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特許拒絶査定不服審判

2023-021544

コーティング層を含む導電性多層膜

審判番号
2023-021544
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-557300
請求日
2023年12月19日
審決日
2024年09月09日
公報発行日
2024年10月25日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】カナトゥ オイ
  • 【請求人代理人】正林 真之
  • 【請求人代理人】林 一好
審判長/審判官
  • 審判長 山澤 宏
  • 審判官 篠塚 隆
  • 審判官 北元 健太
分類
P18 .121-WY (G06F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2020-557300「コーティング層を含む導電性多層膜」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年11月14日国際公開、WO2019/215386、令和 3年 9月 2日国内公表、特表2021-523433、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2019年(令和元年)5月3日を国際出願日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2018年(平成30年)5月9日 フィンランド)とする出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。 令和 2年11月30日 :特許協力条約第34条補正の翻訳文提 出書の提出 令和 5年 4月25日付け:拒絶理由通知書 令和 5年 7月 4日 :意見書、手続補正書の提出 令和 5年 8月14日付け:拒絶査定 令和 5年12月19日 :審判請求書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和5年8月14日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願請求項1-15に係る発明は、以下の引用文献1-3に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.米国特許出願公開第2015/0014023号明細書 2.特表2013-521554号公報 3.特表2009-505358号公報 第3 本願発明 本願請求項1-15に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明15」という。)は、令和5年7月4日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-15に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-15は以下のとおりである。 「 【請求項1】 非導電性ベース層(2)と、前記非導電性ベース層上に提供された透明導電材料を含む透明層(3)とを含む導電性多層膜(1)であって、 前記透明導電材料を含む透明層は、前記透明導電材料を含む透明層(3)上に、コーティング層(5)を形成する透明誘電材料によって少なくとも部分的に覆われ、 前記透明導電材料を含む透明層(3)が前記コーティング層(5)と前記非導電性ベース層(2)との間に位置するようになり、 前記透明導電材料が、導電性高アスペクト比分子構造(HARMS)ネットワークを含み、またはそれからなり、 前記導電性HARMSネットワークは、カーボンナノ構造を含み、 前記透明誘電材料はポリマーを含むか、それからなり、 前記ポリマーは、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、モノマーの1つが塩化ビニリデンであるコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択され、 前記コーティング層の厚さは、前記コーティング層(5)を介する前記透明導電材料を含む透明層(3)の処理を可能にするために、10~400nmである、導電性多層膜。 【請求項2】 前記コーティング層の厚さが、30~400nm、または50~300nm、または60~200nm、または70~150nmである、請求項1に記載の導電性多層膜。 【請求項3】 前記透明導電材料は、前記透明導電材料の少なくとも一部が露出するように、前記透明誘電材料に部分的に埋め込まれる、請求項1または2に記載の導電性多層膜。 【請求項4】 前記透明誘電材料が、溶媒、光吸収添加剤、ドーパント、接着促進剤、硬化剤、またはそれらの任意の組合せをさらに含む、請求項1に記載の導電性多層膜。 【請求項5】 前記非導電性ベース層(2)が、ポリマーまたはガラスを含むか、またはそれらからなる、請求項1~4のいずれか一項に記載の導電性多層膜。 【請求項6】 前記導電性多層膜(1)は、透明プライマー層(4)を含み、前記透明プライマー層は、前記非導電性ベース層(2)と、前記透明導電材料を含む透明層(3)との間に位置し、前記透明導電材料を含む透明層と直接接触する、請求項1~5のいずれか一項に記載の導電性多層膜。 【請求項7】 前記透明プライマー層(4)が、ポリマーを含むか、またはそれからなる組成物から形成され、前記ポリマーは、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、モノマーの1つが塩化ビニリデンであるコポリマー、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項6に記載の導電性多層膜。 【請求項8】 前記透明プライマー層(4)の厚さが、少なくとも50nm、または50~2000nm、または50~1000nm、または150~500nmである、請求項6または7に記載の導電性多層膜。 【請求項9】 前記導電性多層膜(1)が成形可能、可撓性、折り畳み可能、および/または伸縮可能である、または前記導電性多層膜が成形可能および/または伸縮可能である、または前記導電性多層膜が成形可能である、請求項1~8のいずれか一項に記載の導電性多層膜。 【請求項10】 ・非導電性ベース層(2)を提供するステップと、 ・前記非導電性ベース層(2)上に透明導電材料を含む透明層(3)を提供するステップであって、前記透明導電材料は、導電性高アスペクト比分子構造(HARMS)ネットワークを含み、またはそれからなり、前記導電性HARMSネットワークは、カーボンナノ構造を含む、ステップと、 ・前記透明導電材料を含む透明層を透明誘電材料で少なくとも部分的に覆うステップであって、前記透明導電材料を含む透明層上にコーティング層(5)を形成して、前記透明導電材料を含む透明層が、前記コーティング層(5)と前記非導電性ベース層(2)との間に存在するようにして、前記透明誘電材料がポリマーを含むか、またはそれからなり、前記ポリマーが、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、モノマーの1つが塩化ビニリデンであるコポリマー、ポリメタクリレート(PMMA)、および、それらの任意の組合せからなる群から選択され、前記コーティング層の厚さは、前記コーティング層(5)を介して 前記透明導電材料を含む透明層(3)の処理を可能にするために、10~400nmである、ステップと、 を含む、導電性多層膜(1)の製造方法。 【請求項11】 前記透明導電材料を含む透明層(3)を前記透明誘電材料で少なくとも部分的に覆うステップが、以下の処理、すなわち、スロットダイコーティング、メニスカスコーティング、ローラーコーティング、スクリーン印刷、グラビアコーティング、フレキソコーティング、オフセットコーティング、ナイフコーティング、キスコーティング、ロッドコーティング、ブレードコーティング、物理蒸着のうちの少なくとも1つを使用することによって実施される、請求項10に記載の方法。 【請求項12】 請求項1~9のいずれか一項に記載の導電性多層膜(1)において、前記透明導電材料を含む透明層(3)を保護するため、前記透明導電材料を含む透明層の前記非導電性ベース層への接着性を改善するため、前記導電性多層膜の電気的性能を改善するため、および/または前記導電性多層膜の機械的および/または環境的安定性を強化するための、10~600nmの厚さを有するコーティング層(5)としての透明誘電材料の使用。 【請求項13】 請求項1~9のいずれか一項に記載の導電性多層膜を備える、タッチ感知装置。 【請求項14】 タッチセンサ、光起電システム、加熱用途、電流導体、表示システム、表示電極、照明システム、光スイッチ、または光制御膜における、請求項1~9のいずれか一項に記載の導電性多層膜(1)の使用。 【請求項15】 光起電システム、加熱用途、電流導体、表示システム、表示電極、照明システム、光スイッチ、または光制御膜における、請求項13に記載のタッチ感知装置の使用。」 第4 引用文献、引用発明 1 引用文献1、引用発明 (1)引用文献1 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。 ア 「[0040] As shown in FIG. 1, a conductive film 10 may include a base member 20, a first hard coating layer 32 formed on a first surface of the base member 20 (i.e., an upper surface in the drawing), and a conductive layer 40 formed on the first hard coating layer 32. The conductive layer 40 may include a plurality of conductors 42 made of a nano-material having a network structure. The conductive film 10 may further include a second hard coating layer 34 formed on a surface of the base member 20 (i.e., a lower surface in the drawing), a primer layer 22 formed between the base member 20 and the first hard coating layer 22, and an over-coating layer 50 formed on the conductive layer 40. [0041] The base member 20 may be a film, sheet, substrate and/or the like that is composed of a material for maintaining mechanical strength of the conductive film 10 and having transmittance. The base member 20 may include at least one of polyethylene, polypropylene, polyethylene terephthalate, polyethylene-2,6-naphthalate, polypropylene terephthalate, polyimide, polyamideimide, polyethersulfone, polyetheretherketone, polycarbonate, polyarylate, cellulose propionate, polyvinyl chloride, polyvinylidene chloride, polyvinylalcohol, polyetherimide, polyphenylene sulfide, polyphenylene oxide, polystyrene and/or the like. For example, the base member 20 may include polyethylene terephthalate, although embodiments are not limited thereto. The base member 20 may include a variety of materials, in addition to the material described above.」 (当審訳) 「[0040] 図1に示すように、導電性フィルム10は、ベース部材20と、ベース部材20の第1の表面(すなわち、図面における上面)上に形成された第1のハードコーティング層32と、第1のハードコーティング層32上に形成された導電層40とを含むことができる。導電層40は、ネットワーク構造を有するナノ材料からなる複数の導体42を含んでもよい。導電性フィルム10は、ベース部材20の表面(すなわち、図面における下面)上に形成された第2ハードコーティング層34と、ベース部材20と第1ハードコーティング層22(当審注:「32」の誤記と認められる。)との間に形成されたプライマー層22と、導電層40上に形成されたオーバーコーティング層50とをさらに含んでもよい。 [0041] ベース部材20は、導電性フィルム10の機械的強度を維持するための材料で構成され、透過性を有するフィルム、シート、基材等であってもよい。ベース部材20は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、セルロースプロピオネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリスチレンおよび/またはこれらのうちの少なくとも1つを含むことができる。例えば、ベース部材20は、ポリエチレンテレフタレートを含んでもよいが、実施形態はこれに限定されない。ベース部材20は、上述の材料に加えて、様々な材料を含んでもよい。」 イ 「[0047] The conductive layer 40 formed on the primer layer 22 may be provided with the conductors 42 having conductivity. The conductors 42 may be a nano-material including a metal and constituting the network structure (or a mesh structure, cobweb structure). That is, the conductors 42 of nano-material (for example, nanowires) are tangled to each other so that the conductors 42 have the contact points between the conductors 42 adjacent to each other. Then, the conductors 42 are in contact with each other only at the contact points of the plurality of conductors 42. Thus, the plurality of conductors 42 has a structure such as the network structure, the mesh structure, or the cobweb structure. The electricity can efficiently flow between the plurality of conductors 42 via the contact points of the plurality of conductors 42. For example, the conductors 42 (included in the conductive layer 40) may be nanowires. The nanowires may be produced in the form of a wire through anisotropic growth. As used hereinafter, the term conductive layer 40 may refer to a layer having a uniform thickness or a layer having voids between the conductors 42 forming a network structure. The conductive layer 40 may be provided by applying a mixture of a nano-material and an extremely small amount of solvent, binder and/or the like. As a result, a residual portion 44 formed by residues of the solvent, the binder and/or the like may be formed to have a relatively small first thickness T1, and the conductors 42 may extend to outside of the residual portion 44 and may be formed to have a relatively larger second thickness T2. [0048] The conductive layer 40 (including the nanowires as the conductors 42) may be formed by wet-coating, which may entail a lower production cost than a deposition method and may have a considerably low metal concentration (e.g., 1% or less). Accordingly, costs for formation of the conductive layer 40 may be reduced and production efficiency may thus be improved. Additionally, the conductive layer 40 may have the property of transmitting light and may thus be applied to various electronic devices requiring materials having light transmittance and conductivity. The nanowires may be silver (Ag) nanowires, copper (Cu) nanowires, platinum (Pt) nanowires and/or the like.」 (当審訳) 「[0047] プライマー層22上に形成された導電層40には、導電性を有する導体42を設けることができる。導体42は、金属を含むナノ材料であって、ネットワーク構造(又はメッシュ構造、クモの巣構造)を構成するものであってもよい。すなわち、ナノ材料(例えば、ナノワイヤ)の導体42は、導体42同士の接点が互いに隣接するように、互いに当接されている。そして、導体42は、複数の導体42の接触点でのみ互いに接触している。したがって、複数の導体42は、ネットワーク構造、メッシュ構造、クモの巣構造などの構造を有する。複数の導体42の接点を介して、複数の導体42の間を効率よく電気を流すことができる。例えば、(導電層40に含まれる)導体42はナノワイヤであってもよい。ナノワイヤは、異方性成長によってワイヤの形態で製造されてもよい。以下で使用されるように、導電層40という用語は、均一な厚さを有する層、またはネットワーク構造を形成する導体42間に空隙を有する層を指す場合がある。導電層40は、ナノ材料と極めて少量の溶媒、バインダー等との混合物を塗布することにより設けることができる。その結果、溶媒、バインダー等の残留物によって形成される残留部44は、比較的小さな第1の厚さT1を有するように形成されることがあり、導電層40は、第1の厚さT1を有するように形成されることがある。 [0048] 導電層40(導体42としてのナノワイヤを含む)は、ウェットコーティングによって形成することができ、このウェットコーティングは、蒸着法よりも低い製造コストを伴う可能性があり、かなり低い金属濃度(例えば、1%以下)を有する可能性がある。従って、導電層40の形成コストが低減され、生産効率が向上する可能性がある。さらに、導電層40は光を透過する性質を有するため、光透過性及び導電性を有する材料を必要とする各種電子デバイスに適用することができる。ナノワイヤとしては、銀(Ag)ナノワイヤ、銅(Cu)ナノワイヤ、白金(Pt)ナノワイヤ等を挙げることができる。」 ウ 「[0051] As described above, the silver nanowires may have, for example, a radius of 10 to 60 nm and a long axis length of 10 to 200 μm. Within this range, the silver nanowires have a high aspect ratio (e.g. 1:300~1:20000), thus well forming a network structure and effectively shielding the conductive layer 40. However, the radius, the long axis and the aspect ratio of nanowires may change, and embodiments are not limited thereto.」 (当審訳) 「[0051] 上述のように、銀ナノワイヤは、例えば、10~60nmの半径及び10~200μmの長軸長さを有することができる。この範囲内で、銀ナノワイヤは高いアスペクト比(例えば、1:300~1:20000)を有し、したがって、ネットワーク構造を良好に形成し、導電層40を効果的に遮蔽する。ただし、ナノワイヤの半径、長軸およびアスペクト比は変更可能であり、実施形態はこれに限定されない。」 エ 「[0053] The over-coating layer 50 provided on (or over) the primer layer 22 and the conductive layer 40 may physically protect the conductive film 10. The over-coating layer 50 may entirely cover the conductors 42 extending or protruding to outside of the residual portion 44 to prevent oxidation of the conductors 42. That is, a portion of the over-coating layer 50 may be impregnated in a void between the conductors 42 and may fill the void between the conductors 42 while another portion of the over-coating layer 50 may be formed on the conductors 42. [0054] The over-coating layer 50 may be formed of a resin. For example, the over-coating layer 50 may be formed of an acrylic resin, although embodiments are not limited thereto, and the over-coating layer 50 may include other materials. [0055] For example, a thickness of the over-coating layer 50 may be 50 nm to 200 nm. When the thickness of the over-coating layer 50 is less than 50 nm, an effect of preventing oxidization of the conductors 42 may be insufficient. When the thickness of the over-coating layer 50 exceeds 200 nm, the cost of materials increases and contact resistance increases, although embodiments are not limited thereto and the thickness of the over-coating layer 50 may change.」 (当審訳) 「[0053] プライマー層22および導電層40上に(またはそれより上に)設けられたオーバーコーティング層50は、導電性フィルム10を物理的に保護することができる。オーバーコーティング層50は、導体42の酸化を防止するために、残留部44の外側に延びる又は突出する導体42を完全に覆ってもよい。すなわち、オーバーコーティング層50の一部が導体42間の空隙に含浸して導体42間の空隙を埋める一方、オーバーコーティング層50の別の一部が導体42上に形成されていてもよい。 [0054] オーバーコーティング層50は樹脂で形成してもよい。例えば、オーバーコーティング層50はアクリル樹脂で形成されてもよいが、実施形態はこれに限定されず、オーバーコーティング層50は他の材料を含んでもよい。 [0055] 例えば、オーバーコーティング層50の厚さは、50nm~200nmとすることができる。オーバーコーティング層50の厚さが50nm未満であると、導体42の酸化を防止する効果が不十分となる場合がある。また、オーバーコーティング層50の厚さが200nmを超えると、材料コストが高くなり、接触抵抗が高くなるが、実施形態はこれに限定されず、オーバーコーティング層50の厚さを変更してもよい。」 オ 「[0058] The first hard coating layer 32 may be provided between the base member 20 and the conductive layer 40, and more specifically may be provided between the primer layer 22 and the conductive layer 40. As described above, because the conductors 42 are formed of a nano-material having a network structure, the conductive film 10 (or a structure forming the same) may be readily damaged by exterior force during operation for coating. That is, in the conductive film 10, because even small applied exterior force affects properties of contact between the nano-materials (e.g. nanowires) forming the network structure, electrical conductivity of the conductive layer 40 may be changed. Accordingly, an overall hardness of the conductive film 10 may be improved by providing the first hard coating layer 32 having a relatively high hardness (i.e., having a hardness higher than the primer layer 22, the conductive layer 40 and the over-coating layer 50) between the base member 20 and the conductive layer 40. As a result, although exterior force is applied to the conductive film 10, excellent contact between the conductors 42 in the conductive layer 40 may be maintained.」 (当審訳) 「[0058] 第1ハードコーティング層32は、ベース部材20と導電層40との間に設けてもよく、より具体的には、プライマー層22と導電層40との間に設けてもよい。上述したように、導体42は網目構造を有するナノ材料で形成されているため、導電性フィルム10(またはそれを形成する構造体)は、塗工のための操作時に外力によって容易に破損する可能性がある。すなわち、導電性フィルム10では、小さな外力であっても、ネットワーク構造を形成するナノ材料(例えばナノワイヤー)同士の接触特性に影響を与えるため、導電層40の導電性が変化することがある。したがって、ベース部材20と導電層40との間に比較的高い硬度を有する(すなわち、プライマー層22、導電層40およびオーバーコーティング層50よりも高い硬度を有する)第1ハードコーティング層32を設けることにより、導電性フィルム10の全体的な硬度を向上させることができる。その結果、導電性フィルム10に外力が加えられても、導電層40における導体42同士の優れた接触が維持され得る。」 カ 「 [図:0001415087000001.jpg] 」 (2)引用発明 上記(1)から引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「導電性フィルム10は、ベース部材20と、ベース部材20の表面上に形成された第1のハードコーティング層32と、第1のハードコーティング層32上に形成された導電層40とを含み、 導電性フィルム10は、ベース部材20と第1ハードコーティング層32との間に形成されたプライマー層22をさらに含んでもよく、 ベース部材20は、ポリエチレンテレフタレートを含んでもよく、 プライマー層22上に形成された導電層40には、導電性を有する導体42を設けることができ、 導体42は、金属を含むナノ材料であって、ネットワーク構造を構成するものであってもよく、 導電層40は光を透過する性質を有し、 ナノワイヤとしては、銀(Ag)ナノワイヤを挙げることができ、 銀ナノワイヤは高いアスペクト比を有し、 導電層40上に設けられたオーバーコーティング層50は、導電性フィルム10を物理的に保護することができ、 オーバーコーティング層50はアクリル樹脂で形成されてもよく、 オーバーコーティング層50の厚さは、50nm~200nmとすることができ、 導電性フィルム10では、小さな外力であっても、ネットワーク構造を形成するナノ材料(例えばナノワイヤー)同士の接触特性に影響を与えるため、導電層40の導電性が変化することがあるが、ベース部材20と導電層40との間に比較的高い硬度を有する第1ハードコーティング層32を設けることにより、導電性フィルム10の全体的な硬度を向上させることができ、その結果、導電性フィルム10に外力が加えられても、導電層40における導体42同士の優れた接触が維持され得る、導電性フィルム10。」 2 引用文献2 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、次の事項が記載されている。 ア 「【0002】 異なる種類の電子機器のためのユーザーインターフェースは、今日、従来の機械的なボタンに代わる接触検知膜に基づく異なる種類の接触検知装置により、より頻繁に実現されている。例えば、携帯電話、携帯型コンピュータ及び同様の装置のような異なる種類のタッチパッド及びタッチスクリーンは、これらの例としてよく知られている。高機能かつ豪華でさえあるユーザーエクスペリエンスを実現可能であることに加えて、接触検知膜に基づく接触検知装置は、より多様な、小さく、安く、軽く、及び視覚的に魅力的な機能を継続的に探索しようとしている設計者に優れた自由度を提供する。 【0003】 このような接触検知装置におけるキーとなる要素は、一又はそれ以上の検知電極をとして機能するように構成される一又はそれ以上の導電層を含む接触検知膜である。この種の膜の一般的な動作原理は、例えば、指先又はいくつかの特定のポインター装置によるユーザーの接触を、接触検知膜が接続される電気測定回路の電気的な特性に変化させることである。実際の測定原理は、例えば、抵抗式又は容量式であってもよく、後者は、今日では、多くの要求される用途において最良のパフォーマンスを提供する最も先進的な代替手段と通常考えられている。 【0004】 容量式接触検知は、接触検知膜への接触が、電気的な観点から、外部キャパシタンスを、接触検知膜が接続される測定回路に結合することを意味する原理に基づく。接触検知膜の十分に高い感度により、接触膜に直接接触することは必要でないが、容量結合は、適切なポインターを接触膜の近傍にもたらすだけにより達成されうる。容量結合は、測定回路の信号において検出される。 【0005】 従来、静電容量式の接触検知膜は、二つの層構造として構成されている。通常、二つの各導電層は、別の平行な線又は他の形状の検知電極にパターンニングされる。線状又は細長い検知電極の場合は特に、二つの層の電極は、多くの場合、互いに対して直交して配置される。駆動信号は、他の層に容量結合される信号がこの層の検知電極を介して測定される間、一つの層の検知電極に供給される。動作の観点から、信号を供給し、容量結合を検知するために用いられる電極は、頻繁に、それぞれ、駆動電極及び検知電極と呼ばれる。接触は、二つの層の電極間での容量結合を変化させ、この変化は、接触の領域上又はその近傍にある電極間で最も大きい。通常、測定回路は、順次各供給/測定電極対が測定されるように、検知領域において迅速にスキャンするように配置される。 【0006】 近年、いくつかの単層容量結合接触センサー構成も提案されている。単層構成では、接触は、一つの導電層内及び/又はこの層と大気との間での信号の電気的な結合を変化させる。単層アプローチの一例は、US7477242B2に開示される。当該文献に開示される装置のキーとなる特徴は、タッチスクリーンの静電容量式の接触検知膜に従来から用いられる導電性酸化物の代わりに、導電層の材料としての導電性ポリマーを使用することである。 【0007】 既知の接触検知膜で共通なことは、接触の位置を適切に判定することが、導電層において多数の別の接触検知電極を必要とすることである。つまり、導電層は、別の検知電極の網にパターンニングされる。より正確な分解能が所望されるより複雑な検知電極構成が必要となる。一つの特に困難な問題は、複数の同時接触の検出であり、その一方で、これは、頻繁に接触検知装置の最も望まれる特性の一つである。複雑な検知電極構成及び多数の単一検知伝九曲素子は、製造工程と共に、接触検知装置の測定電子機器を複雑にする。 【0008】 タッチスクリーンにおいて、接触検知性能に加えて、接触検知膜は、電子機器のディスプレイの上部の膜での使用を可能にするため、つまり、装置のディスプレイを、接触検知膜を通じて見られるようにするために光学的に透明でなければならない。また、透明性は、接触検知膜の可視性の観点からも非常に重要である。LCD(Liquid Crystal Display),OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ又はe-paper(electronic paper)ディスプレイのユーザーへの接触検知膜の可視性は、ユーザー体験を深刻に悪化させる。今まで、ITO(インジウム スズ酸化物)等の透明導電酸化物は、接触検知膜における導電層材料の最も多いグループを形成する。しかし、可視性の観点から、それらは、理想的な解決とは程遠い。ITO等の高い屈折率は、パターンニングされた検知電極を可視化する。検知電極パターンニングとして強調される問題は、より複雑である。 【0009】 接触検知膜における一つの有望な新たなアプローチが、網状ナノ構造を形成する又は含む層で発見された。適切な導電率性能に加えて、カーボンナノチューブ(CNT)、又はチューブ状炭素分子(NANOBUDはCanatu Oyの登録商標)の側面に共有結合されたフラーレン又はフラーレン状分子を有するカーボンナノバッズ(NANOBUDs)の網からなる層は、ITO等の透明導電性酸化物等よりも人間の目に明確に視認しやすくない。その上、既知のように、ナノ構造ベースの層は、ITO等と比べて、優れた柔軟性、機械強度及び耐久性を保有しうる。 【0010】 一つのナノ構造ベースの解決策は、US2009/0085894A1に報告されている。その記載によると、ナノ構造は、例えば、異なる種類のナノチューブ、グラフェンフレーク又はナノワイヤでありうる。膜のドーピングは、その電気伝導率を増加する手段として記述されている。相互キャパシタンス及び単層自己キャパシタンスに基づく二層構成の両方のアプローチが説明されている。複数接触検出は、開示された膜により可能であると述べられている。しかし、この文献は、また、非常に複雑な電極及び測定回路構成の共通の問題を含んでいる。 【0011】 ナノ構造網に基づく他のタッチスクリーンの解決策は、US2008/0048996A1に開示される。この文献は、主に、抵抗測定原理による接触検知膜におけるナノ構造網の層について説明している。パターンニングされない導電層を有する容量性の単層だと思われるアプローチが、簡潔に説明され、図示されているが、事実上、実際にはその実現についての現実的な説明がない希望的な対象の原理と同じである。 【0012】 まとめると、市場では、接触検知膜及び接触検知装置をさらに促進するための未だ強い要求があり、簡素な検知電極構成及びマルチタッチ性能を有する単層容量性動作原理を可能にすることが好ましい。 【0013】 また、市場では、様々な手法で接触検知膜に接続する各種のポインター又は他の物体の検出を可能にする多様な特性を有する接触検知膜及び接触検知装置を提供することが求められている。例えば、接触検知膜及び接触検知装置が、接触検知膜が容量的に結合する物体を検出することに用いられうるだけでなく、例えば、接触検知膜に誘導的に結合する物体を検出することに用いられてもよい場合に、有利である。」 イ 「【0031】 導電層は、上記で規定されたシート抵抗範囲の一つの範囲内で抵抗率を有する任意の材料で形成される。取り得る材料の群は、例えば、異なる導電性ポリマー及び金属酸化物により形成される。一方、一つの好ましい実施形態では、導電層は、高アスペクト比分子構造(HARMS)網を含む。本明細書でのHARM又はHARM構造とは、ナノスケールの次元、つまり、約100ナノメーター以下の次元で特性を有する電気伝導構造をいう。これらの構造の例は、カーボンナノチューブ(CNTs)、カーボンナノバッズ(CNBs)、金属ナノワイヤ及びカーボンナノリボンを含む。HARM構造において、例えば、CNTsのような多数のこれらの種類の単一構造は、互いに内部接続される。すなわち、ナノメータスケールでは、HARMS構造は、例えば、導電性ポリマー又はITOのように完全に連続した材料を形成しないが、電気的に内部接続された分子の網を形成する。しかし、巨視的なスケールで考えると、HARMS構造は、ソリッドな、モノリシックな材料を形成する。本質的な特徴として、HARMS構造は、薄い層の形態で製造されうる。」 3 引用文献3 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア 「【0002】 関連技術の説明 透明導電体は、高透過率の絶縁表面または基板上に被覆される導電性薄膜を言及する。透明導電体は、表面伝導率を有する一方で、合理的な光透過性を保持するように製造されてもよい。そのような表面導電性の透明導電体は、平面液晶ディスプレー、タッチパネル、エレクトロルミネセント素子、および薄膜光電池において透明電極として、帯電防止層として、ならびに電磁波遮へい層として広く使用される。」 イ 「【0074】 特定の実施形態において、多層透明導電体は、導電層上に保護膜をさらに備えてもよい(例えば、層22)。保護膜は、一般的に柔軟性を有し、柔軟性を有する基板と同一材料から形成可能である。保護膜の例として、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、アクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、トリアセテート(TAC)、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、金属イオン-架橋エチレン-メタクリル酸共重合体、ポリウレタン、セロファン、ポリオレフィン、または同様なものが挙げられるがそれだけに限定されず、具体的には、その高力のため、PET、PC、PMMA、またはTACが好ましい。」 ウ 【図11】「 [図:0001415087000002.jpg] 」 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア 引用発明の「ベース部材20は、ポリエチレンテレフタレートを含んでもよ」いから、引用発明の「ベース部材20」は、本願発明1の「非導電性ベース層(2)」に相当する。 イ 引用発明では、「導電性フィルム10は、ベース部材20の表面上に形成された第1のハードコーティング層32と、第1のハードコーティング層32上に形成された導電層40とを含み、」「導電層40は光を透過する性質を有」するから、「第1のハードコーティング層32」が介在されるものの、引用発明の「導電層40」は、本願発明1の「透明導電材料を含む透明層(3)」と、「前記非導電性ベース層上に提供された透明導電材料を含む透明層(3)」の点で共通する。 ウ 引用発明の「導電性フィルム10」は、上記イを踏まえれば、「導電性多層膜(1)」といえる。 エ 引用発明では、「オーバーコーティング層50はアクリル樹脂で形成されてもよ」いから、当該オーバーコーティング層50は、透明誘電材料であることは明らかである。そして、引用発明では、「導電層40上に設けられたオーバーコーティング層50は、導電性フィルム10を物理的に保護することができ」るから、「前記透明導電材料を含む透明層は、前記透明導電材料を含む透明層(3)上に、コーティング層(5)を形成する透明誘電材料によって少なくとも部分的に覆われ」ているといえる。 オ 上記イ、エを踏まえれば、引用発明の「導電層40」が「オーバーコーティング層50」と「ベース基材20」との間に位置することは明らかである。 カ 引用発明では、「導体42は、金属を含むナノ材料であって、ネットワーク構造を構成するものであってもよく、導電層40は光を透過する性質を有し、ナノワイヤとしては、銀(Ag)ナノワイヤを挙げることができ、銀ナノワイヤは高いアスペクト比を有」するから、引用発明の「導体42」は、本願発明1の「透明導電材料」と、「透明導電材料が、導電性高アスペクト比分子構造(HARMS)ネットワークを含み、またはそれからなり、前記導電性HARMSネットワークは、ナノ構造を含」む点で共通する。 キ 上記エを踏まえれば、引用発明の「オーバーコーティング層50」は、「ポリマーを含むか、それからな」ることは明らかである。 ク 引用発明では、「オーバーコーティング層50の厚さは、50nm~200nmとすることができ」るから、本願発明1の「前記コーティング層の厚さは、前記コーティング層(5)を介する前記透明導電材料を含む透明層(3)の処理を可能にするために、10~400nmである」ことと、「前記コーティング層(5)の厚さは、10~400nmである」点で共通する。 したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「非導電性ベース層(2)と、前記非導電性ベース層上に提供された透明導電材料を含む透明層(3)とを含む導電性多層膜(1)であって、 前記透明導電材料を含む透明層は、前記透明導電材料を含む透明層(3)上に、コーティング層(5)を形成する透明誘電材料によって少なくとも部分的に覆われ、 前記透明導電材料を含む透明層(3)が前記コーティング層(5)と前記非導電性ベース層(2)との間に位置するようになり、 前記透明導電材料が、導電性高アスペクト比分子構造(HARMS)ネットワークを含み、またはそれからなり、 前記導電性HARMSネットワークは、カーボンナノ構造を含み、 前記透明誘電材料はポリマーを含むか、それからなり、 前記ポリマーは、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、モノマーの1つが塩化ビニリデンであるコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択され、 前記コーティング層の厚さは、前記コーティング層(5)を介する前記透明導電材料を含む透明層(3)の処理を可能にするために、10~400nmである、導電性多層膜。」 (相違点1) 本願発明1の導電性HARMSネットワークは、カーボンナノ構造を含むのに対し、引用発明の導電性HARMSネットワークは、銀(Ag)ナノワイヤを含む点。 (相違点2) 本願発明1におけるコーティング層(5)を形成する透明誘電材料は、「ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、モノマーの1つが塩化ビニリデンであるコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択され」るのに対し、引用発明は、アクリル樹脂で形成される点。 (相違点3) 本願発明1のコーティング層(5)は、透明導電材料を含む透明層(3)の処理を可能にするのに対し、引用発明では、このような構成について特定されていない点。 (2)相違点についての判断 事例に鑑みて、上記相違点1について、先に検討する。 引用文献2の【0031】には、導電層は、高アスペクト比分子構造(HARMS)網を含み、カーボンナノバッズ(CNBs)を含み、巨視的なスケールで考えると、HARMS構造は、ソリッドな、モノリシックな材料を形成するとする技術的事項が記載されている。 一方、引用発明においては、「導電性フィルム10では、小さな外力であっても、ネットワーク構造を形成するナノ材料(例えばナノワイヤー)同士の接触特性に影響を与えるため、導電層40の導電性が変化することがあるが、ベース部材20と導電層40との間に比較的高い硬度を有する第1ハードコーティング層32を設けることにより、導電性フィルム10の全体的な硬度を向上させることができ、その結果、導電性フィルム10に外力が加えられても、導電層40における導体42同士の優れた接触が維持され得る」。 すなわち、引用発明のネットワーク構造を形成する銀(Ag)ナノワイヤー自体は、外力によって導電性が変化するナノワイヤーであるが、ベース部材20と導電層40との間に比較的高い硬度を有する第1ハードコーティング層32を設け、導電性フィルム10の全体的な硬度を向上することによって、外力によって導電性が変化するのを防止しているといえるから、引用発明において、外力によって導電性が変化するナノワイヤーとともに設けられるハードコーティング層32は、必須の構成といえる。 そうすると、引用発明は、銀(Ag)ナノワイヤーの導電性が、外力により変化し得るとしても、ハードコーティング層32によって導電性フィルム全体の硬度の向上が図られているから、引用発明のネットワーク構造における銀(Ag)ナノワイヤーに代えて、それ自体ソリッドでモノリシックな材料であるカーボンナノバッズ(CNBs)を採用する動機は存在しないというべきである。 また、本願明細書の【0002】、【0049】、【0069】、【0092】及び【0097】の記載から、本願発明1が解決しようとする課題は、長期使用においても、電気的特性(抵抗値)、光学的特性(透明性)、および機械的特性(堅牢性)が、いずれも良好な透明導電性多層膜を提供することであると認められるが、このような課題を解決するために、透明導電性多層膜にカーボンナノ構造を含む導電性HARMSネットワークを設けることは、引用文献3には記載も示唆もされておらず、また、このように構成することが、本願の優先日前において周知技術であったともいえない。 したがって、当業者といえども、引用発明、引用文献2、3に記載された技術的事項から、上記相違点1に係る本願発明1の構成を容易に想到することはできない。 よって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明、引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 2 本願発明2-9について 本願発明2-9は、本願発明1を減縮した発明である。したがって、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 3 本願発明10について 本願発明10は、「製造方法」の発明であって、上記1(2)で検討した相違点1に係る構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 4 本願発明11について 本願発明11は、本願発明10を減縮した発明である。したがって、本願発明10と同一の構成を備えるものであるから、本願発明10と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 5 本願発明12について 本願発明12の「透明誘電材料の使用」は、「透明誘電材料の使用方法」の発明であると解され、上記1(2)で検討した相違点1に係る構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 6 本願発明13について 本願発明13は、「タッチ感知装置」の発明であって、上記1(2)で検討した相違点1に係る構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 7 本願発明14について 本願発明14の「導電性多層膜(1)の使用」は、「導電性多層膜(1)の使用方法」の発明であると解され、上記1(2)で検討した相違点1に係る構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 8 本願発明15について 本願発明15の「タッチ感知装置の使用」は、「タッチ感知装置の使用方法」の発明であると解され、上記1(2)で検討した相違点1に係る構成に対応する同一の構成を備えるものであるから、本願発明13と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第6 原査定について 上記第5で説示したとおり、本願発明1-15は、当業者が引用発明、引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものでない。 したがって、原査定を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-021544

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