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特許拒絶査定不服審判

2023-020460

コア生検針

審判番号
2023-020460
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-519782外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年12月01日
審決日
2024年12月02日
公報発行日
2025年05月30日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (A61B) / P18 .537-Z (A61B) / P18 .575-Z (A61B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-519782「コア生検針」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 4月11日国際公開、WO2019/068864、令和 3年 1月21日国内公表、特表2021-501618〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件出願(以下「本願」という。)は、2018年(平成30年)10月 5日(パリ条約による優先権主張2017年(平成29年)10月 5日、欧州)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。 令和4年10月 3日付け:拒絶理由通知書 令和5年 4月11日提出:意見書、手続補正書 令和5年 7月27日付け:拒絶査定 令和5年12月 1日提出:審判請求書、手続補正書 令和6年 5月31日提出:上申書 第2 令和 5年12月 1日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和 5年12月 1日にされた手続補正を却下する。 [理由] 1 本件補正について 令和 5年12月 1日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1を以下のように補正するものである(下線部は補正箇所を示す。)。 (1)補正前 「【請求項1】 組織サンプルを得るためのコア生検針(1)であって、 -長手方向軸(L)に沿って延びる中空の外針(10)と、 -前記長手方向軸(L)に沿って前記外針(10)内に少なくとも部分的に配置されるかまたは配置可能な内針(20)と、 を含み、 前記内針(20)は、少なくとも1つの組織保持表面(21)を含み、 前記組織保持表面(21)は、前記コア生検針(1)が組織(3)内に挿入されると、組織(3)が少なくとも1つの組織保持表面(21)に付着するように適合され、 前記少なくとも1つの組織保持表面(21)は、各々、前記長手方向軸(L)に沿って延びる長さ(y)、前記長手方向軸(L)に関して円周方向に延びる幅(x)、および前記長手方向軸(L)に関して半径方向に延びる高さ(z)を有する複数の突起(40)を含み、 前記突起(40)の前記幅(x)と前記長さ(y)との間の比率、または前記突起(40)の前記長さ(y)と前記幅(x)との間の比率は、少なくとも2対1であるか、および/または、 前記突起(40)の前記高さ(z)と前記幅(x)との間の比率、または前記高さ(z)と前記長さ(y)との間の比率は、少なくとも1対1であることを特徴とする、コア生検針(1)。」 (2)補正後 「組織サンプルを得るためのコア生検針(1)であって、 -長手方向軸(L)に沿って延びる中空の外針(10)と、 -前記長手方向軸(L)に沿って前記外針(10)内に少なくとも部分的に配置されるかまたは配置可能な内針(20)と、 を含み、 前記内針(20)は、柱状であり、前記長手方向軸(L)と平行に延びる第1の延長線上に針先(22)と、前記内針(20)の先端部よりも手前に切欠き(24)と、を有し、 前記先端部は、前記針先(22)から、前記長手方向軸(L)に関して前記第1の延長線とは反対側に位置する第2の延長線まで傾斜して延び、 前記切欠き(24)は、前記第2の延長線の側に開口するとともに前記第1、第2の延長線を含む平面と直交し、かつ前記長手方向軸(L)に沿って延びる少なくとも1つの組織保持表面(21)を含み、 前記組織保持表面(21)は、前記コア生検針(1)が組織(3)内に挿入されると、組織(3)が少なくとも1つの組織保持表面(21)に付着するように適合され、 前記少なくとも1つの組織保持表面(21)は、各々、前記長手方向軸(L)に沿って延びる長さ(y)、前記長手方向軸(L)に関して円周方向に延びる幅(x)、および前記長手方向軸(L)に関して半径方向に延びる高さ(z)を有する複数の突起(40)を含み、 前記突起(40)の前記幅(x)と前記長さ(y)との間の比率、または前記突起(40)の前記長さ(y)と前記幅(x)との間の比率は、少なくとも2対1であるか、および/または、 前記突起(40)の前記高さ(z)と前記幅(x)との間の比率、または前記高さ(z)と前記長さ(y)との間の比率は、少なくとも1対1であることを特徴とする、コア生検針(1)。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「内針」及び「少なくとも1つの組織保持表面」について、「前記内針(20)は、柱状であり、前記長手方向軸(L)と平行に延びる第1の延長線上に針先(22)と、前記内針(20)の先端部よりも手前に切欠き(24)と、を有し、前記先端部は、前記針先(22)から、前記長手方向軸(L)に関して前記第1の延長線とは反対側に位置する第2の延長線まで傾斜して延び、前記切欠き(24)は、前記第2の延長線の側に開口するとともに前記第1、第2の延長線を含む平面と直交し、かつ前記長手方向軸(L)に沿って延びる少なくとも1つの組織保持表面(21)を含み」と限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものである。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)明確性 「第1の延長線」及び「第2の延長線」が、何を延長するものであるのか理解できない。 また、本願の発明の詳細な説明及び図面のいずれにも、「第1の延長線」及び「第2の延長線」の意味するところについて説明する記載はないから、「第1の延長線」及び「第2の延長線」がいかなる線を意味するのか明確でない。 以上のとおりであるから、本件補正後の請求項1の記載は、明りょうであるとはいえない。よって、本件補正後の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号の規定を満たしていない。 (2)進歩性 ア 引用文献の記載事項 (ア)引用文献2の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された刊行物である特開昭50-100882号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の記載がある(下線は当審において付加した。以下同様。)。 a 「2.特許請求の範囲 (1) 身体より筋肉組織標本を収集する生検装置で、 (a) 全体として円筒状軸部を包含し、外側へテーパのついた先端穴あけ及び切断部を具備した軸部を包含する刃先部と、 (b) 前記円筒状軸部に相対的にさや部を軸方向と円弧方向に動かせかつ前記刃先を包囲した、中空軸に垂直な面でおわり前記刃先上のテーパ部と連続的に接続されるべくテーパがつけられそして前記穴あけ及び切断先端部の延長部を形成する前記さやの周囲先端部を具備して中空刃先受けスリーブとなっている中空管状さや部と、 (c) 前記刃先部中に形成され先端より隔置された点で前記刃先中に標本保持空間を形成し、前記軸部に沿つた軸表面近くで前記テーパ部近くの表面におかれた標本収集みぞと、 (d) 引き込み及び押し出し位置間にて前記刃先を滑動させられ、前記刃先が引き込んだ位置では前記標本収集みぞを前記さや部の前方部で閉じこめ、前記刃先が押し出された位置では前記標本収集空間はあらわにされた前記刃先とを包含した生検装置。 (2) 特許請求の範囲第1項の生検装置において、前記標本収集みぞが前記軸部の中心軸に対して斜めに位置し先端部より隔置した前記刃先中の全体として鋭いフツクを具備し、前記フツクが前記刃先の近接端方向に向かった点を具備し前記刃先内にて標本保持空間の上壁を形成する突出とげ部を包含することを特徴とする生検装置。 (3) 特許請求の範囲第1項の生検装置において、前記さや部が前記刃先上にて相対的な軸方向円弧方向運動をする事を特徴とする生検装置。 (4) 特許請求の範囲第1項の生検装置において、標本かみあいフツクが前記標本収集みぞ内に具備される事を特徴とする生検装置。 (5) 特許請求の範囲第1項の生検装置において、穴が前記円筒軸内に作られ標本かみあいフツクが前記生検装置と組合せで用いられ、前記標本かみあいフツクが前記穴内にて軸方向に滑り受けされ前記フツク部が前記みぞ内に前進した際前記みぞ内にフツクが配置し、前記フツク部が一端に握り部を他端に標本かみあいフツクを具備し、前記軸は前記標本保持空間内に前記フツク部を挿入するに充分な長さを具備する事を特徴とする生検装置。 (6) 特許請求の範囲第1項の生検装置において、止め装置が前記円筒軸に沿って作られ、対となるプランジャーが前記さや部の軸方向に具備され、その配置は前記さやの前記先端が前記刃先上のテーパーの近接端に届く時前記プランジャーが前記止め装置内に入り込む配置である事を特徴とする生検装置。」 b 「臨床診断用生検標本が集められて、標本の性質とともにある種の特性、条件などが病理的検査によって検査される。臨床診断に有用である検査であるためには、生検標本は充分で適当な量だけ得られしかも破壊されていてはいけない。 現在において、種々の生検装置が標本を得るために用いられており、そのうちの方法や装置はとげ付フツクを内側に具備した円筒穴あけ器を用いている。しかしながら繊維組織すなわち筋肉組織より生検標本を得るために用いるには前記装置は不便であり、臨床検査用には標本が破壊されたり極端に少ない量しか得られなかったりして不利である。従って、操作者と同様に患者にとっても手順の簡単な、しかるに付随するめんどうさを減じる装置を実現し、得られた標本が損傷したり破壊されたりしない装置を実現することが必要であると思われる。」(公報2頁右上欄2-18行) c 「患者に与える苦痛を最少とし収集された標本の損傷を最少とする生検標本収集用の改良された装置を供する事が本発明のさらなる目的である。」(公報2頁右下欄16-18行) d 「本発明の好ましい実施例に従えば、そして特に第1、2、及び第3図に特に注意を払えば、全体として10で示された生検装置は円筒軸部11を具備し、該軸部は軸部12を包含しそれに続くテーパ付穴あけ切り取り用先端部13を包含し先端14で終っている。中空さや部15が軸11を滑り接触で包含し、軸14の中空軸受部となっている。さや部の前方側表面端は16で示された如くテーパが付いており切断用端を形成しており、該テーパ部は刃先上のテーパとほぼ連続して点状穴あけ切断先端部13の延長部となっている。軸12上の先端13は形状において円筒状かもしくはとがったほぼ準円筒的切断もしくは穴あけ表面となる軸の直径方向に切りとった斜め先端のどちらかを包含してよい。」(公報3頁左上欄5行-同欄19行) e 「みぞ部が20で示される如く軸部11に形成され、先端14より隔置した点の軸上に全体として鋭いフツクを形成するべく軸の中心軸に対して斜めに配置されている。みぞ穴部の刃の上部側面端は21の点にて鋭いフツクを形成すべくもちろんテーパが付けられており、前記側面端は鋭い切断端を形成すべく鋭くとがっている。フツクの張出部は図示された如く刃の先端とは隔置されている。 それ故、刃の近接端へと向った点21をみぞ20は具備し、相対する壁で標本保持空間20を部分的に囲む張出とげを包含する。 標本保持空間はフツクもしくはとげ部を形成すべく軸にほぼ平行な面内にあるのが好ましい。この鋭い先端部と連けいする標本保持空間面とは得られた標本を損傷する傾向を減少させる。」(公報3頁左上欄20行-同頁右上欄14行) f 「次に第4図に図示された装置の実施例に注意すると、先端切断部32にて了っているテーパ部31の鋭い先端を具備した円筒軸部30が図示されており、該軸部は軸30に沿った中間標本保持空間33を具備する。標本保持空間33は複数個の上方突出標本かみあいフツクすなわち歯34を具備し該歯は繊維組織を捕捉し標本保持空間に保持するに便利なように鋭い刃先部を具備する。本実施例において第2図に図示されたさや部15に類似なさやが第3図に図示された使い方と類似した方法で用いられる。」(公報3頁左下欄9-19行) g 「本発明の構造は円筒状構造の底面が広い故に比較的大きな標本を得られる可能性を供する。さやの鋭い先端は装置が筋肉組織内に入り込む際繊維組織を回転切断できる。この理由で標本及び残りの繊維組織のどちらも異常に破壊されず上記の採集が行える。」(公報4頁右上欄15-末行) h 「円筒状軸部,11,30,40。 テーパ部,13,31,41,61。 刃先先端部,14,32,42。 中空さや部,15,45,62。 標本収集みぞ,20,33,43。 標本かみあいフツク,21,34,36,46。」(公報5頁左上欄4-9行) i 第1図(FIG.1)-第4図(FIG.4)は、次のとおりのものである。 [図:0001422028000001.jpg] k 上記aの「生検装置」が、上記dの「全体として10で示された生検装置」に対応すること、上記aの「円筒状軸部」が、上記dの「円筒軸部11」、上記fの「円筒軸部30」及び上記hの「円筒状軸部,11,30」に対応すること、上記aの「中空管状さや部」が、上記dの「中空さや部15」、上記fの「さや部15」及び上記hの「中空さや部,15」に対応すること、上記aの「標本収集みぞ」が、上記eの20で示される如く軸部11に形成された「みぞ部」、「みぞ穴部」及び「みぞ20」並びに上記hの「標本収集みぞ,20,33」に対応すること、上記aの「標本かみあいフツク」が、上記fの「上方突出標本かみあいフツクすなわち歯34」及び上記hの「標本かみあいフツク,21,34」に対応することのいずれも、当業者に自明である。 l 同じ図番にて示されるものは、同じ構成を表すものと考えられるから、上記d~h及び第1-4図(FIG.1-FIG.4)において、「円筒軸部11」及び「円筒状軸部11」の組、「テーパ付穴あけ切り取り用先端部13」、「点状穴あけ切断先端部13」及び「テーパ部13」の組、「先端14」及び「刃先先端部14」の組、「円筒軸部30」及び「円筒状軸部30」の組、「20で示されるみぞ」、「みぞ部20」、「標本保持空間20」及び「標本収集みぞ20」の組、「先端切断部32」及び「刃先先端部32」の組、「中間標本保持空間33」及び「標本収集みぞ33」の組のそれぞれが、同じ構成を表すものと解される。 m 第1図(FIG.1)及び第4図(FIG.4)から、円筒状軸部11及び円筒状軸部30が、同様に、軸部、テーパ部(テーパ付穴あけ切り取り用先端部13、テーパ部13、テーパ部31)、先端(先端14、刃先先端部14、刃先先端部32)を有していることが見て取れる。よって、円筒状軸部30は、軸部(図番なし)を包含し、それに続くテーパ部31を包含し、先端である刃先先端部32で終っているといえる。 n 第4図(FIG.4)より、円筒状軸部30は、軸部(図番なし)のテーパ部31に連続した位置に、その軸線に沿って標本保持みぞである標本保持空間33を具備していること、さらに、当該標本保持空間33の底に、複数個の上方突出標本かみあいフツク34を具備していることが看取される。 o 引用文献2に記載された発明 上記a~nから、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。なお、参考のため、認定の根拠となった主な箇所を括弧内に示す。 「標本及び残りの繊維組織のどちらも異常に破壊することなく、患者に与える苦痛を最少とし、かつ、収集された標本の損傷を最少とするように改良された、身体より筋肉組織標本を収集する生検装置であって(上記a、c、g)、 (a) 全体として円筒状軸部を包含し、外側へテーパのついた先端穴あけ及び切断部を具備した軸部を包含する刃先部と、 (b) 前記円筒状軸部に相対的にさや部を軸方向と円弧方向に動かせかつ前記刃先を包囲した、中空軸に垂直な面でおわり前記刃先上のテーパ部と連続的に接続されるべくテーパがつけられそして前記穴あけ及び切断先端部の延長部を形成する前記さやの周囲先端部を具備して中空刃先受けスリーブとなっている中空管状さや部と、 (c) 前記刃先部中に形成され先端より隔置された点で前記刃先中に標本保持空間を形成し、前記軸部に沿つた軸表面近くで前記テーパ部近くの表面におかれた標本収集みぞと、 (d) 引き込み及び押し出し位置間にて前記刃先を滑動させられ、前記刃先が引き込んだ位置では前記標本収集みぞを前記さや部の前方部で閉じこめ、前記刃先が押し出された位置では前記標本収集空間はあらわにされた前記刃先とを包含し(上記aの請求項1)、 前記円筒状軸部30は、軸部と、それに続くテーパ部31を包含し、刃先先端部32にて終わっており(上記m、第4図)、 前記円筒状軸部30の軸部のテーパ部31に連続した位置に、その軸線に沿って標本保持みぞである標本保持空間33を具備しており、さらに、当該標本保持空間33の底に、繊維組織を捕捉し標本保持空間に保持するに便利なように鋭い刃先部を具備する複数個の上方突出標本かみあいフツク34を具備している生検装置。(上記aの請求項4、f、n及び第4図)」 (イ) 引用文献3の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された刊行物である国際公開第2016/199599号(以下「引用文献3」という。)には、以下の記載がある。 a 「特許請求の範囲 [請求項1] 長手方向の一端に第1の針先を有する筒状の外針と、 先端に形成された第2の針先と先端の前記第2の針先に向かって傾斜する傾斜面とを有する先端部と、前記傾斜面よりも基端側の側面に生体組織を採取するためのノッチが形成されたノッチ部と、前記先端部から前記ノッチ部まで連通するガイド部と、を有し、前記外針に対して該外針の長手方向に進退自在に挿通される柱状を成す内針と、 を備えたことを特徴とする生検針。」 b 「[0026] 内針120は、外針110と同様に、生体適合性を有する材料によって形成され、先端に形成された針先121(第2の針先)と先端の針先121に向かって傾斜する傾斜面122とを有する先端部と、傾斜面122よりも基端側の側面に生体組織を採取するためのノッチが形成されたノッチ部123と、を備える。針先121は、内針120の長手方向の中心軸を通る平面上に位置する。短手方向で見た場合に、傾斜面122と逆側に頂部ができるように内針120先端がカット加工されることによって、針先121を尖形化する。傾斜面122は、ランセット、バックカット、セラミンセット、平研ぎ等の加工方法によって形成される。ノッチ部123は、傾斜面122よりも基端側の部分において、切欠き面が平面となるように(図3参照)、円柱部を長手方向に沿って切り欠くことによってノッチが形成される。ノッチ部123において、先端面および基端面は、側面から見た場合、ノッチ部123の底面から上部に向かって傾斜する。なお、内針120は、円柱状だけではなく角柱状でもよい。」 c [図1] [図:0001422028000002.jpg] d 上記aの「第1の針先」と、上記bの「針先111(第1の針先)」のように、上記a~bにおいて、同じ用語を用いて表される各構成は、互いに対応するものであることが当業者に自明である。 e 図1より、内針120の針先121は、図中、内針120の下端に位置することが見て取れる。 f 円柱状を成す内針120において、針先121は、内針120の長手方向の中心軸を通る平面上に位置し、短手方向で見た場合に、傾斜面122と逆側に頂部ができるように内針120先端がカット加工されることにより尖形化されたものであり(上記b)、図1において、針先121は、図中、内針120の下端に位置するものであるから(上記e)、針先121は、円柱状をなす内針120の表面に位置することが明らかである。 g 引用文献3に記載された発明 上記a~fより、引用文献3には、次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されているものと認められる。 「長手方向の一端に第1の針先を有する筒状の外針と、 先端に形成された第2の針先と先端の前記第2の針先に向かって傾斜する傾斜面とを有する先端部と、前記傾斜面よりも基端側の側面に生体組織を採取するためのノッチが形成されたノッチ部と、前記先端部から前記ノッチ部まで連通するガイド部と、を有し、前記外針に対して該外針の長手方向に進退自在に挿通される柱状を成す内針と、 を備えた生検針であって(上記a)、 前記内針120の針先121は、前記内針120の長手方向の中心軸を通る平面上に位置し、短手方向で見た場合に、傾斜面122と逆側に頂部ができるように内針120先端がカット加工されることにより尖形化されたものであり(上記b)、かつ、円柱状をなす前記内針120の表面に位置するもの(上記f)。」 イ 本件補正発明と引用発明2との対比 上記(1)で述べたように、本件補正発明には不明確な部分が存在するものの、第1の延長線は、外針が延びる長手方向軸と平行な線であることが特定されており、本願の図1を参酌すると、外針が延びる長手方向軸と平行な線であり、かつ、針先(22)を通る線は、内針(20)の表面、図中下端に沿った線であること、また、ファセットカット(23)が、前記針先(22)より内針(20)の表面、図中上端に至るまで傾斜して延びていること、切欠き(24)が、図中上向き、上端の側に開口していることが看取される。 これらのことを踏まえて、少なくとも、外針が延びる長手方向軸と平行な線であり、内針20の表面に沿った針先(22)を通る線が第1の延長線に該当し、また、内針(20)の周方向において針先(22)とは反対側の位置をとおる、内針(20)の表面に沿った線を第2の延長線に該当すると理解できるため、以下、そのように解釈する。また、そのような解釈の下、発明の詳細な説明及び図1に記載のコア生検針(1)について、その内針(20)は、前記長手方向軸(L)と平行に延びる第1の延長線上に針先(22)と、前記内針(20)の先端部よりも手前に切欠き(24)と、を有し、前記先端部は、前記針先(22)から、前記長手方向軸(L)に関して前記第1の延長線とは反対側に位置する第2の延長線まで傾斜して延び、前記切欠き(24)は、前記第2の延長線の側に開口するとともに前記第1、第2の延長線を含む平面(図1の紙面と平行な平面)と直交し、かつ前記長手方向軸(L)に沿って延びる少なくとも1つの組織保持表面(21)を含むものとなるから、上記の通り解釈することで、本願の発明の詳細な説明の記載とも、特許請求の範囲の文言とも矛盾しない。 さらに、前記の解釈は、審判請求書における、当該記載に関する補正について説明した、「3.補正の内容とその根拠」における主張や、後述する上申書における補正案と矛盾しない。 (ア)引用発明2の「(b) 前記円筒状軸部に相対的にさや部を軸方向と円弧方向に動かせかつ前記刃先を包囲した、中空軸に垂直な面でおわり前記刃先上のテーパ部と連続的に接続されるべくテーパがと、それに続くテーパ部31を包含して、刃先先端部32にて終わって」いる円筒状軸部30における「テーパ部31」(前記ア(ア)m、第4図)は、針先である刃先先端部32より傾斜して延びる点で、本件補正発明の先端部と共通する。 (イ)引用発明2は、「前記円筒状軸部30の軸部のテーパ部31に連続した位置に、その軸線に沿って標本保持みぞである標本保持空間33を具備」しているから(上記ア(ア)aの請求項4、f、n、第4図)、当該標本保持みぞである標本保持空間33、円筒状軸部30の軸線、すなわち、長手方向軸(L)に沿って延びていることが明らかである。 (ウ)引用発明2の「標本保持空間33の底(少なくとも1つの組織保持表面)」と直交し、かつ、前記円筒状軸部30(内針)の長手方向軸と平行な平面が存在することは、当業者に自明であり、当該平面は、円筒状軸部30(内針)の周方向の2カ所で内針の表面と交差する。 ここで、前記平面と内針の表面とが交差する2カ所の線は、「標本保持みぞ(前記切欠き)」が、第1、第2の延長線を含む平面と直交」すること、及び、「第1の延長線は、外針が延びる長手方向軸と平行な線であること」の点で、本件補正発明の第1の延長線及び第2の延長線と共通する。 さらに、引用発明の「標本保持みぞ」は、前記2カ所の線の一方、すなわち、第2の延長線の側に開口している点で、本件補正発明の切欠きと共通する。 (エ)引用発明2の「複数個の上方突出標本かみあいフツク34」が設けられた「標本保持空間33の底(少なくとも1つの組織保持表面)」(上記(ア)aの請求項4、f、n、第4図)は、「複数の突起(40)を含」む点で、本件補正発明の「少なくとも1つの組織保持表面」と共通する。 (オ)引用発明2において、「身体より筋肉組織標本を収集する生検装置」の「標本保持みぞである標本保持空間33」が、筋肉組織標本の収集のために当該生検装置が組織内に挿入されると、組織が付着するように適合されたものであることは、当業者に自明のことである。 ウ 一致点・相違点 そうすると、本件補正発明と引用発明2とは、 (一致点) 「組織サンプルを得るためのコア生検針(1)であって、 -長手方向軸(L)に沿って延びる中空の外針(10)と、 -前記長手方向軸(L)に沿って前記外針(10)内に少なくとも部分的に配置されるかまたは配置可能な内針(20)と、 を含み、 前記内針(20)は、柱状であり、針先(22)と、前記内針(20)の先端部よりも手前に切欠き(24)と、を有し、 前記先端部は、前記針先(22)から、傾斜して延び、 前記切欠き(24)は、前記第2の延長線の側に開口するとともに前記第1、第2の延長線を含む平面と直交し、かつ前記長手方向軸(L)に沿って延びる少なくとも1つの組織保持表面(21)を含み、 前記組織保持表面(21)は、前記コア生検針(1)が組織(3)内に挿入されると、組織(3)が少なくとも1つの組織保持表面(21)に付着するように適合され、 前記少なくとも1つの組織保持表面(21)は、複数の突起(40)を含むコア生検針(1)。」 の点で一致し、次の2点において相違する。 (相違点1) 前記内針(20)の針先(22)が、本件補正発明においては、前記長手方向軸(L)と平行に延びる第1の延長線上にあると特定されているのに対して、引用発明2では、前記長手方向軸(L)と平行に延びる第1の延長線上にない点。 (相違点2) 前記突起(40)が、本件補正発明においては、「各々、前記長手方向軸(L)に沿って延びる長さ(y)、前記長手方向軸(L)に関して円周方向に延びる幅(x)、および前記長手方向軸(L)に関して半径方向に延びる高さ(z)を有し、前記突起(40)の前記幅(x)と前記長さ(y)との間の比率、または前記突起(40)の前記長さ(y)と前記幅(x)との間の比率は、少なくとも2対1であるか、および/または、前記突起(40)の前記高さ(z)と前記幅(x)との間の比率、または前記高さ(z)と前記長さ(y)との間の比率は、少なくとも1対1であると特定されるのに対して、引用発明においては、そのように特定されていない点。 エ 判断 (ア)相違点1について a 引用発明3の「生検針」、「筒状の外針」、「前記外針に対して該外針の長手方向に進退自在に挿通される柱状を成す内針」、「先端に形成された第2の針先」、「『先端の前記第2の針先に向かって傾斜する傾斜面122』を含む部位」及び「前記傾斜面よりも基端側の側面に生体組織を採取するためのノッチが形成されたノッチ部」は、それぞれ、本件補正発明の「コア生検針(1)」、「中空の外針(10)」、「前記長手方向軸(L)に沿って前記外針(10)内に少なくとも部分的に配置されるかまたは配置可能な内針(20)」、「針先(22)」、「前記針先(22)から、前記長手方向軸(L)に関して前記第1の延長線とは反対側に位置する第2の延長線まで傾斜して延びる先端部」及び「少なくとも1つの組織保持表面(21)を含む切欠き」に相当する。 b 上記イ、ウ及び上記aより、引用発明2の内針(円筒状軸部30)と、引用発明3の「前記外針に対して該外針の長手方向に進退自在に挿通される柱状を成す内針120」とは、いずれも、「前記長手方向軸(L)に沿って前記外針(10)内に少なくとも部分的に配置されるかまたは配置可能な内針(20)」であって、針先と、前記針先から傾斜して延びる先端部と、少なくとも1つの組織保持表面(21)を含む切欠きとを含む点で共通する。 c 上記bより、引用発明2及び引用発明3の内針は、互いに類似の構造を有し、かつ、同様に、切欠きにて組織(筋肉組織標本、生体組織)を採取する機能を有するものであるから、引用発明2の内針の針先を、引用発明3の内針のようなものとなすことは、当業者であれば適宜なし得たことである。 そのように構成した内針の針先は、前記内針120の表面に位置するものとなる(上記ア(イ)f)。そして、ここを通り、外針が延びる長手方向軸と平行な線は、本件補正発明の第1の延長線に相当する。 してみれば、このように構成したものは、上記相違点1に係る構成を備えるものとなる。 (イ)相違点2について 引用発明2の標本保持空間33の底に設けられた複数の突起における各部の寸法及び当該寸法の間の比率は、得られた標本を損傷する傾向を減少させるように(ア(ア)e)、また、繊維組織を捕捉し標本保持空間に保持するに便利なように(ア(ア)f)、発明の実施に際して当業者が適宜定めるべきものである。 また、引用発明2の第4図(FIG.4)は、模式図と認められるところ、ここに図示される突起の長手方向軸(L)に沿って延びる長さ(y)と長手方向軸(L)と直交する半径方向に延びる高さ(z)との間の比率は、本件補正発明の数値と大きくずれるものではない。 よって、引用発明2において、上記相違点2に係る構成となすことに格別な困難性は認められない。 (ウ)本件補正発明の奏する作用効果 本願の発明の詳細な説明には、次の記載がある。 a 「【実施例】 【0128】天然組織表面の波動性および粗さの分析に基づいて、さまざまなサイズ(例えばしかし限定されない:xy寸法20~100μmおよびz寸法10~80μm)および形状(例えばしかし限定されない:ピラミッド、ブラシ、鋸歯、フカヒレ)を有するほぼ20の異なるマイクロパターンが設計された。これらの微細構造は、ステンレス鋼プレートにレーザーアブレーションされ、構造のポリマー成形(PDMSなど)のテンプレートとして使用された。 【0129】ステンレス鋼テンプレートまたはPDMS金型と牛の乳房組織標本との間の動的および静的摩擦挙動を測定して、最も付着性の高い微細構造(表1に示す構造選択、最も強力な構造は太字)を特定した。ここで、μstat,Strは構造化表面の静摩擦係数、μstat,Unstrは非構造化表面の静摩擦係数、μdyn,Strは構造化表面の動摩擦係数を指す。 【0130】例としてしかし限定ではなく、PDMSおよびシアノアクリレートベースの付着剤を含むポリマー金型をテストした。付着実験は、化学的に変更されたポリマーの微細構造に対しても行われた。例としてしかし限定ではなく、PDMS表面は、アルギニン-グリシン-アスパラギン酸(RGD)、ポリ-L-リジン(PLL)、コラーゲンIおよび/またはシアノアクリレートベースの付着剤で機能化された。 【0131】マイクロ構造化(表1から選択)による牛の乳房コア生検の市販の20ゲージコア生検針の抽出に成功した。パターニングは、直接レーザーアブレーションによるか、または内針の切欠きへのマイクロ構造化ポリマーコーティングによって行われた。 【0132】抽出された組織標本を標準的な組織病理学(ヘマトキシリンおよびエオシン染色)で検査して、組織の完全性および細胞保存を決定した(図10)。主な基準は、組織病理学に受け入れられるコンパクトで断片化されていない生検を得ることであった。本発明による微細構造の針とは対照的に、変更されていない標準の20ゲージコア生検針からの生検は断片化されており、組織病理学には使用できなかった。」 b 表1 [図:0001422028000003.jpg] c 図10 [図:0001422028000004.jpg] d 上記a及びbより、本願明細書には、実施例として、さまざまなサイズ(例えばしかし限定されない:xy寸法20~100μmおよびz寸法10~80μm)および形状(例えばしかし限定されない:ピラミッド、ブラシ、鋸歯、フカヒレ)の突起を有する複数のマイクロパターンを設計して、ステンレス鋼プレートまたはPDMS金型に微細構造を形成し、構造化表面(当審注:前記微細構造を設けた表面)の静摩擦係数μstat,Str及び動摩擦係数μdyn,Str、非構造化表面(当審注:前記微細構造を設けていない表面)の静摩擦係数μstat,Unstrを測定したこと、及び、その結果(比、ランク)を示す表1が記載されている。しかしながら、当該実施例として示された各マイクロパターンを構成する突起について、長手方向軸(L)に沿って延びる長さ(y)、前記長手方向軸(L)に関して円周方向に延びる幅(x)、および前記長手方向軸(L)に関して半径方向に延びる高さ(z)についての具体的な寸法も、当該寸法の間の比率も記載されておらず、これらの値は明らかではない。 また、実施例に関して、内針の刃先及び先端部について述べた記載はない。 e 上記a~dより、本願明細書に記載される実施例は、上記(相違点1)に係る構成を備えたもの、すなわち、内針(20)の針先(22)が、長手方向軸(L)と平行に延びる第1の延長線上にあるものと、そうでないものとを比較したものではないから、当該実施例からは、両者の間に、いかなる作用効果上の違いがあるのか理解することはできない。 f 上記a~dより、本願明細書に記載される実施例は、少なくとも1つの組織保持表面が含む突起について、上記(相違点2)に係る構成を備えたもの、すなわち、前記突起(40)の前記幅(x)と前記長さ(y)との間の比率、または前記突起(40)の前記長さ(y)と前記幅(x)との間の比率は、少なくとも2対1であるか、および/または、前記突起(40)の前記高さ(z)と前記幅(x)との間の比率、または前記高さ(z)と前記長さ(y)との間の比率は、少なくとも1対1であるものと、そうでないものとのを比較したものではないから、両者の間に、いかなる作用効果上の違いがあるのか理解することはできない。 g 上記e及びfからして、本願明細書に記載される実施例は、上記(相違点1)及び(相違点2)に係る構成を有することにより奏する作用効果について、具体的には何ら開示していないものである。 h 引用文献2には、「患者に与える苦痛を最少とし収集された標本の損傷を最少とする生検標本収集用の改良された装置を供する事が本発明のさらなる目的である。」(上記ア(ア)c)、「標本保持空間33は複数個の上方突出標本かみあいフツクすなわち歯34を具備し該歯は繊維組織を捕捉し標本保持空間に保持するに便利なように鋭い刃先部を具備する。」(上記ア(ア)f)、「本発明の構造は円筒状構造の底面が広い故に比較的大きな標本を得られる可能性を供する。さやの鋭い先端は装置が筋肉組織内に入り込む際繊維組織を回転切断できる。この理由で標本及び残りの繊維組織のどちらも異常に破壊されず上記の採集が行える。」(上記ア(ア)g)といった記載があり、これらの記載は、引用発明2及び引用発明3に基づいてなされた発明の奏する作用効果として期待されるところである。 i 上記g及びhからして、上記(相違点1)及び(相違点2)に係る構成を有する本件補正発明の奏する効果が、引用文献2及び引用文献3の記載事項から当業者が予測し得る程度を超えるものとは認められない。 (エ)上記(ア)~(ウ)より、本件補正発明は、当業者が引用発明2及び引用発明3に基づいて容易に発明をすることができたものである。 よって、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 3 補正却下の決定のむすび 上記2(1)及び(2)のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和 5年12月 1日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和 5年 4月11日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~12に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記「第2[理由]1(1)」に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1~12に係る発明は、その優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献2~6に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものであるところ、本願発明は、引用文献2に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。 引用文献2.特開昭50-100882号公報 引用文献3.国際公開第2016/199599号 引用文献4.国際公開第2010/100780号 引用文献5.特開2009-095667号公報 引用文献6.特開2012-161473号公報 3 引用文献について 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2の記載事項、引用文献2に記載の発明(引用発明2)は、上記第2[理由]2(2)ア(ア)~(イ)に記載したとおりである。 4 対比・判断 (1)本願発明は、上記第2[理由]2(2)イ~エで検討した本件補正発明から、「前記内針(20)は、柱状であり、前記長手方向軸(L)と平行に延びる第1の延長線上に針先(22)と、前記内針(20)の先端部よりも手前に切欠き(24)と、を有し、前記先端部は、前記針先(22)から、前記長手方向軸(L)に関して前記第1の延長線とは反対側に位置する第2の延長線まで傾斜して延び、前記切欠き(24)は、前記第2の延長線の側に開口するとともに前記第1、第2の延長線を含む平面と直交し、かつ前記長手方向軸(L)に沿って延びる」という限定事項を削除したものである。 (2)上記(1)の削除された限定事項は、相違点1を含むものである。 (3)本件補正発明と引用発明2とは、上記「第2[理由]2(2)ウ」に記載した相違点1及び相違点2において相違するものであるところ、上記(1)及び(2)のとおり、本願発明は、本件補正発明から相違点1を含む限定事項を削除したものであるのだから、本願発明と引用発明2とは、相違点2においてのみ相違する。 そして、相違点2に対する判断は上記「第2[理由]2(2)エ(イ)」に記載したとおりである。 してみれば、本願発明は、引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 令和 6年 5月31日提出の上申書において提示された補正案について 1 審判請求人は、令和 6年 5月31日提出の上申書において補正案を提示して、特許請求の範囲の請求項を次のように補正する用意があると述べている(以下、補正案の請求項1に係る発明を「本件補正案発明」という。)。 「組織サンプルを得るためのコア生検針(1)であって、 -長手方向軸(L)に沿って延びる中空の外針(10)と、 -前記長手方向軸(L)に沿って前記外針(10)内に少なくとも部分的に配置されるかまたは配置可能な内針(20)と、 を含み、 前記内針(20)は、細長い形状であり、前記長手方向軸(L)と平行に延びる第1の延長線上に針先(22)と、前記内針(20)の先端部よりも手前に切欠き(24)と、を有し、 前記先端部は、ファセットカット(23)の形状の前記針先(22)から、前記長手方向軸(L)に関して前記第1の延長線とは反対側に位置し、前記第1の延長線と平行に延びる第2の延長線まで傾斜して延び、 前記切欠き(24)は、前記第2の延長線の側に開口し、 前記切欠き(24)は、前記第1、第2の延長線を含む平面と直交し、かつ前記長手方向軸(L)に沿って延びる少なくとも1つの組織保持表面(21)を含み、 前記組織保持表面(21)は、前記コア生検針(1)が組織(3)内に挿入されると、組織(3)が少なくとも1つの組織保持表面(21)に付着するように適合され、 前記少なくとも1つの組織保持表面(21)は、2次元配列で配置される複数の突起(40)を含み、突起(40)は、各々、前記長手方向軸(L)に沿って延びる長さ(y)、前記長手方向軸(L)に関して円周方向に延びる幅(x)、および前記長手方向軸(L)に関して半径方向に延びる高さ(z)を有し、 前記突起(40)の前記幅(x)と前記長さ(y)との間の比率、または前記突起(40)の前記長さ(y)と前記幅(x)との間の比率は、少なくとも2対1であるか、および/または、 前記突起(40)の前記高さ(z)と前記幅(x)との間の比率、または前記高さ(z)と前記長さ(y)との間の比率は、少なくとも1対1であることを特徴とする、コア生検針(1)。」 2 記載不備について 本件補正案発明において、「第2[理由]2(1)」に記載したのと同様の理由で、「第1の延長線」及び「第2の延長線」がいかなる線であるのか明確でない。このため、本件補正案発明は、明確であるとはいえない。 3 進歩性について (1)本件補正案発明は、上記「1」に記載のとおりのものである。 (2)本件補正案発明と、引用発明2とを対比する。 上記「2」で述べたように、本件補正発明には不明確な部分が存在するものの、前記「第2[理由]2(2)イ」と同様に「第1の延長線」及び「第2の延長線」を解するものとする。 ア 引用発明2は、「標本及び残りの繊維組織のどちらも異常に破壊することなく、患者に与える苦痛を最少とし、かつ、収集された標本の損傷を最少とするように改良された、身体より筋肉組織標本を収集する生検装置」に係るものであるから、その円筒状軸部30(内針)は、細長い形状であることが当業者に自明である。 イ 上記「第2[理由]2(2)イ」及び上記「ア」より、「第2[理由]2(2)ウ」にて述べた一致点から内針が柱状であることを除いた点、及び、内針(円筒状軸部30)が細長い形状である点で一致し、次の3点で相違する。 (相違点1’) 前記内針(20)が、本件補正案発明においては、前記長手方向軸(L)と平行に延びる第1の延長線上に針先を有し、その先端部が、ファセットカット(23)の形状の前記針先(22)から、前記長手方向軸(L)に関して前記第1の延長線とは反対側に位置し、前記第1の延長線と平行に延びる第2の延長線まで傾斜して延びると特定されているのに対して、引用発明2では、そうではない点。 (相違点2) 前記突起(40)が、本件補正案発明においては、「各々、前記長手方向軸(L)に沿って延びる長さ(y)、前記長手方向軸(L)に関して円周方向に延びる幅(x)、および前記長手方向軸(L)に関して半径方向に延びる高さ(z)を有し、前記突起(40)の前記幅(x)と前記長さ(y)との間の比率、または前記突起(40)の前記長さ(y)と前記幅(x)との間の比率は、少なくとも2対1であるか、および/または、前記突起(40)の前記高さ(z)と前記幅(x)との間の比率、または前記高さ(z)と前記長さ(y)との間の比率は、少なくとも1対1であるのに対して、引用発明においては、そのような比率が特定されていない点 (相違点3) 前記突起(40)が、本件補正案発明においては、2次元配列で複数、配置されると特定されるのに対して、引用発明2では、そのように特定されていない点。 (3)判断 各相違点について検討する。 a.相違点1’について 引用発明3の「先端の前記第2の針先に向かって傾斜する傾斜面」(上記「第2[理由]2(2)ア(イ)a」)は、本件補正案発明の「ファセットカットの形状」を有するものである。 そして、上記「第2[理由]2(2)エ(ア)b」にて述べたように、引用発明2の内針と、引用発明3の内針とは、互いに類似の構造を有し、かつ、同様に、切欠きにて組織(筋肉組織標本、生体組織)を採取する機能を有するものであるから、引用発明2の内針の針先及び当該針先から傾斜して延びる部位の配置及び形状として、引用発明3の内針のものを採用することは、当業者であれば適宜なし得たことである。 そして、このように構成したものは、上記(相違点1’)に係る構成を備えるものとなる。 b.相違点2について 上記「第2[理由]2(2)エ(イ)」にて述べたように、引用発明2において、上記相違点2に係る構成を備えるものとなすことに格別な困難性は認められない。 c.相違点3について (a)引用文献1の記載事項 本願の優先日前に頒布された刊行物であり、拒絶理由通知書において引用された米国特許出願公開第2013/0046201号明細書(以下「引用文献1」という。)には、以下の記載がある。 ア 「[0027] Referring generally to the Figures, there is shown an embodiment of a soft-tissue biopsy needle 20. Needle 20 includes an internal member 22, an external member 24, and a handle 26. As will be explained in further detail below, internal member 22 and external member 24 are respectively fixed to parts of handle 26, so that internal member 22 and external member 24 are slidable along each other with a close fit. By having both a “close fit” and slidability, it is meant that there is no substantial separation or gap between members 22 and 24, as by a boss or flange. As seen in the embodiments in the drawings, members 22 and 24 have a close and slidable fit at least along their respective distal ends, and in some embodiments that close and slidable fit extends along all or substantially all of their lengths. Such a configuration maximizes the amount of tissue obtained by a needle of particular outer diameter, by minimizing unused space in the needle, or conversely minimizes the external size of a needle needed to obtain a particular amount of tissue.」 (当審訳:[0027] 図面を全体的に参照すると、軟組織生検針 20 の実施形態が示されている。針 20 は、内部部材 22、外部部材 24、およびハンドル 26 を含む。以下でさらに詳しく説明するように、内部部材 22 および外部部材 24 はそれぞれハンドル 26 の一部に固定されており、内部部材 22 および外部部材 24 は、密接な嵌合で互いに沿ってスライド可能である。「密接な嵌合」とスライド可能性の両方を有するということは、ボスまたはフランジによるように、部材 22 と 24 の間に実質的な分離または隙間がないことを意味する。図面の実施形態に見られるように、部材 22 および 24 は、少なくともそれぞれの遠位端に沿って密接かつスライド可能な嵌合を有し、いくつかの実施形態では、密接かつスライド可能な嵌合は、それらの長さの全体または実質的に全体に沿って延びる。このような構成は、針内の未使用のスペースを最小限に抑えることによって、特定の外径の針によって得られる組織の量を最大化し、または逆に、特定の量の組織を得るために必要な針の外形サイズを最小化する。) イ 「[0031] Channel 46 and/or a portion of lumen 32 in proximal portion 34 may have projections or texture 50 attached, formed or otherwise provided in a textured section. Texture 50 is intended to supply grip or pull on a tissue sample within channel 46 when needle 20 is withdrawn from the body. In the embodiments of FIGS. 6A-6E, texture or projections 50 are only in channel 46, and may take one or more of a number of forms. In FIG. 6A, projections 50 are a group of substantially round projections or bumps discrete from each other. Projections 50 may be organized in circumferential or helical lines, or may be substantially randomly located on the inside surface of channel 46 of distal portion 36.FIG. 6B shows an embodiment in which projections 150 are a set of zigzagging ridges. In that embodiment, respective ridges move alternately distally and proximally as they move across channel 46, so that there is a width W measured parallel to the longitudinal axis of member 22 between the distal-most and proximal-most parts of the ridge. Respective ridges are evenly spaced from one another in the illustrated embodiment, with a smooth or non-textured portion at least as wide as or wider than the width W of the zigzagging ridges. FIG. 6C shows an embodiment of a projection 250 in the form of a ridge or rib that moves along the surface of channel 46 in a substantially helical path that bends back on itself as it approaches the sides of channel 46. FIG. 6D shows an embodiment in which projections 350 are a set of relatively wide ridges concentric with the longitudinal axis of internal member 22. Respective ridges are evenly spaced from one another in that embodiment, and a non-textured or smooth portion at least as wide as or wider than the width of the respective ridges is found between them. In FIG. 6E, channel 46 is shown as having a number of crisscrossing score lines or thin crisscrossing ridges as texture 450. Such ridges will engage tissue, while score lines will allow fluid or tissue surface to enter the score lines, so that edges of the score lines will help grip or pull the tissue.」 (当審訳:[0031] チャネル 46 および/または近位部 34 のルーメン 32 の一部には、突起またはテクスチャ 50 が取り付けられ、形成され、またはテクスチャ セクションに設けられてもよい。テクスチャ 50 は、針 20 が体から引き抜かれるときに、チャネル 46 内の組織サンプルを掴んだり引っ張ったりするためのものである。図6A~ 6Eの実施形態では、テクスチャまたは突起 50 はチャネル 46 内にのみ存在し、いくつかの形態のうちの 1 つ以上をとってもよい。図6Aでは、突起 50 は、互いに独立した実質的に円形の突起または隆起の集合である。突起 50 は、円周または螺旋状の線に配列されていてもよく、または遠位部 36 のチャネル 46 の内面に実質的にランダムに配置されていてもよい。図6Bは、突起 150 がジグザグの隆起のセットである実施形態を示す。この実施形態では、各隆起部は、チャネル 46 を横切る際に交互に遠位方向および近位方向に移動するため、隆起部の最も遠位の部分と最も近位の部分との間には、部材 22 の縦軸と平行に測定された幅 W が存在する。図示の実施形態では、各隆起部は互いに均等に間隔が空けられており、滑らかな部分またはテクスチャのない部分は、ジグザグの隆起部の幅 W と少なくとも同じかそれよりも広い。図6Cは、隆起部またはリブの形状の突起 250 の実施形態を示しており、隆起部またはリブは、チャネル 46 の表面に沿って、チャネル 46 の側面に近づくにつれてそれ自体で曲がるほぼらせん状の経路で移動する。図6Dは、突起 350 が内部部材 22 の縦軸と同心円状の比較的幅の広い隆起のセットである実施形態を示している。この実施形態では、それぞれの隆起は互いに均等に間隔が空いており、隆起の間には、それぞれの隆起の幅と少なくとも同じかそれよりも広い、テクスチャのないまたは滑らかな部分がある。図6Eでは、チャネル 46 がテクスチャ 450 として多数の交差するスコアラインまたは細い交差する隆起を持つものとして示されている。このような隆起は組織に係合し、スコアラインは液体または組織表面がスコアラインに入ることを可能にするため、スコアラインのエッジは組織を掴んだり引っ張ったりするのに役立つ。) ウ 図4~6(Fig.4~Fig.6)は次のとおりのものである。 [図:0001422028000005.jpg] [図:0001422028000006.jpg] エ.上記「イ」、図4(Fig.4)、図5(Fig.5)及び図6A(Fig.6A)から、複数の突起50が、内側部材22の内面にあるチャネル46に2次元配列されていることが明らかである。 (b)引用文献1に記載の「軟組織生検針20」、「外部部材24」、「内部部材22」及び「内側部材22の内面にあるチャネル46に2次元配列されている複数の突起50」は、それぞれ、本件補正案発明の「コア生検針(1)」、「中空の外針(10)」、「前記長手方向軸(L)に沿って前記外針(10)内に少なくとも部分的に配置されるかまたは配置可能な内針(20)」及び「前記少なくとも1つの組織保持表面(21)が含む2次元配列で配置される複数の突起(40)」に相当する。 引用発明2に記載の「上方突出標本かみあいフツク34」は、繊維組織を捕捉し標本保持空間に保持するに便利なように鋭い刃先部を具備するものであるところ、引用文献1に記載の「軟部組織生検針20が体から引き抜かれるときにチャネル内の組織サンプルを掴んだり引っ張ったりするために設けられる突起50」も同様の機能を果たすものといえる。 よって、引用発明2において、繊維組織を捕捉し標本保持空間に保持するに便利なように鋭い刃先部を具備した複数個の上方突出標本かみあいフツク34の配置を、これと同様の機能を果たす、引用文献1に記載の突起と同様に2次元配列することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 d.本件補正案発明の奏する作用効果 上記「第2[理由]2(2)エ(ウ)」からして、本件補正案発明の奏する効果は、引用文献1-3の記載事項から当業者が予測し得る程度を超えるものとは認められない。 (4)上記(1)~(3)より、本件補正案発明は、当業者が引用発明2、引用発明3及び引用文献1に記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたものである。 4 上記2及び3から、審判請求人が令和 6年 5月31日提出の上申書において提示した補正案は、特許法第36条第6項第2号の規定を満たしておらず、また、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、これを受け入れる余地はない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-020460

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