商標拒絶査定不服審判
2023-016199
スウット
- 審判番号
- 2023-016199
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-136258
- 請求日
- 2023年09月26日
- 審決日
- 2025年03月04日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ゴッドハンド株式会社
- 【請求人代理人】吉井 剛
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 啓之
- 審判官 渡邉 あおい
- 審判官 深田 彩紀子
- 分類
- T18 .13 -Z (W08)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022-136258拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続経緯
令和4年11月29日 :登録出願
令和5年 4月18日付け:拒絶理由通知書
令和5年 5月30日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 6月21日付け:拒絶査定
令和5年 9月26日 :審判請求書の提出
令和6年12月12日付け:審尋
令和7年 1月23日 :回答書の提出
2 本願商標
本願商標は、「すーっと」の文字を標準文字で表してなり、第8類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願されたものであり、その後、指定商品については、上記1の手続補正により、第8類「手動工具,手動利器,ピンセット,組ひも機(手持工具に当たるものに限る。),くわ,鋤,レーキ(手持工具に当たるものに限る。),靴製造用靴型(手持工具に当たるものに限る。),電気アイロン,電気かみそり及び電気バリカン,エッグスライサー(電気式のものを除く。),かつお節削り器,缶切,スプーン,チーズスライサー(電気式のものを除く。),ピザカッター(電気式のものを除く。),フォーク,チャコ削り器,十能,暖炉用ふいご(手持工具に当たるものに限る。),火ばし,護身棒,ひげそり用具入れ,ペディキュアセット,まつ毛カール器,マニキュアセット,ピッケル,水中ナイフ,水中ナイフ保持具,直角定規(手持工具に当たるものに限る。)」に補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願の指定商品に関する業界において「切る時に余計な力が不要な包丁」などの商品に「すーっと」又は「スーッと」の文字が使用されている取引の実情が見受けられることを踏まえれば、本願商標をその指定商品に使用しても、本願商標に接する取引者、需要者は、当該商品が「切る時に余計な力が不要な商品」などであることを認識、理解するにとどまるというのが相当である。また、「すーっと」又は「スーッと」の文字が文章中の一部に表されているとしても、上述の取引の実情があることからすると、本願商標に接する取引者、需要者に、その商品の品質を表したものと認識されるにすぎないといえる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
4 当審における審尋
当審において、令和6年12月12日付けで通知した審尋により、別掲1ないし別掲3のとおりの事実を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。
5 審尋に対する請求人の回答
請求人は、上記4の審尋に対し、令和7年1月23日付けの回答書を提出し、要旨、以下のとおりの意見を述べた。
(1)「すーっと」は単独では極めて漠然とした言葉であり、他の語と結びつかなければ意味が生じない言葉といえる。
(2)本願商標「すーっと」は、商品等の特徴を直接的、かつ、具体的に表示するものではない。
(3)本願商標と同様の擬音語・擬態語単独の文字商標について、「他の語と共に使用されることで具体的な内容を表わすものとして理解される」と判断され、自他商品の識別力が認められた審決例と同様に、本願商標についても判断されるべきである。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
ア 商標法第3条第1項第3号の趣旨について
商標法第3条第1項第3号が、「その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(包装の形状を含む。)、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格」を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標について商標登録を受けることができない旨規定しているのは、このような商標は、指定商品との関係で、「その商品の産地、販売地、品質、形状その他の特性」を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品の識別力を欠くものであることによるものと解される。
そうすると、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、審決の時点において、本願商標が、その指定商品との関係で、「その商品の産地、販売地、品質、形状その他の特性」を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の指定商品の取引者及び需要者によって本願商標がその指定商品に使用された場合に、将来を含め、商品の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(知財高裁平成27年(行ケ)第10107号 同年10月21日判決等参照)。
そして、本願商標の取引者、需要者によって、本願商標が、その指定商品に使用された場合に商品の上記特性を表示したものと一般に認識されるかどうかは、当該商標の構成やその指定商品に関する取引の事情を考慮して判断すべきである(知財高裁令和3年(行ケ)第10113号 同4年1月25日判決参照)。
イ 本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「すーっと」の文字を標準文字で表してなるものである。
そして、別掲1(1)のとおり、「すーっと」に通じる「すうっと」の文字(語)は、我が国の代表的な国語辞典である大辞林に「軽快に、滑らかに、静かにものが動くさま。」の意味が記載されており、また、同(2)のとおり、「暮らしのことば 擬音・擬態語辞典」には、「すー」の文字(語)が、「物事が静かに素早く行われる様子。」の意味を有し、「すーっと線を引く」のように、最後に促音を付加した形で用いられる旨、記載されている。
さらに、本願の指定商品との関係においては、当審における職権調査から、別掲2のとおり、刃物に関連する分野において、「すーっと切れる」、「スーッと切れる」のように、「すーっと」又は「スーッと」の文字(語)が、商品の切れ味の良さを表すものとして使用されている事実が認められる。
また、別掲3のとおり、刃物を含む本願の指定商品に関連する分野において、「すーっと引くだけ」、「すーっと塗れる」、「スーッと削れる」のように、「すーっと」又は「スーッと」の文字(語)が、商品の使い心地の良さを表すものとして一般に使用されている事実も認められる。
以上の事実からすれば、本願の指定商品との関係においては、「すーっと」又は「スーッと」の文字(語)は、商品の切れ味や使い心地の良さを表す擬音語、擬態語の一つとして一般に使用され、かつ、需要者にも当該擬音語、擬態語の一つとして認識されていると判断するのが相当である。
そうすると、「すーっと」の文字からなる本願商標を、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、例えば、当該商品が「切れ味や使い心地の良い商品」であるという、商品の品質を表示したものとして理解、認識するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないというべきであるから、本願商標は、その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、「「すーっと」は単独では極めて漠然とした言葉であり、他の語と結びつかなければ意味が生じない言葉といえ、商品等の特徴を直接的、かつ、具体的に表示するものではない」旨主張する。
しかしながら、上記(1)アのとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、審決の時点において、本願商標が、その指定商品との関係で、「その商品の産地、販売地、品質、形状その他の特性」を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の指定商品の取引者及び需要者によって、本願商標がその指定商品に使用された場合に、商品の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される。
そして、たとえ、請求人が主張するように、「すーっと」の文字(語)が、単独で使用されておらず、他の語を伴って使用されることが一般的であるとしても、上記(1)イのとおり、「すーっと」に通じる「すうっと」の文字や、「すーっと線を引く」のような用い方が辞典に掲載されていることからすれば、「すーっと」の語は、日本語として一般的に用いられている語というのが相当であり、また、刃物に関連する分野において、「すーっと切れる」、「スーッと切れる」のように、「すーっと」又は「スーッと」の文字(語)が、商品の切れ味の良さを表すものとして使用されている事実、刃物を含む本願の指定商品に関連する分野において、「すーっと引くだけ」、「すーっと塗れる」、「スーッと削れる」のように、「すーっと」又は「スーッと」の文字(語)が、商品の使い心地の良さを表すものとして一般に使用されている事実からすれば、本願商標に接する取引者、需要者は、当該商品が「切れ味や使い心地の良い商品」であるという、商品の品質を表したものと一般に認識するというべきであり、そのため、本願商標は、当該品質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であるというべきである。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、これを登録することはできない。
審決本文(J-PlatPat)
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