商標拒絶査定不服審判
2023-010004
スキップ
- 審判番号
- 2023-010004
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-135592
- 請求日
- 2023年06月16日
- 審決日
- 2024年08月22日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】奥野 彰彦
- 【請求人代理人】SK弁理士法人
- 【請求人代理人】奥野 彰彦
- 【請求人代理人】伊藤 寛之
- 審判長/審判官
- 審判長 板谷 玲子
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 岩谷 禎枝
- 分類
- T18 .261-Z (W36) / T18 .262-Z (W36) / T18 .263-Z (W36) / T18 .264-Z (W36)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-135592拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第36類、第41類及び第45類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、令和3年10月29日に登録出願されたものである。
本願は、令和4年5月13日付けで拒絶の理由が通知され、同年7月1日に意見書が提出されたが、同5年3月10日付けで拒絶査定され、これに対し、同年6月16日に拒絶査定不服審判が請求され、本願の指定役務は、同日受付の手続補正書により、第36類「工業所有権・著作権等の知的所有権に関する財産的価値の評価,工業所有権・著作権等の知的所有権の財産的価値の評価に関する助言・指導又は情報の提供」(以下「当審補正役務」という。)と補正されたものである。
第2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第3086156号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2とおりの構成よりなり、第36類に属する別掲3のとおりの役務を指定役務として、平成4年9月21日に登録出願、同7年10月31日に設定登録されたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、本願商標と引用商標の構成中の「SKiP」の文字部分とは、外観において近似する印象を与え、称呼及び観念を共通にすることから、本願商標と引用商標は類似の商標であり、また、本願の指定役務中の第36類の指定役務と引用商標の指定役務とは、役務の目的や需要者、提供者の範囲に相当程度の共通性が認められ、これらの役務に同一又は類似の商標を使用するときには、同一営業主の提供に係る役務と誤認されるおそれがある類似の役務であるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号の該当性について
(1)本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、「SKiP」(「S」、「K」、「P」の欧文字は青字で表してなり、「i」の欧文字は他の欧文字と高さをほぼ同じくし、黒字で表してなる。以下同じ。)の欧文字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して「スキップ」の称呼が生じるものである。
また、「skip(スキップ)」の語は、「片足で2度ずつ交互にかるく飛びはねながら行くこと。一部を省略したり順番を飛ばしたりして先に進むこと。」(岩波書店発行「広辞苑 第七版」)の意味を有する語である。
したがって、本願商標は、「SKiP」の欧文字に相応して「スキップ」の称呼が生じ、「片足で2度ずつ交互にかるく飛びはねながら行くこと。一部を省略したり順番を飛ばしたりして先に進むこと。」の観念が生じるものである。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲2のとおり、恐竜を模した図形(以下「恐竜様図形」という。)の下に太字で顕著に「SKiP」の欧文字を横書きし、当該欧文字の上部に小さく「スキップ」の片仮名(以下、これらの文字をまとめていう場合は、「文字部分」という。)を配してなるところ、恐竜様図形及び文字部分は、重なることなく配置されており、これらを分離して観察することが、取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえず、それぞれが、視覚的に分離して把握されるものである。
そして、引用商標の構成中の恐竜様図形は、恐竜をモチーフとした図形であると認識され得るとしても、恐竜様図形が、我が国において特定の意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められず、また、これより特定の称呼は生じない。
引用商標の構成中の文字部分は、太字で顕著に表された「SKiP」の欧文字とその上部に「スキップ」の片仮名を配した構成よりなるところ、構成中の「スキップ」の片仮名は、「SKiP」の欧文字の読みを表したと容易に理解し得るものであり、「SKiP」の欧文字に比べて、小さく書してなるものであるから、文字部分は、太字で顕著に表された「SKiP」の欧文字が、看者の注意を引く部分であるといえる。
また、上記(1)のとおり、「skip(スキップ)」の語は、「片足で2度ずつ交互にかるく飛びはねながら行くこと。一部を省略したり順番を飛ばしたりして先に進むこと。」(前掲書)の意味を有する語であって、引用商標の指定役務との関係において、自他役務の識別標識としての機能を有さないと判断するべき特段の事情はない。
さらに、引用商標の構成中の恐竜様図形と文字部分とが、一体となって観念的なつながりを有するという事情はない。
そうすると、引用商標は、その構成中の「SKiP」の欧文字を引用商標の要部として抽出し、この部分のみを本願商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
したがって、引用商標は、その構成中の要部である「SKiP」の欧文字に相応して「スキップ」の称呼が生じ、「片足で2度ずつ交互にかるく飛びはねながら行くこと。一部を省略したり順番を飛ばしたりして先に進むこと。」の観念が生じるものである。
(3)本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標を比較すると、両商標は、構成全体を見た場合、外観において相違するが、本願商標と引用商標の要部である「SKiP」の欧文字とは、文字の書体、配置及び色彩が相違するとしても、いずれも「S」、「K」、「i」及び「P」の構成文字を同じくするものであるから、外観上、類似するものである。
また、本願商標と引用商標の要部は、「スキップ」の称呼及び「片足で2度ずつ交互にかるく飛びはねながら行くこと。一部を省略したり順番を飛ばしたりして先に進むこと。」の観念を同一にするものである。
そうすると、本願商標と引用商標の要部は、外観において類似し、称呼及び観念を同一にする相紛れるおそれのあるものであるから、本願商標と引用商標は、類似の商標と判断するのが相当である。
(4)本願の指定役務と引用商標の指定役務との類否について
ア 商標法第4条第1項第11号における役務の類否は、出願商標及び引用商標の指定役務に同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主の製造・販売又は提供に係る役務と誤認されるおそれがあると認められる関係にあるかにより判断すべきであり、具体的には、提供の手段、目的又は場所、提供に関連する物品、需要者・取引者の範囲、提供主体の業種、当該役務に関する業務や事業者を規制する法律、同一の事業者が提供するものであるかどうか等の取引の事情を総合的に検討し、個別具体的に判断すべきである(令和4年(行ケ)第10090号判決)。
イ 本願商標の出願に適用されるニース協定第1条に規定する国際分類(国際分類第11-2021版対応)(以下「国際分類」という。)を構成する類別表の第36類の注釈には、第36類について、「主として、銀行業務及びその他の金融又は財務取引、財務評価、並びに保険及び不動産活動を含む。」との記載がある。
ウ 当審補正役務及び引用商標の指定役務は、いずれも国際分類の第36類を指定していることから、これらの役務は「銀行業務及びその他の金融又は財務取引、財務評価」に該当する役務と判断するのが相当である。
エ 当審補正役務は、具体的には、「知的財産権等の財産的価値の評価に関する役務」であるが、事業者等が金融機関から融資を受ける場合、金融機関は、当該事業者等の事業状況や実績、財務状態等を総合的に判断し、融資の可否を決定し、融資額を算出する。
そして、別掲4のとおり、企業の持つ知的財産の価値と金融機関における融資や支援について、金融機関は、2014年の「中小企業知財金融促進事業」の推進に伴い、知的財産権等の財産的価値を勘案した企業の成長性に基づいて、融資の決定を行っていることがうかがえ、別掲5のとおり、実際に、知的財産権を担保とした融資が、複数の銀行によって実施されている事実がある。
オ 以上からすると、当審補正役務中の「工業所有権・著作権等の知的所有権に関する財産的価値の評価」と引用商標の指定役務中の「資金の貸付け」とは、いずれも、金融機関が提供する役務であるといえ、これらの役務は、事業者が保有する権利等の財務評価を含む融資を目的とするものであり、その需要者は、融資を受けようとする事業者が主であり、かかる役務を提供する事業者は、融資を行う金融機関である。
したがって、当審補正役務中の「工業所有権・著作権等の知的所有権に関する財産的価値の評価」と引用商標の指定役務中の「資金の貸付け」とは、役務の目的、需要者の範囲、提供主体の業種を同じくし、同一の事業者が提供するものであり、類似の役務と判断するのが相当であり、これらの役務に同一又は類似の商標が使用された場合には、同一営業主の提供に係る役務であると誤認されるおそれがあるといえる。また、当審補正役務中のその他の役務と引用商標の指定役務は、いずれも「銀行業務及びその他の金融又は財務取引、財務評価」に該当する役務であって、一般的に金融機関が提供する役務であるから、類似の役務と判断するのが相当である。
(5)小括
以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、当審補正役務は、引用商標の指定役務と類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、審判請求書において、引用商標は恐竜様図形が役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるから、本願商標と引用商標とは、外観において類似の印象を与えるものではなく、全体的に考察すれば、本願商標と引用商標とは、互いに紛れるおそれのない非類似の商標である旨主張する。
しかしながら、上記1(2)のとおり、引用商標は、その構成中の「SKiP」の欧文字を引用商標の要部として抽出し、この部分のみを本願商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである上、当該文字(語)は、馴染みのある称呼しやすい言葉であることから、引用商標を見る者に強い印象を与えるとともに、その注意を強く引くものであるといえる。
そうすると、本願商標は、引用商標の要部である「SKiP」の欧文字と外観において類似し、称呼及び観念を同一にする相紛れるおそれのあるものであるから、本願商標と引用商標は、類似の商標と判断するのが相当である。
(2)請求人は、審判請求書において、引用商標の指定役務における主目的は金融商品の提供や融資であって、当審補正役務と、引用商標に係る第36類の指定役務は、役務の目的や需要者、提供者の範囲に共通性が認めらないことから、これらの役務に同一又は類似の商標を使用したとしても、同一営業主の提供に係る役務と誤認されるおそれがない旨主張する。
しかしながら、上記1(4)のとおり、当審補正役務と引用商標の指定役務とは、役務の目的、需要者の範囲、提供主体の業種を同じくし、同一の事業者が提供するものであるから、これらは、類似の役務と判断するのが相当である。
(3)請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、引用商標との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-010004