリンク機構を前記第1の顎部取付部に動作可能に連結し、前記クランクの回転は前記第1の顎部取付部を前記経路に沿って移動させる、クランクと、 を備える、エンドエフェクタ。」 である点で一致し、次の点で相違する。 <相違点1> 本願発明は、「前記第1の顎部および前記第2の顎部の各々は、前記エンドエフェクタのヘッドに近接する第1の実質的に真っ直ぐな部分と、第2の実質的に真っ直ぐな部分と、前記ヘッドから遠くの第3の実質的に真っ直ぐな部分と、前記第1の実質的に真っ直ぐな部分と前記第2の実質的に真っ直ぐな部分との間の第1の湾曲した部分と、前記第2の実質的に真っ直ぐな部分と前記第3の実質的に真っ直ぐな部分との間の第2の湾曲した部分と、を備え」るのに対して、引用発明は、上側の顎12及び下側の顎14がそのような形状でない点。 5 判断 上記相違点について検討する。 <相違点1について> 顎部の各々が、エンドエフェクタのヘッドに近接する第1の実質的に真っ直ぐな部分と、第2の実質的に真っ直ぐな部分と、前記ヘッドから遠くの第3の実質的に真っ直ぐな部分と、前記第1の実質的に真っ直ぐな部分と前記第2の実質的に真っ直ぐな部分との間の第1の湾曲した部分と、前記第2の実質的に真っ直ぐな部分と前記第3の実質的に真っ直ぐな部分との間の第2の湾曲した部分と、を備えることは、引用文献5(上記3(3))に記載されているように周知技術である。 そして、顎部の形状は、エンドエフェクタの適用部位や施術の態様に応じて適宜決定し得るものであるから、引用発明において上記周知技術を適用して、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得ることである。 また、本願発明の効果についてみても、引用文献及び周知技術からみて格別なものということはできない。 したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 6 小括 よって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第4 上申書の補正案について 請求人は、令和 6年 6月25日に提出した上申書において補正案を提示しているから、一応この補正案について検討する。 補正案の請求項1に係る発明(以下「補正案発明」という。)は、本願発明に対して、次の1及び2の事項を付加したものである。 1「前記クランクは第1のアームおよび第2のアームを備え、前記クランクの前記第2のアームは前記第1の顎部取付部にスライド可能におよび枢動可能に連結され」るという事項 2「近位端および遠位端を有する接続リンク機構であって、前記接続リンク機構の前記近位端は前記アクチュエータリンク機構の遠位端に枢動可能に連結され、前記接続リンク機構の前記遠位端は前記クランクの前記第1のアームに枢動可能に連結され、前記接続リンク機構の前記近位端は、案内スロットにスライド可能に配置される案内部を備え、前記案内スロットは略線形であり、かつ、前記アクチュエータリンク機構と略一列に配向される、接続リンク機構と」を備えるという事項 上記1について、引用発明の「L字型ヒンジ116」の作動コネクタ130が取り付けられる側、すなわち、近位側の部分は、補正案発明の「第1のアーム」に相当し、同じく「L字型ヒンジ116」の遠位側の部分は、補正案発明の「第2のアーム」に相当する。 また、引用発明のプレート122は、L字形ヒンジ116がピボット点118を中心に回転すると、下側の顎14に対して並進及び回転する。このような運動を伝達する際、部材間をスライド可能及び枢動可能に連結することは周知技術であるから、L字形ヒンジ116の遠位側の部分とプレート122をスライド可能及び枢動可能に連結することは、当業者が容易になし得ることである。 上記2について、スライド動作を回転動作に変換する機構として、スライド部材と回転部材の間にリンクを備える機構は周知技術である(例えば、特開2005-319164号公報の段落【0011】及び図3の「スライド部材19」、「リンク板16」及び「腕部15」等参照。)。 引用発明に当該周知技術を適用して、作動コネクタ130とL字形ヒンジ116の間にリンクを備える、すなわち、リンクの近位端が作動コネクタ130に枢動可能に連結され、リンクの遠位端がL字形ヒンジ116に枢動可能に連結される構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。また、略線形の案内スロットと案内部によりスライド動作を案内することも周知技術である。 したがって、補正案発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第5 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-022224

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