商標拒絶査定不服審判
2024-013922
ガッチリキャッチ
- 審判番号
- 2024-013922
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-086796
- 請求日
- 2024年08月30日
- 審決日
- 2025年08月12日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】貝印株式会社
- 【請求人代理人】鷺 健志
- 【請求人代理人】野村 明代
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 啓之
- 審判官 渡邉 あおい
- 審判官 深田 彩紀子
- 分類
- T18 .13 -Z (W08) / T18 .17 -Z (W08)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023- 86796拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続経緯
本願は、令和5年8月3日の登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年1月12日付け:拒絶理由通知書
令和6年2月26日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年5月28日付け:拒絶査定
令和6年8月30日 :審判請求書の提出
令和7年5月22日付け:審尋
第2 本願商標
本願商標は、「がっちりキャッチ」の文字を標準文字で表してなり、第8類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願されたものであり、その後、指定商品については、上記第1の手続補正により、第8類「毛抜き」に補正されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、「がっちりキャッチ」の文字を標準文字で表してなるところ、「がっちり」の文字は「物事にゆるみがなく、ぴたりとおさまるさま」、「キャッチ」の文字は「つかむこと」(「広辞苑 第7版」参照)の意味を有する語であるから、全体として、「ゆるみなくつかむこと」ほどの意味合いを認識させるものであり、各種手持器具等を取り扱う業界において、「がっちりキャッチ」の文字が、「(対象物を)しっかりつかむことができる」ほどの意味合いを表すものとして使用され、補正後の指定商品「毛抜き」についても「がっちりキャッチ」の文字が「毛をしっかりつかむことができる」ほどの意味合いを表すものとして使用されている実情がある。そうすると、本願商標を補正後の指定商品「毛抜き」に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、単に「毛をしっかりつかむことができる商品」であることを容易に理解・認識するにすぎないから、本願商標は、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、請求人が「毛抜き」に使用している商標は、本願商標との同一性が認められず、累計販売数、総売上個数、シェア等を裏付ける証拠が提出されていないことから、本願商標が使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとはいえず、本願商標は商標法第3条第2項の要件を具備するということはできない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第4 当審における審尋
当審において、令和7年5月22日付けで通知した審尋により、別掲1から別掲4のとおりの証拠を提示した上で、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同条第2項の要件を具備しない旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。
第5 審尋に対する請求人の回答
請求人は、上記第4の審尋に対し、所定の期間を経過するも、何ら意見を述べていない。
第6 当審の判断
1 本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「がっちりキャッチ」の文字を標準文字で表してなり、「がっちり」の平仮名と「とらえること。つかむこと。」(広辞苑 第7版)を意味する「キャッチ」の片仮名を結合させたものと容易に認識されるものである。
そして、別掲1(1)のとおり、「がっちり」の文字(語)は、我が国の代表的な国語辞典である大辞泉に、「しっかり」の類語である旨、記載されており、また、同(2)のとおり、「暮らしのことば 擬音・擬態語辞典」には、「物をしっかりと握ったりつかんだりする様子。」の意味を有し、「しっかり」の類義語である旨、記載されている。
さらに、本願の補正後の指定商品との関係においては、当審における職権調査から、別掲2のとおり、「毛抜き」に関連する分野において、「がっちり(ガッチリ)つかむ」、「がっちり(ガッチリ)はさむ」、「ガッチリ構造」のように、「がっちり」又は「ガッチリ」の文字(語)が、「しっかりつかむ(はさむ)ことができる」ほどの意味合いで、商品の機能を表す擬態語の一つとして使用されている実情が認められる。
また、別掲3のとおり、「つかむ(はさむ)」機能を有する手動利器や日用品について、「がっちりキャッチ」又は「ガッチリキャッチ」の文字(語)が一般に使用され、さらに、別掲4のとおり、「毛抜き」に関連する分野においても、「がっちりキャッチ」又は「ガッチリキャッチ」の文字(語)が使用されている実情が認められる。
これらの実情からすると、「がっちりキャッチ」又は「ガッチリキャッチ」の文字(語)は、「毛抜き」を含む手動利器や日用品について、「しっかりつかむ(はさむ)ことができる」ほどの意味合いを表すものとして、一般に広く使用されているものとみるのが相当である。
加えて、本願商標は、標準文字で表されているから、普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであることは、明らかである。
そうすると、「がっちりキャッチ」の文字からなる本願商標を、その補正後の指定商品である「毛抜き」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、例えば、当該商品が「しっかりつかむ(はさむ)ことができる商品」であるという、商品の品質を表示したものとして理解、認識するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないというべきであるから、本願商標は、その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 本願商標の商標法第3条第2項該当性について
(1)請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、次の事実が認められる。
ア 請求人は、本願商標を使用した商品(以下「請求人商品」という。)を、2020年3月に販売を開始して現在に至るまで継続して販売しており、「しっかり閉じる先端が、狙った毛をキャッチ」というキャッチフレーズが示すように、「毛をうまくつかめない」や「毛をつかむのに力が必要」という毛抜きでの毛の処理における課題を、独自の「先端開き防止構造」で解決した商品である旨、主張している。
そして、別掲5のとおり、請求人商品の包装には、「がっちりキャッチ」、「がっちりキャッチ!」又は「がっちりキャッチ毛抜き」の文字のほか、請求人である貝印株式会社のロゴと認められる「KAI」をデザイン化した文字、大きく表された「Gacchiri!」の文字、毛抜きのイラスト等が表示されており(甲第20号証~甲第24号証、甲第26号証等)、また、「がっちりキャッチ毛抜き」又は「がっちりキャッチ!」の文字が「先端がしっかりとじる」の説明より小さく表された態様のものもある(甲第25号証、甲第27号証等)。
イ 請求人の主張する出荷実績によれば、2020年2月から2024年7月までで、請求人商品の総販売数量は、775,294個であり、また、請求人の集計、分析によれば、2021年1月から2024年7月までの日本全国のドラッグストア約1300店舗における販売数量シェア率は8.68%、2020年2月から2024年1月までの「Amazon.co.jp」のECサイトにおける販売数シェア率は30.05%である(甲第32号証)。このため、「Amazon.co.jp」のウェブサイトにおける「毛抜きの売れ筋ランキング」によれば、請求人商品は、2020年10月以降2024年2月まで、ほぼ毎週1位である(甲第3号証(枝番を含む。)、甲第36号証~甲第39号証等)。
ウ 請求人商品は、全国のドラッグストア、ホームセンター、大手量販店で販売され(甲第1号証、甲第28号証)、また、請求人の公式オンラインストアを始め、「Amazon.co.jp」、「楽天市場」、「Yahoo!ショッピング」のようなECサイトを通じても販売されている(甲第29号証~甲第31号証等)。
エ 請求人商品は、雑誌「LDK the Beauty 2021年3月号」(株式会社晋遊舎、2021年1月22日発行)に掲載され(甲第43号証)、また、商品テストに関するウェブサイト「360LiFE」(2021年のランキング、甲第4号証、甲第5号証、甲第44号証~甲第48号証等)、地方紙(2023年11月、12月、甲第6号証~甲第14号証)及びそのデジタル版(甲第49号証~甲第53号証)において、掲載されている。
オ 請求人は、「Amazon.co.jp」のウェブサイト内の広告として、KWターゲティング広告を4件、ASINターゲティング広告を2件、カテゴリターゲティング広告を1件行っている(甲第40号証)。
(2)上記(1)で認定した事実によれば、請求人商品は、2020年に販売が開始され、その販売数量は一定程度あり、商品テストに関するウェブサイト、地方紙及びそのデジタル版で紹介されていたこと等が認められる。
しかしながら、請求人商品は「毛抜き」であり、サイズの小さい商品といえるものであるところ、その包装には、「がっちりキャッチ」、「がっちりキャッチ!」又は「がっちりキャッチ毛抜き」の文字のほか、請求人である貝印株式会社のロゴと認められる「KAI」をデザイン化した文字、大きく表された「Gacchiri!」の文字、毛抜きのイラスト等が表示されており、また、「がっちりキャッチ毛抜き」又は「がっちりキャッチ!」の文字が「先端がしっかりとじる」の説明より小さく表された態様のものもあるから、これらの包装において「がっちりキャッチ」の文字のみが目立つ態様で表示されているとはいえない。
また、上記1のとおり、「毛抜き」に関連する分野において、「がっちり」又は「ガッチリ」の文字(語)が、「しっかりつかむ(はさむ)ことができる」ほどの意味合いで、商品の機能を表す擬態語の一つとして使用されており、「毛抜き」を含む手動利器や日用品について、「がっちりキャッチ」又は「ガッチリキャッチ」の文字(語)が一般に使用されている実情も踏まえると、請求人商品が、本願の指定商品を取り扱う分野において一定程度知られていることはうかがえても、本願商標が、独立してその指定商品に使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っていると認めることはできない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものとはいえない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同条第2項の要件を具備するものではないから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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