特許拒絶査定不服審判
2023-010231
表示装置、ならびにその駆動方法および駆動装置
- 審判番号
- 2023-010231
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-567346
- 請求日
- 2023年06月20日
- 審決日
- 2024年06月26日
- 公報発行日
- 2024年12月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 審判長/審判官
- 審判長 濱野 隆
- 審判官 濱本 禎広
- 審判官 佐々木 祐
- 分類
- P18 .575-Z (G09G) / P18 .113-Z (G09G) / P18 .121-Z (G09G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-567346「表示装置、ならびにその駆動方法および駆動装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 9月19日国際公開、WO2019/174238、令和 3年 7月 1日国内公表、特表2021-516354〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)10月23日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2018年3月16日、中国)を国際出願日とする外国語特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。なお、以下、2018年3月16日を「優先日」という。
令和2年 2月14日 :翻訳文の提出
令和4年 9月 7日付け:拒絶理由通知書
同年12月20日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 2月 3日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月20日 :原査定の謄本の送達)
同年 6月20日 :審判請求書、手続補正書の提出
同年 7月14日付け:前置報告書
同年10月31日 :上申書の提出
第2 令和5年6月20日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年6月20日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 補正の内容
令和5年6月20日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について補正するものであり、この補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和4年12月20日にされた手続補正後をいう。)の請求項1が、後記の(2)に示す本件補正後の請求項1に補正された。下線は、補正箇所を示す。
(1) 本件補正前の請求項1
「【請求項1】
アレイ基板を含み、前記アレイ基板は、複数の画素ユニットを含み、各前記画素ユニットは、同じ色の第1サブ画素と第2サブ画素とを含み、前記第1サブ画素は、第1画素電極と第1共通電極とを含み、前記第2サブ画素は、第2画素電極と第2共通電極とを含む表示装置であって、
第1段階では、前記第1画素電極と前記第1共通電極との電位差は、前記第2画素電極と前記第2共通電極との電位差より大きく、
前記第1サブ画素は、第1薄膜トランジスタ(TFT)、第1データ線、および第1ゲート線をさらに含み、前記第1TFTの第1極は、前記第1データ線に接続され、前記第1TFTの第2極は、前記第1画素電極に接続され、前記第1TFTのゲートは、前記第1ゲート線に接続され、
前記第2サブ画素は、第2TFT、第2データ線、および第2ゲート線をさらに含み、前記第2TFTの第1極は、前記第2データ線に接続され、前記第2TFTの第2極は、前記第2画素電極に接続され、前記第2TFTのゲートは、前記第2ゲート線に接続され、
前記第1サブ画素と前記第2サブ画素は、以下の条件のうちの少なくとも1つを満たし、すなわち、
前記第1ゲート線と前記第2ゲート線は、2つの異なるゲート線であり、かつ前記第1データ線と前記第2データ線は、同じデータ線であり、
前記第1ゲート線と前記第2ゲート線は、同じゲート線であり、かつ前記第1データ線と前記第2データ線は、2つの異なるデータ線である、表示装置。」
(2) 本件補正後の請求項1
「【請求項1】
アレイ基板を含み、前記アレイ基板は、複数の画素ユニットを含み、各前記画素ユニットは、同じ色の第1サブ画素と第2サブ画素とを含み、前記第1サブ画素は、第1画素電極と第1共通電極とを含み、前記第2サブ画素は、第2画素電極と第2共通電極とを含む表示装置であって、
前記画素ユニットが第1グレースケールを表示する第1段階では、前記第1画素電極と前記第1共通電極との電位差は、前記第2画素電極と前記第2共通電極との電位差より大きく、前記画素ユニットが第2グレースケールを表示する第2段階では、前記第1画素電極と前記第1共通電極との電位差は、前記第2画素電極と前記第2共通電極との電位差以上であり、前記第1グレースケールは、前記第2グレースケールより小さく、前記第1グレースケールは、0より大きく、かつP/2以下であり、前記第2グレースケールは、P/2より大きく、かつP以下であり、Pは、前記表示装置が表示を実行するときの最大グレースケールであり、
前記第1共通電極は第1共通電極線に接続され、前記第2共通電極は第2共通電極線に接続され、前記第1共通電極線および前記第2共通電極線にロードされた共通電極信号の電圧の少なくとも一方は、前記第1段階および前記第2段階で周期的変化を示し、または、前記第1共通電極線にロードされた共通電極信号の電圧の絶対値と前記第2共通電極線にロードされた共通電極信号の電圧の絶対値との差は、前記第1段階と前記第2段階とで等しくなく、
前記第1サブ画素は、第1薄膜トランジスタ(TFT)、第1データ線、および第1ゲート線をさらに含み、前記第1TFTの第1極は、前記第1データ線に接続され、前記第1TFTの第2極は、前記第1画素電極に接続され、前記第1TFTのゲートは、前記第1ゲート線に接続され、
前記第2サブ画素は、第2TFT、第2データ線、および第2ゲート線をさらに含み、前記第2TFTの第1極は、前記第2データ線に接続され、前記第2TFTの第2極は、前記第2画素電極に接続され、前記第2TFTのゲートは、前記第2ゲート線に接続され、
前記第1サブ画素と前記第2サブ画素は、以下の条件のうちの少なくとも1つを満たし、すなわち、
前記第1ゲート線と前記第2ゲート線は、2つの異なるゲート線であり、かつ前記第1データ線と前記第2データ線は、同じデータ線であり、
前記第1ゲート線と前記第2ゲート線は、同じゲート線であり、かつ前記第1データ線と前記第2データ線は、2つの異なるデータ線である、表示装置。」
2 補正の目的
本件補正は、次の(1)及び(2)に示すように本件補正前の請求項1に係る発明の構成を限定することを含むものである。
(1) 本件補正前の「前記第1画素電極と前記第1共通電極との電位差は、前記第2画素電極と前記第2共通電極との電位差より大き[い]」「第1段階」が、「前記画素ユニットが第1グレースケールを表示する」段階であるとの限定を行うとともに、
「前記画素ユニットが第2グレースケールを表示する第2段階」という構成を追加して、この「第2段階」が「前記第1画素電極と前記第1共通電極との電位差は、前記第2画素電極と前記第2共通電極との電位差以上であ[る]」段階であるとの限定を付加し、
ここで、「前記第1グレースケールは、前記第2グレースケールより小さく、前記第1グレースケールは、0より大きく、かつP/2以下であり、前記第2グレースケールは、P/2より大きく、かつP以下であり、Pは、前記表示装置が表示を実行するときの最大グレースケールであ[る]」として、「第1グレースケール」と「第2グレースケール」の大小関係と各グレースケールのとり得る値の範囲を規定すること。
(2) さらに、本件補正前の構成に、「前記第1共通電極は第1共通電極線に接続され、前記第2共通電極は第2共通電極線に接続され、前記第1共通電極線および前記第2共通電極線にロードされた共通電極信号の電圧の少なくとも一方は、前記第1段階および前記第2段階で周期的変化を示し、または、前記第1共通電極線にロードされた共通電極信号の電圧の絶対値と前記第2共通電極線にロードされた共通電極信号の電圧の絶対値との差は、前記第1段階と前記第2段階とで等しくな[い]」との構成を追加して、本件補正前の「第1共通電極」及び「第2共通電極」の接続先がそれぞれ「第1共通電極線」及び「第2共通電極線」であると限定するとともに、「第1共通電極線」と「第2共通電極線」に「ロードされた共通電極信号の電圧」に係る構成を限定すること。
(3) そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
(4) したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
3 独立特許要件の判断
前記2のとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。そこで、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。
(1) 本件補正発明
本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
なお、後記(3)の対比の議論のために、請求項1の記載を便宜上次のように構成Xと構成A~Eに分説する。
<構成A>
アレイ基板を含み、前記アレイ基板は、複数の画素ユニットを含み、各前記画素ユニットは、同じ色の第1サブ画素と第2サブ画素とを含み、前記第1サブ画素は、第1画素電極と第1共通電極とを含み、前記第2サブ画素は、第2画素電極と第2共通電極とを含む表示装置であって、
<構成B>
前記画素ユニットが第1グレースケールを表示する第1段階では、前記第1画素電極と前記第1共通電極との電位差は、前記第2画素電極と前記第2共通電極との電位差より大きく、前記画素ユニットが第2グレースケールを表示する第2段階では、前記第1画素電極と前記第1共通電極との電位差は、前記第2画素電極と前記第2共通電極との電位差以上であり、前記第1グレースケールは、前記第2グレースケールより小さく、前記第1グレースケールは、0より大きく、かつP/2以下であり、前記第2グレースケールは、P/2より大きく、かつP以下であり、Pは、前記表示装置が表示を実行するときの最大グレースケールであり、
<構成C>
前記第1共通電極は第1共通電極線に接続され、前記第2共通電極は第2共通電極線に接続され、前記第1共通電極線および前記第2共通電極線にロードされた共通電極信号の電圧の少なくとも一方は、前記第1段階および前記第2段階で周期的変化を示し、または、前記第1共通電極線にロードされた共通電極信号の電圧の絶対値と前記第2共通電極線にロードされた共通電極信号の電圧の絶対値との差は、前記第1段階と前記第2段階とで等しくなく、
<構成D>
前記第1サブ画素は、第1薄膜トランジスタ(TFT)、第1データ線、および第1ゲート線をさらに含み、前記第1TFTの第1極は、前記第1データ線に接続され、前記第1TFTの第2極は、前記第1画素電極に接続され、前記第1TFTのゲートは、前記第1ゲート線に接続され、
前記第2サブ画素は、第2TFT、第2データ線、および第2ゲート線をさらに含み、前記第2TFTの第1極は、前記第2データ線に接続され、前記第2TFTの第2極は、前記第2画素電極に接続され、前記第2TFTのゲートは、前記第2ゲート線に接続され、
<構成E>
前記第1サブ画素と前記第2サブ画素は、以下の条件のうちの少なくとも1つを満たし、すなわち、
前記第1ゲート線と前記第2ゲート線は、2つの異なるゲート線であり、かつ前記第1データ線と前記第2データ線は、同じデータ線であり、
前記第1ゲート線と前記第2ゲート線は、同じゲート線であり、かつ前記第1データ線と前記第2データ線は、2つの異なるデータ線である、
<構成X>
表示装置。
(2) 引用文献3に記載された事項及び引用発明の認定
ア 引用文献3に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された、優先日前に発行された文献である国際公開第2010/143348号(以下「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。下線は当審において付与したものである。
(ア) [0050]
「図面の簡単な説明
[0050] [図1]本発明による液晶表示装置の第1実施形態の模式図である。
[図2]図1に示した液晶表示装置における各画素の構成を示す模式図である。
・・・(中略)・・・
[図4A]比較例の液晶表示装置の等価回路図である。
[図4B]比較例の液晶表示装置における回素の構成を示す模式図である。
[図4C]比較例の液晶表示装置の各サブ画素の明暗および極性を示す模式図である。
[図5]比較例の液晶表示装置における入力信号階調レベルに対する各サブ画素の明および暗サブ画素の階調レベルの変化を示すグラフである。
・・・(中略)・・・
[図9A]図1に示した液晶表示装置における各サブ画素の明暗および極性を示す模式図である。
[図9B]図1に示した液晶表示装置の回路図である。
・・・(中略)・・・
[図11](a)~(g)は、図1に示した液晶表示装置の青画素の電圧波形を示す図である。
・・・(中略)・・・
[図13]液晶表示装置の第1実施形態の変形例の回路図である。
[図14]図13に示した液晶表示装置における電圧波形を示す模式図である。
[図15]図13に示した液晶表示装置における背面基板の模式的な平面図である。
・・・(中略)・・・
[図22]本発明による液晶表示装置の第3実施形態における画素を示す模式図である。
・・・(後略)」
(イ) [0052]~[0057]、[図1]
「[0052] (実施形態1)
以下、本発明による液晶表示装置の第1実施形態を説明する。図1に、本実施形態の液晶表示装置100の模式図を示す。液晶表示装置100は、絶縁基板122上に設けられた画素電極124および配向膜126を有する背面基板120と、絶縁基板142上に設けられた対向電極144および配向膜146を有する前面基板140と、背面基板120と前面基板140との間に設けられた液晶層160とを備えている。
[0053] 背面基板120および前面基板140のそれぞれには偏光板128、148および位相差板129、149が設けられている。2つの偏光板128、148は液晶層160を挟んで互いに対向するように配置されている。2つの偏光板128、148の透過軸(偏光軸)は互いに直交するように(クロスニコルの関係を有するように)配置されており、一方が水平方向(行方向)、他方が垂直方向(列方向)に沿うように配置されている。また、背面基板120には、図1では図示しない配線および絶縁層等が設けられており、前面基板140には図示しないカラーフィルタ層等が設けられている。液晶層160の厚さはほぼ一定である。また、ここでは、図示していないが、液晶表示装置100が透過型または透過反射両用型である場合、液晶表示装置100はバックライトをさらに備えていてもよい。
[0054] 液晶表示装置100では、複数の画素が複数の行および複数の列のマトリクス状に配列されている。複数の画素は赤、緑および青画素を含んでおり、各画素は画素電極124によって規定される。なお、後述するように、液晶表示装置100では画素電極124は複数のサブ画素電極に分離されている。
[0055] 液晶表示装置100はVAモードで動作する。配向膜126、146は垂直配向膜である。液晶層160は垂直配向型の液晶層である。ここで、「垂直配向型液晶層」とは、垂直配向膜126、146の表面に対して、液晶分子軸(「軸方位」ともいう。)が約85°以上の角度で配向した液晶層をいう。液晶層160は負の誘電異方性を有するネマチック液晶材料を含んでおり、クロスニコル配置された偏光板128、148と組み合わせて、ノーマリーブラックモードで表示が行われる。
[0056] 液晶層160に電圧が印加されない場合、液晶層160の液晶分子162は配向膜126、146の主面の法線方向とほぼ平行に配向する。液晶層160に所定の電圧よりも高い電圧が印加される場合、液晶層160の液晶分子162は配向膜126、146の主面とほぼ平行に配向する。また、液晶層160に比較的高い電圧が印加される場合、液晶分子162は画素内または画素の特定の領域内で対称的に配向し、これにより、視野角特性の改善が図られる。なお、ここでは、背面基板120および前面基板140は配向膜126、146をそれぞれ有していたが、背面基板120および前面基板140の少なくとも一方が対応する配向膜126、146を有していてもよい。ただし、配向の安定性の観点から、背面基板120および前面基板140の両方が配向膜126、146をそれぞれ有していることが好ましい。
[0057] 液晶表示装置100には入力信号が入力される。入力信号は、例えば、ガンマ値2.2のブラウン管(Cathode Ray Tube:CRT)に対応可能な信号であり、NTSC(National Television Standards Committee)規格に準拠している。一般に、入力信号には、赤、緑および青画素の階調レベルに変換可能な値が示されており、この値は3次元で表される。入力信号は例えば、YCrCb信号である。あるいは、入力信号に赤、緑および青画素の階調レベル自体が示されていてもよい。なお、入力信号がBT.709規格に準拠している場合、赤、緑および青画素に対応する入力信号の階調レベルは、それぞれ最低階調レベル(例えば、階調レベル0)から最高階調レベル(例えば、階調レベル255)までの範囲内にある。入力信号に示された階調レベルは液晶表示装置100において輝度レベルに変換され、輝度レベルに応じた電圧が液晶表示装置100の液晶層160に印加される。なお、入力信号には、正面からみた無彩色の色度を抑制するために独立ガンマ補正処理が行われてもよい。」
「
[図:0001417188000001.jpg]
」
(ウ) [0058]~[0060]、[図2]
「[0058] 図2に、液晶表示装置100に設けられた画素および画素に含まれるサブ画素の構成を示す。図2には、例示として、3行9列の画素を示している。液晶表示装置100では、赤画素R、緑画素G、青画素Bを含む1つのセットによって1つの色が表現される。本明細書の以下の説明において、赤画素R、緑画素G、青画素Bを含む1つのセットをカラー画素と呼ぶことがある。なお、液晶表示装置100のカラーフィルタの配列は図2に示した構成に対応している。
[0059] 液晶表示装置100において、画素R、GおよびBのそれぞれは2つのサブ画素を有している。具体的には、赤画素Rは、第1サブ画素Raおよび第2サブ画素Rbを有している。同様に、緑画素Gは、第1サブ画素Gaおよび第2サブ画素Gbを有しており、青画素Bは、第1サブ画素Baおよび第2サブ画素Bbを有している。
[0060] 少なくともある階調において、各画素R、G、Bの異なるサブ画素が異なる輝度を呈するように制御可能である。このため、表示画面を正面方向から観察したときのガンマ特性と斜め方向から観察したときのガンマ特性とが異なるというガンマ特性の視野角依存性を低減することができる。ガンマ特性の視野角依存性の低減については、特開2004-62146号公報や特開2004-78157号公報に開示されている。各画素R、G、Bのサブ画素の輝度が異なるように制御することにより、上記特開2004-62146号公報や特開2004-78157号公報の開示と同様に、ガンマ特性の視野角依存性を低減するという効果が得られる。このような赤、緑および青画素R、GおよびBの構造は画素分割構造とも呼ばれる。なお、本明細書の以下の説明において、第1、第2サブ画素のうち高い輝度を呈し得るサブ画素を明サブ画素と呼び、低い表示輝度を呈し得るサブ画素を暗サブ画素と呼ぶことがある。」
「
[図:0001417188000002.jpg]
」
(エ) [0064]~[0073]、[図4A]~[図4C]
「[0064] 以下、比較例の液晶表示装置と比較して本実施形態の液晶表示装置100の利点を説明する。まず、図4A~図4Cを参照して、比較例の液晶表示装置700を説明する。比較例の液晶表示装置700において各画素は異なる輝度を呈し得る複数のサブ画素から形成されている。
[0065] 図4Aに、比較例の液晶表示装置700の等価回路図を示す。この液晶表示装置700において画素は複数の行および複数の列を有するマトリクス状に配列されている。比較例の液晶表示装置700では各画素は輝度の異なり得る2つのサブ画素Spa、Spbに分割されており、白浮きの程度が抑制されている。また、液晶表示装置700では、補助容量配線は、列方向に隣接する異なる行の画素のサブ画素に対応するように配置されている。例えば、n行の画素のサブ画素Spb、および、これに列方向に隣接するn+1行の画素のサブ画素Spaは補助容量配線CSbに対応している。
[0066] ここでは、第n行のゲート配線Gnおよび第m行のソース配線Smで規定される画素に着目する。なお、赤画素R、緑画素Gおよび青画素Bはいずれも同様の構成を有している。
[0067] サブ画素Spaは、液晶容量CLCAと、補助容量CCSAとを有しており、サブ画素Spbは、液晶容量CLCBと、補助容量CCSBとを有している。液晶容量は、サブ画素電極724a、724bと、対向電極ComLCと、これらの間に設けられた液晶層とから構成されており、補助容量は、補助容量電極と、絶縁膜と、補助容量対向電極(ComCSA、ComCSB)とから構成されている。サブ画素電極724a、724bは、それぞれ対応するTFT730aおよびTFT730bを介して共通のソース配線Smに接続されている。TFT730aおよびTFT730bは、共通のゲート配線Gnに供給されるゲート信号電圧によってオン/オフ制御され、TFT730a、730bがオン状態にあるときに、2つのサブ画素Spa、Spbのそれぞれが有するサブ画素電極724a、724bおよび補助容量電極に、共通のソース配線Smからソース信号電圧が供給される。2つのサブ画素Spa、Spbのうちのサブ画素Spaの補助容量対向電極ComCSAは補助容量配線CSaを介して補助容量幹線CSTaに接続されており、サブ画素Spbの補助容量対向電極ComCSBは補助容量配線CSbを介して補助容量幹線CSTbに接続されている。比較例の液晶表示装置700では補助容量幹線CSTaおよびCSTbにそれぞれ供給される補助容量対向電圧VCSTaおよびVCSTbにおいて、対応するゲート配線Gnの電圧がハイからローに変化した後の最初の変化に着目すると、例えば、電圧VCSTaは増加し、電圧VCSTbは減少する。」
「
[図:0001417188000003.jpg]
」
「[0068] 図4Bに、比較例の液晶表示装置700における1つの画素の構成を示す。上述したように、比較例の液晶表示装置700には赤画素、緑画素および青画素が設けられており、赤画素、緑画素および青画素はいずれも同様の構成を有している。以下、赤画素を対象に説明する。
[0069] 赤画素Rは、2つのサブ画素RaおよびRbを有しており、サブ画素Ra、Rbに対応するサブ画素電極724a、724bには、それぞれTFT730a、730b、および補助容量732a、732bが接続されている。TFT730a、730bのゲートはゲート配線Gに接続され、ソースは共通の(同一の)ソース配線Sに接続されている。補助容量732a、732bは、それぞれ補助容量配線CSa、CSbに接続されている。補助容量732a、732bは、それぞれサブ画素電極724a、724bと電気的に接続された補助容量電極と、補助容量配線CSa、CSbと電気的に接続された補助容量対向電極と、これらの間に設けられた絶縁層(不図示)によって形成されている。補助容量732aおよび732bの補助容量対向電極は互いに独立しており、それぞれ補助容量配線CSaおよびCSbから互いに異なる補助容量対向電圧(補助容量電圧)が供給され得る。このため、TFT730a、730bがオンのときにソース配線Sを介してサブ画素電極724a、724bに電圧が供給された後、TFT730a、730bがオフになり、さらに、補助容量配線CSaおよびCSbの電位が異なるように変化する場合、サブ画素電極724aの実効電圧はサブ画素電極724bの実効電圧と異なることになり、結果として、サブ画素Raの輝度はサブ画素Rbの輝度と異なる。」
「
[図:0001417188000004.jpg]
」
「[0070] 図4Cに、比較例の液晶表示装置700における各サブ画素の明暗および極性を示す。図4Cにおいて、「明」は明サブ画素を表しており、「暗」は暗サブ画素を表している。また、「Ca」はサブ画素が補助容量幹線CSTaに対応することを表しており、「Cb」はサブ画素が補助容量幹線CSTbに対応することを表している。また、「+」および「-」は液晶層に印加される電界の向き(極性)を表している。例えば、「+」は対向電極の電位がサブ画素電極よりも高いことを示し、「-」はサブ画素電極の電位が対向電極よりも高いことを示す。
[0071] 液晶表示装置700において、各画素のうちの一方のサブ画素は補助容量幹線CSTaに対応しており、他方のサブ画素は補助容量幹線CSTbに対応している。また、画素配列に着目すると、行方向および列方向に隣接する画素の極性は反転しており、極性の異なる画素が画素単位で市松模様に配列されている。また、ある行の画素のうち補助容量幹線CSTaに対応するサブ画素に着目すると、サブ画素の明暗および極性がサブ画素ごとに反転している。このように、明サブ画素および暗サブ画素はサブ画素単位で市松模様に配列されている。なお、図4Cでは、あるフレームにおける液晶表示装置700の状態を示したが、次のフレームでは各サブ画素の極性は反転されており、フリッカーが抑制される。例えば、第n行第m列~第n行第m+2列のカラー画素に着目すると、赤画素の第1サブ画素、緑画素の第2サブ画素および青画素の第1サブ画素が明サブ画素となり、赤画素の第2サブ画素、緑画素の第1サブ画素および青画素の第2サブ画素が暗サブ画素となる。
[0072] 比較例の液晶表示装置700では、赤、緑および青画素の階調レベルが最低階調レベルの場合にカラー画素は黒を表示し、赤、緑および青画素の階調レベルが最高階調レベルの場合にカラー画素は白を表示する。一般に、画素によって表示される色が黒から無彩色を維持したまま白に変化する場合、赤、緑および青画素の階調レベルは互いに等しいまま増加する。例えば、比較例の液晶表示装置700において黒から白に向かって無彩色の明度が変化する場合、各画素に対応する入力信号の階調レベルは等しい割合で増加する。具体的には、はじめ、画素によって表示される色は黒であり、赤、緑、青画素の階調レベルは最低階調レベルである。赤、緑、青画素に対応する入力信号の階調レベルの増加が開始すると、各画素の一方のサブ画素(このサブ画素が明サブ画素となる。)の輝度の増加が開始する。次いで、明サブ画素の輝度が所定の値まで増加すると、次に他方のサブ画素(このサブ画素が暗サブ画素となる)の輝度の増加が開始する。比較例の液晶表示装置700でも、赤、緑、青画素に対応する入力信号の階調レベルが等しい割合で増加するほど、画素によって表示される無彩色の明度が増加する。赤、緑、青画素の輝度が増加して最高階調レベルに達すると、画素によって表示される色は白となる。
[0073] 比較例の液晶表示装置700において、赤、緑および青画素に対応する入力信号の階調レベルがあるレベルで互いに等しい場合、赤、緑および青画素のそれぞれの最高輝度に対する第1サブ画素の輝度と第2サブ画素の輝度との差の割合は互いにほぼ等しい。比較例の液晶表示装置700において、赤、緑および青画素のそれぞれに着目すると、赤、緑および青画素に対応する階調レベルのそれぞれがあるレベルで等しい場合、赤、緑および青画素のそれぞれにおいて明サブ画素の輝度は暗サブ画素の輝度とは異なる。一方、赤、緑および青画素に対応する階調レベルがそれぞれ最高階調レベルである場合、赤、緑および青画素のそれぞれの明サブ画素の輝度は暗サブ画素の輝度とほぼ等しい。」
「
[図:0001417188000005.jpg]
」
(オ) [0074]~[0078]、[図5]
「[0074] ここで、図5を参照して、比較例の液晶表示装置700において各画素の明および暗サブ画素の階調レベルの変化を説明する。ここでは、各画素において入力信号の階調レベルが最低階調レベルから最高階調レベルに増加する場合、まず、明サブ画素の階調レベルの増加を開始し、明サブ画素の階調レベルが最高階調レベルに到達した後に、暗サブ画素の階調レベルの増加を開始する。
[0075] 例えば、比較例の液晶表示装置700では、赤、緑および青画素に対応する入力信号の階調レベル(r,g,b)が(50,50,50)である場合、赤画素のサブ画素Ra、Rbは、階調レベル69(=(2×(50/255)2.2)1/2.2×255)、0に相当する輝度を呈する。同様に、緑画素のサブ画素Ga、Gbは階調レベル0、69に相当する輝度を呈し、青画素のサブ画素Ba、Bbは階調レベル69、0に相当する輝度を呈する。
[0076] また、赤、緑および青画素に対応する入力信号の階調レベル(r,g,b)が(190,190,190)である場合、比較例の液晶表示装置700では、赤画素のサブ画素Ra、Rbは、階調レベル255、64(=(2×(190/255)2.2-1)1/2.2×255)に相当する輝度を呈する。同様に、緑画素のサブ画素Ga、Gbは階調レベル64、255に相当する輝度を呈し、青画素のサブ画素Ba、Bbは階調レベル255、64に相当する輝度を呈する。
[0077] また、赤、緑および青画素に対応する入力信号の階調レベル(r,g,b)が(255,255,255)である場合、比較例の液晶表示装置700では、赤画素のサブ画素Ra、Rbは、階調レベル255、255に相当する輝度を呈する。同様に、緑画素のサブ画素Ga、Gbは階調レベル255、255に相当する輝度を呈し、青画素のサブ画素Ba、Bbは階調レベル255、255に相当する輝度を呈する。
[0078] なお、ここでは、明サブ画素の階調レベルが最高階調レベルに到達した後に、暗サブ画素の階調レベルの増加を開始したが、明および暗サブ画素の階調レベルは別の態様で変化することもある。」
「
[図:0001417188000006.jpg]
」
(カ) [0094]~[0102]、[図9A]、[図9B]
「[0094] 以下、本実施形態の液晶表示装置100の構成を具体的に説明する。図9Aに、液晶表示装置100における画素の構成を示す。液晶表示装置100の補助容量配線CSには2つの異なる電圧が印加される。ここでは、一方の電圧が印加される補助容量配線を補助容量配線CSaと示し、他方の電圧が印加される補助容量配線を補助容量配線CSbと示す。
[0095] 図9Aにおいて、「H」は明サブ画素を表しており、「L」は暗サブ画素を表している。また、「A」はサブ画素が補助容量配線CSaに対応することを表しており、「B」はサブ画素が補助容量配線CSbに対応することを表している。また、「+」および「-」は液晶層160に印加される電界の向き(極性)を示している。例えば、「+」は対向電極144の電位がサブ画素電極124a、124bよりも高いことを示し、「-」はサブ画素電極124a、124bの電位が対向電極144よりも高いことを示す。
[0096] 図9Aにおいて、各画素のうちの一方のサブ画素は補助容量配線CSaに対応しており、他方のサブ画素は補助容量配線CSbに対応している。また、画素配列に着目すると、行方向および列方向に隣接する画素の極性は反転しており、極性の異なる画素が画素単位で市松模様に配列されている。また、ある行のサブ画素のうち補助容量配線CSaに対応するサブ画素に着目すると、サブ画素の明暗および極性がサブ画素ごとに反転している。このように、液晶表示装置100では、明サブ画素および暗サブ画素はサブ画素単位で市松模様に配列されている。なお、図9Aは、あるフレームにおける液晶表示装置100の状態を示したが、次のフレームでは各サブ画素の極性は反転されており、フリッカーが抑制される。
[0097] 図9Bに、液晶表示装置100の背面基板120における赤画素R、緑画素Gおよび青画素Bの等価回路図を示す。カラー画素に着目すると、赤画素の第1サブ画素、緑画素の第2サブ画素および青画素の第1サブ画素が明サブ画素となり、赤画素の第2サブ画素、緑画素の第1サブ画素および青画素の第2サブ画素が暗サブ画素となる。なお、以下の説明において、赤、緑および青画素の明サブ画素をそれぞれサブ画素Rs、Gs、Bsと示し、そのサブ画素電極をサブ画素電極124s、そのTFTをTFT130sと示すことがある。また、赤、緑および青画素の暗サブ画素をそれぞれサブ画素Rt、Gt、Btと示し、そのサブ画素電極をサブ画素電極124t、そのTFTをTFT130tと示すことがある。
[0098] まず、赤画素Rの構成を説明する。赤画素Rは、2つのサブ画素RaおよびRbを有しており、サブ画素Ra、Rbに対応するサブ画素電極124a、124bには、それぞれTFT130a、TFT130b、および補助容量132a、132bが接続されている。なお、以下の説明において、第1サブ画素電極124aに対応するTFT130aを第1TFT130aと呼ぶことがあり、第2サブ画素電極124bに対応するTFT130bを第2TFT130bと呼ぶことがある。サブ画素電極124a、124bは対応するTFT130a、130bを介して共通のソース配線SRに接続されている。なお、ここでは、サブ画素電極124a、124bはいずれもほぼ矩形状であり、サブ画素電極124aの面積はサブ画素電極124bの面積と略等しい。
[0099] TFT130aおよびTFT130bのゲートは共通のゲート配線Gnに接続され、TFT130aおよびTFT130bのソースは共通の(同一の)ソース配線SRに接続されている。補助容量132a、132bは、それぞれ補助容量配線CSaおよび補助容量配線CSbに接続されている。補助容量132aおよび132bは、それぞれサブ画素電極124aおよび124bと電気的に接続された補助容量電極と、補助容量配線CSaおよびCSbと電気的に接続された補助容量対向電極と、これらの間に設けられた絶縁層(不図示)によって形成されている。補助容量132aおよび132bの補助容量対向電極は互いに独立しており、それぞれ補助容量配線CSaおよびCSbから互いに異なる補助容量対向電圧が供給され得る。このため、TFT130a、130bがオンのときにソース配線SRを介してサブ画素電極124a、124bに電圧が供給された後、TFT130a、130bがオフになり、さらに、補助容量配線CSaおよびCSbの電位が異なるように変化する場合、サブ画素電極124aの実効電圧はサブ画素電極124bの実効電圧と異なることになり、結果として、第1サブ画素Raの輝度は第2サブ画素Rbの輝度と異なる。なお、緑画素Gも赤画素Rと同様の構成を有している。
[0100] 次に、青画素Bの構成を説明する。本実施形態の液晶表示装置100において、青画素BはTFT130uおよび容量132uが設けられている点を除いて赤画素Rおよび緑画素Gと同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する説明を省略する。
[0101] ここでは、TFT130uは青画素の暗サブ画素Btのサブ画素電極124tに対応して設けられている。TFT130uのドレインは青画素のサブ画素電極124tに接続されている。また、TFT130uのソースは補助容量132uと接続されている。なお、以下の説明において、このTFT130uを第3TFTと呼び、補助容量132uを修正補助容量と呼ぶことがある。
[0102] また、第n行の青画素の暗サブ画素Btに対応して設けられた第3TFT130uのゲートは、第n行のゲート配線Gnが選択されてから、次の垂直走査期間において再びゲート配線Gnが選択されるまでの間に選択される配線と電気的に接続している。例えば、第n行の青画素の暗サブ画素Btに対応して設けられた第3TFT130uのゲートは、ゲート配線Gnとは異なるゲート配線Gと電気的に接続されていてもよい。具体的には、第n行の青画素の暗サブ画素Btに対応して設けられた第3TFT130uのゲートは、第n+1行のゲート配線Gn+1と電気的に接続されていてもよい。」
「
[図:0001417188000007.jpg]
」
「
[図:0001417188000008.jpg]
」
(キ) [0103]~[0109]、[図5]
「[0103] このような液晶表示装置100は以下のように駆動される。ゲート配線Gnの電位がローからハイに変化する。これにより、TFT130a、130bが導通状態になり、ソース配線SR、SG、SBからサブ画素電極124a、124bに電圧が供給される。その後、ゲート配線Gnの電位がハイからローに変化し、TFT130a、130bが非導通状態になる。次に、ゲート配線Gn+1の電位がローからハイに変化することにより、第3TFT130uが導通状態になり、サブ画素電極124bの電位は修正補助容量132uに充電されていた電位に合わせて変化する。
[0104] なお、一般に、サブ画素電極124bに印加される電圧の極性はフレームまたはフィールド毎に反転するため、修正補助容量132uに充電されている電圧の極性は、TFT130a、130bを介してソース配線SBからサブ画素電極124bに供給された電圧の極性とは異なる。このため、TFT130uが選択されることにより、青画素の第2サブ画素Btのサブ画素電極124bの電位が低下することになる。その後、ゲート配線Gn+1の電位がハイからローに変化する。このように、第3TFT130uが設けられていることにより、第2サブ画素Btにおいて液晶層160に印加される電圧の絶対値が低下する。
[0105] このため、本実施形態の液晶表示装置100では、比較例の液晶表示装置700と比べて、赤画素R、緑画素G、青画素Bの明サブ画素Rs、Gs、Bsおよび暗サブ画素Rt、Gtの輝度を変化させることなく、青画素Bの暗サブ画素Btの輝度を低下させることができる。したがって、赤、緑および青画素に対応する入力信号の階調レベルが互いに等しい場合でも、青画素Bの最高輝度に対する明サブ画素Bsの輝度と暗サブ画素Btの輝度との差の割合は赤画素R、緑画素Gの最高輝度に対する明サブ画素Rs、Gsの輝度と暗サブ画素Rt、Gtの輝度との差の割合よりも大きくなる。このように、青画素の明サブ画素の輝度と暗サブ画素の輝度との差を増大することができるため、青画素の視野角特性を赤および緑画素と略等しくすることができ、色ずれを抑制することができる。
[0106] ここでは、各画素において入力信号の階調レベルが最低階調レベルから最高階調レベルに増加する場合、まず、明サブ画素の階調レベルの増加を開始し、明サブ画素の階調レベルが最高階調レベルに到達した後に、暗サブ画素の階調レベルの増加を開始する。この場合、液晶表示装置100の赤および緑画素における明および暗サブ画素の階調レベルは図5に示したように変化する。それに対して、入力信号の階調レベルの増加に伴い、青画素の明サブ画素の階調レベルは赤および緑画素の明サブ画素よりも小さい傾きで増加し、また、青画素の暗サブ画素の階調レベルは、赤および緑画素の暗サブ画素よりも高い階調レベルから、赤および緑画素の暗サブ画素よりも大きい傾きで増加する。
[0107] 例えば、赤、緑および青画素に対応する入力信号の階調レベル(r,g,b)が(50,50,50)である場合、赤画素のサブ画素Ra、Rbは、階調レベル69(=(2×(50/255)2.2)1/2.2×255)、0に相当する輝度を呈する。同様に、緑画素のサブ画素Ga、Gbは階調レベル0、69に相当する輝度を呈し、青画素のサブ画素Ba、Bbは階調レベル69、0に相当する輝度を呈する。
[0108] また、赤、緑および青画素に対応する入力信号の階調レベル(r,g,b)が(190,190,190)である場合、赤画素のサブ画素Ra、Rbは、階調レベル255、64(=(2×(190/255)2.2-1)1/2.2×255)に相当する輝度を呈する。同様に、緑画素のサブ画素Ga、Gbは階調レベル64、255に相当する輝度を呈し、青画素のサブ画素Ba、Bbは階調レベル255、0に相当する輝度を呈する。
[0109] また、赤、緑および青画素に対応する入力信号の階調レベル(r,g,b)が(255,255,255)である場合、本実施形態の液晶表示装置100では、赤画素のサブ画素Ra、Rbは、階調レベル255、255に相当する輝度を呈する。同様に、緑画素のサブ画素Ga、Gbは階調レベル255、255に相当する輝度を呈し、青画素のサブ画素Ba、Bbは階調レベル255、200に相当する輝度を呈する。」
「
[図:0001417188000009.jpg]
」
(ク) [0115]~[0128]、[図11]
「[0115] 図11に、液晶表示装置100における各配線の電圧を示す。以下、図9Bおよび図11を参照して青画素の実効電圧の変化を説明する。ここでは、時刻はT1、T2・・の順番に経過する。
[0116] なお、図示していないが、以下の説明において、サブ画素Ba、Bbの液晶層を液晶層160aおよび160bと示す。また、サブ画素電極124aおよび124bと、液晶層160aおよび160bと、対向電極144(サブ画素BaおよびBbに対して共通)によって形成される液晶容量を液晶容量Clca、Clcbと示す。ここで、液晶容量ClcaおよびClcbの静電容量値は同一の値CLC(V)とする。CLC(V)の値は、サブ画素Ba、Bbの液晶層に印加される実効電圧(V)に依存する。また、各サブ画素BaおよびBbの液晶容量にそれぞれ独立に接続されている補助容量を補助容量Ccsa、Ccsbと示し、この静電容量値は同一の値CCSとする。
[0117] サブ画素Baの液晶容量Clcaと補助容量Ccsaの一方の電極はサブ画素Baを駆動するために設けたTFT130aのドレインに接続されており、液晶容量Clcaの他方の電極は対向電極に接続され、補助容量Ccsaの他方の電極は補助容量配線CSaに接続されている。サブ画素Bbの液晶容量Clcbと補助容量Ccsbの一方の電極はサブ画素Bbを駆動するために設けたTFT130bのドレインに接続されており、液晶容量Clcbの他方の電極は対向電極に接続され、補助容量Ccsbの他方の電極は補助容量配線CSbに接続されている。TFT130a、130bのゲートはいずれもゲート配線Gnに接続されており、TFT130a、130bのソースはいずれもソース配線SBに接続されている。
[0118] 時刻T1のときゲート配線Gnの電圧VgnがVgLからVgHに変化することにより、TFT130a、130bが同時に導通状態(オン状態)となり、サブ画素Ba、Bbのサブ画素電極124a、124bにソース配線SBの電圧Vsが伝達され、サブ画素Ba、Bbに充電される。同様にそれぞれのサブ画素の補助容量Ccsa、Ccsbにもソース配線SBからの充電が行われる。
[0119] 次に、時刻T2のときゲート配線Gnの電圧VgnがVgHからVgLに変化することにより、TFT130aとTFT130bが同時に非導通状態(オフ状態)となり、サブ画素Ba、Bb、補助容量Ccsa、Ccsbはすべてソース配線SBと電気的に絶縁される。なお、この直後TFT130a、TFT130bの有する寄生容量等の影響による引き込み現象のために、それぞれのサブ画素電極124a、124bの電圧Vlca、Vlcbは概ね同一の電圧Vdだけ低下し、
Vlca=Vs-Vd
Vlcb=Vs-Vd
となる。また、このとき、それぞれの補助容量配線の電圧Vcsa、Vcsbは
Vcsa=Vcom-Vad
Vcsb=Vcom+Vad
である。
[0120] その後、時刻T3において、補助容量Ccsaに接続された補助容量配線CSaの電圧VcsaがVcom-VadからVcom+Vadに変化し、補助容量Ccsbに接続された補助容量配線CSbの電圧VcsbがVcom+VadからVcom-Vadに2倍のVadだけ変化する。補助容量配線CSaおよびCSbのこの電圧変化に伴い、それぞれのサブ画素電極の電圧Vlca、Vlcbは
Vlca=Vs-Vd+2×K×Vad
Vlcb=Vs-Vd-2×K×Vad
へ変化する。但し、K=CCS/(CLC(V)+CCS)である。
[0121] その後、時刻T4において、次のゲート配線Gn+1のゲート電圧Vgn+1の電圧がVgLからVgHに変化することにより、サブ画素Bbのサブ画素電極124bの電圧はVcdだけ低下する。
Vlcb=Vs-Vd-Vcd-2×K×Vad
[0122] その後、時刻T5では、電圧VcsaがVcom+VadからVcom-Vadへ、電圧VcsbがVcom-VadからVcom+Vadへ、2倍のVadだけ変化し、電圧Vlca、Vlcbは、
Vlca=Vs-Vd+2×K×Vad
Vlcb=Vs-Vd-Vcd-2×K×Vad
から、
Vlca=Vs-Vd
Vlcb=Vs-Vd-Vcd
へ変化する。
[0123] その後、時刻T6では、VcsaがVcom-VadからVcom+Vadへ、VcsbがVcom+VadからVcom-Vadへ、2倍のVadだけ変化し、Vlca、Vlcbもまた、
Vlca=Vs-Vd
Vlcb=Vs-Vd-Vcd
から、
Vlca=Vs-Vd+2×K×Vad
Vlcb=Vs-Vd-Vcd-2×K×Vad
へ変化する。
[0124] その後、電圧Vcsa、Vcsb、Vlca、Vlcbは、水平書き込み時間(水平走査期間)1Hの整数倍の間隔毎に上記T5、T6における変化を交互に繰り返す。上記T5、T6の繰り返し間隔を1Hの1倍とするか、2倍とするか、3倍とするかあるいはそれ以上とするかは液晶表示装置の駆動方法(極性反転方法等)や表示状態(ちらつき、表示のざらつき感等)を鑑みて適宜設定すればよい。この繰り返しは次に青画素Bが書き換えられるとき、すなわちT1に等価な時間になるまで継続される。従って、それぞれのサブ画素電極の電圧Vlca、Vlcbの実効的な値は、
Vlca=Vs-Vd+K×Vad
Vlcb=Vs-Vd-Vcd-K×Vad
となる。
[0125] よって、サブ画素Ba、Bbの液晶層160aおよび160bに印加される実効電圧Va、Vbは、
Va=Vlca-Vcom
Vb=Vlcb-Vcom
すなわち、
Va=Vs-Vd+K×Vad-Vcom
Vb=Vs-Vd-Vcd-K×Vad-Vcom
となる。
[0126] 従って、サブ画素BaおよびBbのそれぞれの液晶層160aおよび160bに印加される実効電圧の差ΔVab(=Va-Vb)は、ΔVab=2×K×Vad+Vcd(ただし、K=CCS/(CLC(V)+CCS))である)となり、互いに異なる電圧を印加することができる。
[0127] なお、ここでは、詳細に説明しないが、赤画素には第3TFT130uが設けられていないため、赤画素のサブ画素RaおよびRbの実効電圧の差ΔVab(=Va-Vb)は、ΔVab=2×K×Vad(ただし、K=CCS/(CLC(V)+CCS))である。また、緑画素のサブ画素GaおよびGbの実効電圧の差ΔVab(=Va-Vb)も同様に、ΔVab=2×K×Vadである。
[0128] このように、本実施形態の液晶表示装置100では、青画素Bのサブ画素Ba、Bbの実効電圧の差が赤画素Rおよび緑画素Gと比べて増大している。このため、サブ画素Ba、Bbの輝度の差を増大させることができ、これにより、斜め方向からの色ずれを抑制できる。」
「
[図:0001417188000010.jpg]
」
(ケ) [0133]、[図13]
「[0133] なお、液晶表示装置の補助容量配線CSに印加される電圧は2種類であってもよい。以下、図13に、液晶表示装置100Aの等価回路図を示す。液晶表示装置100Aにおいて異なる補助容量幹線には異なる電圧が印加される。補助容量配線CSaは補助容量幹線CSTaに電気的に接続しており、補助容量配線CSbは補助容量幹線CSTbに電気的に接続している。この場合、反転回路により、一方の補助容量幹線に印加される電圧を反転して他方の補助容量幹線に印加される電圧を簡便に発生させてもよい。なお、図13において、各画素のうちの一方のサブ画素は補助容量幹線CSTaに対応しており、他方のサブ画素は補助容量幹線CSTbに対応している。」
「
[図:0001417188000011.jpg]
」
(コ) [0134]~[0135]、[図14]
「[0134] 以下、図14に、図13に示した液晶表示装置100Aの電圧波形を示す。図14において、Vsm+2はm+2列のソース配線Sm+2に供給されるソース信号電圧の波形を示す。また、Vgnは、n行のゲート配線Gnに供給されるゲート信号電圧の波形を示し、同様に、Vgn+1、Vgn+2、・・は、n+1行、n+2行、・・のゲート配線Gn+1、Gn+2、・・に供給されるゲート信号電圧の波形を示す。また、VCSTaおよびVCSTbはそれぞれ補助容量幹線CSTaおよびCSTbに供給される補助容量対向電圧の波形を示す。また、Va-m+2,nおよびVb-m+2,nは、ゲート配線の電圧波形を基準としたn行m+2列の第1、第2サブ画素の液晶容量の電圧波形を示しており、同様に、Va-m+2,n+1、Vb-m+2,n+1は、ゲート配線の電圧波形を基準としたn+1行m+2列の第1、第2サブ画素の液晶容量の電圧波形を示している。なお、ここでは、n行m+2列、n+1行m+2列・・の画素は青画素であり、また、第1サブ画素は明サブ画素であり、第2サブ画素が暗サブ画素である。
[0135] また、ここでは、補助容量幹線CSTa、CSTbの電圧VCSTa、VCSTbの振動の周期はいずれも水平走査期間の1倍の時間(1H)である。また、補助容量幹線CSTa、CSTbの電圧VCSTa、VCSTbの位相に着目すると、電圧VCSTbの位相は電圧VCSTaの位相に対して反転している。また、補助容量幹線CSTa、CSTbの電圧VCSTa、VCSTbとゲート配線Gnの電圧に着目すると、各補助容量幹線CSTa、CSTbに対応するゲート配線Gnの電圧VgnがVgHからVgLに変化する時刻は、補助容量幹線CSTa、CSTbの電圧VCSTa、VCSTbの各平坦部分の中央の時刻と一致しており、TFTがオン状態からオフ状態に変化した時刻の直後から、電圧VCSTa、VCSTbが最初に変化するまでの時間をTdとすると、Tdの値は0.25Hである。なお、Tdの値は、0Hよりも大きく0.5Hよりも短い範囲であればよい。」
「
[図:0001417188000012.jpg]
」
(サ) [0137]~[0146]、[図15]
「[0137] ここで、図15を参照して、液晶表示装置100Aの構成を具体的に説明する。図15に、液晶表示装置100Aにおける背面基板120の模式的な平面図を示す。
[0138] 液晶表示装置100Aでは、ゲート配線Gおよびソース配線Sがマトリクス状に配置されており、補助容量配線CSがゲート配線Gと平行に延びている。また、各ゲート配線Gから2つの延長配線GE1、GE2が延びている。以下の説明において、延長配線GE1を第1延長配線GE1と呼び、延長配線GE2を第2延長配線GE2と呼ぶことがある。ここでは、第1延長配線GE1および第2延長配線GE2のそれぞれは補助容量配線CSの近傍に設けられている。
[0139] また、各画素の2つのサブ画素電極124a、124bはゲート配線Gに対して対称に配置されている。サブ画素電極124aに対応してTFT130aが設けられており、サブ画素電極124bに対応してTFT130bが設けられている。
[0140] まず、赤画素の構成を説明する。なお、緑画素の構成も同様である。サブ画素電極124aはサブ画素電極124aと重なる配線と容量結合を形成しており、サブ画素電極124aの電位は配線の電位に応じて変動する。例えば、サブ画素電極124aは補助容量配線CSaと容量結合を形成しており、サブ画素電極124aの電位は補助容量配線CSaの電位に応じて変動する。同様に、サブ画素電極124bはサブ画素電極124bと重なる配線と容量結合を形成しており、サブ画素電極124bの電位は配線の電位に応じて変動する。例えば、サブ画素電極124bは補助容量配線CSbと容量結合を形成している。
[0141] TFT130a、130bが導通状態の期間に、ソース配線Sを介してサブ画素電極124a、124bに供給される電圧は互いに等しいが、TFT130a、130bが非導通状態になった後、補助容量配線CSaの電位の変化は補助容量配線CSbとは異なるため、サブ画素電極124a、124bの電位が異なることになり、その結果、第1サブ画素の輝度は第2サブ画素の輝度とは異なることになる。なお、厳密には、サブ画素電極124a、124bはソース配線S、TFT、ゲート配線Gなどとも容量結合を形成しているが、ソース配線S、TFT、ゲート配線G等の電位はほぼ一定とみなすことができるため、これらの容量結合は、サブ画素電極124a、124bの電位差を変化させるのに実質的に寄与しない。
[0142] 次に、青画素の構成を説明する。本実施形態の液晶表示装置100Aにおいて、青画素のサブ画素電極124tにはTFT130uが設けられている。ここでは、第n行の青画素の暗サブ画素Btに対応して設けられたTFT130uのゲートは、第n+1行のゲート配線Gn+1と電気的に接続されている。なお、TFT130a、130bおよび130uは半導体層を有しており、各TFT130a、130bおよび130uの半導体層は、堆積した半導体膜をパターニングすることによって形成される。このように、TFT130uはTFT130a、130bと同様の工程で形成される。
[0143] ここで、TFT130uの構成を説明する。TFT130uのゲートは延長配線GE1またはGE2と電気的に接続されており、TFT130uのドレインはサブ画素電極124tと電気的に接続されている。また、TFT130uのソースまたはソースと電気的に接続された電極は絶縁層を介して下側の延長配線GE1、GE2および上側の画素電極124tと重なっており、TFT130uのソースまたはソースと電気的に接続された電極は延長配線GE1、GE2およびサブ画素電極124tと容量結合している。このため、サブ画素電極124tとTFT130uのソースとの間、および、サブ画素電極124tと延長配線GE1、GE2との間に容量が形成されており、この容量が図9Bに示した修正補助容量132uに対応する。
[0144] TFT130s、TFT130tのゲートがオフとなった後、TFT130uのゲートがオンになると、TFT130uのソースとサブ画素電極124tとが電気的に接続し、修正補助容量132uに対するサブ画素電極124tの電荷の吸収または放出が行われる。ここでは、1フレーム前の修正補助容量132uへの充電により、TFT130sのソースの電位は、TFT130s、TFT130tのゲートがオフになってからTFT130uのゲートがオンになるまで、サブ画素電極124tの電位と反対である。このため、第3TFT130uがオンになると、サブ画素電極124tの電荷が放出される。なお、一般に、修正補助容量132uがサブ画素の液晶容量を上回ることはない。修正補助容量132uは液晶容量の1%から10%であることが好ましく、2%から5%であることがさらに好ましい。
[0145] また、第3TFT130uがオフになると、第3TFT130uのソースとサブ画素電極124tとの間の容量が単純に付加されることになる。このため、サブ画素電極124tの電位の絶対値は低減する。なお、TFT130uのソースと容量結合を形成する導電部材は、低周波の電圧変動が1フレーム期間でほとんど生じない別の部材であってもよい。
[0146] また、図15から理解されるように、行方向に隣接する2つのカラー画素に属する2つの青画素に着目すると、一方の青画素の第1サブ画素が明サブ画素であり、第2サブ画素が暗サブ画素である。これに対して、他方の青画素の第1サブ画素が暗サブ画素であり、第2サブ画素が明サブ画素である。また、列方向に沿って青画素に着目すると、明サブ画素および暗サブ画素が交互に配列されている。なお、第1延長配線GE1は、暗サブ画素となる第2サブ画素のサブ画素電極124tと容量結合を形成しており、第2延長配線GE2は、暗サブ画素となる第1サブ画素のサブ画素電極124tと容量結合を形成している。」
「
[図:0001417188000013.jpg]
」
(シ) [0210]~[0213]、[図22]
「[0210] (実施形態3)
上述した説明では、1つの画素に属する2つのサブ画素電極には、共通のソース配線Sから電圧が供給されたが、本発明はこれに限定されない。2つのサブ画素電極には、異なるソース配線Sから電圧が供給されてもよい。
[0211] 以下、図22を参照して、本発明による液晶表示装置の第3実施形態を説明する。本実施形態の液晶表示装置100Eは、各画素に属する2つのサブ画素電極には異なるソース配線Sから電圧が供給される点、および、第3TFTが設けられていない点を除いて、上述した液晶表示装置100Aと同様の構成を有しており、冗長を避けるために、重複する説明を省略する。
[0212] 液晶表示装置100Eにおいて、青画素Bは、2つのサブ画素BaおよびBbを有しており、サブ画素Ba、Bbに対応するサブ画素電極224a、224bには、それぞれTFT230a、230bが接続されている。TFT230a、230bのゲートはゲート配線Gateに接続され、TFT230a、230bのソースは異なるソース配線S1、S2(当審注:「ソース配線S1、S2」は、「ソース配線Sa、Sb」の明らかな誤記であると認められる。)に接続されている。このため、TFT230a、230bがオンのときにソース配線Sa、Sbを介してサブ画素電極224a、224bに電圧が供給され、第3TFTを設けなくても第1サブ画素Baの輝度は第2サブ画素Bbの輝度と異なり得る。なお、赤画素Rおよび緑画素Gも同様の構成を有している。
[0213] なお、液晶表示装置100Eでは、上述した液晶表示装置100~100Dとは異なり、サブ画素電極224a、224bの電圧を設定する自由度が高いため、サブ画素単位として輝度の調整を比較的自由に行うことができる。液晶表示装置100Eでは、赤画素、緑画素および青画素に対応する入力信号の階調レベルがあるレベルで互いに等しい場合でも、青画素Bの最高輝度に対する暗サブ画素Btの輝度の割合を赤および緑画素R、Gの最高輝度に対する暗サブ画素Rt、Gtの輝度の割合よりも低くすることにより、赤画素R、緑画素G、青画素Bの明サブ画素Rs、Gs、Bsおよび暗サブ画素Rt、Gtの輝度を変化させることなく、青画素Bの暗サブ画素Btの輝度を低下させることができる。したがって、青画素の視野角特性を赤および緑画素の視野角特性と略等しくなるように、青画素のサブ画素の輝度の設定を赤および緑画素のサブ画素の輝度の設定とは異ならせることにより、視野角特性のさらなる改善が行われる。ただし、液晶表示装置100Eでは、1列のサブ画素に対して2本のソース配線を設けており、ソース駆動回路(図示せず)は1つの画素に対して2つの異なる信号処理を行う必要がある。」
「
[図:0001417188000014.jpg]
」
イ 引用文献3から読み取れる認定事項
(ア) 実施形態3の「液晶表示装置100E」の基本構成の認定における実施形態1の「液晶表示装置100」の援用について
a 引用文献3の[0211]の「以下、図22を参照して、本発明による液晶表示装置の第3実施形態を説明する。本実施形態の液晶表示装置100Eは、各画素に属する2つのサブ画素電極には異なるソース配線Sから電圧が供給される点、および、第3TFTが設けられていない点を除いて、上述した液晶表示装置100Aと同様の構成を有して[いる]」との記載を踏まえると、「液晶表示装置100E」の基本構成は、「液晶表示装置100A」と同様であると認められる。
b ここで、「液晶表示装置100A」は、前記ア(ケ)~(サ)において摘記したように、「液晶表示装置100」(実施形態1)の変形例として開示されており、「液晶表示装置100A」の基本構成は、「液晶表示装置100」と同様であると認められる。
c そうすると、液晶表示装置の基本構成としては、「液晶表示装置100」(実施形態1)、「液晶表示装置100A」(実施形態1の変形例)及び「液晶表示装置100E」(実施形態3)において共通しているから、「液晶表示装置100E」の基本構成の認定においては、「液晶表示装置100E」の特徴を害さない限り、前記ア(イ)及び(ウ)における摘記事項(「液晶表示装置100」の基本構成)を援用しても差し支えないといえる。
(イ) 実施形態3の液晶表示装置100Eの画素回路の構成の認定における実施形態1の「液晶表示装置100」、「液晶表示装置100A」(変形例)及び「液晶表示装置700」(比較例)の援用について
a 「液晶表示装置100」及び「液晶表示装置100A」の援用
(a) 引用文献3の[0211]の上記記載を踏まえると、実施形態3の「液晶表示装置100E」の各画素は、前記ア(ウ)~(オ)に示した実施形態1の変形例の「液晶表示装置100A」の各画素の構成において、各画素に属する2つのサブ画素電極224a、224bには異なるソース配線Sa、Sbから電圧が供給され、青画素においては、第3TFT(TFT130u)が設けられていない構成、すなわち、赤画素、緑画素と同じ回路構成を有することが読み取れる。
(b) ここで、引用文献3の[0133]の記載を踏まえると、「液晶表示装置100A」においては、補助容量配線CSa及びCSbが、補助容量幹線CSTa及びCSTbにそれぞれ電気的に接続されており、異なる電圧が印加される構成となっており、その点を除くと「液晶表示装置100A」の画素回路は、「液晶表示装置100」と同様の構成であると認められる。
(c) そうすると、「液晶表示装置100E」の画素回路の構成の認定においては、各画素に属する2つのサブ画素電極224a、224bに異なるソース配線Sa、Sbから電圧が供給される点を維持しつつ、「液晶表示装置100」及び「液晶表示装置100A」の画素回路の構成のうち、補助容量配線CSa及びCSbが、補助容量幹線CSTa及びCSTbにそれぞれ電気的に接続されている点を除いて、赤画素、緑画素及び青画素に共通するものを援用しても差し支えないといえる。
b 「液晶表示装置700」の援用
(a) 引用文献3の[0064]の「以下、比較例の液晶表示装置と比較して本実施形態の液晶表示装置100の利点を説明する。…比較例の液晶表示装置700において各画素は異なる輝度を呈し得る複数のサブ画素から形成されている。」との記載、[0068]の「比較例の液晶表示装置700には赤画素、緑画素および青画素が設けられており、赤画素、緑画素および青画素はいずれも同様の構成を有している。」との記載、及び、[0100]の「本実施形態の液晶表示装置100において、青画素BはTFT130uおよび容量132uが設けられている点を除いて赤画素Rおよび緑画素Gと同様の構成を有しており」との記載を踏まえると、比較例の「液晶表示装置700」の各画素は、実施形態1の「液晶表示装置100」の青画素BにTFT130u(第3TFT)及び容量132uが設けられていないものであり、赤画素、緑画素及び青画素はいずれも同じ回路構成を有することが読み取れる。
(b) ここで、前記a(a)を踏まえると、「液晶表示装置100E」においても、青画素BにはTFT130u(第3TFT)が設けられていないのであるから、「液晶表示装置100E」の画素回路は、「液晶表示装置700」と同様の構成であると認められる。
(c) そうすると、「液晶表示装置100E」の画素回路の構成の認定においては、各画素に属する2つのサブ画素電極224a、224bに異なるソース配線Sa、Sbから電圧が供給される点を維持しつつ、前記ア(エ)~(オ)における摘記事項(「液晶表示装置700」の画素回路の構成)を援用しても差し支えないといえる。
(ウ) 実施形態3の「液晶表示装置100E」のサブ画素の実効電圧の導出について
a 前記(イ)を踏まえると、実施形態1の変形例である「液晶表示装置100A」は、実施形態1である「液晶表示装置100」と、補助容量配線CSaが補助容量幹線CSTaに電気的に接続しており、補助容量配線CSbが補助容量幹線CSTbに電気的に接続している点において異なるものの、それ以外の構成は同じであり、画素の駆動電圧についても、「液晶表示装置100」の画素を駆動した場合と同様に論じることができると認められる。
b そして、前記(イ)a(a)を踏まえると、「液晶表示装置100E」の画素の駆動電圧については、「液晶表示装置100」の青画素に第3TFT(TFT130u)が設けられていないことを仮定して論じればよいことが導かれる。
c ここで、引用文献3の[0126]の記載には、「液晶表示装置100」の青画素のサブ画素の実効電圧の差ΔVab(=Va-Vb)は、2×K×Vad+Vcdになるとあるところ、第3TFT(TFT130u)が設けられていないことを仮定すると、Vcdは0となるため、赤画素や緑画素と同様、ΔVab=2×K×Vadになることが導かれる。
d そうすると、「液晶表示装置100E」のサブ画素の実効電圧については、前記ア(ク)における摘記事項(「液晶表示装置100」のサブ画素の実効電圧の算出過程)において、「Vcd=0」であるとして、検討すればよいといえる。
(エ) 実施形態3の「液晶表示装置100E」の階調レベルの変化について
a 前記(イ)bにおいて示したとおり、「液晶表示装置100E」の画素回路は、「液晶表示装置700」の画素回路と同様の構成であると認められ、「液晶表示装置100E」の画素回路の構成の認定においては、「液晶表示装置100E」の特徴を害さない限り、前記ア(エ)~(オ)における摘記事項を援用しても差し支えないといえる。
b ここで、前記ア(オ)に摘記したように、「液晶表示装置700」における各画素の明サブ画素と暗サブ画素の階調レベルの変化の態様は、図5に示されているところ、図5から、入力信号の階調レベルが0又は255のいずれかである時は、明サブ画素と暗サブ画素の階調レベルが同じであり、入力信号の階調レベルが1から254までの間のいずれかである時は、明サブ画素の階調レベルは、暗サブ画素の階調レベルより大きいことが読み取れる。
c したがって、「液晶表示装置100E」における各画素の明サブ画素と暗サブ画素の階調レベルの変化の態様についても、入力信号の階調レベルが0又は255のいずれかである時は、明サブ画素と暗サブ画素の階調レベルが同じであり、入力信号の階調レベルが1から254までの間のいずれかである時は、明サブ画素の階調レベルは、暗サブ画素の階調レベルより大きいものであると認められる。
ウ 引用発明の認定
前記アの記載事項及び前記イの認定事項を総合すると、引用文献3には、実施形態3の「液晶表示装置100E」に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
なお、引用発明の各構成の符号については、実施形態3の「液晶表示装置100E」についての符号に適宜置き換えて認定した。
(例えば、「サブ画素電極」の符号については、「124a」及び「124b」や、「724a」及び「724b」と記載されているものを、それぞれ「224a」及び「224b」として最上位桁の数字を「2」に置き換えている。)
また、認定の根拠となる引用文献3の記載箇所を括弧内に示した。前記イ(ア)~(ウ)の認定事項に基づいて、「液晶表示装置100」(実施形態1)、「液晶表示装置100A」(実施形態1の変形例)及び「液晶表示装置700」(比較例)に係る記載箇所を援用する場合には、その旨も括弧内に示した。
<引用発明>
「絶縁基板122上に設けられた画素電極224および配向膜126を有する背面基板120と、絶縁基板142上に設けられた対向電極144および配向膜146を有する前面基板140と、背面基板120と前面基板140との間に設けられた液晶層160とを備える液晶表示装置100Eであって、([0052]、[図22]、前記イ(ア)の認定事項に基づく「液晶表示装置100」の援用)
複数の画素が複数の行および複数の列のマトリクス状に配列されており、
複数の画素は赤、緑および青画素を含んでおり、各画素は画素電極224によって規定され、画素電極224は複数のサブ画素電極224a、224bに分離されており、([0054]、[図22]、前記イ(ア)の認定事項に基づく「液晶表示装置100」の援用)
液晶表示装置100Eには入力信号が入力され、入力信号には、赤、緑および青画素の階調レベルに変換可能な値が示されており、赤、緑および青画素に対応する入力信号の階調レベルは、それぞれ最低階調レベル(例えば、階調レベル0)から最高階調レベル(例えば、階調レベル255)までの範囲内にあり、入力信号に示された階調レベルは液晶表示装置100Eにおいて輝度レベルに変換され、輝度レベルに応じた電圧が液晶表示装置100Eの液晶層160に印加されるものであり、([0057]、前記イ(ア)の認定事項に基づく「液晶表示装置100」の援用)
液晶表示装置100Eにおいて、画素R、GおよびBのそれぞれは2つのサブ画素を有しており、具体的には、赤画素Rは、第1サブ画素Raおよび第2サブ画素Rbを有しており、緑画素Gは、第1サブ画素Gaおよび第2サブ画素Gbを有しており、青画素Bは、第1サブ画素Baおよび第2サブ画素Bbを有しており、([0059]、前記イ(ア)の認定事項に基づく「液晶表示装置100」の援用)
少なくともある階調において、各画素R、G、Bの異なるサブ画素が異なる輝度を呈するように制御可能であり、第1、第2サブ画素のうち高い輝度を呈し得るサブ画素を明サブ画素と呼び、低い表示輝度を呈し得るサブ画素を暗サブ画素と呼ぶこととし、([0060]、前記イ(ア)の認定事項に基づく「液晶表示装置100」の援用)
赤画素R、緑画素Gおよび青画素Bはいずれも同様の構成を有しており、
サブ画素は、液晶容量と、補助容量とを有しており、
液晶容量は、サブ画素電極224a、224bと、対向電極ComLCと、これらの間に設けられた液晶層とから構成されており、
補助容量は、補助容量電極と、絶縁膜と、補助容量対向電極(ComCSA、ComCSB)とから構成されており、([0065]~[0067]、前記イ(イ)の認定事項に基づく「液晶表示装置700」の援用)
赤画素Rは、2つのサブ画素RaおよびRbを有しており、サブ画素Ra、Rbに対応するサブ画素電極224a、224bには、それぞれTFT230a、230b、および補助容量232a、232bが接続されており、TFT230a、230bのゲートはゲート配線Gに接続され、ソースはソース配線Sに接続されており、
補助容量232a、232bは、それぞれ補助容量配線CSa、CSbに接続されており、補助容量232a、232bは、それぞれサブ画素電極224a、224bと電気的に接続された補助容量電極と、補助容量配線CSa、CSbと電気的に接続された補助容量対向電極と、これらの間に設けられた絶縁層によって形成されており、補助容量232aおよび232bの補助容量対向電極は互いに独立しており、それぞれ補助容量配線CSaおよびCSbから互いに異なる補助容量対向電圧(補助容量電圧)が供給され得るものであり、
TFT230a、230bがオンのときにソース配線Sを介してサブ画素電極224a、224bに電圧が供給された後、TFT230a、230bがオフになり、さらに、補助容量配線CSaおよびCSbの電位が異なるように変化する場合、サブ画素電極224aの実効電圧はサブ画素電極224bの実効電圧と異なることになり、結果として、サブ画素Raの輝度はサブ画素Rbの輝度と異なるものとなり、([0069]、前記イ(イ)の認定事項に基づく「液晶表示装置700」の援用)
前記背面基板120においては、ゲート配線Gおよびソース配線Sがマトリクス状に配置されており、補助容量配線CSがゲート配線Gと平行に延びており、([0137]、[0138]、前記イ(イ)の認定事項に基づく「液晶表示装置100A」の援用)
青画素Bの2つのサブ画素Ba、Bbに対応するサブ画素電極224a、224bには、それぞれTFT230a、230bが接続されており、TFT230a、230bのゲートはゲート配線Gateに接続され、TFT230a、230bのソースは異なるソース配線Sa、Sbに接続されており、赤画素Rおよび緑画素Gも同様の構成を有しており、([0212]、[図22])
各画素の2つのサブ画素電極224a、224bはゲート配線Gateに対して対称に配置されており、サブ画素電極224aに対応してTFT230aが設けられており、サブ画素電極224bに対応してTFT230bが設けられており、([0139]、[図22]、前記イ(イ)の認定事項に基づく「液晶表示装置100A」の援用)
サブ画素電極224aは補助容量配線CSaと容量結合を形成しており、サブ画素電極224aの電位は補助容量配線CSaの電位に応じて変動し、サブ画素電極224bは補助容量配線CSbと容量結合を形成し、([0140]、前記イ(イ)の認定事項に基づく「液晶表示装置100A」の援用)
各画素において入力信号の階調レベルが最低階調レベルから最高階調レベルに増加する場合、まず、明サブ画素の階調レベルの増加を開始し、明サブ画素の階調レベルが最高階調レベルに到達した後に、暗サブ画素の階調レベルの増加を開始し、([0106]、前記イ(イ)の認定事項に基づく「液晶表示装置100」の援用)
入力信号の階調レベルが0又は255のいずれかである時は、明サブ画素と暗サブ画素の階調レベルが同じであり、入力信号の階調レベルが1から254までの間のいずれかである時は、明サブ画素の階調レベルは、暗サブ画素の階調レベルより大きく、([図5]、前記イ(エ)の認定事項)
時刻T1のときゲート配線Gnの電圧VgnがVgLからVgHに変化することにより、TFT230a、230bが同時に導通状態(オン状態)となり、サブ画素Ba、Bbのサブ画素電極224a、224bにソース配線Sa、Sbの電圧Vsが伝達され、サブ画素Ba、Bbに充電され、同様にそれぞれのサブ画素の補助容量Ccsa、Ccsbにもソース配線Sa、Sbからの充電が行われ、([0118]、[図22]、前記イ(ウ)の認定事項)
次に、時刻T2のときゲート配線Gnの電圧VgnがVgHからVgLに変化することにより、TFT230aとTFT230bが同時に非導通状態(オフ状態)となり、サブ画素Ba、Bb、補助容量Ccsa、Ccsbはすべてソース配線Sa、Sbと電気的に絶縁され、この直後TFT230a、TFT230bの有する寄生容量等の影響による引き込み現象のために、それぞれのサブ画素電極224a、224bの電圧Vlca、Vlcbは概ね同一の電圧Vdだけ低下し、
Vlca=Vs-Vd
Vlcb=Vs-Vd
となり、このとき、それぞれの補助容量配線の電圧Vcsa、Vcsbは
Vcsa=Vcom-Vad
Vcsb=Vcom+Vad
であり、([0119]、[図22]、前記イ(ウ)の認定事項)
その後、時刻T3において、補助容量Ccsaに接続された補助容量配線CSaの電圧VcsaがVcom-VadからVcom+Vadに変化し、補助容量Ccsbに接続された補助容量配線CSbの電圧VcsbがVcom+VadからVcom-Vadに2倍のVadだけ変化し、補助容量配線CSaおよびCSbのこの電圧変化に伴い、それぞれのサブ画素電極の電圧Vlca、Vlcbは
Vlca=Vs-Vd+2×K×Vad
Vlcb=Vs-Vd-2×K×Vad
へ変化し、但し、K=CCS/(CLC(V)+CCS)であり、([0120]、前記イ(ウ)の認定事項)
ここで、液晶容量ClcaおよびClcbの静電容量値は同一の値CLC(V)とし、各サブ画素BaおよびBbの液晶容量にそれぞれ独立に接続されている補助容量を補助容量Ccsa、Ccsbと示し、この静電容量値は同一の値CCSとし、([0116]、前記イ(ウ)の認定事項)
その後、電圧Vcsa、Vcsbは、水平書き込み時間(水平走査期間)1Hの整数倍の間隔毎に変化を交互に繰り返すことで、それぞれのサブ画素電極の電圧Vlca、Vlcbの実効的な値は、
Vlca=Vs-Vd+K×Vad
Vlcb=Vs-Vd-K×Vad
となり、([0124]、前記イ(ウ)の認定事項)
よって、サブ画素Ba、Bbの液晶層160aおよび160bに印加される実効電圧Va、Vbは、
Va=Vlca-Vcom
Vb=Vlcb-Vcom
すなわち、
Va=Vs-Vd+K×Vad-Vcom
Vb=Vs-Vd-K×Vad-Vcom
となり、([0125]、前記イ(ウ)の認定事項)
従って、青画素Bのサブ画素BaおよびBbのそれぞれの液晶層160aおよび160bに印加される実効電圧の差ΔVab(=Va-Vb)は、赤画素や緑画素の場合と同様に、ΔVab=2×K×Vad(ただし、K=CCS/(CLC(V)+CCS))である)となり、互いに異なる電圧を印加することができる、([0126]、前記イ(ウ)の認定事項)
液晶表示装置100E」
(3) 対比
ア 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア) 構成Xについて
a 引用発明の「液晶表示装置100E」は、本件補正発明の「表示装置」に相当する。
b したがって、本件補正発明と引用発明は、「表示装置」の発明である点において一致する。
(イ) 構成Aについて
a 構成Aのサブ画素について
(a) 引用発明においては、「液晶表示装置100E」は、「複数の画素が複数の行および複数の列のマトリクス状に配列されており」、「各画素は画素電極224によって規定され」ることを踏まえると、「絶縁基板122上に設けられた画素電極224および配向膜126を有する背面基板120」に、「画素電極224」もマトリクス状に配置されており、「背面基板120」に各「画素電極224」が二次元配列(アレイ状に配置)されていることは明らかであるから、引用発明の「背面基板120」は、本件補正発明の「アレイ基板」に相当する。
(b) 引用発明においては、「複数の画素は赤、緑および青画素を含んでおり」、「画素R、GおよびBのそれぞれは2つのサブ画素を有して」いるところ、引用発明の「2つのサブ画素」を有する各色の「画素」は、本件補正発明の「画素ユニット」に相当する。
(c) 前記(a)を踏まえると、引用発明においては、「背面基板120」が各色の「画素」を含むといえるから、このことは、本件補正発明の「前記アレイ基板」が「複数の画素ユニット」を含むことに相当する。
(d) 引用発明においては、「赤画素Rは、第1サブ画素Raおよび第2サブ画素Rbを有しており、緑画素Gは、第1サブ画素Gaおよび第2サブ画素Gbを有しており、青画素Bは、第1サブ画素Baおよび第2サブ画素Bbを有しており」、ある色の一つの画素は、それと同じ色の二つのサブ画素を含むから、引用発明の「赤画素R」の「第1サブ画素Raおよび第2サブ画素Rb」、「緑画素G」の「第1サブ画素Gaおよび第2サブ画素Gb」及び「青画素B」の「第1サブ画素Baおよび第2サブ画素Bb」は、本件補正発明の「各前記画素ユニット」に含まれる「同じ色の第1サブ画素と第2サブ画素」に相当する。
(e) 引用発明においては、「各画素は画素電極224によって規定され、画素電極224は複数のサブ画素電極224a、224bに分離されて」いるから、引用発明の各色の「画素」の「2つのサブ画素」のそれぞれに対応する「サブ画素電極224a、224b」は、本件補正発明の「前記第1サブ画素」に含まれる「第1画素電極」及び「前記第2サブ画素」に含まれる「第2画素電極」に相当する。
(f) 前記(a)~(e)を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、「表示装置」が「アレイ基板を含み、前記アレイ基板は、複数の画素ユニットを含み、各前記画素ユニットは、同じ色の第1サブ画素と第2サブ画素とを含み、前記第1サブ画素は、第1画素電極を含み、前記第2サブ画素は、第2画素電極を含む」点において共通する。
b 構成Aの共通電極について
(a) 本件補正発明の「第1共通電極」及び「第2共通電極」(以下、両者を総称して単に「共通電極」ということもある。)に関して、本願の明細書の段落【0035】、【0052】~【0055】には次の記載がある。
「【0035】
本開示の実施例において、各サブ画素に含まれる共通電極は、共通電極線に接続された共通電極リード線領域(pad)を指してもよく、共通電極リード線ブロックとも呼ばれる。当該共通電極は、サブ画素における蓄積コンデンサを形成するための1つの電極板であってもよく、例えば当該共通電極は、サブ画素におけるTFTの第2極または画素電極と共に蓄積コンデンサを形成してもよい。したがって、サブ画素における共通電極の電圧を変更することにより、当該サブ画素における画素電極の電圧を変更することができ、さらに画素電極と共通電極板との間の電位差を変更することができる。つまり、各サブ画素に対して、画素電極と共通電極との電位差が変化すると、当該画素電極とカラーフィルム基板上の共通電極板との間の電位差も変化し、さらに液晶分子のねじれ角度を変化させることができ、最終的にはサブ画素によって表示されたグレースケールを変化させる。」
「【0052】
図1は、本開示の実施例による表示装置のアレイ基板の概略構成図である。図1に示すように、当該アレイ基板は、互いに平行な複数の信号線01と互いに平行な複数のデータ線02とを含み、信号線01のいずれかがデータ線02のいずれかと交差する。複数の信号線01は、千鳥状に配列された複数の共通電極線03と複数のゲート線04とを含む。複数の信号線01および複数のデータ線02は、アレイ配置された複数の表示領域05を規定する。各表示領域05には画素電極が配置され、各表示領域05においてゲート線04とデータ線02との交差部にはTFTが設けられ、TFTの第1極はデータ線02に接続され、そのゲートはゲート線04に接続され、その第2極は同じ表示領域内の画素電極に接続され、例えば、ビアホール09を介して画素電極に接続することができる。(以下省略)
【0053】
本開示の実施例において、TFTの第1極はソースであり、TFTの第2極はドレインである。
【0054】
各表示領域内の共通電極線と同じ表示領域内のTFTの第2極によって蓄積コンデンサが形成される。例えば、各サブ画素において、共通電極線03に例えば共通電極リード線領域081および082などの共通電極リード線領域が設けられても良い。共通電極リード線領域は、同じ表示領域のTFTの第2極と共に蓄積コンデンサを形成し、本開示の実施例において、当該共通電極リード線領域は共通電極とも呼ばれる。(以下省略)
【0055】
もちろん、各サブ画素の蓄積コンデンサは、共通電極線と同じ表示領域内のTFTの第2極によって形成された蓄積コンデンサに限定されず、他の形態で蓄積コンデンサを形成してもよく、例えば、共通電極リード線は、同じ表示領域の画素電極と共に蓄積コンデンサを形成してもよく、または、共通電極リード線と画素電極は、同じ表示領域内のTFTの第2極と共に蓄積コンデンサを形成してもよい。」
(b) 前記(a)において摘記した事項を踏まえると、本件補正発明の「共通電極」とは、表示されるグレースケールを変化させるため、サブ画素において形成される蓄積コンデンサの電位差を変更することができる蓄積コンデンサの電極板の一方のことであり、アレイ基板において複数のゲート線と互いに平行に配列される複数の共通電極線に接続された電極のことであると解するのが相当である。
(c) ここで、引用発明においては、「少なくともある階調において、各画素R、G、Bの異なるサブ画素が異なる輝度を呈するように制御可能であり」、「サブ画素」は「補助容量」を有しており、「補助容量は、補助容量電極と、絶縁膜と、補助容量対向電極(ComCSA、ComCSB)とから構成されて」いるところ、「補助容量232a、232bは、それぞれ補助容量配線CSa、CSbに接続されており、補助容量232a、232bは、それぞれサブ画素電極224a、224bと電気的に接続された補助容量電極と、補助容量配線CSa、CSbと電気的に接続された補助容量対向電極と、これらの間に設けられた絶縁層によって形成されており、補助容量232aおよび232bの補助容量対向電極は互いに独立しており、それぞれ補助容量配線CSaおよびCSbから互いに異なる補助容量対向電圧(補助容量電圧)が供給され得るものであり」、「補助容量配線CSがゲート配線Gと平行に延びて」いる。
(d) 前記(b)に示した本件補正発明の「共通電極」に係る解釈を踏まえると、引用発明の「補助容量232a、232b」は、上記「蓄積コンデンサ」に相当し、引用発明の「補助容量配線CSa、CSb」は、上記「共通電極線」に相当するから、引用発明の「補助容量配線CSa、CSbと電気的に接続された」「補助容量対向電極(ComCSA、ComCSB)」は、本件補正発明の「第1共通電極」及び「第2共通電極」に相当する。
c 構成Aの検討結果のまとめ
前記a及びbの検討結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、「表示装置」が「アレイ基板を含み、前記アレイ基板は、複数の画素ユニットを含み、各前記画素ユニットは、同じ色の第1サブ画素と第2サブ画素とを含み、前記第1サブ画素は、第1画素電極と第1共通電極とを含み、前記第2サブ画素は、第2画素電極と第2共通電極とを含む」点において一致する。
(ウ) 構成Bについて
a 構成Bのグレースケールについて
(a) 引用発明においては、「赤、緑および青画素に対応する入力信号の階調レベルは、それぞれ最低階調レベル(例えば、階調レベル0)から最高階調レベル(例えば、階調レベル255)までの範囲内にあり」、「各画素において入力信号の階調レベルが最低階調レベルから最高階調レベルに増加する場合、まず、明サブ画素の階調レベルの増加を開始し、明サブ画素の階調レベルが最高階調レベルに到達した後に、暗サブ画素の階調レベルの増加を開始」するものである。
(b) ここで、引用発明の「明サブ画素の階調レベルの増加を開始し、明サブ画素の階調レベルが最高階調レベルに到達」するまでの段階(以下、この段階を「前段階」という。)においては、「明サブ画素の階調レベル」は0から255まで変化し、明サブ画素は0から255までの範囲内にある階調レベルに対応する輝度を呈するものの、暗サブ画素は階調レベル0のままであるから、「2つのサブ画素」を有する各「画素R、GおよびB」は、「明サブ画素の階調レベル」(0から255まで)と「暗サブ画素の階調レベル」(0)を平均した階調レベルに対応する輝度(単位面積あたりの明るさ)を呈することは明らかである。
そうすると、引用発明の「前段階」においては、0から255/2までの範囲内にある階調レベル(以下「前段階階調レベル」という。)に対応する輝度を呈することになる。
(c) また、引用発明の「明サブ画素の階調レベルが最高階調レベルに到達した後に、暗サブ画素の階調レベルの増加を開始」した後の段階(以下、この段階を「後段階」という。)においては、「暗サブ画素の階調レベル」は0から255まで変化し、暗サブ画素は0から255までの範囲内にある階調レベルに対応する輝度を呈するものの、明サブ画素は255の階調レベルに対応する輝度を呈するから、「2つのサブ画素」を有する各「画素R、GおよびB」は、「明サブ画素の階調レベル」(255)と「暗サブ画素の階調レベル」(0から255まで)を平均した階調レベルに対応する輝度(単位面積あたりの明るさ)を呈することは明らかである。
そうすると、引用発明の「後段階」においては、255/2から255までの範囲内にある階調レベル(以下「後段階階調レベル」という。)に対応する輝度を呈することになる。
(d) 前記(b)及び(c)における検討内容を踏まえると、引用発明の「前段階階調レベル」及び「後段階階調レベル」が、それぞれ本件補正発明の「第1グレースケール」及び「第2グレースケール」に相当する。
そして、引用発明における「前段階」及び「後段階」は、それぞれ本件補正発明の「前記画素ユニットが第1グレースケールを表示する第1段階」及び「前記画素ユニットが第2グレースケールを表示する第2段階」に相当する。
(e) ここで、引用発明において、液晶表示装置100Eが表示を実行するときの最大グレースケールをPとすると、P=255であるところ、P/2=255/2の階調レベルは、前段階階調レベル又は後段階階調レベルのいずれか一方の範囲内に含まれると考えても差し支えないことは明らかであるから、これが前段階階調レベルの範囲に含まれるとした上で、本願の明細書の段落【0043】に示された記述法に倣って数学記号として知られている閉区間記号[A,B]及び開区間記号(A,B)を用いると、前段階階調レベルの範囲は[0,P/2]、後段階階調レベルの範囲は(P/2,P]と記述できる。
そして、[0,P/2]の範囲内にある前段階階調レベルは、(P/2,P]の範囲内にある後段階階調レベルよりも小さいことは明らかであるから、このことは、本件補正発明の「前記第1グレースケールは、前記第2グレースケールより小さく」に相当する。
(f) また、本件補正発明の「前記第1グレースケールは、0より大きく、かつP/2以下であり、前記第2グレースケールは、P/2より大きく、かつP以下であり、」という事項は、「前記第1グレースケールは、(0,P/2]であり、前記第2グレースケールは、(P/2,P]であり、」と記述できるところ、開区間(0,P/2]は閉区間[0,P/2]に含まれることは明らかであるから、本件補正発明と引用発明は、「前記第1グレースケールは、(0,P/2]又は[0,P/2]の範囲内にあり、前記第2グレースケールは、(P/2,P]の範囲内にある」という点において共通する。
(g) 前記(d)~(f)の検討結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、「前記画素ユニットが第1グレースケールを表示する第1段階と、前記画素ユニットが第2グレースケールを表示する第2段階を有し、前記第1グレースケールは、前記第2グレースケールより小さく、前記第1グレースケールは、0より大きいか又は0以上であり、かつP/2以下であり、前記第2グレースケールは、P/2より大きく、かつP以下であり、Pは、前記表示装置が表示を実行するときの最大グレースケールである」という点において共通する。
b 構成Bの電位差の大小関係について
(a) 引用発明においては、「時刻T2のときゲート配線Gnの電圧VgnがVgHからVgLに変化することにより、TFT230aとTFT230bが同時に非導通状態(オフ状態)となり、サブ画素Ba、Bb、補助容量Ccsa、Ccsbはすべてソース配線Sa、Sbと電気的に絶縁され、この直後TFT230a、TFT230bの有する寄生容量等の影響による引き込み現象のために、それぞれのサブ画素電極224a、224bの電圧Vlca、Vlcbは概ね同一の電圧Vdだけ低下し、
Vlca=Vs-Vd
Vlcb=Vs-Vd
となり、このとき、それぞれの補助容量配線の電圧Vcsa、Vcsbは
Vcsa=Vcom-Vad
Vcsb=Vcom+Vad」
となる。
(b) 前記(イ)を踏まえると、引用発明の「サブ画素電極224a、224bの電圧Vlca、Vlcb」は、本件補正発明の「第1画素電極」及び「第2画素電極」の電圧に相当し、引用発明の「補助容量配線の電圧Vcsa、Vcsb」は、本件補正発明の「第1共通電極」及び「第2共通電極」の電圧に相当するから、引用発明の「サブ画素電極224aの電圧Vlca」と「補助容量配線CSaの電圧Vcsa」の差(以下「電位差a」という。)、及び、「サブ画素電極224bの電圧Vlcb」と「補助容量配線CSbの電圧Vcsb」の差(以下「電位差b」という。)は、それぞれ本件補正発明の「前記第1画素電極と前記第1共通電極との電位差」、及び、「前記第2画素電極と前記第2共通電極との電位差」に相当する。
(c) ここで、前記(a)から、電位差a及び電位差bを計算すると、それぞれ次の式が導かれる。
電位差a:Vlca-Vcsa=Vs-Vd+Vad-Vcom
電位差b:Vlcb-Vcsb=Vs-Vd-Vad-Vcom
(d) そして、「サブ画素BaおよびBbのそれぞれの液晶層160aおよび160bに印加される実効電圧の差ΔVab(=Va-Vb)は、ΔVab=2×K×Vad(ただし、K=CCS/(CLC(V)+CCS))である)とな[る]」から、Vad=ΔVab/(2×K)となる。
(e) 引用発明において、「入力信号の階調レベルが0又は255のいずれかである時は、明サブ画素と暗サブ画素の階調レベルが同じであ[る]」から、入力信号の階調レベルが0又は255のいずれかである時は、二つのサブ画素のそれぞれの液晶層160aおよび160bに印加される実効電圧の差ΔVabが0となり、Vadも0になり、電位差a及び電位差bは、同じ値になる。
(f) 一方、引用発明において、「入力信号の階調レベルが、1から254までの間のいずれかである時は、明サブ画素の階調レベルは、暗サブ画素の階調レベルより大き[い]」から、ΔVab>0となり、したがって、Vad>0となり、電位差aは、電位差bより大きくなる。
(g) 前記(ウ)aにおいて検討したとおり、引用発明の「前段階階調レベル」が、本件補正発明の「第1グレースケール」に相当するところ、階調レベルが[0,255/2]の範囲内にあるときは、前記(e)及び(f)を踏まえると、電位差aは、電位差bより大きいか又は等しくなるから、本件補正発明と引用発明は、「第1段階では、前記第1画素電極と前記第1共通電極との電位差は、前記第2画素電極と前記第2共通電極との電位差より大きいか又は等しい」という点において共通する。
(h) 同様に、前記(ウ)aにおいて検討したとおり、引用発明の「後段階階調レベル」が、本件補正発明の「第2グレースケール」に相当するところ、階調レベルが(255/2,255]の範囲内にあるときは、前記(e)及び(f)を踏まえると、電位差aは、電位差b以上になるから、本件補正発明と引用発明は、「第2段階では、前記第1画素電極と前記第1共通電極との電位差は、前記第2画素電極と前記第2共通電極との電位差以上であ[る]」という点において一致する。
(i) 前記(g)及び(h)の検討結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、「前記画素ユニットが第1グレースケールを表示する第1段階では、前記第1画素電極と前記第1共通電極との電位差は、前記第2画素電極と前記第2共通電極との電位差より大きいか又は等しく、前記画素ユニットが第2グレースケールを表示する第2段階では、前記第1画素電極と前記第1共通電極との電位差は、前記第2画素電極と前記第2共通電極との電位差以上であ[る]」点において共通する。
c 構成Bの検討結果のまとめ
前記a及びbの検討結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、「前記画素ユニットが第1グレースケールを表示する第1段階では、前記第1画素電極と前記第1共通電極との電位差は、前記第2画素電極と前記第2共通電極との電位差より大きいか又は等しく、前記画素ユニットが第2グレースケールを表示する第2段階では、前記第1画素電極と前記第1共通電極との電位差は、前記第2画素電極と前記第2共通電極との電位差以上であり、前記第1グレースケールは、前記第2グレースケールより小さく、前記第1グレースケールは、0より大きいか又は0以上であり、かつP/2以下であり、前記第2グレースケールは、P/2より大きく、かつP以下であり、Pは、前記表示装置が表示を実行するときの最大グレースケールである」点において共通する。
(エ) 構成Cについて
a 前記(イ)を踏まえると、引用発明の「補助容量対向電極(ComCSA)」と「電気的に接続された」「補助容量配線CSa」は、本件補正発明の「第1共通電極」に「接続」される「第1共通電極線」に相当し、引用発明の「補助容量対向電極(ComCSB)」と「電気的に接続された」「補助容量配線CSb」は、本件補正発明の「第2共通電極」に「接続」される「第2共通電極線」に相当する。
b また、引用発明の「補助容量配線CSaおよびCSbから」「供給され得る」「互いに異なる補助容量対向電圧(補助容量電圧)」は、本件補正発明の「前記第1共通電極線および前記第2共通電極線にロードされた共通電極信号の電圧」に相当する。
c そうすると、本件補正発明と引用発明は、「前記第1共通電極は第1共通電極線に接続され、前記第2共通電極は第2共通電極線に接続され、前記第1共通電極線および前記第2共通電極線に共通電極信号がロードされる」点において共通する。
d ここで、引用発明の「補助容量配線CSaおよびCSbから」「供給され得る」「互いに異なる補助容量対向電圧(補助容量電圧)」のうち、「補助容量対向電極(ComCSA)」の電圧は、「補助容量配線の電圧Vcsa」に等しく、本件補正発明の「前記第1共通電極線および前記第2共通電極線にロードされた共通電極信号の電圧の少なくとも一方」に相当する。
e そして、引用発明の「補助容量配線の電圧Vcsa」については、
Vcsa=Vcom-Vad
であるところ、前記(ウ)bを踏まえると、Vad=ΔVab/(2×K)となるから、「補助容量配線の電圧Vcsa」は、二つのサブ画素のそれぞれの液晶層160aおよび160bに印加される実効電圧の差ΔVabの値によって変化するといえる。
そうすると、引用発明の「補助容量対向電極(ComCSA)」の電圧も、ΔVabの値によって変化することになる。
f 引用発明においては、「各画素において入力信号の階調レベルが最低階調レベルから最高階調レベルに増加する場合、まず、明サブ画素の階調レベルの増加を開始し、明サブ画素の階調レベルが最高階調レベルに到達した後に、暗サブ画素の階調レベルの増加を開始」するから、入力信号の階調レベルに応じて、ΔVabは、「前段階」及び「後段階」のいずれにおいても変化するものであり、前記eを踏まえると、引用発明の「補助容量対向電極(ComCSA)」の電圧も、「前段階」及び「後段階」のいずれにおいても変化するといえる。
g そして、引用発明においては、「補助容量配線の電圧Vcsa」は、「水平書き込み時間(水平走査期間)1Hの整数倍の間隔毎に変化を交互に繰り返す」から、引用発明の「補助容量対向電極(ComCSA)」の電圧の変化も交互に繰り返すことになり、「前段階」及び「後段階」で周期的変化を示すといえる。
h したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記第1共通電極は第1共通電極線に接続され、前記第2共通電極は第2共通電極線に接続され、前記第1共通電極線および前記第2共通電極線にロードされた共通電極信号の電圧の少なくとも一方は、前記第1段階および前記第2段階で周期的変化を示[す]」点において一致する。
(オ) 構成Dについて
a 引用発明においては、「青画素Bの2つのサブ画素Ba、Bbに対応するサブ画素電極224a、224bには、それぞれTFT230a、230bが接続されており、TFT230a、230bのゲートはゲート配線Gateに接続され、TFT230a、230bのソースは異なるソース配線Sa、Sbに接続されており、赤画素Rおよび緑画素Gも同様の構成を有して[いる]」ところ、引用発明の「TFT230a」、「TFT230aのソース」、「サブ画素電極224a」が「接続」される「TFT230a」の端子、「TFT230aのゲート」、「ソース配線Sa」及び「ゲート配線Gate」は、それぞれ本件補正発明の「第1薄膜トランジスタ(TFT)」、「第1TFTの第1極」、「第1TFTの第2極」「前記第1TFTのゲート」、「第1データ線」及び「第1ゲート線」に相当する。
b 前記aを踏まえると、本件補正発明と引用発明は、「前記第1サブ画素は、第1薄膜トランジスタ(TFT)、第1データ線、および第1ゲート線をさらに含み、前記第1TFTの第1極は、前記第1データ線に接続され、前記第1TFTの第2極は、前記第1画素電極に接続され、前記第1TFTのゲートは、前記第1ゲート線に接続され[る]」点において一致する。
c 同様に、本件補正発明と引用発明は、「前記第2サブ画素は、第2TFT、第2データ線、および第2ゲート線をさらに含み、前記第2TFTの第1極は、前記第2データ線に接続され、前記第2TFTの第2極は、前記第2画素電極に接続され、前記第2TFTのゲートは、前記第2ゲート線に接続され[る]」点において一致する。
(カ) 構成Eについて
a 前記(オ)を踏まえると、引用発明において、「TFT230a、230bのソースは異なるソース配線Sa、Sbに接続されて[いる]」ことは、本件補正発明において、「前記第1データ線と前記第2データ線は、2つの異なるデータ線である」ことに相当する。
b また、引用発明において、「TFT230a、230bのゲートはゲート配線Gateに接続され」ていることは、本件補正発明において、「前記第1ゲート線と前記第2ゲート線は、同じゲート線であ[る]」ことに相当する。
c したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記第1ゲート線と前記第2ゲート線は、同じゲート線であり、かつ前記第1データ線と前記第2データ線は、2つの異なるデータ線である」点において一致する。
イ 一致点及び相違点
前記アの対比分析の検討結果を総合すると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次に示すとおりである。
なお、構成Cについては、「または」という語句により選択可能な事項のうちいずれか一つが満たされれば一致点として認定して差し支えないところ、前半部分を一致点として認定した。
同様に、構成Eについては、「以下の条件のうちの少なくとも1つ」という語句により選択可能な事項のうちいずれか一つが満たされれば一致点として認定して差し支えないところ、後半の条件を一致点として認定した。
(ア) 一致点
<構成Aに係る一致点>
アレイ基板を含み、前記アレイ基板は、複数の画素ユニットを含み、各前記画素ユニットは、同じ色の第1サブ画素と第2サブ画素とを含み、前記第1サブ画素は、第1画素電極と第1共通電極とを含み、前記第2サブ画素は、第2画素電極と第2共通電極とを含む表示装置であって、
<構成Bに係る一致点(共通点)>
前記画素ユニットが第1グレースケールを表示する第1段階では、前記第1画素電極と前記第1共通電極との電位差は、前記第2画素電極と前記第2共通電極との電位差より大きいか又は等しく、前記画素ユニットが第2グレースケールを表示する第2段階では、前記第1画素電極と前記第1共通電極との電位差は、前記第2画素電極と前記第2共通電極との電位差以上であり、前記第1グレースケールは、前記第2グレースケールより小さく、前記第1グレースケールは、0より大きいか又は0以上であり、かつP/2以下であり、前記第2グレースケールは、P/2より大きく、かつP以下であり、Pは、前記表示装置が表示を実行するときの最大グレースケールであり、
<構成Cに係る一致点>
前記第1共通電極は第1共通電極線に接続され、前記第2共通電極は第2共通電極線に接続され、前記第1共通電極線および前記第2共通電極線にロードされた共通電極信号の電圧の少なくとも一方は、前記第1段階および前記第2段階で周期的変化を示し、
<構成Dに係る一致点>
前記第1サブ画素は、第1薄膜トランジスタ(TFT)、第1データ線、および第1ゲート線をさらに含み、前記第1TFTの第1極は、前記第1データ線に接続され、前記第1TFTの第2極は、前記第1画素電極に接続され、前記第1TFTのゲートは、前記第1ゲート線に接続され、
前記第2サブ画素は、第2TFT、第2データ線、および第2ゲート線をさらに含み、前記第2TFTの第1極は、前記第2データ線に接続され、前記第2TFTの第2極は、前記第2画素電極に接続され、前記第2TFTのゲートは、前記第2ゲート線に接続され、
<構成Eに係る一致点>
前記第1サブ画素と前記第2サブ画素は、以下の条件を満たし、すなわち、
前記第1ゲート線と前記第2ゲート線は、同じゲート線であり、かつ前記第1データ線と前記第2データ線は、2つの異なるデータ線である、
<構成Xに係る一致点>
表示装置。
(イ) 相違点
構成Bについて、
本件補正発明においては、「第1段階では、前記第1画素電極と前記第1共通電極との電位差は、前記第2画素電極と前記第2共通電極との電位差より大きく」、「前記第1グレースケールは、0より大きく、かつP/2以下であ[る]」のに対して、
引用発明においては、「前段階」では、「電位差a」と「電位差b」の大小関係は、(電位差a)≧(電位差b)であって、電位差aと電位差bが等しい場合も含んでおり、「前段階階調レベル」は0である場合も含んで[0,P/2]の範囲内にある点。
(4) 当審の判断
ア 相違点について
前記相違点について検討する。
(ア) 電位差の大小関係について
引用発明において、電位差aと電位差bが等しくなるのは、入力信号の階調レベルが0又は255のいずれかの時であり(前記(3)ア(ウ)b(e)を参照)、電位差aが電位差bより大きくなるのは、入力信号の階調レベルが、1から254までの間のいずれかの時である(前記(3)ア(ウ)b(f)を参照)。
ここで、入力信号の階調レベルが最低階調レベル0である場合は、明サブ画素と暗サブ画素の輝度がいずれもゼロであることを意味し、最高階調レベル255である場合は、明サブ画素も暗サブ画素も最大輝度を呈することを意味する。
そして、通常の表示形態では、ある特定の画素において、最低階調レベルや最高階調レベルが長時間にわたって持続することを想定することは現実的ではなく、最低階調レベルや最高階調レベルである場合を除外して考えても、通常の表示態様を実現するには十分であるといえるから、引用発明において、電位差aと電位差bが等しくなる状態が存在し得るか否かは、設計上の微差にすぎない。
したがって、電位差の大小関係に係る前記相違点は実質的な相違点であるとはいえない。
(イ) 第1グレースケールの下限について
前記(ア)の検討内容を踏まえると、引用発明の「前段階階調レベル」において、最低階調レベルである場合を除外して考えても、通常の表示態様を実現するには十分であるといえるから、0である場合が含まれないように(0,P/2]とすることは、設計上の微差にすぎず、第1グレースケールの下限に係る前記相違点も実質的な相違点であるとはいえない。
(ウ) 前記(ア)及び(イ)の検討結果をまとめると、前記相違点は実質的な相違点ではない。仮に、実質的な相違点であったとしても、引用発明において、前記相違点に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(エ) 以上のとおり、本件補正発明は、引用文献3に記載された発明である。また、仮にそうでないとしても、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 請求人の主張について
(ア) 請求人の主張の内容
請求人は、審判請求の理由において、概略次の主張をしている。
なお、令和5年10月31日に提出された上申書においては、引用文献3に基づく新規性の欠如の拒絶理由に対する反論は示されていない。
引用文献3は、表示装置の表示工程が、画素ユニットが第1グレースケールを表示する第1段階と、画素ユニットが第2グレースケールを表示する第2段階に分けられ、第1グレースケールは、第2グレースケールより小さく、前記第1グレースケールは、0より大きく、かつP/2以下であり、第2グレースケールはP/2より大きく、かつP以下であり、Pは、前記表示装置が表示を実行するときの最大グレースケールであり、Pは、前記表示装置が表示を実行するときの最大グレースケールであることを一切開示も示唆もしていない。
引用文献3は、表示装置の表示工程を第1段階と第2段階に分けることを開示も示唆もしていないことから、第1段階と第2段階において、第1共通電極線と第2共通電極線にロードされた共通電極信号の電圧の変化が異なることを開示も示唆もしていない。
また、引用文献3における明サブ画素の階調レベルが最高階調レベルに達する過程を「第1段階」とみなし、引用文献3における暗サブ画素の階調レベルを上げる過程を「第2段階」とみなしたとしても、引用文献3は、本件補正発明における「前記第1グレースケールは、前記第2グレースケールより小さく、前記第1グレースケールは、0より大きく、かつP/2以下であり、前記第2グレースケールは、P/2より大きく、かつP以下であり、Pは、前記表示装置が表示を実行するときの最大グレースケールであり、
前記第1共通電極は第1共通電極線に接続され、前記第2共通電極は第2共通電極線に接続され、前記第1共通電極線および前記第2共通電極線にロードされた共通電極信号の電圧の少なくとも一方は、前記第1段階および前記第2段階で周期的変化を示し、または、前記第1共通電極線にロードされた共通電極信号の電圧の絶対値と前記第2共通電極線にロードされた共通電極信号の電圧の絶対値との差は、前記第1段階および前記第2段階と等しくない」という技術的特徴を一切開示も示唆もしていない。
(イ) 請求人の主張についての検討
前記主張について検討する。
請求人の主張は、要するに、引用文献3には、本件補正により新たに加わった構成について記載も示唆もないというものであるが、前記(3)ア及び(4)アに示したとおり、本件補正発明と引用発明の相違点は、実質的な相違点でないか、引用発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(5) 独立特許要件の判断についてのまとめ
前記(3)及び(4)において検討したとおり、本件補正発明は、引用文献3に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができない。また、本件補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4 本件補正の適否についてのまとめ
前記3において検討したとおり、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に違反するものであり、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明の認定
本件補正は、前記第2に示したとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和4年12月20日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項(前記第2の1(1)参照)により特定されるとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明に対する理由1(新規性の欠如)の概要は、次のとおりである。
本願発明は、優先日前に発行された下記の引用文献に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。
記
引用文献3.国際公開第2010/143348号(主たる引用文献)
3 引用文献3に記載された事項及び引用発明の認定
引用文献3に記載された事項及び引用発明の認定は、前記第2の3(2)において示したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、本件補正発明から、前記第2の2(1)及び(2)に示す限定事項に係る構成を省いたものであるから、前記第2の3(3)及び(4)の検討結果を踏まえると、本願発明は、引用文献3に記載された発明である。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献3に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当するから、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-010231