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特許無効審判

2022-800021

撮像装置

審判番号
2022-800021
法域
特許
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
特願2017-542935
登録番号
6244501
請求日
2022年03月10日
審決日
2023年09月12日
公報発行日
2025年07月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】稲葉 稔
  • 【被請求人】富士フイルム 株式会社
  • 【被請求人代理人】弁理士法人航栄事務所
審判長/審判官
  • 審判長 千葉 輝久
  • 審判官 畑中 高行
  • 審判官 樫本 剛
分類
P1123.536-Y (H04N) / P1123.537-Y (H04N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法169条2項民事訴訟法61条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第70条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第123条第1項第4号、特許法第70条第2号、特許法第36条第6項、特許法第36条第6項第6号、特許法第29条第2項、特許法第2条、特許法第123条第1項、特許法第123条第1項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の特許第6244501号発明「撮像装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 1 本件特許 本件特許に係る経緯は、概要、以下のとおりである。 平成28年 6月22日:国際出願(特願2017-542935号、 優先権主張、平成27年9月30日、日本) 平成29年11月17日:設定登録 (請求項の数:12、 権利者:富士フイルム株式会社) 2 本件請求 本件請求に係る経緯は、概要、以下のとおりである。 なお、請求人提出書面についての日付は、特許庁受付日であり、差出日については、括弧内に示した。 令和 4年 3月11日:審判請求書の提出 (同年 3月10日差出) 同年 3月22日:手続補正書の提出(以下「手続補正書1」という。) (同年 3月20日差出) 同年 4月18日:弁明書の提出(請求人)(以下「弁明書1」という。) (同年 4月17日差出) 同年 4月25日付け:手続補正指令書(方式) 同年 4月25日付け:却下理由通知書 同年 5月16日:弁明書の提出(請求人)(以下「弁明書2」という。) (同年 5月14日差出) 同年 5月26日:手続補正書の提出(以下「手続補正書2」という。) (同年 5月25日差出) 同年 6月30日:上申書の提出(請求人)(以下「上申書1」という。) (同年 6月29日差出) 同年 7月 4日:上申書の提出(請求人)(以下「上申書2」という。) (同年 7月 2日差出) 同年 8月29日:上申書の提出(請求人)(以下「上申書3」という。) (同年 8月28日差出) 同年 9月20日:審判事件答弁書の提出 同年10月31日:弁明書の提出(請求人)(以下「弁明書3」という。) (同年10月29日差出) 同年11月 8日付け:審理事項通知書 同年11月 9日:弁駁書の提出 (同年11月 8日差出) 同年11月11日:上申書の提出(請求人)(以下「上申書4」という。) (同年11月 9日差出) 同年11月30日:口頭審理陳述要領書の提出(請求人) (同年11月29日差出) 同年12月20日:上申書の提出(請求人)(以下「上申書5」という。) (同年12月19日差出) 同年12月22日:口頭審理陳述要領書の提出(被請求人) 同年12月26日:上申書の提出(請求人)(以下「上申書6」という。) (同年12月24日差出) 令和 5年 1月16日:口頭審理 同年 1月18日:上申書の提出(請求人)(以下「上申書7」という。) (同年 1月17日差出) 同年 1月24日:上申書の提出(請求人)(以下「上申書8」という。) (同年 1月23日差出) 同年 3月 6日:上申書の提出(請求人)(以下「上申書9」という。) (同年 3月 5日差出) 第2 本件特許発明 審判請求書では、「2.審判の請求に係る請求項の数」が2とされており、審判請求書に添付された「無効審判証拠の理由」(第1回口頭審理調書の「請求人の3」に記載のとおり、審判請求書に添付された「無効審判証拠の理由」は「無効審判の理由」に訂正されたため、以下、「無効審判証拠の理由」を「無効審判の理由」と記載する。)には、本件特許の特許請求の範囲の請求項1及び6に対する無効の主張が展開されているから、これらの記載を考慮すると、本件請求は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1及び6に対する請求であると認められるため、以下、本件特許の特許請求の範囲の請求項1及び6に対して検討する。 そして、本件特許の特許請求の範囲の請求項1及び6に係る発明(以下「本件特許発明1」及び「本件特許発明6」という。また、これらを合わせて「本件特許発明」という。)は、それぞれ本件特許の特許請求の範囲の請求項1及び6に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1及び6の記載は、次のとおりである。 なお、分説は、審判事件答弁書第4頁第16行~第5頁第5行に記載のものを採用した。(以下、各分説に係る構成要件を、「構成1A」~「構成6H」という。) 1 本件特許発明1 【請求項1】 (1A)撮像素子を有する本体と、 (1B)前記本体の一面に沿って配置された矩形のディスプレイと、 (1C)前記ディスプレイを前記本体に可動に連結しているヒンジユニットと、を備え、 (1D)前記ヒンジユニットは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸上の一対の第1ヒンジによって前記第1軸まわりに回動可能に前記本体に連結された支持部を含み、 (1E)前記ディスプレイは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち他辺に沿って延びる第2軸上の一対の第2ヒンジによって前記第2軸まわりに回動可能に前記支持部に支持されており、 (1F)前記一対の第1ヒンジの一方は前記一対の第2ヒンジの間に配置されている (1G)撮像装置。 2 本件特許発明6 【請求項6】 (6A)撮像素子を有する本体と、 (6B)前記本体の一面に沿って配置された矩形のディスプレイと、 (6C)前記ディスプレイを前記本体に可動に連結しているヒンジユニットと、を備え、 (6D)前記ヒンジユニットは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸上の一対の第1ヒンジによって前記第1軸まわりに回動可能に前記本体に連結された第1支持部と、 (6E)前記第1軸に対して前記第1軸が沿う前記ディスプレイの一辺とは反対側の一辺側に偏倚した前記第1軸と平行な第2軸上の一対の第2ヒンジによって前記第2軸まわりに回動可能に前記第1支持部に連結された第2支持部と、を含み、 (6F)前記ディスプレイは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち他辺に沿って延びる第3軸上の一対の第3ヒンジによって前記第3軸まわりに回動可能に前記第2支持部に支持されており、 (6G)前記一対の第1ヒンジの一方及び前記一対の第2ヒンジの一方の少なくともいずれかは、前記一対の第3ヒンジの間に配置されている (6H)撮像装置。 第3 当事者の主張 1 請求人の主張 (1) 請求の趣旨 特許第6244501号は、これを無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。 (2) 請求の理由(概要) ア 特許第6244501号の願書に添付された特許請求の範囲の請求項1及び6の記載は、特許法第36条第6項第1号に適合するものではなく、同項に規定する要件(サポート要件)を満たしていないから、本件請求項1に係る特許及び本件請求項6に係る特許は無効である。 イ 特許第6244501号の願書に添付された特許請求の範囲の請求項1及び6の記載は、特許法第36条第6項第2号に適合するものではなく、同項に規定する要件(明確性要件)を満たしていないから、本件請求項1に係る特許及び本件請求項6に係る特許は無効である。 ウ 特許第6244501号の願書に添付された明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件特許発明1及び6について、特許法第36条第4項第1号に適合するものではなく、同項に規定する要件(実施可能要件)を満たしていないから、本件請求項1に係る特許及び本件請求項6に係る特許は無効である。 (3) 各提出書類における請求人の主張の概要 以下、「・・・」は記載を省略したものである。 (審判請求書(手続補正書2、無効審判の理由)) ア 手続補正書2 5.(1) (ア)甲第3号証は、サポート要件に違反している。 (イ)甲第3号証は、明確性要件(特許法第36条第6項第2号)に違反している。 (ウ)「無効新派証拠の理由」の8頁の項目にあるように、甲第3号証の請求項1及び6は、図4A及び図19Aに、記載の状態では、作動しません。(特許法第36条第4項第1号)違反になり、実施可能要件違反になります。 イ 無効審判の理由 (ア) 項目1 甲第3号証の特許第6244501号の図3 「 [図:0001423843000001.jpg] 」 (イ) 項目2 甲第3号証の特許第6244501号の図18 「 [図:0001423843000002.jpg] 」 (ウ) 項目3a 甲第3号証特許の図16A 「 [図:0001423843000003.jpg] 」 (エ) 項目3b 甲第3号証特許の図16B 「 [図:0001423843000004.jpg] 」 (オ) 項目4a 甲第3号証 特許の図30A 「 [図:0001423843000005.jpg] 」 (カ) 項目4b 甲第3号証 特許の図30B 「 [図:0001423843000006.jpg] 」 (キ) 項目5 a 「ところが、甲第3号証の図3及び図18では、ディスプレイの右側が大きく空いていて、カメラの横幅が大きくなります。」(第4ページ第13行~第14行) b 「これは、甲第2号証特許の一部を捉えて、甲第3号証特許では、[課題]が[解決]したように、記述されていますが、上記について、課題は、全く解決していません。何故ならば、前記、甲第3号証の図16A,16B,及び図30A,30Bを、見ると、甲第3号証特許の軸Bは、支持部21及び122の外側にあり、また、甲第3号証特許のヒンジブラケット31及び134は、前記、支持部21及び122と一体で作られていますから、やはり、甲第3号証特許のヒンジブラケット31及び134の外側にあります。」(第4ページ第25行~第31行) c 「よって、カメラの電子ディスプレイの上下方向の長さは、引用例の甲第2号証のカメラよりも、僅かに小さくなりますが、横方向の長さは、甲第3号証特許の図3のヒンジブラケット33及び図18のヒンジブラケット136が、右側(外側)に突き出ていて、更に、甲第3号証特許の図16A,B及び図30A,Bに表示されているように、実際には、B軸は、ヒンジブラケット31及び134の外側にありますので、甲第3号証特許の図3及び図18に表示するように、ディスプレイの右側は、引用例の甲第2号証特許のディスプレイの上側よりも、非常に大きくなることは、当業者でなくても予想できます。よって、この甲第3号証(特許第6244501号)は、参考文献1の(6)のように、単に設計事項を表したに過ぎません。」(第5ページ第2行~第11行) d 「また、甲第3号証の図4Aの図面通りに作れば、ディスプレイ15が、支持部21から、上方へ、開くことができません。」(第5ページ第12行~第13行) e 「 [図:0001423843000007.jpg] 」 f 「 [図:0001423843000008.jpg] 」 g 「 [図:0001423843000009.jpg] 」 h 「甲第3号証に於いて、最初から、「甲2号証は、隙間が大きく、意匠性が悪い」と、言っていますが、実際には、甲3号証の方が、隙間が大きく、又、横方向の寸法が増大します。また、図4Aに準じて製作した場合、支持部と、表示パネルが干渉して甲第3号証の明細書に記述されている通りに作動しなくなります。その場合には、参考文献4に記載の通り、実施可能要件(特許法第36条第4項第1号)違反となり、特許性はありません。」(第6ページ第6行~第11行) i 「従って、甲第3号証の図3によって組み立てたディジタルカメラは、特許性がありません。それは、図16A及び、図16Bによって証明されます。」(第6頁第12行~第13行) j 「また、図示は省略しますが、甲第3号証の請求項6も、第2軸と第3軸は交差していません。従って、請求項6も無効です。(第6頁第14行~第15行) (ク) 項目6 特許法第70条第2項に違反しているとの主張。 (ケ) 項目7 包袋禁反言についての主張。 (コ) 項目8 a 「第1ヒンジ及び第2ヒンジは、図3で、見ると、余りにも、多くの部品が含まれています。・・・第1ヒンジ23は、三つの部品で構成されています。また、第2ヒンジ24も、三つの部品で構成されています。・・・ところで、前記請求項1及び6で、第1ヒンジ、第2ヒンジ、第3ヒンジと多数の部品を含めた状態で、呼称するのは、如何なものか、疑問を拭えません。・・・第2ヒンジと言っても、どこを指しているのか判らなくなります。ご覧の通り、甲第3号証の図16A,B及び図30A,Bにおいて、ヒンジ31及び134は、内側にあります。このヒンジ31及び134は、図3及び図18によりますと、薄板を折り曲げたものですから、図16A,B及び図30A,Bに表示のものよりも、長くすることは不可能です。」(第7ページ第13行~第8ページ第3行) b 「従って、甲第3号証(特許第6244501号)は、サポート要件に違反しています。・・・また、甲第3号証は、明確性要件にも違反しています。・・・甲第3号証は、上記で説明のとおり、虚構に満ちた内容です。その内容通りに作った場合であっても、特許性から大きく外れた結果になります。よって、甲第3号証は、実施可能要件にも、外れてしまうことになります。」(第8ページ第4行~第28行) (サ) 項目9 均等論についての主張。 (手続補正書1) 請求人は、手続補正書1において、乙第2号証を追加し、無効理由を追加する補正を行ったが、審判長は、令和4年4月25日付け却下理由通知書で、請求の理由の補正がその要旨を変更するものであるとして、却下すべきとの通知を行った。 その後、手続補正書2において請求の理由が補正され、前記追加された無効理由は補正により存在しないものとなったため、前記手続補正書1における請求人の主張については検討を行わないこととする。 (弁明書1) ア 「富士フイルムの特許第6244501号は、図16A、図16B及び図30A、図30Bの軸Bの位置と、ヒンジブラケット31,134の位置が、請求項1及び6の内容とは、反対です。」(第1頁下から第9行~下から第7行) イ 「富士フイルムの特許第6244501号は、最初から、小生の特許を模倣した要素がうかがわれます。・・・小生のディスプレイの上部が空いていて、寸法が大きくなると、言っておきながら、ディスプレイに向かって右側を大きく空けているからです。」(第2頁第3行~第7行) (弁明書2) ア 「甲第3号証の図16A、図16Bの第1ヒンジは、第2ヒンジの間にはありません。図16A、図16Bにおいて、第2ヒンジ31は、支持部21と一体で動かしようがありません。(図3参照のこと)」(第1頁最終行~第2頁第3行) イ 「請求項1の内容と、説明及び図面の何れかが異なれば、特許法第70条第2項違反が適用され、特許は、許可されません。」(第2頁第4行~第5行) ウ 「請求項6については、・・・前記一対の第1ヒンジの一方及び前記一対の第2ヒンジの一方の少なくともいずれかは、前記一対の第3ヒンジの間に配置されている撮像装置。」と記載されています。上記、赤色下線部を見ると、請求項1に対して、権利の幅が拡大されています。即ち、第1ヒンジ及び第2ヒンジの何れかが第3ヒンジの間にあればよいことになっています。そこで、徹底的に前例を調べましたところ、・・・の二つが出てきたわけです。この二つは、甲第3号証の出願日には、公開されています。即ち、甲第3号証の請求項6は、この公開された、技術の上に請求項1を載せたに過ぎません。このような技術は、例として、十徳ナイフのように、従来の技術の寄せ集めでは特許にはなりません。」(第2頁第7行~第3頁第5行) エ 「甲第3号証は、実際には、ディスプレイの右側に大きなスペースを必要としています。(実際には、上にカバーを一体に被せて見た目ではわかりませんが)。」(第3頁第10行~第12行) (上申書1) ア 「ところで、一枚の板に、縦方向及び水平方向にヒンジを設けた所謂ヒンジを設け、片方をディジタルカメラに連結し、他の一方を、電子ディスプレイに連結して、縦方向及び水平方向に回動可能にしたのは、甲第1号証が、世界最初です。」(第2ページ第7行~第9行) イ 「従って一枚のプレートに縦方向及び水平方向のヒンジを設定して、カメラに対し、縦方向及び水平方向にディスプレイを回動可能にしたものは、甲第1号証が世界初であり、基本特許であると思います。」(第2ページ第18行~第20行) ウ 「また、甲第3号証の請求項1の最後の、「・・・一対の第2ヒンジの間に配置されている。」 とは、ヒンジブラケット33,34か、ヒンジピン35の間かが判りません。また、下図3のヒンジブラケット33であれば、どこまでも延ばすことができます。従って、甲第3号証において、第1ヒンジ、第2ヒンジと言う言葉を使うことは、この場合、不適当であります。サポート要件(特許法第36条第6項第1号)違反になると思います。」(第3ページ第5行~第11行) エ 「 [図:0001423843000010.jpg] 」 オ 「そこで、図16A、Bを見れば、軸Bが、ヒンンジブラケット31よりも外側にあります。ところが、甲第3号証の請求項1は、「・・・前記一対の第1ヒンジの一方は前記一対の第2ヒンジの間に配置されている撮像装置。」とあります。第1ヒンジの位置は、図16A、Bのヒンジブラケット31の厚みそのものですが、第2ヒンジの位置が明確ではありません。」(第4ページ第1行~第5行) カ 「また、甲第1号証の請求項1と、実質的に全く同じであると思います。何故ならば、甲第1号証の請求項1のヒンジユニット4は、一体で作られていて、第1回転軸と、第2回転軸が極めて近く、甲第3号証の図16A、Bと、全く変わらないからです。」(第4ページ第6行~第9行) キ 「また、甲第3号証の請求項1は、図16A,Bが請求項1と異なりますから、特許法第70条第2項にも違反しています。」(第4ページ第10行~第11行) ク 「 [図:0001423843000011.jpg] 」 ケ 「図16A、B共に、軸Aは、ヒンジユニットの厚さのみで、B軸とは離れています。即ち、図4Aで表す請求項1の内容とは、異なり、特許法70条第2号違反になることは確実です。」(第4ページ下から第2行~第5ページ第1行) コ 「 [図:0001423843000012.jpg] 」 サ 「これは、図7Aにおいても、同じです。甲第3号証の21ページの記載によれば、23は、第1ヒンジで、24は、第2ヒンジです。そして、第1ヒンジに通る軸芯が軸Aであり、第2ヒンジに通る軸芯が軸Bであることは確実です。すると、図16A、Bの記載は、請求項1の内容とは異なります。従って、甲第3号証の請求項1は、サポート要件(特許法第36条第6項 第1号)違反です。そして、特許法第70条第2号にも違反しています。」(第5ページ第2行~第7行) シ 「第2軸が、中心よりも、上側に偏倚(偏位)した」ということで、数値的に制限されていなく、取り付け位置は上限まで可能です。」(第6ページ第16行~第17行) ス 「そして、図18を見ると、例えば、一つの技術が、A+Bで、構成されている場合、A+B+Cは、前記、A+Bに抵触することになり、図18において、赤丸で囲んだヒンジブラケット(支持部121)は、上記説明の+Cにあたり、甲第1号証の構成には無関係になります。(つまり、抵触していることになります。)そして、ヒンジブラケット134は、間にはありません。」(第6ページ第23行~第27行) セ 「なお、請求項6において、第1ヒンジ、第2ヒンジ、第3ヒンジという言葉を使用していますが、第1ヒンジ123は、ヒンジブラケット130、131、ヒンジピン132で構成され、第2ヒンジ124は、ヒンジブラケット133、134,ヒンジピン135で構成され、そして、第3ヒンジ125は、ヒンジブラケット136、137、ヒンジピン138で構成されています。このような、複雑な構成を、第1ヒンジ、第2ヒンジ、第3ヒンジの構成に組み込めば、言葉の齟齬が生じます。また、この、甲第3号証の請求項6も、サポート要件(特許法第36条第6項第1号)違反で、且つ、特許法第70条第2項違反にも相当します。」(第6ページ下から第10行~最終行) ソ 「 [図:0001423843000013.jpg] 」 タ 「 [図:0001423843000014.jpg] 」 チ 「同様に、図22Aにおいても、軸C(124)軸B(125)で、軸Bは、軸Cと交差している状態が判ります。これは、請求項6の記載内容について、正しく描かれていますが、前記、図30A、Bにおいて、軸Cは134の長さまでしかありません。即ち、図30A及び、図30Bは、請求項6の記述内容とは異なります。従って、甲第3号証の請求項6は、サポート要件(特許法第36条第6項第6号1号)に違反しています。また、特許法第70号第2項にも違反しています。」(第9ページ第8行~第14行) ツ 項目3 均等論による特許侵害についての主張。 (上申書2) ア 「甲第3号証(特許第6244501号)の請求項1及び6は、特許第5461738号(甲第2号証)の請求項1に、均等論により、特許侵害しています。」(第1ページ第11行~第12行) イ 「甲第3号証の図3の表記では、第1ヒンジの一方は、前記一対の第2ヒンジの間に配置されていないようです。(図3参照及び図16A,B参照)また、図16A,Bにおいても同様で、甲第3号証の請求項1の記述内容とは、異なっています。従って、甲第3号証の請求項1の記載内容は、甲第2号証の請求項1の内容と、同等なものです。」(第3ページ下から第6行~第4ページ第1行) ウ 「甲第3号証の請求項1には、「・・・前記一対の第1ヒンジの一方は前記一対の第2ヒンジの間に配置されている撮像装置。」と、記述され、上記、記述は、「軸が直交している」ように記載されていますが、・・・ヒンジブラケット33の孔は、支持部33の外側になります。実際に、製作図と、特許図面とは、異なる場合もあるという安易な見方もあるようですが、この甲第3号証の請求項1の場合、図16A,図16Bをみれば、単なる間違えでないことが判ります。図16Aも、図16Bも、軸Bが、ヒンジブラケット31の外側にあります。A軸は、ヒンジブラケット31よりも長くなることはありません。即ち、A軸とB軸は交差していないことになります。つまり、甲第3号証の請求項1及び図4A、図7Aにおいては、「交差している」と、記載し、図3及び図16A及び図16Bにおいては、「交差してていない」ように記載しています。」(第4ページ第1行~第14行) エ 「第2ヒンジ24は、軸A方向の寸法が問題になり、又、軸に対し回転方向にも動きますから非常に問題です。」(第4ページ第20行~第22行) オ 「甲第3号証の請求項1は、特許法第70条第2項違反であり、また、明確性要件(特許法第36条第6項第2号)・サポート要件(特許法第36条第6項第1号)違反になります。更に、図4A及び図7Aの通りに作れば、実施可能要件(特許法第36条第4項第1号)違反になります。(第4ページ下から第4行~下から第1行) カ 「 [図:0001423843000015.jpg] 」 キ 「 [図:0001423843000016.jpg] 」 ク 「 [図:0001423843000017.jpg] 」 ケ 「 [図:0001423843000018.jpg] 」 コ 「 [図:0001423843000019.jpg] 」 サ 「 [図:0001423843000020.jpg] 」 シ 「また、請求項6の最後の・・・部分は、下記の甲第3号証の図18に表示した通り、B軸と、C軸(134)は、交差していません。従って、この図18を代表図とする甲第3号証の請求項6も、特許法第70号第2項違反であり、また、明確性要件件(特許法第36条第6項第2号)違反であり、請求項1で示した通り、サポート要件(特許法第36条第6項第1号)違反でもあります。」(第10ページ第16行~23行) ス 「また、甲第3号証の図19A、22Aによれば、これらの図のように、B軸とC軸が交差している場合には、ディスプレイ15の裏面と、支持部122の表面とが、干渉して、作動不良となります。従って、甲第3号証の請求項6は、実施可能要件(特許法第36条第4項第1号)にも、抵触することになります。」(第10ページ第24行~第27行) セ 「 [図:0001423843000021.jpg] 」 ソ 「 [図:0001423843000022.jpg] 」 タ 「 [図:0001423843000023.jpg] 」 チ 「 [図:0001423843000024.jpg] 」 ツ 「 [図:0001423843000025.jpg] 」 テ 「上申書提出者が、申し上げたいことは、甲第3号証は、「甲第2号証は、ヒンジが横(上)に張り出しているので、その分スペースがとられ、カメラ全体が大きくなる。」ということを議題に挙げています。ところが、実際には、前回お送りした写真のように、ディスプレイの旋回支点は、カメラの外側に、設置されていて、甲第3号証の図3及び図18でも判るように、横方向のスペースが、大きく、増大しています。甲第3号証で喧伝していることは、意味のすり替えにすぎません、また、図3、図18、及び、図16A,B及び図30A、Bの通り、縦方向と、水平方向の軸は交差していません。請求項1及び6においては交差しているように記載されていますが、図4A及び、図7A 図19A及び図22Aの通りにした場合には、干渉が生じ作動不能になります。」(第13ページ第1行~第10行) (上申書3) ア 「支持部21と、ヒンジブラケット31は、一枚の板から製作されていますから、軸Aの長さは、ヒンジブラケットの厚みまでしかありません。これは、請求項1の内容とは矛盾しています。」(第4ページ下から第6行~下から第4行) イ 「この【図30A,B】も、支持部122と、ヒンジブラケット133の内側に設置することは、不可能で、支持部122の一部を切り裂いて設置した場合であっても、均等論により、甲第2号証特許第5461738号に抵触することになります。すると、ヒンジブラケット133は、軸Bに支えられていることになり、軸Bが最も外側になります。」(第5ページ下から第8行~下から第4行) ウ 「ヒンジブラケット133は、甲第2号証特許第5461738号には使われて、いませんから、均等論によって、侵害になります。」(第6ページ第1行~第2行) エ 「更に、甲第3号証特許第6244501号において、【図4A】、又は、【図7A】の如くに組み立てられていると、記載されています。即ち、A軸と、B軸が交差しているわけですが、実際に、このような状態では、B軸と中心として開閉した場合に、カメラ本体と、ディスプレイとの底面と、が干渉して、ディスプレイを上方に持ち上げることができません。これは、同送の模型が物語っています。甲第3号証の特許第6244501号は、下記の【図4A】及び【図7A】の構造とは異なり、軸Bを、先端一杯に張り出していますから、干渉せずに作動するためで、実際の作動原理とは異なっています。【図4A】及び【図7A】のように作った場合、特許上では、作動不能になります。」(第6ページ第3行~第11行) 「これは、特許第6244501号の【図19A】及び、【図22A】でも、同じです。」(第6ページ下から第1行) オ 「即ち、甲第3号証は、特許第6244501号は、明細書及び図面通りに作った場合、作動不能で、特許性はありません。」(第7ページ下から第2行~最終行) カ 「 [図:0001423843000026.jpg] 」 (弁明書3) 甲第5号証及び甲第6号証の再提出を認めるべきとの主張。 弁明書3は、上申書4により取り下げた。 (弁駁書) ア 「段落[0007]には、間違いがあります。・・・と、記載されていますが、「ヒンジユニット3」とは、引用文献1には、どこにも記載されていません。」(第3ページ第4行~第14行) イ 「上記の引用文献1の第1ヒンジが、ディスプレイの外側になった場合においても、富士フイルムの特許第6244501号と比較して、引用文献1の方が小さくなります。」(第3ページ第14行~第16行) ウ 「「デジタルカメラの意匠性が損なわれる」と、言っていますが、意匠性は、特許ではありません。」(第3ページ第16行~18行) エ 「必しも、富士フイルムの特許第6244501号を使用すれば、デジタルカメラが、小型化することはあり得ません。何故ならば、・・・特許第6244501号においては、左右方向は必然的に引用文献1よりも長くなります。(引用文献1が恰も大きくなる。)と、批評し、「特許第6244501号によれば、小型化できる。」とは、審査官を騙す詐欺行為であると思います。」(第3ページ第24行~34行) オ 「 [図:0001423843000027.jpg] 」 カ 「富士フイルムの特許第6244501号は、後から、右側に張り出したヒンジユニット(24)、(125)の上側から全体にカバー(16)を被せていますから、富士フイルムの方が、引用文献1よりも、左右寸法が大きくなります。また、上図の引用文献1のヒンジ(図示せず)は、カバーと、本体の間に溝ができるだけで、全然大きくなりません。従って、富士フイルムの特許第6244501号の段落[0007]、[0008]に記載されている内容は、全く正反対で、嘘になります。」(第4ページ第1行~第6行) キ 「引用文献1の一対のヒンジユニット4がディスプレイの外側に露出していることは確かですが、必ずしも、そのように判断されません。何故ならば、特許文献1(特許第5461738号)の図10を御覧下さい。左側にヒンジユニットが張り出していますが、実質的に、富士フイルム特許第6244501号の図3の「支持部21」と、全く同一です。富士フイルムは、180°反転して使用しているだけです。但し、異なるところがあります。それは、富士フイルムの請求項1においては、水平方向の軸が本体に回転するように固定されていて、引用文献1の縦方向の軸(44a)の方が本体に固定されています。即ち、引用文献1のヒンジユニット(4)と、特許6422501号の支持板(21)は同じものですが、使用方法は取り付け方が反対です。この場合、であっても、均等論第2要件として、特許侵害になります。」(第4ページ第7行~第5ページ第5行) ク 「 [図:0001423843000028.jpg] 」 ケ 「 [図:0001423843000029.jpg] 」 コ 「 [図:0001423843000030.jpg] 」 サ 「富士フイルムの特許第6244501号特許は、図3の全体の構成図においても、前記の「(1F)前記一対の第1ヒンジの一方は前記一対の第2ヒンジの間にある」を満たしておりません。また、上図の図16A及び16B(16Bは、表示を省略しています。)においても、ヒンジブラケット(30)は、固定部(20)と一体であり、別物です。また、支持部(21)は、一枚の板を折り曲げた構造ですから、ヒンジブラケット(31)と、支持部(21)とは、一体であり、切り離たり、長短に変化させることは不可能です。当然ながら、第1軸(A軸)は、ヒンジブラケットの厚みしかなく、第1軸と、第2軸は交差していません。つまり、前記、(1F)については、図16A及び図16Bも、異なっていて、請求項1の内容とは異なります。」(第7ページ第1行~第10行) シ 「 [図:0001423843000031.jpg] 」 ス 「 [図:0001423843000032.jpg] 」 セ 「上記図30Aにおいて、ヒンジブラケット(134)は、支持部(122)と、一枚の板を折り曲げて作られていて、長短は不変で一定間隔です。水平方向の軸はヒンジブラケット(134)の厚みしか長くできません。従って、B軸とC軸は、交差することはありません。また、A軸は、付加事項であり、引用文献1とは無関係です。」(第9ページ第1行~第4行) ソ 「特許第6244501号の図4A,7A,19A,22Aによれば、作動不能になります。・・・請求人は、このように、ディスプレイが開閉するときには、軸と、周りの(例えば、ディスプレイの)角部を同心円に描いております。即ち、軸芯から、一定の距離以外に開け閉めできないのです。」(第9ページ第6行~第16行) 項目7(1) タ 「特許6244501号は、請求項1も、請求項6も、請求の範囲で主張した内容とは、説明書及び図面の記載が異なっています。」(第10ページ第2行~第3行) チ 「上記特許の図3の支持部21と、被請求人が引用した引用文献1の特許第5461738号の図10に記載のヒンジユニット(4)とは、全く同じです。違うところは、取り付け位置が左右反対と、カメラ本体と、ディスプレイに対する取り付け位置が、反対であるだけです。つまり、両者は互いに、全く同じ作用効果です。従って、均等論第2要件により、被請求人は、請求人の模倣者であると言えます。」(第10ページ第4行~第8行) ツ 「特許第6244501号の請求項6も、前記特許の請求項1に、他の技術内容を付加した要件であって、被請求人が引用した引用文献1と、互に交換することができます。そして、被請求人特許の請求項6においても被請求人の引用した引用文献1の場合と、全く同じ作用効果です。」(第10ページ第13行~第16行) テ 「被請求人の特許第6244501号特許は、本来は、図4A、7A、19A、22A、と、する筈ですが、実際にそのように作ろうとすると、作動しないため、そのように、見せかけて(請求項3及び6)実際には、異なる方法(図3及び図18、図16A、B 図30A、B)の図面によって製造販売をしています。」(第10ページ第17行~第20行) ト 項目7(2) 包袋禁反言についての主張。 ナ 項目7(3) 特許第6244501号の請求項6について、特許5461738号に対して、均等論 第2要件で抵触することの主張。 項目7(4) ニ 「上記特許の実態は、縦方向の軸と、横方向の軸が交差して、カメラ自体を小型化することを目的としています。・・・しかし、実際には、右側にヒンジユニット33、136が、大きく外側に張り出しています。その張り出した先端からディスプレイを開くように作られていますので、ディスプレイを回動するときに、支持部21、122と干渉することはありません。つまり、カメラを小型化する目的から外れ、事実上小生の特許第5461738号の模倣以外の何物でもありませんが、また、実際には、富士フイルムの特許で作られたカメラの方が、小生の特許のカメラよりも実際には大きくなります。」(第11ページ下から第7行~第12ページ第2行) ヌ 「また、直接侵害でないとしても、主要部品が、特許第5461738号の図10のヒンジユニット4と、特許第6244501号の図3及び図18の支持部21、122と同じで、間接侵害になります。」(第12頁第5行~第7行) (上申書4) 弁明書3を取り下げる旨を上申。 (陳述要領書) 項目6 「富士フイルムX-T3型の写真についての説明、及び、特許図面通りに作った場合、実際には作動不能です、その状態の説明については、実験モデルを当日持参します。なお、先日送りました弁駁書の参考文献2によりますと、主要部品(支持部22及び122)が、対象物(甲2)と同じ場合には、間接侵害になると記されています。」(第1ページ下から第7行~下から第3行) (上申書5) ア 「甲3号証の図3の支持部21は、・・・甲2号証の図10のヒンジユニット4と同等」(第1頁第8行~第9行) イ 「図4A及び、図7Aに基づいて作成した模型の見本では、表示パネル15を、開くことができません。これは、特許法第70条第2項違反(包袋禁反言の原則)が明らかです。」(第2頁第4行~第7行) ウ 「甲第2号証に対しては、主要部品である支持部122を、甲第2号証の図10のヒンジユニット4と、同一部品を使用しています。」(第3頁第5行~第6行) エ 「甲第2号証の図10のヒンジユニット4は、甲第3号証の支持部122と、同じであると思います。主要部品を、同一部品として構成し、また、同一な作用効果があれば、間接侵害に抵触するはずです。甲第3号証の支持部21及び122は、甲第2号証の図10のヒンジユニット4と、左右方向の表示が、反対ですが、これは、例えば、人が履く靴が、左右方向が対称的なものと同様に、同一の技術であると思います。」(第3ページ第15行~第20行) (上申書6) ア 「 [図:0001423843000033.jpg] 」 イ 「 [図:0001423843000034.jpg] 」 ウ 「請求項6において、・・・「反対側に一辺側に偏倚した」の部分は、数値等の記述はありませんから、中心から方端までの間と解釈できます。」(第15ページ第4行~第16行) エ 「第1又は第2ヒンジのいずれかは、第3ヒンジの間に配置されている撮像装置」と、ありますから、請求項6に対しては、合法でありますが、先行特許技術(特許第5461738号)に対しては、撮像装置(ディジタルカメラ)のディスプレイを支える主要技術であり、主要部品を同一内容の特許に使用すれば、請求項の内容に拘わらず、間接侵害に抵触することになります。」(第15ページ下から第2行~第16ページ第5行) オ 「 [図:0001423843000035.jpg] 」 カ 「XT-3型カメラの〔請求項6〕の支持部122は、特許第5461738号の図10のヒンジユニット4と全く同じです。」(第16ページ下から第2行~下から第1行) キ 「 [図:0001423843000036.jpg] 」 (上申書7) ア 「甲第1号証の段落[0074]では、既に、富士フイルムの特許第6244501号(甲第3号証)と、同一内容のものが、謳われています。それなのに、そのような特許を出願するのも疑問です。従って、請求人の考えでは、二つのヒンジを、縦方向と横方向に別々に取り付け、縦方向と、水平方向にディスプレイを回動させる技術は、どの様な方法であっても。甲第1号証及び甲第2号証に抵触すると思います。」(第6ページ第3行~第8行) イ 「冨士フイルムの特許第6244501号請求項1のカメラではウエストレベルの撮影ができないのです。・・・従って、甲第3号証の請求項1は、実際には、使うことができません。」(第6ページ下から第1行~第7ページ第9行) ウ 「 [図:0001423843000037.jpg] 」 エ 「ディスプレイを90°開いた時には、表示パネル15の面が下向きになります。従って、特許第6244501号の請求項1のカメラは、実際には、使えません。」(第7ページ下から第6行~下から第4行) オ 「甲第3号証においては、ディスプレイは、下方向にしか、傾けることはできません。左方向に傾けることはできますが)このような場合、カメラを普通に持って撮影するアイレベル撮影には、困りませんが、突然、ウエストレベル撮影するとき、ディスプレイをしたから覗かなくてはなりません。それを避けるには、カメラを上下逆さまに持ち返る必要があります。また三脚を使用する場合、ディスプレイが下を向くため使用することは不可能です。従って、甲第3号証(特許第6244501号)は、サポート要件に違反しています。」(第8ページ下から第1行~第9ページ第8行) カ 「図4A、図7Aにおいて、A軸と、B軸が交差しているように描かれています。(食い違い軸交差)しかし、図3及び図16A、図16Bでは、交差していないように描かれています。即ち、図面によって、交差している場合と、交差していないような二種類の説明されています。また、請求項1の表現では、最後の赤色下線部の標記によりますと、「第1ヒンジ」、「第2ヒンジ」と、描かれています。第1ヒンジ23は、ヒンジブラケット30、31、と、ヒンジピン32から成り立っています。そして、第2ヒンジ24は、ヒンジブラケット33、34、ヒンジピン35から成り立っています。すると、ヒンジブラケット33は、支持部21の長方形の長さ方向にいくらでも長く作ることができます。従って、請求項1の下線部の「第1ヒンジ」、及び「第2ヒンジ」という表現は、非常に曖昧な表現で、実体を表していません。これは、特許請求の範囲を明確に表していませんから、明確性要件を満たしていないものと思います。(特許法第36条第6項第2号違反)」(第12ページ第2行~第14行) キ 「この請求項1の記載は、説明文及び図面の両方とも、異なっています。これは、包袋禁反言の法理が適用されると思います。(特許法第70条第2項)」(第12ページ下から第4行~第3行) ク 「特許第6244501号の図3に基づいて、模型見本を作って見ました。これは、上記、図4及び図7のように、A軸と、B軸が交差している場合であって、図3の支持板21の表面と、表示パネルの底面とが干渉して、実際には不作動のものです。これは、産業上実際に利用できない発明の一つであり、実際上、明らかに実施できない発明に含まれます。」(第12ページ下から第2行~第13ページ第3行) ケ 「 [図:0001423843000038.jpg] 」 コ 「支持板21の表面と、表示パネルの裏面とが、干渉して、請求項1の範囲で作ったものでは、開くことができません。所謂、作動不能です。」(第13ページ下から第2行~下から第1行) サ 「請求項6の場合も、前記、模型の写真のように作動不能ですが、実際には、異なる方法で作られています。」(第14ページ第20行~第21行) シ 「独立請求項6は、・・・請求項1の場合と、同じで、例えば、第3ヒンジのヒンジブラケット136は、幾らでも長く前後に伸ばすことができます。この点は非常に不明確です。従って、この場合にも、明確性要件を満たしていないと思います。(特許法第36条第6項第2号違反)」(第14ページ下から第5行~下から第1行) ス 「請求項6において、・・・「第3ヒンジの間に」となっていますので、第3ヒンジのどこを指すのかが明確ではありません。」(第16ページ第5行~第9行) セ 「第2軸の位置は・・・「一辺の反対側に偏倚した」と、なっていて、数量等の制限はありませんから、図18の支持部122は、甲2号証の図10と同等です。」(第16ページ下から第5行~第17ページ第1行) ソ 「請求項6も、図19A、図22Aによれば、前記、見本模型のように、支持板122の表面と表示パネルの底面と、が干渉して、開かなくなります。」(第18ページ第1行~第2行) タ 「同等の主要構成部品を使用し、同じ作用効果があれば、間接侵害に見做されます。よって、富士フイルムの特許第6244501号請求項6も、特許第5461738号に対して間接侵害をしています。」(第19ページ第8行~第11行) (上申書8) ア 甲第3号証の請求項6が、甲第2号証の請求項1に対して進歩性がないことの主張。 イ 「甲第3号証は、無駄がないように作った場合には、先日お見せした模型のように不作動になります。」(第5ページ下から第3行~下から第2行) (上申書9) ア 「特許第6244501号の請求項6が無効であれば、前記、WO 2017/056590 A1も、無効にすべきです。」(第1ページ下から第6行~下から第4行) イ 「段落[0007]には、「デジタルカメラの意匠性が損なわれる。」と、記載されています。請求人の意見におい、「意匠性は、特許にはならない」と、思います。」(第2ページ第23行~第25行) ウ 「甲第3号証は、周知技術の上に、甲第2号証を模倣したものを取り付けているに過ぎません。更に甲第1号証の段落[0074]には、縦方向及び水平方向を互いに反対に設置した例も記載していますので、甲第3号証は、周知技術の上に、甲第1号証及び、甲第2号証を模倣した構成要素を組み込んだ単なる設計変更に過ぎず、特許性はありません。」(第2ページ第27行~第32行) エ 「甲第3号証の段落[0008]には、・・・と、記載されていますが、甲第3号証において、小型化はしていません。何故ならば、甲第2号証の図10を御覧ください。甲第3号証は、周知技術の第1支持部121(甲第2号証に対して付加的構成(ロ))のような、余計な要素を付加させても、ヒンジユニットは小型化にはならず、性能も良いわけではありません。」(第2ページ下から第3行~第4ページ第5行) オ 「第1ヒンジ123を第3ヒンジの間に取り付けた場合(図30A`参照)には、更に、第3号証のカメラの横方向の寸法が増大し、甲第3号証の段落[0008]に記載された、「本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、ディスプレイを本体に可動に連結するヒンジユニットを小型化できる撮像装置を提供することを目的とする。」に反するからです。従って、第3号証(特許第6244501号及び、WO 2017/056590)の請求項6は、記載内容自体に特許性の阻害要因があるからです。」(第4ページ第13行~第20行) カ 「更に、「特許の進歩性についての参考文献1」をご覧ください。 ・技術分野の関連性:これは、請求人の特許第5461738号を引例として挙げてますので、関連性は十分です。 ・課題の共通性:この課題の共通性も、上記特許を、批評していますので、共通性も十分にあります。 ・作用、機能の共通性:元々、請求人は、被請求人に模倣された、と思っていますので、作用、機能も共通しています。 ・引用発明の内容中の示唆:先ず、一枚のプレートに、縦方向と、水平方向のヒンジを取り付けたのが、甲第1号証です。その変形例が、甲第2号証(特許第5461738号)です。この甲第2号証を小さくして、意匠性をよくする。と言っていますが、意匠性は、特許にはなりません。また、小さくすると言っていますが、実際には、特許第6244501号では請求項1及び6では、特許自体が成立しないと思います。 ・引用発明と比較して有利な効果:前記に説明した通り、富士フイルムの特許第6244501号は、作用効果に無理があり、特許は請求項1及び6とも成立しません。 ・阻害要因:富士フイルムの特許第6244501号は、周知技術の上に甲第1号証又は甲第2号証を載せたものです。そして、唯、載せただけではありません。載せただけでも、請求項1は、成り立たず。また請求項6は、付加的構成(ロ)によって、成り立ちませんが、B軸を例えば(図30A`)の位置に載せ替えた場合でも、カメラの横幅が更に増大し、段落[0008]で、謳っている通りにはなりません。従って、甲第3号証の請求項6は、無効にするべきです。」(第4ページ第24行~第5ページ第21行) キ 「 [図:0001423843000039.jpg] 」 ク 「 [図:0001423843000040.jpg] 」 ケ 「甲第3号証の請求項6の無効理由1 周知技術を使用して、更に公開された技術を、その上に載せている。従って、進歩性(特許法第29条第2項)がありません。 甲第3号証の請求項6の無効理由2 現実的に、請求項6にした場合、B軸が第1ヒンジの間に入った場合には、第1ヒンジは、付加的構成(ロ)であり、成立せず、B軸が、第2ヒンジ(ヒンジブラケット134)の間に入った(図30A`)の場合には、カメラ全体が大きくなり、段落[0008]の目的と合致しなくなる。よって、甲第3号証(特許6244501号及び、WO 2017/056590)請求項6は無効です。」(第6ページ第1行~第12行) (4)証拠方法 甲第1号証~甲第4号証は、次のとおりである。 甲第1号証:特許第5296270号公報 甲第2号証:特許第5461738号公報 甲第3号証:特許第6244501号公報 甲第4号証:無効2020-800010号における富士フイルム株式会社の口頭審理陳述要領書 2 被請求人の主張 (1)答弁の趣旨 本件無効審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める (2)答弁(概要) 請求人が主張するそれぞれの無効理由のいずれも理由がなく、本件発明1及び6に係る本件特許は、請求人の主張する理由によっては、無効とすることができない。 (3)各提出書類における被請求人の主張の概要 (答弁書) (6-2-3)「6.請求の理由」について [2]検討・整理 以上を踏まえて第2手続補正書によって補正された「6.請求の理由」の記載を整理すると、請求人が主張する無効理由は以下のとおりのものであり、これらに限られると解される。 (無効理由(ア))・・・(サポート要件)を満たしていない・・・ (無効理由(イ))・・・(明確性要件)を満たしていない・・・ (無効理由(ウ))・・・(実施可能要件)を満たしていない・・・無効である。」 [3]請求人が主張するその他の無効理由について 特許法第70条第2項、「包袋禁反言」及び「均等論」に関する主張は失当であり、これらを根拠とする無効審判請求も失当である旨主張。 (6-4-2)本件発明はサポート要件を充足すること [1]本件発明の課題 従来技術(甲第2号証)は、本体と連結している一対の第1ヒンジ4の一方が、第2ヒンジ5の間に配置されていない構造であるため、一対の第1ヒンジ4の間の直方体の空間が空いてしまい、その直方体の空間の分だけ撮像装置が大型化してしまうとともに、撮像装置としての意匠性が損なわれるという課題があった。 [2]本件発明は課題解決手段を備えていること 本件発明1は、「前記一対の第1ヒンジの一方は前記一対の第2ヒンジの間に配置されている」という「特定事項1F」を備えることによって上記課題を解決したもの。 小型化は段落【0035】、意匠性を高めることは段落【0027】の記載によって裏付けられている。 本件発明6についても同様であり、「前記一対の第1ヒンジの一方及び前記一対の第2ヒンジの一方の少なくともいずれかは、前記一対の第3ヒンジの間に配置されている」という「特定事項6G」を備えることによって、上記課題を解決したもの。 小型化は段落【0089】及び【0090】、意匠性を高めることは段落【0081】の記載によって裏付けられている。 (6-4-3)請求人の主張に対する反論 [被請求人の反論1] 甲2号証に記載された発明は、上記課題を解決するための手段である「特定事項1F」及び/又は「特定事項6G」に相当する事項を備えていないから、上記課題を解決しない。 [被請求人の反論2] 「第1ヒンジ」、「第2ヒンジ」及び「第3ヒンジ」という記載は、学術用語として、その有する普通の意味で使用しており、記載に不明確な点はない。 「第2ヒンジ」という記載は明確であるから、「一対の第2ヒンジの間」という記載も明確である。 [被請求人の反論3] 「特定事項1F」及び「特定事項6G」では、いずれもヒンジの配置が特定されるのみで、軸については交差の有無を含め何らの特定もされていない。 (6-5-2)本件発明は明確性要件を充足すること 各特定事項(1A~1G、6A~6H)で用いられる用語は、学術用語として、その有する普通の意味で使用しており、その記載に不明確なところはなく、当該用語によって特定された上記各特定事項の記載にも不明確なところはない。 (6-5-3)請求人の主張に対する反論 本件発明の第「1ヒンジ」、「第2ヒンジ」及び「第3ヒンジ」という記載に不明確なところはなく、これらの記載によって特定された事項(1D~1F、6D~6G)についても、本件発明1の「一対の第2ヒンジの間」(特定事項1F)を含め、不明確なところはない。 (6-6-2)本件明細書の発明の詳細な説明は実施可能要件を充足すること 本件明細書の発明の詳細な説明に接した当業者であれば、本件発明1及び6のそれぞれにおける各特定事項の技術的意義を課題解決手段である特定事項1F(本件発明1)及び特定事項6G(本件発明6)を含めて正しく理解した上で、本件発明1及び6のそれぞれにおいて、各特定事項で特定されたとおりの機能が実現するように、各部材の寸法等の具体的な事項を、技術常識も踏まえて過度の試行錯誤を要することなく決定できることは明らか。 (6-6-3)請求人の主張に対する反論 [被請求人の反論4] 図4Aは「一対の第1ヒンジ」と「一対の第2ヒンジ」の「配置」を説明するための「模式図」であって「設計図面」ではないから、当該「配置」を説明するための「模式図」であることを限度として参酌すべきものであり、「設計図面」に要求されるような正確性をもって描かれているとは限らないから、「図4Aに準じて製作した場合、支持部と、表示パネルが干渉して甲第3号証の明細書に記述されている通りに作動しなくな」ることがあったとしても、これをもって、本件明細書の発明の詳細な説明の記載が実施可能要件を充足しないことの根拠にすることはできない。 本件明細書の発明の詳細な説明に接した当業者であれば、本件発明1及び6のそれぞれにおいて、各特定事項で特定されたとおりの機能が実現するように、各部材の寸法等の具体的な事項を、技術常識も踏まえて過度の試行錯誤を要することなく決定できることは明らか。 (陳述要領書) 項目(5-3) 「しかしながら、被請求人が、答弁書の(6-4-2)及び(6-4-3)で主張したように、本件明細書の段落【0007】及び【0008】の記載に接した当業者であれば、特許文献1に記載されたデジタルカメラには、本体1と連結している一対の第1ヒンジ4の一方が、第2ヒンジ5の間に配置されていない構造であることに起因して、一対の第1ヒンジ4の間の直方体の空間の分だけ大型化してしまうとともに、ヒンジユニット3がディスプレイ2の外側に配置されることによって意匠性が損なわれてしまうという課題があることを正しく理解することができる。 したがって、「段落[0007]、[0008]に記載されている内容は、全く正反対で、嘘になります」という請求人の上記主張は根拠を欠くものである。」(第2ページ第10行~第18行) 第4 当審の判断 1 無効理由1(サポート要件) (1) サポート要件の判断基準について 「特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきもの」〔知財高裁平成17年(行ケ)10042号〕とされているところ、このような観点に基づいて、本件特許のサポート要件の適否を以下に検討する。 (2) 本件特許の発明の詳細な説明の記載 本件特許の発明の詳細な説明(図面を含む。)には、以下の記載がある。なお、下線は、当審にて付したものである。 「【背景技術】 【0002】 撮像素子を有する本体の一面に沿って配置されたディスプレイにライブビュー画像が表示される撮像装置として、可動式のディスプレイを備え、撮影姿勢を変えることなくハイアングル及びローアングルといった種々の撮影アングルでの撮影が可能に構成された撮像装置が知られている。 【0003】 特許文献1に記載されたデジタルカメラは、図31、図32A及び図32Bに示すように、本体1の一面に沿って配置されたディスプレイ2を本体1に可動に連結しているヒンジユニット3を備える。 【0004】 ヒンジユニット3は、本体1及びヒンジユニット3にそれぞれ設けられた軸受孔4aに図示しない軸部材が挿通されてなる一対の第1ヒンジ4により、軸Aまわりに回動可能に本体1に連結されている。そして、ディスプレイ2は、ヒンジユニット3に設けられた軸受孔5aにディスプレイ2に設けられた軸部5bが挿通されてなる一対の第2ヒンジ5により、軸Aと直交する軸Bまわりに回動可能にヒンジユニット3に支持されている。 【0005】 例えば撮影範囲が相対的に水平方向に長くなる横構えでは、ディスプレイ2はヒンジユニット3と一体に軸Aまわりに回動され、撮影範囲が相対的に鉛直方向に長くなる縦構えでは、ディスプレイ2が単独で軸Bまわりに回動され、横構え及び縦構えのいずれの場合にも撮影アングルに応じてディスプレイ2の角度が変更可能となっている。」 「【図31】 [図:0001423843000041.jpg] 」 「【図32A】 [図:0001423843000042.jpg] 」 「【図32B】 [図:0001423843000043.jpg] 」 「【発明が解決しようとする課題】 【0007】 特許文献1に記載されたデジタルカメラのヒンジユニット3では、一対の第1ヒンジ4が配置される軸Aは、一対の第2ヒンジ5の外側で、これら一対の第2ヒンジ5が設けられる軸Bと交差しており、軸A上の一対の第1ヒンジ4がディスプレイ2の外側に突出して配置され、ヒンジユニット3がディスプレイ2よりも大きくなっている。一対の第1ヒンジ4のような機構が、ディスプレイ2の外側に突出して配置されてデジタルカメラの外観に露呈していると、デジタルカメラの意匠性が損なわれる。 【0008】 本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、ディスプレイを本体に可動に連結するヒンジユニットを小型化できる撮像装置を提供することを目的とする。」 「【0014】 図1A及び図1Bに示す撮像装置としてのデジタルカメラ10は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementaly Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの撮像素子11を有する本体12と、ディスプレイ13と、ディスプレイ13を本体12に可動に連結しているヒンジユニットとを備える。 【0015】 ディスプレイ13は、液晶又は有機ELなどの表示パネル15と、表示パネル15の表示領域を露出させる窓が形成されたカバー16とを有し、表示パネル15を正面からみて略矩形状に形成されている。本体12の背面には、ディスプレイ13と同じく略矩形状に形成された凹部17が設けられており、ディスプレイ13は、凹部17に収容され、本体12の背面に沿って配置されている。」 「【図1A】 [図:0001423843000044.jpg] 」 「【図1B】 [図:0001423843000045.jpg] 」 「【0017】 図2A及び図2Bに示すように、本例のヒンジユニットは、ディスプレイ13の長辺13aに沿って延びる軸A(第1軸)まわりに回動可能に、また、軸Aと略直交しかつディスプレイ13の短辺13dに沿って延びる軸B(第2軸)まわりに回動可能に、ディスプレイ13を本体12に連結している。なお、軸A及び軸Bがディスプレイ13の辺に「沿う」とは、軸A及び軸Bがディスプレイ13の辺から離れずに辺と並行することを言う。」 「【図2A】 [図:0001423843000046.jpg] 」 「【図2B】 [図:0001423843000047.jpg] 」 「【0018】 図3は、デジタルカメラ10のヒンジユニットの構成を示す。 【0019】 ヒンジユニット14は、本体12の凹部17の底面に固定される固定部20と、ディスプレイ13を支持する支持部21とを有する。 【0020】 固定部20には、軸A上に配置される一対のヒンジブラケット30が設けられており、支持部21には、軸Aの軸方向にヒンジブラケット30と重ね合わされる一対のヒンジブラケット31が設けられている。重ね合わされたヒンジブラケット30とヒンジブラケット31とはヒンジピン32によって相対回動可能に結合される。 【0021】 ヒンジブラケット30及びヒンジブラケット31並びにヒンジピン32により、軸A上に配置される第1ヒンジ23が構成される。支持部21は、軸A上の一対の第1ヒンジ23によって軸Aまわりに回動可能に、固定部20を介して本体12に連結される。 【0022】 支持部21には、軸B上に配置される一対のヒンジブラケット33が設けられており、ディスプレイ13には、軸Bの軸方向にヒンジブラケット33と重ね合される一対のヒンジブラケット34が設けられている。重ね合わされたヒンジブラケット33とヒンジブラケット34とはヒンジピン35によって相対回動可能に結合される。 【0023】 ヒンジブラケット33及びヒンジブラケット34並びにヒンジピン35により、軸B上に配置される第2ヒンジ24が構成される。ディスプレイ13は、軸B上の一対の第2ヒンジ24によって軸Bまわりに回動可能に、支持部21に支持される。」 「【0027】 ディスプレイ13が凹部17に収容されて本体12の背面に沿って配置されている状態で、ヒンジユニット14は、ディスプレイ13のカバー16によって覆われ、デジタルカメラ10の外観に露出しない。ヒンジユニット14をデジタルカメラ10の外観に露出させないことにより、デジタルカメラ10の意匠性を高めることができる。 「【図3】 [図:0001423843000048.jpg] 」 「【0028】 図4Aは、ヒンジユニット14の一対の第1ヒンジ23及び一対の第2ヒンジ24の配置を模式的に示し、図4Bは、ヒンジユニット14が一対の第2ヒンジ24の軸Bまわりに回動された際のヒンジユニット14の軌道を模式的に示す。 【0029】 図4A及び図4Bに示すように、本例のヒンジユニット14では、軸A上の一対の第1ヒンジ23のうち軸B寄りに位置する一方の第1ヒンジ23が軸B上の一対の第2ヒンジ24の間に配置されている。図中、二点鎖線の枠は、ディスプレイ13の表示パネル15を正面からみたときのカバー16の外周を示している。」 「【図4A】 [図:0001423843000049.jpg] 」 「【図4B】 [図:0001423843000050.jpg] 」 「【0030】 図5A及び図5B、図6A及び図6B、図7A及び図7Bは、軸B寄りに位置する第1ヒンジ23が一対の第2ヒンジ24の間から外れて配置されている場合をそれぞれ示す。 【0031】 図5A及び図5Bは、軸B寄りに位置する第1ヒンジ23が、軸Bの軸方向に一対の第2ヒンジ24の間から外れて配置されており、軸Aと軸Bとが一対の第2ヒンジ24の外側で交差する場合を示している。この場合に、ヒンジユニット14及びヒンジユニット14を覆うカバー16の外周は、図中クロスハッチングを付して示すように、図4A及び図4Bに示したヒンジユニット14及びカバー16の外周に対して軸Bの軸方向に拡大される。」 「【図5A】 [図:0001423843000051.jpg] 」 「【図5B】 [図:0001423843000052.jpg] 」 「【0033】 図7A及び図7Bは、軸B寄りに位置する第1ヒンジ23が、軸Aの軸方向に一対の第2ヒンジ24の間から外れて配置されており、かつ軸Aと軸Bとが一対の第1ヒンジ23の間で交差する、すなわち軸B寄りに位置する一方の第1ヒンジ23が軸Bを挟んで他方の第1ヒンジ23とは反対側に配置される場合を示している。この場合に、ヒンジユニット14を覆うカバー16の外周は、図4A及び図4Bに示したカバー16の外周と同等となる。」 「【図7A】 [図:0001423843000053.jpg] 」 「【図7B】 [図:0001423843000054.jpg] 」 「【0034】 しかし、軸B寄りに位置する一方の第1ヒンジ23が軸Bを挟んで他方の第1ヒンジ23とは反対側に配置されることにより、軸B寄りに位置する第1ヒンジ23は、ディスプレイ13の軸Bまわりの回動に伴い、本体12の凹部17の底面に向けて軸Bまわりに旋回される。そして、軸B寄りに位置する第1ヒンジ23が軸Aの軸方向に一対の第2ヒンジ24の間から外れて配置されることによって旋回半径が大きくなる。そのため、本体12の凹部17の底面には、第1ヒンジ23との干渉を回避するための逃げ溝が必要となる。」 「【0035】 このように、一対の第1ヒンジ23のうち軸B寄りに位置する一方の第1ヒンジ23を一対の第2ヒンジ24の間に配置することにより、ヒンジユニット14を小型化することができる。」 「【0070】 図17Aから図17Cは、本発明の実施形態を説明するための、撮像装置の他の例を示す。なお、上述したデジタルカメラ10と共通する要素には共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。 【0071】 図17Aから図17Cに示す撮像装置としてのデジタルカメラ110は、撮像素子を有する本体12と、ディスプレイ13と、ヒンジユニットとを備える。ヒンジユニットは、ディスプレイ13を本体12に可動に連結している。本例では、ヒンジユニットは、ディスプレイ13の長辺13aに沿って延びる軸A(第1軸)まわりに回動可能に、また、軸Aと略直交しかつディスプレイ13の短辺13dに沿って延びる軸B(第3軸)まわりに回動可能に、更に、軸Aに対してディスプレイ13の長辺13c側に偏倚した軸Aと平行な軸C(第2軸)まわりに回動可能にディスプレイ13を本体12に連結している。」 「【図17A】 [図:0001423843000055.jpg] 」 「【図17B】 [図:0001423843000056.jpg] 」 「【図17C】 [図:0001423843000057.jpg] 」 「【0072】 図18は、デジタルカメラ110のヒンジユニットの構成を示す。 【0073】 ヒンジユニット114は、本体12の凹部17の底面に固定される固定部120と、ディスプレイ13を支持する第1支持部121及び第2支持部122とを有する。 【0074】 固定部120には、軸A上に配置される一対のヒンジブラケット130が設けられており、第1支持部121には、軸Aの軸方向にヒンジブラケット130と重ね合わされる一対のヒンジブラケット131が設けられている。重ね合わされたヒンジブラケット130とヒンジブラケット131とはヒンジピン132によって相対回動可能に結合される。 【0075】 ヒンジブラケット130及びヒンジブラケット131並びにヒンジピン132により、軸A上に配置される第1ヒンジ123が構成される。第1支持部121は、軸A上の一対の第1ヒンジ123によって軸Aまわりに回動可能に、固定部120を介して本体12に連結される。 【0076】 第1支持部121には、軸C上に配置される一対のヒンジブラケット133が設けられており、第2支持部122には、軸Cの軸方向にヒンジブラケット133と重ね合される一対のヒンジブラケット134が設けられている。重ね合わされたヒンジブラケット133とヒンジブラケット134とはヒンジピン135によって相対回動可能に結合される。 【0077】 ヒンジブラケット133及びヒンジブラケット134並びにヒンジピン135により、軸C上に配置される第2ヒンジ124が構成される。第2支持部122は、軸C上の一対の第2ヒンジ124によって軸Cまわりに回動可能に、第1支持部121に支持される。 【0078】 第2支持部122には、軸B上に配置される一対のヒンジブラケット136が設けられており、ディスプレイ13には、軸Bの軸方向にヒンジブラケット136と重ね合される一対のヒンジブラケット137が設けられている。重ね合わされたヒンジブラケット136とヒンジブラケット137とはヒンジピン138によって相対回動可能に結合される。 【0079】 ヒンジブラケット136及びヒンジブラケット137並びにヒンジピン138により、軸B上に配置される第3ヒンジ125が構成される。ディスプレイ13は、軸B上の一対の第3ヒンジ125によって軸Bまわりに回動可能に、第2支持部122に支持される。 【0080】 以上のヒンジユニット114によれば、ディスプレイ13は、ヒンジユニット14の第1支持部121及び第2支持部122と一体に軸Aまわりに回動され、また、第2支持部122と一体に軸Cまわりに回動され、また、単独で軸Bまわりに回動される。 【0081】 ディスプレイ13が凹部17に収容されて本体12の背面に沿って配置されている状態で、ヒンジユニット114は、ディスプレイ13のカバー16によって覆われ、デジタルカメラ10の外観に露出しない。ヒンジユニット114をデジタルカメラ10の外観に露出させないことにより、デジタルカメラ10の意匠性を高めることができる。」 「【図18】 [図:0001423843000058.jpg] 」 「【0082】 図19Aは、ヒンジユニット114の一対の第1ヒンジ123及び一対の第2ヒンジ124並びに一対の第3ヒンジ125の配置を模式的に示し、図19Bは、ヒンジユニット114が一対の第3ヒンジ125の軸Bまわりに回動された際のヒンジユニット114の軌道を模式的に示す。 【0083】 図19A及び図19Bに示すように、本例のヒンジユニット114では、軸A上の一対の第1ヒンジ123のうち軸B寄りに位置する一方の第1ヒンジ123及び軸C上の一対の第2ヒンジ124のうち軸B寄りに位置する一方の第2ヒンジ124が軸B上の一対の第3ヒンジ125の間に配置されている。図中、二点鎖線の枠は、ディスプレイ13の表示パネル15を正面からみたときのカバー16の外周を示している。」 「【図19A】 [図:0001423843000059.jpg] 」 「【図19B】 [図:0001423843000060.jpg] 」 「【0084】 図20A及び図20B、図21A及び図21B、図22A及び図22Bは、一対の第1ヒンジ123のうち軸B寄りに位置する一方の第1ヒンジ123及び一対の第2ヒンジ124のうち軸B寄りに位置する一方の第2ヒンジ124が一対の第3ヒンジ125の間から外れて配置されている場合をそれぞれ示す。 【0085】 図20A及び図20Bは、軸B寄りに位置する第1ヒンジ123及び第2ヒンジ124が、軸Bの軸方向に一対の第3ヒンジ125の間から外れて配置されており、軸A及び軸Cと軸Bとが一対の第3ヒンジ125の外側で交差する場合を示している。この場合に、ヒンジユニット114及びヒンジユニット114を覆うカバー16の外周は、図中クロスハッチングを付して示すように、図19A及び図19Bに示したヒンジユニット114及びカバー16の外周に対して軸Bの軸方向に拡大される。」 「【図20A】 [図:0001423843000061.jpg] 」 「【図20B】 [図:0001423843000062.jpg] 」 「【0087】 図22A及び図22Bは、軸B寄りに位置する第1ヒンジ123及び第2ヒンジ124が、軸Aの軸方向に一対の第3ヒンジ125の間から外れて配置されており、かつ軸Aと軸Bとが一対の第1ヒンジ123の間で交差し、軸Cと軸Bとが一対の第2ヒンジ124の間で交差する場合を示している。この場合に、ヒンジユニット114を覆うカバー16の外周は、図19A及び図19Bに示したカバー16の外周と同等となる。 【0088】 しかし、軸B寄りに位置する第1ヒンジ123及び第2ヒンジ124は、ディスプレイ13の軸Bまわりの回動に伴い、本体12の凹部17の底面に向けて軸Bまわりに旋回される。そして、軸B寄りに位置する第1ヒンジ123及び第2ヒンジ124が軸Aの軸方向に一対の第3ヒンジ125の間から外れて配置されることによって旋回半径が大きくなる。そのため、本体12の凹部17の底面には、第1ヒンジ123及び第2ヒンジ124との干渉を回避するための逃げ溝が必要となる。」 「【図22A】 [図:0001423843000063.jpg] 」 「【図22B】 [図:0001423843000064.jpg] 」 【0089】 このように、一対の第1ヒンジ123のうち軸B寄りに位置する一方の第1ヒンジ123及び一対の第2ヒンジ124のうち軸B寄りに位置する一方の第2ヒンジ124を一対の第3ヒンジ125の間に配置することにより、ヒンジユニット114を小型化することができる。 【0090】 なお、軸B寄りに位置する第1ヒンジ123及び第2ヒンジ124いずれも一対の第3ヒンジ125の間に配置されているものとして説明したが、軸B寄りに位置する第1ヒンジ123及び第2ヒンジ124の少なくともいずれかが一対の第3ヒンジ125の間に配置されていれば、ヒンジユニット114を小型化することができる。 (3) サポート要件について ア 特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との対比 (ア) 請求項1について 前記「第2 1(1)」における特許請求の範囲の請求項1の記載と前記(2)における本件特許の発明の詳細な説明の記載を対比すると、次のとおりである。 a 構成1Aについて 段落【0014】によると、「撮像装置としてのデジタルカメラ10」は、「撮像素子11を有する本体12」を「備える」ことから、発明の詳細な説明には、構成1Aの「撮像素子を有する本体」について記載されている。 b 構成1Bについて (a) 段落【0014】によると、「撮像装置としてのデジタルカメラ10」は、「ディスプレイ13」を「備える」。 (b) また、段落【0015】によると、「ディスプレイ13は、液晶又は有機ELなどの表示パネル15」を「有し、表示パネル15を正面からみて略矩形状に形成されている」ことから、「ディスプレイ」は「矩形」であるといえる。 (c) さらに、段落【0015】によると、「ディスプレイ13」は、「本体12の背面に沿って配置されて」おり、「本体12の背面」は、「本体の一面」といえるから、「矩形」の「ディスプレイ」は、「本体の一面に沿って配置されている」といえる。 (d) 前記(a)~(c)を総合すると、発明の詳細な説明には、構成1Bの「前記本体の一面に沿って配置された矩形のディスプレイ」について記載されているといえる。 c 構成1Cについて 段落【0014】によると、「撮像装置としてのデジタルカメラ10」は、「ディスプレイ13を本体12に可動に連結しているヒンジユニットとを備える」から、発明の詳細な説明には、構成1Cの「前記ディスプレイを前記本体に可動に連結しているヒンジユニット」について記載されている。 d 構成1Dについて (a) 段落【0017】によると、「図2A」に示すように、「ヒンジユニットは、ディスプレイ13の長辺13aに沿って延びる軸A(第1軸)まわりに回動可能に」、「ディスプレイ13を本体12に連結して」おり、図2Aも参照すると、前記「ディスプレイ13の長辺13aに沿って延びる軸A(第1軸)」は、構成1Dの「ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸」に相当するといえるから、前記段落【0017】の記載は、「ヒンジユニットは、ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸まわりに回動可能に、ディスプレイ13を本体12に連結している」ことを示す記載であるといえる。 (b) また、段落【0019】によると、「ヒンジユニット14」は、「本体12の凹部17の底面に固定される固定部20」と、「ディスプレイ13を支持する支持部21」とを「有する」ことから、「ヒンジユニット」は、「支持部を含む」といえる。 (c) さらに、段落【0020】によると、「固定部20には、軸A上に配置される一対のヒンジブラケット30が設けられ」、「支持部21には、軸Aの軸方向にヒンジブラケット30と重ね合わされる一対のヒンジブラケット31が設けられ」、「重ね合わされたヒンジブラケット30とヒンジブラケット31とはヒンジピン32によって相対回動可能に結合され」、段落【0021】によると、「ヒンジブラケット30及びヒンジブラケット31並びにヒンジピン32」により、「軸A上に配置される第1ヒンジ23が構成され」、「支持部21は、軸A上の一対の第1ヒンジ23によって軸Aまわりに回動可能に、固定部20を介して本体12に連結される。」。 (d) そして、前記(a)の「ディスプレイ13の長辺13aに沿って延びる軸A(第1軸)」は、構成1Dの「ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸」に相当すること、及び前記bの「ヒンジユニット」は、「支持部を含む」ことを考慮した前記(c)より、発明の詳細な説明には、構成1Dの「前記ヒンジユニットは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸上の一対の第1ヒンジによって前記第1軸まわりに回動可能に前記本体に連結された支持部を含」むことについて記載されているといえる。 e 構成1Eについて (a) 段落【0017】によると、「図2B」に示すように、「ヒンジユニット」は、「軸Aと略直交しかつディスプレイ13の短辺13dに沿って延びる軸B(第2軸)まわりに回動可能に、ディスプレイ13を本体12に連結して」おり、図2B及び前記エ(ア)も参照すると、前記「軸Aと略直交しかつディスプレイ13の短辺13dに沿って延びる軸B(第2軸)」は、構成1Eの「ディスプレイの直交する二辺のうち他辺に沿って延びる第2軸」に相当するといえるから、前記段落【0017】の記載は、「ヒンジユニットは、ディスプレイの直交する二辺のうち他辺に沿って延びる第2軸まわりに回動可能に、ディスプレイ13を本体12に連結している」ことを示す記載であるといえる。 (b) また、段落【0022】によると、「支持部21には、軸B上に配置される一対のヒンジブラケット33が設けられ」、「ディスプレイ13には、軸Bの軸方向にヒンジブラケット33と重ね合される一対のヒンジブラケット34が設けられ」、「重ね合わされたヒンジブラケット33とヒンジブラケット34とはヒンジピン35によって相対回動可能に結合され」、段落【0023】によると、「ヒンジブラケット33及びヒンジブラケット34並びにヒンジピン35」により、「軸B上に配置される第2ヒンジ24が構成され」、「ディスプレイ13は、軸B上の一対の第2ヒンジ24によって軸Bまわりに回動可能に、支持部21に支持される。」。 (c) そして、前記(a)の「軸Aと略直交しかつディスプレイ13の短辺13dに沿って延びる軸B(第2軸)」は、構成1Eの「ディスプレイの直交する二辺のうち他辺に沿って延びる第2軸」に相当することを考慮した前記(b)より、発明の詳細な説明には、構成1Eの「前記ディスプレイは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち他辺に沿って延びる第2軸上の一対の第2ヒンジによって前記第2軸まわりに回動可能に前記支持部に支持されて」いることについて記載されているといえる。 f 構成1Fについて 段落【0029】によると、「ヒンジユニット14」は、「軸A上の一対の第1ヒンジ23のうち軸B寄りに位置する一方の第1ヒンジ23が軸B上の一対の第2ヒンジ24の間に配置されている」から、発明の詳細な説明には、構成1Fの「前記一対の第1ヒンジの一方は前記一対の第2ヒンジの間に配置されている」ことについて記載されている。 g 構成1Gについて 段落【0014】によると、「デジタルカメラ10」は「撮像装置」であるから、発明の詳細な説明には、構成1Gの「撮像装置」について記載されている。 h 本件特許発明1について 前記a~gによると、発明の詳細な説明には、特許請求の範囲の請求項1に記載された発明特定事項がすべて記載されているといえる。 (イ) 本件特許発明6について 前記「第2 1(1)」における特許請求の範囲の請求項6の記載と前記(2)における本件特許の発明の詳細な説明の記載を対比すると、次のとおりである。 a 構成6Aについて 段落【0071】によると、「撮像装置としてのデジタルカメラ110」は、「撮像素子を有する本体12」を「備える」ことから、発明の詳細な説明には、構成6Aの「撮像素子を有する本体」について記載されている。 b 構成6Bについて (a) 段落【0071】によると、「撮像装置としてのデジタルカメラ110」は、「ディスプレイ13」を「備える」。 (b) また、段落【0070】には、「上述したデジタルカメラ10と共通する要素には共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。」と記載されており、ディスプレイは「ディスプレイ13」と記載されているから、前記(ア)b(b)及び(c)と共通であり、「ディスプレイ」は「矩形」であるといえ、「矩形」の「ディスプレイ」は、「本体の一面に沿って配置されている」といえる。 (d) 前記(a)及び(b)を総合すると、発明の詳細な説明には、構成6Bの「前記本体の一面に沿って配置された矩形のディスプレイ」について記載されているといえる。 c 構成6Cについて 段落【0071】によると、「撮像装置としてのデジタルカメラ110」は、「ヒンジユニット」を「備え」、「ヒンジユニット」は、「ディスプレイ13を本体12に可動に連結している」から、発明の詳細な説明には、構成6Cの「前記ディスプレイを前記本体に可動に連結しているヒンジユニット」について記載されている。 d 構成6Dについて (a) 段落【0071】によると、「撮像装置としてのデジタルカメラ110」は、「図17A」に「示」され、「ヒンジユニットは、ディスプレイ13の長辺13aに沿って延びる軸A(第1軸)まわりに回動可能に」、「ディスプレイ13を本体12に連結して」おり、図17Aも参照すると、前記「ディスプレイ13の長辺13aに沿って延びる軸A(第1軸)」は、構成6Dの「ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸」に相当するといえるから、前記段落【0071】の記載は、「ヒンジユニットは、ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸まわりに回動可能に、ディスプレイ13を本体12に連結している」ことを示す記載であるといえる。 (b) また、段落【0073】によると、「ヒンジユニット114」は、「本体12の凹部17の底面に固定される固定部120」と、「ディスプレイ13を支持する第1支持部121」とを「有する」ことから、「ヒンジユニット」は、「第1支持部」を「含む」といえる。 (c) さらに、段落【0074】によると、「固定部120には、軸A上に配置される一対のヒンジブラケット130が設けられ」、「第1支持部121には、軸Aの軸方向にヒンジブラケット130と重ね合わされる一対のヒンジブラケット131が設けられ」、「重ね合わされたヒンジブラケット130とヒンジブラケット131とはヒンジピン132によって相対回動可能に結合され」、段落【0075】によると、「ヒンジブラケット130及びヒンジブラケット131並びにヒンジピン132」により、「軸A上に配置される第1ヒンジ123が構成され」、「第1支持部121は、軸A上の一対の第1ヒンジ123によって軸Aまわりに回動可能に、固定部120を介して本体12に連結される。」。 (d) そして、前記(a)の「ディスプレイ13の長辺13aに沿って延びる軸A(第1軸)」は、構成6Dの「ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸」に相当すること、及び前記(b)の「ヒンジユニット」は、「第1支持部を含む」ことを考慮した前記(c)より、発明の詳細な説明には、構成6Dの「前記ヒンジユニットは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸上の一対の第1ヒンジによって前記第1軸まわりに回動可能に前記本体に連結された第1支持部」を含むことについて記載されているといえる。 e 構成6Eについて (a) 段落【0071】によると、「撮像装置としてのデジタルカメラ110」は、「図17A」に「示」され、「ヒンジユニット」は、「軸Aに対してディスプレイ13の長辺13c側に偏倚した軸Aと平行な軸C(第2軸)まわりに回動可能にディスプレイ13を本体12に連結して」おり、図17Aも参照すると、前記「軸Aに対してディスプレイ13の長辺13c側に偏倚した軸Aと平行な軸C(第2軸)」は、構成6Eの「前記第1軸に対して前記第1軸が沿う前記ディスプレイの一辺とは反対側の一辺側に偏倚した前記第1軸と平行な第2軸」に相当するといえるから、前記段落【0071】の記載は、「ヒンジユニット」は、「前記第1軸に対して前記第1軸が沿う前記ディスプレイの一辺とは反対側の一辺側に偏倚した前記第1軸と平行な第2軸まわりに回動可能にディスプレイ13を本体12に連結している」ことを示す記載であるといえる。 (b) また、段落【0073】によると、「ヒンジユニット114」は、「ディスプレイ13を支持する」「第2支持部122」を「有する」ことから、「ヒンジユニット」は、「第2支持部」を「含む」といえる。 (c) さらに、段落【0076】によると、「第1支持部121には、軸C上に配置される一対のヒンジブラケット133が設けられ」、「第2支持部122には、軸Cの軸方向にヒンジブラケット133と重ね合される一対のヒンジブラケット134が設けられ」、「重ね合わされたヒンジブラケット133とヒンジブラケット134とはヒンジピン135によって相対回動可能に結合され」、段落【0077】によると、「ヒンジブラケット133及びヒンジブラケット134並びにヒンジピン135」により、「軸C上に配置される第2ヒンジ124が構成され」、「第2支持部122は、軸C上の一対の第2ヒンジ124によって軸Cまわりに回動可能に、第1支持部121に支持される。」。 (d) そして、前記(a)の「軸Aに対してディスプレイ13の長辺13c側に偏倚した軸Aと平行な軸C(第2軸)」は、構成6Eの「前記第1軸に対して前記第1軸が沿う前記ディスプレイの一辺とは反対側の一辺側に偏倚した前記第1軸と平行な第2軸」に相当すること、及び前記(b)の「ヒンジユニット」は、「第2支持部」を「含む」ことを考慮した前記(c)より、発明の詳細な説明には、構成6Eの「前記第1軸に対して前記第1軸が沿う前記ディスプレイの一辺とは反対側の一辺側に偏倚した前記第1軸と平行な第2軸上の一対の第2ヒンジによって前記第2軸まわりに回動可能に前記第1支持部に連結された第2支持部」を含むことについて記載されているといえる。 f 構成6Fについて (a) 段落【0071】によると、「撮像装置としてのデジタルカメラ110」は、「図17A」に「示」され、「ヒンジユニット」は、「軸Aと略直交しかつディスプレイ13の短辺13dに沿って延びる軸B(第3軸)まわりに回動可能に」、「ディスプレイ13を本体12に連結して」おり、図17Aも参照すると、前記「軸Aと略直交しかつディスプレイ13の短辺13dに沿って延びる軸B(第3軸)」は、構成6Fの「前記ディスプレイの直交する二辺のうち他辺に沿って延びる第3軸」に相当するといえるから、前記段落【0071】の記載は、「ヒンジユニット」は、「前記ディスプレイの直交する二辺のうち他辺に沿って延びる第3軸まわりに回動可能に」、「ディスプレイ13を本体12に連結している」ことを示す記載であるといえる。 (b) また、段落【0078】によると、「第2支持部122には、軸B上に配置される一対のヒンジブラケット136が設けられ」、「ディスプレイ13には、軸Bの軸方向にヒンジブラケット136と重ね合される一対のヒンジブラケット137が設けられ」、「重ね合わされたヒンジブラケット136とヒンジブラケット137とはヒンジピン138によって相対回動可能に結合され」、段落【0079】によると、「ヒンジブラケット136及びヒンジブラケット137並びにヒンジピン138」により、「軸B上に配置される第3ヒンジ125が構成され」、「ディスプレイ13は、軸B上の一対の第3ヒンジ125によって軸Bまわりに回動可能に、第2支持部122に支持される。」。 (c) そして、前記(a)の「軸Aと略直交しかつディスプレイ13の短辺13dに沿って延びる軸B(第3軸)」は、構成6Fの「前記ディスプレイの直交する二辺のうち他辺に沿って延びる第3軸」に相当することを考慮した前記(b)より、発明の詳細な説明には、構成6Fの「前記ディスプレイは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち他辺に沿って延びる第3軸上の一対の第3ヒンジによって前記第3軸まわりに回動可能に前記第2支持部に支持されて」いることについて記載されているといえる。 g 構成6Gについて (a) 段落【0083】によると、「ヒンジユニット114」は、「軸A上の一対の第1ヒンジ123のうち軸B寄りに位置する一方の第1ヒンジ123及び軸C上の一対の第2ヒンジ124のうち軸B寄りに位置する一方の第2ヒンジ124が軸B上の一対の第3ヒンジ125の間に配置されている。」。 (b) また、段落【0090】によると、「軸B寄りに位置する第1ヒンジ123及び第2ヒンジ124の少なくともいずれかが一対の第3ヒンジ125の間に配置されていれば、ヒンジユニット114を小型化することができる」ことから、前記(a)を考慮すると、「軸A上の一対の第1ヒンジ123のうち軸B寄りに位置する一方の第1ヒンジ123及び軸C上の一対の第2ヒンジ124のうち軸B寄りに位置する一方の第2ヒンジ124」の「少なくともいずれかを、一対の第3ヒンジ125の間に配置する」ことも発明の詳細な説明に記載されているといえる。 (c) してみると、発明の詳細な説明には、構成6Gの「前記一対の第1ヒンジの一方及び前記一対の第2ヒンジの一方の少なくともいずれかは、前記一対の第3ヒンジの間に配置されている」ことが記載されているといえる。 h 構成6Hについて 段落【0071】によると、「デジタルカメラ10」は「撮像装置」であるから、発明の詳細な説明には、構成6Hの「撮像装置」について記載されている。 i 本件特許発明6について 前記a~hによると、発明の詳細な説明には、特許請求に範囲の請求項6に記載された発明特定事項がすべて記載されているといえる。 イ 発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かについて (ア) 本件特許発明の課題 本件特許発明の課題は、前記(2)で摘記した段落【0003】~【0005】及び図31~32Bの記載のような先行技術文献に対して、 段落【0007】の記載のように、 「一対の第1ヒンジ4のような機構が、ディスプレイ2の外側に突出して配置されてデジタルカメラの外側に露呈していると、デジタルカメラの意匠性が損なわれること。」(以下「課題1」という。)、また、段落【0007】及び【0008】の記載のように、 「デジタルカメラのヒンジユニット3では、一対の第1ヒンジ4が配置される軸Aは、一対の第2ヒンジ5の外側で、これら一対の第2ヒンジ5が設けられる軸Bと交差しており、軸A上の一対の第1ヒンジ4がディスプレイ2の外側に突出して配置され、ヒンジユニット3がディスプレイ2よりも大きくなっているという事情に鑑み、ディスプレイを本体に可動に連結するヒンジユニットを小型化できる撮像装置を提供すること。」(以下「課題2」という。) という2点である。 (イ) 課題1について a 課題1を解決するために、段落【0027】によると、「ディスプレイ13が凹部17に収容されて本体12の背面に沿って配置されている状態で、ヒンジユニット14は、ディスプレイ13のカバー16によって覆われ、デジタルカメラ10の外観に露出しない」ようにし、「ヒンジユニット14をデジタルカメラ10の外観に露出させないことにより、デジタルカメラ10の意匠性を高めることができる」ようにしている。 b また、段落【0081】によると、「ディスプレイ13が凹部17に収容されて本体12の背面に沿って配置されている状態で、ヒンジユニット114は、ディスプレイ13のカバー16によって覆われ、デジタルカメラ10の外観に露出しない」ようにし、「ヒンジユニット114をデジタルカメラ10の外観に露出させないことにより、デジタルカメラ10の意匠性を高めることができる」ようにしている。 c すなわち、発明の詳細な説明から、「カバー16」で「ヒンジユニット14」や「ヒンジユニット114」を覆うことにより、「ヒンジユニット14」や「ヒンジユニット114」を「デジタルカメラ10の外観に露出させない」ことで課題1を解決することができると当業者であれば認識できるが、特許請求の範囲の請求項1及び6に記載された発明特定事項には、当該「カバー16」に相当する記載はないため、特許請求の範囲の請求項1及び6の記載では、当業者が課題1を解決することができると認識することはできない。 (ウ) 課題2について a 「軸B寄りに位置する第1ヒンジ23が一対の第2ヒンジ24の間から外れて配置されている場合」として、段落【0031】の「軸B寄りに位置する第1ヒンジ23が、軸Bの軸方向に一対の第2ヒンジ24の間から外れて配置されており、軸Aと軸Bとが一対の第2ヒンジ24の外側で交差する場合」で、対応する図として「図5A」があるが、この場合、段落【0031】によると、「ヒンジユニット14及びヒンジユニット14を覆うカバー16の外周」が、「図4A」すなわち「軸A上の一対の第1ヒンジ23のうち軸B寄りに位置する一方の第1ヒンジ23が軸B上の一対の第2ヒンジ24の間に配置されている」場合の「ヒンジユニット14及びカバー16の外周に対して軸Bの軸方向に拡大される」ことから、「図5A」の場合、「図4A」の場合と比較して、第1ヒンジ23の分だけヒンジユニット14が大型化するといえる。 b 背景技術の特許文献1に記載されたデジタルカメラの場合も、図31、図32A及び図32Bを参照すると、第1ヒンジが第2ヒンジの間から外れる方向が、横構えの場合のデジタルカメラ本体の上方向である点で前記aの段落【0031】及び「図4A」の場合と異なるものの、段落【0031】の場合と同様に、図31、図32A及び図32Bの場合、「図4A」の場合と比較して、第1ヒンジ4の分だけヒンジユニット3が大型化するといえる。 c また、「一対の第1ヒンジ123のうち軸B寄りに位置する一方の第1ヒンジ123及び一対の第2ヒンジ124のうち軸B寄りに位置する一方の第2ヒンジ124が一対の第3ヒンジ125の間から外れて配置されている場合」として、段落【0085】の「軸B寄りに位置する第1ヒンジ123及び第2ヒンジ124が、軸Bの軸方向に一対の第3ヒンジ125の間から外れて配置されており、軸A及び軸Cと軸Bとが一対の第3ヒンジ125の外側で交差する場合」があるが、段落【0085】に対応する図20Aを参照すると、「軸B寄りに位置する第1ヒンジ123及び第2ヒンジ124の少なくともいずれかである第1ヒンジ123が、軸Bの軸方向に一対の第3ヒンジ125の間から外れて配置されており、軸Aと軸Bとが一対の第3ヒンジ125の外側で交差する場合」であることは明らかである。そして、この場合は、段落【0085】によると、「ヒンジユニット114を覆うカバー16の外周」が、「図19A」すなわち「ヒンジユニット114では、軸A上の一対の第1ヒンジ123のうち軸B寄りに位置する一方の第1ヒンジ123及び軸C上の一対の第2ヒンジ124のうち軸B寄りに位置する一方の第2ヒンジ124が軸B上の一対の第3ヒンジ125の間に配置されている」場合の「ヒンジユニット114及びカバー16の外周に対して軸Bの軸方向に拡大される」ことから、「図19A」の場合と比較して、第1ヒンジ123の分だけヒンジユニット114が大型化する。 d それに対し、段落【0029】のように、「ヒンジユニット14では、軸A上の一対の第1ヒンジ23のうち軸B寄りに位置する一方の第1ヒンジ23が軸B上の一対の第2ヒンジ24の間に配置されている」ようにすると、「図4A」のように、軸Bの軸方向に拡大される部分がなくなることから、段落【0035】のように、「一対の第1ヒンジ23のうち軸B寄りに位置する一方の第1ヒンジ23を一対の第2ヒンジ24の間に配置することにより、ヒンジユニット14を小型化することができる」といえる。 e 同様に、段落【0083】のように、「ヒンジユニット114では、軸A上の一対の第1ヒンジ123のうち軸B寄りに位置する一方の第1ヒンジ123及び軸C上の一対の第2ヒンジ124のうち軸B寄りに位置する一方の第2ヒンジ124が軸B上の一対の第3ヒンジ125の間に配置されている」ようにすると、「図19A」のように、軸Bの軸方向に拡大される部分がなくなることから、段落【0089】のように、「一対の第1ヒンジ123のうち軸B寄りに位置する一方の第1ヒンジ123及び一対の第2ヒンジ124のうち軸B寄りに位置する一方の第2ヒンジ124を一対の第3ヒンジ125の間に配置することにより、ヒンジユニット114を小型化することができ」、また、段落【0090】のように、「軸B寄りに位置する第1ヒンジ123及び第2ヒンジ124の少なくともいずれかが一対の第3ヒンジ125の間に配置されていれば、ヒンジユニット114を小型化することができる」といえる。 f そして、前記dの「ヒンジユニット14では、軸A上の一対の第1ヒンジ23のうち軸B寄りに位置する一方の第1ヒンジ23が軸B上の一対の第2ヒンジ24の間に配置されている」ことは、特許請求の範囲の請求項1の構成1Fに反映され、前記eの「軸B寄りに位置する第1ヒンジ123及び第2ヒンジ124の少なくともいずれか」が「一対の第3ヒンジ125の間に配置されて」いることは、特許請求の範囲の請求項6の構成6Gに反映されているから、特許請求の範囲の請求項1及び6の記載によって、当業者は課題2を解決することができると認識することができるといえる。 (エ) 当業者が当該発明の課題を解決できると認識できることについて 前記(イ)cのように、特許請求の範囲の請求項1及び6の記載では、当業者が課題1を解決することができると認識することはできないが、前記(ウ)fのように、当業者が課題2を解決することができると認識することができるから、発明の詳細な説明の記載により、当業者が少なくとも当該発明の課題2を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。 (4) 請求人及び被請求人の主張について ア 請求人の主張について サポート要件に関する請求人の主張は、概ね以下の3点である。なお、括弧内は、前記「第3 1(3)」における各提出書類における該当する記載である。また、(審判請求書(手続補正書2、無効審判の理由)(コ)及び(上申書1)ウ、エにおけるサポート要件に関する主張は、その主張内容から見て、明確性要件に関する主張と考えられることから、無効理由2(明確性要件)に関する請求人の主張として後述する。 (ア) ディスプレイの右側が大きくなるから、小型化しない。 ((審判請求書(手続補正書2、無効審判の理由)(イ)、(カ)a、c、f、h、(弁明書1)イ、(弁明書2)エ、(上申書2)テ、(弁駁書)イ、エ、カ、ケ、シ、ニ、(上申書9)エ、オ、ケ) (イ) ヒンジブラケット33の孔は、支持部の外側になり、図16A、Bでは、軸Bがヒンジブラケット31の外側にあり、図30A、Bでは、軸Bがヒンジブラケット134の外側にあり、軸Aと軸Bは交差しないから、請求項1及び6の記載と異なる。 ((弁明書2)ア、(上申書1)オ、キ~サ、チ、(上申書2)ウ、ク、ケ、テ、(上申書3)ア、(弁駁書)サ、シ、(上申書6)イ) (ウ) 甲第3号証では、ディスプレイを下方向にしか傾けることができず、ウエストレベル撮影するとき、ディスプレイを下から覗かなくてはならず、それを避けるには、カメラを上下逆さまに持ち返る必要があり、三脚を使用する場合、使用することは不可能である。 ((上申書7)オ) まず、前記(ア)については、課題2は、前記(3)イ(ア)にあるように、先行技術文献において存在する課題であって、横構えの場合のデジタルカメラ本体の上方向に大きくなっているという事情に鑑み、当該事情を解決して小型化するという課題であり、本件特許発明は、前記(3)イ(ウ)d及びeで検討したように、軸Bの軸方向に拡大される部分がなくなることにより、ディスプレイの上下方向に小型化して課題2を解決するものである。そして、ディスプレイの右側は、課題2を解決するために検討すべき方向とは異なる方向であるから、課題2とは関係がなく、請求人の主張(ア)を採用することはできない。 また、前記(イ)については、軸の位置は、本件特許発明1及び6の発明特定事項になく、本件特許発明1では、構成1Fのように「前記一対の第1ヒンジの一方は前記一対の第2ヒンジの間に配置されている」ことによって、本件特許発明6では、構成6Gのように「前記一対の第1ヒンジの一方及び前記一対の第2ヒンジの一方の少なくともいずれかは、前記一対の第3ヒンジの間に配置されている」ことによって、課題2を解決しているから、請求人の主張(イ)も採用することはできない。 さらに、前記(ウ)については、本件特許発明の撮像装置の使用についての問題点であり、本件特許発明の課題1及び2とは関係がなく、また、撮像装置の使用態様は使用者によって様々であることから、一般的な問題点とはいえず、請求人の主張(ウ)も採用することはできない。なお、本主張を、実施可能要件に関する主張と捉えたとしても同様の理由により採用することはできない。 イ 被請求人の主張について サポート要件に関する被請求人の主張は、前記「第3 2(3)」の(答弁書)(6-4-2)に記載のとおりであるが、このうち、小型化については、前記(3)イ(ウ)で検討したように採用することができるが、意匠性を高めることについては、前記(3)イ(イ)で検討したように採用することはできない。 (5) 無効理由1についての小括 以上のとおりであるから、特許請求の範囲の記載が、サポート要件に違反するということはできない。 したがって、請求人の主張する無効理由1は理由がなく、本件特許発明に係る特許は、無効理由1に関して、いずれも特許法第123条第1項第4号の規定により無効とすべきものということはできない。 2 無効理由2(明確性要件) (1) 明確性要件の判断基準について 「法36条6項2号は、特許請求の範囲の記載に関し、特許を受けようとする発明が明確でなければならない旨規定する。同号がこのように規定した趣旨は、仮に、特許請求の範囲に記載された発明が明確でない場合には、特許の付与された発明の技術的範囲が不明確となり、第三者に不測の不利益を及ぼすことがあり得るので、そのような不都合な結果を防止することにある。そして、特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術的常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきことはいうまでもない。」〔知財高裁平成21年(行ケ)第10434号〕とされているところ、このような観点に基づいて、本件特許の明確性要件の適否を以下に検討する。 (2) 本件特許発明1について ア 特許請求の範囲の請求項1の記載について (ア) 請求項1には、「撮像素子を有する本体」と、「前記本体の一面に沿って配置された矩形のディスプレイ」と、「前記ディスプレイを前記本体に可動に連結しているヒンジユニット」とを備えた「撮像装置」であることが特定されており、これらの特定について不明確な点はない。 (イ) また、請求項1では、「前記ヒンジユニットは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸上の一対の第1ヒンジによって前記第1軸まわりに回動可能に前記本体に連結された支持部を含」むことが特定されているが、例として、ディスプレイが横長の長方形である場合、当該横長の長方形の、ディスプレイに向かって下側の長辺に沿って延びる第1軸上に一対の第1ヒンジがあり、支持部は、当該第1ヒンジによって第1軸まわりに回動可能に本体に連結されると認識できるから、この特定についても、不明確な点はない。 (ウ) ここで、「第1ヒンジ」における「ヒンジ」という用語は、請求人の無効審判の理由の項目8及び被請求人の答弁書の(6-4-3)[被請求人の反論2]において記載している「三省堂の大辞林(1998年第16刷発行)における「上下左右には動かないが、回転は自由であるような材と材との接点又は支点の状態。また、そのための機構。ちょうつがい。」」や、デジタル大辞泉における「部材と部材との継ぎ目、または支点。構造物で、ピンなどを用いて、上下左右には動かないが回転は自由にできるようにした接合の状態。」という記載に基づいて、このような機能を果たすために構成された部材と解すればよいから、不明確な点はない。 (エ) さらに、請求項1では、「前記ディスプレイは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち他辺に沿って延びる第2軸上の一対の第2ヒンジによって前記第2軸まわりに回動可能に前記支持部に支持され」ることが特定されているが、前記(イ)の例を考えると、横長の長方形の、ディスプレイに向かって右側の短辺に沿って延びる第2軸上に一対の第2ヒンジがあり、ディスプレイは、当該第2ヒンジによって第2軸まわりに回動可能に支持部に支持されると認識できるから、この特定についても、不明確な点はない。ここで、「第2ヒンジ」における「ヒンジ」という用語については、前記(ウ)のとおりである。 (オ) 加えて、請求項1では、「前記一対の第1ヒンジの一方は前記一対の第2ヒンジの間に配置されている」ことが特定されているが、「一対の第1ヒンジ」は、「ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸上」にあり、「一対の第2ヒンジ」は、「ディスプレイの直交する二辺のうち他辺に沿って延びる第2軸上」にあることから、前記(イ)及び(エ)の例を考えると、「一対の第1ヒンジ」は、横長の長方形の、ディスプレイに向かって下側の長辺の近辺にあり、「一対の第2ヒンジ」は、横長の長方形の、ディスプレイに向かって右側の短辺の近辺にあり、「一対の第2ヒンジ」は、二つのヒンジが間隔をあけて配置され、その間に「一対の第1ヒンジ」の一方が配置されていると認識できるから、この特定についても、不明確な点はない。ここで、第1軸と第2軸の交差について特定されていないことから、当業者が第1軸と第2軸の交差について認識する必要はないといえる。 (カ) してみると、請求項1の記載に、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確である点はないといえる。 イ 特許請求の範囲の請求項6の記載について (ア) 請求項6には、「撮像素子を有する本体」と、「前記本体の一面に沿って配置された矩形のディスプレイ」と、「前記ディスプレイを前記本体に可動に連結しているヒンジユニット」とを備えた「撮像装置」であることが特定されており、前記ア(ア)と同様に、これらの特定について不明確な点はない。 (イ) また、請求項6では、「前記ヒンジユニットは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸上の一対の第1ヒンジによって前記第1軸まわりに回動可能に前記本体に連結された第1支持部」を含むことが特定されているが、この特定についても、前記ア(イ)と同様に、不明確な点はない。ここで、「第1ヒンジ」における「ヒンジ」という用語については、前記ア(ウ)のとおりである。 (ウ) さらに、請求項6では、「前記第1軸に対して前記第1軸が沿う前記ディスプレイの一辺とは反対側の一辺側に偏倚した前記第1軸と平行な第2軸上の一対の第2ヒンジによって前記第2軸まわりに回動可能に前記第1支持部に連結された第2支持部」を含むことが特定されているが、前記(イ)の例を考えると、横長の長方形の、ディスプレイに向かって下側の長辺に沿って延びる第1軸に対して横長の長方形の、ディスプレイに向かって上側の長辺側に偏倚した前記第1軸と平行な第2軸上に一対の第2ヒンジがあり、第2支持部は、当該第2ヒンジによって第2軸まわりに回動可能に第1支持部に連結されると認識でき、この特定についても、不明確な点はない。ここで、「第2ヒンジ」における「ヒンジ」という用語については、前記ア(ウ)のとおりであり、また、偏倚量について特定されていないことから、偏倚量は当業者が適宜設定すればよいものである。 (エ) 加えて、請求項6には、「前記ディスプレイは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち他辺に沿って延びる第3軸上の一対の第3ヒンジによって前記第3軸まわりに回動可能に前記第2支持部に支持され」ることが特定されているが、この特定についても、前記ア(エ)と同様に、不明確な点はない。ここで、「第3ヒンジ」における「ヒンジ」という用語については、前記ア(ウ)のとおりである。 (オ) そして、請求項6では、「前記一対の第1ヒンジの一方及び前記一対の第2ヒンジの一方の少なくともいずれかは、前記一対の第3ヒンジの間に配置されている」ことが特定されているが、「一対の第1ヒンジ」は、「ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸上」にあり、「一対の第3ヒンジ」は、「ディスプレイの直交する二辺のうち他辺に沿って延びる第3軸上」にあることから、前記ア(イ)、ア(エ)及びイ(ウ)の例を考えると、「一対の第1ヒンジ」は、横長の長方形の、ディスプレイに向かって下側の長辺の近辺にあり、「一対の第2ヒンジ」は、横長の長方形の、ディスプレイに向かって下側の長辺に沿って延びる第1軸に対して横長の長方形の、ディスプレイに向かって上側の長辺側に偏倚した位置にあり、「一対の第3ヒンジ」は、横長の長方形の、ディスプレイに向かって右側の短辺の近辺にあり、「一対の第3ヒンジ」は、二つのヒンジが間隔をあけて配置され、その間に「一対の第1ヒンジ」の一方及び「一対の第2ヒンジ」の一方の少なくともいずれかが配置されていると認識できるから、この特定についても、不明確な点はない。ここで、第1軸及び第2軸と第3軸の交差について特定されていないことから、当業者が第1軸及び第2軸と第3軸の交差について認識する必要はないといえる。 (カ) してみると、請求項6の記載に、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確である点はないといえる。 (3) 請求人の主張について ア 請求人の主張について 明確性要件に関する請求人の主張は、概ね以下の2点である。なお、括弧内は、前記「第3 1(3)」における各提出書類における該当する記載である。 (ア) 第2ヒンジとは、ヒンジブラケット33が支持部21の長方形の長さ方向にいくらでも長く作れるため、どこを指しているのか判らず、第2ヒンジの間とはどこなのか判らない。 ((審判請求書(手続補正書2、無効審判の理由)(コ)、 (上申書1)ウ~オ、(上申書7)カ) (イ) 第3ヒンジのヒンジブラケット136は、幾らでも長く前後に伸ばすことができ、第3ヒンジの間がどこを指すのか明確でない。 ((上申書7)シ、ス) 前記(ア)及び(イ)ともに、「ヒンジ」は、前記(2)ア(ウ)で検討したような部材であればよく、このような部材として常識的な長さの範囲内であれば十分であるから、長方形の長さ方向にいくらでも長くすることは通常考えられず、また「ヒンジの間」とは、前記(2)ア(ウ)にあるような「ヒンジ」の用語の意味に基づいて、このような機能を果たすために構成された一対の部材になっているヒンジの間として、常識的な範囲内の間ということが理解できるから、請求人の主張を採用することはできない。 イ 被請求人の主張について 明確性要件に関する被請求人の主張は、前記「第3 2(3)」の(答弁書)(6-5-2)に記載のとおりであり、採用することができる。 (4) 無効理由2についての小括 以上のとおりであるから、特許請求の範囲の記載が、明確性要件に違反するということはできない。 したがって、請求人の主張する無効理由2は理由がなく、本件特許発明に係る特許は、無効理由2に関して、いずれも特許法第123条第1項第4号の規定により無効とすべきものということはできない。 3 無効理由3(実施可能要件) (1) 実施可能要件の判断基準について 「実施可能要件を充足するためには、明細書の発明の詳細な説明に、当業者が、明細書の発明の詳細な説明の記載及び出願当時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その発明を実施することができる程度に発明の構成等の記載があることを要する。」〔知財高裁平成29年(行ケ)第10138号〕 また、「物の発明の実施とは、その物の生産、使用等をする行為であるから(特許法2条3項1号)、物の発明について上記実施可能要件を充足するためには、明細書の発明の詳細な説明において、当業者が、明細書の発明の詳細な記載及び出願時の技術常識に基づき、過度の試行錯誤を要することなく、その物を生産し、かつ、使用することができる程度の記載があることを要する。」〔知財高裁平成27年(行ケ)第10249号〕とされているところ、このような観点に基づいて、本件特許の実施可能要件の適否を以下に検討する。 (2) 発明の詳細な説明における発明の構成等の記載について 発明の詳細な説明に、本件特許発明1及び6の構成が記載されていることについては、前記1(3)アの特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との対比において検討したとおりである。 (3) 発明の詳細な説明における本件特許発明の撮像装置を生産し、かつ、使用することができる程度の記載について ア 本件特許発明1及び6のそれぞれにおける各発明特定事項は、前記2(2)において明確性要件について検討したように明確であり、当業者が各発明特定事項の技術的意義を正しく理解し、各発明特定事項で特定されたとおりの機能を実現するように、発明の詳細な説明に記載された各部材の寸法等の具体的な事項を、技術常識も踏まえて決定することは、当業者が適宜なし得ることであり、当該決定した具体的な事項に基づいて撮像装置を生産することも当業者が普通になし得ることである。 イ また、使用する際に、例えば、支持部を回動した場合に、本体等と接触することがあれば、当該接触をしないように、本件特許発明の課題を解決する事項の範囲内であって各発明特定事項の範囲内で各部材の寸法を調整したり、図7Bや22Bのように逃げ溝を設けたりすることは、通常の微調整の範囲内と考えられ、同様に、ディスプレイを回動した場合に、支持部等と接触することがあれば、当該接触をしないように、本件特許発明の課題を解決する事項の範囲内であって各発明特定事項の範囲内で各部材の寸法を調整したりすることも、通常の微調整の範囲内であると考えられるから、当業者が過度の試行錯誤を要することなく行い得ることといえる。 ウ さらに、被請求人が答弁書の(6-6-3)[被請求人の反論4]において主張するとおり、図面は、模式図であって、設計図ではないから、図面は、本件特許発明を説明するための模式図であることを限度として参酌すべきものであり、図面どおりに製作すると、作動不能となる場合があったとしても、通常の微調整の範囲内で調整等を行うことにより作動可能とすることができるのであれば、特段問題ではないといえる。 エ そして、本件特許発明1の場合、構成1Fの「前記一対の第1ヒンジの一方は前記一対の第2ヒンジの間に配置されている」との発明特定事項の範囲内で、軸B寄りの第1ヒンジ23や第2ヒンジ24の配置を調整する等により、作動可能とすることができるものと当業者であれば認識できるものである。 本件特許発明6の場合も、同様に構成6Gの「前記一対の第1ヒンジの一方及び前記一対の第2ヒンジの一方の少なくともいずれかは、前記一対の第3ヒンジの間に配置されている」との発明特定事項の範囲内で、軸B寄りの第1ヒンジ123や第2ヒンジの配置を調整する等により、作動可能とすることができるものと当業者であれば認識できるものである。 (4) 請求人の主張について ア 請求人の主張について 実施可能要件に関する請求人の主張は、概ね以下の1点である。なお、括弧内は、前記「第3 1(3)」における各提出書類における該当する記載である。 (ア)図4A及び図7Aのとおりに製作すると、表示パネル15の裏面と支持部21の表面が干渉し、図19A及び図22Aのとおりに製作すると、表示パネル15の裏面と第2支持部122の表面が干渉し、ディスプレイを上方に持ち上げることができず、作動不能になる。 ((審判請求書(手続補正書2、無効審判の理由)(キ)d、e、h、(上申書2)オ、コ、サ、ス、ツ、(上申書3)エ~カ、(弁駁書)ソ、テ、(陳述要領書)項目6、(上申書7)ク~サ、ソ、(上申書8)イ) 前記(ア)については、前記(3)ウのように、図面は、模式図であって、設計図でないことから、図面どおりに作成すると作動不能となったとしても、特許請求の範囲の請求項1及び6の記載の範囲内で発明の詳細な説明の記載に基づいて製作し、また、前記(3)イのように通常の設計変更の範囲内で各部材の寸法等を調整することにより作動可能となるのであれば、実施可能要件に違反するとはいえず、図4Aや図19Aの場合でも、前記(3)エのように各ヒンジの配置を調整する等により、作動可能とすることができるものと当業者であれば認識できるものであるため、当該請求人の主張を採用することはできない。 イ 被請求人の主張について 実施可能要件に関する被請求人の主張は、前記「第3 2(3)」の(答弁書)(6-6-2)に記載のとおりであり、採用することができる。 (4) 無効理由3についての小括 以上のとおりであるから、明細書の発明の詳細な説明の記載が、実施可能要件に違反するということはできない。 したがって、請求人の主張する無効理由3は理由がなく、本件特許発明に係る特許は、無効理由3に関して、いずれも特許法第123条第1項第4号の規定により無効とすべきものということはできない。 4 その他の請求人の主張 請求人の無効理由1~3に関する主張以外の主張は、概ね以下の4点である。なお、括弧内は、前記「第3 1(3)」における各提出書類における該当する記載である。 (1) 特許法第70条第2項に違反しているとの主張 ((審判請求書(手続補正書2、無効審判の理由)(ク)、(弁明書2)イ、(上申書1)キ~サ、セ、チ、(上申書2)オ、シ、(上申書5)イ) (2) 包袋禁反言についての主張 ((審判請求書(手続補正書2、無効審判の理由)(ケ)、(上申書5)イ、(上申書7)キ) (3) 甲第1号証、甲第2号証との均等論、特許侵害及び間接侵害についての主張 ((審判請求書(手続補正書2、無効審判の理由)(サ)、(上申書1)ス、ツ、(上申書2)ア、イ、カ、(上申書3)イ、ウ、(弁駁書)キ、ク、チ、ツ、ナ、ヌ、(陳述要領書)項目6、(上申書5)ア、ウ、エ、(上申書6)エ、カ、(上申書7)ア、タ) (4) 進歩性についての主張 ((弁明書2)ウ、(上申書8)ア、(上申書9)ウ、カ、ケ) 特許法第123条第1項柱書には、「特許が次の各号のいずれかに該当するときは、その特許を無効にすることができる。」と記載され、特許無効審判をすることができる場合について規定し、本件特許無効審判は、前記「第3 1(2)ア~ウ」のとおり、当該各号のうち、第4号の「その特許が第36条第4項第1号又は第6項(第4号を除く。)に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたとき。」に該当することを理由として請求されているものである。 そして、前記(1)~(3)の主張は、前記特許無効審判の請求の理由である、特許法第123条第1項第4号に該当することに対して関係がないことから、これらの主張を採用することはできない。 また、前記(4)の主張は、前記「第3 1(2)ア~ウ」の請求の理由とは異なる進歩性に関する主張、すなわち特許法第123条第1項第2号に該当することに関する主張であり、本件特許無効審判の特許法第123条第1項第4号に該当することを請求の理由とすることに対して関係がないことから、これらの主張も採用することはできない。 5 まとめ 前記1~4のとおりであるから、請求人の主張する無効理由1~3には、いずれも理由がない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、 1 請求人の主張及び立証によっては、無効理由があるということができないから、本件特許発明1及び6の特許に係る本件審判の請求は成り立たない。 2 特許法第169条第2項の規定により準用する民事訴訟法第61条の規定により、審判請求費用は請求人の負担とする。 よって結論のとおり審決する。

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2022-800021

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