特許拒絶査定不服審判
2023-014135
アフェレーシスの方法及び使用
- 審判番号
- 2023-014135
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-502112
- 請求日
- 2023年08月23日
- 審決日
- 2025年06月16日
- 公報発行日
- 2025年11月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】スパーク セラピューティクス インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】池田 成人
- 【請求人代理人】酒巻 順一郎
- 【請求人代理人】野田 雅一
- 【請求人代理人】安藤 祐子
- 【請求人代理人】和田 雄二
- 審判長/審判官
- 審判長 松波 由美子
- 審判官 吉田 佳代子
- 審判官 関 景輔
- 分類
- P18 .575-Z (A61K) / P18 .121-Z (A61K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-502112「アフェレーシスの方法及び使用」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 1月24日国際公開、WO2019/018439、令和 2年10月29日国内公表、特表2020-530834〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)7月17日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2017年7月17日、米国)を国際出願日とする出願であって、その主な手続の経緯は、次のとおりである。
令和3年 7月 5日 手続補正書の提出
令和4年 7月29日付け 拒絶理由通知書
令和5年 2月 2日 意見書及び手続補正書の提出
同年 4月17日付け 拒絶査定
同年 8月23日 手続補正書及び審判請求書の提出
第2 令和5年8月23日提出の手続補正書による手続補正についての補正却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年8月23日提出の手続補正書による手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正前(令和5年2月2日提出の手続補正書)の特許請求の範囲の記載
「【請求項1】
タンパク質の機能又は活性の喪失により引き起こされる疾患について治療を必要とする対象を治療する方法のために用いられるAAV結合抗体親和性マトリックスであって、前記方法が(a)AAV結合抗体親和性マトリックスを用いたアフェレーシスを含むプロセスにより前記対象から得られた血液製剤からAAV結合抗体を、除去する、低減させる、枯渇させる、阻害する、不活性化する又は捕捉するステップであって、前記AAV結合抗体親和性マトリックスが、基材に取り付けられ又は固定された天然に存在する又は非天然の又は合成のインタクトなAAV空キャプシドを含む、ステップ;及び(b)前記タンパク質の機能又は活性を提供するか又は補助するタンパク質又はペプチドをコードする異種 ポリヌクレオチドを含むある量の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターを投与するステップを含む、AAV結合抗体親和性マトリックス。
【請求項2】
タンパク質の機能、活性又は発現の獲得により引き起こされる疾患について治療を必要とする対象を治療する方法のために用いられるAAV結合抗体親和性マトリックスであって、前記方法が(a)AAV結合抗体親和性マトリックスを用いたアフェレーシスを含むプロセスにより前記対象から得られた血液製剤からAAV結合抗体を、除去する、低減させる、枯渇させる、阻害する、不活性化する又は捕捉するステップであって、前記AAV結合抗体親和性マトリックスが、基材に取り付けられ又は固定された天然に存在する又は非天然の又は合成のインタクトなAAV空キャプシドを含む、ステップ;及び(b)前記タンパク質の機能、活性又は発現の獲得の発現を阻害する、減少させる又は低減させる核 酸に転写される異種ポリヌクレオチドを含むある量の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターを投与するステップを含む、AAV結合抗体親和性マトリックス。
【請求項3】
基材に固定された前記AAV結合抗体親和性マトリックスが、前記AAV結合抗体親和性マトリックスと接触したときに前記血液製剤からAAV結合抗体を体外又は体内で除去又は枯渇させるための入口及び出口を有する、カラム、装置、チャンバー、デバイス、フィルター、カートリッジ、又はチューブ内に配されている、請求項1又は2に記載のマトリックス。
【請求項4】
前記AAV結合抗体親和性マトリックスが、AAV VP1、VP2及び/又はVP3キャプシドタンパク質又はその断片を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項5】
前記AAV結合抗体親和性マトリックスが、天然に存在する又は非天然の又は合成のAAV VP1、VP2及び/又はVP3キャプシドタンパク質を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項6】
前記AAV結合抗体親和性マトリックスが、天然に存在する又は非天然の又は合成のAAV VP1、VP2及び/又はVP3キャプシドタンパク質モノマーを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項7】
前記AAV結合抗体親和性マトリックスが、天然に存在する又は非天然の又は合成のAAV VP1、VP2及び/又はVP3キャプシドタンパク質ポリマーを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項8】
前記AAV結合抗体親和性マトリックスが、天然に存在する又は非天然の又は合成のAAVキャプシドタンパク質に対して90%又はそれより高い配列同一性を有するAAV VP1、VP2及び/又はVP3キャプシドタンパク質を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項9】
前記AAV空キャプシドが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、Rh10、Rh74、配列番号1 及び配列番号2のVP1、VP2及び/又はVP3キャプシドタンパク質からなる群から選択されるAAV VP1、VP2及び/又はVP3キャプシドタンパク質に対して90%又はそれより高い配列同一性を有する少なくとも1つのAAV VP1、VP2及び/又はVP3キャプシドタンパク質を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項10】
前記AAV空キャプシドが、配列番号1又は配列番号2に対して90%又はそれより高い配列同一性を有する少なくとも1つのAAV VP1、VP2及び/又はVP3キャプシドタンパク質を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項11】
前記AAV結合抗体親和性マトリックスが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、Rh10、Rh74、配列番号1及び/若しくは配列番号2の(1つ若しくは複数の)キャプシドタンパク質、又はAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、Rh10、Rh74、配列番号1及び/若しくは配列番号2の(1つ若しくは複数の)キャプシドタンパク質に対して90%又はそれより高い配列同一性を有するキャプシドタンパク質に結合する、請求項1~10のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項12】
前記AAV結合抗体親和性マトリックスがGMPグレードである、請求項1~11のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項13】
前記対象から得られた前記血液製剤への前記AAV結合抗体親和性マトリックスの浸出が、前記血液製剤が前記対象に再導入される場合に、前記対象を実質的に害しない、請求項1~12のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項14】
前記AAV結合抗体が、AAVキャプシドタンパク質に結合するIgG、IgM、IgA又はIgDを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項15】
前記基材及び/又はカラム、装置、チャンバー、デバイス、フィルター、カートリッジ、若しくはチューブが、プラスチック又はガラスから構成されている、請求項3に記載のマトリックス。
【請求項16】
前記AAV結合抗体親和性マトリックス又は基材が無菌である、請求項1~15のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項17】
前記アフェレーシスプロセスの前に前記血液製剤中に存在する前記AAV結合抗体が、約1:100より多く、その場合、1部の前記血液製剤を100部の等張緩衝液で希釈して、50%のAAVの中和がもたらされる、請求項1~16のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項18】
前記アフェレーシスプロセスの前に前記血液製剤中に存在する前記AAV結合抗体が、約1:1000より多く、その場合、1部の前記血液製剤を1000部の等張緩衝液で希釈して、50%のAAVの中和が結果もたらされる、請求項1~17のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項19】
前記血液製剤中に存在する前記AAV結合抗体の20~50%、50~75%、75~90%、90~95%又は95%又はそれより多くが除去される、請求項1~18のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項20】
前記アフェレーシスプロセス後の前記血液製剤中に存在する前記AAV結合抗体が、約1:10未満であり、その場合、1部の前記血液製剤を10部の等張緩衝液で希釈して、50%のAAVの中和がもたらされる、請求項1~19のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項21】
前記アフェレーシスプロセス後の前記血液製剤中に存在する前記AAV結合抗体が、約1:5未満であり、その場合、1部の前記血液製剤を5部の等張緩衝液で希釈して、50%のAAVの中和がもたらされる、請求項1~20のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項22】
前記アフェレーシスプロセス後の前記血液製剤中に存在するAAV結合抗体の比が、約1:4未満であり、その場合、1部の前記血液製剤を4部の等張緩衝液で希釈して、50%のAAVの中和がもたらされる、請求項1~21のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項23】
前記アフェレーシスプロセス後の前記血液製剤中に存在するAAV結合抗体の比が、約1:3未満であり、その場合、1部の前記血液製剤を3部の等張緩衝液で希釈して、50%のAAVの中和がもたらされる、請求項1~22のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項24】
前記アフェレーシスプロセス後の前記血液製剤中に存在するAAV結合抗体の比が、約1:2未満であり、その場合、1部の前記血液製剤を2部の等張緩衝液で希釈して、50%のAAVの中和がもたらされる、請求項1~23のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項25】
前記アフェレーシスプロセス後の前記血液製剤中に存在するAAV結合抗体の比が、約1:1未満であり、その場合、1部の前記血液製剤を1部の等張緩衝液で希釈して、50%のAAVの中和がもたらされる、請求項1~24のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項26】
前記方法後の前記血液製剤の全て又は一部分が、前記対象に再導入又は再注入される、請求項1~25のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項27】
ステップ(b)の後に、前記対象にドナーからの血液製剤が与えられる、請求項1~26のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項28】
ステップ(b)が(a)の後の約72時間以内に行われる、請求項1~27のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項29】
ステップ(b)が(a)の後の約48時間以内に行われる、請求項1~27のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項30】
ステップ(b)が(a)の後の約1~48時間以内に行われる、請求項1~27のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項31】
ステップ(b)が(a)の後の約36時間以内に行われる、請求項1~27のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項32】
ステップ(b)が(a)の後の約24時間以内に行われる、請求項1~27のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項33】
ステップ(b)が(a)の後の約1~24時間以内に行われる、請求項1~27のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項34】
ステップ(b)が(a)の後の約12時間以内に行われる、請求項1~27のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項35】
ステップ(b)が(a)の後の約6時間以内に行われる、請求項1~27のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項36】
ステップ(b)が(a)の後の約3時間以内に行われる、請求項1~27のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項37】
ステップ(b)が(a)の後の約30分~6時間以内に行われる、請求項1~27のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項38】
ステップ(b)が(a)の後の約30分~3時間以内に行われる、請求項1~27のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項39】
前記方法がステップ(a)の後であるがステップ(b)の前に、前記対象からの試料を前記試料中に存在するAAV結合抗体の量について分析することをさらに含む、請求項1~38のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項40】
前記方法がステップ(b)の後に、前記対象からの試料を前記試料中に存在するAAV結合抗体の量について分析することをさらに含む、請求項1~38のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項41】
前記対象からの分析される前記試料が血液製剤である、請求項39又は40に記載のマトリックス。
【請求項42】
前記血液製剤が血漿である、請求項1~41のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項43】
前記対象が、肺疾患(例えば、嚢胞性繊維症)、出血障害(例えば、阻害剤あり若しくはなしの血友病A若しくは血友病B)、サラセミア、血液障害(例えば、貧血)、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、癲癇、リソソーム蓄積症、銅若しくは鉄蓄積障害(例えば、ウィルソン病若しくはメンケス病)、リソソーム酸リパーゼ欠損症、神経学的若しくは神経変性障害、がん、1型若しくは2型糖尿病、ゴーシェ病、ハーラー病、アデノシンデアミナーゼ欠損症、代謝障害(例えば、グリコーゲン貯蔵病)、網膜変性疾患(例えば、RPE65欠損症、コロイデレミア、及び眼の他の疾患)、固形臓器(例えば、脳、肝臓、腎臓、心臓)の疾患、又は感染性ウイルス(例えば、B型及びC型肝炎、HIVなど)、細菌性若しくは真菌性疾患を有する、請求項1~42のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項44】
前記疾患が、前記タンパク質をコードする遺伝子の発現の喪失又は低減により引き起こされるものである、請求項1~43のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項45】
前記疾患が血液凝固障害である、請求項1~44のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項46】
前記疾患が、血友病A、阻害抗体を有する血友病A患者、血友病B、任意の凝固因子:VII、VIII、IX及びX、XI、V、XII、II、フォンウィルブランド因子の欠損症、又はFV/FVIII合併欠損症、又はサラセミア、ビタミンKエポキシドレダクターゼC1欠損症又はガンマ-カルボキシラーゼ欠損症である、請求項1~45のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項47】
前記疾患が、貧血、外傷に関連する出血、損傷、血栓症、血小板減少症、卒中、凝固障害、播種性血管内凝固(DIC);ヘパリン、低分子量ヘパリン、五糖、ワルファリン、小分子抗血栓剤(すなわち、FXa阻害剤)に関連する過剰抗凝固;及び血小板障害、例えば、ベルナール・スーリエ症候群、グランツマン血小板無力症(thromblastemia)、又は貯蔵プール欠乏症である、請求項1~44のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項48】
前記疾患が、中枢神経系(CNS)に影響を与えるものか、又はCNSから発生するものである、請求項1~44のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項49】
前記疾患が神経変性疾患である、請求項1~44のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項50】
前記CNS又は神経変性疾患が、アルツハイマー病、ハンチントン病、ALS、遺伝性痙性片麻痺、原発性側索硬化症、脊髄性筋萎縮症、ケネディ病、ポリグルタミンリピート疾患、又はパーキンソン病である、請求項48又は49に記載のマトリックス。
【請求項51】
前記CNS又は神経変性疾患がポリグルタミンリピート疾患である、請求項49又は50に記載のマトリックス。
【請求項52】
前記ポリグルタミンリピート疾患が脊髄小脳失調症(SCA1、SCA2、SCA3、SCA6、SCA7、又はSCA17)である、請求項51に記載のマトリックス。
【請求項53】
前記異種ポリヌクレオチドが、インスリン、グルカゴン、成長ホルモン(GH)、副甲状腺ホルモン(PTH)、成長ホルモン放出因子(GRF)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、血管内皮増殖因子(VEGF)、アンジオポエチン、アンジオスタチン、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、エリスロポエチン(EPO)、結合組織成長因子(CTGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、酸性線維芽細胞増殖因子(aFGF)、上皮成長因子(EGF)、トランスフォーミング増殖因子α(TGFα)、血小板由来成長因子(PDGF)、インスリン成長因子I及びII(IGF-I及びIGF-II)、TGFβ、アクチビン、インヒビン、骨形成タンパク質(BMP)、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィンNT-3及びNT4/5、毛様体神経栄養因子(CNTF)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、アグリン、ネトリン-1及びネトリン-2、肝細胞増殖因子(HGF)、エフリン、ノギン、ソニックヘッジホッグ並びにチロシンヒドロキシラーゼからなる群から選択されるタンパク質をコードする、請求項1又は3~52のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項54】
前記異種ポリヌクレオチドが、トロンボポエチン(TPO)、インターロイキン(IL1~IL-17)、単球走化性タンパク質、白血病抑制因子、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子、Fasリガンド、腫瘍壊死因子α及びβ、インターフェロンα、β、及びγ、幹細胞因子、flk-2/flt3リガンド、IgG、IgM、IgA、IgD及びIgE、キメラ免疫グロブリン、ヒト化抗体、単鎖抗体、T細胞受容体、キメラT細胞受容体、単鎖T細胞受容体、クラスI及びクラスII MHC分子からなる群から選択されるタンパク質をコードする、請求項1又は3~52のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項55】 前記異種ポリヌクレオチドが、CFTR(嚢胞性線維症膜貫通調節タンパク質)、血液凝固(凝血)因子(第XIII因子、第IX因子、第VIII因子、第X因子、第VII因子、第VIIa因子、プロテインCなど)機能性血液凝固因子の獲得、抗体、網膜色素上皮特異的65kDaタンパク質(RPE65)、エリスロポエチン、LDL受容体、リポタンパク質リパーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、β-グロビン、α-グロビン、スペクトリン、α-アンチトリプシン、アデノシンデアミナーゼ(ADA)、金属トランスポーター(ATP7A若しくはATP7)、スルファミダーゼ、リソソーム蓄積症(ARSA)に関与する酵素、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラー ゼ、β-25グルコセレブロシダーゼ、スフィンゴミエリナーゼ、リソソームヘキソサミニダーゼ、分岐鎖ケト酸デヒドロゲナーゼ、ホルモン、成長因子、インスリン様成長因子1若しくは2、血小板由来成長因子、上皮成長因子、神経成長因子、神経栄養因子-3及び-4、脳由来神経栄養因子、グリア由来成長因子、トランスフォーミング増殖因子α及びβ、サイトカイン、α-インターフェロン、β-インターフェロン、インターフェロン-γ、インターロイキン-2、インターロイキン-4、インターロイキン12、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子、リンホトキシン、自殺遺伝子産物、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ、シトシンデアミナーゼ、ジフテリア毒素、シトクロムP450、デオキシシチジンキナーゼ、腫瘍壊死因子、薬物耐性タンパク質、腫瘍抑制タンパク質(例えば、p53、Rb、Wt-1、NF1、フォンヒッペル-リンドウ(VHL)、腺腫様大腸ポリポーシス(APC))、免疫調節特性を有するペプチド、寛容原性若しくは免疫原性ペプチド若しくはタンパク質Tレギトープ若しくはhCDR1、インスリン、グルコキナーゼ、グアニル酸シクラーゼ2D(LCA-GUCY2D)、Rabエスコートタンパク質1(コロイデレミア)、LCA5(LCA-レベルシリン)、オルニチンケト酸アミノトランスフェラーゼ(脳回転状萎縮)、レチノスキシン1(X連鎖性網膜分離)、USH1C(アッシャー症候群1C)、X連鎖性網膜色素変性症GTPase(XLRP)、MERTK(RPのAR形態:網膜色素変性症)、DFNB1(コネキシン26難聴)、ACHM2、3及び4(色覚異常)、PKD-1若しくはPKD-2(多発性嚢胞腎疾患)、TPP1、CLN2、リソソーム蓄積症に関与する遺伝子産物(例えば、スルファターゼ、N-アセチルグルコサミン-1-リン酸トランスフェラーゼ、カテプシンA、GM2-AP、NPC1、VPC2、スフィンゴ脂質活性化タンパク質、ゲノム編集用の1つ若しくは複数のジンクフィンガーヌクレアーゼ、又はゲノム編集用の修復鋳型として使用されるドナー配列をコードする、請求項1又は3~52のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項56】
前記異種ポリヌクレオチドが阻害核酸をコードする、請求項2~52のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項57】
前記阻害核酸が、siRNA、アンチセンス分子、miRNA、RNAi、リボザイム及びshRNAからなる群から選択される、請求項2~52のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項58】
前記阻害核酸が、病原性遺伝子、病原性遺伝子の転写物、若しくはポリヌクレオチドリピート疾患に関連する遺伝子転写物、ハンチンチン(HTT)遺伝子、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(dentatorubropallidolusyan atropy)に関連する遺伝子(アトロフィン1、ATN1)、球脊髄性筋萎縮症におけるX染色体上のアンドロゲン受容体、ヒトアタキシン-1、-2、-3、及び-7、(CACNA1A)によりコードされるCav2.1 P/Q電位依存性カルシウムチャネル、TATA結合タンパク質、ATXN8OSとしても公知のアタキシン8逆鎖、脊髄小脳失調症におけ るセリン/スレオニンプロテインホスファターゼ2A 55kDa調節サブユニットBベータアイソフォーム(1、2、3、6、7、8、12 17型)、脆弱X症候群におけるFMR1(脆弱X精神遅滞1)、脆弱X関連振戦/運動失調症候群におけるFMR1(脆弱X精神遅滞1)、FMR1(脆弱X精神遅滞2)若しくは脆弱XE精神遅滞におけるAF4/FMR2ファミリーメンバー2;筋強直性ジストロフィーにおけるミオトニン-プ ロテインキナーゼ(MT-PK);フリードライヒ運動失調症におけるフラタキシン;筋萎縮性側索硬化症におけるスーパーオキシドディスムターゼ1(SOD1)遺伝子の突然変異体;パーキンソン病及び/若しくはアルツハイマー病の病理発生に関与する遺伝子;アポリポタンパク質B(APOB)及びプロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)、高コレステロール血症(hypercoloesterolemi a);HIV感染症におけるHIV Tat、転写遺伝子のヒト免疫不全ウイルストランス活性化因子;HIV感染症におけるHIV TAR、HIV TAR、ヒト免疫不全ウ イルストランス活性化因子応答エレメント遺伝子;HIV感染症におけるC-Cケモカイン受容体(CCR5);RSV感染症におけるラウス肉腫ウイルス(RSV)ヌクレオキャプシドタンパク質、C型肝炎ウイルス感染症における肝臓特異的マイクロRNA(miR-122);p53、急性腎障害若しくは遅延グラフト機能腎臓移植片若しくは腎障害急性腎不全;進行性再発性若しくは転移性固形悪性腫瘍におけるプロテインキナーゼN3(PKN3);LMP2、プロテアソームサブユニットベータ-9型(PSMB9)としても公知のLMP2、転移性黒色腫;プロテアソームサブユニットベータ-8型(PSMB8)としても公知のLMP7、転移性黒色腫;プロテアソームサブユニットベータ-10型(PSMB10)としても公知のMECL1、転移性黒色腫;固形腫瘍における血管内皮増殖因子(VEGF);固形腫瘍におけるキネシンスピンドルタンパク質、慢性骨髄性白血病におけるアポトーシス抑制B細胞CLL/リンパ腫(BCL-2);固形腫瘍におけるリボヌクレオチドレダクターゼM2(RRM2);固形腫瘍におけるフューリン;肝臓腫瘍におけるポロ様キナーゼ1(PLK1)、C型肝炎感染症におけるジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ1(DGAT1)、家族性腺腫性ポリポーシスにおけるベータカテニン;ベータ2アドレナリン作動性受容体、緑内障;糖尿病性黄斑浮腫(oedma)(DME)若しくは加齢黄斑変性症における、DAN損傷誘導性転写物4タン パク質としても公知のRTP801/Redd1;加齢黄斑変性症若しくは脈絡膜新生血 管(choroidal neivascularization)における血管内皮増 殖因子受容体I(VEGFR1)、非動脈炎性虚血性視神経症におけるカスパーゼ2;先天性爪肥厚症におけるケラチン6A N17K突然変異体タンパク質;インフルエンザ感染症におけるインフルエンザAウイルスゲノム/遺伝子配列;重症急性呼吸器症候群(SARS)感染症におけるSARSコロナウイルスゲノム/遺伝子配列;呼吸器合胞体ウイルス感染症における呼吸器合胞体ウイルスゲノム/遺伝子配列;エボラ感染症におけるエ ボラフィロウイルスゲノム/遺伝子配列;B型及びC型肝炎感染症におけるB型及びC型肝炎ウイルスゲノム/遺伝子配列;単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症におけるHSVゲノム/遺伝子配列、コクサッキーウイルスB3感染症におけるコクサッキーウイルスB3ゲノム/遺伝子配列;原発性ジストニアにおけるトルシンA(TOR1A)のような 遺伝子の病原性アレルのサイレンシング(アレル特異的サイレンシング)、移植における汎クラスI及びHLAアレル特異的;又は常染色体優性遺伝網膜色素変性症(adRP)における突然変異体ロドプシン遺伝子(RHO)に結合する、請求項57に記載のマトリックス。
【請求項59】
前記異種ポリヌクレオチドが遺伝子編集ヌクレアーゼをコードする、請求項1~58のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項60】
前記遺伝子編集ヌクレアーゼがジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)又は転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)を含む、請求項59に記載のマトリックス。
【請求項61】
前記異種ポリヌクレオチドが、機能的なII型CRISPR-Cas9;及び/又はガイドRNA配列;及び/又は標的遺伝子の修正若しくは置換のためのドナー核酸配列をコードする、請求項1~58のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項62】
ステップ(a)及び/又はステップ(b)が2回又はそれより多くの回数行われる、請求項1~61のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項63】
前記対象がヒトである、請求項1~62のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項64】
AAV結合抗体親和性マトリックスと接触したときに血液製剤からAAV結合抗体を体外又は体内で除去又は枯渇させるための入口及び出口を有する、カラム、装置、チャンバー、デバイス、フィルター、カートリッジ又はチューブ内に配された基材に取り付けられ又は固定された、前記AAV結合抗体親和性マトリックスであって、前記AAV結合抗体親和性マトリックスが、前記基材に取り付けられ又は固定された天然に存在する又は非天然の又は合成のインタクトなAAV空キャプシドを含む、AAV結合抗体親和性マトリックス。
【請求項65】
前記AAV結合抗体親和性マトリックスが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、Rh10、Rh74、配列番号1及び配列番号2のVP1、VP2及び/又はVP3キャプシドタンパク質からなる群から選択されるAAV VP1、VP2及び/又はVP3キャプシドタンパク質に対して90%又はそれより高い配列同一性を有するAAV VP1、VP2及び/又はVP3キャプシドタンパク質に結合する、請求項64に記載のAAV結合抗体親和性マトリックス。
【請求項66】
前記AAV結合抗体親和性マトリックスが、配列番号1又は配列番号2に対して90%又はそれより高い配列同一性を有するAAV VP1、VP2及び/又はVP3キャプシドタンパク質に結合する、請求項64に記載のAAV結合抗体親和性マトリックス。
【請求項67】
前記AAV結合抗体親和性マトリックスが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、Rh10、Rh74、配列番号1及び/若しくは配列番号2の(1つ若しくは複数の)キャプシドタンパク質、又はAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、Rh10、Rh74、配列番号1及び/若しくは配列番号2の(1つ若しくは複数の)キャプシドタンパク質に対して90%又はそれより高い配列同一性を有するキャプシドタンパク質に結合する、請求項64に記載のAAV結合抗体 親和性マトリックス。
【請求項68】
前記AAV結合抗体親和性マトリックスがGMPグレードである、請求項64~67のいずれか一項に記載のAAV結合抗体親和性マトリックス。
【請求項69】
対象から得られた血液製剤への前記AAV結合抗体親和性マトリックスの浸出が、前記血液製剤が前記対象に再導入される場合に、前記対象を実質的に害しない、請求項64~68のいずれか一項に記載のAAV結合抗体親和性マトリックス。
【請求項70】
前記AAV結合抗体が、AAVキャプシドタンパク質に結合するIgG、IgM、IgA又はIgDを含む、請求項64~69のいずれか一項に記載のAAV結合抗体親和性マトリックス。
【請求項71】
前記基材及び/又はカラム、装置、チャンバー、デバイス、フィルター、カートリッジ、若しくはチューブが、プラスチック又はガラスから構成されている、請求項64~70のいずれか一項に記載のAAV結合抗体親和性マトリックス。
【請求項72】
前記AAV結合抗体親和性マトリックス、基材及び/又はカラム、装置、チャンバー、デバイス、フィルター、カートリッジ若しくはチューブが無菌である、請求項64~71のいずれか一項に記載のAAV結合抗体親和性マトリックス。
【請求項73】
前記カラム、装置、チャンバー、デバイス、フィルター、カートリッジ、若しくはチューブが無菌である、請求項3又は15に記載のマトリックス。」
(2)本件補正後(令和5年8月23日提出の手続補正書)の特許請求の範囲の記載
上記(1)の本件補正前の特許請求の範囲の記載は、以下のとおり、本件補正後の特許請求の範囲の記載に補正された。なお、下線は補正箇所を示す。
「【請求項1】
タンパク質の機能又は活性の喪失により引き起こされる疾患について治療を必要とする対象を治療する方法のために用いられるAAV結合抗体親和性マトリックスであって、前記方法が(a)AAV結合抗体親和性マトリックスを用いたアフェレーシスを含むプロセスにより前記対象から得られた血液製剤からAAV結合抗体を、除去する、低減させる、枯渇させる、阻害する、不活性化する又は捕捉するステップであって、前記AAV結合抗体親和性マトリックスが、基材に取り付けられ又は固定された天然に存在する又は非天然の又は合成のインタクトなAAV空キャプシドを含み、前記AAV結合抗体親和性マトリックスが無菌である、ステップ;及び(b)前記タンパク質の機能又は活性を提供するか又は補助するタンパク質又はペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含むある量の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターを投与するステップを含む、AAV結合抗体親和性マトリックス。
【請求項2】
タンパク質の機能、活性又は発現の獲得により引き起こされる疾患について治療を必要とする対象を治療する方法のために用いられるAAV結合抗体親和性マトリックスであって、前記方法が(a)AAV結合抗体親和性マトリックスを用いたアフェレーシスを含むプロセスにより前記対象から得られた血液製剤からAAV結合抗体を、除去する、低減させる、枯渇させる、阻害する、不活性化する又は捕捉するステップであって、前記AAV結合抗体親和性マトリックスが、基材に取り付けられ又は固定された天然に存在する又は非天然の又は合成のインタクトなAAV空キャプシドを含み、前記AAV結合抗体親和性マトリックスが無菌である、ステップ;及び(b)前記タンパク質の機能、活性又は発現 の獲得の発現を阻害する、減少させる又は低減させる核酸に転写される異種ポリヌクレオチドを含むある量の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターを投与するステップを含む、AAV結合抗体親和性マトリックス。
【請求項3】
基材に固定された前記AAV結合抗体親和性マトリックスが、前記AAV結合抗体親和性マトリックスと接触したときに前記血液製剤からAAV結合抗体を体外又は体内で除去又は枯渇させるための入口及び出口を有する、カラム、装置、チャンバー、デバイス、フィルター、カートリッジ、又はチューブ内に配されている、請求項1又は2に記載のマトリックス。
【請求項4】
前記AAV結合抗体親和性マトリックスが、AAV VP1、VP2及び/又はVP3キャプシドタンパク質又はその断片を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項5】
前記AAV結合抗体親和性マトリックスが、天然に存在する又は非天然の又は合成のAAV VP1、VP2及び/又はVP3キャプシドタンパク質を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項6】
前記AAV結合抗体親和性マトリックスが、天然に存在する又は非天然の又は合成のAAV VP1、VP2及び/又はVP3キャプシドタンパク質モノマーを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項7】
前記AAV結合抗体親和性マトリックスが、天然に存在する又は非天然の又は合成のAAV VP1、VP2及び/又はVP3キャプシドタンパク質ポリマーを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項8】
前記AAV結合抗体親和性マトリックスが、天然に存在する又は非天然の又は合成のAAVキャプシドタンパク質に対して90%又はそれより高い配列同一性を有するAAV VP1、VP2及び/又はVP3キャプシドタンパク質を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項9】
前記AAV空キャプシドが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、Rh10、Rh74、配列番号1及び配列番号2のVP1、VP2及び/又はVP3キャプシドタンパク質からなる群から選択されるAAV VP1、VP2及び/又はVP3キャプシドタンパク質に対して90%又はそれより高い配列同一性を有する少なくとも1つのAAV VP1、VP2及び/又はVP3キャプシドタンパク質を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項10】
前記AAV空キャプシドが、配列番号1又は配列番号2に対して90%又はそれより高い配列同一性を有する少なくとも1つのAAV VP1、VP2及び/又はVP3キャプシドタンパク質を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項11】
前記AAV結合抗体親和性マトリックスが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、Rh10、Rh74、配列番号1及び/若しくは配列番号2の(1つ若しくは複数の)キャプシドタンパク質、又はAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、Rh10、Rh74、配列番号1及び/若しくは配列番号2の(1つ若しくは複数の)キャプシドタンパク質に対して90%又はそれより高い配列同一性を有するキャプシドタンパク質に結合する、請求項1~10のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項12】
前記AAV結合抗体親和性マトリックスがGMPグレードである、請求項1~11のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項13】
前記対象から得られた前記血液製剤への前記AAV結合抗体親和性マトリックスの浸出が、前記血液製剤が前記対象に再導入される場合に、前記対象を実質的に害しない、請求項1~12のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項14】
前記AAV結合抗体が、AAVキャプシドタンパク質に結合するIgG、IgM、IgA又はIgDを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項15】
前記基材及び/又はカラム、装置、チャンバー、デバイス、フィルター、カートリッジ、若しくはチューブが、プラスチック又はガラスから構成されている、請求項3に記載のマトリックス。
【請求項16】
前記アフェレーシスプロセスの前に前記血液製剤中に存在する前記AAV結合抗体が、約1:100より多く、その場合、1部の前記血液製剤を100部の等張緩衝液で希釈して、50%のAAVの中和がもたらされる、請求項1~15のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項17】
前記アフェレーシスプロセスの前に前記血液製剤中に存在する前記AAV結合抗体が、約1:1000より多く、その場合、1部の前記血液製剤を1000部の等張緩衝液で希釈して、50%のAAVの中和が結果もたらされる、請求項1~16のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項18】
前記血液製剤中に存在する前記AAV結合抗体の20~50%、50~75%、75~90%、90~95%又は95%又はそれより多くが除去される、請求項1~17のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項19】
前記アフェレーシスプロセス後の前記血液製剤中に存在する前記AAV結合抗体が、約1:10未満であり、その場合、1部の前記血液製剤を10部の等張緩衝液で希釈して、50%のAAVの中和がもたらされる、請求項1~18のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項20】
前記アフェレーシスプロセス後の前記血液製剤中に存在する前記AAV結合抗体が、約1:5未満であり、その場合、1部の前記血液製剤を5部の等張緩衝液で希釈して、50%のAAVの中和がもたらされる、請求項1~19のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項21】
前記アフェレーシスプロセス後の前記血液製剤中に存在するAAV結合抗体の比が、約1:4未満であり、その場合、1部の前記血液製剤を4部の等張緩衝液で希釈して、50%のAAVの中和がもたらされる、請求項1~20のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項22】
前記アフェレーシスプロセス後の前記血液製剤中に存在するAAV結合抗体の比が、約1:3未満であり、その場合、1部の前記血液製剤を3部の等張緩衝液で希釈して、50%のAAVの中和がもたらされる、請求項1~21のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項23】
前記アフェレーシスプロセス後の前記血液製剤中に存在するAAV結合抗体の比が、約1:2未満であり、その場合、1部の前記血液製剤を2部の等張緩衝液で希釈して、50%のAAVの中和がもたらされる、請求項1~22のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項24】
前記アフェレーシスプロセス後の前記血液製剤中に存在するAAV結合抗体の比が、約1:1未満であり、その場合、1部の前記血液製剤を1部の等張緩衝液で希釈して、50%のAAVの中和がもたらされる、請求項1~23のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項25】
前記方法後の前記血液製剤の全て又は一部分が、前記対象に再導入又は再注入される、請求項1~24のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項26】
ステップ(b)の後に、前記対象にドナーからの血液製剤が与えられる、請求項1~25のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項27】
ステップ(b)が(a)の後の約72時間以内に行われる、請求項1~26のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項28】
ステップ(b)が(a)の後の約48時間以内に行われる、請求項1~26のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項29】
ステップ(b)が(a)の後の約1~48時間以内に行われる、請求項1~26のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項30】
ステップ(b)が(a)の後の約36時間以内に行われる、請求項1~26のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項31】
ステップ(b)が(a)の後の約24時間以内に行われる、請求項1~26のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項32】
ステップ(b)が(a)の後の約1~24時間以内に行われる、請求項1~26のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項33】
ステップ(b)が(a)の後の約12時間以内に行われる、請求項1~26のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項34】
ステップ(b)が(a)の後の約6時間以内に行われる、請求項1~26のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項35】
ステップ(b)が(a)の後の約3時間以内に行われる、請求項1~26のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項36】
ステップ(b)が(a)の後の約30分~6時間以内に行われる、請求項1~26のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項37】
ステップ(b)が(a)の後の約30分~3時間以内に行われる、請求項1~26のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項38】
前記方法がステップ(a)の後であるがステップ(b)の前に、前記対象からの試料を前記試料中に存在するAAV結合抗体の量について分析することをさらに含む、請求項1~37のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項39】
前記方法がステップ(b)の後に、前記対象からの試料を前記試料中に存在するAAV結合抗体の量について分析することをさらに含む、請求項1~37のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項40】
前記対象からの分析される前記試料が血液製剤である、請求項38又は39に記載のマトリックス。
【請求項41】
前記血液製剤が血漿である、請求項1~40のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項42】
前記対象が、肺疾患(例えば、嚢胞性繊維症)、出血障害(例えば、阻害剤あり若しくはなしの血友病A若しくは血友病B)、サラセミア、血液障害(例えば、貧血)、アルツ イマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、癲癇、リソソーム蓄積症、銅若しくは鉄蓄積障害(例えば、ウィルソン病若しくはメンケス病)、リソソーム酸リパーゼ欠損症、神経学的若しくは神経変性障害、がん、1型若しくは2 型糖尿病、ゴーシェ病、ハーラー病、アデノシンデアミナーゼ欠損症、代謝障害(例えば、グリコーゲン貯蔵病)、網膜変性疾患(例えば、RPE65欠損症、コロイデレミア、及び眼の他の疾患)、固形臓器(例えば、脳、肝臓、腎臓、心臓)の疾患、又は感染性ウイルス(例えば、B型及びC型肝炎、HIVなど)、細菌性若しくは真菌性疾患を有する、請求項1~41のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項43】
前記疾患が、前記タンパク質をコードする遺伝子の発現の喪失又は低減により引き起こされるものである、請求項1~42のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項44】
前記疾患が血液凝固障害である、請求項1~43のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項45】
前記疾患が、血友病A、阻害抗体を有する血友病A患者、血友病B、任意の凝固因子:VII、VIII、IX及びX、XI、V、XII、II、フォンウィルブランド因子の欠損症、又はFV/FVIII合併欠損症、又はサラセミア、ビタミンKエポキシドレダクターゼC1欠損症又はガンマ-カルボキシラーゼ欠損症である、請求項1~44のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項46】
前記疾患が、貧血、外傷に関連する出血、損傷、血栓症、血小板減少症、卒中、凝固障害、播種性血管内凝固(DIC);ヘパリン、低分子量ヘパリン、五糖、ワルファリン、小分子抗血栓剤(すなわち、FXa阻害剤)に関連する過剰抗凝固;及び血小板障害、例えば、ベルナール・スーリエ症候群、グランツマン血小板無力症(thromblast emia)、又は貯蔵プール欠乏症である、請求項1~43のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項47】
前記疾患が、中枢神経系(CNS)に影響を与えるものか、又はCNSから発生するものである、請求項1~43のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項48】
前記疾患が神経変性疾患である、請求項1~43のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項49】
前記CNS又は神経変性疾患が、アルツハイマー病、ハンチントン病、ALS、遺伝性痙性片麻痺、原発性側索硬化症、脊髄性筋萎縮症、ケネディ病、ポリグルタミンリピート疾患、又はパーキンソン病である、請求項47又は48に記載のマトリックス。
【請求項50】
前記CNS又は神経変性疾患がポリグルタミンリピート疾患である、請求項48又は49に記載のマトリックス。
【請求項51】
前記ポリグルタミンリピート疾患が脊髄小脳失調症(SCA1、SCA2、SCA3、SCA6、SCA7、又はSCA17)である、請求項50に記載のマトリックス。
【請求項52】
前記異種ポリヌクレオチドが、インスリン、グルカゴン、成長ホルモン(GH)、副甲状腺ホルモン(PTH)、成長ホルモン放出因子(GRF)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、血管内皮増殖因子(VEGF)、アンジオポエチン、アンジオスタチン、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、エリスロポエチン(EPO)、結合組織成長因子(CTGF)、塩基性線維芽細 胞増殖因子(bFGF)、酸性線維芽細胞増殖因子(aFGF)、上皮成長因子(EGF)、トランスフォーミング増殖因子α(TGFα)、血小板由来成長因子(PDGF)、インスリン成長因子I及びII(IGF-I及びIGF-II)、TGFβ、アクチビン、インヒビン、骨形成タンパク質(BMP)、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィンNT-3及びNT4/5、毛様体神経栄養因子(CNTF)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、アグリン、ネトリン-1及びネトリン-2、肝細胞増殖因子(HGF)、エフリン、ノギン、ソニックヘッジホッグ並びにチロシンヒドロキシラーゼからなる群から選択されるタンパク質をコードする、請求項1又は3~51のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項53】
前記異種ポリヌクレオチドが、トロンボポエチン(TPO)、インターロイキン(IL1~IL-17)、単球走化性タンパク質、白血病抑制因子、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子、Fasリガンド、腫瘍壊死因子α及びβ、インターフェロンα、β、及びγ、幹細胞因子、flk-2/flt3リガンド、IgG、IgM、IgA、IgD及びIgE、キメラ免疫グロブリン、ヒト化抗体、単鎖抗体、T細胞受容体、キメラT細胞受容体、単鎖T細胞受容体、クラスI及びクラスII MHC分子からなる群から選択されるタンパク質をコードする、請求項1又は3~51のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項54】
前記異種ポリヌクレオチドが、CFTR(嚢胞性線維症膜貫通調節タンパク質)、血液凝固(凝血)因子(第XIII因子、第IX因子、第VIII因子、第X因子、第VII因子、第VIIa因子、プロテインCなど)機能性血液凝固因子の獲得、抗体、網膜色素上皮特異的65kDaタンパク質(RPE65)、エリスロポエチン、LDL受容体、リ ポタンパク質リパーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、β-グロビン、α-グロビン、スペクトリン、α-アンチトリプシン、アデノシンデアミナーゼ(ADA)、金属トランスポーター(ATP7A若しくはATP7)、スルファミダーゼ、リソソーム蓄積症(ARSA)に関与する酵素、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ、β-25グルコセレブロシダーゼ、スフィンゴミエリナーゼ、リソソームヘキソサミニダーゼ、分岐鎖ケト酸デヒドロゲナーゼ、ホルモン、成長因子、インスリン様成長因子 1若しくは2、血小板由来成長因子、上皮成長因子、神経成長因子、神経栄養因子-3及び-4、脳由来神経栄養因子、グリア由来成長因子、トランスフォーミング増殖因子α及びβ、サイトカイン、α-インターフェロン、β-インターフェロン、インターフェロン-γ、インターロイキン-2、インターロイキン-4、インターロイキン12、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子、リンホトキシン、自殺遺伝子産物、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ、シトシンデアミナーゼ、ジフテリア毒素、シトクロムP450、デオキシシチジンキナーゼ、腫瘍壊死因子、薬物耐性タンパク質、腫瘍抑制タンパク質(例えば、p53、Rb、Wt-1、NF1、フォンヒッペル-リンドウ(VHL)、腺腫様大腸ポリポーシス(APC))、免疫調節特性を有するペプチド、寛容原性若しくは免疫原性ペプチド若しくはタンパク質Tレギトープ若しくはhCDR1、インスリン、グルコキナーゼ、グアニル酸シクラーゼ2D(LCA-GUCY2D)、Rabエスコートタンパク質1(コロイデレミア)、LCA5(LCA-レベルシリン)、オルニチンケト酸アミノトランスフェラーゼ(脳回転状萎縮)、レチノスキシン1(X連鎖性網膜分離)、USH1C(アッシャー症候群1C)、X連鎖性網膜色素変性症GTPase(XLRP)、MERTK(RPのAR形態:網膜色素変性症)、DFNB1(コネキシン26難聴)、ACHM2、3及び4(色覚異常)、PKD-1若しくはPKD-2(多発性嚢胞腎疾患)、TPP1、CLN2、リソソーム蓄積症に関与する遺伝子産物(例えば、スルファターゼ、N-アセチルグルコサミン-1-リン酸トランスフェラーゼ、カテプシンA、GM2-AP、NPC1、VPC2、スフィンゴ脂質活性化タンパク質、ゲノム編集用の1つ若しくは複数のジンクフィンガーヌクレアーゼ、又はゲノム編集用の修復鋳型として使用されるドナー配列をコードする、請求項1又は3~51のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項55】
前記異種ポリヌクレオチドが阻害核酸をコードする、請求項2~51のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項56】
前記阻害核酸が、siRNA、アンチセンス分子、miRNA、RNAi、リボザイム及びshRNAからなる群から選択される、請求項2~51のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項57】
前記阻害核酸が、病原性遺伝子、病原性遺伝子の転写物、若しくはポリヌクレオチドリピート疾患に関連する遺伝子転写物、ハンチンチン(HTT)遺伝子、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(dentatorubropallidolusyan atropy)に関連する遺伝子(アトロフィン1、ATN1)、球脊髄性筋萎縮症におけるX染色体上のアンドロゲン受容体、ヒトアタキシン-1、-2、-3、及び-7、(CACNA1A)によりコードされるCav2.1 P/Q電位依存性カルシウムチャネル、TATA結合タンパク質、ATXN8OSとしても公知のアタキシン8逆鎖、脊髄小脳失調症におけるセリン/スレオニンプロテインホスファターゼ2A 55kDa調節サブユニットBベータアイソフォーム(1、2、3、6、7、8、12 17型)、脆弱X症候群におけるFMR1(脆弱X精神遅滞1)、脆弱X関連振戦/運動失調症候群におけるFMR1(脆 弱X精神遅滞1)、FMR1(脆弱X精神遅滞2)若しくは脆弱XE精神遅滞におけるAF4/FMR2ファミリーメンバー2;筋強直性ジストロフィーにおけるミオトニン-プロテインキナーゼ(MT-PK);フリードライヒ運動失調症におけるフラタキシン;筋 萎縮性側索硬化症におけるスーパーオキシドディスムターゼ1(SOD1)遺伝子の突然変異体;パーキンソン病及び/若しくはアルツハイマー病の病理発生に関与する遺伝子;アポリポタンパク質B(APOB)及びプロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)、高コレステロール血症(hypercoloesterolemia);HIV感染症におけるHIV Tat、転写遺伝子のヒト免疫不全ウイルストランス活性化因子;HIV感染症におけるHIV TAR、HIV TAR、ヒト免疫不全ウイルストランス活性化因子応答エレメント遺伝子;HIV感染症におけるC-Cケモカイン受容体(CCR5);RSV感染症におけるラウス肉腫ウイルス(RSV)ヌクレオキ ャプシドタンパク質、C型肝炎ウイルス感染症における肝臓特異的マイクロRNA(miR-122);p53、急性腎障害若しくは遅延グラフト機能腎臓移植片若しくは腎障害 急性腎不全;進行性再発性若しくは転移性固形悪性腫瘍におけるプロテインキナーゼN3(PKN3);LMP2、プロテアソームサブユニットベータ-9型(PSMB9)としても公知のLMP2、転移性黒色腫;プロテアソームサブユニットベータ-8型(PSMB8)としても公知のLMP7、転移性黒色腫;プロテアソームサブユニットベータ-10型(PSMB10)としても公知のMECL1、転移性黒色腫;固形腫瘍における血管内皮増殖因子(VEGF);固形腫瘍におけるキネシンスピンドルタンパク質、慢性骨髄性白血病におけるアポトーシス抑制B細胞CLL/リンパ腫(BCL-2);固形腫瘍におけるリボヌクレオチドレダクターゼM2(RRM2);固形腫瘍におけるフューリン;肝臓腫瘍におけるポロ様キナーゼ1(PLK1)、C型肝炎感染症におけるジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ1(DGAT1)、家族性腺腫性ポリポーシスにおけ るベータカテニン;ベータ2アドレナリン作動性受容体、緑内障;糖尿病性黄斑浮腫(o edma)(DME)若しくは加齢黄斑変性症における、DAN損傷誘導性転写物4タンパク質としても公知のRTP801/Redd1;加齢黄斑変性症若しくは脈絡膜新生血管(choroidal neivascularization)における血管内皮増殖因子受容体I(VEGFR1)、非動脈炎性虚血性視神経症におけるカスパーゼ2;先天性爪肥厚症におけるケラチン6A N17K突然変異体タンパク質;インフルエンザ感 染症におけるインフルエンザAウイルスゲノム/遺伝子配列;重症急性呼吸器症候群(SARS)感染症におけるSARSコロナウイルスゲノム/遺伝子配列;呼吸器合胞体ウイルス感染症における呼吸器合胞体ウイルスゲノム/遺伝子配列;エボラ感染症におけるエ ボラフィロウイルスゲノム/遺伝子配列;B型及びC型肝炎感染症におけるB型及びC型肝炎ウイルスゲノム/遺伝子配列;単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症におけるHSVゲノム/遺伝子配列、コクサッキーウイルスB3感染症におけるコクサッキーウイルスB3ゲノム/遺伝子配列;原発性ジストニアにおけるトルシンA(TOR1A)のような 遺伝子の病原性アレルのサイレンシング(アレル特異的サイレンシング)、移植における汎クラスI及びHLAアレル特異的;又は常染色体優性遺伝網膜色素変性症(adRP)における突然変異体ロドプシン遺伝子(RHO)に結合する、請求項56に記載のマトリックス。
【請求項58】
前記異種ポリヌクレオチドが遺伝子編集ヌクレアーゼをコードする、請求項1~57のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項59】
前記遺伝子編集ヌクレアーゼがジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)又は転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)を含む、請求項58に記載のマトリックス。
【請求項60】
前記異種ポリヌクレオチドが、機能的なII型CRISPR-Cas9;及び/又はガイドRNA配列;及び/又は標的遺伝子の修正若しくは置換のためのドナー核酸配列をコードする、請求項1~57のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項61】
ステップ(a)及び/又はステップ(b)が2回又はそれより多くの回数行われる、請求項1~60のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項62】
前記対象がヒトである、請求項1~61のいずれか一項に記載のマトリックス。
【請求項63】
AAV結合抗体親和性マトリックスと接触したときに血液製剤からAAV結合抗体を体外又は体内で除去又は枯渇させるための入口及び出口を有する、カラム、装置、チャンバー、デバイス、フィルター、カートリッジ又はチューブ内に配された基材に取り付けられ又は固定された、前記AAV結合抗体親和性マトリックスであって、前記AAV結合抗体親和性マトリックスが無菌であり、及び前記基材に取り付けられ又は固定された天然に存在する又は非天然の又は合成のインタクトなAAV空キャプシドを含む、AAV結合抗体親和性マトリックス。
【請求項64】
前記AAV結合抗体親和性マトリックスが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4 、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、Rh10、Rh74、配列番号1及び配列番号2のVP1、VP2及び/又はVP3キャプシドタンパク質 からなる群から選択されるAAV VP1、VP2及び/又はVP3キャプシドタンパク質に対して90%又はそれより高い配列同一性を有するAAV VP1、VP2及び/又はVP3キャプシドタンパク質に結合する、請求項63に記載のAAV結合抗体親和性マトリックス。
【請求項65】
前記AAV結合抗体親和性マトリックスが、配列番号1又は配列番号2に対して90%又はそれより高い配列同一性を有するAAV VP1、VP2及び/又はVP3キャプシドタンパク質に結合する、請求項63に記載のAAV結合抗体親和性マトリックス。
【請求項66】
前記AAV結合抗体親和性マトリックスが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、Rh10、Rh74、配列番号1及び/若しくは配列番号2の(1つ若しくは複数の)キャプシドタンパク質、又はAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、Rh10、Rh74、配列番号1及び/若しくは配列番号2の(1つ若しくは複数の)キャプシドタンパク質に対して90%又はそれより高い配列同一性を有するキャプシドタンパク質に結合する、請求項63に記載のAAV結合抗体親和性マトリックス。
【請求項67】
前記AAV結合抗体親和性マトリックスがGMPグレードである、請求項63~66のいずれか一項に記載のAAV結合抗体親和性マトリックス。
【請求項68】
対象から得られた血液製剤への前記AAV結合抗体親和性マトリックスの浸出が、前記血液製剤が前記対象に再導入される場合に、前記対象を実質的に害しない、請求項63~67のいずれか一項に記載のAAV結合抗体親和性マトリックス。
【請求項69】
前記AAV結合抗体が、AAVキャプシドタンパク質に結合するIgG、IgM、IgA又はIgDを含む、請求項63~68のいずれか一項に記載のAAV結合抗体親和性マトリックス。
【請求項70】
前記基材及び/又はカラム、装置、チャンバー、デバイス、フィルター、カートリッジ、若しくはチューブが、プラスチック又はガラスから構成されている、請求項63~69のいずれか一項に記載のAAV結合抗体親和性マトリックス。」
2 補正の目的について
本件補正は、以下の補正事項を含むものである。
(1)請求項1、2及び63において、本件補正前の請求項16又は72の記載に基づき、「前記AAV結合抗体親和性マトリックスが無菌である」ことを特定する補正。
(2)補正前の請求項16、72及び73を削除し、これに伴い、補正前の請求項17-71を繰り上げて請求項16-70とするともに、補正後の請求項において引用する請求項を変更する補正。
そして、上記補正(1)は、補正前の「AAV結合抗体親和性マトリックス」を、補正後の「無菌である」ものに限定する補正であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものである。
また、上記補正(2)は、同項第1号の請求項の削除を目的とするものである。
3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の、請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかについて、以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(2)に記載した、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
タンパク質の機能又は活性の喪失により引き起こされる疾患について治療を必要とする対象を治療する方法のために用いられるAAV結合抗体親和性マトリックスであって、前記方法が(a)AAV結合抗体親和性マトリックスを用いたアフェレーシスを含むプロセスにより前記対象から得られた血液製剤からAAV結合抗体を、除去する、低減させる、枯渇させる、阻害する、不活性化する又は捕捉するステップであって、前記AAV結合抗体親和性マトリックスが、基材に取り付けられ又は固定された天然に存在する又は非天然の又は合成のインタクトなAAV空キャプシドを含み、前記AAV結合抗体親和性マトリックスが無菌である、ステップ;及び(b)前記タンパク質の機能又は活性を提供するか又は補助するタンパク質又はペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含むある量の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターを投与するステップを含む、AAV結合 抗体親和性マトリックス。」
(2)引用文献
ア 引用文献1に記載された事項及び発明
(ア)引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶理由で引用された本願優先日前に公開された特表2003-501114号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は合議体が付したものであり、「・・・」は摘記の省略を示す。以下他の文献も同様である。
(摘記1-1)【特許請求の範囲】
「【請求項1】 個体においてウイルス免疫原性治療剤に対して予め存在する体液性免疫を減少させる方法であって、前記ウイルス治療剤に対する抗ウイルス抗体に選択的に結合する吸疫吸着剤で体外的に前記個体の血液を処理し;存在するなら、前記処理の間に形成された血液から抗体-免疫吸着剤複合体を除去し;そして該血液を前記個体にもどすことを含む方法。
・・・
【請求項4】 前記免疫吸着剤がポリペプチドである請求項1に記載の方法。
【請求項5】 前記ポリペプチドがウイルス表面タンパク質である請求項4に記載の方法。
【請求項6】 前記表面タンパク質がキャプシドタンパク質である請求項5に記載の方法。
・・・
【請求項18】 ウイルス治療剤を個体に投与する方法であって、
(a)抗体に結合する免疫吸着剤で体外的に個体の血液を処理し;
(b)存在するなら、前記処理の間に形成された抗体-免疫吸着剤複合体を除去し;
(c)前記血液を前記個体にもどし;そして
(d)前記ウイルス治療剤を前記個体に投与すること
を含む方法。
・・・
【請求項27】 好適なパッケージング内に、除去すべき抗体に特異的に結合する少くとも1の免疫吸着剤を含む請求項1に記載の方法に用いるためのキット。」
(摘記1-2)(段落【0002】~【0008】)
「【0002】
背景技術
広範囲のヒトの病気が細胞レベルで遺伝子異常に関連する。これらの病気のいくつかには、襄胞性線維症、貧血症、血友病、糖尿病、ハンチントン病、AIDS、異常に高い血清コレステロールレベル、及び特定の免疫欠損症がある。・・・
【0003】
いくつかの新しい潜在的に見込みのある治療法が現在開発中である。欠損遺伝子又は配列に外来性の配列を補給する遺伝子療法は、癌ばかりでなく、先に列記した病気全てを治療するのに役立ち得る。遺伝子療法は、一般に、ウイルスベクターのような外来性配列のためのデリバリービヒフルを要求する。これらの病気に対して有効なベクターであり得る新しく開発されたウイルス剤には、レトロウイルス及び組換えアデノウイルスがある。報告について、Kimら(1996)Mol.Med.Today 12:519~527及びSmithら(1996)Gene Therapy 3:496~502を参照のこと。治療剤として潜在的に役立つ他のウイルスベクターには、キロニーマウス白血病ウイルス(MOMLV)、ポックスウイルス、ヘルペスウイルス、HIV及びアデノ関連ウイルス(AAV)がある。
・・・
【0008】
アデノウイルスのようなウイルス治療剤の使用は有望であり続けるが、それらの有効性に対していくつかの大きな障壁がある。治療用ビヒクルとしてのウイルスベースのベクターの主要な制限のうちの2つは、(a)ウイルスに対する予め存在する循環する抗体によるウイルスの不治性化、及び(b)体液性免疫の一次的又は2次的誘導による反復投与の効能の減少である。例えば、アデノウイルスに関して、現在の血清学的調査は、米国の成人集団の57%が、1:2~1:512の範囲のタイターでアデノウイルス5に対する中和性抗体を有することを示す(Schulickら(1997)J.Clin.Invest.99:209~219)。中和性抗体は、静脈内アデノウイルス注入の後7~14日間、特定の抗原性決定基に対して形成される(Zinkernagel(1996)Science 271:173~178)。これらの抗体は、典型的には、キャプシドタンパク質及び一種とのグロプロテインのようなビリオン上のタンパク質について特異的である(George-Fries et al(1984)Virology 134(1):64-71;Fisher et al.(1997);Eing et al.(1989)J.Med.Virol.27(1):59-65;Highlander et al.(1987)J.Virol.61(11)3356-64;Durali et al.(1998)J.Virol.72(5):3547-53)。アデノウイルスキャプシドタンパク質によるCDチナリンパ球の活性化、感染した細胞におけるMHCクラスt分子の上昇制御も導き、中和性抗体の生産及び(TLによるアデノウイルス感染細胞のクリーニングに寄与する(Yangら(1995)J.Virol.69:2004~2015)。多くの患者について、治療用アデノウイルスは記憶消失性体液性応答及びCTL応答を誘導し、同じウイルスでのくり返しの静脈内治療の効能を更に減少させる。ヒトの集団の大部分は彼らの寿命の間、アデノウイルスに露出されているので、予め存在する免疫性ウイルスベクターの使用に対する主な障害となり得る。成人のヒトにおけるアデノウイルスに対する中和性抗体のこのような高い普及率は、(例えば遠くの腫瘍部位に)アデノウイルスが広まるのを阻害し、生体内でのアデノウイルスタイプ5ベースの治療の有効性を大きく限定し得る。)」
(摘記1-3)(段落【0020】~【0021】)
「【0020】
発明の実施の形態
我々は、個体において、ウイルス免疫原性剤、特にウイルス治療剤に対する予め存在する体液性免疫を減少させるために役立つ方法及び組成物を発見した。治療剤として投与する前に個体の血液中のウイルス免疫原性剤に対する抗体を除去することにより、ウイルス免疫原性剤に対する個体のプレ免疫性が減少する。
【0021】
我々は、ウイルス治療剤に特異的な抗体を除去することにより、その処理の有効性が増加することを発見し、それを信じている。ウイルス治療剤の投与に基づき、ウイルス治療剤に特異的に結合する抗体が選択的に除去された後、血液中に治療剤が長期にわたって存在し、播種が増加する。この長期の存在(即ち半減期の増加)は、ウイルス剤の有効性を増加させるはずである。例えば剤は、転移部位により有効に到達することができる。いずれの特定の理論にも結びつけるつもりはないが、予め存在する体液性免疫は抗体の除去により減少し、それによりウイルス治療剤の免疫破壊を遅らせ、これによりより有効な播種及びより長い半減期を許容する。」
(摘記1-4)(段落【0030】~【0062】)
「【0030】
本発明の方法
本発明は、ウイルス免疫原性治療剤に対する抗ウイルス抗体を選択的に除去することによりウイルス免疫原性治療剤に対する予め存在する体液性免疫を減少させる方法を供する。一般に、抗ウイルス抗体は、(a)個体の血液(即ちその全て又は一部)を、抗ウイルス抗体に選択的に結合する免疫吸着剤で体外的に処理し又はそれに接触させ;(b)存在するなら、その処理の間に形成された血液から抗体-免疫吸着剤複合体を除去し;(c)そしてその血液を個体にもどすことにより選択的に除去されて、換言すると、ウイルス免疫原性剤に特異的に結合する抗体は、個体の血液から選択的に除去され、ここでこの除去は、抗体に特異的に結合する免疫吸着剤に抗体を体外で結合させ、そして存在するなら形成された免疫吸着剤-抗体複合体を除去することにより達成される。次に、血液は個体にもどされる。細胞成分が血漿(又は血清)から分離されているなら、血漿及び細胞成分は個体に血液を注ぎ込む前に再び組み込まれる。次に、ウイルス治療剤は、そのウイルス剤に対して減少した予め存在する体液性免疫を有する個体に投与される。ウイルス治療剤の例は、これらに限られないが、アデノウイルス、モロニ-マウス白血病ウイルス(MoMLV)、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、アデノ関連ウイルス(AAV)、及びHIVを含む(及び/又はそれらから得ることができる)。
・・・
【0033】
免疫吸着剤の抗ウイルス抗体への結合
本発明の方法において、血液は、免疫吸着剤に体外的に結合させるために個体から除去される。血液を除去し、それをその構成成分に分離するための装置及び方法は当業界で知られている(例えば米国特許4,086,924;4,223,672号を参照のこと)。次に、血液又はその部分は、抗ウイルス抗体に特異的に結合することができる免疫吸着剤に露出される。この抗ウイルス抗体と免疫吸着剤との間の結合相互作用は、ウイルス治療剤に対する予め存在する体液性免疫を減少させる目的を開始する。
【0034】
免疫吸着剤は、その分子が抗ウイルス抗体との結合活性において必要な特異性を有する限り、いずれの化学成分(生化学物(例えばペプチド)、有機又は無機物)であってもよい。免疫吸着剤は、これらに限らないが、次のいずれかを含んでもよい:ウイルスベクターの抗原性部分(ウイルス自体を含む)、抗ウイルスベクター抗体に特異的なエピトープを含むタンパク質又は他の分子構造、抗ウイルスベクター抗体に特異的な抗イディオタイプ抗体、及び上述の抗体のF′abフラグメント。本発明の目的のため、1又は複数の免疫吸着剤、即ち異なる免疫吸着剤及び/又は単一の免疫吸着剤の組合せを用いることができる。免疫吸着剤は化学合成及び組換え技術のような当業界の標準的技術を用いて行うことができる。
【0035】
一般に、表面タンパク質及びビリオンの遺伝子材料を被包するタンパク質が本発明の方法に記載される免疫吸着剤の調製に用いるために好適である。種々のウイルスについて特異的である抗ウイルス抗体は、大部分は、表面エンベロープタンパク質又はキャプシドタンパク質のいずれかに特異的であるようである。それは、ウイルスの1つの血清型を別のものと区別するこれらのタンパク質でもある。完全な(全体の)ウイルスポリペプチド、そのフラグメント、及び少くともウイルスポリペプチドの免疫反応性部分を含む融合ポリペプチドを、特異的結合活性が存在する限り、用いることができる。特異的結合をテストすることは、ELISA又は免疫沈降法のような当業界において標準的な結合アッセイを用いて直ちに行うことができる。上述の治療用ウイルスの中で、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、AAV及びHIVは、免疫吸着剤として好適な候補であり得る十分にキャラクタライズされた表面及び被包タンパク質を有する。
・・・
【0038】
種々のアデノ関連ウイルス(AAV)タイプの抗原性は、それらのキャプシドタンパク質における差から得られ、これにより、キャプシドタンパク質は、中和性抗体への結合のための優れた候補であろう(図13(a))。成人テスト集団の60%がAAVタイプ5の構成成分に対する抗体を有した(George-Friesら(1984)Virology 134(1):64~71)。新しい血清型のAAV(タイプ6)を記述することにおいて、Rutledgeら(1998)は、タイプ2に対する中和性抗体に対する耐性のような、血清型特異的機能の原因であると考えられるキャプシドタンパク質の部分内の有意な配列バリエーションを見い出した(J.Virol.72(1):309~19)。
・・・
【0041】
抗ウイルス抗体の免疫吸着剤への結合は、血液(又は血液構成物)を、免疫吸着剤と、その除去を許容するのに十分に安定な免疫吸着剤抗体複合体の形成を許容する(容易に経験的に決定される)条件下でインキュベートすることにより行うことができる。
免疫吸着剤-抗体複合体の除去
安定な複合体を形成した後、血液又は血漿からこれらの免疫吸着剤-抗体複合体を除去するために2つの一般的な方法を用いることができる。1つは固相系を(即ち免疫吸着剤に結合したマトリックスを用いて)利用し、別の方法は、液相システムを利用する。固相系において、抗ウイルス剤抗ウイルス抗体に特異的な免疫吸着剤は固相マトリックスに結合する(即ち免疫吸着剤が結合した固相支持体)。除去すべき抗体を含む血液又は血漿(又は血清)に固相支持体を通過させる。血液、血漿又は血清は免疫吸着剤-抗ウイルス抗体複合体を残して固相支持体を出て、それにより血液からそれを除去する。液相系において、免疫吸着剤-抗体複合体は、血液又は血漿から免疫沈降される。
・・・
【0054】
血液を個体にもどすこと
抗ウイルス抗体-免疫吸着剤複合体を選択的に除去した(又は特定の実施形態に従って、1つの抗体-免疫吸着剤を除去した)後、血液は個体に再導入され、又は血漿又は血清に血液の細胞構成物が再び組み込まれ、それが個体にもどされる(アフェレーシス)。血液の除去及びその個体への返送は当業界で公知であり、先に列記した特許及び出版物に記載される。一般的に用いられる2つの方法は、連続的及び非連続的方法である。連続的方法は、規則的な流れで個体が血液を除去し、その細胞構成物から血漿を分離し、その血漿を処理し、その血漿を細胞構成物と組み合せ、そして次に個体に再注入することに関する。不連続法は、少量の血液を除去し、その特定容量の細胞構成物から血漿を分離し、その容量の血漿を処理し、それら2成分を再構成し、そしてその容量を個体に再注入することに関する。
【0055】
治療用ウイルス剤の投与
抗ウイルス抗体-免疫吸着剤複合体が選択的に除去された(又は特定の実施例に従って、1つの抗体-免疫吸着剤が除去された)後、ウイルス治療剤は種々の方法で投与することができる。ウイルス剤は、それを再組み込みされた血液に加えて個体に再注入することにより投与することができる。あるいは、ウイルス剤は、静脈内、筋内、皮下、及び腫瘍内注入のような注入を介して投与することができる。他の投与の方法には、経口投与、坐剤、又は吸入剤がある。投与の方法は、一般に、ウイルス剤の標的の位置に依存するであろう。例えば、標的が肺であるなら、吸入剤が静脈内注入より好ましい。標的が血液中又は多重転移部位にあるなら、静脈内注入が好ましいであろう。
【0056】
投与は、抗ウイルス抗体タイターが有意に増加する前におこるはずである。このタイターが有意に増加する比率は、個体の状態及び用いるウイルス剤のようないくつかの変数のいずれかに依存する。好ましくは、ウイルス治療剤は、抗ウイルス抗体の選択的除去の1週間以内、より好ましくは抗ウイルス抗体の選択的除去の3日以内、より好ましくは選択的除去の2日以内、より好ましくは選択的除去の1日以内、より好ましくは選択的除去の24時間以内、より好ましくは選択的除去の12時間以内、更により好ましくは選択的除去の6時間以内、更により好ましくは選択的除去の3時間以内に投与される。
・・・
【0061】
本発明のキット及び組成物
本発明は、本明細書に記載される方法と組み合わせて用いるためのキット及び組成物も含む。特定の実施形態において、そのキット及び組成物に、免疫吸着剤-抗ウイルス抗体複合体の体外的な選択的形式及び/又は除去を行う。これらのキット及び組成物は、ウイルス治療剤に対する抗体について特異的な構成物を含み、治療剤に対する予め存在する体液性免疫を減少させるために血液からの体外的な除去を助けて、他の実施形態において、抗ウイルス抗体の検出に用いるためのキット及び組成物を供する。・・・
【0062】
これらのキット、特に抗ウイルス抗体の選択的除去を行うために用いられるものは、“システム”でもあり、そう呼ぶことができることが理解される。
本発明のキットは、好適なパッケージング内に除去されるべき抗ウイルス抗体に特異的に結合する免疫吸着剤を含む。好ましくは、そのキットはその使用のための説明書も含む。免疫吸着剤は先に議論される。キットは、1又は複数のこのような免疫吸着剤を含み得る。更に、キットは、別個の装置(即ち1又は複数の別個の装置)を含み得る。キットに含まれ得る別個の製造の例は、アフェレーシス装置に適合した免疫吸着剤に予め結合した予め充填されたクロマトグラフィーカラムである。別個の装置の別の例は、免疫吸着剤に予め結合していない予め充填されたカラムである。このようなキットにおいて、免疫吸着剤の選択を供することができ、使用者がカラムの特異性を規定するのを許容する。他の分離装置には、これらに限らないが、ニトロセルロース、ポリスチレン、及びガラス繊維フィルターのような上述のような他の固相支持体がある。」
(摘記1-5)(段落【0088】~【0092】)
「【0088】
実施例3
種々のアフィニティーカラムを用いる抗アデノウイルス抗体の除去
我々は、いくつかの免疫吸着剤をテストし、それらのヒト血漿から抗アデノウイルス抗体を除去する能力を比較した。これらの免疫吸着剤は単独で又は全て一緒に用いる、プロテインA、及びアデノウイルスヘキソン、ペントン、繊維タンパク質を含む。
【0089】
6×ヒスチジンタグイヒアデノウイルスヘキソン、繊維又はペントンタンパク質免疫吸着剤を、6×ヒスチジンリソカープライマーを用いてこれらのタンパク質をコードする遺伝子を増幅することにより調製した。次に遺伝子材料をタンパク質発現のために大腸菌に導入した。その大腸菌が発現したアデノウイルスヘキソン、繊維又はペントンタンパク質を、次に、製造元の説明(Qjage内からのQIA発現システム)に従って精製した。全大腸菌ライゼート及び精製した画分の電気泳動は組換えヘキソン、繊維及びペントンタンパク質の豊富さ及び純度を確認した(図12を参照のこと)。
【0090】
QIAカラム(上述)がヒスチジンテールを介してマトリックスにタンパク質を結合させるための基盤を形成する組換えヘキソン、繊維又はペントンタンパク質を含むアフィニティーカラムを、当業界で知られた方法を用いて調製した。各々のカラムについて、約200~400μgのタンパク質(約1ml中)を約0.5mlのマトリックスと混合した。繊維、ヘキソン、及びペントンタンパク質の組合せを用いる実験を、3つの別個の連続的カラム(1つのカラムの流出物が次のカラムに流れる)を走らせることにより行った。ヘキソン-又はペントン-アフィニティーカラムは対応する表面タンパク質と反応する抗体のいくつかを浄化する(図15~16を参照のこと)が、繊維、ヘキソン、及びペントンタンパク質の組合せを用いる場合に抗アデノウイルス抗体のより有効な枯渇が観察された(図18及び20;表3)。特に、そのコンビネーションアプローチは、高い予め存在する中和性抗体タイターで通常のヒト血漿中に存在する全抗アデノウイルス抗体を除去することにおいて約3~5倍、より有効であった(図17)。CN706を注入した患者から収集した血漿を用いた場合に同様の結果が観察された(図19)。その混合したアフィニティーカラムは全抗アデノウイルス抗体の約80%を枯渇させ、血清から中和活性を実質的に除去した。
【0091】
【表5】
[図:0001428485000001.jpg]
【0092】
我々は、精製した繊維タンパク質が再アセンブルしてトリマー構造を形成することを観察した(図21)。図22及び表5に示す通り、トリマー繊維はモノマー繊維より優れた免疫吸着剤として機能する。この結果は、抗繊維抗体の認識のための繊維マニホメーション及び/又はコンフィグレーションの重要性を示す。まとめると、我々の結果は、アデノウイルス表面タンパク質、特に繊維タンパク質は、ベースラインの抗アデノウイルス抗体及び2回目の免疫応答から生じた抗体を除去することにおいて有効であることを示す。」
(摘記1-6)(図19)
「
[図:0001428485000002.jpg]
」
(イ) 引用文献1に記載された発明
前記(ア)の記載事項に基づけば、引用文献1には、「遺伝子異常に関連する」「病気」を治療するための「欠損遺伝子又は配列に外来性の配列を補給する遺伝子療法」として、「ウイルス治療剤の使用は有望であ」るが、「ウイルスに対する予め存在する循環する」「中和性抗体」が「治療の有効性を大きく限定」するため(摘記1-2)、「治療剤として投与する前に個体の血液中の」「ウイルス治療剤に特異的な抗体を除去することにより」、「ウイルス剤の有効性を増加させる」こと(摘記1-3)、「抗ウイルス抗体は、(a)個体の血液(即ちその全て又は一部)を、抗ウイルス抗体に選択的に結合する免疫吸着剤で体外的に処理し又はそれに接触させ;(b)存在するなら、その処理の間に形成された血液から抗体-免疫吸着剤複合体を除去し;(c)そしてその血液を個体にもどすこと」「(アフェレーシス)」「により選択的に除去され」、「次に、ウイルス治療剤は、そのウイルス剤に対して減少した予め存在する体液性免疫を有する個体に投与される」こと(摘記1-1及び摘記1-4)が、技術的思想として説明されている。
さらに、「免疫吸着剤」は、「抗ウイルスベクター抗体に特異的なエピトープを含むタンパク質又は他の分子構造」が用いられ、「一般に、表面タンパク質及びビリオンの遺伝子材料を被包するタンパク質が」「好適であ」り、「ウイルス治療剤」が「アデノ関連ウイルス(AAV)」である場合には、「キャプシドタンパク質は、中和性抗体への結合のための優れた候補」となること、「ウイルス抗体に特異的な免疫吸着剤は固相マトリックスに結合」し、「アフェレーシス装置に適合した免疫吸着剤に予め結合した予め充填されたクロマトグラフィーカラム」を「キット」とすることも説明されている(摘記1-1及び摘記1-4)。
そして、上記技術的思想を具現化した実施例では、「マトリックスに」「アデノウイルスヘキソン、ペントン、繊維タンパク質」を「結合させ」た「アフィニティーカラム」を用いて、「ヒト血漿中に存在する全抗アデノウイルス抗体を除去」できることが確認されている(摘記1-5及び摘記1-6)。
そうすると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「遺伝子異常に関連する病気を治療するウイルス治療剤を個体に投与する方法のために用いるためのアフィニティーカラムのマトリックスであって、前記方法が
(a)抗体に結合する免疫吸着剤で体外的に個体の血液を処理し;
(b)存在するなら、前記処理の間に形成された抗体-免疫吸着剤複合体を除去し;
(c)前記血液を前記個体にもどし;そして
(d)前記ウイルス治療剤を前記個体に投与すること
を含み、前記アフィティーカラムのマトリックスは前記免疫吸着剤に予め結合され、前記免疫吸着剤がキャプシドタンパク質である、アフィニティーカラムのマトリックス。」
イ 引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶理由で引用された本願優先日前に公開されたBlood,Vol.122,No.1,p.23-36(以下「引用文献2」という。)は、「AAVベクターに対する免疫応答:遺伝子治療の成功に向けた障壁の克服」と題する総説であって、以下の事項が記載されている。なお、引用文献2は外国語の文献であるため、記載事項は合議体による翻訳文で示す。
(摘記2-1)(23頁要約)
「遺伝性疾患治療のための遺伝子治療製品は現在臨床試験中であり、そのひとつであるアデノ随伴ウイルス(AAV)製品は最近認可された。AAVベクターは、血友病、ゴーシェ病、血色素症、ポルフィリン症などの血液疾患を含む多くの臨床及び前臨床で良好な結果を得ている。AAVベクターは患者に直接投与されるため、宿主の免疫反応が起こる可能性が高いことは、ヒトでの研究でも明らかである。ベクターが設計された野生型ウイルス、あるいは導入された遺伝子産物それ自体に対する既存の、そして/又は想起される反応は、最適に同定・管理されなければ、治療効果を妨げる可能性がある。小規模の臨床研究によって、研究者はAAVベクターのキャプシドや導入遺伝子産物に対する免疫反応を解明し、治療遺伝子の長期発現を達成するためにこれらの再反応を管理する戦略を開発することができるようになった。しかしながら、AAVベクターの免疫原性、及びそれに関連する潜在的な毒性に関する包括的な理解はまだ不十分である。現在進行中の臨床研究の一環として行われる注意深い免疫サーベイランスは、AAVを介した遺伝子導入における免疫反応の複雑さを理解する基礎となり、遺伝性疾患に対する安全で効果的な治療法を促進する。」
(摘記2-2)(23頁右欄18行~24頁左欄20行)
「AAVウイルスと組み換えAAVウイルス粒子
AAVベクターは、自然界に存在するパルボウイルス、アデノ随伴ウイルス(1966年、呼吸器系の病原体の研究で初めて単離された)をもとに操作される20。AAVは自律的に複製するのではなく、アデノウイルスや単純ヘルペスなどのヘルパーウイルスに依存して複製する。免疫応答を促進する自律ヘルパーウイルスとともに、AAVに対するメモリーT細胞応答の生成は、このような共感染時の初期曝露が原因である。AAV自体は、ヒト集団において既知の病気とは関連していない。血清学的研究によれば、ほとんどの人が小児期や青年期に野生型AAVに暴露されている。
組換えAAVベクターはウイルスのコード配列を完全に欠失させ、ウイルスの逆末端反復配列のみを残しており、これはゲノムをウイルスキャプシドにパッケージングするためのシグナルとして機能する22。1996年、2つのグループが組換えAAVベクターが免疫不全マウスの骨格筋に導入された後、導入遺伝子を長期間発現させることを報告した23,24。ヒトを対象としたAAVベクターの最初の臨床試験は嚢胞性黒血病25を対象としたもので、ベクターを骨格筋に注入する血友病Bにおける最初の臨床試験は1999年に始まった26。
AAVによるin vivo遺伝子導入が引き起こす免疫応答の研究で重要な概念は、真核生物の導入遺伝子とウイルスキャプシドからなる組換え分子であるウイルスベクターはウイルスではなく、実際にはいかなるウイルスタンパク質の合成も指示することができないということである。しかし、組換えベクターのキャプシドは、真のウイルスキャプシドに近い模倣品、場合によっては完全なレプリカであるため、ベクターに対する免疫応答は、ベクターが設計された野生型ウイルスに対するヒト免疫系の事前の暴露の影響を受けることになる。・・・」
(摘記2-3)(25頁右欄6~20行)
「AAVに対する体液性免疫を克服する戦略
AAVに対する既存の免疫を持っている被験者への遺伝子導入は、循環を通じて導入する全ての方法にとって、依然として大きな課題である。AAVに対するNAbに対する現在のアプローチは、単にAAVに対する抗体を持つ患者を除外することですが、これは人口の70%に及ぶため、より良い解決策を見つけなければなりません。
AAVに対する体液性免疫の限界を克服するために提案されている戦略のいくつかを表1にまとめた。逆に、薬理学的及び物理的(プラズマフェレーシス)な抗AAV NAb力価の調節により、有望な結果が得られており、カテーテルと生理食塩水によるフラッシングの使用は、AAVベクターによる遺伝子導入において検討され、有望な結果が得られている72。」
(摘記2-4)(26頁表1の抜粋)
「
[図:0001428485000003.jpg]
」
ウ 引用文献3に記載された事項
原査定の拒絶理由で引用された本願優先日前に公開された国際公開第2016/055437号(以下「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、摘記箇所は、引用文献3のファミリー出願である特表2017-531652号の対応する箇所を併記する。
(摘記3-1)(1頁10~25行;【0002】)
「アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、インビボでヒトにおいて遺伝子を送達するための最良の安全性及び有効性プロファイルを有すると考えられるため、最適な遺伝子導入ベクターである。したがって、AAVベクターは、インビボの遺伝子治療用に広く用いられ、前臨床モデル並びに臨床試験において安全であり、有効であることが示されている。AAVベクターは、血友病B、嚢胞性線維症、α-1抗トリプシン欠乏症、パーキンソン病、デュシェンヌ型筋ジストロフィー及びレーバー先天性黒内障についての第1相/第2相試験において成功している(Selotら、Current Pharamceutical Biotechnology、2013年、14、1072-1082頁)。アリポジーン・チパルボベック(グリベラ(Glybera)(登録商標)、uniQure)は、リポタンパク質リパーゼ欠損症(LPLD)を治療するための遺伝子治療薬として、欧州において販売承認を取得している。様々な障害の治療のためのAAVベースの遺伝子治療アプローチが有望であるにもかかわらず、望ましくない免疫応答(野生型AAV又はAAVベースのベクターへの暴露後)がAAVベクターの治療効果を制限することがある。最近、静脈内投与後にAAV導入遺伝子組成物に相当量の空キャプシドを添加すると、中和抗体の阻害効果を克服することができ、肝臓において導入遺伝子発現に対して改善効果を有することが報告されている(国際公開第2013/078400号;国際公開第2013/123503号)。」
(摘記3-2)(8頁23~28行;【0028】)
「「空AAVキャプシド」は、本明細書において「空キャプシド」とも命名され、キャプシドタンパク質のみによって構成され、ウイルス核酸ゲノムを含まない。空キャプシドは、完全な(ゲノム含有)ベクター(例えば、アデノ随伴ウイルス、AAV)と結合し、それにより好ましくはウイルスベクターに対する免疫応答を低下させるデコイとして機能する、1つ以上の抗体又はスカベンジャー受容体と結合する点でウイルス様粒子である。・・・」
エ 参考文献A
当審において新たに引用する、本願優先日当時における技術常識を示す文献、「医療機器の製造販売届出に際し留意すべき事項について」、平成17年3月31日、薬食機発第0331002号、各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長通知(以下「参考文献A」という。)には、以下の事項が記載されている。
(摘記A-1)
「第1 医療機器製造販売届書各欄の記載事項について
薬事法施行規則様式三十九(三)による医療機器製造販売届書の各欄の記載事項は、次によることとする。
・・・
8 品目使用欄
品質、安全性及び有効性の観点から、本品の要求事項として求められる設計仕様のうち、「形状、構造及び原理」に該当しない事項を記載する。これらの内容は、主に設計段階の検証により得られた製造販売時における当該品目の品質、安全性及び有効性を保証した内容であり、品質、安全性(物理的・化学的・生物学的安全性を含む。)及び有効性(性能、機能)の観点から求められる規格等を設定すること。
滅菌に関する仕様等、その医療機器の品質確保について重要な仕様に関しては、準用可能な規格・基準がない場合、試験方法も併せて設定すること。その場合には、製造工程中においても確認が必要となる重要な規格・仕様等も含まれること。
9 操作方法又は使用方法欄
操作方法又は使用方法については順を追って、必要に応じ図解する等の方法により、分かりやすく記載すること。未滅菌品で使用に際して必ず滅菌したうえで使用すべき医療機器にあっては、その旨及び滅菌方法、滅菌条件(薬剤、ガス等を含む。)を記載すること。
他の品目と組合わせて使用する場合、当該組み合わせて使用する機器を含めた操作方法を説明すること。
なお、再滅菌を行って繰り返し使用することを前提とする医療機器にあっては、その旨と再滅菌の方法を記載すること。
10 製造方法欄
・・・
エ 滅菌医療機器にあっては、滅菌方法等を記載すること。
オ ヒト及び動物由来原料を使用して製造する場合については、製造工程中の細菌、真菌、ウイルス等の不活化/除去処理の方法、その他の品質・安全性確保の観点から必要な事項を記載すること。
・・・」
オ 参考文献B
当審において新たに引用する、本願優先日における技術常識を示す特表2011-530384号公報(以下「参考文献B」という。)には、以下の事項が記載されている。
(摘記B-1)(段落【0016】-【0017】)
「【0016】
血液のアフェレーシスシステム2を図1に例示するが、これは連続した血液成分の分離プロセスを可能にする。一般的に、連続システムにおいて、全血が献血者/患者4から採血されて血液成分分離装置6に供給され、ここで血液は個々の血液成分に分離され、装置6から、これらの血液成分の少なくとも1つの成分が取り出され、他の成分は献血者に返送される。連続システム2は、血漿をさらに血漿タンパク質に分離又は濃縮して採取することも提供する。
【0017】
血液のアフェレーシスシステム2において、血液は、献血者/患者4から採血され、体外チューブ回路10、血液処理容器352及び血漿分離器又は濃縮器205を含む、予め接続された使い捨てセット8を経て導かれ、これによって、完全に閉鎖され滅菌されたシステムが画定される。・・・」
カ 参考文献C
当審において新たに引用する、本願優先日における技術常識を示す特開2013-116903号(以下「参考文献C」という。)には、以下の事項が記載されている。
(摘記C-1)(【要約】)
「【解決手段】血漿中のアミロイドβ(Aβ)の隔離を誘導する薬物、および-血液流または血漿流と接触させることができ、アミロイドβ-前駆体タンパク(APP)と結合する受容体を有する固体の担体を含むアフェレーシス器具、を含むキット。・・・」
(摘記C-2)(【0044】~【0045】)
「【0044】
1.APP受容体を有する担体の製造
1.1 モノリスカラム
製造者の指示書に従い、CIM(登録商標)エポキシモノリスカラム(BIAセパレーションズ、SI)を0.5M Na-リン酸緩衝液、pH8.0で平衡化し、Aβペプチドに対するモノクローナル抗体も製造者の指示書に従って活性化してCIMカラムと結合させる。このカラムをリン酸緩衝液(+1M NaCl)で数回洗浄し、任意で余ったエポキシ基をブロックする。
品質保証は洗浄および平衡溶出液の制御により行う;溶出液中に活性なエポキシ基および抗体の漏れがないカラムのみを次工程に供し、アフェレーシス器具に取り付ける。
1.2 セファロースカラム
バルクのアガロース原料(セファロースCL4B)を無菌のまま殺菌済みの発熱物質なしの容器に満たして無菌的に洗浄する;ここでそのゲル原料は各洗浄ごとに減圧下で完全に乾燥させる。それから、このセファロースをオートクレーブ中115℃で30分間蒸気にて殺菌する。
【0045】
殺菌処理後、このセファロースを殺菌済み容器の中で60%アセトン-水中にとり、CNBrとトリエチルアミンで活性化する(CNBr 14g/アセトン 96ml;トリエチルアミン 30ml/87%-アセトン 408ml)。それから、アセトン/HCl溶液を加えた(殺菌済み、発熱物質フリーの水 392mL;5N HCl 16.3ml;アセトン 408ml)。活性化セファロースを洗浄し、活性化基の加水分解を防ぐため2時間以内に結合反応に供する。
無菌ろ過した抗体液(それぞれm266およびm243)を反応容器に入れて少なくとも90分間撹拌した。最後に溶出液中に反応生成物が検出できなくなるまで反応溶液を徹底的に洗浄し(等張リン酸緩衝液)、抗体結合セファロースを殺菌済み、発熱物質フリーの焼結ガラス付ガラス製カラムに充填して、最後の品質保証を実施する(反応生成物および重金属等について溶出液分析;粒子分析、発熱、無菌性)。」
キ 本願優先日当時の技術常識
前記エの記載事項に基づけば、医療機器の製造販売には、品質、安全性及び有効性を確保するために、医療機器の滅菌に関する仕様を設定することが求められ、血液製剤のようにヒト及び動物由来原料を使用して製造する場合は、製造工程中の細菌、真菌、ウイルス等の不活化/除去処理を行うことが求められていた。また、前記オ及びカに記載されるように、医療機器の一つであるアフェレーシス用器具においても、システムを滅菌して無菌とすることは周知の技術的事項であった。
そうすると、アフェレーシス用器具を含めた医療機器は、品質、安全性及び有効性を確保するために、滅菌して無菌とする必要があることは、本願優先日当時における医療機器分野における技術常識であったものといえる。
(3)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
本件補正発明における「タンパク質の機能又は活性の喪失により引き起こされる疾患」には、本件補正発明の従属請求項である請求項43に記載されるように、「タンパク質をコードする遺伝子の発現の喪失又は低減により引き起こされる」疾患が包含されるものであるから、引用発明における「遺伝子異常に関連する病気」は、本件補正発明における「タンパク質の機能又は活性の喪失により引き起こされる疾患」に相当する。
引用発明における「(a)抗体に結合する免疫吸着剤で体外的に個体の血液を処理し;(b)存在するなら、前記処理の間に形成された抗体-免疫吸着剤複合体を除去し;(c)前記血液を前記個体にもど」すことは、引用文献1(摘記1-4、【0054】)に説明されるように「アフェレーシス」を意味し、アフェレーシス装置は、「免疫吸着剤を結合したマトリックス」を含むものであるから(摘記1-4、【0041】、【0062】)、本件補正発明における「(a)抗体親和性マトリックスを用いたアフェレーシスを含むプロセスにより前記対象から得られた血液製剤から抗体を、除去する、低減させる、枯渇させる、阻害する、不活性化する又は捕捉するステップ」に相当し、引用発明における「キャプシドタンパク質である」「免疫吸着剤に予め結合され」た「アフィニティーカラムのマトリックス」は、本件補正発明における「基材に取り付けられ又は固定された天然に存在する又は非天然の又は合成の」「キャプシドを含」む「抗体親和性マトリックス」に相当する。
さらに、引用発明における「ウイルス治療剤」は、引用文献1(摘記1-2【0003】)に記載されるように、「欠損遺伝子又は配列に外来性の配列を補給する遺伝子療法」に用いられる「ウイルスベクター」であり、欠損遺伝子又は外来性の配列を含むウイルスベクターは、補給される欠損遺伝子又は外来性の配列がコードするタンパク質を対象において発現させるべく、野生型ウイルスから遺伝子組換え技術によって製造されるという技術常識(要すれば、前記(2)イ(摘記2-2)を参照。)を踏まえれば、引用発明における「(d)前記ウイルス治療剤を前記個体に投与すること」は、本件補正発明における「(b)前記タンパク質の機能又は活性を提供するか又は補助するタンパク質又はペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含むある量の組換えウイルスベクターを投与するステップ」に相当する。
そうすると、本件補正発明と引用発明とは、以下の点で一致し、また相違する。
<一致点>
「タンパク質の機能又は活性の喪失により引き起こされる疾患について治療を必要とする対象を治療する方法のために用いられるAAV結合抗体親和性マトリックスであって、前記方法が(a)抗体親和性マトリックスを用いたアフェレーシスを含むプロセスにより前記対象から得られた血液製剤からAAV結合抗体を、除去する、低減させる、枯渇させる、阻害する、不活性化する又は捕捉するステップであって、前記抗体親和性マトリックスが、基材に取り付けられ又は固定された天然に存在する又は非天然の又は合成のキャプシドを含むステップ;及び(b)前記タンパク質の機能又は活性を提供するか又は補助するタンパク質又はペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含むある量の組換えウイルスベクターを投与するステップを含む、抗体親和性マトリックス。」
<相違点1>
本件補正発明では、「インタクトなAAV空キャプシド」を含む「AAV結合」抗体親和性マトリックス用いたアフェレーシスを行い、「組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクター」を投与することを特定するのに対し、引用発明ではそのような特定がない点。
<相違点2>
本件補正発明では、「抗体親和性マトリックスが無菌である」ことが特定されるのに対し、引用発明ではそのような特定がない点。
(4)判断
上記相違点について検討する。
ア 相違点1について
前記(2)ア(イ)で説示したとおり、引用発明は、「治療剤として投与する前に個体の血液中の」「ウイルス治療剤に特異的な抗体を除去することにより」、「ウイルス剤の有効性を増加させる」という技術的思想に基づく発明であるところ、引用文献1(前記(2)ア(ア)(摘記1-2)【0003】)に、ウイルス治療剤として、実施例で使用されたアデノウイルスに続けて、「アデノ関連ウイルス(AAV)」が例示され、引用文献2及び3(前記(2)イ及びウ)にも記載されるように、AAVベクターは、「ほとんどの人が小児期や青年期に野生型AAVに暴露され」、「AAVに対する既存の免疫を持っている」という克服すべき障壁を有しつつも、安全で有効なベクターとして認可され、臨床で良好な結果が得られていることも知られていた。
そうすると、引用発明において、実際に臨床現場で使用されているAAVベクターによる遺伝子療法を採用することは、当業者が強く動機づけられるものといえるところ、引用文献1(前記(2)ア(ア)(摘記1-4)【0035】、【0038】)には、ベクターとして「AAVアデノ関連ウイルス(AAV)」を用いる態様を念頭においたうえで、その場合については、「キャプシドタンパク質」が「中和性抗体への結合のための優れた候補であ」ることが記載されている。
そして、引用文献1のアデノウイルスのヘキソン、繊維又はペントンタンパク質を固定したアフィニティーカラムを用いた実施例では、それぞれ単独のタンパク質を固定したカラムを用いる場合に比べ、3つの「組合せを用いる場合に抗アデノウイルス抗体のより有効な枯渇が観察された」こと、及び「精製した繊維タンパク質が再アセンブルしてトリマー構造を形成」した「トリマー繊維」は、「モノマー繊維より優れた免疫吸着剤として機能する」ことが示され、「抗繊維抗体の認識のための」「コンフィグレーション(合議体注:configuration(立体配置)の意)」が「重要」であることが説明されている(前記(2)ア(摘記1-5)及び(摘記1-6))。
アフィニティカラムは、「抗ウイルス抗体と免疫吸着剤との間の」「特異的」な「結合相互作用」を利用した分離技術の一つであるところ(前記(2)ア(摘記1-4)【0033】)、引用文献1における上記実施例の記載に接した当業者であれば、体液性免疫を有する個体の血液中に存在する抗体には、ウイルス表面タンパク質の様々な部位に結合する様々な抗体が含まれるため、免疫吸着剤としては、表面タンパク質の一部のペプチドを用いるより、天然の立体構造に近い表面タンパク質を用いる方が、より多くの抗体を吸着できることを、その分離原理からみて理解できるものといえる。
他方、引用文献2には「空のキャプシドを使って抗AVV抗体を吸着」すること(前記(2)イ(摘記2-4))が記載され、引用文献3にも「空キャプシドを添加すると、中和抗体の阻害効果を克服することができ」ること(前記(2)ウ)が記載されている。
ここで、「空のキャプシド」とは、「キャプシドタンパク質のみによって構成され、ウイルス核酸ゲノムを含まない」「ウイルス様粒子」(前記(2)ウ(摘記3-2))であって、「キャプシドタンパク質」全体を含み、天然のウイルス粒子の立体構造を有するものであるから、本件補正発明における「インタクトなAAV空キャプシド」に相当するものといえるところ、免疫吸着剤として用いた場合には、キャプシドを構成するタンパク質の一部を用いた場合に比べ、血液中に存在する様々な抗体をより多く吸着できるものといえる。
そうすると、引用発明において、引用文献1~3の記載に基づき、臨床現場で使用されているAAVベクターを用いた遺伝子療法を採用することとし、免疫吸着剤として、天然の立体構造を有し、血液中に存在する様々な抗体をより多く吸着することができる「インタクトなAAV空キャプシド」を採用して、上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものといえる。
イ 相違点2について
前記(2)キに説示したように、アフェレーシス用器具を含めた医療機器は、品質、安全性及び有効性を確保するために、滅菌して無菌とする必要があるという、本願優先日当時の医療機器分野における技術常識を踏まえれば、引用発明において抗体親和性マトリックスを無菌とすることは、当業者が当然に行うことであって、相違点2に係る構成を採用することに格別の困難性を見いだせない。
ウ 本件補正発明の効果について
本願明細書(【0156】~【0158】)には、実施例9において、アフェレーシス後の抗体のリバウンド速度を計算した予測データ(表1)が示され、初期AAVキャプシドIgG力価が高いほど、リバウンドが早く、プラズマフェレーシス後、1~24時間以内にAAVベクターを投与することができることが説明されているが、上記の予測結果に基づき、アフェレーシスを行った後にAAVベクターを投与し、その治療効果を確認した試験データはない。
他方、引用文献1(前記(2)ア(ア)(摘記1-4)【0054】)にも「抗ウイルスタイター」「が有意に増加する比率は、個体の状態及び用いるウイルス剤のようないくつかの変数のいずれかに依存」し、「ウイルス治療剤」は、「抗ウイルス抗体タイターが有意に増加する前」、「より好ましくは選択的除去の3時間以内に投与される」ことが記載されている。
そうすると、本願明細書の実施例9に示された予測データを考慮しても、本件補正発明が引用発明及び引用文献1~3の記載から予測できない顕著な効果を奏するものと認めることはできない。
エ 審判請求人の主張について
審判請求書(3.(2))において、マトリックスと接触した後の血液製剤は、患者に再導入する前に、当技術分野で公知の種々の許容可能な手段によって滅菌することができるから、引用文献1のマトリックスは本質的に無菌ではないことを述べ、本件補正発明の進歩性を主張している。
しかしながら、マトリックスを無菌とすることについては、前記イにおいて説示したとおり、当業者が通常行うことに過ぎず、請求人の主張を採用することはできない。
(5)小括
以上のとおりであるから、本件補正発明は、引用文献1に記載された発明、及び引用文献1~3に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
4 まとめ
以上のとおりであるから、本件補正発明は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明1
上記第2のとおり、本件補正は却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は、令和5年2月2日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。
「【請求項1】
タンパク質の機能又は活性の喪失により引き起こされる疾患について治療を必要とする対象を治療する方法のために用いられるAAV結合抗体親和性マトリックスであって、前記方法が(a)AAV結合抗体親和性マトリックスを用いたアフェレーシスを含むプロセスにより前記対象から得られた血液製剤からAAV結合抗体を、除去する、低減させる、枯渇させる、阻害する、不活性化する又は捕捉するステップであって、前記AAV結合抗体親和性マトリックスが、基材に取り付けられ又は固定された天然に存在する又は非天然の又は合成のインタクトなAAV空キャプシドを含む、ステップ;及び(b)前記タンパク質の機能又は活性を提供するか又は補助するタンパク質又はペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含むある量の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターを投与するステップを含む、AAV結合抗体親和性マトリックス。」
2 原査定の理由
原査定の拒絶の理由は、本願の請求項1に係る発明は、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明及び引用文献1~3の記載に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。
3 引用文献の記載事項及び引用発明
引用文献1~3の記載事項は、上記第2の3(2)に記したとおりである。また、引用発明についても、上記第2の3(2)ア(イ)に記したとおりである。
4 本願発明1と引用発明との対比・判断
上記第2の2で検討したとおり、本件補正発明は、本願発明1の「AAV結合抗体親和性マトリックス」を、補正後の「無菌である」ものに限定したものであるから、本願発明1は本件補正発明を包含するものである。
したがって、本件補正発明を包含する本願発明1は、上記第2の3において本件補正発明について説示したのと同様の理由により、引用文献1に記載された発明及び引用文献1~3の記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献1~3に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-014135