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特許拒絶査定不服審判

2023-018438

分離膜モジュール

審判番号
2023-018438
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-076492外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年10月31日
審決日
2025年01月22日
公報発行日
2025年04月25日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (B01D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法49条2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第44条第1項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022- 76492「分離膜モジュール」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 6月23日出願公開、特開2022- 93693〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成29年10月25日を出願日とする特願2017-206294号(以下「原出願」という。)の一部を、特許法第44条第1項の規定により、令和4年5月6日に新たな特許出願として分割したものであって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。 令和4年 5月 6日 上申書の提出(原出願からの変更箇所等を説 明するもの) 令和5年 2月22日付け 拒絶理由通知 同年 6月28日 意見書及び手続補正書の提出 同年 7月21日付け 拒絶査定(以下、「原査定」という。) 同年10月31日 審判請求書及び手続補正書(以下、同手続補 正書によりなされた補正を「本件補正」とい う。)の提出 同年11月21日 手続補正書(方式)の提出(「請求の理由」 の内容を補正するもの) 第2 本件補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 本件補正について (1)本件補正後の請求項1の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。 「【請求項1】 筒状のハウジングと、 該ハウジング内に該ハウジングの長手方向に配置された複数の管状分離膜と を有し、 該管状分離膜は、管状の無機多孔質支持体を含み、 被処理流体が該ハウジング内を一端側から他端側に流れ、管状分離膜を透過した流体が該管状分離膜を通って取り出される分離膜モジュールであって、 該管状分離膜の一端部にエンド管が接続され、 該エンド管は、前記ハウジングを横断するように設置された支持板の一方の板面から突出している分離膜モジュールにおいて、 該支持板の一方の板面に差込穴が設けられ、前記エンド管が該差込穴に差し込まれており、 該エンド管の端面と差込穴の底面との間がガスケットでシールされており、 該ガスケットは円板状であり、中央部に開口が設けられていることを特徴とする分離膜モジュール。」 (下線は補正箇所である。) (2)本件補正前の請求項1の記載 本件補正前の請求項1の記載は、次のとおりである。 「【請求項1】 筒状のハウジングと、 該ハウジング内に該ハウジングの長手方向に配置された複数の管状分離膜と を有し、 該管状分離膜は、管状の無機多孔質支持体を含み、 被処理流体が該ハウジング内を一端側から他端側に流れ、管状分離膜を透過した流体が該管状分離膜を通って取り出される分離膜モジュールであって、 該管状分離膜の一端部にエンド管が接続され、 該エンド管は、前記ハウジングを横断するように設置された支持板の一方の板面から突出している分離膜モジュールにおいて、 該支持板の一方の板面に差込穴が設けられ、前記エンド管が該差込穴に差し込まれており、 該エンド管の端面と差込穴の底面との間がガスケットでシールされていることを特徴とする分離膜モジュール。」 2 補正の適否 (1)補正の目的について 本件補正は、請求項1において、「ガスケット」の構成について、「円板状であり、中央部に開口が設けられて」いる点を限定するものであるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的としたものに該当する。 そこで、上記1(1)で記載した本件補正後の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (2)独立特許要件について ア 引用文献に記載された事項 本願出願前に頒布され、原査定の拒絶の理由において引用された引用文献1(特開2016-155098号公報)、さらに、周知技術として、当審で引用する引用文献5(原徹編「化学技術者のためのシールハンドブック」、別冊化学工業第12巻第1号、株式会社化学工業社、昭和43年1月15日発行)、引用文献6(特開平2-139014号公報)、また、原査定の拒絶の理由において引用された引用文献3(特開2002-340637号公報)、引用文献4(特開昭61-124823号公報)には、次の事項が記載されている。なお、「・・・」は記載の省略を示し、下線は強調のため当審が付した。 (ア)引用文献1(特開2016-155098号公報)に記載された事項 a 「【0012】 この分離膜モジュール1は、筒軸心方向を上下方向とした円筒状ハウジング2と、ハウジング2の軸心線と平行方向に配置された複数の管状分離膜3と、ハウジング2内の下部に設けられた支持板5と、ハウジング2の下端に取り付けられたボトムカバー6A及び上端に取り付けられたトップカバー6Bと、支持板5と平行にハウジング2内の下部及び上部にそれぞれ配置された第1のバッフル(整流板)7及び第2のバッフル(整流板)8等を有する。第1のバッフル7は支持板5の上側に配置されている。 【0013】 この実施の形態では、ハウジング2の下端及び上端側とボトムカバー6A及びトップカバー6Bの外周縁にそれぞれ外向きのフランジ2a,2b,6b,6cが設けられ、ボルト(図示略)によってこれらが固定されている。支持板5の周縁部は、ハウジング2の内周面に周設された支持座2tに支持されている。支持板5の下面外周部と支持座2tの上面との間にシール部材が介在されている。 【0014】 この実施の形態では、管状分離膜3の下端にエンド管4が連結され、管状分離膜3の上端にエンドプラグ20が連結されている。なお、図1~3では、管状分離膜は7本のみ示されているが、実際は図4のように多数本設けられている。また、2本以上の管状分離膜3がジョイント管(図示略)によって連結された管状分離膜連結体とされていてもよい。 【0015】 ハウジング2の下部の外周面に被処理流体の流入口9が設けられ、上部の外周面に非透過流体の流出口10が設けられている。流入口9は、支持板5と第1のバッフル7との間の室11に臨むように設けられている。流出口10は、第2のバッフル8の上側の室12に臨むように設けられている。バッフル7,8間は膜分離を行うための主室13となっている。 ・・・ 【0017】 バッフル7,8の外周面とハウジング2の内周面との間には、Oリング、Vパッキン、Cリングなどのシール部材を介在させてもよい。 【0018】 各バッフル7,8には、管状分離膜3を挿通させるための円形の挿通孔7a,8aが設けられており、管状分離膜3、エンド管4及びエンドプラグ20の連結体が各挿通孔7a,8aに挿通されている。挿通孔7a,8aの口径は、管状分離膜3、エンド管4及びエンドプラグ20の直径(外径)よりも大きく、挿通孔7a,8aの内周面と、エンド管4及びエンドプラグ20の外周面との間に全周にわたって間隙があいている。 【0019】 支持板5の上面側には、管状分離膜3に連結されたエンド管4の下端が差し込まれた差込穴5aが設けられている。差込穴5aは、円柱形であり、支持板5の上面から厚み方向の途中まで延在している。差込穴5aの穴底は、小孔5bと大孔5cとを介して支持板5の下側の流出室16に臨んでいる。 【0020】 各エンド管4の管孔4aは、小孔5b及び大孔5cを介して、ボトムカバー6Aと支持板5との間の流出室16に連通している。ボトムカバー6Aには、分離された透過流体の取出口6aが設けられている。 【0021】 図示は省略するが、エンド管4の下端近傍の外周面に溝が周設され、フッ素ゴム、フッ素樹脂などよりなるOリングが装着されている。また、エンド管4の下端面にもエンド管4の管孔4aと同心状の溝が周設され、Oリングが装着されている。これらのOリングが差込穴の内周面と差込穴5aの穴底面に密着することによりエンド管4の外面と差込穴5aとの間のシールが行われる。なお、エンド管4の外周面のOリングと下端面のOリングとは、いずれか一方のみが設けられてもよい。 ・・・ 【0023】 管状分離膜3の上端にエンドプラグ20が連結されている。エンドプラグ20は円柱状またはこれの一部を削った形状であり、管状分離膜3の上端を封止している。エンドプラグ20の下端には、管状分離膜3内に差し込まれた小径部が設けられている。エンドプラグ20と管状分離膜3との間はOリングによってシールされている。また、エンドプラグ20と管状分離膜3は、Oリングを使用せず、熱収縮チューブを用いることでシールしてもよいし、Oリングを使用した上にさらに熱収縮チューブを用いてもよい。 ・・・ 【0025】 この実施の形態では、管状分離膜3の上端側にエンドプラグ20を配置しているので、管状分離膜3、エンドプラグ20、及びエンド管4に対し、それらの端面同士が押し付けられる方向に荷重がかかっている。 ・・・ 【0027】 この分離膜モジュール1において、被処理流体は流入口9からハウジング2の室11内に導入され、バッフル7の挿通孔7aの内周面とエンド管4の外周面との間の間隙を通って主室13に流入し、主室13を通った後、バッフル8の挿通孔8aとエンドプラグ20との間隙を通って室12に流出する。主室13を流れる間に被処理流体の一部の成分が管状分離膜3を透過して管状分離膜3内から流出室16及び取出口6aを介して取り出される。透過しなかった流体は、流出口10から分離膜モジュール1外に流出する。」 b 「【0046】 管状分離膜3は、好ましくは、管状の多孔質支持体と、該多孔質支持体の外周面に形成された無機分離膜としてのゼオライト膜とを有する。この管状の多孔質支持体の材質としては、シリカ、α-アルミナ、γ-アルミナ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素などを含むセラミックス焼結体や金属焼結体の無機多孔質支持体が挙げられる。その中でもアルミナ、シリカ、ムライトのうち少なくとも1種を含む無機多孔質支持体が好ましい。多孔質支持体表面が有する平均細孔径は特に制限されるものではないが、細孔径が制御されているものが好ましく、通常0.02μm以上、好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上であり、通常20μm以下、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下の範囲が好ましい。」 c 「【図1】 [図:0001421010000001.jpg] 」 (イ)引用文献5(原徹編「化学技術者のためのシールハンドブック」、別冊化学工業第12巻第1号、株式会社化学工業社、昭和43年1月15日発行)に記載された事項 a 「<I> 総論 1.シールとその種類 圧力容器,管などの接手部分や,ポンプや油圧シリンダなどの運動部分から作動流体の漏れを防ぐ密封装置は,これを総称してシール(seals)とよび,動的シールを一般にパッキン(packings),静的シールをガスケット(gaskets)とよんでいる.1)シールは作動流体の温度や圧力が高くなく,かつ特殊な流体でない時代には動植物繊維などですんだものと思われるが,産業の発展,技術の進歩に伴って使用する流体の種類も拡大し,その圧力や温度の範囲も広くなるとともに材料,形状ともに多様になり,ことに近年石油精製,石油化学,原子力などの発展や航空機,ロケットなどの異常な進歩は苛酷な要求をシール類にも課すことになってきた.この要求に応えるためには材料面においては耐油,耐熱性などのすぐれた各種の合成ゴム,耐熱,耐薬品性のきわめて大きい四フッ化エチレン樹脂の利用となり,さらに苛酷な条件の回転用シールとしては炭素のほかセラミック,その他の耐熱,耐食,耐摩耗物質を利用したメカニカルシールの開発など,近来の発展はめざましいものがある. シール類の種類はきわめて多様であり,これの分類は必ずしも一定していないが,一応各種のシールをまとめて示すと表1のように表わすことができる. [図:0001421010000002.jpg] 」(第1~2ページ) b 「<III> 製品編 <III-1> 非金属ガスケット (1)繊維・ゴム・樹脂系ガスケット 1.ガスケットによるシール ガスケットとは金属とか磁器,グラスライニングなど比較的硬質のフランジの間にはさんで,静止部分のシールを容易にするための材料を総称する.したがってガスケットは一般に軟質のもので,フランジになじみ,適当な締付荷重によってシール性能がえられる.シールに必要な締付圧は流体圧その他の条件でも変ってくるものであるが,基本的には個々のガスケット材料の性質によるものである.ここで述べる紙質,ゴム質および樹脂系ガスケットはもっとも軟質のものに属し汎用のガスケットとして広く用いられるものが多い.一方条件的には弗素樹脂ガスケットとか,一部の特殊ゴム材料を除いてはあまり苛酷なところには適さないものである. 2.シールにおける軟質ガスケットの挙動 ガスケットをフランジに挿入し,次第に締付荷重を加えた場合の挙動はつぎのようになる. 最初フランジにガスケットを挿入したままの状態では,フランジおよびガスケット両面とも凹凸があってたがいに面の凸部のみで接しており,空隙があいている(図1(a)).この状態ではもちろんシール性はえられていない.これをボルトで締付けていくとガスケットは変形してフランジの凹凸になじみ次第に接触面を増し,これに応じて空隙は減少し,その平均隙間径も小さくなり,漏れ量は少なくなる.この状態における漏れ量からフランジとガスケットとの間の平均の隙間径を計算することも可能である. さらに締付圧を上げていくと接触面積は増し,隙間は減少して,ついに,わずかの圧力であれば漏れが起らなくなる状態となる(図1(b)および図2A点).ただし,この状態でもなお一般にガスケットとフランジは全面で完全に接触しているのではなく,かなりの比率の未接触部分を残している.そして内圧がわずか上昇しても漏れを起こす.安定したより高いシール圧をえるにはさらに締付圧を増す必要がある. [図:0001421010000003.jpg] 」(第75ページ) c 「6.繊維質ガスケット ガスケット材料に用いられる繊維質としては有機質のもの,および無機質のものがある.有機質繊維材料としてはパルプ,木綿,リンターなどがあり,無機質繊維は主として石綿(大部分は白石綿)が用いられる. ・・・ 有機質繊維によるものはオイルシート,バルカナイズドファイバーがよく用いられる.石綿を主体とするものでは石綿ジョイントシート,石綿板,ビーターシート,石綿クロスなどある.」(第79ページ) d 「7.ゴム質材料 ・・・ ゴム材料はガスケットとしては石綿やその他繊維質材料のバインダーとして用いられることが多いが,ゴム質単体によるシート状ガスケットやOリング角リングなどのモールド製品も広く使用されている. ・・・ 7・1 ゴムシートガスケット ゴムシートを打抜いたものが使用される.軟質ガスケットに属し,低締付圧で用いるシートガスケットである.・・・したがって締結圧のもっとも少なくてすむガスケットとしてとくに締結圧をあまりとることのできないフランジに適する.しかし一般のフランジにも比較的よく用いられる. ・・・ 7・2 Oリングガスケット Oリングは,ガスケットとしてもパッキンとしても用いられる断面円形のシール用のリングで,シール部分にもうけたみぞにはめ込んで使用するものである.Oリングの材料はゴムまたはゴムに類似の弾性的な性質をもっているものを用い,これに内圧または外圧でかかると弾性変形を生じて隙間を防ぐことによってシール作用を行なう. ・・・ Oリングを使用する場合にとくに考慮しなければならない点は,使用する流体の種類,温度,圧力によってOリングの材質を変えなければならないことと,Oリングの寸法の設計をあやまらないようにすることである.」(第82~83ページ) e 「8.樹脂系ガスケット(弗素樹脂ガスケット) 樹脂材料――いわゆるプラスチックスはガスケット材料として必ずしものぞましい物性をもっているものではない.しかし弗素樹脂のように非常にすぐれた他の物性をもっているものでは,その欠点を克服して広くガスケットとして利用されている.弗素樹脂の中でもおもに用いられるのは四弗化エチレン樹脂(TFE)で,卓越した耐薬品性を生かして化学工業を中心としていろいろの分野に広く用いられ,需要に応じて種々の新しい形式のものもつねに開発されている.四弗化エチレン樹脂ガスケットの主要なものはTFEシート,クッションガスケット,充てん剤入りシート,TFE含浸アスベストクロス,TFEアスベストフェルト,TFEアンシンタードロッドなどである.」(第84ページ) f 「<III-2> 金属ガスケット (2)一般メタリックガスケット 1.概説 使用条件が苛酷になるにしたがい,非金属ガスケットでは十分安定したシールができなくなる.そのため金属の強靱さと耐熱性に依存したメタリックガスケットが要求される. 一般に使用圧力(kg/cm2)と温度(℃)の積が10,000を超える場合にはメタリックガスケットの使用を考慮すべきであるといわれる.非金属ガスケットでは500℃以上の温度,または150kg/cm2以上の圧力では使用できないとされている. 一般メタリックガスケットでもいろいろな種類があるが,大別すればメタリックおよびセミメタリックに大別される.図1はそれぞれの形およびその最低締付荷重を示したもので,一般に文献にみられる数値である.ASME codeには適用できない.もちろん数値は最適なフランジ仕上面の場合である. [図:0001421010000004.jpg] メタリックガスケットの選択にあたっては,使用する温度,圧力,流体の種類,フランジの形式および仕上度合を考慮しなければならない.もっとも留意すべきは使用ガスケットに必要な荷重が加わっているかどうかをあらかじめ予測しておかなければならない.一般に初期ボルト荷重から算出されるガスケット荷重と,使用状態におけるガスケット荷重とはいちじるしく異なるもので,ボルト断面積が十分でない場合はとくにいちじるしい. 1・1 温度条件 温度条件はガスケット選択にあたり重要な因子となるものであり,セリメタリックガスケットでは使用するクッション材の耐熱度による.たとえば,石綿を使用した場合,連続使用では約500℃が限界である.金属の耐熱温度はもちろん使用する雰囲気で異なるが,一般には表1に示される. [図:0001421010000005.jpg] 」(第111~112ページ) (ウ)引用文献6(特開平2-139014号公報)に記載された事項 a 「第1図は本発明の濾過素子の横断面図であり、第2図は第1図の濾過素子を組込んだフィルターの縦断面図である。 第1図および第2図において、両端面がガラス質組成物などの気密層1および1で覆われた円柱形の多孔性セラミックに、その縦方向に互いに平行で、かつ、等間隔に19本の円筒形の貫通孔が設けられた円柱形のセラミック構造体2の中央に位置する貫通孔3aを除き、残る18本の貫通孔3b,…,3bの内壁面には微多孔性のセラミック薄膜4が形成されて濾過素子5とされている。第2図において、濾過素子5の上端面に濾過素子5の直径とほぼ同じ直径の円板形で、かつ、中央に孔6を有するガスケット7および円形蓋状で、かつ、側面に流通孔8,…,8が穿孔された円筒部9着を有する押え金具10が重ね合わされ、流体の入口11を有する円筒状の上側ケース12に挿入されている。 一方、濾過素子5の下端面には流体の出口13を有する円筒状の下側ケース14に挿入され、リング状のガスケット15を介して下側ケース14の当り面16と、また、貫通孔3aの位置する中央部は円板形のガスケット17および上端が封じられ側面に流通孔18,…,18を有するする円筒形の押え金具19を介して下側ケース14の内面とそれぞれ接している。・・・ 上側ケース12と下側ケース14とを両側から締め付けることにより、濾過素子5の側面周囲空間および貫通孔3aと貫通孔3b,…,3b側空間とはガスケット7、15および17によって気密に仕切られ、この状態で上側ケース12と下側ケース14とが接合部20で溶接によって接合されている。 〔作 用〕 入口11からフィルター内に入った流体は押え金具10の円筒部9の流通孔8、…、8を経て濾過素子5の側面周囲の空間に至り、セラミック構造体2のセラミック層を外側から内側へと流れてセラミック薄膜4の表面に達し、セラミック薄膜4によって2次側である貫通孔3b内に濾過される。一方、入口11からフィルター内に入った流体の一部は押え金具10の円筒部、テフロンガスケット7の孔6を経て貫通孔3aに至り、セラミック構造体2のセラミック層を中央から外側へと流れてセラミック薄膜4の表面に達し、セラミック薄膜4によって貫通孔3b内に濾過される。粒子が除去された貫通孔3b内の流体は濾過素子5の下部空間から押え金具19の流通孔18,…,18を経て出口13から出る。」(第2ページ左下欄15行~第3ページ右上欄2行) b 「 [図:0001421010000006.jpg] 」(第5ページ) (エ)引用文献3(特開2002-340637号公報)に記載された事項 a 「【0012】本発明に係る第1の実施形態の電磁流量計は、図1に示すように、配管1の間に配設するものであり、流路15を形成すると共に端部側にOリング16を装着する溝17を設けたセラミックスパイプ18と、セラミックスパイプ18の端部に装着するシール部材であるガスケット19と、このガスケット19の外側からセラミックスパイプ18に装着するアースリング20と、アースリング20の螺合部21に螺合して装着するハウジング22とから構成されている。」 b 「【図1】 [図:0001421010000007.jpg] 」 (オ)引用文献4(特開昭61-124823号公報)に記載された事項 a 「第1図は従来技術に係る電磁流量計検出器の構造図で、第2図は第1図のA-A′線断面図である。第1図及び第2図において、1は測定流体を通す導管、2は導管内面を電気的に絶縁する絶縁性ライニング、3・3a・3bは流量信号を検出する電極、4・4a・4bは絶縁性スペーサ、5・5a・5bは磁界を作る励磁コイル、6は鉄心、7は磁気回路を収納する外筒、8・8a・8bは電極で検出した流量信号を外部へ伝送するための信号引出線、9は測定流体を接地するためのアースリング、10はアースリングと外筒を連結する短絡線で、これらが一体となつて流量を測定する電磁流量計検出器を形成する。」(第1ページ右欄10行~第2ページ左上欄2行) b 「以下、本発明の一実施例を第5図から第7図により説明する。なお、従来技術と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。 第5図おいて、1cは従来のライニングと導管を一体に成形したセラミツクス導管で、外周部を角度θで大きな面取りをしてある。4′は断熱作用のある絶縁スペーサで、導管1cと励磁コイル5の取付け寸法を決め、更に測定流体からの直接的な伝熱を遮断している。7cは、本発明の外筒で、導管1cの管軸方向長さに比べて、外筒の管軸方向長さを極力短かくしている。」(第2ページ左下欄9~19行) c 「次に第6図は、・・・セラミツクス導管1dのフレア部に凹形状の溝を少なくとも1本以上設け、アースリング9と導管1d間及びアースリング9と配管フランジフレア部間の液洩れ防止に、セルフシーリングガスケツトつまり耐食性に優れたOリングを用いるものである。」(第3ページ左下欄9~15行) d 「図面の簡単な説明 第1図は従来技術に係る電磁流量計の構造図、第2図は第1図のA-A′線断面図、・・・第5図・第6図・第7図は本発明の実施例を示す構造図である。 1…導管、2…絶縁性ライニング、3・3a・3b…電極、4・4a・4b…絶縁スペーサ、5・5a・5b…励磁コイル、6…鉄心、7…外筒、8・8a・8b…信号引出線、9…アースリング、10…短絡線、11…Oリング、12…ガスケツト、1c・1d・1e…本発明のセラミツクス導管、4′…耐熱性絶縁スペーサ、7c…本発明の外筒」(第4ページ左上欄15行~右上欄6行) e 「 [図:0001421010000008.jpg] [図:0001421010000009.jpg] 」(第4ページ) イ 引用文献1に記載された発明 引用文献1には、上記ア(ア)cの【図1】に分離膜モジュールの具体例が示されており、この分離膜モジュールを説明している上記ア(ア)aの記載について、下線を付している箇所をまとめると、以下の分離膜モジュールが記載されているといえる。 「筒軸心方向を上下方向とした円筒状ハウジング2と、ハウジング2の軸心線と平行方向に配置された複数の管状分離膜3と、ハウジング2内の下部に設けられた支持板5と、ハウジング2の下端に取り付けられたボトムカバー6A及び上端に取り付けられたトップカバー6Bと、支持板5と平行にハウジング2内の下部及び上部にそれぞれ配置された第1のバッフル(整流板)7及び第2のバッフル(整流板)8等を有し、第1のバッフル7は支持板5の上側に配置され、 管状分離膜3の下端にエンド管4が連結され、 ハウジング2の下部の外周面に被処理流体の流入口9が設けられ、上部の外周面に非透過流体の流出口10が設けられ、流入口9は、支持板5と第1のバッフル7との間の室11に臨むように設けられ、流出口10は、第2のバッフル8の上側の室12に臨むように設けられ、 支持板5の上面側には、管状分離膜3に連結されたエンド管4の下端が差し込まれた差込穴5aが設けられ、差込穴5aは、円柱形であり、支持板5の上面から厚み方向の途中まで延在し、差込穴5aの穴底は、小孔5bと大孔5cとを介して支持板5の下側の流出室16に臨み、各エンド管4の管孔4aは、小孔5b及び大孔5cを介して、ボトムカバー6Aと支持板5との間の流出室16に連通し、 エンド管4の下端面にもエンド管4の管孔4aと同心状の溝が周設され、Oリングが装着され、これらのOリングが差込穴の内周面と差込穴5aの穴底面に密着することによりエンド管4の外面と差込穴5aとの間のシールが行われ、 被処理流体は流入口9からハウジング2の室11内に導入され、(第1の)バッフル7の挿通孔7aの内周面とエンド管4の外周面との間の間隙を通って主室13に流入し、主室13を通った後、(第2の)バッフル8の挿通孔8aとエンドプラグ20との間隙を通って室12に流出し、主室13を流れる間に被処理流体の一部の成分が管状分離膜3を透過して管状分離膜3内から流出室16及び取出口6aを介して取り出される、 分離膜モジュール。」 そして、上記ア(ア)bの【0046】の記載によれば、上記ア(ア)cの【図1】に記載される分離膜モジュールの「管状分離膜3は」、「管状の多孔質支持体と、該多孔質支持体の外周面に形成された無機分離膜としてのゼオライト膜とを有し、この管状の多孔質支持体の材質としては、シリカ、α-アルミナ、γ-アルミナ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素などを含むセラミックス焼結体や金属焼結体の無機多孔質支持体」であるものであるといえる。 そうすると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 「筒軸心方向を上下方向とした円筒状ハウジングと、ハウジングの軸心線と平行方向に配置された複数の管状分離膜と、ハウジング内の下部に設けられた支持板と、ハウジングの下端に取り付けられたボトムカバー及び上端に取り付けられたトップカバーと、支持板と平行にハウジング内の下部及び上部にそれぞれ配置された第1のバッフル(整流板)及び第2のバッフル(整流板)等を有し、第1のバッフルは支持板の上側に配置され、 管状分離膜の下端にエンド管が連結され、 ハウジングの下部の外周面に被処理流体の流入口が設けられ、上部の外周面に非透過流体の流出口が設けられ、流入口は、支持板と第1のバッフルとの間の室に臨むように設けられ、流出口は、第2のバッフルの上側の室に臨むように設けられ、 支持板の上面側には、管状分離膜に連結されたエンド管の下端が差し込まれた差込穴が設けられ、差込穴は、円柱形であり、支持板の上面から厚み方向の途中まで延在し、差込穴の穴底は、小孔と大孔とを介して支持板の下側の流出室に臨み、各エンド管の管孔は、小孔及び大孔を介して、ボトムカバーと支持板との間の流出室に連通し、 エンド管の下端面にもエンド管の管孔と同心状の溝が周設され、Oリングが装着され、これらのOリングが差込穴の内周面と差込穴の穴底面に密着することによりエンド管の外面と差込穴との間のシールが行われ、 被処理流体は流入口からハウジングの室内に導入され、第1のバッフルの挿通孔の内周面とエンド管の外周面との間の間隙を通って主室に流入し、主室を通った後、第2のバッフルの挿通孔とエンドプラグとの間隙を通って室に流出し、主室を流れる間に被処理流体の一部の成分が管状分離膜を透過して管状分離膜内から流出室及び取出口を介して取り出され、 管状分離膜は、管状の多孔質支持体と、該多孔質支持体の外周面に形成された無機分離膜としてのゼオライト膜とを有し、この管状の多孔質支持体の材質としては、シリカ、α-アルミナ、γ-アルミナ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素などを含むセラミックス焼結体や金属焼結体の無機多孔質支持体である、 分離膜モジュール。」 ウ 引用文献5、6、3、4から認定できる周知技術 (ア)引用文献5に記載された事項について 引用文献5には、上記ア(イ)aの特に下線部のとおり、「管などの接手部分」等から作動流体の漏れを防ぐ密封装置をシールとよび、そのうちの静的シール部材を「ガスケット」とよぶことが記載されている。そして、同文献には、上記ア(イ)c「6.繊維質ガスケット」、同d「7・1 ゴムシートガスケット」、同e「8.樹脂系ガスケット」の各項目や、同fの「図1 メタリックガスケット」内に、「シート」又は断面が「平面形」である形状、すなわち平板状のガスケットが複数列記されているとともに、同d「7・2 Oリングガスケット」や同fの「図1 メタリックガスケット」内に、「Oリング」の形状を有するガスケットも記載されている。 (イ)引用文献6に記載された事項について 引用文献6には、上記ア(ウ)bの第1~2図に示される、濾過素子を組込んだフィルターが記載されており、当該フィルターは、上記ア(ウ)aの特に下線部のとおり、円柱形のセラミック構造体2の中央に貫通孔3aが位置する濾過素子5の上端面に、「円板形で、かつ、中央に孔6を有するガスケット7」および押え金具10が重ね合わされる構成を有しており、当該ガスケット7が「気密に仕切」る作用、すなわちシール作用を有すること、また、当該ガスケット7の孔6を経て濾過素子中央の貫通孔3aへと流体が通過することが記載されている。 上述の濾過素子5は、その中央部に流体が通過する貫通孔を有する円柱形の部材であるから、中央部に流路を有する管であることが理解できる。また、上述のガスケット7の「円板形で、かつ、中央に孔6を有する」形状は、濾過素子5の端部に装着され、かつ、その流路を塞がないための形状であることが理解できる。 (ウ)引用文献3に記載された事項について 引用文献3には、上記ア(エ)bの【図1】に示される電磁流量計が記載されており、当該電磁流量計は、上記ア(エ)aの特に下線部のとおり、流路15を形成すると共に端部側にOリング16を装着する溝17を設けたセラミックスパイプ18と、セラミックスパイプ18の端部に装着するシール部材である「ガスケット19」と、このガスケット19の外側からセラミックスパイプ18に装着するアースリング20等から構成されることが記載されている。 そして、上述のセラミックパイプ18は、その中央部に流路15を有する管であることが理解できる。また、【図1】は、セラミックスパイプ18の中心軸を通る断面図であると理解できるところ、上述のガスケット19は、セラミックスパイプ18の端部に装着されるように円板状であるとともに、流路15を塞がないように中央部に開口が設けられていることが把握できる。 (エ)引用文献4に記載された事項について 引用文献4には、上記ア(オ)eの第6図に示される電磁流量計検出器が記載されており、当該第6図について説明する上記ア(オ)cのとおり、当該電磁流量計検出器では、セラミック導管1dとアースリング9との間の液洩れ防止のために「Oリング11」が用いられている。また、同文献には、同eの第5図に示される電磁流量計検出器も記載されており、第5図における符号「1c」、「12」、「9」と、第6図における符号「1d」、「11」、「9」との対応から、当該第5図の電磁流量計検出器において、上記Oリング11と同様に、アースリング9と導管1c間の液漏れ防止のために「ガスケット12」が用いられることが記載されているといえる。 そして、上述の第5~6図の導管1c及び1dは、従来の電磁流量計検出器を示す同eの第1~2図の導管1と同じく円筒形状であり、その中央部に測定流体を通すためのものであるから、中央部に流路を有する管であることが理解でき、また、その管の端面に配置するシール部材として、Oリング11及びガスケット12が同様に使用可能であることが理解できる。さらに、上述のガスケット12は、導管1cの端部に装着されるように円板状であるとともに、流路を塞がないように中央部に開口が設けられていることが把握できる。 (オ)上記(ア)~(エ)から認定できる周知技術 上記(ア)に示されるとおり、平板状のガスケット及びOリングは、いずれも、「管などの接手部分」から作動流体の漏れを防ぐシール部材として、特定の技術分野に制限されることなく、広く用いられているものといえる。例えば、平板状のガスケットの適用例である、上記(イ)の濾過素子5の端面や、上記(ウ)又は(エ)のセラミックスパイプ18又はセラミックス導管1cの端面は、いずれも中央部に流路を有する管の接手部分として理解できることから、技術分野によらず、当該形態の管の接手部分のシール部材として、平板状のガスケットを採用し得ることが把握できる。また、上記(エ)のOリング11とガスケット12のように、平板状のガスケット及びOリングは、中央部に流路を有する管の接手部分のシール部材として、両者とも同様に使用可能であることが把握できる。 加えて、上記(イ)~(エ)のとおり、上記濾過素子、セラミックスパイプ、セラミックス導管のように、中央部に流路を有する管の接手部分のシール部材として、これらの管の端面に配置された平板状のガスケットは、いずれも円板状で、流路に対応する位置すなわち中央部に開口が設けられた形状とされているところ、このような形状は、中央部に流路を有する管の端面に配置されるガスケットの形状として、当業者に周知であるといえる。 以上によれば、平板状のガスケットは、Oリングと同様に、中央部に流路を有する管の接手部分のシール部材として、ごく一般的に使用されるものといえるし、中央部に流路を有する管の接手部分のシール部材として、管の端面に、円板状であり、中央部に開口が設けられているガスケットを配置することは、周知技術であるといえる。 エ 対比・判断 (ア)補正発明と引用発明との対比 補正発明と引用発明とを対比する。 a 引用発明の「ハウジングの軸心線と平行方向に配置された複数の管状分離膜」は、ハウジングの室内に導入された被処理流体の成分を分離するものである点と上記ア(ア)cの【図1】の記載を踏まえれば、「ハウジング内」に配置されることが明らかであり、また、「ハウジングの軸心線と平行方向」は、「筒軸心方向を上下方向とした円筒状ハウジング」の「長手方向」に一致することが明らかであるから、引用発明の「筒軸心方向を上下方向とした円筒状ハウジングと、ハウジングの軸心線と平行方向に配置された複数の管状分離膜と」「を有し」との構成は、補正発明の「筒状のハウジングと、該ハウジング内に該ハウジングの長手方向に配置された複数の管状分離膜とを有し」との構成に相当する。 b 引用発明の「管状分離膜は、管状の多孔質支持体と、該多孔質支持体の外周面に形成された無機分離膜としてのゼオライト膜とを有し、この管状の多孔質支持体の材質としては、シリカ、・・・などを含むセラミックス焼結体や金属焼結体の無機多孔質支持体である」との構成は、補正発明の「該管状分離膜は、管状の無機多孔質支持体を含み」との構成に相当する。 c 引用発明において「ハウジングの下部」を「一端側」、「ハウジングの」「上部」を「他端側」と呼称することができるところ、引用発明における「ハウジングの下部の外周面に被処理流体の流入口が設けられ、上部の外周面に非透過流体の流出口が設けられ」ているとの構成から、当該「被処理流体の流入口」は「ハウジング」の「一端側」に存在し、当該「非透過流体の流出口」は「ハウジング」の「他端側」に存在するといえる。さらに、引用発明における「流入口は、支持板と第1のバッフルとの間の室に臨むように設けられ、流出口は、第2のバッフルの上側の室に臨むように設けられ」ているとの構成から、当該「支持板と第1のバッフルとの間の室」は「ハウジング」の「一端側」に存在し、当該「第2のバッフルの上側の室」は「ハウジング」の「他端側」に存在するといえる。 また、引用発明の「被処理流体は流入口からハウジングの室内に導入され、第1のバッフルの挿通孔の内周面とエンド管の外周面との間の間隙を通って主室に流入し、主室を通った後、第2のバッフルの挿通孔とエンドプラグとの間隙を通って室に流出し」との構成において、「流入口から」「被処理流体」が「導入され」る「ハウジングの室」は、前段落の「支持板と第1のバッフルとの間の室」を指しており、「主室を通った後、第2のバッフルの挿通孔とエンドプラグとの間隙を通って」「被処理流体」が「流出」する「室」は、上記「第2のバッフルの上側の室」を指していると解される。 そして、「被処理流体」が「導入され」る「ハウジングの室」すなわち「支持板と第1のバッフルとの間の室」が「ハウジング」の「一端側」に存在し、「被処理流体」が「流出」する「室」すなわち「第2のバッフルの上側の室」が「ハウジング」の「他端側」に存在することからすると、引用発明の「被処理流体は流入口からハウジングの室内に導入され、第1のバッフルの挿通孔の内周面とエンド管の外周面との間の間隙を通って主室に流入し、主室を通った後、第2のバッフルの挿通孔とエンドプラグとの間隙を通って室に流出し」との構成は、補正発明の「被処理流体が該ハウジング内を一端側から他端側に流れ」との構成に相当する。 d 引用発明の「主室を流れる間に被処理流体の一部の成分が管状分離膜を透過して管状分離膜内から流出室及び取出口を介して取り出され」との構成について、当該「透過」した後の「被処理流体の一部の成分」は、「管状分離膜」の内部を通って「流出室及び取出口」に向かうものであるから、引用発明の当該構成は、補正発明の「管状分離膜を透過した流体が該管状分離膜を通って取り出される」との構成に相当する。 e 上記cのとおり、引用発明の「ハウジングの下部」を「一端側」と呼称すると、「管状分離膜の下端」も「ハウジングの下部」と同じく「一端側」にある部分といえるところ、引用発明の「管状分離膜の下端にエンド管が連結され」との構成は、補正発明の「該管状分離膜の一端部にエンド管が接続され」との構成に相当する。 f 引用発明の「ハウジング内の下部に設けられた支持板」は「支持板と第1のバッフルとの間の室」と「支持板の下側の流出室」とを区画するものであることと、上記ア(ア)cの【図1】における支持板5の記載からすると、当該「支持板」は、「ハウジングを横断するように設置」されるものといえる。そして、引用発明の「支持板の上面側には、管状分離膜に連結されたエンド管の下端が差し込まれた差込穴が設けられ」との構成と上記【図1】の記載から認識できるとおり、引用発明の「エンド管」は、補正発明と同じく「前記ハウジングを横断するように設置された支持板の一方の板面から突出している」との構成を備えている。 そうすると、引用発明の「支持板の上面側には」「エンド管の下端が差し込まれた差込穴が設けられ」との構成は、補正発明の「該エンド管は、前記ハウジングを横断するように設置された支持板の一方の板面から突出している」とともに「該支持板の一方の板面に差込穴が設けられ、前記エンド管が該差込穴に差し込まれており」との構成に相当する。 g 引用発明の「分離膜モジュール」における「エンド管の下端面にもエンド管の管孔と同心状の溝が周設され、Oリングが装着され、これらのOリングが差込穴の内周面と差込穴の穴底面に密着することによりエンド管の外面と差込穴との間のシールが行われ」との構成は、本願発明の「該エンド管の端面と差込穴の底面との間がガスケットでシールされており、該ガスケットは円板状であり、中央部に開口が設けられている」「分離膜モジュール」と、「エンド管の端面と差込穴の底面との間がシールされている、分離膜モジュール」の点で共通している。 h 上記a~gからすると、補正発明と引用発明は、 「筒状のハウジングと、 該ハウジング内に該ハウジングの長手方向に配置された複数の管状分離膜と を有し、 該管状分離膜は、管状の無機多孔質支持体を含み、 被処理流体が該ハウジング内を一端側から他端側に流れ、管状分離膜を透過した流体が該管状分離膜を通って取り出される分離膜モジュールであって、 該管状分離膜の一端部にエンド管が接続され、 該エンド管は、前記ハウジングを横断するように設置された支持板の一方の板面から突出している分離膜モジュールにおいて、 該支持板の一方の板面に差込穴が設けられ、前記エンド管が該差込穴に差し込まれており、 該エンド管の端面と差込穴の底面との間がシールされている、 分離膜モジュール。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1> 「エンド管の端面と差込穴の底面との間」の「シール」が、補正発明では「円板状であり、中央部に開口が設けられている」「ガスケット」により行われるのに対し、引用発明では「Oリング」により行われる点。 (イ)相違点1に対する判断 引用発明の「エンド管の端面と差込穴の底面との間」のシールについて、引用文献1には、上記ア(ア)aの【0021】の「エンド管4の下端面にもエンド管4の管孔4aと同心状の溝が周設され、Oリングが装着されている。これらのOリングが差込穴の内周面と差込穴5aの穴底面に密着することによりエンド管4の外面と差込穴5aとの間のシールが行われる。」との記載のとおり、上述の部位をシールするための具体的な部材として「Oリング」のみが記載されているものの、特に「Oリング」でなければ、当該部位をシールできないという事情は読み取れないため、上述のシールを行うにあたっては、当業者であれば、当該部位に対応可能な他のシール部材の使用も考え得るといえる。 そして、上記ウ(オ)のとおり、平板状のガスケットは、Oリングと同様に、中央部に流路を有する管の接手部分のシール部材として、ごく一般的に使用されるものといえるし、引用発明の「エンド管」は、中央部に流路を有する管であるところ、「中央部に流路を有する管の接手部分のシール部材として、管の端面に、円板状であり、中央部に開口が設けられているガスケットを配置する」との周知技術のように、引用発明の「エンド管の下端面と該差込穴の底面との間」のシール部材として、「Oリング」に代えて、エンド管の下端面に、「円板状であり、中央部に開口が設けられている」「ガスケット」を配置することは、当業者であれば容易に想到し得るといえる。 (ウ)補正発明の効果について a 最初に、本願明細書において、発明の効果に対応するものとして記載されている事項を確認する。 本願明細書【0014】には、【発明の効果】として、「本発明では、エンド管の端面と差込穴の底面との間に介在されたガスケットによってエンド管と支持板との間のシールが行われる。管状分離膜及び支持板から加えられる荷重が大きくても、またエンド管が若干傾いたりしても、エンド管の端面と差込穴の底面との間にガスケットが介在し、かつエンド管端面及び差込穴底面がガスケットに十分に押し付けられるので、エンド管と支持板との間のシール性能が良好である。」との記載があり、この「シール性能」に関する効果が「本発明」の効果として想定されているものといえる。 加えて、本願明細書【0007】には、「本発明は、・・・シール性能が良好であると共に、広い温度領域で使用可能であり、エンド管の製造も、分離膜モジュールの組み立ても容易である分離膜モジュールを提供することを目的とする。」とも記載されており、「本発明」がこの「目的」を達成するものであるとすると、前段落の「シール性能が良好」との効果以外に、「広い温度領域で使用可能であ」ることと、「エンド管の製造も、分離膜モジュールの組み立ても容易である」ことも、「本発明」の効果として想定されているものといえる。 そこで、「管状分離膜及び支持板から加えられる荷重が大きくても、またエンド管が若干傾いたりしても、・・・シール性能が良好である」との効果、「広い温度領域で使用可能であ」るとの効果、「エンド管の製造も、分離膜モジュールの組み立ても容易である」との効果のそれぞれについて、以下、検討する。 b 「管状分離膜及び支持板から加えられる荷重が大きくても、またエンド管が若干傾いたりしても、エンド管の端面と差込穴の底面との間にガスケットが介在し、かつエンド管端面及び差込穴底面がガスケットに十分に押し付けられるので、エンド管と支持板との間のシール性能が良好である」との効果について (a)当該効果については、本願明細書に以下のとおり説明されており、本願【図1】には、以下の説明に沿って管状分離膜3、エンド管4、ガスケット30等が設置された分離膜モジュールが示されている。なお、下線は、強調のため当審が付したものであり、以降の本願明細書の記載事項についても同様である。 「【0033】 この実施の形態では、管状分離膜3の上端側にエンドプラグ20を配置しているので、ガスケット30に対し、エンドプラグ20、管状分離膜3、及びエンド管4の荷重がかかっている。そのため、エンド管4の下端面及び差込穴底面5tがガスケット30に密着し、良好なシール性能が得られる。管状分離膜3等の重量が大きい場合であっても、エンド管4の下端面と差込穴底面5tとの間にガスケット30が必ず介在するので、シール性能が良好である。また、エンド管4が若干傾いても、エンド管4の下端面の全体がガスケット30に密着した状態に保たれるので、良好なシール性能が得られる。 【0034】 なお、本発明では、エンド管4及び支持板5を管状分離膜3の上端側に配置し、エンドプラグ20を管状分離膜3の下端側に配置してもよい。この場合、エンドプラグ20を上方に付勢するためのスプリング等の付勢部材を設けることにより、エンド管上端面及び差込穴底面がガスケット30に押し付けられるように荷重を加えることが好ましい。 ・・・ 【0036】 また、分離工程では管状分離膜3の外側が内側より高圧になるため、その圧力差により管状分離膜3には鉛直下方向に力が働く。この力はエンド管4に伝わりエンド管4がガスケット30に密着する力となりシール性がより良好となる。」 「【図1】 [図:0001421010000010.jpg] 」 (b)上記【0033】で説明される荷重は、管状分離膜等とガスケットとの位置関係や「管状分離膜3等の重量」との記載から、管状分離膜等の重力によりガスケットに加わる荷重のことであるといえる。そして、【0034】及び【0036】の説明も加えると、「管状分離膜及び支持板から加えられる荷重」とは、以下の3種の荷重を指しているといえる。 管状分離膜等の重力によりガスケットに加わる荷重(【0033】) スプリング等の付勢部材によりガスケットに加わる荷重(【0034】) 管状分離膜の外側と内側との間の圧力差によりガスケットに加わる荷重(【0036】) そして、これらの「荷重」が加わり、「エンド管4の下端面及び差込穴底面5tがガスケット30に密着」(【0033】)又は「エンド管4がガスケット30に密着」(【0036】)する作用が働いていることを前提に、「管状分離膜及び支持板から加えられる荷重が大きくても、またエンド管が若干傾いたりしても、エンド管の端面と差込穴の底面との間にガスケットが介在し、かつエンド管端面及び差込穴底面がガスケットに十分に押し付けられるので、エンド管と支持板との間のシール性能が良好である」との効果が発揮されるとしているといえる。 (c)ここで、上記「荷重」のうち、管状分離膜等の重力によりガスケットに加わる荷重についてみると、管状分離膜等の重力が荷重としてガスケットに加わるためには、上記【0033】及び【図1】のように、管状分離膜が鉛直方向に沿って設置され、かつ、ガスケットの鉛直上側に管状分離膜及びエンド管が設置されていることが必要といえる。しかしながら、補正発明は、このように管状分離膜等を設置することを特定していない。 次に、スプリング等の付勢部材によりガスケットに加わる荷重についてみると、補正発明は、このような付勢部材を設置することを特定していない。 また、管状分離膜の外側と内側との間の圧力差によりガスケットに加わる荷重についてみると、この圧力差は、管状分離膜の外側が内側より高圧であるために生じるものであり、当該圧力差による力は、管状分離膜の外側から内側に向かって働くものであるから、必ずしも、エンド管をガスケットに押し付ける方向に力が働くとはいえず、当該圧力差によりガスケットに荷重が加わるとはいえない。 加えて、エンド管が傾くことについてみると、補正発明は、エンド管が差込穴に差し込まれること以外に、管状分離膜及びエンド管の端部をどのように固定するかを特定していないため、必ずしも、補正発明においてエンド管が傾くとはいえない。 そうすると、補正発明では、上記(b)で述べた3種の荷重がガスケットに加わるための構成が特定されていないし、エンド管が傾き得る構成も特定されていないから、「管状分離膜及び支持板から加えられる荷重が大きくても、またエンド管が若干傾いても、」「エンド管端面及び差込穴底面がガスケットに十分に押し付けられるので、エンド管と支持板との間のシール性能が良好である」との効果は、補正発明の効果として認められるものとはいえない。 (d)仮に、補正発明が、上記(b)の効果を発揮するための構成を有しているとしても、上記「荷重」は、Oリングをガスケットに置換したことにより生じるものでなく、管状分離膜等の配置が上記【0033】及び【図1】と合致する引用発明においても、管状分離膜等の重力は必然的に存在しているため、この重力に起因する「荷重」によってエンド管等がガスケットに「密着」する作用は、引用発明のようにOリングによるシールを行うものであっても働いているといえる。なお、上記(c)のとおり、管状分離膜の外側と内側との圧力差による荷重がガスケットに加わるとはいえないが、仮に、このような荷重が存在するとしても、当該圧力差自体は引用発明の管状分離膜にも必然的に生じていることから、引用発明においても、当該圧力差に起因する荷重がガスケットに加わることになるといえる。 また、円板状のガスケットは、Oリングと異なり、シール対象面全体と面接触するものであるから、エンド管の端面と差込穴の底面をシールするガスケットが、上記「荷重」の増大で圧縮されたり、エンド管が傾いたとしても、エンド管の端面と差込穴の底面との間にガスケットが「介在」したままとなり、両面がガスケットに「押し付けられる」状態のままとなることは、当業者にとって明らかといえる。 加えて、引用文献5の上記ア(イ)b「2.シールにおける軟質ガスケットの挙動」の下線部に「締付圧を上げていくと接触面積は増し,隙間は減少して,ついに,わずかの圧力であれば漏れが起らなくなる状態となる」、「安定したより高いシール圧をえるにはさらに締付圧を増す必要がある」と記載されているように、ガスケットに加わる荷重が増加すると、接触面の隙間が減少してシールの安定性が増すことは、当業者に知られた事実であることからすれば、管状分離膜等の重量の増加や付勢部材等の追加部材により上記「管状分離膜及び支持板から加えられる荷重」が大きくなった際に、接触面の隙間の減少によりシール性能が向上し得ることも、当業者にとって明らかといえる。 そうすると、「管状分離膜及び支持板から加えられる荷重が大きくても、またエンド管が若干傾いても、エンド管の端面と差込穴の底面との間にガスケットが介在し、かつエンド管端面及び差込穴底面がガスケットに十分に押し付けられるので、エンド管と支持板との間のシール性能が良好である」との効果は、格別なものでない。 c 「広い温度領域で使用可能であ」るとの効果について (a)当該効果に関して、本願明細書には、以下の記載がある。 「【0043】 図7,8を参照して、本発明における他の実施の形態を説明する。 【0044】 本実施の形態では、支持板50に設けられた差込用貫通孔51は、支持板50を貫通するように設けられるとともに、ガスケット30を設置するためのガスケット設置凹部52が、管状分離膜側にザグリ加工で形成される。該凹部52は差込用貫通孔51よりも大径である。 【0045】 エンド管40は、先端(下端)近傍にフランジ部41を備えている。また、エンド管40は、フランジ部41よりも下方に突出するように差込部42を有する。差込部42は差込用貫通孔51を突き抜ける長さを有している。差込部42の下端直近の外周面に雄ネジ43が設けられている。 【0046】 図8に示されるように、水平に保持された支持板50のガスケット設置凹部52に、ガスケット30を嵌め込んだ後、分離膜3、エンドプラグ20等を組み付けたエンド管40を差込用貫通孔51に挿通させ、ガスケット30を、凹部52の底面とフランジ部41との間で挟み付ける。 ・・・ 【0050】 図7,8の実施の形態は、図1~6に示した実施の形態に比べて、構造ならびに組み立て作業が複雑になる反面、ガスケット30は、ガスケット設置凹部52内に、フランジ4の底面と、差込部51で限定された空間に配置されるため、ガスケット30に加わる圧力の設定が容易になる。また、ガスケット30の変形が抑制され、シリコーンゴムやフッ素系ゴム等の高分子系エラストマでも、変形が限定され、比較的高い温度でも安定したシール性が維持可能になる。」 「【図7】 [図:0001421010000011.jpg] 」 上記【0050】に記載されているように、【図7】に示される実施の形態は、「比較的高い温度でも安定したシール性が維持可能」なものとされている。しかしながら、この形態は、【0044】~【0046】に記載されているように、「支持板50を貫通するように設けられ」た「差込用貫通孔51」に、「フランジ部41を備え」る「エンド管40」「を挿通させ、ガスケット30を、凹部52の底面とフランジ部41との間で挟み付ける」ものであり、支持板を貫通しない差込穴の「底面」に、フランジ部を備えないエンド管の「端面」を差し込む構成である補正発明の範囲内のものではないから、上記の本願明細書にて説明される効果は、補正発明の効果ではない。 (b)そして、本願明細書においては、使用温度に関して、上記(a)の内容以外に、従来の「Oリング」と所定形状の「ガスケット」とで使用可能な温度領域が異なるといった具体的な説明はなされていないし、また、引用文献5の上記ア(イ)fに「非金属ガスケットでは500℃以上の温度・・・では使用できない」、「メタリックガスケットの選択にあたっては,使用する温度・・・を考慮しなければならない」と記載され、「表1 金属の耐熱度」に金属材質ごとの「耐熱度(℃)」が示されているとおり、ガスケットの使用温度は主に材質によることからすれば、単に「Oリング」と所定形状の「ガスケット」という違いだけで、使用可能な温度領域に特段の違いが生じるとはいえない。そうすると、「広い温度領域で使用可能であ」るとの効果は、「Oリング」を所定形状の「ガスケット」に置換したことにより発揮される効果ではない。 したがって、「広い温度領域で使用可能であ」るとの効果については、補正発明の効果として認められるものでないか、引用発明に比して格別なものでない。 d 「エンド管の製造も、分離膜モジュールの組み立ても容易である」との効果について (a)当該効果に関して、本願明細書には、以下とおり説明されている。 「【0035】 この実施の形態では、差込穴5aにエンド管4の下端部を差し込むだけでエンド管4と支持板5とを気密ないし液密状に容易に連結することができる。この差込穴5aが円柱形であるので、支持板5に差込穴5aを穿設する作業は容易であり、支持板5の製作も容易である。また、エンド管4にOリング装着溝を穿設する作業も不要である。さらに、上記の付勢部材を設けることにより、エンド管4と差し込み穴5aとの嵌め合い公差を緩くしてもエンド管4はガスケット30に対し鉛直に接し、エンド管4が傾くことによるシールの悪化が生じにくくなる。従って、分離膜モジュールの製作工期の短縮及び製作コストの低減を図ることができる。」 ここで、上記【0035】中の「この実施の形態」とは、上記b(a)の【0033】及び【図1】に示される、管状分離膜が鉛直方向に沿って設置され、かつ、ガスケットの鉛直上側に管状分離膜及びエンド管が設置されている形態である。また、上記【0035】中の「上記の付勢部材」とは、上記b(a)の【0034】に示される「スプリング等の付勢部材」である。 そして、上記【0035】の説明のとおり、「エンド管の製造も、分離膜モジュールの組み立ても容易である」との効果は、詳細には、支持板の差込穴にエンド管を差し込むだけで、エンド管と支持板とを気密ないし液密状に連結できるとの効果、円柱形である差込穴を穿設する作業が容易であるとの効果、エンド管にOリング装着溝を穿設する作業が不要であるとの効果、付勢部材によってエンド管と差込穴との嵌め合い公差を緩くできるとの効果を指しているといえる。そこで、それぞれの効果について、次項より順に検討する。 (b)まず、支持板の差込穴にエンド管を差し込むだけで、エンド管と支持板とを気密ないし液密状に連結できるとの効果について検討すると、気密ないし液密状、すなわちシール性能を得るには、上記b(b)で述べたように、「管状分離膜及び支持板から加えられる荷重」がガスケットに加わることが必要であるため、当該効果は、エンド管を差し込むだけで、上記「荷重」が加わる状態にできるということを意味するといえる。そして、エンド管を差し込むだけで、上記「荷重」が加わる状態とするためには、上記【0033】及び【図1】のように、管状分離膜を鉛直方向に沿って設置し、かつ、ガスケットの鉛直上側に管状分離膜及びエンド管を設置することで、エンド管を差し込みさえすれば、上記b(b)で述べた管状分離膜等の重力が鉛直下方向に伝わるような構成としておく必要があるといえる。しかしながら、補正発明は、このように管状分離膜等を設置することを特定していない。 仮に、補正発明が当該構成を有しているとしても、引用発明も、上記【0033】及び【図1】と同じ構成を有するものであるから、エンド管を差し込むだけで気密ないし液密状の連結が可能となっているといえる。 したがって、当該効果は、補正発明の効果として認められるものでないか、格別なものでない。 (c)次に、円柱形である差込穴を穿設する作業が容易であるとの効果について検討すると、穿設の作業性は、差込穴の形状だけでなく、支持板の材質や差込穴の寸法等、他の要因の影響も大きいと考えられるところ、補正発明の差込穴に関する構成のみで、当該効果が発揮されるとはいえない。 したがって、当該効果は、補正発明の効果として認められるものでない。 (d)また、エンド管にOリング装着溝を穿設する作業が不要であるとの効果について検討すると、例えば、引用文献5には、上記ア(イ)d「7・2 Oリングガスケット」の下線部のとおり、Oリングの使用時に「みぞ」を設けることが記載されている一方、それ以外のガスケットの使用時に溝を設けることは記載されておらず、また、上記ア(ウ)~(オ)の引用文献6、3、4に記載された平板状のガスケットは、いずれも溝を設けずに使用されていることから、平板状のガスケットを使用する際にOリング使用時のような溝が不要であることは、当業者にとって明らかである。 したがって、当該効果は、格別なものでない。 (e)さらに、付勢部材によってエンド管と差込穴との嵌め合い公差を緩くできるとの効果について検討すると、当該付勢部材を設けることを特定しない補正発明によって、当該効果が発揮されるとはいえない。 したがって、当該効果は、補正発明の効果として認められるものでない。 (f)上記(b)~(e)より、「エンド管の製造も、分離膜モジュールの組み立ても容易である」との効果は、補正発明の効果として認められるものでないか、格別なものでない。 (エ)審判請求人の審判請求書(令和5年11月21日提出の手続補正書)における主な主張について a 審判請求人の主張内容 審判請求人は、審判請求書[3-3](3)~(8)において、以下の(a)~(h)の事項を述べた上で、補正発明が引用発明に対して進歩性を有する旨を主張している。 (a)補正発明の管状分離膜モジュールにおいては、Oリングと、補正発明の特定形状のガスケットとでは、全く同等の効果が奏されるものではない。(審判請求書[3-3](3)) (b)Oリングと補正発明のガスケットは、断面形状が相違し、Oリングの方がガスケットに比べてシール対象物の接触面積が小さくなる。その結果、Oリングによるシールでは、管状分離膜に取り付けたエンド管が僅かに傾いた場合でも、シール性能が低下する。(審判請求書[3-3](4)) (c)管状分離膜に取り付けたエンド管と、ハウジングを横断するように設置された支持板に設けられた差込穴の底面との間を、中央部に開口を有する円板状のガスケットでシールした場合であっても、分離工程で管状分離膜の外側が内側よりも高圧になると、その圧力差により管状分離膜に差込穴への押し込み方向に力が働き、この力によりエンド管がガスケットに密着し、シール性が良好となることを見出した。 他方、引用文献1には、分離工程におけるシール性向上については記載も示唆もなく、当業者がOリングの代わりに補正発明の特定形状のガスケットを使用する発想を得るには至らない。(審判請求書[3-3](5)) (d)補正発明では、Oリングの装着に必要な溝をエンド管に形成する必要がない。(審判請求書[3-3](6)) (e)補正発明では、Oリングによるシールで生じるような、荷重が過大である場合にOリングが潰れすぎて、エンド管の下端面が差込穴の底面に直に当たってシール性能が低下するというおそれもなく、エンド管が若干傾いたりしても、エンド管の端面と差込穴の底面との間にガスケットが介在し、かつエンド管端面及び差込穴底面がガスケットに十分に押し付けられるので、エンド管と支持板との間のシール性能が良好であるという優れた効果が奏される。(審判請求書[3-3](6)) (f)Oリングと異なり、円板状すなわち板厚み方向の断面が長方形であるガスケットを用いることにより、シール部材である円板状ガスケットの一方の板面がエンド管の端面に面接触し、ガスケットの他方の板面が差込穴の底面に面接触し、その結果、エンド管が多少傾いてもエンド管端面と差込穴底面とのシール性が十分に保たれる。(審判請求書[3-3](7)) (g)エンド管付き管状分離膜のエンド管を支持板の差込穴に差し込むだけで、該エンド管付き管状分離膜を支持板に、エンド管端面と差込穴底面とが気密・液密接触状態となるように設置することができるので、分離膜モジュールの組み立て作業性に優れるという効果も奏される。(審判請求書[3-3](7)) (h)Oリングとガスケットがシール部材として知られていたとしても、そもそもOリングと、円板状であり、中央部に開口が設けられているガスケットで同等の機能を果たさない場合があるという課題や、その使い分けによる利点について周知であったわけではない。(審判請求書[3-3](8)) b 上記aの主張に対する当審の判断 審判請求人は、上記a(b)~(g)において、特定形状の「ガスケット」による効果又は利点が存在することを主張し、上記a(a)又は(h)において、これらの効果又は利点は「Oリング」では奏されないことを主張している。 しかしながら、上記a(b)~(g)にて主張される効果は、上記(ウ)bで触れた「管状分離膜及び支持板から加えられる荷重が大きくても、またエンド管が若干傾いても、・・・エンド管と支持板との間のシール性能が良好である」との効果、或いは、上記(ウ)dで触れた「エンド管の製造も、分離膜モジュールの組み立ても容易である」との効果と同じ内容であり、同b及びdで既に述べたとおり、これらは補正発明の効果として認められるものではないか、格別なものではないから、これらの効果を根拠として補正発明が進歩性を有するとすることはできない。 また、上記a(c)においては、引用文献1には、分離工程におけるシール性向上については記載も示唆もなく、当業者がOリングの代わりに補正発明の特定形状のガスケットを使用する発想を得るには至らないことも主張している。 しかしながら、「分離工程におけるシール性向上」との効果が直接的に引用文献1に記載されていないとしても、上記(イ)の相違点1に対する判断にて示したとおり、引用発明において周知技術のガスケットを用いることは、当業者であれば容易に想到し得ることであるから、上記作用効果の直接的な記載がないからといって「特定形状のガスケットを使用する発想を得るには至らない」ということはない。 さらに、上記a(e)においては、Oリングによるシールで生じるような、荷重が過大となった場合にOリングが潰れすぎて、エンド管の下端面が差込穴の底面に直に当たってシール性能が低下するというおそれもないことも主張している。 しかしながら、引用文献5の上記ア(イ)d「7・2 Oリングガスケット」の下線部に「圧力によってOリングの材質を変えなければならない」と記載され、同fの下線部に「非金属ガスケットでは・・・150kg/cm2以上の圧力では使用できない」、「メタリックガスケットの選択にあたっては,・・・圧力・・・を考慮しなければならない」と記載されているように、Oリングを含む各種ガスケットに加わる圧力すなわち荷重を考慮してその材質を選択することは、一般的に行われることであり、引用発明のOリングも、使用時に加わる荷重に対応可能な材質が選択されるといえるから、引用発明のOリングが、シール性能の低下を生じるほど潰れるものであると直ちに言うことはできない。また、Oリングよりも広い面積でシール対象面と面接触する平板状のガスケットは、ガスケットに加える荷重を増加させてもシール対象面間に介在したままとなるため、平板状のガスケットに過大な荷重が加わった際にOリングよりもシール対象面同士が直接接触し難いことは、当業者にとって明らかといえる。そのため、上述のようなおそれがないとの効果は、引用発明に比して格別なものとはいえないから、この効果を根拠として補正発明が進歩性を有するとすることはできない。 したがって、上記aの審判請求人の主張は、採用することができない。 (オ)小括 以上のとおり、補正発明は、引用発明及び引用文献3~6に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 3 本件補正についてのむすび よって、補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和5年6月28日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下に記載のとおりのものである。 「【請求項1】 筒状のハウジングと、 該ハウジング内に該ハウジングの長手方向に配置された複数の管状分離膜と を有し、 該管状分離膜は、管状の無機多孔質支持体を含み、 被処理流体が該ハウジング内を一端側から他端側に流れ、管状分離膜を透過した流体が該管状分離膜を通って取り出される分離膜モジュールであって、 該管状分離膜の一端部にエンド管が接続され、 該エンド管は、前記ハウジングを横断するように設置された支持板の一方の板面から突出している分離膜モジュールにおいて、 該支持板の一方の板面に差込穴が設けられ、前記エンド管が該差込穴に差し込まれており、 該エンド管の端面と差込穴の底面との間がガスケットでシールされていることを特徴とする分離膜モジュール。」 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、令和5年2月22日付け拒絶理由通知書に記載された理由1であって、その理由1は、本願発明は、本願出願日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 記 引用文献1:特開2016-155098号公報 引用文献3:特開2002-340637号公報(周知技術を示す文献) 引用文献4:特開昭61-124823号公報(周知技術を示す文献) なお、本審決では、周知技術を示す文献として、次の引用文献5~6も引用している。 引用文献5:原徹編「化学技術者のためのシールハンドブック」、 別冊化学工業第12巻第1号、株式会社化学工業社、 昭和43年1月15日発行 引用文献6:特開平2-139014号公報 3 引用文献 引用文献1、3~6の記載事項は、上記第2の[理由]2(2)アに記載したとおりである。 4 対比・判断 上記第2の[理由]2(1)における検討によれば、本願発明は、補正発明に対して、「ガスケット」に関する「円板状であり、中央部に開口が設けられている」との事項を削除したものであり、「ガスケット」の形状の範囲を拡張したものにあたる。 そして、本願発明の特定事項を全て含み、そのうち「ガスケット」に関する特定事項をさらに限定したものに相当する補正発明が、上記第2の[理由]2(2)エに記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、補正発明と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第49条第2号に該当するから、その他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり、審決する。

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2023-018438

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