特許拒絶査定不服審判
2023-013361
X線CTシステム及び医用処理装置
- 審判番号
- 2023-013361
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-128969
- 請求日
- 2023年08月08日
- 審決日
- 2024年09月30日
- 公報発行日
- 2024年12月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 榎本 吉孝
- 審判官 樋口 宗彦
- 審判官 ▲高▼見 重雄
- 分類
- P18 .121-Z (A61B) / P18 .561-Z (A61B) / P18 .575-Z (A61B) / P18 .113-Z (A61B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-128969「X線CTシステム及び医用処理装置」拒絶査定不服審判事件〔令和3年2月12日出願公開、特開2021-13489〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1.手続の経緯
本願は、令和元年7月11日に出願された特許出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
令和5年 2月28日付け:拒絶理由通知
同年 4月27日:意見書
同年 4月27日:手続補正書
(以下、この手続補正書による手続補正を「審査時補正」という。)
同年 5月11日付け:拒絶査定
同年 8月 8日:手続補正書
(以下、この手続補正書による手続補正を「本件補正」という。)
同日 :審判請求
第2.本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)審査時補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、以下のとおりである(以下「本件補正前請求項1」といい、これに係る発明を「本件補正前発明」という。各構成単位冒頭の「pA」などは当審で付した分説番号であり、後記において、前記各構成単位について前記分説番号を用い「構成A」などということがある。以下、他の発明についても同様。)。
「【請求項1】
pA1 被検体に対して、第1のX線エネルギーに対応する第1投影データセットを収集するスキャンであって、
pA2 第2スキャンのスキャン範囲を設定するための位置決め撮影である第1スキャンを実行し、
pA4 前記第1スキャンに基づいて設定されたスキャン範囲に対して、前記第1のX線エネルギーとは異なる第2のX線エネルギーに対応する第2投影データセットと、前記第1のX線エネルギー及び前記第2のX線エネルギーとは異なる第3のX線エネルギーに対応する第3投影データセットと、を実質的に同時に収集する前記第2スキャンを実行する
pA スキャン部と、
pB 前記第1投影データセット、前記第2投影データセット、及び前記第3投影データセットに基づいて、3種類以上の基準物質による物質弁別を行なう処理部と
を備えた、
pC X線CTシステム。」
(2)本件補正により特許請求の範囲の請求項1の記載は以下のとおり補正された(以下「本件請求項1」といい、これに係る発明を「本件補正発明」という。下線部は補正箇所である。)。
「【請求項1】
A1 被検体に対して、第1のX線エネルギーに対応する第1投影データセットを収集するスキャンであって、
A2 第2スキャンのスキャン範囲を設定するための位置決め撮影である第1スキャンを、
A3 天板に載置された状態の前記被検体に対して実行される一連の検査の中で最初に実行し、
A4 前記第1スキャンに基づいて設定されたスキャン範囲に対して、前記第1のX線エネルギーとは異なる第2のX線エネルギーに対応する第2投影データセットと、前記第1のX線エネルギー及び前記第2のX線エネルギーとは異なる第3のX線エネルギーに対応する第3投影データセットと、を実質的に同時に収集する前記第2スキャンを実行する
A スキャン部と、
B 前記第1投影データセット、前記第2投影データセット、及び前記第3投影データセットに基づいて、3種類以上の基準物質による物質弁別を行なう処理部と
を備えた、
C X線CTシステム。」
2 本件補正の適否について
2-1 新規事項・目的要件について
(1)新規事項の有無についての検討
ア 本件補正は、本件補正前請求項1に記載した、発明を特定するために必要な事項である「第1スキャン」の「実行」動作について、その実行タイミングが、構成A3に係る、「天板に載置された状態の前記被検体に対して実行される一連の検査の中で最初」であるとの技術事項を限定するものである。
ここでの「一連の検査」に何が該当するかについて特定されないが、文章構成上、あらゆる検査が含まれ、患者の位置合わせに係るスキャノグラムの取得やその代用となる検査も当然に含まれると解釈される。
しかし、前記のとおりの解釈を伴う前記技術事項については、本件出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲、明細書及び図面(総称して以下「当初明細書等」という。)の何れにも記載も示唆もない。この点を下記イに詳説する。
イ(ア)請求人は審判請求書において、本件補正の根拠として【0022】・【0074】を挙げている。
(イ)しかし、【0022】は
「寝台装置130は、スキャン対象の被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台131と、寝台駆動装置132と、天板133と、支持フレーム134とを有する。基台131は、支持フレーム134を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置132は、被検体Pが載置された天板133を、天板133の長軸方向に移動する駆動機構であり、モータ及びアクチュエータ等を含む。支持フレーム134の上面に設けられた天板133は、被検体Pが載置される板である。なお、寝台駆動装置132は、天板133に加え、支持フレーム134を天板133の長軸方向に移動してもよい。」、というもので、寝台装置が天板を備える点については記載されるものの、検査の順についての言及はない。
(ウ)また、【0072】~【0074】は【図4】をもとにした処理手順の記載であり、
「【0072】
次に、X線CTシステム10による処理の手順の一例を、図4を用いて説明する。図4は、第1の実施形態に係るX線CTシステム10の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。
・・・
【0074】
まず、処理回路144は、被検体Pに対してスキャンA21を実行し、エネルギーE21に対応する投影データセットを収集する(ステップS101)。次に、処理回路144は、エネルギーE21に対応する投影データセットに対して再構成処理を実行し、再構成画像I21を生成する(ステップS102)。次に、処理回路144は、再構成画像I21に対するレンダリング処理を行なうことで参照画像を生成し(ステップS103)、生成した参照画像をディスプレイ142に表示させる(ステップS104)。」
と記載される。
また、【図4】は次のとおりである。
[図:0001417265000001.jpg]
しかし、【0072】~【0074】及び【図4】において、被検体を天板に載置する工程についての言及はなく、スキャンA21及びスキャンA22なる2つのスキャンについての手順が記載されるにすぎず、その他の検査についての言及はないし、【図4】の「スタート」や、【0074】冒頭の「まず」が、天板に被検体を載置して以降の如何なる時点を指すものかについては説明がなく、不明である。
ウ ここで、X線CTの撮像手順において、スキャノグラムの取得による位置合わせを行わない撮像手順は知られているものの、該手順の場合はスキャノグラムの代替となる、多くは光学撮影や触診など何らかの検査を伴う、位置合わせ処理が、X線CTの撮像に先行して必要となるというのが技術常識である。また、被曝量がスキャノグラムに比し桁違いに多いX線CTによる代用は通常行われないということも技術常識である。
しかし、本件出願の当初明細書等には、スキャノグラム取得やその代替手段となる検査による位置合わせ処理を省略することや、検査を伴わない代替手段の採用について言及はなく、該省略や代替を効果として主張する記載もない。
そうすると、当初明細書等の記載事項において、構成A3に係る「第1スキャン」が「天板に載置された状態の前記被検体に対して実行される一連の検査の中で最初に実行」されるとの態様が含まれていたと解することはできない。
エ したがって、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでなく、また、これらすべての記載を総合することにより導かれる技術事項との関係において新たな技術事項を導入するものであり、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
(2)補正の目的についての検討
ア はじめに
本件補正が新規事項の加入を伴う不適法なものであることは上記(1)で説示したとおりである。
しかし、仮に、上記で新規事項と判断した構成A3に係る技術事項、すなわち、X線CTスキャンが被検体の天板載置後何らの検査を経ることなく最初の検査として実行されるとの態様を本件補正前発明が含むことが、そのための代替手段の採用の有無や、代替手段を不要とする事情と共に、本件明細書等の記載において自明であるから、本件補正が新規事項を加入するものとまでいえないとした場合について、念のため、引き続き以下に検討する。
イ 補正の目的について
本件補正は、本件補正前請求項1に記載した、発明を特定するために必要な事項である「第1スキャン」の「実行」動作について、その実行タイミングが「天板に載置された状態の前記被検体に対して実行される一連の検査の中で最初」である点を限定するものである。
よって、本件補正は、本件補正前請求項1の発明特定事項を限定する補正を含むものと認められる。また、本件補正前請求項1に記載された発明と本件請求項1に記載される発明との産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
2-2 独立特許要件について
上記2-1(2)アのとおり、本件補正が新規事項を加入するものであるとまでいえない場合、同イのとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
よって、この場合について、本件補正発明が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下に検討する。
(1)本件補正発明について
分説を含め上記1(2)に記載したとおりである。
(2)引用文献に記載された事項
(2-1)引用文献等一覧
引用文献1:特表2011-526521号公報
引用文献2:特開2018-143287号公報
周知文献1:特開平7-100129号公報
周知文献2:国際公開第2009/020136号
周知文献3:特開2013-169358号公報
(2-2)引用文献2に記載された事項
ア 引用文献2の記載事項
本件出願の拒絶査定において、新規性・進歩性欠如に係る拒絶の理由1・2の主引用例として引用された文献であって、本件出願の出願日前に公知となった引用文献2には、次の記載がある。
(ア)明細書の記載事項
「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2以上の異なるエネルギー強度のX線を被検体に照射するマルチエネルギー撮影によって取得した各種画像を表示する画像表示制御装置、X線CT装置及び画像表示方法に関する。
・・・
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1のX線CT装置では、物質識別のために、横軸を低管電圧時のCT値、縦軸を高管電圧時のCT値としたCT値マップを基にして識別処理し結果を表示するにすぎない。このため、その識別結果の根拠、すなわち、各エネルギーにおけるCT値及びそれらのCT値の比を示すにはCT値マップそのものを、物質を識別するための特徴量として表示する必要がある。
【0008】
しかしながら、CT値マップを表示するのみでは、CT値の比が直感的に把握しづらく、特にエネルギー数が3以上の場合、各エネルギーにおけるCT値及びそれらCT値の比を示すのには適していない。一方、横軸をエネルギー(管電圧)、縦軸をCT値として表現するHU Attenuation Curveがあり、この方法によればエネルギー数3以上の場合も表現可能であるものの、単純な曲線グラフでは注目部位におけるCT値の比を直感的に把握するのは難しく、特にサムネール表示など、限られた領域に表示する場合にその判読性が低下する。物質弁別のためには、各エネルギー画像のCT値及びそれらCT値の比が、リファレンス画像を参照しながら確認可能であることが、読影における操作の煩雑さを軽減する目的からは望ましい。
【0009】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、マルチエネルギー撮影によって得られた各種画像において、特徴量の判読性を向上させることを目的とする。
・・・
【0017】
スキャンガントリ部100は、X線管101、回転円盤102、コリメータ103、寝台105、X線検出器106、データ収集部107、ガントリ制御部108、寝台制御部109、及びX線制御部110を備えている。
【0018】
X線管101は、寝台105上に載置された被検体にX線を照射する。コリメータ103はX線管101から照射されるX線の放射範囲を制限する。 回転円盤102は、寝台105上に載置された被検体が入る開口部104を備えるとともに、X線管101とX線検出器106を搭載し、被検体の周囲を回転する。
【0019】
X線検出器106は、X線管101と対向配置され、被検体を透過したX線を検出することにより透過X線の空間的な分布を計測する装置であり、多数のX線検出素子を回転円盤102の回転方向に配列したもの、若しくは回転円盤102の回転方向と回転軸方向との2次元に配列したものである。 データ収集部107は、X線検出器106により検出されたX線量をデジタルデータとして収集する。
【0020】
ガントリ制御部108は、回転円盤102の回転及び傾斜を制御する。寝台制御部109は、寝台105の上下前後動左右動を制御する。X線制御部110は、X線管101に入力される電力を制御する。
【0021】
操作ユニット200は、演算部120、入力部121、及び表示部125を備えている。演算部120は、画像処理部122、記憶部123、図形化処理部126及びシステム制御部124を備えている。
【0022】
画像処理部122は、データ収集部107から送出される計測データを演算処理してCT画像の再構成を行ったり、エネルギー強度毎の画像や物質弁別画像を生成したりする。記憶部123は、記憶部123は計測データ及び画像データを記憶する各種データ保存領域22及び画像データと当該画像データに関連する種々の情報を関連付けて保存する関連付データベース21を有している。記憶部123として、具体的にはHDD(Hard Disk Drive)等を適用することができる。
・・・
【0032】
このように構成されたX線CT装置1では、概ね以下のように撮影が行われる。すなわち、入力部121から入力された撮影条件、特にX線管電圧やX線管電流などに基づいて、X線制御部110がX線管101に入力される電力を制御することにより、X線管101は撮影条件に応じたX線を被検体に照射する。
・・・
【0034】
X線管101からのX線照射とX線検出器106による透過X線分布の計測が回転円盤102の回転とともに繰り返されることにより、様々な角度からの投影データが取得される。取得された様々な角度からの投影データは画像処理部122に送信される。画像処理部122は送信された様々な角度からの投影データを逆投影処理することによりCT画像を再構成する。再構成して得られたCT画像は表示部125に表示される。
・・・
【0036】
このように構成されたX線CT装置において、例として、腎結石の成分同定のための検査においてデュアルエネルギー撮影を行って画像を取得するまでの処理の流れを図3のフローチャートに従って説明する。
【0037】
ステップS301において、まず、X線CT装置において、撮影範囲を定めるためのスキャノグラムを撮影する。具体的には、ユーザにより入力部121を介して指定された撮影条件及び撮影範囲に従ってスキャノグラムが撮影されると、スキャノグラム像が各種データ22として記憶部123に保存され、スキャノグラム像に関する種々のデータを関連付データベース21の関連付テーブルに登録する。
【0038】
次に、ステップS302では、ステップS301で生成されたスキャノグラム像に基づいて撮影範囲を設定し、単純撮影を実施する。X線CT装置では、ユーザにより入力部121を介して指定された撮影条件及びステップS301で生成されたスキャノグラム像上で計画した撮影範囲に従って単純撮影を実施し、生成したスキャン画像及びRawDataを各種データ保存領域22に保存し、これら画像についての関連付情報を関連付データベースに保存する。
【0039】
図2の例では、Study UIDがST-i、Series UIDがSE-2、SOP UIDがb001~b100として、画像種1:Scan、画像種2:AX(アキシャル画像)、管電圧:120kV、FOV:350mm、(FOV-X,FOV-Y)=(0,0)、Position:0~495mmの画像として記憶されている。この時点では、濃淡図形化処理関連付フラグが未設定の状態となる。
【0040】
ステップS303では、ステップS302で生成された単純撮影のスキャン画像をリファレンスとして、必要とする撮影範囲を設定し、デュアルエネルギー撮影を実施する。すなわち、ユーザが入力部121を介してステップS302で生成された単純撮影のスキャン画像をリファレンスとして必要な撮影範囲、ここではPosition:400~435mmの画像が得られるように指定する。
【0041】
X線CT装置では、ユーザによる入力指示に従ってデュアルエネルギー撮影を実施し、デュアルエネルギー撮影画像(エネルギー強度毎の画像)及びRawData(管電圧140kVと80kVの2種の画像、RawData)を各種データ保存領域22に保存し、これら画像についての関連付情報を関連付データベース21に登録する。
【0042】
図2では、管電圧140kVの画像が、Study UID:ST-i、Series UID:SE-3、SOP UID:c001~c008、画像種1:Scan(スキャン画像)、画像種2:AX(アキシャル画像)、管電圧:140kV、FOV:350mm、(FOV-X,FOV-Y)=(0,0)、Position:400~435mmの画像として登録されている。
【0043】
また、管電圧80kVの画像が、Study UID:ST-i、Series UID:SE-4、SOP UID:d001~d008、画像種1:Scan(スキャン画像)、画像種2:AX(アキシャル画像)、管電圧:80kV、FOV:350mm、(FOV-X,FOV-Y)=(0,0)、Position:400~435mmの画像として登録されている。
【0044】
ここで、デュアルエネルギー撮影範囲のリファレンスとした単純撮影画像の同一範囲の画像(SOP UID:b081~b088)及びデュアルエネルギー撮影画像(SOP UID:c001~c008、d001~d008)の濃淡図形化処理関連付フラグに、同一番号(識別子)である”1”が設定される。これにより、単純撮影とデュアルエネルギー撮影画像が関連付けられ、濃淡図形化処理の対象として扱われるようになる。
【0045】
また、図2の関連付データベースには、SOP UID:e001及びf001、画像種1:Recon(リコン画像)、画像種2:AX(アキシャル画像)の2つの画像が登録されている。これはSOP UID:b081の画像をリファレンスとして、片方の腎臓領域を拡大した画像を再構成(リコン)したものであり、それら画像の濃淡図形化処理関連付フラグには”2”が付与されている。 このようにして、以後に行われる図形化処理に必要な画像及び関連付け情報が記憶部123に記憶される。
【0046】
(図形化処理部126における処理について)
図形化処理部126は、記憶部123に記憶された画像のうち、関連付け情報によって関連付けられた画像に基づいて、図形化処理を行う。 すなわち、図形化処理部126は、まず、入力部121により指定された画像及びその画像に関連する他の画像について記憶部123の関連付データベース21を検索し、その結果を基に関連する全種画像を記憶部123の各種データ保存領域22から取得し、例えば図4に示すように表示部125に表示させる。
・・・
【0059】
図5の例では、管電圧120kV、140kV、80kVの3つのエネルギーで円を3等分し、120°の扇形で各管電圧の情報を示している。外周は、エネルギー強度(種類)、すなわち、管電圧の大きさ(種類)を示している。扇形の半径はCT値比を示しており、この例では80kV画像のCT値が最大値であり、この80kV画像のCT値を1.0とした場合の比となる。半径がCT値比を示すことから、扇形の面積もCT値比の比較の目安とすることができる。また、扇形の領域の濃淡はCT値で示しており、各管電圧のROI内のCT値を比較することができる。この濃淡図形は、図4に示すように、印加した管電圧毎の画像と共に、図形表示領域に表示される。
・・・
【0061】
(変形例1)
上述した第1の実施形態における濃淡図形では、管電圧120kV、140kV、80kVの3つのエネルギーで円を3等分し、120°の扇形の濃淡で管電圧毎のCT値を、また扇形の半径でCT値比を表現し、外周の破線の種類を異ならせて管電圧の大きさを示している。 濃淡図形は上述した例に限られず、図7に示すような種々の表現形式が考えられる。
・・・
【0074】
(第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態において、X線CT装置の構成そのものは上述した第1の実施形態及びその変形例と同一の構成であるので、その説明を省略する。第1の実施形態及び各変形例では、特徴量としてCT値及びCT値の比を濃淡図形表示する場合について説明したが、本実施形態では、マルチエネルギー撮影によって得られたデータから物質弁別画像を生成し、これらの物質弁別画像から、その画素値、すなわち、物質弁別画像の線減弱係数となる、物質の密度と質量減弱係数の乗算値を特徴量として濃淡図形表示する。
【0075】
なお、物質弁別画像は、例えば、2つの物質に弁別した場合、それら物質弁別画像の線減弱係数の和からCT値を求めることができる。具体的には、管電圧によらず、水のCT値が0、空気のCT値が-1000となる様に物質弁別画像の線減弱係数を変換することでCT画像を得ることができる。なお、物質弁別画像の具体的な生成方法については、公知であるのでここでの説明は省略する。
・・・
【0081】
ステップS1403では、図形化処理部126が、ステップS1402で設定された物質弁別画像のROI内の画素値を取得する。具体的には、ステップS1402で描画されたROI内の画素値を、物質弁別画像において平均化する。上述した第1の実施形態で、各管電圧の画像を濃淡図形化処理の対象としているが、単純撮影画像と物質弁別画像ではその画像の画素値が持つ意味が異なる。このため、図15の関連付データベースの画像種1がdcmp(物質弁別画像)である物質弁別画像のみで平均化処理を行う。すなわち、図15のSOP UID:g001及びh001の画像のみが平均化処理の対象となる。
【0082】
ステップS1404では、図形化処理部126が、ステップS1403で得られた物質弁別画像のROI内画素値を基に画素値比を算出する。具体的には、次の(3)式に基づいて物質弁別画像にける画素値比DRiを算出する。
【0083】
【数3】
[図:0001417265000002.jpg]
・・・
【0087】
図17(b)は、図17(a)とは異なる表現方法の濃淡図形表示例であり、物質弁別画像として、水画像、カルシウム画像、脂肪画像を作成し、それら画像のROI内の度画素値の比を濃淡図形表示している。
【0088】
このように本実施形態によれば、マルチエネルギー画像の画素値及び当該画素値の比を視覚的に把握できるように表示することができる。」
(イ)図面の記載事項
【図17】
[図:0001417265000003.jpg]
(ウ)認定事項1
3つの構成要素からなる集合について、該各要素の数値の総和に対する構成比を表す方式として、正三角形の各頂点とそれを含む一辺に各構成要素の構成比値を割り当てて(上頂点を100%としてそこから左斜辺に第1の構成要素、左頂点を100%としてそこから底辺に第2の構成要素、右頂点を100%としてそこから右斜辺に第3の構成要素の各軸を設定)、3つの構成要素の構成比を該正三角形内の一点にプロットする「三角グラフ」という周知の表現方式が慣用されていることは、技術常識である。
一方、図17(b)には、正三角形各頂点に「脂肪」・「カルシウム」・「血液」が表記され、図の左上に「脂肪20%」・「カルシウム70%」・「血液10%」なる構成比値が囲み表示され、そして正三角形内に1点のプロット(黒丸)が記入されていることが看取される。
そして、該図17(b)の看取事項から、当業者は、前記技術常識に照らし、該図の左斜辺が上頂点を100%とする脂肪の座標軸であり、底辺が左頂点を100%とするカルシウムの座標軸であり、右斜辺が右頂点を100%とする血液の座標軸であり、正三角形内のプロットが、脂肪:カルシウム:血液=20%:70%:10%の位置を表すことを当然に、また、容易に理解すると認められる。
イ 引用文献2に記載された発明
上記アの各記載から、引用文献2には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。ここで、各構成単位末尾括弧内には、該各構成単位の主たる認定根拠とした記載箇所を記した。
「2a11 3以上の異なるエネルギー強度によるマルチエネルギー撮影を行うX線CTシステムにおいて、
例えば単純撮影及びデュアルエネルギー撮影を行って3つのエネルギーで撮像する場合、(【0001】・【0008】・【0009】・【0038】・【0040】)
2a12 スキャノグラム像に基づいてX線CT画像の撮影範囲を設定し、管電圧:120kVでのアキシャル画像をPosition:0~495mmについて、各画像のSOP UIDがb001~b100まで単純撮影し、生成したスキャン画像及びRawDataを各種データ保存領域に保存し、(【0038】~【0039】)
2a2 前記単純撮影のスキャン画像をリファレンスとして、必要とする撮影範囲を設定し、(【0040】)
2a4 前記Position:0~495mmについて単純撮影したSOP UID:b001~b100のスキャン画像をリファレンスとして必要な撮影範囲としてPosition:400~435を指定してX線CTのデュアルエネルギー撮影を実施し、(【0040】~【0041】)
2a5 前記指定したPosition:400~435mmについて、管電圧140kVの画像であるSOP UID:c001~c008のアキシャル画像を得て、また、(【0042】)
2a6 前記指定したPosition:400~435mmについて、管電圧80kVの画像であるSOP UID:d001~d008のアキシャル画像を得て、(【0043】)
2a7 生成したスキャン画像及びRawDataを各種データ保存領域に保存し、(【0041】)
2a8 スキャンガントリ部には、寝台上に載置された被検体にX線を照射するX線管と、X線検出器とが被検体の周囲を回転する回転円盤に搭載され、(【0017】・【0018】)
2a9 撮影条件に応じたX線を被検体に照射するためにX線管に入力される電力を制御するX線制御部と、(【0032】)
2a10 X線検出器により検出されたX線量をデジタルデータとして収集するデータ収集部と、
回転円盤の回転及び傾斜を制御するガントリ制御部と、
データ収集部から送出される計測データを演算処理してCT画像の再構成を行ったり、エネルギー強度毎の画像や物質弁別画像を生成したりする画像処理部、記憶部、図形化処理部及びシステム制御部を備える操作ユニットと、をさらに備え、(【0019】~【0022】)
2b1 デュアルエネルギー撮影範囲のリファレンスとした単純撮影画像のうち同一範囲の画像(SOP UID:b081~b088)、前記デュアルエネルギー撮影に係る管電圧140kVでの撮影画像(SOP UID:c001~c008)、及び、同じく前記デュアルエネルギー撮影に係る管電圧80kVでの撮影画像(SOP UID:d001~d008)の各画像を濃淡図形化処理関連付フラグに同一番号を設定することにより関連付け、(【0044】)
2b2 このようにして、以後に行われる図形化処理に必要な画像及び関連付け情報が記憶部に記憶され、(【0045】)
2b3 管電圧120kV、140kV、80kVの3つのエネルギーで円を3等分し、120°の扇形の濃淡で管電圧毎のCT値を、また扇形の半径でCT値比を表現し、外周の破線の種類を異ならせて管電圧の大きさを示す濃淡図形を生成することに替えて、マルチエネルギー撮影によって得られたデータから物質弁別画像を生成し、該物質弁別画像から、物質の密度と質量減衰係数の乗算値を特徴量として濃淡図形表示する濃淡図形生成処理を行う実施形態において、
マルチエネルギー撮影によって得られたデータから公知の生成方法によって、例えば物質弁別画像として、水画像、カルシウム画像、脂肪画像が生成され、(【0061】・【0074】・【0075】・【0087】)
2b4 図形化処理部によって、物質弁別画像に対しユーザーが設定したROI内の画素値が平均化処理され、(【0081】)
2b5 前記各物質弁別画像のROI内の平均化された画素値をもとに、i番目の物質弁別画像のROI内画素値(Di)と、全物質弁別画像のROI内画素値の和(Σ(Di))との比値(DRi)が、
DRi=Di/Σ(Di)
なる式に基づいて算出され、(【0082】・【0083】)
2b6 例えば物質弁別画像が水(血液)画像、カルシウム画像、脂肪画像である場合、該各画像のROI内の画素値の前記比値を、正三角形の各頂点に水・カルシウム・脂肪を割り当てた三角グラフからなる濃淡図形に対し前記比値(DRi)をプロットする方式により、濃淡図形表示される、(【0087】、【図17】(b)、認定事項1)
2c X線CTシステム。(【0046】)」
(2-3)周知文献1に記載された事項
本件出願の出願日前に公知となった周知文献1には次の記載がある。
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被検体の断層像を得るX線コンピュータ断層撮影装置に関する。
・・・
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の目的は、スキャノグラムを撮影することなくスキャン開始位置及びスキャン範囲を設定可能とすることにより被曝の問題を解消し、患者スループットを向上するX線コンピュータ断層撮影装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、被検体の断層像を得るX線コンピュータ断層撮影装置において、X線フィルムに捕らえられ且つ外部観察により又は触診により確認できる所定の部位の位置を原点とした前記被検体に関する既に撮影済みのX線フィルムのフィルム座標系におけるスキャン範囲の範囲情報を入力する第1の入力手段と、天板上に前記被検体が載置された状態で外部観察により又は触診により確認した天板座標系における前記所定の部位の位置情報を入力する第2の入力手段と、前記第2の入力手段から入力された前記天板座標系における前記所定部位の位置を前記フィルム座標系の原点として、前記フィルム座標系の前記スキャン範囲情報を前記天板座標系の範囲情報に変換する手段と、前記変換手段により前記天板座標系の情報に変換されたスキャン範囲情報にしたがって天板の移動を制御する手段とを具備する。
【0007】
【作用】本発明によれば、X線フィルムに捕らえられ且つ外部観察により又は体表の触診により確認できる所定の部位の位置を両座標系間の橋渡しとして、フィルム座標系のスキャン範囲情報を天板座標系の情報に変換することができる。したがって当該被検体に関する既に撮影済みのX線フィルムがあれば、スキャン範囲を設定するためにスキャノグラムを撮影する必要がなくなる。」
(2-4)周知文献2に記載された事項
本件出願の出願日前に公知となった周知文献2には次の記載がある。
「技術分野
[0001] 本発明は、X線CT装置に係り、特にマルチエネルギー撮影機能を備えたX線CT装置に関する。
・・・
[0040] (1)スキャノグラム撮影の実施の要否設定(Sl10)
マルチエネルギー撮影においては、スキャン条件の設定と、このスキャン条件でスキャンする複数の管電圧、管電流のX線条件を設定する必要がある。
前記スキャン条件は、スキャノグラム画像を用いて設定する場合と、スキャノグラム画像を撮影せずに設定する場合の2通りが可能である。本ステップSllOでは、操作者が操作装置6を用いて表示装置5の画面上からスキャノグラム撮影の要否の入力を行う。スキャノグラム撮影が「要」と入力された場合にはステップSl20でスキャノグラム撮影が行われる。ステップSl20で行われるスキャノグラム撮影については、既に各種文献で公知であるので、ここではその説明を省略する。
一方、操作者によってスキャノグラム撮影が「否」と入力された場合にはステップSl30へ進む。
[0041] (2)スキャン条件、X線条件の設定(Sl30)
(i)スキャノグラム画像を用いて設定する場合
操作者によって、ステップSl20で撮影されたスキャノグラム画像を用いてスキャン条件が設定される。ここで設定されるスキャン条件とは、先頭CT画像・末尾CT画像の体軸方向位置(スキャン範囲又はスライス数)、体軸方向におけるCT画像作成間隔(スライスピッチ)、スキャン開始位相(被検体のどの方向からスキャンを開始するか)、スキャン速度(X線管が1回転するのに要する時間)、X線コリメーション条件(スライス厚)、X線条件(管電圧、管電流)、管電流の切替え時間(以下、遷移時間という。)と切替えタイミング、再構成フィルタ関数の種類、視野サイズ等の諸条件を指す。
・・・
[0059] (ii)スキャノグラム画像を用いない場合
ステップSllOにおいて操作者がスキャノグラム撮影を「否」と選択した場合には、スキャノグラム撮影が行われずに、ステップSl30へ進む。上記スキャン条件、X線条件は前述のステップSl30と同様であるが、先頭CT画像と末尾CT画像の位置は、ガントリlに設置された位置決め用投光器によって設定される。
[0060] 以上のステップSl30で設定されたスキャン条件及びX線条件は、スキャン計画装置25によって記憶装置24へ格納される。
[0061](3)被検体の移動と撮影開始(Sl40)
スキャン条件及びX線条件の設定終了が終了すると、操作者は操作卓3へ被検体を撮影位置へ移動させる指令を入力する。すると、システム制御装置19は、被検体テーブル制御装置20へ被検体17を撮影位置(先頭CT画像撮影位置)へ移動させる指令を出力する。これによって天板移動装置22が制御され、被検体17の先頭CT画像撮影位置、すなわちスライスNo.1の位置がX線管8と検出器11の回転面位置へ移動される。
[0062] (4)撮影開始とスキャンカウンタKとスライスカウンタMの初期値の設定(Sl50)
・・・
[0065] (5)スキャンS(m,k)の実行(S210)」
(2-5)周知文献3に記載された事項
本件出願の出願日前に公知となった周知文献3には次の記載がある。
「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線CT装置に関する。
・・・
【0052】
(動作)
次に、図4および図5を参照して、本実施形態にかかるX線CT装置1の動作について説明する。図4は、第1実施形態にかかるX線CT装置1の動作の概要を示すフローチャートである。図5は、第1実施形態にかかるX線CT装置1の動作の概要を示すフローチャートである。ここでは、スキャンタイミング設定情報の設定およびスキャノグラムの生成を経て、タイミング生成部34cによるスキャン開始の指示、架台装置10による間欠的なスキャンおよびスキャンの終了までについて説明する。
【0053】
<S01>
スキャンを開始するにあたり、X線CT装置1は、スキャノグラムを生成する。すなわち、あらかじめ設定されたスキャン条件に基づいてスキャン制御部33が架台装置10の高電圧発生部14、架台駆動部17、絞り駆動部15および寝台駆動部22等を制御してスキャノグラムの撮影をする。例えば、スキャン制御部33は、寝台駆動部22を制御して寝台天板23と架台装置10の位置を相対的に変位させ、結果的に被検体をスキャン位置へ移動させる。また、スキャン制御部33は架台駆動部17を制御し、回転体13を移動させる。またスキャン制御部33は、高電圧発生部14を制御し、単一のX線投影角度によって被検体をスキャンする。データ収集部18は被検体を透過したX線に基づいて検出データを収集する。この収集データは、コンソール装置30に送られる。コンソール装置30が受けた収集データに基づいて、処理部35がスキャノグラムを生成する。
【0054】
なお、本実施形態におけるスキャン範囲設定画面はスキャノグラムに基づくものに限られない。したがって、スキャノグラムの生成工程が省略される場合がある。」
(3)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 構成2a12の「管電圧:120kV」または該管電圧に対応して撮影時に放射されたX線エネルギーは、構成A1の「第1のX線エネルギー」に相当する。
よって、構成2a12の「管電圧:120kVでのアキシャル画像をPosition:0~495mmについて、各画像のSOP UIDがb001~b100まで単純撮影し、生成したスキャン画像及びRawData」は、「各画像のSOP UIDがb001~b100まで単純撮影」が通番b001~b100までの100枚のアキシャル画像の撮影を意味していることから、構成A1の「第1のX線エネルギーに対応する第1投影データセット」に相当する。
また、構成2a12で、「生成したスキャン画像及びRawDataを各種データ保存領域に保存し」ていることは、構成A1の「第1投影データセットを収集する」ことに相当する。
イ(ア)構成2a4の「デュアルエネルギー撮影」及びその内訳としての構成2a5における「管電圧140kV」での「アキシャル画像を得」る撮影及び構成2a6の「管電圧80kV」での「アキシャル画像を得」る撮影(以下「撮影2-1」という。)は、構成2a2・2a5・2a6において、「前記単純撮影のスキャン画像をリファレンスとして」「撮影を実施」するものであるから、前記「単純撮影」が構成A2の「第1スキャン」に相当し、それに続く前記「デュアルエネルギー撮影」及びその内訳としての前記2つの(管電圧140kV及び管電圧80kVでの)撮影(以下「撮影2-2」という。)は、構成A2の「第2スキャン」に相当するといえる。
(イ)構成2a2・2a4で「前記単純撮影のスキャン画像をリファレンスとして、必要とする撮影範囲を設定し、」「X線CTのデュアルエネルギー撮影を実施」することは、上記(ア)の説示を踏まえると、構成A2の、「第1のスキャン」が「第2スキャンのスキャン範囲を設定するための位置決め撮影である」という関係性に相当するといえる。
ウ(ア)構成2a4の、「前記Position:0~495mmについて単純撮影したSOP UID:b001~b100のスキャン画像をリファレンスとして必要な撮影範囲として」「指定し」た「Position:400~435」は、構成A4の「前記第1スキャンに基づいて設定されたスキャン範囲」に相当する。
(イ)構成2a5の「管電圧:140kV」または該管電圧に対応して撮影時に放射されたX線エネルギー、及び、構成2a6の「管電圧:80kV」または該管電圧に対応して撮影時に放射されたX線エネルギーは、相互にX線エネルギーが相違する上に、何れも、本件補正発明の「第1のX線エネルギー」に相当する引用発明の「管電圧:120kV」または該管電圧に対応して撮影時に放射されたX線エネルギーとは異なるX線エネルギーであるから、それぞれ、構成A4の「前記第1のX線エネルギーとは異なる第2のX線エネルギー」、「前記第1のX線エネルギー及び前記第2のX線エネルギーとは異なる第3のX線エネルギー」に相当する。
(ウ)上記(イ)の説示をふまえ、構成2a5・2a7の「前記指定したPosition:400~435mmについて、管電圧140kVの画像であるSOP UID:c001~c008のアキシャル画像」の「生成したスキャン画像及びRawData」は構成A4の「第2投影データセット」に相当し、構成2a6・2a7の「前記指定したPosition:400~435mmについて、管電圧80kVの画像であるSOP UID:d001~d008のアキシャル画像」の「生成したスキャン画像及びRawData」は構成A4の「第3投影データセット」に相当する。
また、該各スキャン画像及びRawDataを「各種データ保存領域に保存」することは、構成A4における、各投影データセットの「収集」に相当する。
エ(ア)構成2a8の「寝台」は、それ自体構成A3の「天板」に相当するか、又は、共にその上に被検体を載置する被検体載置部である点で共通する。(念のため相違点とする)
(イ)構成2a12の「スキャノグラム像」の撮影、「寝台上に載置された被検体にX線を照射する」(構成2a8)ことで順次行われる構成2a12の「単純撮影」、及び、上記撮影2-1・撮影2-2とは、構成A3の「天板に載置された状態の前記被検体に対して実行される一連の検査」に相当する。
オ 構成Aの「スキャン部」は構成A1~A4において、各スキャン(撮影)と投影データセットの収集とを担う要素として特定される。
よって、構成2a10のうち「X線検出器により検出されたX線量をデジタルデータとして収集するデータ収集部」及び「回転円盤の回転及び傾斜を制御するガントリ制御部」が、その機能上、構成Aの「スキャン部」に相当するといえる。
カ(ア)構成2b3において、「マルチエネルギー撮影」は、「管電圧120kV、140kV、80kVの3つのエネルギー」による撮影が例示されるものであると認められる。
よって、構成2b3の「マルチエネルギー撮影によって得られたデータ」は、構成Bの「前記第1投影データセット、前記第2投影データセット、及び前記第3投影データセット」に相当するといえる。
(イ)構成2b3における、例示としての「水」、「カルシウム」、「脂肪」は、構成Bの「3種類以上の基準物質」に相当する。
(ウ)よって、構成2b3で、「例えば物質弁別画像として、水画像、カルシウム画像、脂肪画像が生成され」、構成2b4・2b5の処理を経て構成2b6で「例えば物質弁別画像が水(血液)画像、カルシウム画像、脂肪画像である場合、該各画像のROI内の画素値の前記比値を、正三角形の各頂点に水・カルシウム・脂肪を割り当てた三角グラフからなる濃淡図形に対し前記比値(DRi)をプロットする方式により濃淡図形表示される」ことは、構成Bの「3種類以上の基準物質による物質弁別を行なう」ことに相当するといえる。そして、構成2b3~2b6までの処理を担う「図形化処理部」及び/又はそれに付随する処理手段は、構成Bの「処理部」に相当する。
キ 構成2cの「X線CTシステム」は構成Cの「X線CTシステム」に相当する。
ク 上記ア~キによれば、本件補正発明と引用発明とは、下記(ア)の点で一致し、下記(イ)の各点で相違する。
(ア)一致点
「A1 被検体に対して、第1のX線エネルギーに対応する第1投影データセットを収集するスキャンであって、
A2 第2スキャンのスキャン範囲を設定するための位置決め撮影である第1スキャンを、
A3’ 被検体載置部に載置された状態の前記被検体に対して実行される一連の検査の中で実行し、
A4’ 前記第1スキャンに基づいて設定されたスキャン範囲に対して、前記第1のX線エネルギーとは異なる第2のX線エネルギーに対応する第2投影データセットと、前記第1のX線エネルギー及び前記第2のX線エネルギーとは異なる第3のX線エネルギーに対応する第3投影データセットと、を収集する前記第2スキャンを実行する
A スキャン部と、
B 前記第1投影データセット、前記第2投影データセット、及び前記第3投影データセットに基づいて、3種類以上の基準物質による物質弁別を行なう処理部と
を備えた、
C X線CTシステム。」
(イ)相違点
a 相違点1(構成A3)
被検体載置部に載置された状態の前記被検体に対して実行される一連の検査の中で、第1スキャンが、本件補正発明では「最初に実行」されるのに対し、引用発明では、第1スキャンの前にスキャノグラム像が取得される点。
b 相違点2(構成A4)
被検体載置部が、本件補正発明では「天板」であるのに対し、引用発明では「寝台」である点。
c 相違点3(構成A4)
第2・第3投影データセットを、本件補正発明では「実質的に同時に収集」するのに対し、引用発明では、両データセットの収集タイミングの関係について不明である点。
(4)判断
ア 相違点1について
(ア)本件補正発明の構成A3における「検査」に何が含まれるのかについて本件明細書等に特段の定義の記載がなく、字義に基づいて解釈するほかない。そうすると、前記「検査」はスキャノグラム取得を含むX線を使用する検査のみならず、光学撮像等の機器による非X線的検査や、触診・目視などの官能的な検査まで包含する概念であると解される。
(イ)X線CTシステムにおいて、寝台(天板)上での被検体やその撮像部位の位置決めのためのスキャノグラム撮影を、触診や目視観察、光計測など何らかの他の代替手段への置き換えによって、被検体の寝台伏臥後直接にX線CTの撮影を開始する撮影手順とすることは、種々の形態に関する周知文献1、2の上記摘記した記載事項によっても裏付けられるとおり、周知技術である。
よって、構成A3の「検査」が、前記字義に反し、スキャノグラムなどのX線を用いた検査に限られるか、又は、触診や目視観察など装置を用いない官能的な手段は除外されると限定的に解される事情が存在するのであれば、引用発明において、周知文献1・2に裏付けられる周知技術に基づいてスキャノグラムの取得を代替手段に置き換えることで相違点1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。このとき、スキャノグラムは少量とはいえ被爆を伴う手法であるから、非X線的な代替手段への置き換えを行う動機付けは十分に存在するといえる。
(ウ)また、前記代替となる検査手段への置き換えもなく、単に、位置決めのための事前の検査を行わずに被検体の寝台伏臥後直接にX線CTの撮影を開始する撮影手順とすることについても、上記摘記のとおりの周知文献3の記載によって裏付けられるとおり周知技術である。
本独立特許要件の検討は、上記2-1(2)アで説示したとおり、本件当初明細書等において何ら言及がない構成A3に係る構成について、<X線CTスキャンが被検体の天板載置後何らの検査を経ることなく最初の検査として実行されるとの態様を本件補正前発明が含むことが、そのための代替手段の採用の有無や、代替手段を不要とする事情と共に、本件明細書等の記載において自明であるから、本件補正が新規事項を加入するものとまでいえない>という事情が存在することを前提とするものである。
そうすると、前記前提に照らし、本件補正による構成A3の加入が新規事項を加入するものでないといえるのであれば、構成A3に係る、スキャノグラム像の取得や官能検査を含む何らの「検査」も経ずに「第1スキャンを、天板に載置された状態の前記被検体に対して実行される一連の検査の中で最初に実行」するようにすることは、X線CTの撮像に先行してスキャノグラム像の取得やその代替手段による何らかの位置決めを行うことが技術常識であるといえ、さらに、当初明細書等に明示的な記載がなくても、当業者にとって自明な選択肢であるといえる程度のことに過ぎないといえる。
ここで、引用発明においても、スキャノグラム像の撮影は、「X線CT画像の撮影範囲を設定」(構成2a11)するという、X線CT撮像のための位置合わせが目的で実施されているものである。そして、特に整形外科分野における関節の検査など、診断部位や臓器によっては、透視像や体格の画像などがなくても、外観のみから一意にX線CTの撮像範囲が決定可能であることは、技術常識であるといえる。
よって、引用発明において、X線CTの撮像範囲決定のために行われるスキャノグラム像の取得工程を、前記周知技術及び技術常識の適用により省略して相違点1の構成とすることは、CTの撮像部位や撮像範囲に要求される正確性、被検体の撮像歴などの事情に応じ、当業者が容易に選択し得ることであるといえる。
イ 相違点2について
(ア)ガントリに対し被検体載置部上の被検体を相対的に進退させる撮像方式を採るX線CT装置において、被検体載置部上面に、移動要素として天板と称する被検体載置用の板状部材を可動に設けることは、例えば周知文献1の【0006】の記載事項によっても裏付けられるとおり、周知技術である。その際、天板を下方で支持する要素のみを寝台と称することもあるし、天板を含め被検体載置要素全体を寝台と称することもある(例えば特開2015-6329号公報(【0002】・【0007】)の記載に裏付けられる。)というのが技術常識である。
そうすると、引用発明の「寝台」には、構成A3の「天板」に相当する要素をその上面部に含む態様も含まれるといえ、この態様については相違点2は実質的な相違点とは認められない。
(イ)また、仮に引用発明の「寝台」が「天板」に相当する要素を含まない(例えば寝台自体が可動であるなど)態様に限られるとしても、前記周知技術を採用し、被検体を直接載置する例えば可動な天板と、それを下方で支持する寝台とからなる被検体載置部として相違点2の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
ウ 相違点3について
(ア)引用発明はただ一つのX線管を備えるものであり、引用発明における管電圧140kV及び80kVについてのデュアルエネルギー撮影は、「撮影条件に応じたX線を被検体に照射するためにX線管に入力される電力を制御する」(構成2a9)、すなわち、X線管に対し供給する電力(管電圧)を切り替えることによって、デュアルエネルギー、すなわち撮像用の2つのX線エネルギーを生成するものである。
また、引用発明においては、X線検出器についても、エネルギー別に複数設ける等の特定はなされていない(引用文献2の明細書・図面等を参照してもそのような技術事項の言及はない)。
(イ)一方、本件補正発明における、デュアルエネルギースキャンの「第2投影データセット」と「第3投影データセット」との「収集」が「実質的に同時」であるとは、どの程度の同時性をいうものか、その程度の範囲は、発明の詳細な説明においても特段の言及がなく、定まらない。
(ウ)ここで、X線CTのデュアルエネルギースキャンには、主要なものとして大きく分けると、下記a~dの4方式が存在するというのが、文献を引用するまでもなく本件出願日当時の技術常識である(この技術常識は、例えば特開2017-104531号公報の記載(【0012】~【0015】)によっても裏付けられるので、もし必要であれば参照されたい。)。
a 1個のX線管を用いてX線管に印加する管電圧を切り替えることで、第1のエネルギーのX線と第1のエネルギーとは異なる第2のエネルギーのX線とでそれぞれ個別に被検体を撮影するSlow-kV switching方式
b ビューの変化毎に高速にX線管の管電圧を切り替えて撮影を行う
Fast-kV switching方式(高速スイッチング方式)
c 2個のX線管を搭載した上でそれらを用いて異なる管電圧でビュー毎の撮影をそれぞれ行うDual Source方式
d 多層構造のX線検出器を用いる多層方式
(エ)上記(ア)に挙げた引用発明の構成上の特質と、上記(ウ)に挙げた技術常識とを勘案すると、単一のX線管と単一セットのX線検出器とからなり、X線管の電力をエネルギーに応じて制御する引用発明のデュアルエネルギー撮影の撮影方式として、技術常識に照らし第一義的に想定されるのは、上記(ウ)のa,bに挙げた、Slow-kV switching方式、及び、同bに挙げた高速スイッチング方式、からなる2方式の何れか、といえる。仮に引用発明の前記特質について、他の公知の方式も想定されるとしても、技術常識に照らし、上記2方式が想定から漏れることはないといえる。
また、引用発明において、上記2方式の採用を阻害するような構成上の特質は存在しない。
(オ)上記(エ)で絞った2方式について検討する。
前提として、本件出願日当時、一般的なX線CTのガントリ(X線管や検出器を搭載した回転盤)の、CT撮像時の回転速度は、一回転あたり0.5秒未満(主要メーカー製ではおおむね[0.3秒/回転]未満)というのが技術常識である。
(カ)逆にいえば、ガントリの1回転中にX線エネルギーを変更しない単エネルギー測定であっても、一回のスキャンに最低限0.3秒弱~0.5秒弱を要するといえ、本件補正発明における「ほぼ同時」とは、該単エネルギー測定に要する時間を基準に評価すべきものであるといえる。
そして、該1回転で収集した1セットの投影データから1枚(1セット)の静止画としての断層像を再構成するのであるから、X線CTにおいて、1セットの投影像の収集時間内での被検体の変化は考慮されておらず、よって該1回転の時間は≪同時≫に近似されることを前提としているといえる。
(キ)そうすると、上記(ウ)bの方式はガントリ1回転中に2つのエネルギーでの測定が完了するから、上記(カ)の基準に照らし、2つのエネルギーでの投影データ収集は、上記「基準」と所要時間が等しいから、≪同時≫であるといえる。
また、上記(ウ)aの方式であっても、上記(カ)の説示に照らし、「基準」よりも上記≪同時≫といえるガントリ1回転分の時間を付加的に要しているに過ぎないし、X線CT装置も機種やメーカーによってガントリ回転速度に幅がある([0.3秒/回転]未満~[0.5秒/回転]程度)ことも考慮すると、2つのエネルギーでの投影データ収集は≪同時≫又はほぼ≪同時≫であるといえる。
(ク)上記検討のとおりであるから、引用発明の具体化において技術常識をもとに想定される2つのX線エネルギーでの投影データ収集(デュアルエネルギー測定)方式に、構成A4の「ほぼ同時」に相当する方式が少なくとも含まれるといえる。
よって、相違点3は実質的な相違点とはいえない。
また、仮に前記想定ができるとまでいえないとしても、引用発明の具体化において、上記技術常識に照らし、上記(ウ)a・bのような構成A4の「ほぼ同時」に相当する投影データ収集方式を採用することは、当業者が容易になし得たことである。
エ 効果について
本件補正発明により奏される効果は、当業者が、引用発明及び周知技術・技術常識から予測し得た範囲内のものであって、格別のものではない。
(5)請求人の主張について
ア 審判請求書における請求人の主張
審判請求書において、本件補正発明と引用文献2に記載された発明との相違点について請求人は、下記のように主張している。
「引用文献2におきましても、一般的な検査と同様に、位置決め撮影としてのスキャノグラム撮影を最初に実行しております(S301)。しかしながら、当該スキャノグラム撮影により収集されるスキャノグラム像は、濃淡図形化処理には使用されません(段落0027等)。
また、引用文献2の単純撮影は、デュアルエネルギー撮影の撮影範囲の設定にも使用されます。しかしながら、引用文献2の単純撮影は、「天板に載置された状態の前記被検体に対して実行される一連の検査の中で最初に実行」されるものではありません。
即ち、引用文献2は、「天板に載置された状態の前記被検体に対して実行される一連の検査の中で最初に実行」されるS301のスキャノグラム撮影と、S303のデュアルエナジー撮影とに他のスキャンを追加で実行することによって、段落0044等の濃淡図形化処理を実現しております。このように、引用文献2は、一般的な検査の処理フローを複雑化させずに物質弁別の実現性を向上させるものではなく、また、位置決め撮影による被検体の被ばくをより有意義なものとするという効果も有しません。」
イ 請求人の主張について
(ア)まず、請求人の主張が根拠とする、本件補正により請求項1に追加された構成A3は、当初明細書等の記載に明確な根拠を持たないものであることは、上記2-1(1)で説示したとおりである。
(イ)よってまた、上記アで請求人が主張する、構成A3に係る「一般的な検査の処理フローを複雑化させずに物質弁別の実現性を向上させるものではない」、「位置決め撮影による被検体の被ばくをより有意義なものとする」なる効果の主張も、該各効果は当初明細書等に記載されたものではなく、前提とする構成A3に係る構成について当初明細書等に記載がない以上、自明の効果であるともないから、採用できない。
(6)小括
したがって、上記(3)~(5)において検討したように、本件補正発明は、引用文献2に記載された発明並びに周知技術及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
3 むすび
上記2において検討したことからみて、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3.本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~15に係る発明は、令和5年4月27日提出の手続補正書により補正された、特許請求の範囲の請求項1~15に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2.1(1)に記載したとおりのものである。
2 原査定(当審における)拒絶の理由
本願発明に対する原査定の拒絶の理由である理由1・2は概略、以下のとおりである。引用文献2は上記第2.2-2(2-1)に記載した引用文献2と同じである。
理由1.(新規性)本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である引用文献2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2.(進歩性)本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
3 引用文献の記載事項
原引用文献2の記載事項は、上記第2.2-2(2-2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、本件補正発明の発明特定事項から構成A3を省いたものである。
そうすると、本願発明と引用発明とは、上記第2.2-2(3)(イ)で挙げたうちの、相違点2及び相違点3において相違することとなる。
しかし、上記第2.2-2(4)イ・ウで説示したとおり、該各相違点については、実質的な相違点ではないか、仮に実質的な相違点であるとしても、引用発明において該各相違点の構成とすることは、周知技術及び技術常識に基づいて当業者が容易になし得たことである。
したがって、本願発明は引用文献2に記載された発明であるか、引用文献2に記載された発明から当業者が容易に発明することができた発明であるといえる。
第4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献2に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。
また、本願発明は、仮に特許法第29条第1項第3号に該当するとまでいえないとしても、引用文献2に記載された発明及び周知技術・技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-013361