特許拒絶査定不服審判
2023-000007
レジストパターン用表面改質被膜及び積層基板
- 審判番号
- 2023-000007
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-513401外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年01月04日
- 審決日
- 2024年03月04日
- 公報発行日
- 2024年05月31日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .113-WZ (G03F) / P18 .121-WZ (G03F) / P18 .537-WZ (G03F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項特許法36条6項1号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-513401「レジストパターン用表面改質被膜及び積層基板」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年10月17日国際公開、WO2019/198700〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(平成31年)4月9日(先の出願に基づく優先権主張 平成30年4月13日)を国際出願日とする出願であって、令和4年7月13日付けの拒絶理由の通知に対し、同年8月23日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年10月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対して令和5年1月4日に審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。その後、令和5年11月27日付けで当審から拒絶理由を通知し、これに対して令和6年1月15日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされた。
第2 本件発明
本願の請求項1~6に係る発明は、令和6年1月15日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、次のとおりのものである。
「 下記(式-1)~(式-22)からなる群より選択される化合物の加水分解縮合物の1種、又は(式-23)で表されるポリマー1種を含み、
Si、SiN、SiON、TiSi、TiN又はCr蒸着されていてもよいガラス基板とレジストパターンとの密着を増強させる、
1Å~46Åの膜厚を有する、
レジストパターン用表面改質被膜。
【化23】
[図:0001409774000001.jpg]
【化24】
[図:0001409774000002.jpg]
【化25】
[図:0001409774000003.jpg]
【化26】
[図:0001409774000004.jpg]
【化27】
[図:0001409774000005.jpg]
【化28】
[図:0001409774000006.jpg]
【化29】
[図:0001409774000007.jpg]
【化30】
[図:0001409774000008.jpg]
【化31】
[図:0001409774000009.jpg]
【化32】
[図:0001409774000010.jpg]
【化33】
[図:0001409774000011.jpg]
【化34】
[図:0001409774000012.jpg]
【化35】
[図:0001409774000013.jpg]
【化36】
[図:0001409774000014.jpg]
【化37】
[図:0001409774000015.jpg]
【化38】
[図:0001409774000016.jpg]
【化39】
[図:0001409774000017.jpg]
【化40】
[図:0001409774000018.jpg]
【化41】
[図:0001409774000019.jpg]
【化42】
[図:0001409774000020.jpg]
【化43】
[図:0001409774000021.jpg]
【化44】
[図:0001409774000022.jpg]
【化45】
[図:0001409774000023.jpg]
」
第3 原査定及び当審が通知した拒絶理由の概要
原査定の拒絶理由の概要は、本願の請求項に係る発明は、先の出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、先の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
なお、引用文献1~3は、主引用発明が記載された発明として引用され、引用文献4及び5は、副引用文献として引用されたものである。
引用文献1:特開2017-83849号公報
引用文献2:特開2017-68049号公報
引用文献3:特開2016-74774号公報
引用文献4:特開2016-18051号公報
引用文献5:特開2013-214041号公報
また、当審が通知した拒絶理由の概要は、本願は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が、特許法第36条第6項第1号及び第6項第2号に規定する要件を満たしていない、というものである。
上記に加えて、当審拒絶理由では、原査定の拒絶の理由を留保するものである。
第4 当審の判断
1 本願の発明の詳細な説明
本願の発明の詳細な説明には、以下の記載事項がある。なお、下線は合議体が付したものであり、判断等に用いた箇所を示す。
(1)技術分野
「[0001] 本発明は、レジストパターン用表面改質剤である半導体基板用プライマー、基板上に表面改質剤とレジストパターンとが順に積層した積層基板、パターン形成方法および半導体装置の製造方法に関する。」
(2)発明が解決しようとする課題
「[0006] 従来のレジスト下層膜には、エッチング工程におけるサイドエッチングなどのエッチング不良が起こりやすいという問題がある。したがって、従来の下層膜と比較して膜厚の薄いプライマー層によって基板表面の改質が可能になれば、サイドエッチングなどのエッチング不良を発生することなく、フォトレジストの密着性が改善され、先端リソグラフィープロセスにおけるフォトレジスト解像性が改善されることが期待できる。
[0007] 本発明は、上記事情を改善するためになされたものであり、レジスト膜との密着性が高く、薄膜で良好なレジストパターンの形成が可能な、新規なレジストパターン用表面改質剤である半導体基板用プライマー、基板上に表面改質剤とレジストパターンとが順に積層した積層基板、パターン形成方法および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。」
(3)課題を解決するための手段
「[0008] 本発明は以下を包含する。
[1] 基板上に0.10μm、好ましくは0.05μm以下のレジストパターンを形成する前に基板に塗布して基板とレジストパターンとの密着を増強させるレジストパターン用表面改質剤であって、
下記平均組成式(1)で示される化合物、
下記平均組成式(1)で示される化合物の加水分解物、又は
下記平均組成式(1)で示される化合物の加水分解縮合物
の少なくとも1種を含むことを特徴とするレジストパターン用表面改質剤。
[化1]
R1aR2b(OX)cSiO(4-a-b-c)/2 (1)
(式中、R1は一般式:-(CH2)nY で表される一価の有機基であり、
Yは水素原子、アセトキシ基、γ―ブチロラクトン基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1~C6カルビノール基、ノルボルネン基、トルイル基、C1~C3アルコキシフェニル基、ハロゲン原子若しくはC1~C3アルコキシシリル基で置換されていてもよいC6~C30アリール基、酸素原子で中断されていてもよいC1~C4アルキル基、フェニルスルホンアミド基、C1~C3アルキル基若しくはC2~C5アルケニル基で置換されていてもよい環状アミドに由来する一価の基、C1~C3アルキル基若しくはC2~C5アルケニル基で置換されていてもよい環状イミドに由来する一価の基、C1~C3アルキル基若しくはC2~C5アルケニル基で置換されていてもよいC3~C6環状アルケニル基、フェニルスルホン基、p-トリルスルホニル基、p-トルエンスルホニル基又は下記式(1-1)若しくは(1-2)で表される一価の基を示し、
[化2]
[図:0001409774000024.jpg]
[化3]
[図:0001409774000025.jpg]
nは0~4の整数であり、
R2はC1~4の一価炭化水素基であり、
Xは水素原子又はC1~4の一価炭化水素基を示し、
aは1~2、
bは0~1、
cは0~2の数であり、
a+b+c≦4である。)
[2] R1が、アセトキシ基、γ―ブチロラクトン基、ジ(トリフルオロメチル)ヒドロキシメチル基、シクロヘキセニル基、トルイル基、C1~C3アルコキシフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、フェナントレニル基、C1~C3アルコキシシリルフェニル基、フェニルスルホンアミド基、又は下記式(1-1)、(1-2)若しくは(1-3)で表される一価の基
[化4]
[図:0001409774000026.jpg]
[化5]
[図:0001409774000027.jpg]
[化6]
[図:0001409774000028.jpg]
のいずれかであることを特徴とする[1]に記載の表面改質剤。
[3] 上記基板が、金属又は無機系反射防止膜基板である、[1]又は[2]記載の表面改質剤。
[4] 上記基板が、Si、SiN、SiON、TiSi、TiN又はCr蒸着されていてもよいガラスを含む、[1]~[3]何れか1項に記載の表面改質剤。
[5] 基板上に、[1]~[4]何れか1項に記載の表面改質剤、次いでレジストパターンが順に積層した積層基板。
[6] 上記基板上に、シリコンハードマスク層をさらに有する、[5]に記載の積層基板。
[7] [1]~[4]何れか1項に記載の表面改質剤を基板上に塗布し、ベークした後、フォトレジスト組成物を塗布し、パターニングを行うことを特徴とするパターン形成方法。
[8] 上記パターニングが、ArF、EUV又はEBにて露光する工程を含む、[7]に記載のパターン形成方法。
[9] [1]~[4]何れか1項に記載の表面改質剤を基板上に塗布し、ベークした後、フォトレジスト組成物を塗布し、パターニングを行い、次いで基板をエッチングする工程を含む、半導体装置の製造方法。
[10] 上記基板上に、スピンオンカーボン又はアモルファスカーボン、次いでシリコンハードマスク層をさらに有する、[5]に記載の積層基板。」
(4)発明の効果
「[0009] 本発明によれば、シランカップリング剤によるウェハ表面の改質によりフォトレジストの密着性が改善され、先端リソグラフィープロセスにおけるフォトレジスト解像性が改善される。また、シランカップリング剤の膜厚が従来の下層膜と比較して薄いため、エッチング工程におけるサイドエッチングなどのエッチング不良が起こりにくいという利点がある。
[0010] すなわち、従来の有機系プライマーは、基板との結合、及びプライマー同士間の結合が弱く、水分により分解しやすかったが、本発明に係る平均組成式(1)で示される化合物、その加水分解物、又はその加水分解縮合物はSi系であるため、基板との結合、及びプライマー同士間の結合が強く、水分により分解しにくい。その結果、本発明に係る表面改質剤は、基板との強い密着性、プライマー同士の架橋による密着性の改善により、高い表面改質能力を発揮する。
[0011] 本発明において、平均組成式(1)で示される化合物を含む表面改質剤を適用した場合には、塗布膜を形成した後に加水分解や加水分解縮合に供することができる。また、平均組成式(1)で示される化合物の加水分解物を含む表面改質剤を適用した場合には、塗布膜を形成した後に加水分解縮合に供することができる。一般にこれらは、平均組成式(1)で示される化合物の加水分解縮合物を含む表面改質剤を適用した場合に比較して、ベーキング後の膜をより薄いものとすることができる。
[0012] 更に、いずれの表面改質剤から得られる塗布膜も、ベーキング条件の変更、溶剤による除去等により最終の膜厚や表面改質の程度を制御することができる。また、いずれの表面改質剤から得られる塗布膜も、塗布直後の膜厚の厚薄いかんに拘わらず、溶剤除去後は同じように基板表面に残留し、膜厚均一性が良好であり、優れたリソグラフィー特性を発揮する。
本願の塗布膜は、平均組成式(1)で示される化合物の単分子膜であってもよい。
[0013] このため、本発明によれば、例えば0.1nm~5nm(1~50Å)程度の膜厚で表面処理が可能となる。
[0014] 本発明に係る表面改質剤は、基板との強い密着性、プライマー同士の架橋による密着性の改善を通じて、レジスト倒れを防止する効果を奏するほか、平均組成式(1)におけるR1を適宜選択することにより更に種々の効果を付与することができる。例えば、R1として光分解により酸を発生する基を選択することにより、レジストの形状を変化させることが可能である。また、R1として光分解又は熱分解により親水化する基を選択することによっても、レジストの形状を変化させることが可能である。また、R1として光分解により塩基を発生する基を選択することにより、レジスト倒れ防止効果を強化することが可能である。更に、R1として基板を疎水化する基を選択することにより、パターン倒れを防止する効果を得ることができる。
[0015] 本発明に係る表面改質剤による表面改質の程度は、例えば実施例に記載の方法による水接触角を測定することによって評価することができる。塗布前後で各々の水接触角の差が大きいほど、表面改質度合いが大きいことになる。
[0016] 本発明に係る表面改質剤は、半導体基板のエッチングマスクとして機能する膜としても、表面処理剤としても使用が可能である。
[0017] 本発明に係る表面改質剤は、ガラス基板のみならず、Bare-Siその他、SiO2、SiN、SiON、TiNなど酸化膜、窒化膜、金属基板上に適用することができ、更に塗布型もしくは蒸着型SiHM(シリコンハードマスク)上、BARC上、塗布型SOC(スピンオンカーボン、炭素含有量が高い膜)上又は蒸着型カーボン膜(アモルファスカーボン膜等)上にも適用が可能である。
[0018] 本発明に係る表面改質剤は、ArF、電子線(EB)、極端紫外線(EUV)等の短波長光によるレジストパターン形成に適用可能である。」
(5)発明を実施するための形態
「[表面改質剤]
[0020] 本発明は、基板上に0.1μm以下、好ましくは0.05μm以下のレジストパターンを形成する前に基板に塗布して基板とレジストパターンとの密着を増強させるレジストパターン用表面改質剤に関する。
…
[0037][加水分解物]
平均組成式(1)で示される化合物の加水分解物は、一般的には公知の方法で加水分解して得ることができる。
…
[0038] 上記加水分解物は、平均組成式(1)で示される化合物、その加水分解物、又はその加水分解縮合物のそれぞれは一種又は二種以上とすることができ、化合物、その加水分解物、又はその加水分解縮合物を各一種又は二種以上混合して使用することもできる。好ましくは一種又は二種である。
…
[0048][加水分解縮合物]
平均組成式(1)で示される化合物の加水分解縮合物は、平均組成式(1)で示される化合物を、水を含有する溶剤に溶解させ、触媒の存在下、加水分解縮合反応を行った後、水を含有する溶剤、触媒等を減圧留去して得ることができる。
…
[0052]〔塗布液の調製〕
本発明に係る表面改質剤の塗布液は、平均組成式(1)で示される化合物、平均組成式(1)で示される化合物の加水分解物、又は平均組成式(1)で示される化合物の加水分解縮合物、及び必要に応じてその他の成分を含有し、それらを適当な溶媒に溶解することによって調製することができる。本発明においては、かかる塗布液が得られる限り、その調製方法は限定されない。
…
[0071] 本発明に係る表面改質剤は、Bare-Si他、SiO2、SiN、SiON、TiNなど酸化膜、窒化膜、金属基板上に適用することができる。好ましくは、上記基板は金属又は無機系反射防止膜基板である。好ましくは、上記基板は、Si、SiN、SiON、TiSi、TiN又はCr蒸着されていてもよいガラスである。
[0072] 更に、本発明に係る表面改質剤は、塗布型又は蒸着型SiHM上、BARC上、塗布型SOC(スピンオンカーボン、炭素含有量が高い膜)、蒸着型のアモルファスカーボン上にも適用が可能である。
[0073][積層基板]
基板上に、本発明に係る表面改質剤、次いでレジストパターンが順に積層した積層基板とすることができる。好ましくは、当該積層基板は、基板上にシリコンハードマスク層をさらに有する。上記シリコンハードマスク層の下に、さらに上記スピンオンカーボン層やアモルファスカーボン層が形成される場合もある。
シリコンハードマスク層、スピンオンカーボン層及びアモルファスカーボン層の膜厚は、例えば5nm~2000nmである。」
(6)実施例
「[0091] 以下に実施例等を参照しつつ本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の態様に限定されるものではない。
[0092]〔塗布液の調製〕
式-1から式-22に記載のSi含有モノマーまたは式23に記載のSi含有ポリマー(Mw=2300)を、表1に記載の割合で溶媒に溶解し、調製例1-23の調製液を得た。
[0093][化23]
[図:0001409774000029.jpg]
[化24]
[図:0001409774000030.jpg]
[化25]
[図:0001409774000031.jpg]
[化26]
[図:0001409774000032.jpg]
[化27]
[図:0001409774000033.jpg]
[0094][化28]
[図:0001409774000034.jpg]
[化29]
[図:0001409774000035.jpg]
[化30]
[図:0001409774000036.jpg]
[化31]
[図:0001409774000037.jpg]
[化32]
[図:0001409774000038.jpg]
[化33]
[図:0001409774000039.jpg]
[化34]
[図:0001409774000040.jpg]
[化35]
[図:0001409774000041.jpg]
[化36]
[図:0001409774000042.jpg]
[0095]
[化37]
[図:0001409774000043.jpg]
[0096][化38]
[図:0001409774000044.jpg]
[0097][化39]
[図:0001409774000045.jpg]
[化40]
[図:0001409774000046.jpg]
[0098][化41]
[図:0001409774000047.jpg]
[化42]
[図:0001409774000048.jpg]
[0099][化43]
[図:0001409774000049.jpg]
[化44]
[図:0001409774000050.jpg]
[0100][化45]
[図:0001409774000051.jpg]
[0101] 表1中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートはPGMEA、プロピレングリコールモノエチルエーテルはPGEE、プロピレングリコールモノメチルエーテルはPGME、超純水はDIWと略した。また、各成分の含有割合は質量部で表す。
[0102]
[表1]
[図:0001409774000052.jpg]
[0103] 次に、表2のように各調製例に対してpH調整剤および硬化触媒を添加して塗布液1-23を得た。pH調整剤はマレイン酸、硬化触媒は下記の式―24に示すものを用いた。各成分の含有割合は質量部で表す。
以下に本願発明の塗布液を用いた評価結果を示す。
[0104][化46]
[図:0001409774000053.jpg]
[0105]
[表2]
[図:0001409774000054.jpg]
[0106] 以下に本願発明の塗布液を用いた評価結果を示す。
[0107]〔基板表面付着〕
Bare-Siウェハに対し塗布液1-23を塗布した。具体的には、CLEANTRACK(登録商標)ACT8(東京エレクトロン)を用い、塗布液1-23の各々を1mlウェハに塗布、1500rpmで60秒間スピンコートした後、110℃で焼成した。塗布液1-23の各々の塗布膜を形成したBare-Si基板の膜厚を測定することで、材料の基板表面への付着を評価した。材料膜厚はエリプソ式膜厚測定装置RE-3100(SCREEN)を用いて測定した。また、比較例1として、Bare-Siウェハ上の自然酸化膜の膜厚を比較として測定した。測定結果を下記表3に記載する。
[0108][表3]
[図:0001409774000055.jpg]
[0109]〔基板表面改質〕
Bare-SiおよびSiON(50nm)に対し、塗布液1-23の各々を塗布した。具体的には、CLEANTRACK(登録商標)ACT8(東京エレクトロン)を用い、塗布液1-23の各々を1mlウェハに塗布、1500rpmで60秒間スピンコートした後、110℃で焼成した。塗布液1-23の各々の塗布膜を形成したBare-Si基板に対し、水の接触角を測定した。水接触角の測定は、恒温恒湿環境(23℃±2℃、45%RH±5%)において、全自動接触角計DM-701(協和界面科学(株)製)を使用し、液量3μl、着液後5秒間静止してから測定した。測定結果を下記表4に記載する。
[0118]
[表4]
[図:0001409774000056.jpg]
[0111]〔EUVパターニング〕
SiON(50nm)に対し塗布液16を塗布し、塗布液16の膜が形成されたウェハ上にフォトレジストを形成させた。フォトレジストはJSR製のEUV―PR(EUV―フォトレジスト)を使用した。EUV露光機を用いたパターニング評価を実施した。NXE3300(ASML製)を用いて露光を行い、SEM(CG4100、HITACHI製)による観察を行った。評価結果を表5に示す。表5中には、SEM観察においてフォトレジストがパターン倒れを起こしている場合はパターン倒れ、フォトレジストがパターン倒れを起こさず、目的のパターンが形成されているものを良好と記載する。また表中の比較例4はSiONウェハに対しHMDS処理を100℃、60秒の条件で実施した後にEUV露光機を用いたパターニングを実施した結果である。
[0112][表5]
[図:0001409774000057.jpg]
[0113]〔EBパターニング〕
SiON(50nm)に対し塗布液19および20を塗布し、塗布液19および20の膜が形成されたウェハ上にフォトレジスト層を形成させた。フォトレジストはTOK製のEUV―PRを使用した。EB描画機ELS―G130(エリオニクス製)を用いて描画を行い、SEM(CG4100、HITACHI製)による観察を行った。評価結果を表6に示す。表6中には、SEM観察においてフォトレジストがパターン倒れを起こしている場合はパターン倒れ、目的のパターンが形成されているものを良好と記載する。また表中の比較例5はSiONウェハに対しHMDS処理を100℃、60秒の条件で実施した後にEUV露光機を用いたパターニングを実施した結果である。
[0114][表6]
[図:0001409774000058.jpg]
」
2 引用文献
(1)引用文献2
ア 引用文献2の記載事項
原査定の拒絶理由に主引用発明が記載された文献として引用された特開2017-68049号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の記載事項がある。なお、下線は、合議体が発明の認定等に用いた箇所を示す。
(ア)特許請求の範囲
「【請求項1】
ポリシロキサン、及び
有機溶媒
を含有し、
上記ポリシロキサンが、環状カーボネート構造を含む基及びラクトン構造を含む基の少なくとも一方を有する第1シラン化合物を含有する化合物の加水分解縮合物を含み、
上記第1シラン化合物に由来する構造単位の上記ポリシロキサンを構成する全構造単位に対する含有割合が、0.1モル%以上30モル%以下である多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成組成物。
…
【請求項3】
上記第1シラン化合物が、下記式(1)で表される請求項1又は請求項2に記載の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成組成物。
【化1】
SiR1aR2bR3c (1)
(式(1)中、R1は、環員数5~20の環状カーボネート構造又は環員数4~20のラクトン構造を含む1価の基である。R2は、シアノ置換、フッ素置換若しくは非置換の炭素数1~20の1価の炭化水素基又はシアノ基である。R3は、水素原子、炭素数1~20の1価のオキシ炭化水素基、炭素数1~20のアシロキシ基又はハロゲン原子である。aは、1~3の整数である。bは、0~2の整数である。cは、1~3の整数である。但し、a+b+cは4である。aが2以上の場合、複数のR1は同一でも異なっていてもよい。bが2の場合、2つのR2は同一でも異なっていてもよい。cが2以上の場合、複数のR3は同一でも異なっていてもよい。)
…
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成組成物により、基板の少なくとも一方の面側に、シリコン含有膜を形成する工程と、
上記シリコン含有膜の上記基板とは反対の面側にレジスト膜を形成する工程と、
フォトマスクを透過させることにより選択的に放射線を照射して上記レジスト膜を露光する工程と、
上記露光されたレジスト膜の現像により、レジストパターンを形成する工程と、
上記レジストパターンをマスクとして、上記シリコン含有膜及び上記基板をドライエッチングする工程と
を備えるパターン形成方法。」
(イ)技術分野
「【0001】
本発明は多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成組成物及びパターン形成方法に関する。」
(ウ)発明が解決しようとする課題
「【0006】
パターンの微細化が進むにつれて、上記レジスト下層膜に対してより高い性能が求められるようになってきた。本発明の課題は、アルカリ溶液によるポジ現像、有機溶媒によるネガ現像のどちらのプロセスにおいても、レジスト組成物の溶媒に対する耐性に優れ、レジスト膜に対する反射防止性や密着性に優れ、エッチングによる高いパターン転写性を有し、レジストパターンの形状が良好で倒れが少ない多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成組成物、及び微細化が可能なパターン形成方法を提供することである。」
(エ)課題を解決するための手段
「【0007】
上記課題を解決するためになされた発明は、ポリシロキサン(以下、「[A]ポリシロキサン」ともいう)、及び有機溶媒(以下、「[B]有機溶媒」ともいう)を含有し、上記[A]ポリシロキサンが、環状カーボネート構造を含む基及びラクトン構造を含む基の少なくとも一方を有する第1シラン化合物(以下、「シラン化合物(I)」ともいう)を含有する化合物(以下、「化合物(A)」ともいう)の加水分解縮合物を含み、上記シラン化合物(I)に由来する構造単位(以下、「構造単位(I)」ともいう)の上記[A]ポリシロキサンを構成する全構造単位に対する含有割合が、0.1モル%以上30モル%以下である多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成組成物である。
【0008】
上記環状カーボネート構造及びラクトン構造は単環構造であることが好ましい。
【0009】
上記シラン化合物(I)は、下記式(1)で表されることが好ましい。
【化1】
SiR1aR2bR3c (1)
(式(1)中、R1は、環員数5~20の環状カーボネート構造又は環員数4~20のラクトン構造を含む1価の基である。R2は、シアノ置換、フッ素置換若しくは非置換の炭素数1~20の1価の炭化水素基又はシアノ基である。R3は、水素原子、炭素数1~20の1価のオキシ炭化水素基、炭素数1~20のアシロキシ基又はハロゲン原子である。aは、1~3の整数である。bは、0~2の整数である。cは、1~3の整数である。但し、a+b+cは4である。aが2以上の場合、複数のR1は同一でも異なっていてもよい。bが2の場合、2つのR2は同一でも異なっていてもよい。cが2以上の場合、複数のR3は同一でも異なっていてもよい。)」
(オ)発明の効果
「【0016】
本発明に係る多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成組成物は、アルカリ溶液によるポジ現像、有機溶媒によるネガ現像のどちらのプロセスにおいても、レジスト組成物の溶媒に対する耐性に優れ、レジスト膜に対する反射防止性や密着性に優れ、エッチングによる高いパターン転写性を有し、レジストパターンの形状が良好で倒れが少ないことを特徴とする。」
(カ)発明を実施するための形態
「【0017】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0018】
<多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成組成物>
本発明の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成組成物(以下、単に「シリコン含有膜形成組成物」と称する)は、[A]ポリシロキサン及び[B]有機溶媒を含有する。当該シリコン含有膜形成組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、[C]窒素含有化合物、[D]酸発生剤、[E]水等の任意成分を含有していてもよい。以下、各成分について詳述する。
【0019】
<[A]ポリシロキサン>
[A]ポリシロキサンは、環状カーボネート構造を含む基及びラクトン構造を含む基の少なくとも一方を有するシラン化合物(I)を含有する化合物の加水分解縮合物を含む。また、上記シラン化合物(I)に由来する構造単位(I)の上記ポリシロキサンを構成する全構造単位に対する含有割合が0.1モル%以上30モル%以下である。
【0020】
当該シリコン含有膜形成組成物は、上記[A]ポリシロキサン及び[B]有機溶媒を含有し、上記構造単位(I)の含有割合を上記特定範囲とすることで、アルカリ溶液によるポジ現像、有機溶媒によるネガ現像のどちらのプロセスにおいても、レジスト組成物の溶媒に対する耐性に優れ、レジスト膜に対する反射防止性や密着性に優れ、エッチングによる高いパターン転写性を有し、レジストパターンの形状が良好で倒れが少ない。当該シリコン含有膜形成組成物が上記構成を有することで上記効果を奏する理由としては必ずしも明確ではないが、例えば[A]ポリシロキサンが酸素原子を含む環構造により比較的高い極性を有する環状カーボネート構造及び/又はラクトン構造を、上記特定の割合で有することで、酸素エッチング耐性を維持しつつ、レジスト膜との密着性等が特に向上することなどが挙げられる。
【0021】
[A]ポリシロキサンは、構造単位(I)以外に、後述するシラン化合物(II)に由来する構造単位(II)及び後述するシラン化合物(III)に由来する構造単位(III)をさらに有していてもよく、構造単位(I)~(III)以外のその他の構造単位を有していてもよい。以下、各構造単位について説明する。
【0022】
[構造単位(I)]
構造単位(I)は、シラン化合物(I)に由来する構造単位である。シラン化合物(I)は、環状カーボネート構造を含む基及びラクトン構造を含む基の少なくとも一方を有するシラン化合物である。構造単位(I)は、シラン化合物(I)を含有する化合物の加水分解縮合により形成される。
…
【0025】
「ラクトン構造」は、-O-C(O)-で表される結合を含む1つの環(ラクトン環)を含む構造をいう。ラクトン環を1つめの環として数え、ラクトン環のみの場合は単環のラクトン構造、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環のラクトン構造と称する。
【0026】
ラクトン構造としては、例えば
プロピオラクトン構造、ブチロラクトン構造、バレロラクトン構造、カプロラクトン構造等の単環のラクトン構造;
シクロペンタンラクトン構造、シクロヘキサンラクトン構造、ノルボルナンラクトン構造、ベンゾブチロラクトン構造、ベンゾバレロラクトン構造等の多環のラクトン構造などが挙げられる。これらの中でプロピオラクトン構造、ブチロラクトン構造、バレロラクトン構造及びベンゾブチロラクトン構造が好ましく、ブチロラクトン構造がより好ましい。
【0027】
環状カーボネート構造及びラクトン構造としては、シリコン含有膜とレジスト膜との間の密着性をより高める観点から、単環構造が好ましい。
【0028】
シラン化合物(I)としては、下記式(1)で表される化合物(以下、「化合物(1)」ともいう)が好ましい。シラン化合物(I)は、1種単独でも複数種を混合して用いてもよい。
【0029】
【化4】
SiR1aR2bR3c (1)
【0030】
上記式(1)中、R1は、環員数5~20の環状カーボネート構造又は環員数4~20のラクトン構造を含む1価の基である。R2は、シアノ置換、フッ素置換若しくは非置換の炭素数1~20の1価の炭化水素基又はシアノ基である。R3は、水素原子、炭素数1~20の1価のオキシ炭化水素基、炭素数1~20のアシロキシ基又はハロゲン原子である。aは、1~3の整数である。bは、0~2の整数である。cは、1~3の整数である。但し、a+b+cは4である。aが2以上の場合、複数のR1は同一でも異なっていてもよい。bが2の場合、2つのR2は同一でも異なっていてもよい。cが2以上の場合、複数のR3は同一でも異なっていてもよい。
…
【0034】
R1で表される環員数4~20のラクトン構造を含む1価の基としては、下記式(ii)で表される基が好ましい。
【0035】
【化6】
-RA2-Y2-RB2-RL (ii)
【0036】
上記式(ii)中、RA2は、単結合又は炭素数1~5のアルカンジイル基である。Y2は、単結合、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基又はフェニレン基である。RB2は、単結合又は炭素数1~10のアルカンジイル基である。RLは、環員数5~20の1価のラクトン環基である。
…
【0038】
RLで表される環員数4~20の1価のラクトン環基としては環員数4~20のラクトン環を有する化合物のラクトン環に結合する1個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
【0039】
上記環状カーボネート環及びラクトン環には、例えばアルキル基等の1価の炭化水素基、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子などの基が結合していてもよい。
【0040】
RA1、RA2、RB1及びRB2で表される炭素数1~10のアルカンジイル基としては、例えばメタンジイル基、エタンジイル基、直鎖状又は分岐状のプロパンジイル基、ブタンジイル基、ペンタンジイル基、ヘキサンジイル基等が挙げられる。
【0041】
RA1及びRA2としては、単結合及び炭素数1~6のアルカンジイル基が好ましく、単結合、メタンジイル基、エタンジイル基、1,3-プロパンジイル基、1,4-ブタンジイル基及び1,5-ペンタンジイル基がより好ましい。
【0042】
RB1及びRB2としては、単結合及び炭素数1~3のアルカンジイル基が好ましく、単結合及びメタンジイル基がより好ましい。
【0043】
Y1及びY2としては、単結合、酸素原子、硫黄原子及びカルボニル基が好ましく、単結合、酸素原子及び硫黄原子がより好ましい。
【0044】
R2で表される炭素数1~20の1価の炭化水素基としては、例えば
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;
シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基等のシクロアルキル基;
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
【0045】
R2で表される炭素数2~20の1価のシアノ置換炭化水素基としては、例えば炭素数2~6のシアノアルキル基等が挙げられ、具体的には、シアノメチル基、シアノエチル基、シアノプロピル基等が挙げられる。
【0046】
R2で表される炭素数2~20の1価のフッ素置換炭化水素基としては、例えば炭素数2~6のフッ素化アルキル基等が挙げられ、具体的には、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基等が挙げられる。
【0047】
R2で表される炭素数2~20の1価のシアノ及びフッ素置換炭化水素基としては、例えば炭素数2~6のシアノフッ素化アルキル基等が挙げられ、具体的には、フルオロシアノメチル基、フルオロシアノエチル基等が挙げられる。
【0048】
R2としては、炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
【0049】
R3で表される炭素数1~20の1価のオキシ炭化水素基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、2-メチルプロポキシ基、1-メチルプロポキシ基、t-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基等が挙げられる。
【0050】
R3で表される炭素数1~20の1価のアシロキシ基としては、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
【0051】
R3で表されるハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0052】
R3としては、オキシ炭化水素基が好ましく、アルコキシ基がより好ましく、メトキシ基及びエトキシ基がさらに好ましい。
【0053】
aとしては、1及び2が好ましく、1がより好ましい。bとしては、0及び1が好ましく、0がより好ましい。cとしては、2及び3が好ましく、3がより好ましい。
…
【0064】
構造単位(I)の含有割合の下限としては、[A]ポリシロキサンを構成する全構造単位に対して、0.1モル%であり、1モル%がより好ましく、5モル%がさらに好ましく、10モル%が特に好ましい。上記含有割合の上限としては、30モル%であり、25モル%がより好ましく、22モル%がさらに好ましく、20モル%が特に好ましい。構造単位(I)の含有割合を上記範囲とすることで、上記諸性能をより向上させることができる。構造単位(I)の含有割合が上記下限未満であると、シリコン含有膜とレジスト膜との密着性が低下し、最小倒壊前寸法及びパターン形状の良好性の性能が低下する。構造単位(I)の含有割合が上記上限を超えると、シリコン含有膜中の炭素原子含有率が低下し、酸素エッチング耐性が低下する。
…
【0092】
化合物(1)、化合物(2)、化合物(3)及び他の加水分解性シラン化合物を加水分解及び/又は加水分解縮合する方法としては、公知の加水分解及び/又は加水分解縮合の方法を用いることができる。
…
【0094】
<[B]有機溶媒>
[B]有機溶媒としては、[A]ポリシロキサン及び任意成分を溶解又は分散させることができるものであれば用いることができる。
…
【0129】
<多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成組成物の調製方法>
当該シリコン含有膜形成組成物の調製方法は特に限定されず、例えば[A]ポリシロキサン、[B]有機溶媒及び必要に応じて[C]窒素含有化合物、[D]酸発生剤、[E]水等を所定の割合で混合し、好ましくは、得られた混合溶液を孔径0.2μmのフィルターでろ過することにより調製することができる。
…
【0131】
<シリコン含有膜>
当該シリコン含有膜形成組成物から得られるシリコン含有膜は、レジスト膜及び反射防止膜等との密着性が高く、裾引き等のないボトム形状に優れるレジストパターンが得られるという特徴を有する。そのため、多層レジストプロセスにおいて好適に用いることができる。また、多層レジストプロセスの中でも、90nmよりも微細な領域(ArF、液侵露光でのArF、F2、EUV、ナノインプリント等)での多層レジストプロセスを用いたパターン形成において、特に好適に用いることができる。
【0132】
上記シリコン含有膜は、上述の当該シリコン含有膜形成組成物を、基板、有機下層膜等の他の下層膜の表面に塗布することにより、当該シリコン含有膜形成組成物の塗膜を形成し、この塗膜を加熱処理し、硬化させることにより形成することができる。
【0133】
当該シリコン含有膜形成組成物を塗布する方法としては、例えばスピンコート法、ロールコート法、ディップ法等が挙げられる。加熱処理の温度としては、通常50℃以上450℃以下である。形成されるシリコン含有膜の平均厚みとしては通常10nm以上200nm以下である。
【0134】
<パターン形成方法>
当該パターン形成方法は、シリコン含有膜形成工程と、レジスト膜形成工程と、露光工程と、現像工程と、エッチング工程とを備える。また、当該パターン形成方法は、シリコン含有膜形成工程の前に、有機下層膜形成工程を有していてもよい。以下、各工程について説明する。
【0135】
<有機下層膜形成工程>
本工程では上記基板の上記シリコン含有膜が形成される面側に有機下層膜を形成する。この有機下層膜は、当該シリコン含有膜形成組成物から形成されるシリコン含有膜とは異なるものである。
…
【0138】
<シリコン含有膜形成工程>
本工程では、上述の当該シリコン含有膜形成組成物により、基板の少なくとも一方の面側に、シリコン含有膜を形成する。基板上に有機下層膜を形成した場合は、有機下層膜の基板とは反対の面に形成する。これにより、基板上にシリコン含有膜が形成されたシリコン含有膜付き基板を得ることができる。
【0139】
基板としては、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、ポリシロキサン等の絶縁膜などが挙げられる。また、市販品として、AMAT社の「ブラックダイヤモンド」、ダウケミカル社の「シルク」、JSR社の「LKD5109」等の低誘電体絶縁膜で被覆したウェハ等の層間絶縁膜を使用することができる。この基板としては、配線講(トレンチ)、プラグ溝(ビア)等のパターン化された基板を用いてもよい。
…
【0141】
シリコン含有膜の形成方法は特に限定されないが、例えば当該シリコン含有膜形成組成物を基板上に、スピンコート法等の公知の方法により塗布して形成された塗膜を、露光及び/又は加熱することにより硬化して形成することができる。
【0142】
露光に用いられる放射線としては、例えば可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、γ線、分子線、イオンビーム等が挙げられる。塗膜を加熱する際の温度の下限としては、90℃が好ましく、150℃がより好ましく、200℃がさらに好ましい。上記温度の上限としては、550℃が好ましく、450℃がより好ましく、300℃がさらに好ましい。形成されるシリコン含有膜の平均厚みの下限としては、1nmが好ましく、10nmがより好ましく、20nmがさらに好ましい。上記平均厚みの上限としては、20,000nmが好ましく、1,000nmがより好ましく、100nmがさらに好ましい。
…
【0146】
<レジスト膜形成工程>
本工程では、上記シリコン含有膜の上記基板とは反対の面側にレジスト膜を形成する。
…
【0149】
レジスト組成物を塗布する方法は特に限定されず、例えばスピンコート法等の従来の方法によって塗布することができる。レジスト組成物を塗布する際には、得られるレジスト膜が所定の膜厚となるように、塗布するレジスト組成物の量を調整する。
…
【0151】
<露光工程>
本工程では、フォトマスクを透過させることにより選択的に放射線を照射して上記レジスト膜を露光する。
…
【0153】
<現像工程>
本工程では、上記露光されたレジスト膜の現像により、レジストパターンを形成する。
【0154】
上記現像は、アルカリ現像でも、有機溶媒現像でもよい。
…
【0157】
現像液で現像を行った後、洗浄し、乾燥することによって、フォトマスクに対応した所定のレジストパターンを形成することができる。
…
【0159】
<エッチング工程>
本工程では、上記レジストパターンをマスクとして、上記シリコン含有膜及び上記基板をドライエッチングする。
…
【0162】
当該パターン形成方法によれば、上記各工程を適宜行うことにより、所定の基板パターンを形成することができる。」
(キ)実施例
「【0163】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
…
【0166】
<[A]ポリシロキサンの合成>
[A]ポリシロキサンの合成に用いたシラン化合物を以下に示す。
化合物(M-1):テトラエトキシシラン
化合物(M-2):フェニルトリメトキシシラン
化合物(M-3):メチルトリメトキシシラン
化合物(M-4):4-メチルフェニルトリメトキシシラン
化合物(M-5)~(M-10):下記式(M-5)~(M-10)で表される化合物
【0167】
【化16】
[図:0001409774000059.jpg]
【0168】
[合成例1](ポリシロキサン(A-1)の合成)
シュウ酸1.28gを水12.85gに加熱溶解させて、シュウ酸水溶液を調製した。次に、化合物(M-1)25.05g(90モル%)、化合物(M-2)3.63g(10モル%)及びメタノール43.21gを入れたフラスコに、冷却管及び上記調製したシュウ酸水溶液を入れた滴下ロートをセットした。次いで、上記フラスコをオイルバスにて60℃に加熱した後、上記シュウ酸水溶液をゆっくり滴下し、60℃で4時間反応させた。反応終了後、反応溶液の入ったフラスコを放冷し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート129.00gを上記反応溶液に追加した後、エバポレーターにセットし、残存する水及び生成したメタノールを除去し、固形分としてのポリシロキサン(A-1)を含む溶液86.0gを得た。上記溶液中のポリシロキサン(A-1)の固形分濃度は18.0質量%、ポリシロキサン(A-1)のMwは2,000であった。
【0169】
[合成例2~16](ポリシロキサン(A-2)~(A-16)の合成)
下記表1に示す種類及び使用量の各単量体を用いた以外は、合成例1と同様の手法にて、ポリシロキサン(A-2)~(A-16)を合成した。得られたポリシロキサン溶液の固形分濃度(質量%)と、[A]ポリシロキサンのMwを、表1に合わせて示す。
【0170】
【表1】
[図:0001409774000060.jpg]
【0171】
[多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成組成物の調製]
多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成組成物の調製に用いた[A]ポリシロキサン以外の成分を以下に示す。
【0172】
[[B]有機溶媒]
B-1:プロピレングリコールモノエチルエーテル
B-2:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0173】
[[C]窒素含有化合物]
構造式を下記に示す。
C-1;N-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピペリジン
C-2:N-t-アミルオキシカルボニル-4-ヒドロキシピペリジン
C-3:N-(2,3-ジヒドロキシプロピル)ピペリジン
【0174】
【化17】
[図:0001409774000061.jpg]
【0175】
[[D]酸発生剤]
構造式を下記に示す。
D-1:4-シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2,4-ジフルオロベンゼン-1-スルホネート
【0176】
【化18】
[図:0001409774000062.jpg]
【0177】
[実施例1]
[A]ポリシロキサン(固形分)としての(A-3)2.00質量部、[B]有機溶媒としての(B-1)97.5質量部並びに[E]水0.05質量部を混合し、得られた混合溶液を孔径0.2μmのフィルターでろ過して、多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成組成物(J-1)を得た。
【0178】
[実施例2~15及び比較例1~4]
下記表2に示す種類及び配合量の各成分を用いた以外は、実施例1と同じ要領にて、多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成組成物(J-2)~(J-15)及び(CJ-1)~(CJ-4)を調製した。
【0179】
【表2】
[図:0001409774000063.jpg]
【0180】
<シリコン含有膜の形成>
シリコンウェハー上に、上記得られた多層プロセス用シリコン含有膜形成組成物を、スピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT12」)を用い、スピンコート法により塗布した。得られた塗膜に対し、220℃のホットプレートで1分間PBを行い、シリコン含有膜を形成し、シリコン含有膜が形成された基板を得た。形成されたシリコン含有膜の平均厚みを膜厚測定装置(J.A.Woollam社の「M-2000D」)で測定したところ、30nmであった。
【0181】
<評価>
上記形成されたシリコン含有膜について、以下に示す方法で下記項目の評価を行った。評価結果を下記表3に示す。
【0182】
[基板反射率]
上記形成されたシリコン含有膜、下層膜形成用組成物(JSR社の「NFC HM8006」)及びレジスト材料(JSR社の「ARF AR2772JN」)のそれぞれの屈折率パラメーター(n)及び消衰係数(k)を高速分光エリプソメーター(J.A.Woollam社の「M-2000」)により測定し、この測定値を元にシュミレーションソフト(KLA-Tencor社の「プロリス」)を用いて、NA1.3、Dipoleの条件下におけるレジスト材料/シリコン含有膜/下層膜形成用組成物を積層させた膜の基板反射率を求めた。基板反射率は、1%以下の場合は「○」と、1%を超える場合は「×」と評価した。
【0183】
[溶媒耐性]
上記得られたシリコン含有膜が形成された基板を、シクロヘキサノンに、室温で10秒間浸漬した。シリコン含有膜の浸漬前後の平均厚みを、分光エリプソメーター(KLA-TENCOR社の「UV1280E」)を用いて測定した。浸漬前の平均厚みをT0と、浸漬後の平均厚みをT1とした場合、溶媒浸漬による膜厚変化率(%)を、│T1-T0│×100/T0の式により求めた。溶媒耐性は、膜厚変化率が1%未満の場合は「○」(良好)と、1%以上の場合は「×」(不良)と評価した。
【0184】
[最小倒壊前寸法及びパターン形状]
最小倒壊前寸法及びパターン形状は、以下に示すリソグラフィー評価を行うことにより評価した。
【0185】
(リソグラフィー評価、有機溶媒現像)
12インチシリコンウェハ上に、反射防止膜形成材料(JSR社の「HM8006」)をスピンコートした後、250℃で60秒間PBを行うことにより平均厚み100nmの反射防止膜を形成した。この反射防止膜上に、上記得られた多層プロセス用シリコン含有膜形成組成物を、上記スピンコーターを使用してスピンコートし、220℃で60秒間PBした後、23℃で60秒間冷却することにより平均厚み30nmのシリコン含有膜を形成した。次いで、レジスト材料(JSR社の「ARF AR2772JN」)をこのレジスト下層膜上にスピンコートし、90℃で60秒間PBした後、23℃で30秒間冷却することにより平均厚み100nmのレジスト膜を形成した。
【0186】
次いで、ArF液浸露光装置(NIKON社の「S610C」)を使用し、NA:1.30、Dipoleの光学条件にて、40nmライン/80nmピッチ形成用のマスクサイズのマスクを介して露光した。「Lithius Pro-i」のホットプレート上で、100℃で60秒間PEBを行い、23℃で30秒間冷却した後、酢酸ブチルを現像液として30秒間パドル現像し、メチルイソブチルカルビノール(MIBC)でリンスした。2,000rpm、15秒間振り切りでスピンドライすることにより、40nmライン/80nmピッチのレジストパターンが形成された評価用基板を得た。
【0187】
(最小倒壊前寸法及びパターン形状の評価)
最小倒壊前寸法及びパターン形状は、以下のようにして測定した。評価用基板のレジストパターンの測長及び観察には走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社の「CG-4000」)を用いた。
【0188】
上記評価用基板を得た際に、ラインの線幅が42nmであり、隣り合うライン間の距離(スペース)が84nm(ライン・アンド・スペースが1対2)であるレジストパターンを形成した露光量(mJ/cm2)を最適露光量とし、この最適露光量よりも段階的に露光量を大きくして順次露光を行った。このとき、得られるパターンの線幅は次第に細くなるため、ある露光量に対応する線幅で最終的にレジストパターンの倒壊が観察される。レジストパターンの倒壊が確認されない最大の露光量に対応する線幅を最小倒壊前寸法(nm)と定義してパターン倒れ耐性の指標とした。最小倒壊前寸法は、30nm以下の場合は「○」(良好)と、30nmを超え40nm以下の場合は「△」(使用可能)と、40nmを超える場合又はパターン倒れにより評価不可能の場合は「×」(不良)と評価した。パターン形状はレジストパターンのボトムに裾引きがない場合は「○」、パターン倒れ又は裾引きがある場合は「×」と評価した。
【0189】
[酸素エッチング耐性]
上記形成したシリコン含有膜を、ドライエッチンッグ装置(東京エレクトロン社の「Telius SCCM」)を用いて、100Wで120秒間O2処理し、処理前後の膜厚の差を測定した。酸素エッチング耐性は、処理前後の膜厚の差が10nm未満の場合は「○」(良好)と、10nm以上15nm以下の場合は「△」(使用可能)と、15nmを超える場合は「×」(不良)と評価した。
【0190】
【表3】
[図:0001409774000064.jpg]
【0191】
表3の結果から、実施例のシリコン含有膜形成組成物によれば、レジスト組成物の溶媒に対する耐性に優れ、レジスト膜に対する反射防止性に優れ、エッチングによる高いパターン転写性を有し、レジストパターンの形状が良好で倒れが少ないシリコン含有膜を形成できることが分かる。」
イ 引用文献2に記載された発明
前記ア(ア)及びア(カ)に基づけば、引用文献2には、請求項1の記載を引用する請求項3に係る「多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成組成物」により形成して得られる「シリコン含有膜」(請求項8及び段落【0131】)に係る発明として次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「 ポリシロキサン、及び
有機溶媒
を含有し、
上記ポリシロキサンが、環状カーボネート構造を含む基及びラクトン構造を含む基の少なくとも一方を有する第1シラン化合物を含有する化合物の加水分解縮合物を含み、
上記第1シラン化合物に由来する構造単位の上記ポリシロキサンを構成する全構造単位に対する含有割合が、0.1モル%以上30モル%以下であり、
上記第1シラン化合物が、下記式(1)で表される多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成組成物により、基板の少なくとも一方の面側に形成して得られた、レジスト膜及び反射防止膜等との密着性が高く、裾引き等のないボトム形状に優れるレジストパターンが得られるシリコン含有膜。
【化1】
SiR1aR2bR3c (1)
(式(1)中、R1は、環員数5~20の環状カーボネート構造又は環員数4~20のラクトン構造を含む1価の基である。R2は、シアノ置換、フッ素置換若しくは非置換の炭素数1~20の1価の炭化水素基又はシアノ基である。R3は、水素原子、炭素数1~20の1価のオキシ炭化水素基、炭素数1~20のアシロキシ基又はハロゲン原子である。aは、1~3の整数である。bは、0~2の整数である。cは、1~3の整数である。但し、a+b+cは4である。aが2以上の場合、複数のR1は同一でも異なっていてもよい。bが2の場合、2つのR2は同一でも異なっていてもよい。cが2以上の場合、複数のR3は同一でも異なっていてもよい。)」
(2)引用文献1
ア 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶理由に引用された特開2017-83849号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の記載事項がある。なお、下線は、合議体が判断に用いた箇所を示す。
(ア)技術分野
「【0001】
半導体装置の製造に使用される基板とレジスト(例えば、EUVレジスト)の間に下層膜を形成するための組成物に関する。詳しくは、半導体装置製造のリソグラフィ-工程においてレジストの下層に使用される下層膜を形成するためのリソグラフィ-用レジスト下層膜形成組成物に関する。また、当該下層膜形成組成物を用いたレジストパタ-ンの形成方法に関する。」
(イ)発明が解決しようとする課題
「【0005】
本発明の目的は、矩形なレジストパターンを利用し微細な基板加工が可能であり、半導体装置の製造に用いることのできるEUVリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物を提供することにある。詳しくは、ハードマスクとして使用できるレジスト下層膜を形成するためのリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物を提供することである。また、EUVレジストの露光感度向上や、レジストとのインターミキシングを起こさず、レジストに比較して大きなドライエッチング速度を有し、EUV光で露光時にアウトガス発生が少ないリソグラフィー用レジスト下層膜及び該下層膜を形成するためのレジスト下層膜形成組成物を提供することである。」
(ウ)課題を解決するための手段
「【0006】
本発明は第1観点として、加水分解性シラン(a)の加水分解縮合物を含むポリシロキサン(A)と、スルホンアミド構造、カルボン酸アミド構造、ウレア構造、又はイソシアヌル酸構造を有する加水分解性シラン化合物(b)とを含むEUVリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物、
…である。」
(エ)発明の効果
「【0007】
本発明のレジスト下層膜形成組成物は加水分解性シランの加水分解縮合物を含むもの、すなわちポリオルガノシロキサン構造を含むものであるから、該組成物から形成されたレジスト下層膜は、基板及びその上に形成される有機下層膜のエッチングで使用される酸素系ドライエッチングガスに対して十分な耐エッチング性を有するものであり、よって半導体装置の製造においてハードマスク及び反射防止膜として機能し得るものである。
また、本発明のレジスト下層膜形成組成物は、上記特定の構造を有する加水分解性シラン化合物が、EUVレジスト膜と下層膜との界面に存在する光酸発生剤から発生する酸の量のバランスを調整し得るものであることから、該酸によるレジストパターンの形状不良を抑制し得る。
また、本発明のレジスト下層膜形成組成物は、該加水分解性シラン化合物を含むことにより該組成物から形成されたレジスト下層膜とレジスト膜との密着性が向上でき、そして、該加水分解性シラン化合物は加水分解性の基を有することによりポリオルガノシロキサン構造に組み込まれ得ることから、アウトガス発生を抑制する効果を奏する。」
(オ)発明を実施するための形態
「【0008】
本発明では基板上にレジスト下層膜を塗布法により形成するか、又は基板上の有機下層膜を介してその上にレジスト下層膜を塗布法により形成し、そのレジスト下層膜上にレジスト膜(例えば、EUVレジスト)を形成する。そして、露光と現像によりレジストパターンを形成し、そのレジストパターンを用いてレジスト下層膜をドライエッチングしてパターンの転写を行い、そのパターンにより基板を加工するか、又は有機下層膜をエッチングによりパターン転写しその有機下層膜により基板の加工を行う。
…
【0009】
本発明は加水分解性シラン(a)の加水分解縮合物を含むポリシロキサン(A)と、スルホンアミド構造、カルボン酸アミド構造、ウレア構造、又はイソシアヌル酸構造を有する加水分解性シラン化合物(b)とを含むEUVリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物である。
…
【0010】
本発明に用いられるポリシロキサン(A)は、加水分解性シラン(a)の加水分解縮合物であり、加水分解性シラン(a)が、テトラアルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシラン、アリールトリアルコキシシランから選ばれる加水分解性シランの共加水分解縮合物である。ポリシロキサン(A)はテトラアルコキシシランとアルキルトリアルコキシシランとアリールトリアルコキシシランとの共加水分解縮合物であることが好ましい。
…
【0030】
半導体基板(例えば、シリコン/二酸化シリコン被覆基板、シリコンナイトライド基板、ガラス基板、及びITO基板等)の上に、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により本発明のレジスト下層膜形成組成物が塗布され、その後、焼成することによりレジスト下層膜が形成される。」
イ 引用文献1に記載された技術的事項
前記ア(オ)の記載に基づけば、引用文献1には、以下の技術的事項が記載されていると理解できる。
「レジスト下層膜形成組成物が塗布され、その後、焼成することによりレジスト下層膜が形成される半導体基板として、シリコン/二酸化シリコン被覆基板、シリコンナイトライド基板、ガラス基板、及びITO基板が用いられること。」
3 サポート要件(特許法第36条第6項第1号)について
(1)本件発明
本件発明は、「レジストパターン用表面改質被膜」に関する発明であって、前記第2に記載したとおり、(式-1)~(式-22)からなる群より選択される化合物の加水分解縮合物の1種、又は(式-23)で表されるポリマー1種のいずれかを含むことを要件とするものである。
(2)発明が解決しようとする課題
本願明細書の段落[0007]の記載に基づけば、本願明細書に記載された発明が解決しようとする課題は、「レジスト膜との密着性が高く、薄膜で良好なレジストパターンの形成が可能な、新規なレジストパターン用表面改質剤である半導体基板用プライマー、基板上に表面改質剤とレジストパターンとが順に積層した積層基板、パターン形成方法および半導体装置の製造方法」を提供することにあると認められる。
(3)明細書に開示された課題を解決するための手段
本願明細書の段落[0008]には、課題を解決する手段として以下の記載がある。「[1] 基板上に0.10μm、好ましくは0.05μm以下のレジストパターンを形成する前に基板に塗布して基板とレジストパターンとの密着を増強させるレジストパターン用表面改質剤であって、
下記平均組成式(1)で示される化合物、
下記平均組成式(1)で示される化合物の加水分解物、又は
下記平均組成式(1)で示される化合物の加水分解縮合物
の少なくとも1種を含むことを特徴とするレジストパターン用表面改質剤。
[化1]
R1aR2b(OX)cSiO(4-a-b-c)/2 (1)
(式中、R1は一般式:-(CH2)nY で表される一価の有機基であり、…
nは0~4の整数であり、
R2はC1~4の一価炭化水素基であり、
Xは水素原子又はC1~4の一価炭化水素基を示し、
aは1~2、
bは0~1、
cは0~2の数であり、
a+b+c≦4である。)」
しかし、本件発明は、平均組成式(1)で示される化合物、平均組成式(1)で示される化合物の加水分解物、又は、平均組成式(1)で示される化合物の加水分解縮合物を含むものではない。(式-1)~(式-22)からなる群より選択される化合物、及び、(式-23)で表されるポリマーは、以下のとおり上記平均組成式(1)の要件を満たしていない。
平均組成式(1)において、「Xは水素原子又はC1~4の一価炭化水素基」を示すとともに「cは0~2の数」であると規定されていることから、Si原子に結合するアルコキシ基(-OX)の数の上限が2であることが特定されていると理解できる。しかし、本件発明における(式-1)~(式-22)からなる群より選択される化合物、及び、(式-23)で表されるポリマーは、平均組成式(1)において規定されたcの数の上限を超えているか、又は、式-13に記載のSi含有モノマーは、Si原子に対する結合が2つしかなく、おおよそ実在する化合物とは考えられないものであって、平均組成式(1)の要件を満たすものということができない。
そうすると、本件発明は、本願明細書に課題解決手段として記載されていた構成を備えていないことは明らかである。
(4)本願明細書の記載に基づく当業者の理解
本願明細書には、記載事項(4)の段落[0010]に、「従来の有機系プライマーは、基板との結合、及びプライマー同士間の結合が弱く、水分により分解しやすかったが、本発明に係る平均組成式(1)で示される化合物、その加水分解物、又はその加水分解縮合物はSi系であるため、基板との結合、及びプライマー同士間の結合が強く、水分により分解しにくい。その結果、本発明に係る表面改質剤は、基板との強い密着性、プライマー同士の架橋による密着性の改善により、高い表面改質能力を発揮する。」との記載がある。
また、記載事項(6)には、実施例(段落[0091]~[0114])として、(式-1)から(式-22)に記載のSi含有モノマー及び(式-23)に記載のSi含有ポリマーを溶媒に溶解し、塗布液1~23を得て、得られた塗布液1~23を用いてBare-Si及びSiON基板に塗布膜を形成し、さらに、塗布液16(式-16)、塗布液19(式-19)、塗布液20(式-20)の膜が形成されたウェハ状にフォトレジストを形成させ、パターニング評価を実施したことが記載されている。
しかし、本願明細書には、パターニングについて、(式-16)、(式-19)、(式-20)を用いてウェハ上に膜を形成した実施例48~51とプライマーを用いずにHMDS処理(ウェハー表面を疎水性にするための処理)をした比較例4、比較例5との比較が開示されるのみである。(式-1)~(式-22)からなる群より選択される化合物、及び、(式-23)で表されるポリマーを含むレジストパターン用表面改質被膜について、段落[0010]において、従来技術とされた有機系プライマーとの比較がなされていない。そうすると、本件発明について、発明が解決しようとする課題を解決できることが、当業者に理解できるように記載されていたとはいえない。
また、本願明細書には、本件発明の(式-1)~(式-22)からなる群より選択される化合物の加水分解縮合物の化学構造、及び(式-23)で表されるポリマーの化学構造によって、「密着性が改善する」ことの作用機序、「膜厚が従来の下層膜と比較して薄い」ものとなるための作用機序についても開示されていない。そして、これらの化学構造から、「密着性が改善する」という効果を奏することが、当業者にとって自明ともいえない。したがって、本件発明の構成から、発明が解決しようとする課題を解決できることが理解できるということもできない。
なお、請求人は令和6年1月15日付け意見書において、「また、令和5年3月8日付作成の前置報告書における指摘事項を考慮して、『少なくとも1種を含み』を『1種を含み』と限定的に減縮し、『シリコンハードマスク層を有していてもよい』を削除し、『膜厚0.1nm~8nmの』とあったところを、被膜の膜厚であることを明確化するために『・・・の膜厚を有する、』と読点を加えました。また、加水分解縮合物を更に限定する請求項2、3を加入しました。これにより、特許法第36条第6項第1号に規定する要件は満たされたものと思料します。」(第2頁)と主張している。
しかしながら、請求人が指摘する補正事項によっても、本件発明が、(式-1)~(式-22)からなる群より選択される化合物の加水分解縮合物の1種、又は(式-23)で表されるポリマー1種を含むことに変わりはなく、これらの化学構造によって、「密着性が改善する」ことの作用機序、「膜厚が従来の下層膜と比較して薄い」ものとなるための作用機序について開示がないこと、これらの化学構造から、「密着性が改善する」という効果を奏することが、当業者にとって自明ともいえないことに変わりはない。したがって、上記請求人の主張は採用できない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件発明は、発明の詳細な説明において、発明が解決しようとする課題を解決できることを、当業者が理解できる範囲を超えているから、本件発明は、特許法第36条第6項第1号の規定を満たしていない。
4 進歩性(特許法第29条第2項)について
(1)対比
本件発明と引用発明とを対比する。
ア 加水分解縮合物又はポリマー
引用発明の「シリコン含有膜」は、その形成工程からみて、「第1シラン化合物を含有する化合物の加水分解縮合物」を含むといえる。本件発明の「下記(式-1)~(式-22)からなる群より選択される化合物の加水分解縮合物」と引用発明の「第1シラン化合物を含有する化合物の加水分解縮合物」とは、「化合物の加水分解縮合物」である点で共通する。
そうすると、引用発明の「シリコン含有膜」は、本件発明の「下記(式-1)~(式-22)からなる群より選択される化合物の加水分解縮合物の1種、又は(式-23)で表されるポリマー1種を含み」とする要件のうち、「化合物の加水分解縮合物の1種、又はポリマー1種を含み」とする要件を満たしているといえる。
イ ガラス基板
引用発明の「シリコン含有膜」は、「基板の少なくとも一方の面側に形成して得られた」ものであり、「レジスト膜及び反射防止膜等との密着性が高く、裾引き等のないボトム形状に優れるレジストパターンが得られるシリコン含有膜」である。また、引用発明は、「基板」について「Si、SiN、SiON、TiSi、TiN又はCr蒸着」されたものを排除していない。
そうすると、引用発明の「シリコン含有膜」は、本件発明の「Si、SiN、SiON、TiSi、TiN又はCr蒸着されていてもよいガラス基板とレジストパターンとの密着を増強させる」とする要件のうち、「Si、SiN、SiON、TiSi、TiN又はCr蒸着されていてもよい基板とレジストパターンとの密着を増強させる」とする要件を満たしているといえる。
ウ レジストパターン用表面改質被膜
引用発明の「シリコン含有膜」は、「レジスト膜及び反射防止膜等との密着性が高く、裾引き等のないボトム形状に優れるレジストパターンが得られるシリコン含有膜」である。そうすると、引用発明の「シリコン含有膜」は、本件発明の「レジストパターン用」であるとする用途において共通するものであり、「密着性が高く、裾引き等のないボトム形状に優れる」ものに「表面改質」がなされるものといえる。
したがって、引用発明の「シリコン含有膜」は、本件発明の「レジストパターン用表面改質被膜」に相当する。
エ 一致点及び相違点
以上より、本件発明と引用発明とは、
「 化合物の加水分解縮合物の1種、又はポリマー1種を含み、
Si、SiN、SiON、TiSi、TiN又はCr蒸着されていてもよい基板とレジストパターンとの密着を増強させる、
レジストパターン用表面改質被膜。」(なお、(式-1)~(式-23)は、前記第2に記載したとおりのものであり、省略する。)
である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]加水分解物又はポリマーが、本件発明は「(式-1)~(式-22)からなる群より選択される」化合物又は「(式-23)で表される」ポリマーであるのに対し、引用発明は、式(1)で表される「第1シラン化合物」の加水分解縮合物である点。
[相違点2]基板が、本件発明は「Si、SiN、SiON、TiSi、TiN又はCr蒸着されていてもよいガラス」であるのに対し、引用発明は基板の種類を特定していない点。
[相違点3]本件発明は「1Å~46Åの膜厚を有する」のに対し、引用発明は膜厚を特定していない点。
(2)判断
ア [相違点1]について
引用発明の式(1)で表される「第1シラン化合物」が含むとされるラクトン構造について、引用文献2には、「ブチロラクトン構造がより好ましい。」(段落【0026】)と記載されている。
また、式(1)の「R1で表される環員数4~20のラクトン構造を含む1価の基」について、「-RA2-Y2-RB2-RL (ii)」で表される基が好ましい(段落【0034】)こと、「RA2」としては、「メタンジイル基」がより好ましい(段落【0041】)こと、「RB2」としては、「メタンジイル基」がより好ましい(段落【0042】)こと、「Y2」としては、「単結合」がより好ましい(段落【0043】)こと、式(1)の「R3」としては、「エトキシ基」がさらに好ましい(段落【0052】)こと、「a」としては「1がより好ましい」こと、「b」としては、「0」がより好ましいこと、「c」としては、「3」がより好ましいこと(段落【0053】)が記載されている。
以上より、引用文献2には、式(1)として、「-メタンジイル基-単結合-メタンジイル基-ブチロラクトン環基」(ii)で表される「R1」が「1」、「エトキシ基」である「R3」が「3」、「R2」が「0」である、以下のより好ましいとされる構造を有する第1シラン化合物とすることが示唆されているといえる。
[図:0001409774000065.jpg]
なお、引用文献2には、実施例として、以下の(M-8)で表されるシラン化合物の加水分解縮合物を含むシリコン含有膜の実験例が開示されている(実施例7,13~15)。
[図:0001409774000066.jpg]
R3におけるオキシ炭化水素基の炭素数が異なること、及び、ブチロラクトン環基の結合箇所が異なることによって、格別な効果の差異が生じると理解することはできない。
したがって、引用発明において当該示唆に基づき、式(1)で表される第1シラン化合物を、本件発明の[相違点1]に係る要件を満たすものとすることは当業者が容易になし得たことである。
イ [相違点2]について
引用発明の「基板」は、「レジストプロセス」に用いられるものである。また、引用文献2の記載事項(カ)に「基板としては、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、ポリシロキサン等の絶縁膜などが挙げられる。」(段落【0139】)と記載されているように、使用できる基板に制限は設けられていない。
そして、前記2(2)イに記載したとおり、「レジスト下層膜形成組成物が塗布され、その後、焼成することによりレジスト下層膜が形成される半導体基板として、シリコン/二酸化シリコン被覆基板、シリコンナイトライド基板、ガラス基板、及びITO基板が用いられること。」は、レジストプロセスの技術分野において従来より知られていたことであるといえる。
そうすると、引用発明において、「レジストプロセス」の分野において従来使用されていた「ガラス基板」を選択することは、当業者が適宜なし得たことであるといえる。
また、基板を「ガラス基板」としたことにより、格別な効果の差異が生じるということもできない。
なお、請求人は令和6年1月15日付けの意見書において、「引用文献2に記載の発明の解決課題は『シリコン含有膜とレジスト膜との間の密着性』の改善であり、本願発明の発明特定事項(2)の『特定の基板とレジストパターンとの密着を増強させる』についての開示も示唆もありません。また、引用文献2の請求項8や段落0146の記載によれば、シリコン含有膜は基板とレジスト膜との間に形成されていません。」(第2頁)と主張している。
しかし、本件発明は「Si、SiN、SiON、TiSi、TiN又はCr蒸着されていてもよいガラス基板」を要件とするものであって、様々な蒸着層が表面に形成されたものであってもよく、蒸着層を有していなくてもよいものである。そうすると、本件発明を、特定の基板に限定したものと理解することはできない。また、引用文献2の段落【0146】には「本工程では、上記シリコン含有膜の上記基板とは反対の面側にレジスト膜を形成する。」と記載されている。シリコン含有膜は、基板とレジスト膜との間に形成されていると理解できる。以上のとおりであるから、請求人の当該主張を採用することはできない。
ウ [相違点3]について
引用文献2の記載事項(カ)には、「当該シリコン含有膜形成組成物を塗布する方法としては、例えばスピンコート法、ロールコート法、ディップ法等が挙げられる。…形成されるシリコン含有膜の平均厚みとしては通常10nm以上200nm以下である。」(段落【0133】)、「形成されるシリコン含有膜の平均厚みの下限としては、1nmが好ましく、10nmがより好ましく、20nmがさらに好ましい。上記平均厚みの上限としては、20,000nmが好ましく、1,000nmがより好ましく、100nmがさらに好ましい。」(段落【0142】)との記載がある。
そうすると、引用発明は、形成されるシリコン含有膜の膜厚を特定していないものの、その膜厚は、下限値として挙げられた「1nm」(10Å)、上限値として挙げられた「20,000nm」(200,000Å)を参考にして、基板の表面形状やレジスト膜の露光に用いるエネルギー線の波長等に応じて所望の膜厚を設定し、得られるレジスト膜が所定の膜厚となるように、塗布する条件を当業者が適宜調整することができるものである。
そして、その範囲を46Å以下としたことにより、格別な効果の差異が生じると理解することもできない。
したがって、引用発明の「シリコン含有膜」について、その膜厚を、10Å~46Å程度とし、本件発明の[相違点3]に係る要件を満たすものとすることは、当業者が適宜なし得たことであるといえる。
エ 効果について
本願明細書の段落[0009]には、「本発明によれば、シランカップリング剤によるウェハ表面の改質によりフォトレジストの密着性が改善され、先端リソグラフィープロセスにおけるフォトレジスト解像性が改善される。また、シランカップリング剤の膜厚が従来の下層膜と比較して薄いため、エッチング工程におけるサイドエッチングなどのエッチング不良が起こりにくいという利点がある。」と記載されている。また、段落[0010]には、「従来の有機系プライマーは、基板との結合、及びプライマー同士間の結合が弱く、水分により分解しやすかったが、本発明に係る平均組成式(1)で示される化合物、その加水分解物、又はその加水分解縮合物はSi系であるため、基板との結合、及びプライマー同士間の結合が強く、水分により分解しにくい。その結果、本発明に係る表面改質剤は、基板との強い密着性、プライマー同士の架橋による密着性の改善により、高い表面改質能力を発揮する。」と記載されている。これらの記載に基づけば、本件発明は、シランカップリング剤を含むことにより、従来の下層膜と比較して薄いという効果、従来の有機系プライマーと比較して基板との強い密着性、高い表面改質能力を発揮するという効果を奏するものといえる。
一方、引用発明は、「ポリシロキサン」を含むシリコン含有膜であり、「レジスト組成物の溶媒に対する耐性に優れ、レジスト膜に対する反射防止性や密着性に優れ、エッチングによる高いパターン転写性を有し、レジストパターンの形状が良好で倒れが少ない」(段落【0016】)という効果を奏するとされている。
そうすると、引用発明も、シランカップリング剤を含むものであり、本件発明と同様に、従来の下層膜と比較して薄いという効果、従来の有機系プライマーと比較して基板との強い密着性、高い表面改質能力を発揮するという効果を奏するものと理解できる。
なお、本願明細書は、(式-1)等で表される化合物の加水分解縮合物を含むレジストパターン用表面改質被膜について、密着性を明らかにしていない。そうすると、本件発明において特定されたシランカップリング剤を用いたことにより、格別な効果の差異が生じると理解することもできない。
したがって、本件発明の効果は引用発明と同程度のものであり、格別なものということができない。
(3)まとめ
以上のとおり、引用発明の[相違点1]~[相違点3]について、本件発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことであり、これらの構成を採用したことにより、格別な効果の差異が生じるということもできない。
したがって、本件発明は、引用発明及び引用文献1,2の記載に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第5 むすび
以上のとおり、本件発明は、特許法第36条第6項第1号の規定を満たしておらず、また、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-000007