商標拒絶査定不服審判
2023-000954
アルトスデルプラタ、テラザスデロスアンデス、アルトス、デルプラタ、テラザス、デロスアンデス
- 審判番号
- 2023-000954
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-100147
- 請求日
- 2023年01月20日
- 審決日
- 2024年03月13日
- 公報発行日
- 2024年08月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ボデガス シャンドン エスエー
- 【請求人代理人】関口 一哉
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 啓之
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 青野 紀子
- 分類
- T18 .261-Z (W33) / T18 .262-Z (W33) / T18 .263-Z (W33)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-100147拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第33類「アルコール飲料(ビールを除く。),りんご酒,消化促進酒(リキュール及びスピリッツ),ぶどう酒,スピリッツ(飲料),スピリッツ(蒸留酒),アルコールエキス(ビール用のものを除く。),アルコールエッセンス」を指定商品として、令和3年8月11日に登録出願されたものである。
本願は、令和4年3月14日付けで拒絶理由の通知がされ、同年9月16日に意見書が提出されたが、同年10月19日付けで拒絶査定がされたもので、これに対して、同5年1月20日に拒絶査定不服審判の請求がされた。
2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した国際登録第1022017号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、2009年11月6日に国際商標登録出願、第33類「Alcoholic beverages, except beers.」を指定商品として、平成22年10月8日に設定登録され、この商標権は、現に有効に存続しているものである。
3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、本願商標の要部の一つである「ALTOS」の文字部分と、引用商標の要部の一つである「ALTOS」の文字部分とを比較すると、両者は、観念において比較できないとしても、「アルトス」の称呼及び外観における「ALTOS」の文字を共通にするものであるから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すると、本願商標と引用商標とは類似の商標であり、本願の指定商品は、引用商標に係る指定商品と同一又は類似する指定商品であるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
ア 本願商標と引用商標との類否について
(ア)本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、上段に、幾何学的な図形、「ALTOS」の欧文字及び「DEL PLATA」の欧文字を内部に有する白色の縦長長方形(以下「上段部分」という。)を配し、下段に、幾何学的な図形、「TERRAZAS」の欧文字及び「de los Andes」の欧文字を内部に有する黒色の横長長方形(以下「下段部分」という。)を配した構成からなるものである。
そして、上段部分と下段部分は、横幅を同じ長さにそろえて表されているものの、両者は、重なり合うことなく、僅かに間隔を空け、かつ、色彩を異にするため、それぞれが視覚上分離して観察されるものである。
また、上段部分と下段部分は、観念上のつながりはなく、他に両者を常に一体のものとして把握しなければならない特段の事情は認められない。
そうすると、本願商標は、上段部分と下段部分とを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められない。
してみると、本願商標は、上段部分と下段部分とがそれぞれ独立して出所識別標識としての機能を果たすものといえる。
そこで、本願商標の構成中、上段部分についてみるに、白色の縦長長方形内における幾何学的な図形、「ALTOS」の欧文字及び「DEL PLATA」の欧文字は、それぞれ重なり合うことなく、色彩を異にして表されているため、これらは視覚上分離して観察されるものである。
また、上段部分における各構成要素は、観念上のつながりはなく、他にこれらを常に一体のものとして把握しなければならない特段の事情は認められない。
そうすると、上段部分における各構成要素は、それぞれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められない。
また、上段部分における各構成要素のうち、「ALTOS」の欧文字は、ややデザイン化され(「A」と「L」が他の文字に比べて縦長にデザイン化されている。)、黒色の太字で、白色の縦長長方形内の中央に大きく顕著に表されており、そのため、本願商標に接する取引者、需要者に特に目を引く部分であるといえる。
そうすると、当該「ALTOS」の欧文字は、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。
してみると、本願商標は、引用商標との類否を判断するに当たって、その構成中、「ALTOS」の欧文字を要部として抽出し、この部分のみを引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
したがって、本願商標は、その構成中「ALTOS」の欧文字に相応して、「アルトス」の称呼が生じ、特定の観念を生じないものである。
(イ)引用商標について
引用商標は、別掲2のとおり、上段に、黒色の太字で大きく「ALTOS」の欧文字を書し、下段に、筆記体風に表した「R」の文字を内部に有する図形を配した構成からなるものである。
そして、引用商標の構成中、上段の文字部分と、下段の図形部分とは、重なり合うことなく、上下に表されているため、それぞれが視覚上分離して観察されるものである。
また、上段の文字部分と下段の図形部分は、観念上のつながりはなく、他に両者を常に一体のものとして把握しなければならない特段の事情は認められない。
そうすると、引用商標は、上段の文字部分と下段の図形部分とを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められない。
してみると、引用商標は、上段の文字部分と下段の図形部分とがそれぞれ独立して出所識別標識としての機能を果たすものといえる。
したがって、引用商標は、その構成中の「ALTOS」の文字部分を要部として抽出し、この部分のみを本願商標と比較することが許されるというべきであり、「ALTOS」の文字に相応して「アルトス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(ウ)本願商標と引用商標との比較について
本願商標の構成中「ALTOS」の文字部分と、引用商標の構成中「ALTOS」の文字部分とを比較すると、外観においては、両者はいずれも黒色の太字で表されているものであり、「ALTOS」の構成文字を共通にするものであるから、本願商標のそれがややデザイン化されていることを考慮しても、相紛れるおそれがあるものとみるのが相当である。
また、称呼及び観念においては、両者はいずれも「アルトス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものであるから、称呼を共通にし、観念において比較することができない。
そうすると、両商標の外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、たとえ観念において比較することができないとしても、外観において相紛れるおそれがあり、称呼を共通にする両商標は、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれのある類似のものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標と引用商標とは、類似するものというべきである。
イ 本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
本願の指定商品である、第33類「アルコール飲料(ビールを除く。),りんご酒,消化促進酒(リキュール及びスピリッツ),ぶどう酒,スピリッツ(飲料),スピリッツ(蒸留酒),アルコールエキス(ビール用のものを除く。),アルコールエッセンス」は、引用商標の指定商品である、第33類「Alcoholic beverages, except beers.」とは同一又は類似する商品である。
ウ 小括
以上によれば、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、かつ、本願商標は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用するものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標と引用商標が「ALTOS」という共通の文字列を含むものの、当該「ALTOS」の文字自体の外観が大きく異なること、また、本願商標の「ALTOS」以外の部分と引用商標の「ALTOS」以外の部分とは大きく異なるものであって、両商標は、その外観が著しく異なるから、類似しない旨主張する。
しかしながら、上記(1)ア(ア)及び(イ)のとおり、本願商標及び引用商標は、いずれも、その構成中「ALTOS」の文字部分を要部として抽出し、この部分のみを他の商標と比較することが許されるというべきであるから、たとえ、当該文字部分以外の部分が大きく異なるとしても、上記(1)の判断は左右されない。
また、商標の外観上の類否を判断するに当たっては、時と場所を異にして離隔的に観察する方法によるべきである(知的財産高等裁判所令和4年1月27日同3年(行ケ)第10092号判決)。
そして、本願商標及び引用商標の構成中の「ALTOS」の文字部分は、いずれも黒色の太字で表されているものであり、「ALTOS」の構成文字を共通にするものであるから、たとえ本願商標のそれがややデザイン化されているとしても、商標を構成する文字をデザイン化して表すことが一般に行われていることをも踏まえれば、両者を隣り合わせて対比させて観察する場合はともかく、時と場所を異にして離隔的に観察する場合には、相紛れるおそれがあるものとみるのが相当である。
イ 請求人は、引用商標の商標権者はスペインのワイナリーであり、そのワイン産地名の頭文字「R」を引用商標の構成中に配しており、一方、本願の出願人(請求人)はアルゼンチンのワイナリーであって、アルゼンチンのワイン産地として知られている「Terrazas de los Andes」の文字を本願商標の構成中に有してなるので、両商標は、その産地を異にするワイン等に使用されるものであるから、消費者が本願商標と引用商標について出所の混同を生じることはない旨述べ、引用商標の商標権者が本願商標の登録に同意する旨の書面を提出している。
ところで、商標の類否判断に当たり考慮することのできる取引の実情とは、その指定商品全般についての一般的、恒常的なそれを指すものであって、単に該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的、限定的なそれを指すものではない(最高裁判所昭和49年4月25日同47年(行ツ)第33号判決)。
そして、たとえ、引用商標の商標権者がスペインのワイナリーであり、本願の出願人(請求人)がアルゼンチンのワイナリーであって、本願商標と引用商標が産地を異にするワインに使用され、かつ、引用商標の商標権者が本願商標の登録に同意しているとしても、当該取引の実情は、本願の指定商品中「ワイン」についての特殊的、限定的な取引の実情というべきであって、商標の類否判断に当たり考慮することのできる一般的、恒常的な取引の実情ということはできない。
そうすると、本願商標については、上記(1)のとおり判断するのが相当である。
なお、商標法第4条第1項第11号の規定の趣旨は、先願の商標権者を保護するとともに、一般取引者、需要者が商品に関して誤認混同することがないことを期したものであると解されるものであるから、本願商標のように、引用商標と類似し、商品の出所混同を生ずるおそれのある商標については、たとえ、引用商標の商標権者の承諾があっても、同項同号に該当すると解すべきである(東京高等裁判所平成8年8月9日同6年(行ケ)第164号判決)。
ウ したがって、請求人の上記主張はいずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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