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特許拒絶査定不服審判

2022-014249

画素内メモリディスプレイ

審判番号
2022-014249
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-562620
請求日
2022年09月09日
審決日
2023年07月21日
公報発行日
2024年01月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】アップル インコーポレイテッド
  • 【請求人代理人】田中 伸一郎
  • 【請求人代理人】▲吉▼田 和彦
  • 【請求人代理人】大塚 文昭
  • 【請求人代理人】西島 孝喜
  • 【請求人代理人】那須 威夫
  • 【請求人代理人】富永 真太郎
審判長/審判官
  • 審判長 岡田 吉美
  • 審判官 濱本 禎広
  • 審判官 九鬼 一慶
分類
P18 .575-Z (G09G) / P18 .113-Z (G09G) / P18 .121-Z (G09G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2020-562620「画素内メモリディスプレイ」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年11月14日国際公開、WO2019/217242、令和 3年 9月 2日国内公表、特表2021-523407〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2019年(令和元年)5月3日を国際出願日とする外国語特許出願であって(パリ条約による優先権主張外国庁受理2018年5月8日、米国)、その手続の経緯の概略は、以下のとおりである。 令和2年11月12日 :翻訳文、手続補正書の提出 令和3年11月 4日付け:拒絶理由通知書 令和4年 2月 2日 :意見書、手続補正書の提出 同年 5月 6日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月16日 :原査定の謄本の送達) 同年 9月 9日 :審判請求書、手続補正書の提出 同年10月13日 :前置報告書 令和5年 1月17日 :上申書の提出 第2 令和4年9月9日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和4年9月9日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 補正の内容 令和4年9月9日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてした補正であり、この補正により、次の(1)に示す本件補正前の請求項1が、後記の(2)に示す本件補正後の請求項1に補正された。下線は、補正箇所を示す。 (1) 本件補正前の請求項1 「【請求項1】 電子ディスプレイであって、 画素の行を含むアクティブエリアであって、前記画素の行は第1のサブ画素及び第2のサブ画素を含み、前記第1のサブ画素は、第1の画像フレームを提示する第1の画像データに応答して光を放出するように構成されている、アクティブエリアと、 第1の時間に前記第1の画像データを前記第1のサブ画素に送信するように構成されており、第2の時間に第2の画像データを前記第2のサブ画素に送信するように構成されたコントローラと、を備え、 前記第1のサブ画素は、 電流を発生させるように構成された電流源と、 前記電流に応答して前記光を放出するように構成された有機発光ダイオードと、 前記コントローラから受信した前記第1の画像データをデジタル記憶するように構成されたメモリと、 前記メモリに記憶された前記第1の画像データを使用して生成された制御信号を受信するように構成された駆動回路であって、前記有機発光ダイオードに、前記制御信号に応答して前記電流を前記有機発光ダイオードに送信することによって、前記光を放出させるように構成されている、駆動回路と、を含む、電子ディスプレイ。」 (2) 本件補正後の請求項1 「【請求項1】 電子ディスプレイであって、 画素の行を含むアクティブエリアであって、前記画素の行は第1のサブ画素及び第2のサブ画素を含み、前記第1のサブ画素は、第1の画像フレームを提示する第1の画像データに応答して光を放出するように構成されている、アクティブエリアと、 第1の時間に前記第1の画像データを前記第1のサブ画素に送信するように構成されており、第2の時間に第2の画像データを前記第2のサブ画素に送信するように構成されたコントローラと、を備え、 前記第1のサブ画素は、 電流を発生させるように構成された第1の電流源と、 前記電流に応答して前記光を放出するように構成された第1の有機発光ダイオードと、 前記コントローラから受信した前記第1の画像データをデジタル記憶するように構成された第1のメモリと、 前記第1のメモリに記憶された前記第1の画像データを使用して生成された制御信号を受信するように構成された第1の駆動回路であって、前記第1の有機発光ダイオードに、前記制御信号に応答して前記電流を前記第1の有機発光ダイオードに送信することによって、前記光を放出させるように構成されている、第1の駆動回路と、を含み、 前記第2のサブ画素は、 電流を発生させるように構成された第2の電流源と、 前記電流に応答して前記光を放出するように構成された第2の有機発光ダイオードと、 前記コントローラから受信した前記第2の画像データをデジタル記憶するように構成された第2のメモリと、 前記第2のメモリに記憶された前記第2の画像データを使用して生成された制御信号を受信するように構成された第2の駆動回路であって、前記第2の有機発光ダイオードに、前記制御信号に応答して前記電流を前記第2の有機発光ダイオードに送信することによって、前記光を放出させるように構成されている、第2の駆動回路と、を含み、 前記第1の画像データの前記第1のサブ画素への送信又は前記第2の画像データの前記第2のサブ画素への送信は、多重化制御信号により調停される、 電子ディスプレイ。」 2 補正の目的 ア 本件補正は、次の(ア)及び(イ)に示す限定を行うものである。 (ア) 本件補正前の「第2のサブ画素」について、「電流を発生させるように構成された第2の電流源と、前記電流に応答して前記光を放出するように構成された第2の有機発光ダイオードと、前記コントローラから受信した前記第2の画像データをデジタル記憶するように構成された第2のメモリと、前記第2のメモリに記憶された前記第2の画像データを使用して生成された制御信号を受信するように構成された第2の駆動回路であって、前記第2の有機発光ダイオードに、前記制御信号に応答して前記電流を前記第2の有機発光ダイオードに送信することによって、前記光を放出させるように構成されている、第2の駆動回路」を含むものに限定すること。 (イ) 本件補正前の「電子ディスプレイ」について、「前記第1の画像データの前記第1のサブ画素への送信又は前記第2の画像データの前記第2のサブ画素への送信は、多重化制御信号により調停される」ものに限定すること。 イ そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 ウ したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。 3 独立特許要件の判断 前記2のとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。 (1) 本件補正発明 本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 (2) 引用文献に記載された発明の認定等 ア 引用文献1に記載された事項と引用発明の認定 (ア) 引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に発行された特開2002-123218号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。下線は当合議体によるものであり、以下同様である。 a 【0001】 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、発光装置の駆動回路および駆動回路を用いた発光装置に関し、特に、絶縁体上に作成される薄膜トランジスタを有するアクティブマトリクス型発光装置の駆動回路および駆動回路を用いたアクティブマトリクス型発光装置に関する。その中で特に、映像ソースとしてデジタル映像信号を用い、画素部に有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子を始めとする自発光素子を用いたアクティブマトリクス型発光装置の駆動回路および駆動回路を用いたアクティブマトリクス型発光装置に関する。」 b 【0054】~【0063】、【図1】~【図3】 「【0054】 【発明の実施の形態】図2は、本発明の、複数の記憶回路を有する画素を用いた発光装置における、ソース信号線駆動回路および一部の画素の構成を示したものである。この回路は、3ビットデジタル階調信号に対応したものであり、シフトレジスタ回路201、第1のラッチ回路202、第2のラッチ回路203、ビット信号選択スイッチ204、画素205を有する。210は、ゲート信号線駆動回路あるいは外部から直接供給される信号であり、画素の説明とともに後述する。」 「【図2】 [図:0001405399000001.jpg] 」 「【0055】図1は、図2における画素205における回路構成を詳細に示したものである。この画素は、3ビットデジタル階調に対応したものであり、EL素子(EL)123、保持容量(Cs)121、記憶回路(A1~A3およびB1~B3)等を有している。101はソース信号線、102~104は書き込み用ゲート信号線、105~107は、読み出し用ゲート信号線、108~110は書き込み用TFT、111~113は読み出し用TFT、114は第1の書き込み用記憶回路選択部、115は第1の読み出し用記憶回路選択部、116は第2の書き込み用記憶回路選択部、117は第2の読み出し用記憶回路選択部、118は第3の書き込み用記憶回路選択部、119は第3の読み出し用記憶回路選択部、122はEL駆動用TFTである。 【0056】図1に示した画素が有する記憶回路(A1~A3およびB1~B3)は、それぞれ1ビットのデジタル映像信号を記憶することが出来、ここではA1~A3を1組、B1~B3を1組として用い、各々3ビットのデジタル映像信号の記憶を行う。つまり、図1に示した画素は、3ビットのデジタル映像信号を2フレーム分記憶することが出来る。」 「【図1】 [図:0001405399000002.jpg] 」 「【0057】図3は、図1に示した本発明の表示装置におけるタイミングチャートである。表示装置は3ビットデジタル階調、VGAのものを対象としている。図1~図3を用いて、駆動方法について説明する。なお、各番号は、図1~図3のものをそのまま用いる(図番は省略する)。 【0058】図2および図3(A)(B)を参照する。図3(A)において、各フレーム期間をα、β、γ、δと表記して説明する。まず、フレーム期間αにおける回路動作について説明する。 【0059】従来のデジタル方式の駆動回路の場合と同様に、シフトレジスタ回路201にクロック信号(S-CLK、S-CLKb)およびスタートパルス(S-SP)が入力され、順次サンプリングパルスが出力される。続いて、サンプリングパルスは第1のラッチ回路202(LAT1)に入力され、同じく第1のラッチ回路202に入力されたデジタル映像信号(Digital Data)をそれぞれ保持していく。この期間を、本明細書においてはドットデータサンプリング期間と表記する。1水平期間分のドットデータサンプリング期間は、図3(A)において1~480で示す各期間である。デジタル映像信号は3ビットであり、D1がMSB(Most Significant Bit)、D3がLSB(Least Significant Bit)である。第1のラッチ回路202において、1水平周期分のデジタル映像信号の保持が完了すると、帰線期間中に、第1のラッチ回路202で保持されているデジタル映像信号は、ラッチ信号(Latch Pulse)の入力に従い、一斉に第2のラッチ回路203(LAT2)へと転送される。 【0060】続いて、再びシフトレジスタ回路201から出力されるサンプリングパルスに従い、次水平周期分のデジタル映像信号の保持動作が行われる。 【0061】一方、第2のラッチ回路203に転送されたデジタル映像信号は、画素内に配置された記憶回路に書き込まれる。図3(B)に示すように、次列のドットデータサンプリング期間をI、IIおよびIIIと3分割し、第2のラッチ回路に保持されているデジタル映像信号をソース信号線に出力する。このとき、ビット信号選択スイッチ204によって、各ビットの信号が順番にソース信号線に出力されるように選択的に接続される。 【0062】期間Iでは、書き込み用ゲート信号線102にパルスが入力されて、書き込み用TFT108が導通し、記憶回路選択部114が記憶回路A1を選択し、記憶回路A1にデジタル映像信号が書き込まれる。続いて、期間IIでは、書き込み用ゲート信号線103にパルスが入力されて書き込み用TFT109が導通し、記憶回路選択部116が記憶回路A2を選択し、記憶回路A2にデジタル映像信号が書き込まれる。最後に、期間IIIでは、書き込み用ゲート信号線104にパルスが入力されて書き込み用TFT110が導通し、記憶回路選択部118が記憶回路A3を選択し、記憶回路A3にデジタル映像信号が書き込まれる。 【0063】以上で、1水平期間分のデジタル映像信号の処理が終了する。図3(B)の期間は、図3(A)において※印で示された期間である。以上の動作を最終段まで行うことにより、1フレーム分のデジタル映像信号が記憶回路Aに書き込まれる。」 「【図3】 [図:0001405399000003.jpg] 」 c 【0064】~【0073】 「【0064】ところで、本発明の発光装置においては、3ビットのデジタル階調を、時間階調方式により表現する。時間階調方式とは、画素に印加する電圧によって輝度の制御を行う通常の方式と異なり、画素には2種類の電圧のみを印加してON、OFFの2状態を用い、点灯時間の差を利用して階調を得る方式である。時間階調方式においてnビットの階調表現を行う際には、その表示期間をn個の期間に分割し、各期間の長さの比を2n-1:2n-2:・・・:20のように2のべき乗とし、どの期間で画素をONの状態にするかによって、点灯時間の長さに差を生じ、もって階調の表現を行う。 【0065】また、表示期間の長さを2のべき乗以外の区分によって階調表示を行うようにしても表示は可能である。 【0066】以上をふまえて、フレーム期間βにおける動作について説明する。最終段における記憶回路への書き込みが終了すると、1フレーム目の表示が行われる。図3(C)は、3ビットの時間階調方式について説明する図である。今、デジタル映像信号は、ビットごとに記憶回路A1~A3に記憶されている。Ts1は、第1ビットデータによる表示期間、Ts2は、第2ビットデータによる表示期間、Ts3は、第3ビットデータによる表示期間であり、各表示期間の長さは、Ts1:Ts2:Ts3=4:2:1となっている。 【0067】ここでは3ビットであるから、輝度は0~7までの8段階が得られる。Ts1~Ts3のいずれの期間においても表示が行われない場合には輝度0、全ての期間を用いて表示を行えば輝度7を得る。例えば、輝度5を表示したい場合には、Ts1とTs3において画素をONの状態とし、表示させればよい。 【0068】具体的に図を用いて説明する。Ts1においては、読み出し用ゲート信号線105にパルスが入力されて、読み出し用TFT111が導通し、記憶回路選択部115が記憶回路A1を選択し、記憶回路A1に記憶されたデジタル映像信号にしたがってEL素子を点灯させる。続いて、Ts2においては、読み出し用ゲート信号線106にパルスが入力されて、読み出し用TFT112が導通し、記憶回路選択部117が記憶回路A2を選択し、記憶回路A2に記憶されたデジタル映像信号にしたがってEL素子を点灯させる。最後に、Ts3においては、読み出し用ゲート信号線107にパルスが入力されて、読み出し用TFT113が導通し、記憶回路選択部119が記憶回路A3を選択し、記憶回路A3に記憶されたデジタル映像信号によってEL素子を点灯させる。 【0069】以上のようにして、1フレーム期間分の表示が行われる。一方、駆動回路側では、同時に次のフレーム期間のデジタル映像信号の処理が行われている。第2のラッチ回路へのデジタル映像信号の転送までは前述と同様の手順である。続く記憶回路への書き込み期間においては、前のフレーム期間でデジタル映像信号を記憶した記憶回路とは異なる記憶回路を用いる。 【0070】期間Iでは、書き込み用ゲート信号線102にパルスが入力されて、書き込み用TFT108が導通し、記憶回路選択部114が記憶回路B1を選択し、記憶回路B1にデジタル映像信号が書き込まれる。続いて、期間IIでは、書き込み用ゲート信号線103にパルスが入力されて、書き込み用TFT109が導通し、記憶回路選択部116が記憶回路B2を選択し、記憶回路B2にデジタル映像信号が書き込まれる。最後に、期間IIIでは、書き込み用ゲート信号線104にパルスが入力されて、書き込み用TFT110が導通し、記憶回路選択部118が記憶回路B3を選択し、記憶回路B3にデジタル映像信号が書き込まれる。 【0071】続いて、フレーム期間γに入り、記憶回路B1~B3に記憶されたデジタル映像信号に従って2フレーム目の表示が行われる。同時に、次のフレーム期間のデジタル映像信号の処理が開始される。このデジタル映像信号は、1フレーム目の表示が終了した記憶回路A1~A3に再び記憶される。 【0072】その後、記憶回路A1~A3に記憶されたデジタル映像信号の表示がフレーム期間δで行われ、同時に次のフレーム期間のデジタル映像信号の処理が開始される。このデジタル映像信号は、2フレーム目の表示が終了した記憶回路B1~B3に再び記憶される。 【0073】以上の動作を繰り返して、映像の表示が継続的に行われる。ここで、静止画を表示する場合には、最初の動作で記憶回路A1~A3にいったんデジタル映像信号が記憶されてからは、各フレーム期間で記憶回路A1~A3に記憶されたデジタル映像信号を反復して読み出せば良い。したがってこの静止画が表示されている期間中は、ソース信号線駆動回路の駆動を停止させることが出来る。」 d 【0145】~【0148】 「【0145】次に、EL層5066および陰極(透明電極)5067を、真空蒸着法を用いて大気解放しないで連続形成する。なお、EL層5066の膜厚は80~200[nm](典型的には100~120[nm])、陰極5067は、ITO膜にて形成した。 【0146】この工程では、赤色に対応する画素、緑色に対応する画素および青色に対応する画素に対して順次、EL層および陰極を形成する。但し、EL層は溶液に対する耐性に乏しいためフォトリソグラフィ技術を用いずに各色個別に形成しなくてはならない。そこでメタルマスクを用いて所望の画素以外を隠し、必要箇所だけ選択的にEL層および陰極を形成するのが好ましい。 【0147】即ち、まず赤色に対応する画素以外を全て隠すマスクをセットし、そのマスクを用いて赤色発光のEL層を選択的に形成する。次いで、緑色に対応する画素以外を全て隠すマスクをセットし、そのマスクを用いて緑色発光のEL層を選択的に形成する。次いで、同様に青色に対応する画素以外を全て隠すマスクをセットし、そのマスクを用いて青色発光のEL層を選択的に形成する。なお、ここでは全て異なるマスクを用いるように記載しているが、同じマスクを使いまわしても構わない。 【0148】ここではRGBに対応した3種類のEL素子を形成する方式を用いたが、白色発光のEL素子とカラーフィルタを組み合わせた方式、青色または青緑発光のEL素子と蛍光体(蛍光性の色変換層:CCM)とを組み合わせた方式、陰極(対向電極)に透明電極を利用してRGBに対応したEL素子を重ねる方式などを用いても良い。」 (イ) 引用発明の認定 a 前記(ア)dにおいて摘記した【0145】~【0148】の記載から、引用文献1に記載された「アクティブマトリクス型発光装置」が、RGBのサブ画素を有していることが読み取れる。 そして、通常、サブ画素は一つの行に並んで配置されることは、当業者にとっての技術常識である。 よって、これらを踏まえると、引用文献1に記載された「アクティブマトリクス型発光装置」は、一つの行にRGBのサブ画素が含まれていることが読み取れる。 b 前記(ア)の記載事項及び前記aの認定事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 <引用発明> 「映像ソースとしてデジタル映像信号を用い、画素部に有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子を用いたアクティブマトリクス型発光装置であって、(【0001】) 画素部の一つの行にRGBのサブ画素が含まれており、(前記aの認定事項) 画素205は、EL素子(EL)123、保持容量(Cs)121、記憶回路(A1~A3およびB1~B3)、書き込み用TFT108~110、読み出し用TFT111~113、EL駆動用TFT122を有しており、(【0055】) ソース信号線駆動回路は、シフトレジスタ回路201、第1のラッチ回路202、第2のラッチ回路203及びビット信号選択スイッチ204を有しており、(【0054】) シフトレジスタ回路201にクロック信号(S-CLK、S-CLKb)およびスタートパルス(S-SP)が入力され、順次サンプリングパルスが出力され、サンプリングパルスは第1のラッチ回路202(LAT1)に入力され、同じく第1のラッチ回路202に入力されたデジタル映像信号(Digital Data)をそれぞれ保持していき、第1のラッチ回路202で保持されているデジタル映像信号は、ラッチ信号(Latch Pulse)の入力に従い、一斉に第2のラッチ回路203(LAT2)へと転送され、(【0059】) 第2のラッチ回路に保持されているデジタル映像信号をソース信号線に出力し、第2のラッチ回路203に転送されたデジタル映像信号は、画素内に配置された記憶回路に書き込まれ、(【0061】)、 最終段における記憶回路への書き込みが終了すると、1フレーム目の表示が行われ、デジタル映像信号は、ビットごとに記憶回路A1~A3に記憶され、Ts1は、第1ビットデータによる表示期間、Ts2は、第2ビットデータによる表示期間、Ts3は、第3ビットデータによる表示期間であり、各表示期間の長さは、Ts1:Ts2:Ts3=4:2:1となっており、(【0066】) Ts1においては、読み出し用TFT111が導通し、記憶回路A1に記憶されたデジタル映像信号にしたがってEL素子を点灯させ、Ts2においては、読み出し用TFT112が導通し、記憶回路A2に記憶されたデジタル映像信号にしたがってEL素子を点灯させ、Ts3においては、読み出し用TFT113が導通し、記憶回路A3に記憶されたデジタル映像信号によってEL素子を点灯させる、(【0068】) アクティブマトリクス型発光装置。」 イ 引用文献6~8に記載された事項と周知技術の認定 (ア) 引用文献6に記載された事項 当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された特開2007-286572号公報(以下「引用文献6」という。)には、以下の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、画素とこれを利用した有機電界発光表示装置及びその駆動方法に関し、特に、データ駆動部の出力線数を減少させると同時に十分な駆動時間を確保できるようにした画素とこれを利用した有機電界発光表示装置及びその駆動方法に関する。」 「【0055】 図7は、本発明の第2実施例による有機電界発光表示装置の駆動方法を示す波形図である。 図7を参照すれば、本発明の第2実施例による有機電界発光表示装置の駆動方法において、走査駆動部110はそれぞれの水平期間1Hの間走査信号を順次供給する。そして、走査駆動部110は2個の走査信号と重畳されるように発光制御信号を供給する。 【0056】 デマルチプレクサ制御部170は、それぞれの水平期間1Hの間走査信号と重畳されるように第1制御信号CS1、第2制御信号CS2及び第3制御信号CS3を供給する。ここで、第1制御信号CS1、第2制御信号CS2及び第3制御信号CS3は互いに重畳されないように順次供給される。 【0057】 データ駆動部120は、走査信号が供給される期間の間i個のデータ信号R、G、Bをそれぞれの出力線Oに順次供給する。ここで、データ駆動部120はデータ信号R、G、Bの間にリセット電圧Vrを供給する。 【0058】 これを詳しく説明すれば、データ駆動部120は制御信号CS1、CS2、CS3が供給される時制御信号CS1、CS2、CS3と重畳されるようにデータ信号R、G、Bを供給する。例えば、データ駆動部120は第1制御信号CS1と重畳されるように赤色データ信号Rを供給して、第2制御信号CS2と重畳されるように緑色データ信号Gを供給する。そして、データ駆動部120は第3制御信号CS3と重畳されるように青色データ信号Bを供給する。」 「【0064】 一方、第n-1走査線Sn-1で走査信号が供給される期間の間第1制御信号CS1ないし第3制御信号CS3が順次供給される。すると、第1スイッチング素子T1ないし第3スイッチング素子T3が順次ターンオンされながらデータ線D1ないしD3にデータ信号が供給される。この場合、第n走査線Snに走査信号が供給されないため、つまり、第2トランジスタM2がターンオフされるから第n走査線Snに接続された画素140R、140G、140Bにはデータ信号が供給されない。 【0065】 以後、次の水平期間の間第n走査線Snで走査信号が供給される。第n走査線Snで走査信号が供給されれば画素140R、140G、140Bそれぞれに含まれた第2トランジスタM2及び第3トランジスタM3がターンオンされる。そして、第n走査線Snに走査信号が供給される期間の間第1制御信号CS1ないし第3制御信号CS3によって第1スイッチング素子T1、第2スイッチング素子T2及び第3スイッチング素子T3が順次ターンオンされる。 【0066】 第1スイッチング素子T1がターンオンされれば第1出力線O1に供給される赤色データ信号Rが第1データ線D1に供給される。第1データ線D1に供給される赤色データ信号Rは赤色画素140Rの第2トランジスタM2を経由して画素140Rに供給される。この場合、赤色画素140Rの第1トランジスタM1のゲート電極が初期化電源Vintによって初期化されたので、赤色画素140Rの第1トランジスタM1がターンオンされる。赤色画素140Rの第1トランジスタM1がターンオンされれば赤色データ信号Rが赤色画素140Rの第1トランジスタM1及び第3トランジスタM3を経由してストレージキャパシタCstの一側端子に供給される。この時、ストレージキャパシタCstにはデータ信号及び第1トランジスタM1の閾値電圧に対応する電圧が充電される。」 「【図6】 [図:0001405399000004.jpg] 」 「【図7】 [図:0001405399000005.jpg] 」 (イ) 引用文献7に記載された事項 当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された特開2004-170766号公報(以下「引用文献7」という。)には、以下の事項が記載されている。 「【0006】 そこで、1本の信号線を、R、G、B用(1画素を構成する第1~第3の色成分用)の画素電極に接続可能なR、G、B用信号線のいずれかに接続するデマルチプレクサを設ける表示パネルが考えられる。この場合、LTPSの電荷の移動度が大きいことを利用して、信号線上に、R、G、B用の表示データが、時分割されて伝送される。そして、当該画素の選択期間に、各色成分用の表示データが、デマルチプレクサにより順次R、G、B用信号線に切り替えて出力され、各色成分ごとに設けられた画素電極に書き込まれる。このような構成によれば、ドライバから信号線に表示データを出力するための端子の数を削減することができる。そのため、端子間のピッチに制限されることなく、画素の微細化による信号線数の増加にも対応することができる。」 「【0042】 信号線SL1~SLNは、ソースドライバ40により駆動される。ソースドライバ40は、各色成分用の画素に、階調データに対応した電圧を出力する。この際、ソースドライバ40は、画素ごとに時分割され各色成分の階調データに対応した電圧を、各画素に対応した信号線に出力する。またソースドライバ40は、時分割のタイミングに合わせて、各色成分の階調データに対応した電圧を各色成分用信号に選択出力するためのデマルチプレクス制御信号を生成し、表示パネル10に対して出力する。 【0043】 デマルチプレクサDMUXnの出力側には、第1~第3の色成分用信号線(Rn、Gn、Bn)が接続される。また、入力側には、信号線SLnが接続される。デマルチプレクサDMUXnは、デマルチプレクス制御信号に応じて、信号線SLnと、第1~第3の色成分用信号線(Rn、Gn、Bn)のいずれかとを、電気的に接続する。デマルチプレクサDMUX1~DMUXNには、それぞれ共通にデマルチプレクス制御信号が入力される。」 「【図1】 [図:0001405399000006.jpg] 」 「【0054】 デマルチプレクサDMUXnは、第1~第3(i=3)のデマルチプレクス用スイッチ素子DSW1~DSW3を含む。第1のデマルチプレクス用スイッチ素子DSW1は、第1のデマルチプレクス制御信号Rselによりオン・オフ制御される。第2のデマルチプレクス用スイッチ素子DSW2は、第2のデマルチプレクス制御信号Gselによりオン・オフ制御される。第3のデマルチプレクス用スイッチ素子DSW3は、第3のデマルチプレクス制御信号Bselによりオン・オフ制御される。第1~第3のデマルチプレクス制御信号(Rsel、Gsel、Bsel)は周期的に順次アクティブとなるため、デマルチプレクサDMUXnは、周期的に、信号線SLnと第1~第3の色成分用信号線(Rn、Gn、Bn)とを順次電気的に接続する。 【0055】 選択信号生成回路20mは、第1~第3のデマルチプレクス制御信号(Rsel、Gsel、Bsel)に基づいて、第1~第3の選択信号を生成する。第1の選択信号は、第1の走査線GRmに出力される。第2の選択信号は、第2の走査線GGmに出力される。第3の選択信号は、第3の走査線GBmに出力される。なお、選択信号生成回路20mにおいて、第1~第3のデマルチプレクス制御信号(Rsel、Gsel、Bsel)と、走査線GLmを介して入力されるゲート信号とに基づいて、第1~第3の選択信号を生成するようにしてもよい。この場合、第1~第3の色成分により構成される1画素の選択期間に対応して第1~第3の選択信号を生成することができるので、変化が最小限の信号を生成して消費電力を削減することができる。 【0056】 このような構成の表示パネル10において、時分割された第1~第3の色成分用の階調データに対応した電圧が、信号線SLnに出力される。デマルチプレクサDMUXnでは、時分割タイミングに合せて生成された第1~第3のデマルチプレクス制御信号(Rsel、Gsel、Bsel)により、各色成分の階調データに対応した電圧が、第1~第3の色成分用信号線(Rn、Gn、Bn)に印加される。このとき、第1~第3の走査線(GRm、GGm、GBm)により選択された第1~第3の色成分用画素(PRmn、PGmn、PBmn)のいずれかにおいて、色成分用信号線と画素電極とが電気的に接続される。」 「【図2】 [図:0001405399000007.jpg] 」 (ウ) 引用文献8に記載された事項 当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された特開昭61-223791号公報(以下「引用文献8」という。)には、以下の事項が記載されている。 (2頁左下欄17行~右下欄7行) 「(問題を解決するための手段) 本発明は、映像表示領域に配設された薄膜トランジスタのソース配線に映像信号を印加するソース配線を数本1組にして接続するものである。」 (作用) 映像表示領域に配設した薄膜トランジスタのゲート配線に印加する信号と、ソース配線に直列に接続した薄膜トランジスタの信号切換用ゲート配線に印加する信号とを制御することにより、映像表示領域に配設したどの薄膜トランジスタに映像信号を印加するかを選択できる。」 (3頁右上欄6行~4頁左上欄1行) 「このように構成された本実施例の動作を、各配線に印加する駆動パルス及び信号電圧を示した第2図を参照しながら、説明する。 先ず、時間t1では、パルス信号φG1がゲート配線7の71を介して各薄膜トランジスタ6のゲートに印加されると同時に、パルス信号φAが信号切換用ゲート配線13の13aを介して薄膜トランジスタllaのゲートに印加されるので、映像信号入力配線12を介して各薄膜トランジスタ11のソースに印加されているパルス信号Vsが、薄膜トランジスタlla及びソース配線8aを介して薄膜トランジスタ6a1のソースに印加されて、薄膜トランジスタ6a1のドレイン電圧は所定の設定電圧となる。 又、時間t2では、パルス信号φG1がゲート配線7の71を介して各薄膜トランジスタ6のゲートに印加されている状態で、パルス信号φBが信号切換用ゲート配線13の13bを介して薄膜トランジスタllbのゲートに印加されるので、映像信号入力配線12を介して各薄膜トランジスタ11のソースに印加されているパルス信号Vsが、薄膜トランジスタllb及びソース配線8bを介して薄膜トランジスタ6b1のソースに印加されて、薄膜トランジスタ6b1のドレイン電圧が所定の設定電圧となる。 更に、時間t3では、パルス信号φG1がゲート配線7の71を介して各薄膜トランジスタ6のゲートに印加されている状態で、パルス信号φCが信号切換用ゲート配線13の13cを介して薄膜トランジスタllcのゲートに印加されるので、映像信号入力配線12を介して各薄膜トランジスタ11のソースに印加されているパルス信号Vsが、薄膜トランジスタ11c及びソース配線8cを介して薄膜トランジスタ6c1のソースに印加されて、薄膜トランジスタ6c1のドレイン電圧が所定の設定電圧となり、第1の水平操作ラインの表示が終了する。 次に、時間t4では、パルス信号φG2がゲート配線7の72を介して各薄膜トランジスタ6のゲートに印加されるが、パルス信号φA、φB及びφCが、前述の如く、信号切換用ゲート配線13の13a、13b及び13cを介して薄膜トランジスタ11a、11b及びllcのゲートに順次印加されるので、映像信号入力配線12を介して各薄膜トランジスタ11のソースに印加されているパルス信号Vsが、時間t4、t5及びt6において、時間t1、t2及びt3と同様に、薄膜トランジスタ6a2、6b2及び6c2のソースに順次印加されて、薄膜トランジスタ6a2、6b2及び6c2のドレイン電圧が順次所定の設定電圧になり、第2の水平操作ラインの表示が終了する。 以下、前述の如き動作が順次繰り返して行なわれて、第nの水平操作ラインの薄膜トランジスタ6an、6bn及び6cnのドレイン電圧が順次所定の設定電圧になれば、1画面分の走査が完了し、信号表示のため各画素が選択されて、画像表示が可能となる。」 (4頁左上欄14~18行) 「尚、実施例において、表示手段に液晶を用いた例で説明したが、本発明における表示手段は何も液晶に限定されるものではなく、ELを用いた表示手段にも使用でき、又、PLZTを用いた光シャッタにも使用することができる。」 (4頁右上欄3~13行) 「(発明の効果) 以上説明したように、本発明によれば、アクティブマトリックス基板を用いた液晶表示装置或いは他の材料を用いた表示装置において、解像度を向上させるために画素数が増加しても、複雑なシフトレジスタを形成する必要がなくなるので、フレキシブルプリント基板による実装が容易できるようになると共に、外部回路との接続本数が1/3以下になって、配線ピッチが従来の3~6倍以上になるので、大幅な歩留りの向上と、製造原価の低減を図ることができる効果がある。」 「 [図:0001405399000008.jpg] 」 「 [図:0001405399000009.jpg] 」 (エ) 周知技術の認定 a(a) 引用文献6には、デマルチプレクサ制御部170が、互いに重畳されないように、第1制御信号CS1、第2制御信号CS2及び第3制御信号CS3を順次供給すること(【0056】)、第1制御信号CS1~第3制御信号CS3によって第1スイッチング素子T1、第2スイッチング素子T2及び第3スイッチング素子T3が順次ターンオンされること(【0065】)、第1スイッチング素子T1がターンオンされれば第1出力線O1に供給される赤色データ信号Rが第1データ線D1に供給され、第1データ線D1に供給される赤色データ信号Rは赤色画素140Rの第2トランジスタM2を経由して画素140Rに供給されること(【0066】)が記載されている。 (b) そして、当該記載、【図6】及び【図7】から、赤色データ信号の赤色画素への供給、緑色データ信号の緑色画素への供給、青色データ信号の青色画素への供給は、デマルチプレクサ制御部170からの互いに重畳されない第1制御信号CS1、第2制御信号CS2及び第3制御信号CS3により、順次行われていることが読み取れる。 b(a) 引用文献7には、第1~第3のデマルチプレクス制御信号(Rsel、Gsel、Bsel)は周期的に順次アクティブとなること(【0054】)、第1~第3のデマルチプレクス制御信号(Rsel、Gsel、Bsel)により、各色成分の階調データに対応した電圧が、第1~第3の色成分用信号線(Rn、Gn、Bn)に印加され、選択された第1~第3の色成分用画素(PRmn、PGmn、PBmn)のいずれかにおいて、色成分用信号線と画素電極とが電気的に接続されること(【0056】)が記載されている。 (b) そして、当該記載及び【図2】から、各色成分の階調データに対応した電圧の色成分用画素(PRmn、PGmn、PBmn)への供給が、周期的に順次アクティブとなるデマルチプレクス制御信号(Rsel、Gsel、Bsel)により行われることが読み取れる。 c(a) 引用文献8の3頁右上欄6行~4頁左上欄1行、第2図の記載から、パルス信号φA、φB及びφCが、薄膜トランジスタ11a、11b及びllcのゲートに順次印加され、映像信号入力配線12を介して、薄膜トランジスタ6an、6bn及び6cnのドレイン電圧が順次所定の設定電圧になることが読み取れる。 (b) そして、薄膜トランジスタ6an、6bn及び6cnのドレイン電圧が、各画素に供給される電圧であることは明らかである。 d 前記a~cを踏まえると、引用文献6~8の前記摘記箇所の記載に例示されるように、次に示す事項は周知技術であると認める。 <周知技術> 「一本の信号線を複数の各画素のいずれかに接続するデマルチプレクサを設け、前記各画素へのデータ電圧の供給を、前記デマルチプレクサへの制御信号により、順次に行わせること。」 (3) 対比 ア 対比分析 本件補正発明と引用発明を対比する。 (ア)a 引用発明の「アクティブマトリクス型発光装置」は、画素部が有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子であり、また映像ソースとしてデジタル映像信号を用いており、映像を表示するものと認められるから、本件補正発明の「電子ディスプレイ」に相当する。 b よって、本件補正発明と引用発明は、「電子ディスプレイ」の発明である点で一致する。 (イ)a 本願明細書の【0183】には、「アクティブエリア704は、電子ディスプレイの全ての発光構成要素と、発光構成要素へのデータ送信をサポートするための通信可能な結合と、を含む。」と記載されており、当該記載を踏まえると、引用発明の「画素部」は、本件補正発明の「アクティブエリア」に相当する。 b 引用発明においては、画素部の一つの行にRGBのサブ画素が含まれているところ、この「Rのサブ画素」及び「Gのサブ画素」は、本件補正発明の「第1のサブ画素」及び「第2のサブ画素」に相当する。 c また、引用発明の「Rのサブ画素」が、フレーム単位で供給されるデジタル映像信号に応じて赤色の成分の画像を表示することは、本件補正発明の「前記第1のサブ画素は、第1の画像フレームを提示する第1の画像データに応答して光を放出するように構成されている」ことに相当する。 d よって、本件補正発明と引用発明は、「画素の行を含むアクティブエリアであって、前記画素の行は第1のサブ画素及び第2のサブ画素を含み、前記第1のサブ画素は、第1の画像フレームを提示する第1の画像データに応答して光を放出するように構成されている、アクティブエリア」を備える点で一致する。 (ウ)a 引用発明において、クロック信号(S-CLK、S-CLKb)、スタートパルス(S-SP)、デジタル映像信号(DigitalData)及びラッチ信号(LatchPulse)が入力される「ソース信号線駆動回路」は、デジタル映像信号を、ソース信号線に出力し、画素内に配置された記憶回路に書き込むことによって、アクティブマトリクス型発光装置の表示制御を行うものであるから、本件補正発明の「コントローラ」に相当する。 b そして、デジタル映像信号が書き込まれる画素には、本件補正発明の「第1のサブ画素」及び「第2のサブ画素」に相当する引用発明の「Rのサブ画素」及び「Gのサブ画素」が含まれるところ、この「Rのサブ画素」に映像信号を書き込む時間は、本件補正発明の「第1の時間」に相当し、「Gのサブ画素」に映像信号を書き込む時間は、本件補正発明の「第2の時間」に相当する。 c よって、本件補正発明と引用発明は、「第1の時間に前記第1の画像データを前記第1のサブ画素に送信するように構成されており、第2の時間に第2の画像データを前記第2のサブ画素に送信するように構成されたコントローラ 」を備える点で一致する。 (エ)a 引用発明の「画素205」は、RGBのサブ画素を総称したものであるから、「画素205」の構成が「Rのサブ画素」の構成であることは明らかである。 b そして、引用発明の「EL駆動用TFT122」及び「保持容量(Cs)121」は、保持容量(Cs)が保持している電圧に応じた電流を供給するものであるから、本件補正発明の「電流を発生させるように構成された第1の電流源」に相当する。 c 引用発明の「EL素子(EL)123」は、本件補正発明の「電流に応答して前記光を放出するように構成された第1の有機発光ダイオード」に相当する。 d 引用発明の「記憶回路(A1~A3及びB1~B3)」は、「ソース信号線駆動回路」からのデジタル映像信号が書き込まれるものであるから、本件補正発明の「前記コントローラから受信した前記第1の画像データをデジタル記憶するように構成された第1のメモリ」に相当する。 e 引用発明の「読み出し用TFT111~113」は、記憶回路に記憶されたデジタル映像信号にしたがってEL素子を点灯させるものであるから、本件補正発明の「前記第1のメモリに記憶された前記第1の画像データを使用して生成された制御信号を受信するように構成された第1の駆動回路であって、前記第1の有機発光ダイオードに、前記制御信号に応答して前記電流を前記第1の有機発光ダイオードに送信することによって、前記光を放出させるように構成されている、第1の駆動回路」に相当する。 f よって、本件補正発明と引用発明は、「前記第1のサブ画素は、電流を発生させるように構成された第1の電流源と、前記電流に応答して前記光を放出するように構成された第1の有機発光ダイオードと、前記コントローラから受信した前記第1の画像データをデジタル記憶するように構成された第1のメモリと、前記第1のメモリに記憶された前記第1の画像データを使用して生成された制御信号を受信するように構成された第1の駆動回路であって、前記第1の有機発光ダイオードに、前記制御信号に応答して前記電流を前記第1の有機発光ダイオードに送信することによって、前記光を放出させるように構成されている、第1の駆動回路と、を含[む]」点で一致する。 (オ)a 前記(エ)aと同様に、引用発明の「画素205」の構成が「Gのサブ画素」の構成であることも明らかであるから、前記(エ)b~fで検討した事項は、本件補正発明の「第2のサブ画素」に相当する「Gのサブ画素」においても成り立つものである。 b よって、本件補正発明と引用発明は、「前記第2のサブ画素は、電流を発生させるように構成された第2の電流源と、前記電流に応答して前記光を放出するように構成された第2の有機発光ダイオードと、前記コントローラから受信した前記第2の画像データをデジタル記憶するように構成された第2のメモリと、前記第2のメモリに記憶された前記第2の画像データを使用して生成された制御信号を受信するように構成された第2の駆動回路であって、前記第2の有機発光ダイオードに、前記制御信号に応答して前記電流を前記第2の有機発光ダイオードに送信することによって、前記光を放出させるように構成されている、第2の駆動回路と、を含[む]」点で一致する。 イ 一致点及び相違点 前記アの対比分析の検討結果を総合すると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次に示すとおりである。 (ア) 一致点 電子ディスプレイであって、 画素の行を含むアクティブエリアであって、前記画素の行は第1のサブ画素及び第2のサブ画素を含み、前記第1のサブ画素は、第1の画像フレームを提示する第1の画像データに応答して光を放出するように構成されている、アクティブエリアと、 第1の時間に前記第1の画像データを前記第1のサブ画素に送信するように構成されており、第2の時間に第2の画像データを前記第2のサブ画素に送信するように構成されたコントローラと、を備え、 前記第1のサブ画素は、 電流を発生させるように構成された第1の電流源と、 前記電流に応答して前記光を放出するように構成された第1の有機発光ダイオードと、 前記コントローラから受信した前記第1の画像データをデジタル記憶するように構成された第1のメモリと、 前記第1のメモリに記憶された前記第1の画像データを使用して生成された制御信号を受信するように構成された第1の駆動回路であって、前記第1の有機発光ダイオードに、前記制御信号に応答して前記電流を前記第1の有機発光ダイオードに送信することによって、前記光を放出させるように構成されている、第1の駆動回路と、を含み、 前記第2のサブ画素は、 電流を発生させるように構成された第2の電流源と、 前記電流に応答して前記光を放出するように構成された第2の有機発光ダイオードと、 前記コントローラから受信した前記第2の画像データをデジタル記憶するように構成された第2のメモリと、 前記第2のメモリに記憶された前記第2の画像データを使用して生成された制御信号を受信するように構成された第2の駆動回路であって、前記第2の有機発光ダイオードに、前記制御信号に応答して前記電流を前記第2の有機発光ダイオードに送信することによって、前記光を放出させるように構成されている、第2の駆動回路と、を含む、 電子ディスプレイ、である点。 (イ) 相違点 本件補正発明においては、「前記第1の画像データの前記第1のサブ画素への送信又は前記第2の画像データの前記第2のサブ画素への送信は、多重化制御信号により調停される」構成を備えているのに対して、 引用発明においては、そのような構成を備えていない点。 (4) 当審の判断 ア 相違点について 前記相違点について検討する。 (ア)a 前記(2)イ(エ)において周知技術として認定したとおり、「一本の信号線を複数の各画素のいずれかに接続するデマルチプレクサを設け、前記各画素へのデータ電圧の供給を、前記デマルチプレクサへの制御信号により、順次に行わせること」は、本願優先日前に周知の技術である。 b したがって、引用発明において前記周知技術を適用して、一本のソース信号線をRGBのサブ画素のいずれかに接続するデマルチプレクサを設け、前記RGBのサブ画素へのデータ電圧の供給を、前記デマルチプレクサへの制御信号により、順次に行わせることは、当業者が容易に想到し得たことである。 c この場合、前記「デマルチプレクサへの制御信号」は、本願補正発明の「多重化制御信号」に相当し、「Rのサブ画素」へのデータ電圧の供給と、「Gのサブ画素」へのデータ電圧の供給を、デマルチプレクサへの制御信号により順次に行わせることは、本件補正発明の「前記第1の画像データの前記第1のサブ画素への送信又は前記第2の画像データの前記第2のサブ画素への送信は、多重化制御信号により調停される」ことに相当する。 d よって、引用発明において、前記相違点に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (イ) そして、本件補正発明の奏する作用効果としては、引用発明及び周知技術から予測されるものを超え、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 (ウ) したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 イ 請求人の主張について (ア) 請求人の主張 請求人は、審判請求の理由において、概略次の主張をしている。 本件補正発明は次の発明特定事項aを有することを特徴の一つとしているが、引用文献1~4には、当該発明特定事項aの開示、示唆がないから、たとえ当業者が各引用文献をどのように参照し、またどのように組み合わせたとしても当該発明特定事項aに容易に想到し得ない。 <発明特定事項a> 前記第1の画像データの前記第1のサブ画素への送信又は前記第2の画像データの前記第2のサブ画素への送信は、多重化制御信号により調停される。 (イ) 請求人の主張についての検討 前記(4)ア及び前記(2)イ(エ)で示したとおり、前記発明特定事項aは、本願優先日前に周知であり、引用発明に当該周知技術を適用することは、当業者が容易に想到し得たことである。 よって、請求人の主張は、前記アの結論を左右するものではない。 ウ 上申書における補正案について (ア) 補正案の内容 請求人は、令和5年1月17日に提出された上申書において、主として、本件補正発明の構成である「電流を発生させるように構成された第1の電流源」を、「共通電圧、第1の基準電圧、及び第2の基準電圧に基づいて、第1の電流を発生させるように構成された第1の電流源」に補正を行う用意があることを主張している。 (イ) 補正案についての検討 引用文献1の【0064】には、「本発明の発光装置においては、3ビットのデジタル階調を、時間階調方式により表現する。時間階調方式とは、画素に印加する電圧によって輝度の制御を行う通常の方式と異なり、画素には2種類の電圧のみを印加してON、OFFの2状態を用い、点灯時間の差を利用して階調を得る方式である。」と記載されており、この画素に印加する2種類の電圧のうち、ONの状態のときの電圧が、前記補正案の「第2の基準電圧」に相当する。 また、引用文献1の【図1】に示された、「電流供給線120の電圧」及び「EL素子123の、EL駆動用TFT122側とは反対側の端子の電圧」が、それぞれ前記補正案の「共通電圧」及び「第1の基準電圧」に相当する。 よって、前記補正案のとおりに補正を行ったとしても、補正案に係る発明と引用発明との間には新たな相違点を生ずるものではないから、補正案に係る発明が引用発明に基づいて容易に想到し得たものであることには変わりなく、補正案は受け入れることができない。 (5) 独立特許要件についてのまとめ 以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4 本件補正の適否についてのまとめ 前記3において検討したとおり、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に違反するものであり、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 請求項1及び請求項5の記載並びに本願発明の認定 (1) 請求項1及び請求項5の記載 本件補正は、前記第2に示したとおり却下したので、令和4年2月2日にされた手続補正により、特許請求の範囲の請求項1及び5の記載は、次のア及びイに示すとおりのものとなっている。 ア 請求項1 「電子ディスプレイであって、 画素の行を含むアクティブエリアであって、前記画素の行は第1のサブ画素及び第2のサブ画素を含み、前記第1のサブ画素は、第1の画像フレームを提示する第1の画像データに応答して光を放出するように構成されている、アクティブエリアと、 第1の時間に前記第1の画像データを前記第1のサブ画素に送信するように構成されており、第2の時間に第2の画像データを前記第2のサブ画素に送信するように構成されたコントローラと、を備え、 前記第1のサブ画素は、 電流を発生させるように構成された電流源と、 前記電流に応答して前記光を放出するように構成された有機発光ダイオードと、 前記コントローラから受信した前記第1の画像データをデジタル記憶するように構成されたメモリと、 前記メモリに記憶された前記第1の画像データを使用して生成された制御信号を受信するように構成された駆動回路であって、前記有機発光ダイオードに、前記制御信号に応答して前記電流を前記有機発光ダイオードに送信することによって、前記光を放出させるように構成されている、駆動回路と、を含む、電子ディスプレイ。」 イ 請求項5 「前記コントローラは、第1の時間に前記第1の画像フレームの第1の色チャネルに関連付けられた前記第1の画像データを前記第1のサブ画素に送信すること、及び、前記第1の時間とは異なる第2の時間に前記第1の画像フレームの第2の色チャネルに関連付けられた第2の画像データを前記第2のサブ画像に送信することによって、前記第1のサブ画素の前記メモリ及び前記第2のサブ画素のメモリをプログラムするように構成されている、請求項1に記載の電子ディスプレイ。」 (2) 第1の時間と第2の時間の関係について ア 本願の請求項1には、「第1の時間に前記第1の画像データを前記第1のサブ画素に送信するように構成されており、第2の時間に第2の画像データを前記第2のサブ画素に送信するように構成されたコントローラ」について記載されている。 イ そして、請求項1の記載を引用する請求項5には、「前記コントローラは、第1の時間に前記第1の画像フレームの第1の色チャネルに関連付けられた前記第1の画像データを前記第1のサブ画素に送信すること、及び、前記第1の時間とは異なる第2の時間に前記第1の画像フレームの第2の色チャネルに関連付けられた第2の画像データを前記第2のサブ画像に送信する」ことが記載されている。 ウ そうすると、請求項1の記載では「第1の時間」及び「第2の時間」の関係を特定していないところ、請求項1の記載を引用する請求項5の記載では、「第1の時間とは異なる第2の時間」と特定していることを踏まえると、請求項1に記載の「第1の時間」及び「第2の時間」は、同じ時間も含まれるものと解釈するのが相当であるといえる。 (3) 本願発明の認定 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和4年2月2日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項(前記第2の1(1)参照)により特定されるとおりのものであるところ、前記(1)の検討を踏まえると、本願発明における、「第1の時間」及び「第2の時間」は同じ時間であるものも含まれると認められる。 2 原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由のうち、本願発明に対する理由2(新規性の欠如)、理由3(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。 理由2(新規性の欠如) 本願発明は、本願の優先日前に発行された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。 理由3(進歩性の欠如) 本願発明は、本願の優先日前に発行された下記の引用文献1に記載された発明に基づいて、本願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1.特開2002-123218号公報 3 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定は、前記第2の3(2)アにおいて示したとおりである。 4 対比・判断 本願発明と引用発明を対比すると、前記1(3)における検討と、前記第2の3(3)アの(ア)~(エ)の対比を踏まえると、両者は、全ての点において一致するから、本願発明は引用文献1に記載された発明である。また、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもある。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当するものであるから、特許を受けることができない。 また、本願発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-014249

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