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特許拒絶査定不服審判

2023-005621

治療要求を正確に満たす患者の体の標的領域へのエネルギーの伝送

審判番号
2023-005621
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-507057外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年04月06日
審決日
2024年03月05日
公報発行日
2024年08月30日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .113-Z (A61N) / P18 .121-Z (A61N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項第1号、特許法第17条の2第5項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-507057号「治療要求を正確に満たす患者の体の標的領域へのエネルギーの伝送」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 2月13日国際公開、WO2020/033855、令和 3年12月 2日国内公表、特表2021-532943号〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 10項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、2019年(令和 1年) 8月 9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2018年 8月 9日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和 3年 4月 2日提出:国際出願翻訳文提出書
令和 3年 4月 2日提出:手続補正書
令和 4年 3月16日付け:拒絶理由通知書
令和 4年 8月15日提出:意見書、手続補正書
令和 4年12月 2日付け:拒絶査定
令和 5年 4月 6日提出:審判請求書、手続補正書

第2 本願発明

令和 5年 4月 6日提出の手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の請求項2、4を削除する補正であり、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除を目的とする補正に該当するから、特許法第17条の2第5項の要件を満たしている。

したがって、本件補正は適法になされたものである。

よって、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものである。

「正確に成型されたドーズ量分布及び/又は注入量分布を患者の体の一定の形状又はサイズを有する標的領域に伝送するシステムであって、
ビーム経路決定ユニットと、エネルギー伝送システムと、を含み、
前記ビーム経路決定ユニットは、前記ドーズ量分布又は注入量分布を前記標的領域に伝送するための電磁ビームの1つ又は複数の経路を含むスキャンパターンを定義するように配置され、前記ドーズ量分布又は前記注入量分布は、パラメータによって定義され、前記パラメータは、ビームパワー、スキャンレート、ビームパワー変調レートを少なくとも含み、かつ、前記パラメータは、ビームパワーで前記標的領域への照射を実行し、前記標的領域に対する間欠的な照射の形成をもたらすように選択され、
前記エネルギー伝送システムは、エネルギー源及び案内装置を含み、前記ビーム経路決定ユニットに結合され、前記エネルギー源が、前記パラメータを有する前記電磁ビームを投射するように配置され、前記案内装置が、前記スキャンパターンに沿って前記電磁ビームを案内して、前記標的領域にエネルギーを累積し、前記標的領域に対する間欠的な照射の形成をもたらすように配置される、ことを特徴とするシステム。」

第3 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、概略次の理由を含むものである。

3.(新規性)本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

4.(進歩性)本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記引用文献1に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:国際公開第2017/183826号

第4 引用文献の記載及び引用発明

1 引用文献1の記載

引用文献1には、次の記載がある。

なお、訳はファミリー出願である特表2019-513500号公報による。そして、引用文献1の段落[32]、[38]等は、それぞれ上記ファミリー出願の段落【0026】、【0032】等に対応する。

また、下線は当審で付した。

さらに、図面の記載は上記ファミリー出願の対応する図面を採用する。

(1)「
[図:0001412875000001.jpg]
」

(訳:【0026】

図1を参照すると、レーザーの照射装置(10)は、スキャナー(Scanner,300)と、ロボットアーム(Robot-Arm,100)及び制御部(200)を備えていてもよい。)

(2)「
[図:0001412875000002.jpg]
」

(訳:【0032】

ロボットアーム(100)は、図3に示すように、エンドエフェクター(End-Effector,EE,101)を取り付け、制御部(200)の制御に応じて、オブジェクト(400)の表面にレーザーを照射してもよい。詳しくは、ロボットアーム(100)は、ガイド経路(GP)に対応して、オブジェクト(400)の表面にレーザーを照射してもよい。レーザーは、エンドエフェクター(101)を介して発射されてもよい。このようなロボットアーム(100)をマニピュレーター(Manipulator)と見なしてもよい。

【0033】

制御部(200)は、レーザーの照射装置(10)の全般的な機能及び動作を制御してもよい。

【0034】

制御部(200)は、ビジョン制御部(210)とモーション制御部(220)を備えていてもよい。)

(3)「
[図:0001412875000003.jpg]
」

(訳:【0038】

ビジョン制御部(210)は、3次元イメージ上におけるオブジェクト(400)の表面の上に関心領域(Region Of Interest,ROI)を設定してもよい。

【0039】

関心領域(ROI)は、レーザーの照射が必要な部分を含む領域であってもよく、これは、ユーザー(例えば、医者)によって設定されてもよく、又は、前記3次元イメージの処理を通じて自動的に設定されてもよい。)

(4)「
[図:0001412875000004.jpg]
[図:0001412875000005.jpg]
」

(訳:【0047】

以下では、オブジェクトの表面においてレーザーが照射されて治療が必要な部分を治療領域(Region Of Therapy,ROT)と称してもよい。

【0048】

例えば、前記治療領域(ROT)は、人間の皮膚に生じる斑点、シミ、そばかす、火傷の痕跡、入れ墨、にきびの痕跡、目の周りのくまなどであってもよいが、本発明は、これに何等限定されず、様々な種類、波長又は周波数のレーザーを照射して治療可能な領域であってもよい。

【0049】

上述したような色及び/又は明暗が周りとは異なる部分が、ビジョン制御部(210)によって前記治療領域(ROT)であると判断されてもよい。

【0050】

本発明の一実施形態によれば、上述したように、関心領域(ROI)と治療領域(ROT)は別途に設定されてもよいが、必要に応じて、実際にレーザーが照射されるべき治療領域(ROT)のみが設定されてもよい。

【0051】

ビジョン制御部(210)は、上述したようにして判断(又は、設定)された情報に基づいて、レーザー治療のためのオブジェクト上の移動パターンを構成し、前記移動パターンは、前記関心領域(ROI)又は治療領域(ROT)を通るガイド経路(Guide Path,GP)を設定することによって構成されてもよい。)

(5)「
[図:0001412875000006.jpg]
」

(訳:【0056】

例えば、モーション制御部(220)は、前記ビジョン制御部(210)において設定されたガイド経路(GP)及びレーザー照射ポイントに基づいて、ロボットアーム(100)のレーザー部の移動及びレーザー照射を制御してもよい。)

(6)「
[図:0001412875000007.jpg]
」

(訳:【0113】

前記レーザーのフルエンスは、単位面積当たりに伝達されるレーザーのエネルギー(J/cm2)を示すものであり、レーザーの強度又は強さを示してもよい。なお、前記レーザーの周波数は、レーザーの発射周波数(emission frequency)を意味してもよい。)

(7)「
[図:0001412875000008.jpg]
[図:0001412875000009.jpg]
[図:0001412875000010.jpg]
[図:0001412875000011.jpg]
[図:0001412875000012.jpg]
」

(訳:【0134】

一方、モーション制御部(220)の制御下で、治療領域(ROT)の色及び/又は明るさの度合いに基づいて、レーザーの周波数、照射時間、照射回数又はフルエンスのうちの少なくとも一つを調節することが可能である。

【0135】

図16を参照すると、治療領域(ROT)は、第1の治療領域(ROT1)と第2の治療領域(ROT2)を含んでいてもよい。

【0136】

ここで、第2の治療領域(ROT2)の色は、第1の治療領域(ROT1)の色よりも濃くてもよく、第2の治療領域(ROT2)の明るさは、第1の治療領域(ROT1)の明るさよりも低くてもよい。

【0137】

または、第2の治療領域(ROT2)の明るさは、予め設定された臨界明るさ値よりも低く、第1の治療領域(ROT1)の明るさは、予め設定された臨界明るさ値よりも高くてもよい。

【0138】

この場合、第2の治療領域(ROT2)は、第1の治療領域(ROT1)に比べて集中的な治療が必要な部分であると認められる。

【0139】

レーザーの開始地点(Ps)から始まって、順次、ガイド経路(GP)上における第2の一般領域(RON2)と第1の治療領域(ROT1)との境界点を第1の地点(X1)とし、第1の治療領域(ROT1)と第2の治療領域(ROT2)との境界点を第2の地点(X2)とし、第2の治療領域(ROT2)と第2の一般領域(RON2)との境界点を第3の地点(X3)とし、第2の一般領域(RON2)と第1の治療領域(ROT1)との境界点を第4の地点(X4)とし、第1の治療領域(ROT1)と第2の治療領域(ROT2)との境界点を第5の地点(X5)とし、第2の治療領域(ROT2)と第1の治療領域(ROT1)との境界点を第6の地点(X6)とし、第1の治療領域(ROT1)と第2の治療領域(ROT2)との境界点を第7の地点(X7)とし、第2の治療領域(ROT2)と第1の治療領域(ROT1)との境界点を第8の地点(X8)とする。

【0140】

図17に示すように、レーザーの開始地点(Ps)から第1の地点(X1)までの間及び第3の地点(X3)から第4の地点(X4)までの間においては、レーザーをターンオフさせてもよい。例えば、Ps-X1区間及びX3-X4区間は、第2の一般領域(RON2)に含まれる区間であるため、ロボットアーム(100)がレーザーを照射しなくてもよい。

【0141】

一方、X1-X2区間、X4-X5区間、X6-X7区間及び第8の地点(X8)から減速区間(D3)の開始前までの区間においては、レーザーの周波数を第1の周波数(f1)に設定してもよい。

【0142】

そして、X1、X3及びX4地点においては、エンドエフェクター(101)の速度の変化、レーザーのフルエンス(Fluence)又はパルス幅(pulse duration)などの調整によるレーザーのフルエンス又は周波数の変化を通じて、漸進的な照射条件の変化(gradation)が与えられるようにしてもよい。

【0143】

また、前記X1、X3及びX4以外の地点においても、上述したような漸進的な照射条件の変化(gradation)が与えられるようにしてもよい。

【0144】

これに対し、X2-X3区間、X5-X6区間及びX7-X8区間においては、レーザーの周波数を第1の周波数(f1)よりも高い第2の周波数(f2)に設定してもよい。

【0145】

この場合、第2の治療領域(ROT2)に相対的にさらに強いレーザーが照射可能になるので、治療効率が向上する。

【0146】

図18の(A)を参照すると、X1-X3区間、X4-X8区間及び第8の地点(X8)から減速区間(D3)の開始前までの区間においては、レーザーの周波数を第1の周波数(f1)に同様に設定してもよい。

【0147】

このように、レーザーの周波数を保った状態で、図18の(B)に示すように、加速区間(D1)が終了する地点から第2の地点(X2)までの区間、X3-X5区間、X6-X7区間及び第8の地点(X8)から減速区間(D3)の開始前までの区間においては、ロボットアーム(100)の移動速度を第1の速度(V1)に設定してもよい。

【0148】

これに対し、X2-X3区間、X5-X6区間及びX7-X8区間においては、ロボットアーム(100)の移動速度を第1の速度(V1)よりも遅い第2の速度(V2)に設定してもよい。

【0149】

この場合、第2の治療領域(ROT2)に相対的にさらに長い間にレーザーが照射可能になるので、治療効率が向上する。

【0150】

すなわち、エンドエフェクター(EE)の速度とレーザーのフルエンス(fluence)は一定しており、レーザーの周波数(emission frequency)が高くなる場合、第2の治療領域(ROT2)に相対的にレーザーのオーバーラップ率(overlapping)が高くなってさらに多量のレーザーエネルギーが伝達可能である。

【0151】

一方、第2の治療領域(ROT2)に対しては、治療回数を第1の治療領域(ROT1)に比べて相対的にさらに多く設定してもよい。これについて、添付の図19を参照して、以下に説明する。

【0152】

図19の(A)は、ロボットアーム(100)が関心領域(ROI)内においてガイド経路(GP)に沿ってオブジェクト(400)の表面にレーザーを照射して1回目のレーザー治療を実施する状況を示すものであり、図19の(B)は、1回目の治療が終了した後に、2回目の治療を実施する状況を示すものである。

【0153】

図19の(A)を参照すると、X1-X3区間、X4-X8区間及び第8の地点(X8)から減速区間(D3)の開始前までの区間においては、ロボットアーム(100)がレーザーを照射し、ここで、レーザーの周波数を第1の周波数(f1)に同様に設定してもよい。

【0154】

図19の(B)を参照すると、2回目の治療過程においては、第2の治療領域(ROT2)に対応するX2-X3区間、X5-X6区間及びX7-X8区間においてロボットアーム(100)がレーザーを照射し、ここで、レーザーの周波数を第2の周波数(f2)と第1の周波数(f1)との差分に相当する周波数に同様に設定してもよい。

【0155】

これにより、第2の治療領域(ROT2)においては、第2の周波数(f2)のレーザーが照射される場合と略同じ治療効果が得られる。)

(8)「
[図:0001412875000013.jpg]
」

(訳:【0168】

図25を参照すると、モーターとモータードライブは、ロボットアーム(100)を動作させ、レーザー発射部がレーザーを発射すれば、反射ミラーがこれを所定の角度で反射してエンドエフェクターに達するようにし、ロボットアーム(100)の末端部に連結されたエンドエフェクター(EE)がレーザーをオブジェクト(400)の表面に照射してもよい。

【0169】

例えば、モーターとモータードライブは、ビジョン制御部(210)によって設定されたガイド経路(GP)に沿ってエンドエフェクター(EE)が移動するように、モーション制御部(220)によって制御されてもよい。

【0170】

また、レーザー発射部(Laser Emitter)は、ビジョン制御部(210)によって設定されたレーザー照射ポイントにレーザーが照射されるように、モーション制御部(220)によって制御されてもよい。)

(9)「図1
[図:0001412875000014.jpg]
」
(10)「図3
[図:0001412875000015.jpg]
」
(11)「図16
[図:0001412875000016.jpg]
」
(12)「図19
[図:0001412875000017.jpg]
」
(13)「図25
[図:0001412875000018.jpg]
」

2 引用発明

上記(1)~(5)、(7)~(8)の特に下線部の記載及び(9)~(13)の図面の記載の記載からすれば、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「治療領域(Region Of Therapy,ROT)へのレーザーの周波数、照射時間、照射回数又はフルエンスのうちの少なくとも一つを調節し、レーザーを治療領域(ROT)に照射するレーザーの照射装置(10)であって、
制御部(200)は、ビジョン制御部(210)と、モーション制御部(220)と、を備え、
前記ビジョン制御部(210)は、治療領域(ROT)を通るレーザー照射のガイド経路(GP)を設定し、
前記モーション制御部(220)は、レーザーの周波数、照射時間、照射回数又はフルエンスのうちの少なくとも一つを調節することが可能であり、かつ、ガイド経路(GP)及びレーザー照射ポイントに基づいて、ロボットアーム(100)のレーザー部の移動及びレーザー照射を制御して、治療領域(ROT)にレーザーを照射するものであって、ロボットアーム(100)を用いて、前記ビジョン制御部(210)よって設定されたガイド経路(GP)に沿ってロボットアーム(100)のレーザー部であるエンドエフェクター(EE)を移動し、レーザー照射ポイントにレーザーが照射されるように制御し、治療領域(ROT)に1回目のレーザー治療と2回目のレーザー治療を行う、レーザーの照射装置(10)。」

第5 対比

1 本願発明と引用発明を対比する。

(1)引用発明の「周波数、照射時間、照射回数又はフルエンスのうちの少なくとも一つを調節」は「治療領域(Region Of Therapy,ROT)へのレーザー」の照射のために行われており、引用文献1の段落[144](上記第4の1(7)の訳の【0138】参照。)に第1の治療領域(ROT1)に比べて第2の治療領域(ROT2)に集中的な治療を行う旨記載されていることを踏まえると、本願発明の「正確に成型されたドーズ量分布及び/又は注入量分布を患者の体」「に伝送する」に相当し、以下同様に、引用発明の「治療領域(ROT)」は、本願発明の「患者の体の一定の形状又はサイズを有する標的領域」に、引用発明の「レーザーの照射装置(10)」は、本願発明の「伝送するシステム」に、それぞれ相当する。

してみれば、引用発明の「治療領域(Region Of Therapy,ROT)へのレーザーの周波数、照射時間、照射回数又はフルエンスのうちの少なくとも一つを調節し、レーザーを治療領域(ROT)に照射するレーザーの照射装置(10)」は、本願発明の「正確に成型されたドーズ量分布及び/又は注入量分布を患者の体の一定の形状又はサイズを有する標的領域に伝送するシステム」に相当する。

(2)引用発明の「ビジョン制御部(210)」は、「治療領域(ROT)を通るレーザー照射のガイド経路(GP)を設定」するものである。

そして、(1)で述べたとおり、「レーザー」(機能及び構造上、本願発明の「電磁ビーム」に相当する。)が、ドーズ量分布又は注入量分布を前記標的領域に伝送するためのものであることは明らかであるから、引用発明の「治療領域(ROT)を通るレーザー照射のガイド経路(GP)を設定」する「ビジョン制御部(210)」は、本願発明の「前記ドーズ量分布又は注入量分布を前記標的領域に伝送するための電磁ビームの1つ又は複数の経路を含むスキャンパターンを定義するように配置され」た「ビーム経路決定ユニット」に相当する。

(3)上記第4の1(6)の記載からすれば、引用発明の「フルエンス」及び「周波数」は、レーザーの強度又は強さを示すものであるから、本願発明の「ビームパワー」に相当し、また、引用発明の「フルエンス」及び「周波数」は調節されるものであり、その調節の割合は、本願発明の「ビームパワー変調レート」に相当する。さらに、引用発明の「照射時間」は、移動速度を変化させることにより調節されるものであるから、本願発明の「スキャンレート」に相当する。

そして、引用発明の「制御部(200)」は、「モーション制御部(220)」において、「レーザーの周波数、照射時間、照射回数又はフルエンスのうちの少なくとも一つを調節」して「レーザーを照射」しているから、引用発明の「制御部(200)」が、「レーザーの周波数、照射時間、照射回数又はフルエンスのうちの少なくとも一つを調節」して「レーザーを照射する」ことは、本願発明の「ビーム経路決定ユニット」が、「前記ドーズ量分布又は前記注入量分布は、パラメータによって定義され、前記パラメータは、ビームパワー、スキャンレート、ビームパワー変調レートを少なくとも含み、かつ、前記パラメータは、ビームパワーで前記標的領域への照射を実行し、前記標的領域に対する照射の形成をもたらすように選択され」ることに相当する。

(4)引用発明の「レーザー発射部」及び「ロボットアーム(100)」は、機能及び構造上、本願発明の「エネルギー源」及び「案内装置」に、それぞれ相当する。

そして、引用発明の「モーション制御部(220)」は、ビジョン制御部(210)によって設定されたガイド経路(GP)に沿ってロボットアーム(100)のレーザー部であるエンドエフェクタ(EE)を移動し、レーザー照射ポイントにレーザーが照射されるように制御するのであるから、当該エンドエフェクタ(EE)は、ビジョン制御部(210)に結合され、レーザー発射部が、周波数、照射時間、照射回数又はフルエンスのうちの少なくとも一つを調整したレーザーを投射するように配置され、ロボットアーム(100)のレーザー部であるエンドエフェクター(EE)が、ガイド経路(GP)に沿って前記レーザーを案内している。

また、引用発明は、レーザーの照射に際して、「治療領域(ROT)に1回目のレーザー治療と2回目のレーザー治療を行う」のであるから、ロボットアーム(100)は、治療領域(ROT)にエネルギーを累積し、前記治療領域(ROT)を含む関心領域(ROI)に対する照射の形成をもたらすように配置されている。

よって、引用発明の「ガイド経路(GP)及びレーザー照射ポイントに基づいて、ロボットアーム(100)のレーザー部の移動及びレーザー照射を制御して、治療領域(ROT)にレーザーを照射するものであって、ロボットアーム(100)を用いて、前記ビジョン制御部(210)よって設定されたガイド経路(GP)に沿ってロボットアーム(100)のレーザー部であるエンドエフェクター(EE)を移動し、レーザー照射ポイントにレーザーが照射されるように制御し、治療領域(ROT)に1回目のレーザー治療と2回目のレーザー治療を行う」「モーション制御部(220)」、「レーザー発射部」及び「ロボットアーム(100)」と、本願発明の「エネルギー源及び案内装置を含み、前記ビーム経路決定ユニットに結合され、前記エネルギー源が、前記パラメータを有する前記電磁ビームを投射するように配置され、前記案内装置が、前記スキャンパターンに沿って前記電磁ビームを案内して、前記標的領域にエネルギーを累積し、前記標的領域に対する間欠的な照射の形成をもたらすように配置される」「エネルギー伝送システム」は、「エネルギー源及び案内装置を含み、前記ビーム経路決定ユニットに結合され、前記エネルギー源が、前記パラメータを有する前記電磁ビームを投射するように配置され、前記案内装置が、前記スキャンパターンに沿って前記電磁ビームを案内して、前記標的領域にエネルギーを累積し、前記標的領域に対する照射の形成をもたらすように配置されるエネルギー伝送システム」である点で一致する。

2 一致点及び相違点

以上のことから、本願発明と引用発明は次の一致点及び一応の相違点を有する。

【一致点】

「正確に成型されたドーズ量分布及び/又は注入量分布を患者の体の一定の形状又はサイズを有する標的領域に伝送するシステムであって、
ビーム経路決定ユニットと、エネルギー伝送システムと、を含み、
前記ビーム経路決定ユニットは、前記ドーズ量分布又は注入量分布を前記標的領域に伝送するための電磁ビームの1つ又は複数の経路を含むスキャンパターンを定義するように配置され、前記ドーズ量分布又は前記注入量分布は、パラメータによって定義され、前記パラメータは、ビームパワー、スキャンレート、ビームパワー変調レートを少なくとも含み、かつ、前記パラメータは、ビームパワーで前記標的領域への照射を実行し、前記標的領域に対する照射の形成をもたらすように選択され、
前記エネルギー伝送システムは、エネルギー源及び案内装置を含み、前記ビーム経路決定ユニットに結合され、前記エネルギー源が、前記パラメータを有する前記電磁ビームを投射するように配置され、前記案内装置が、前記スキャンパターンに沿って前記電磁ビームを案内して、前記標的領域にエネルギーを累積し、前記標的領域に対する照射の形成をもたらすように配置されるシステム。」

【一応の相違点】

電磁ビームの標的領域に対する照射が、本願発明では、「間欠的な」照射であるのに対して、引用発明では、そのように特定されていない点。

第6 判断

引用発明は、治療領域(ROT)に1回目のレーザー治療と2回目のレーザー治療を行うものであり、図16及び19(上記第4の1(11)及び(12)参照。)のガイド経路及び照射態様(周波数)を踏まえると、引用発明のレーザー(すなわち、電磁ビーム)は、平行移動するレーザーが同じ位置を繰り返し通るものであり、「間欠的な」照射をしているといえる。

また、引用文献1の段落[150]~[151](上記第4の1(7)の訳の【0144】~【0145】参照。)には、周波数を上げることで強いレーザーを照射することが記載されており、引用発明のレーザーは、いわゆるパルスレーザーであるから、レーザー自体も「間欠的な」照射を行っている。

さらに、本願発明の「間欠的な照射」の意味が、電磁ビームの平行移動による間欠的な曝露を意味する(すなわち、本願明細書の段落【0035】~【0036】に記載されたような内容に限定される。)としても、引用文献1の上記図16(上記第4の1(11)参照。)には、レーザーの平行移動を伴いながら周波数や移動速度を変えてレーザーを照射することが記載されているから、上記一応の相違点は実質的な相違点ではない。

よって、上記一応の相違点は、実質的な相違点ではないから、本願発明は引用発明である。

また、仮に実質的な相違点であるとしても、当業者が容易になし得る程度のものである。

そして、請求人は審判請求書において、本願発明は、段落【0035】~【0036】に記載された有益な技術効果を奏する旨主張している(審判請求書5頁1~22行参照。)が、当該段落に記載された技術効果は、スキャンビームを採用したことによる静止ビームに比した技術効果にすぎず、引用発明も上記のとおり平行移動しながらレーザー照射を行っている以上、同様の効果を奏する。

第7 むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、または、同法第2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2023-005621

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