審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2023-011570

ヒアリ用毒餌剤

審判番号
2023-011570
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-059663外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年07月10日
審決日
2025年04月14日
公報発行日
2025年07月25日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (A01N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019- 59663「ヒアリ用毒餌剤」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年10月 1日出願公開、特開2020-158442〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成31年3月27日の出願であって、出願後の主な手続の経緯は次のとおりである。 令和4年11月 9日付け 拒絶理由通知 令和5年 1月12日 意見書及び手続補正書の提出 同年 4月14日付け 拒絶査定 同年 7月10日 審判請求書の提出 令和6年11月29日付け 拒絶理由通知 令和7年 1月31日 意見書及び手続補正書の提出 第2 本願発明について この出願の特許請求の範囲の請求項1~4に係る発明は、令和7年1月31日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。 「【請求項1】 ヒアリを防除するためのヒアリ用毒餌剤であって、 少なくとも、殺虫剤と、さなぎ粉と、でんぷんと、煮干粉と、ショ糖及び水飴の少なくとも一方とを含有しており、 前記さなぎ粉の含有量が10重量%以上20重量%以下であることを特徴とするヒアリ用毒餌剤(但し、バターを含む場合とピーナッツ油を含む場合を除く)。」 第3 当審合議体から通知した拒絶理由 令和6年11月29日付けで当審合議体から通知した拒絶の理由のうち、「理由2」は、概略、次のとおりである。(以下「・・・」は記載の省略を示す。) 理由2(進歩性) この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 ・・・ 記 ・・・ 引用文献6:アース製薬株式会社,「ヒアリ」に関する情報について,[オンライン],2018年,URL:https://corp.earth.jp/jp/info/2018/pdf/20180515-02.pdf,[検索日2022.11.08](周知技術を示す文献,原査定の引用文献6) 引用文献7:日本衛生動物学会 殺虫剤研究班のしおり,2018年,第89号 (周知技術を示す文献,原査定の引用文献7) 引用文献8:特開2014-77016号公報 (周知技術を示す文献,原査定の引用文献8) 引用文献9:特開2011-98945号公報 (周知技術を示す文献,原査定の引用文献9) 引用文献10:中国特許出願公開第106172456号明細書 引用文献11:特開2003-63914号公報 引用文献12:M. C. Stanley,Review of the efficacy of baits used for ant control and eradication,2004年 ・・・ 本願請求項1~6に係る発明は、引用文献11に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 なお、引用文献6~9に加えて、引用文献10(公開日:2016年12月7日)及び引用文献12も本願の出願日時点の周知技術を示す文献である。 第4 当審合議体の判断 当審合議体は、上記第3で示した拒絶理由のとおり、本願発明は、その出願前に日本国内において頒布された下記の刊行物に記載された発明及び本願の出願日時点の周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることはできないと判断する。 理由は以下のとおりである。 以下、文献からの摘記箇所における「・・・」は記載の省略を示し、特に注釈がない限り下線は当審合議体による。 1 引用文献の記載事項 (1)引用文献6 引用文献6には、次の事項が記載されている。 摘記6a: 「 「ヒアリ」に関する情報について 2018年5月15日 アース製薬株式会社 「ヒアリ(Solenopsis invicta)の生態・被害、対策」について概要をお知らせいたします。 【ヒアリの生態・被害】 ・・・ 【ヒアリ対策】 弊社商品では、以下品目にて効果があることを確認致しております。 エアゾール剤:「アリアースW」、「アリアースジェット」、 「虫コロリアース(エアゾール)」 スプレー剤 :「アースガーデン アリコロリ速攻スプレー」 液剤 :「アリの巣徹底消滅中」、 「アースガーデン アリアース 速攻液」、 「アースガーデン お庭の虫コロリ速攻シャワー」 粉剤 :「虫コロリアース(粉剤)」、 「アースガーデン お庭の虫コロリパウダー 粉剤」 毒餌剤 :「アリの巣コロリ」、「スーパーアリの巣コロリ」、 「アースガーデン ハイパーアリの巣コロリ」 」 (2)引用文献7 引用文献7には、次の事項が記載されている。 摘記7a:第30~45頁 「 4 種外来アリに対する当社殺虫剤の効果 アース製薬株式会社 ・・・ 1. はじめに 2017 年日本の各地でヒアリ(Solenopsis invicta)の侵入が確認された(環境省報道発表資料)。ヒアリは特定外来生物に指定されており、侵入して定着すると在来アリを始めとする生態系や、農作物、人に対して影響を及ぼすことが懸念される。・・・ これら外来アリの被害防止や防除にあたっては、既に日本国内で市販されている家庭用殺虫剤を用いることも有効な手段の一つであると考えられるが、・・・効果を発揮するのかどうか検証された例はほとんどなかった。 そこで本研究ではまず、ヒアリ、アカカミアリ、ハヤトゲフシアリの殺虫剤感受性を確認するため、これら3 種の外来アリと・・・外来アリであるアルゼンチンアリ(Linepithema humile)(杉山 2000)のピレスロイド化合物に対する感受性を調べ、在来アリの感受性と比較した。続いて、当社が日本国内で市販している家庭用殺虫剤が、ヒアリ、アカカミアリ、ハヤトゲフシアリに対して駆除、あるいは忌避効果を有するのかどうかを検証することとした。 2. 材料及び方法 (試験検体) ・ピレスロイド感受性検定用エアゾール ・・・ ・家庭用殺虫剤 当社が日本国内で市販している家庭用殺虫剤を試験検体として用いた。表1~4 に本研究で供試した試験検体の詳細を記載する。 [図:0001423972000001.jpg] ヒドラメチルノン顆粒ベイト(製品名:アリの巣コロリ○R(当審注:○Rは○の中にR。以下同じ。)は、有効成分をヒドラメチルノンとする顆粒毒餌剤2.5g をプラスチック製の容器に充填したもの、ヒドラメチルノン顆粒/ジノテフランゼリー混合ベイト(製品名:スーパーアリの巣コロリ○R)は有効成分をヒドラメチルノンとする顆粒ベイト1.1g と有効成分をジノテフランとするゼリーベイト1.0g を同一のプラスチック製容器に充填したもの、フィプロニルペーストベイト(製品名:ハイパーアリの巣コロリ○R)は有効成分をフィプロニルとするペーストベイト1.0g をプラスチック製の容器に充填したものである。 表2 試験検体-2 液剤、粉剤 ・・・ シフルトリン液剤(製品名:アリアース速効液○R)、ジノテフラン液剤(製品名:アリの巣徹底消滅中○R)は液剤、シフルトリン/プロポクスル混合粉剤(製品名:虫コロリアース(粉剤)○R)は粉剤である。 表3 試験検体-3 エアゾール剤 ・・・ 表4 試験検体-4 衣類処理用忌避剤 ・・・ (試験方法) ・・・ ・毒餌剤に対する嗜好性確認試験 ○1(当審注:○1は、丸数字。以下同じ。) ヒアリ、アカカミアリを対象とした試験については、それらが生息する野外にて、巣の近くにパラフィルムを敷き、その上に各種毒餌剤を製剤がむき出しの状態で並置した。 ○2 ハヤトゲフシアリを対象とした試験については、20 頭をプラスチックバット内に馴化させ、そこに各種毒餌剤を並置した。 ○3 並置 5 分後、10 分後の喫食頭数を確認し、合計したものを累計喫食頭数とした。 ○4 各ベイト剤の累計喫食頭数の比較から、各種毒餌剤に対する外来アリの嗜好性を確認した。 ・毒餌剤の巣の駆除効果確認試験 ~ヒアリを対象とした場合~ ○1 ヒアリのアリ塚に割り箸を刺し、30 秒後に割り箸上にいるヒアリの個体数を数え、検体設置前のコロニー活動数とした(図5)。 ○2 アリ塚の近くに、各種毒餌剤を容器ごと1 コロニーあたり10 個設置した。 ○3 検体設置 1 日後と2 日後にコロニー活動数を観察し、毒餌剤の効果を確認した。 ~アカカミアリを対象とした場合~ ・・・ ・液剤、粉剤、エアゾール剤の直撃殺虫効力試験 ~ヒアリを対象とした場合~ ・・・ ~アルゼンチンアリを対象とした場合~ ・・・ ・液剤、粉剤の巣の駆除効果確認試験 ○1 ヒアリのアリ塚に割り箸を刺し、30 秒後に割り箸上にいるヒアリの個体数を数え、製剤処理前のコロニー活動数とした。 ○2 アリ塚周辺に、シフルトリン液剤を1 コロニーあたり300mL、ジノテフラン液剤を1 コロニーあたり150g、シフルトリン/プロポクスル混合粉剤を1 コロニーあたり500g 処理した。 ○3 製剤処理 30 分後と1 日後、2 日後にコロニー活動数を観察し、製剤処理の効果を確認した。 ・粉剤の忌避効果確認試験 ○1 ヒアリ、アカカミアリを対象とした場合は、それらが定着している野外にて、それらアリの行列がある場所に、行列を分断するように粉剤を適量処理した。 ・・・ ○4 粉剤に触れたアリが U ターンするかどうかを試験開始後20 頭が触れるまで継続して確認することで、粉剤のハヤトゲフシアリに対する忌避効果を検証した。 ・衣類処理用忌避剤の忌避効果確認試験 ~ヒアリを対象とした場合~ ・・・ ~ハヤトゲフシアリを対象とした場合~ ・・・ 3. ピレスロイド感受性の評価 ヒアリ、アカカミアリ、ハヤトゲフシアリ、アルゼンチンアリのピレスロイド感受性について、ピレトリン、シフルトリンを用いて評価を行った。この評価は以前に、阿部らによって日本の在来アリである、アミメアリ、クロヤマアリ、イエヒメアリに対しても実施されている(Abe et al., 2015)。その結果と、今回試験をした外来アリに対する試験結果を比較し、外来アリのピレスロイド感受性を確認した。 その結果、今回供試した4 種の外来アリの100%致死最小濃度と半数ノックダウン時間は在来アリと同等以下であり(表5)、ピレスロイド感受性が在来アリと同等以上であることが確認できた。このことから、在来アリ向けに販売されている日本の市販の殺虫剤でも、外来アリに対して駆除効果を発揮することが示唆された。 ・・・ 4. 当社ベイト剤の効力評価 ヒアリ、アカカミアリ、ハヤトゲフシアリに関して、当社が市販している毒餌剤に対する嗜好性と、それら毒餌剤による巣の駆除効果を確認した。なお、ハヤトゲフシアリに関しては嗜好性のみを評価した。毒餌剤に対する嗜好性は、毒餌剤設置後の製剤へのアリの群がり頭数を各種毒餌剤の間で比較することで確認した。毒餌剤による巣の駆除効果は、毒餌剤を巣の近傍に設置した後、巣周辺でのアリの活動数を経時的に確認することで評価した。 まず、嗜好性に関して、ヒアリ、アカカミアリ、ハヤトゲフシアリは、ジノテフランゼリーベイトよりも、ヒドラメチルノン顆粒ベイト、フィプロニルペーストベイトに対して高い嗜好性を示すことが確認できた(図6、図7)。ヒドラメチルノン顆粒ベイトに関しては、ヒアリが顆粒を運搬する様子も確認できた(図7 赤丸部)。 [図:0001423972000002.jpg] ・・・ 次に、当社の毒餌剤をヒアリの巣の近くに設置した時に、それらが巣の活動数に与える影響について確認した。その結果、試験に供試した毒餌剤3 種とも、設置後にコロニー活動数が減少することが確認でき(図8)、当社の毒餌剤3 種にヒアリコロニーの活動数抑制効果があることが示唆された。 [図:0001423972000003.jpg] ・・・ 5. 当社粉剤、液剤、エアゾールの効力評価 各種外来アリを対象に、当社が市販しているアリ用の粉剤、液剤、エアゾール剤の効力を確認した。エアゾール剤については、アリに直接かけた場合の殺虫効果を、液剤についてはアリに直接かけた場合の殺虫効果と、巣に直接かけた場合の巣の活動数抑制効果を、粉剤については、アリに直接かけた場合の殺虫効果と、巣に直接かけた場合の巣の活動数抑制効果、かけた場所に対する忌避効果を評価した。 ・・・ 6. 当社衣類処理用虫よけ剤の効力評価 ヒアリとアカカミアリについて、当社が市販している衣類処理用虫よけ剤の効力評価を行った。 ・・・ 7. まとめ 本研究の評価結果のまとめを表8 に示す。表8 では、効果が確認できたところを〇印にて示した。 本研究を通じ、今回評価した4 種の外来アリ、ヒアリ、アカカミアリ、ハヤトゲフシアリ、アルゼンチンアリのピレスロイド感受性は在来アリと同等以上であり、本研究で供試した当社が日本国内で市販している家庭用殺虫剤並びに忌避剤は実用上、十分な外来アリ防除効果を有することが示唆された。 [図:0001423972000004.jpg] 」 摘記7b:第47~49頁 「 外来アリに対する市販アリ用殺虫剤の効力 フマキラー株式会社 開発研究部 ・・・ はじめに(当審注:この下線は原文に付されていたものである。) 2017 年6 月9 日に特定外来生物であるヒアリ(Solenopsis invicta)が兵庫県尼崎市で発見されたと環境省が発表した。・・・ このような中、フマキラーではすでに販売している各種アリ用殺虫剤がヒアリに対して有効であるかの確認を行ったので報告する。また、ヒアリが問題になる以前より、日本に定着して問題になっている特定外来生物のアルゼンチンアリ(Linepithema humile)に対する市販アリ用殺虫剤の効果についても報告する。 ・・・ ヒアリ(当審注:この下線は原文に付されていたものである。) ・・・ 日本では定着が確認されておらず、発見事例も港湾地区に集中しているが、万が一の事態に備えて市販のアリ用殺虫剤での駆除が可能か、ヒアリの侵入地である中国で確認したところ、表2 にある商品全てにおいて十分な駆除効果があることが確認された。アルゼンチンアリやその他の在来アリと比較しても、ヒアリが飛びぬけて薬剤に強いということはなく、市販のアリ用殺虫剤でも駆除可能であることが確認された。 [図:0001423972000005.jpg] 」 摘記7c:第51~56頁 「 市販の殺虫剤・忌避剤のヒアリに対する有効性 大日本除虫菊(株)中央研究所 ・・・ 1.はじめに ・・・ そこで、我々は、この度、市販の殺虫剤・忌避剤のヒアリに対する有効性をヒアリ発生地にて検証したのでその一部について報告する。 ・・・ 2.市販殺虫剤・忌避剤によるヒアリ対策 一般のアリ対策としては、アリを殺虫する「駆除」、アリの侵入を防ぐ「予防」が挙げられ、これにヒアリについては、刺されない、いわゆる「忌避」を加えた3つの対策が考えられる。 今回は、これら「駆除」「予防」「忌避」の観点から、既存の市販殺虫剤・忌避剤を用いてヒアリに対する有効性を検証した。 ・・・ (1)ヒアリの駆除 アリ駆除を目的とした殺虫剤には、主に直撃駆除するアリ用エアゾール、アリの巣の駆除を目的としたアリの巣用液剤やアリ用ベイトがある。 ・・・ ○アリ用エアゾール ・・・ ○アリの巣用液剤 ・・・ ○アリ用ベイト ヒアリの駆除に、多用されるベイト剤についても、ヒアリの巣近傍に市販アリ用ベイトを設置し、誘引・喫食性を確認した。結果を下表に示す。 [図:0001423972000006.jpg] 結果、クッキータイプ、液体タイプのベイトをそれぞれ供試したが、30秒以内にヒアリが寄り付き、1分後にはベイトに多くのヒアリが寄り付いて舐めている様子が確認され、本剤はヒアリに対しても誘引・喫食性を示すことが確認された。 (2)ヒアリの予防 ・・・ (3)ヒアリの忌避 ・・・ 3.市販殺虫剤・忌避剤によるヒアリ対策 今回の一連の試験にて、ヒアリに対し、アリ用エアゾール、アリ用粉剤及びアリの巣用液剤による殺虫効力、アリ用ベイトの誘引効力が確認された。特に、忌避性の低いシラフルオフェンを配合したアリの巣用液剤では、今後のヒアリ駆除対策剤としての適用も期待できる結果が観察された。」 (3)引用文献8 引用文献8には、次の事項が記載されている。 摘記8a: 「【請求項1】 アリを防除するためのアリ用毒餌剤の製造方法であって、 少なくとも、殺虫剤と、ショ糖と、グリセリンと、水飴と、粉体とを含む構成成分を、ゼラチンを加えることなく、加熱及び冷却せずにゲル状又はペースト状となるまで混ぜ合わせることを特徴とするアリ用毒餌剤の製造方法。」 摘記8b: 「【0014】 毒餌剤Aは、フィプロニルの5%溶液(殺虫剤)、溶剤、ホウ酸、グリセリン、煮干を粉末状にした煮干粉、グラニュー糖、水飴、マッシュポテトを乾燥させた乾燥マッシュポテト、アモルデンFS-140(防腐剤)、ビトレックス(安息香酸デナトニウム)及びイオン交換水を構成成分として含んでいる。 【0015】 毒餌剤Aの成分中、ホウ酸は、毒餌剤Aが腐るのを防止するための防腐剤の目的で混合されている。また、グリセリン及び水飴は、毒餌剤Aに湿り気を与えるための保湿剤の目的で混合している。また、煮干粉及びグラニュー糖は、アリを誘引するための誘引剤である。また、乾燥マッシュポテトは、毒餌剤Aの基材になるとともに、アリの誘引剤としても作用する。ビトレックスは毒餌剤Aに強い苦みを与えて誤飲防止を図るものである。」 (4)引用文献9 引用文献9には、次の事項が記載されている。 摘記9a: 「【請求項1】 アリを防除するためのアリ用毒餌剤であって、 少なくとも、殺虫剤と、ショ糖と、グリセリンと、水飴と、粉体とを構成成分として含み、これら成分をゲル状又はペースト状となるように混ぜ合わされてなることを特徴とするアリ用毒餌剤。」 摘記9b: 「【0023】 毒餌剤Aは、フィプロニルの5%溶液(殺虫剤)、溶剤、ホウ酸、グリセリン、煮干を粉末状にした煮干粉、グラニュー糖、水飴、マッシュポテトを乾燥させた乾燥マッシュポテト、アモルデンFS-140(防腐剤)、ビトレックス(安息香酸デナトニウム)及びイオン交換水を構成成分として含んでいる。 【0024】 毒餌剤Aの成分中、ホウ酸は、毒餌剤Aが腐るのを防止するための防腐剤の目的で混合されている。また、グリセリン及び水飴は、毒餌剤Aに湿り気を与えるための保湿剤の目的で混合している。また、煮干粉及びグラニュー糖は、アリを誘引するための誘引剤である。また、乾燥マッシュポテトは、毒餌剤Aの基材になるとともに、アリの誘引剤としても作用する。ビトレックスは毒餌剤Aに強い苦みを与えて誤飲防止を図るものである。」 (5)引用文献10 引用文献10には、次の事項が記載されている。(当審合議体による訳文にて示す。) 摘記10a: 「権利要求書 1.アカヒアリ毒餌であって、その特徴は以下の重量百分率の原材料を含むことである: 防腐剤0.15-0.5%、殺虫剤原薬0.8~1.5%、餌料0.85~98.05%、誘引剤1.0~98.20%、前記餌料は乾燥トウモロコシであり、前記誘引剤は蚕蛹粉と甘味エッセンスである。 ・・・ 3.請求項1又は2に記載のアカヒアリ毒餌であって、その特徴は次のとおりである:前記殺虫剤原薬はヒドラメチルノン又はヒドラメチルノンとヘキサフルムロンとの混合物である;そのうち前記ヒドラメチルノンは総供給材料中の100分率含有量が0.8-1.2%であり、前記ヘキサフルムロンの総供給原料中の100分率含有量は0~0.7%である。」 摘記10b: 「[0020]実施例1: 100グラムのアカヒアリ毒餌を準備するには、次の重量の原材料が必要である。: ヒドラメチルノン1.2グラム、安息香酸ナトリウム0.5グラム、トウモロコシポップコーン粉末47グラム、蚕蛹粉末46.3グラム、黒砂糖5グラム」 摘記10c: 「[0025]本発明のヒアリ毒餌の使用方法: 現場で本発明の毒餌を使用してアカヒアリを駆除する場合、アカヒアリの生息特性に応じて、餌を散布する前に雨が降ってはならず、また、餌を散布した後24時間以内に雨が降ってはならず、餌を散布する際にアカヒアリの巣を乱してはならず、巣の大きさに応じて、巣の表面とその周囲30~100cm以内に毒餌30~50gを均一に散布する必要がある。散布後3日目に毒餌の残量を観察し、適宜補充し、7日目にアカヒアリがまだ活動している場合は再度殺虫剤を散布する。本発明のアカヒアリ用餌を実験群とし、特定銘柄のアカヒアリ用殺虫餌(ヒドラゾン含有)を対照群とし、殺虫成分を含まないブランク剤を対照群とした。野外で対照実験が行われ、指定された同じ時間内に活動中のアリの巣に出入りするアカヒアリの数について統計的な比較が行われた。 [0026]統計結果は表1に示すとおりである: [図:0001423972000007.jpg] 本特許の餌を与えた後、アカヒアリ死滅率はいずれも99%以上に達する。同時に、対照群と比較すると、本特許製品は誘引性が強く、短期間でアカヒアリの摂食を刺激することができ、巣穴のアカヒアリを死滅させる効果を加速させる。」 (6)引用文献11 引用文献11には、次の事項が記載されている。 摘記11a: 「【請求項1】 殺虫成分を含有すると共に、蚕の蛹の乾燥粉末を0.1~14重量%含有し、かつ成形・喫食性助剤として多価アルコールを添加したことを特徴とする害虫誘引性駆除剤。」 摘記11b: 「【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、ゴキブリ、アリ、ハエなどの害虫を誘引して駆除するための害虫誘引性駆除剤に関する。 【0002】 【従来の技術】蚕の蛹の乾燥粉末は、害虫駆除剤に添加される誘引剤として知られている。このような蚕の蛹は、近年、養蚕産業の他に昆虫のクチクラからキチンを調製する等の生産システムの構築に伴い、廃棄物として幼虫の死骸が多量回収できる機会が多くなったことから、その有効利用の開発が求められている。 【0003】そして、蚕の蛹の乾燥粉末は、動物性蛋白質を主成分とし、多くの雑食性昆虫に対する誘引性も高いため、本願の発明者らも蚕の蛹の乾燥粉末を昆虫の誘引剤として害虫駆除剤に配合する可能性を研究した。 ・・・ 【0005】そして、蚕の蛹の乾燥粉末と共にデンプンなどの成形助剤を配合して製剤された害虫駆除剤は、硬くなって害虫の嗜好性が低下し、その結果、喫食性が低下するので、所期した駆除効果が得られないという問題が生じる。 【0006】そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、蚕の蛹の乾燥粉末を含有し、成形性の不良な害虫誘引性駆除剤において、その成形性を改善し、しかも害虫の喫食性や誘引性を低下させず、むしろ確実に害虫の喫食性およびそれに伴う誘引性を向上させる害虫誘引性駆除剤を得ることである。 ・・・ 【0009】また、成形・喫食性助剤が、吸湿性のある蒸気圧50mPa/20℃以下の多価アルコールである上記構成の害虫誘引性駆除剤は、多価アルコールの特性、すなわち水溶性、もしくは吸湿性が適度にあって経時的に蒸発し難い液体または固体であり、害虫誘引性に適した甘味があるという特性を共有するものであるから、製剤施用時に長時間放置しても乾燥したり硬化したりせず、害虫誘引性が経時的に安定して持続するものになる。」 摘記11c: 「【0011】 【発明の実施の形態】この発明に用いる殺虫有効成分は、特に限定されるものでなく、以下のような周知の殺虫剤を使用できる。 (1)有機リン系:フェニトロチオン、フェンチオン等のマイクロカプセル剤 ・・・ (8)ピロール系:クロルフェナピル等」 摘記11d: 「【0018】 【実施例および比較例】〔実施例1〕表1に示す配合割合で実施例1の原料を均一に混合し、打錠機を用いて直径2cmの錠剤を得た。 【0019】〔実施例2〕表1に示す配合割合で実施例2の原料を均一に混合して50℃に加温し、100gのゲル剤を得た。 【0020】〔実施例3〕表1に示す配合割合で実施例3の原料を均一に混合し、加圧成形機を用いて直径3cmの固形剤を得た。 【0021】〔実施例4〕表1に示す配合割合で実施例4の原料を均一に混合して水(4重量%)を加えて練り、造粒機にて造粒した後70℃にて乾燥して嵩比重0.85の顆粒剤を得た。 【0022】〔実施例5〕表1に示す配合割合で実施例5の原料を均一に混合し、溶解して100gの懸濁剤を得た。 【0023】〔実施例6〕表1に示す配合割合で実施例6の原料を均一に混合すると共に、水(3重量%)を加えて練り、造粒機にて造粒した後70℃にて乾燥して嵩比重0.5の顆粒剤を得た。 【0024】 【表1】 [図:0001423972000008.jpg] ・・・ 【0038】[試験3]野外のトビイロシワアリの巣入り口付近に円状に並べて実施例3(固形剤)および比較例2(ゲル剤)を交互に3個ずつ設置し、時間経過毎に各駆除剤に誘引喫食されるアリの合計数を調べ、これを繰り返し2回実施し、その結果を表5に示した。 【0039】 【表5】 [図:0001423972000009.jpg] 」 (7)引用文献12 引用文献12には、次の事項が記載されている。(当審合議体による訳文にて示す。) 摘記12a:第17頁12行~18頁7頁 「4.2 ベイトの効能:アリの種 4.2.1 優先順位の高いアリの種:ニュージーランドに対する高い脅威リスク Solenopsis invicta(ヒアリ) ベイトマトリックス(誘引剤+キャリア):S.invictaを駆除するためのベイトで最も一般的に使用されるものは、脱脂トウモロコシ粉砕物のキャリアに含浸した大豆油誘引剤である(・・・)。 ・・・ ニュージーランドへのヒアリの侵入の対応中に、バイオセキュリティ・ニュージーランドは、ヒアリが甘い餌(20%ショ糖水)を好むことを発見した(アッシュクロフト 2004)。彼らはまた、粉砕された蚕の蛹のマトリックスを含むMaxforce○Rベイトの方が、トウモロコシ粉砕物のマトリックスに大豆油を加えたマックスフォース○Rベイトよりも多くの働きアリを誘引することも発見した(アッシュクロフト 2024)。ヒアリによるExterm-An-Ant○R(甘いベイトマトリックス+ホウ素ベースの殺虫成分)ベイトへの誘導は貧弱であった(・・・)。」 2 引用文献11に記載された発明 引用文献11には、摘記11a及び11d(【表1】実施例3)の記載からみて、次の発明(以下「引用発明11」という。)が記載されていると認められる。 「蛹粉14重量%、ポリエチレングリコール0.5重量%、クロルフェナピル0.05重量%、ショ糖30重量%、魚粉10重量%、カルボキシメチルセルロースナトリウム1重量%、及び澱粉44.45重量%からなる害虫誘引性駆除剤。」 3 対比・判断 (1)対比 本願発明と引用発明11を対比する。 引用発明11の「クロルフェナピル」は、摘記11cの記載からみて、殺虫剤であると認められるので、本願発明の「殺虫剤」に相当する。 引用発明11の「蛹粉14重量%」は、本願発明の「さなぎ粉の含有量が10重量%以上20重量%以下」に相当する。そして、「蛹粉」は、摘記11bの記載からみて、「誘引性」の成分といえる。 引用発明11の「澱粉」は、本願発明の「でんぷん」に相当する。 引用発明11の「魚粉」は、本願発明の「煮干粉」に、「魚粉」である点で共通する。 引用発明11の「ショ糖」は、本願発明の「ショ糖及び水飴の少なくとも一方」に相当する。 引用発明11の「害虫誘引性駆除剤」は、「毒」である「殺虫剤」を含み、「餌」となる「誘引性」の成分を含有するものであり、また、「ヒアリ」は「害虫」に該当するものであると認められるので、本願発明の「ヒアリを防除するためのヒアリ用毒餌剤」と、「害虫を防除するための害虫用の毒餌剤」である点で共通する。 引用発明11は、「バターを含む場合とピーナッツ油を含む場合」ではないことは明らかである。 また、本願発明は、本願明細書【0026】の記載等からみて、本願発明で特定される成分以外の成分を含有してもよいと解されるので、引用発明11が、「ポリエチレングリコール」及び「カルボキシメチルセルロースナトリウム」を含むことは、両発明の相違点とはならない。 よって、本願発明と引用発明11とは、 「害虫を防除するための害虫用毒餌剤であって、 少なくとも、殺虫剤と、さなぎ粉と、でんぷんと、魚粉と、ショ糖及び水飴の少なくとも一方とを含有しており、 前記さなぎ粉の含有量が10重量%以上20重量%以下であることを特徴とする害虫用毒餌剤(但し、バターを含む場合とピーナッツ油を含む場合を除く)。」 である点で一致し、次の点で一応相違する。 相違点1 本願発明においては、「毒餌剤」が「ヒアリを駆除するためのヒアリ用」であるのに対し、引用発明11においては、「害虫用」である点。 相違点2 魚粉が、本願発明においては、「煮干粉」であるのに対し、引用発明11においては、「魚粉」である点。 (2)相違点の判断 ア 相違点1について (ア)引用文献11には、引用発明11の害虫誘引性駆除剤の適用対象として「アリ」が示され(摘記11b)、[試験3](摘記11d)においてトビイロシワアリに対してその誘引効果を確認したことが記載されている。 ここで、引用文献6(摘記6a)、引用文献7(摘記7a~7c)、及び引用文献12(摘記12a)には、ヒアリ等の外来種のアリに対して、既存のアリ用の毒餌剤(すなわちベイト剤)を適用し、その駆除効果を確認した例が記載されている。 このように、ヒアリ等の外来種のアリに対して、既存のアリ用の毒餌剤を適用して駆除を試みることは、本願出願時において当業者において通常行われていた周知技術であると認められる。 さらに、引用文献10(摘記10c)には、蚕蛹粉を含むアカヒアリ毒餌の死滅率が100%であったこと、及び引用文献12(摘記12a)には、ヒアリに対し、トウモロコシ粉砕物のマトリックスを含むベイトよりも、粉砕された蚕の蛹のマトリックスを含むベイトの方が誘引性が高かった結果が示されているとおり、蚕蛹粉がヒアリ用の毒餌剤であることも広く知られていたことであるから、当業者であれば、引用発明11のような、蚕の蛹粉を含むベイト剤を、ヒアリに適用しようとすることは容易に想到し得るものであると認められる。 また、引用発明11が、ヒアリの駆除効果を有することは、当業者が予測し得ることといえる。 よって、引用発明11の害虫誘引性駆除剤を、相違点1に係る「ヒアリ用」とすることは当業者が容易になし得るものである。 (イ)本願発明の「ヒアリの毒餌剤への誘引効果を長期間に亘って向上させる」(本願明細書【0007】)という効果について検討する。 a 本願明細書【0042】【表2】の結果、及び【0044】の 「これに対し、実施例に係る毒餌剤では、毒餌剤の設置後、180分経過時点で、どの比較例と比べてもヒアリの誘引効果が明確に高くなっている。すなわち、さなぎ粉の含有量を10重量%に設定することで、ヒアリの毒餌剤への誘引効果が長期間に亘って向上する。」 との記載からみて、上記本願発明の効果は、さなぎ粉の含有量を10重量%以上に設定することで、180分以上経過時点の長期間に亘ってヒアリの誘引効果を高く維持することができるというものであると解される。 b これに対し、引用文献11の[試験3](摘記11d)には、トビイロシワアリに対してではあるが、アリに対して60分に亘って、その誘引効果が持続したことが示されている。 また、引用文献11には、蚕の蛹の乾燥粉末は、雑食性昆虫に対して誘引効果が高いことが記載され、また引用文献11に記載の発明は、その誘引性を長時間持続させるためのものであることも記載されている(いずれも摘記11b)ことから、蚕の蛹粉を使用した引用発明11の害虫誘引性駆除剤は、害虫に対して長時間持続して誘引性を発揮するものであると当業者は予測できる。 ここで、引用文献11において「長時間」とはどの程度の時間であるかは記載がないが、例えば、摘記7aには、ヒアリを対象とした毒餌剤の巣の駆除効果確認試験において「検体設置1日後と2日後に・・・毒餌剤の効果を確認した」と記載されていることからみて、通常、アリの毒餌剤による誘引効果は、1日程度は持続すると想定されていると認められるので、少なくとも1日程度を意図していると解される。 また、引用文献10(摘記10c)には、蚕蛹粉末を含む毒餌剤を使用した実験において「散布後3日目に毒餌の残量を観察し」と記載されていることからみて、蚕蛹粉末を含む毒餌剤は、少なくとも3日間はヒアリに喫食されること、すなわち誘引されることが示唆されていると解される。 そうすると、引用文献11に記載の害虫駆除剤をヒアリに適用した際に、180分程度の長期間に亘って誘引効果が持続することは当業者が予測し得ることである。 c また、本願明細書【表2】には、実施例の毒餌剤に誘引されたヒアリの数(1回目)が、10分経過時点では11匹であり、180分経過時点では15匹であった結果が示されており、180分経過時点で、毒餌剤に誘引されるヒアリの数が、10分経過時点よりも増えている。 しかしながら、実施例(2回目)や、さなぎ粉を含む比較例2及び3、並びに引用文献11の[試験3]の結果(摘記11d【表5】)において、誘引されたヒアリの数に一定の傾向はないから、上記表2の実施例(1回目)において、180分経過時点で誘引されたヒアリの数が増えたことは、本件発明1の有利な効果であるとは認められない。 イ 相違点2について 引用文献8(摘記8b)及び引用文献9(摘記9b)に記載されるように、アリ用の毒餌剤に煮干粉を含有させることは周知技術であるから、引用発明11の魚粉として、煮干粉を採用することは当業者が容易になし得るものである。 また、本願明細書には、さなぎ粉と煮干粉を含む実施例はなく、煮干粉と組み合わせたことによる格別の効果も認められない。 (3)まとめ したがって、本願発明は、引用文献11に記載された発明及び本願の出願時の周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 審判請求人の主張について (1)審判請求人の主張 審判請求人は令和7年1月31日提出の意見書において、以下の主張をしていると認められる。 主張1:引用文献11の害虫誘引性駆除剤が対象とする害虫は、トビイロシワアリであり、ヒアリはトフシアリ属に属するアリであり、トビイロシワアリはシワアリ属に属するアリであるため、分類上大きく異なるため、トビイロシワアリで高い誘引性を示したものがヒアリにおいても同様の高い誘引効果を示すのかは不明である。 主張2:拒絶理由通知書では、引用文献6、引用文献7、引用文献12を引用しているが、引用文献6、引用文献7、引用文献12は、あくまでも既存の毒餌剤を外来種のアリに対して適用できることを示すに留まるものであり、既存の毒餌剤を外来種のアリに対して適用した場合に、外来種のアリへの効力がどの程度発揮されるか、判然としない。 主張3:本願請求項1の発明は、さなぎ粉の含有量が10重量%以上20重量%以下であることを特徴としており、これにより、ヒアリの毒餌剤への誘引効果を長期間に亘って向上させながら、毒餌剤の混合性状を良好なものとし、各種成分を均一にできるのであり、この点において、本願請求項1の発明は引用文献11の発明に対して進歩性を有するものである。 (2)審判請求人の主張の検討 ア 主張1及び主張2について 上記3(2)ア(ア)で述べたとおり、引用文献10及び12においては、蛹粉がヒアリに対する誘引性が高いことが示されている。 よって、蛹粉を含む引用発明11の害虫誘引性駆除剤が、ヒアリに対しても有効であることは当業者が予測できるものである。 イ 主張3について 本願発明の「ヒアリの毒餌剤への誘引効果を長期間に亘って向上させる」という本願発明の効果については、上記3(2)ア(イ)で述べたとおり、 引用文献7、10及び11に示される周知技術を参酌すれば、当業者が予測し得るものである。 さらに、各種成分を均一にできるという効果については、本願明細書に記載されていないので、本願明細書に基づく主張ではないと認められるため、その効果に関する主張は採用できない。 また、仮にそのような効果があることが本願明細書に記載されていたとしても、引用発明11では、実際に蛹粉14%の害虫誘引駆除剤を調製していることから、当業者が実感することであるという程度のことと認められる。 (3)小括 したがって、上記審判請求人の主張はいずれも採用できない。 5 まとめ 以上のとおり、本願発明は、引用文献11に記載された発明及び本願の出願日時点の周知技術に基いて、その出願前に当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第5 むすび 以上のとおり、請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その余の請求項について検討するまでもなく本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2023-011570

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決69件(フマキラー株式会社)
  • 2024-018375拒絶査定不服審判 / 2026-07-08 / 請求不成立害虫駆除方法
    同じ当事者: フマキラー株式会社
  • 2025-003371拒絶査定不服審判 / 2026-06-23 / 原査定取消(特許/登録すべき)食品の除菌方法
    同じ当事者: フマキラー株式会社
  • 2025-011948拒絶査定不服審判 / 2026-04-08 / 請求不成立オクダケタブレット、オクダケ
    同じ当事者: フマキラー株式会社
  • 2024-007438拒絶査定不服審判 / 2026-01-13 / 原査定取消(特許/登録すべき)除草剤
    同じ当事者: フマキラー株式会社
  • 2025-011203拒絶査定不服審判 / 2026-01-08 / 請求不成立バイオパワー、パワー
    同じ当事者: フマキラー株式会社
検索でもっと見る →
同じ根拠条文の審決7,656件(特許法29条2項)
  • 2023-002901拒絶査定不服審判 / 2024-09-30 / 請求不成立害虫防除用定量噴射型エアゾール製品および害虫防除方法
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2022-000259拒絶査定不服審判 / 2023-06-12 / 請求不成立蛛形綱種の繁殖力を制御するための組成物および方法
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2021-008460拒絶査定不服審判 / 2022-12-22 / 請求不成立エタノール製剤
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2020-014457拒絶査定不服審判 / 2022-09-22 / 請求不成立抗微生物性組成物
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2018-014920拒絶査定不服審判 / 2019-11-11 / 請求不成立水処理剤組成物、水処理剤組成物の製造方法および水処理方法
    共通の条文: 特許法29条2項
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)320件(121・A01N)
  • 2024-002910拒絶査定不服審判 / 2026-08-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)滴下投与用燻蒸配合物
    共通の審決分類: 121・A01N
  • 2024-013849拒絶査定不服審判 / 2026-08-04 / 原査定取消(特許/登録すべき)農業害虫、有害ダニを防除するためのトリフルエンフロネートの用途
    共通の審決分類: 121・A01N
  • 2024-008239拒絶査定不服審判 / 2026-07-28 / 原査定取消(特許/登録すべき)手指消毒剤
    共通の審決分類: 121・A01N
  • 2024-005126拒絶査定不服審判 / 2026-06-26 / 原査定取消(特許/登録すべき)外生エリシター及び内生エリシターを含む植物活力剤ならびにその使用
    共通の審決分類: 121・A01N
  • 2024-015310拒絶査定不服審判 / 2026-06-23 / 原査定取消(特許/登録すべき)防カビ消臭脱臭剤
    共通の審決分類: 121・A01N

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存