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特許無効審判

2020-800010

撮像装置

審判番号
2020-800010
法域
特許
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
特願2017-542935
登録番号
6244501
請求日
2020年02月11日
審決日
2021年03月12日
公報発行日
2022年11月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】稲葉 稔
  • 【被請求人】富士フイルム 株式会社
  • 【被請求人代理人】特許業務法人航栄特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 千葉 輝久
  • 審判官 小池 正彦
  • 審判官 樫本 剛
分類
P1113.113-Y (H04N) / P1113.121-Y (H04N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法169条2項民事訴訟法61条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第29条、特許法第169条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の特許第6244501号発明「撮像装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 経緯 1 本件特許 本件特許に係る経緯は、概要、以下のとおりである。 国際出願日 平成28年6月22日 (特願2017-542935号、 優先権主張、平成27年9月30日、日本) 設定登録日 平成29年11月17日 (請求項の数:12、 権利者:富士フイルム株式会社) 2 本件請求 本件請求に係る経緯は、概要、以下のとおりである。 請求書 令和2年 2月11日 補正書 令和2年 3月 9日 答弁書 令和2年 6月24日 弁駁書 令和2年 9月 7日 上申書(請求人) 令和2年 9月15日 審理事項通知書 令和2年10月 1日 上申書(請求人) 令和2年10月10日 (同年10月11日差出) 上申書(請求人) 令和2年10月16日 (同年10月22日差出) 口頭審理陳述要領書(被請求人)令和2年11月 2日 口頭審理陳述要領書(請求人) 令和2年11月 5日 (同年11月 6日差出) 口頭審理 令和2年11月19日 第2 本件特許発明 本件特許に係る請求項1から請求項12までの発明(以下、各請求項に係る発明を請求項の番号を用いて「本件特許発明1」~「本件特許発明12」という。)は、それぞれ、明細書の特許請求の範囲の請求項1から請求項12に記載された下記のとおりのものである。 なお、本件特許発明1及び6を分説した。以下、各構成要件を「構成要件1A」~「構成要件6H」という。 記 【請求項1】 (1A)撮像素子を有する本体と、 (1B)前記本体の一面に沿って配置された矩形のディスプレイと、 (1C)前記ディスプレイを前記本体に可動に連結しているヒンジユニットと、 を備え、 (1D)前記ヒンジユニットは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸上の一対の第1ヒンジによって前記第1軸まわりに回動可能に前記本体に連結された支持部を含み、 (1E)前記ディスプレイは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち他辺に沿って延びる第2軸上の一対の第2ヒンジによって前記第2軸まわりに回動可能に前記支持部に支持されており、 (1F)前記一対の第1ヒンジの一方は前記一対の第2ヒンジの間に配置されている (1G)撮像装置。 【請求項2】 請求項1記載の撮像装置であって、 前記支持部は、前記第1軸が沿う前記ディスプレイの一辺とは反対側の一辺側に前記第1軸から外れて配置され、前記ディスプレイの外周に露出して設けられた第1回動操作部を有し、 前記ディスプレイは、前記第2軸が沿う前記ディスプレイの一辺とは反対側の一辺側に前記第2軸から外れて配置された第2回動操作部を有する撮像装置。 【請求項3】 請求項1記載の撮像装置であって、 前記ディスプレイは、前記第2軸が沿う前記ディスプレイの一辺とは反対側の一辺側に前記第2軸から外れて配置された回動操作部を有し、 前記回動操作部は、前記支持部と係合することによって前記ディスプレイの前記第2軸まわりの回動を阻止するロック位置と前記支持部との係合から解放されるアンロック位置との間で移動可能な係合部材と、前記係合部材を前記ロック位置に向けて付勢する付勢部材とを含む撮像装置。 【請求項4】 請求項1記載の撮像装置であって、 前記ディスプレイの前記第2軸まわりの回動初動トルクは、前記支持部の前記第1軸まわりの回動初動トルクより大きい撮像装置。 【請求項5】 請求項1記載の撮像装置であって、 前記本体は、前記支持部と係合することによって前記支持部を前記本体に固定するロック位置と前記支持部との係合から解放されるアンロック位置との間で移動可能な係合部材と、前記係合部材を前記アンロック位置に向けて付勢する付勢部材とを含み、 前記係合部材は、前記本体の一面から離反する向きに前記第2軸まわりに回動される前記ディスプレイに押圧されて前記ロック位置に移動される撮像装置。 【請求項6】 (6A)撮像素子を有する本体と、 (6B)前記本体の一面に沿って配置された矩形のディスプレイと、 (6C)前記ディスプレイを前記本体に可動に連結しているヒンジユニットと、 を備え、 (6D)前記ヒンジユニットは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸上の一対の第1ヒンジによって前記第1軸まわりに回動可能に前記本体に連結された第1支持部と、 (6E)前記第1軸に対して前記第1軸が沿う前記ディスプレイの一辺とは反対側の一辺側に偏倚した前記第1軸と平行な第2軸上の一対の第2ヒンジによって前記第2軸まわりに回動可能に前記第1支持部に連結された第2支持部と、 を含み、 (6F)前記ディスプレイは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち他辺に沿って延びる第3軸上の一対の第3ヒンジによって前記第3軸まわりに回動可能に前記第2支持部に支持されており、 (6G)前記一対の第1ヒンジの一方及び前記一対の第2ヒンジの一方の少なくともいずれかは、前記一対の第3ヒンジの間に配置されている (6H)撮像装置。 【請求項7】 請求項6記載の撮像装置であって、 前記第2支持部は、前記第1軸が沿う前記ディスプレイの一辺とは反対側の一辺側に前記第1軸から外れ、前記ディスプレイの外周に露出して設けられた第1回動操作部と、前記第1軸が沿う前記ディスプレイの一辺側に前記第2軸から外れて配置され、前記ディスプレイの外周に露出して設けられた第2回動操作部とを有し、 前記ディスプレイは、前記第3軸が沿う前記ディスプレイの一辺とは反対側の一辺側に前記第3軸から外れて配置された第3回動操作部を有する撮像装置。 【請求項8】 請求項7記載の撮像装置であって、 前記第1回動操作部は、前記ディスプレイの外周において前記第1軸が沿う前記ディスプレイの一辺とは反対側の一辺に露出して設けられている撮像装置。 【請求項9】 請求項6記載の撮像装置であって、 前記ディスプレイは、前記第3軸が沿う前記ディスプレイの一辺とは反対側の一辺側に前記第3軸から外れて配置された回動操作部を有し、 前記回動操作部は、前記第2支持部と係合することによって前記ディスプレイの前記第3軸まわりの回動を阻止するロック位置と前記第2支持部との係合から解放されるアンロック位置との間で移動可能な係合部材と、前記係合部材を前記ロック位置に向けて付勢する付勢部材とを含む撮像装置。 【請求項10】 請求項6記載の撮像装置であって、 前記ディスプレイの前記第3軸まわりの回動初動トルクは、前記第1支持部の前記第1軸まわりの回動初動トルク及び前記第2支持部の前記第2軸まわりの回動初動トルクより大きい撮像装置。 【請求項11】 請求項6記載の撮像装置であって、 前記本体は、前記第2支持部と係合することによって前記第2支持部を前記本体に固定するロック位置と前記第2支持部との係合から解放されるアンロック位置との間で移動可能な係合部材と、前記係合部材を前記アンロック位置に向けて付勢する付勢部材とを含み、 前記係合部材は、前記本体の一面から離反する向きに前記第3軸まわりに回動される前記ディスプレイに押圧されて前記ロック位置に移動される撮像装置。 【請求項12】 請求項1から11のいずれか一項記載の撮像装置であって、 前記ディスプレイは、前記ヒンジユニットを覆うカバーを有する撮像装置。 第3 当事者の主張 1 請求 (1)請求の趣旨 特許第6244501号の特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。 (2)請求の理由(概要) 本件特許発明1~5は、甲第1号証に記載された発明、甲第3号証に記載された発明である、又は甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第1項第3号又は同条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 本件特許発明6~12は、甲第4号証に記載された発明及び甲第1号証に記載された発明、又は甲第4号証に記載された発明及び甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 (3)請求の理由の要点 甲第1号証~甲第5号証は、後記(4)のとおりであり、以下、甲第1号証~甲第5号証を「甲1」~「甲5」という。 (審判請求書) ア 無効理由1 (ア)本件特許発明1は、甲1の請求項1に対し、クイックリリース機構を付属していないだけの状態を表している。それ故、本件特許発明1は、甲1に記載された発明であるか、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第1項第3号及び同条第2項の規定により特許を受けることができない。 (イ)甲2の請求項1の「前記第1の筐体と前記第2の筐体との間に介装されて、前記第1の筐体を第1の回転軸回りに回動可能に支持し、前記第2の筐体を前記第1の回転軸に垂直な第2の回転軸回りに回動可能に支持する連結部材」を読めば、当業者は、本件特許発明1を容易に想到できる。したがって、本件特許発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (ウ)甲3の図5のヒンジユニットと本件特許の図3の支持部14とは実質的に同一である。したがって、本件特許発明1は、甲第3号証に記載された発明とであるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。 イ 無効理由2 本件特許発明2~5は、本件特許発明1を包含しているので、特許法第29条第1項第3号及び同条第2項の規定により特許を受けることができない。 ウ 無効理由3 本件特許発明6は、甲4の図2のディスプレイの代わりに、甲1又は甲3のディスプレイを乗せたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 エ 無効理由4 本件特許発明7~12は、本件特許発明6を包含しているので、特許法第29条第1項第3号及び同条第2項の規定により特許を受けることができない。 オ 請求人は、補正された審判請求書4頁において「6-6 添付書類の説明」として、次の主張をしている。 「イ.なお、特許第6244501号の4ページ初頭には、[特許文献1]日本国特許第5461738号明細書と記載されている。 ロ.同4ページの段落[0007]の9行目~10行目には、「…意匠性が損なわれる。」と、記載されている。 ハ.更に、段落[0008]には、「…ディスプレイを本体に可動に連結するヒンジユニットを小型化できる撮像装置を提供することを目的とする。」と記載されています。 ニ.同一内容の技術に対して、意匠性を良くしても、又は小型化しても、特許は授与されないはずです。 ホ.甲第1号証、甲第2号証及び甲第3号証の第1軸と、第2軸が、直交して第1軸を中心として旋回し、その間をヒンジで繋ぐ技術は、稲葉稔が世界最初であり、富士フィルムの発明者である高木氏は、稲葉稔の技術を模倣しております。 へ.富士フィルムの特許第6244501号の30ページの図24C、及び図25は、甲第4号証のページ23の図2のディスプレイを、甲第1号証又は、甲第3号証に記載のディスプレイに変えたものに過ぎません。即ち、従来の技術の組み合わせに過ぎません。(特許第6244501号の請求項6) ト.富士フィルムの特許第6244501号の14A及び15Bは、甲第5号証のページ23の図17bの77及び78の模倣です。」 (弁駁書) カ 本件特許の図6Aは段落【0032】に「図6A及び図6Bは、軸B寄りに位置する第1ヒンジ23が、軸Aの軸方向に一対の第2ヒンジ24の間から外れて配置されており、かつ、軸Aと軸Bと、が一対の第1ヒンジ23の外側で交差する、」と記載されており、本件特許は、甲1の特許内容と同じ構成である。 キ 甲1~3によれば、同一基台(プレート)に縦・横両方向のヒンジユニットを備えており、縦・横方向に自由に回動できる。当業者であれば、上記3例を見れば、一つのプレートに縦・横両方向のヒンジユニットを取り付ければ、縦横両方向に電子ディスプレイが回動できることは現在に於いて自明である。 答弁書において、被請求人は、「前記一対の第1ヒンジの一方は前記一対の第2ヒンジの間に配置されている」と主張するが、甲1の図1においては、縦方向の軸よりも、水平方向の軸の方が内側に設置されており、長さが、軸方向行にほんの僅か短いだけで、「長さが短い場合には、小型にできない。」と、本件特許発明の明細書において謳っているが、設計上の問題であり、特許上の問題ではない。 ク 甲4によれば、図2のディスプレイと、支える棒状物体との交点が、電子ディスプレイの中央部にあり、甲4の図2上に、縦・横回動できる装置を載せれば、水平方向を支える軸(ヒンジ)は電子ディスプレイの中央部に位置することになる。電子ディスプレイと棒状物体との交点は、回転支持機構になっていることは図示によれば明らかで、その機構の上に、縦・横回動する機構を載せるには、水平方向の横軸は甲4の電子ディスプレイと棒状物体との交点に水平方向の軸を一致させるのが極自然である。 本件特許は、甲1、甲3及び甲2と、甲4とを合わせた内容で、甲1~4を見れば当業者でなくても容易に想到できる内容である。 (令和2年9月15日付け上申書) ケ 甲1には、水平方向のX軸がヒンジ機構の内側になるような構図に描かれており、本件特許と同一である。 コ 甲1の段落【0074】には、「上述した本発明の各実施例においては、ヒンジユニットをカメラ縦方向(Y軸)回りに左右に回動させ、液晶表示ディスプレイをカメラ横方向(X軸)回りに上下に回動させているが、ヒンジユニットをカメラ横方向(X軸)回りに上下に回動させ、液晶表示ディスプレイをカメラ縦方向(Y軸)回りに左右に回動させる構造にしても構わない。」と記載されている。 サ 甲5に記述されている例だけでなく、甲1の段落【0044】には、 「更に、第1回転軸41又は第2回転軸42に対する軸受44との摩擦抵抗が弱い場合には、軸受44の周囲に2枚のディスク等を設けて、これらディスク間にバネで圧力を加えることにより、第1回転軸41又は第2回転軸42に対し抵抗を付することで、第1の開位置又は第2の開位置から閉位置へ不用意に移行することを抑制することができる。なお、液晶表示ディスプレイ3を一定の角度毎にクリックストップ等で固定しても構わない。」 と記載されており、本件特許明細書の段落【0057】の「図14A及び図14Bに示す例は、第1ヒンジ23及び第2ヒンジ24それぞれにクリック機構が設けられている。」は、甲1に、既に記載されている。 (令和2年10月16日付け上申書) シ 本件特許の図3において、固定部20は、本体に固定しているから、本体と見て差し支えない。その固定部20に左右のヒンジブラケット30が折り曲げられていて、そのヒンジフラケット30の孔は、A軸のヒンジブラケット31にヒンジピン32によって連結されている。また、縦軸B方向の下側のヒンジブラケット33の孔は、A軸よりも下側(外側)である。これは、甲1の図1の第1回転軸41とヒンジの位置構成が全く同じである。また、本件特許の図3の中央部に描かれている、水平方向の軸Aを連結する孔であるヒンジブラケット30と、ヒンジブラケット31を結ぶ孔の中心線は、左側に描かれていて、縦方向の軸Bを連結する孔であるヒンジブラケット33、ヒンジブラケット34の孔の中心線は、右側に描かれている。この場合も、甲1と全く同じ位置構成である。 しかし、甲1は、ディスプレイが単独で開く方向が上下方向に開き、本件特許では、水平方向に開き、また、甲1では、ディスプレイと、ヒンジを取り付けたプレートが一緒に開くのは水平方向ですが、本件特許では縦方向に開く。 しかしながら、甲1の段落【0074】には、 「上述した本発明の各実施例においては、ヒンジュニットをカメラ縦方向(Y軸)回りに左右に回動させ、液晶表示ディスプレイをカメラ横方向(X軸)回りに上下に回動させているが、ヒンジュニットをカメラ横方向(X軸)回りに上下に回動させ、液晶表示ディスプレイをカメラ縦方向(Y軸)回りに左右に回動させる構造にしても構わない。」との記載があり、上記内容は、当然ながら、当業者であれば、想到可能な範囲である。 (陳述要領書) ス ヒンジをディスプレイの外側に取り付けても、又は、内側に取り付けても、同等である。 甲1における、ヒンジ孔の配列位置は、本件特許と同等である。 甲3の図10の場合は、その他の図の場合とは異なり、やはり、本件特許と同等である。 セ 甲1の請求項1は、第1と、第2の回転軸が、垂直に配置されていることになるが、本件特許の請求項1の「前記ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸上の一対の第1ヒンジによって」は、甲1を踏襲するものである。 そして、本件特許の請求項1の「前記ディスプレイは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち他辺に沿って延びる第2軸上の一対の第2ヒンジによって前記第2軸まわりに回動可能に前記支持部に支持されており、前記一対の第1ヒンジの一方は前記一対の第2ヒンジの間に配置されている撮像装置」も甲1の図1と同じである。また、甲3の図10とも同じである。 ソ 本件特許の請求項6は、甲4の上に甲1又は、甲3のユニットを載せたものである。 タ 本件特許と、甲1とのヒンジを比較すると、水平方向の軸位置は縦方向の軸位置よりも内側に入っており、両者とも同じである。また、縦方向の軸位置も水平方向の軸受け位置よりも、紙面に向かって右位置になっており、両者ともに同じである。 また、甲1は、ディスプレイのみ開くときは、縦方向で、本件特許では、ディスプレイのみ開くときには横方向であるが、甲1の段落【0074】には、「上述した本発明の各実施例においては、ヒンジユニットをカメラ縦方殉(Y軸)回りに左右に回動させ、液晶表示ディスプレイをカメラ横方向(X軸)回りに上下に回動させているが、ヒンジユニットをカメラ横方向(X軸)回りに上下に回動させ、液晶表示ディスプレイをカメラ縦方尚(Y軸)回りに左右に回動させる構造にしても構わない。」と記載され、ディスプレイのみが回動する場合において、横に回動しても、又は、縦に回動しても、原理的に効果は全く同じである。 これらの内容は、当業者であれば、想到可能な内容である。 チ 本件特許の請求項2及び3は、請求項1の従属請求項で無効であるが、本件特許明細書の段落【0038】-【0046】に記述されている内容は、(ディスプレイが矢鱈に開かないようにロック装置を設ける)ものであるが、ロックの作動に付勢部材としてコイルスプリングを使用している。(同図27の152)これは、甲2の図5、図6(a~d)、及び図8(a~d)と同じである。(コイルスプリングと、板バネとの差はあるが) ツ 本件特許明細書の段落【0057】-【0063】について、図14A、図14Bの内容が記述されている。この方法も甲5の図17(b)の部品77と78を模倣したものである。甲5の段落【0134】には、「また、ディスプレイD及び遮光フード1が重力等で降下しないようにフェースカップリング77及び78を備えている。フェースカップリング機構は常にコイルバネ79がピン75を介して作用している。更にカメラ本体2とディスプレイD同士自体が回動の下限方向のストッパになっていて、上方向の限界値は90°(90゜に限定されない)開いた位置で、その限界位置はストッパ82が作用する。フェースカップリング77、78が作用し、90°以上回動しようとするので、上下方向のストッパによって回動は制限されディスプレイが収納時等に不用意に回動(スイベル)することを防止できるという効果がある。」と記載している。更に甲1の段落【0044】にも、「更に、第1回転軸41又は第2回転軸42に対する軸受44との摩擦抵抗が弱い場合には、軸受44の周囲に2枚のディスク等を設けて、これらディスク間にバネで圧力を加えることにより、第1回転軸41又は第2回転軸42に対し抵抗を付することで、第1の開位置又は第2の開位置から閉位置へ不用意に移行することを抑制することができる。なお、液晶表示ディスプレイ3を一定の角度毎にクリックストップ等で固定しても構わない。」と、記載している。 上記内容も、先行技術の模倣、若しくは盗用である。従って、特許性はない。 (4)証拠方法 甲第1号証~甲第5号証は、次のとおりである。 甲第1号証:特許第5296270号公報 甲第2号証:特開2015-56706号公報 甲第3号証:特許第5461738号公報 甲第4号証:特開2014-11721号公報 甲第5号証:特許第5749842号公報 2 答弁 (1)答弁の趣旨 本件無効審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。 (2)答弁(概要) 審判請求書における審判請求人の主張する無効理由は、いずれも理由がない。 (3)答弁の要点 (答弁書) ア 無効理由1について (ア)甲1には、本件特許発明1における特定事項「前記一対の第1ヒンジの一方は前記一対の第2ヒンジの間に配置されている」(構成要件1F)に相当する事項は、記載も示唆もされていない。 したがって、本件特許発明1は、甲1に記載された発明ではなく、また、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (イ)甲2には、本件特許発明1の構成要件1Fに相当する事項は、記載も示唆もされていない。 したがって、本件特許発明1は、甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (ウ)甲3には、本件特許発明1の構成要件1Fに相当する事項は、記載も示唆もされていない。 したがって、本件特許発明1は、甲3に記載された発明ではない。 イ 無効理由2について 本件発明1は、本件特許発明2~5は、引用により本件特許発明1の発明特定事項を全て備えているところ、甲1~3のいずれにも、本件特許発明1の構成要件1Fに相当する事項は、記載も示唆もされていないことは、上記アのとおりである。 したがって、本件特許発明2~5は、甲1~3に記載された発明ではなく、また、甲1~3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 ウ 無効理由3について 上記アのとおり、甲1及び甲3のいずれにも、本件特許発明1の構成要件1Fに相当する事項は記載も示唆もされていないから、仮に、甲4に記載された発明に対して、甲1又は甲3に記載された発明を適用することが可能であったとしても、適用後の発明は、本件特許発明6の特定事項「前記一対の第1ヒンジの一方及び前記一対の第2ヒンジの一方の少なくともいずれかは、前記一対の第3ヒンジの間に配置されている」に相当する事項を備えたものにはならない。 したがって、本件特許発明6は、甲4及び甲1、又は甲4及び甲3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 エ 無効理由4について 上記ウのとおり、本件特許発明6は、甲4及び甲1、又は甲4及び甲3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない以上、引用により本件特許発明6の特定事項を全て備える本件発明7~12についても、甲4及び甲1、又は甲4及び甲3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 オ 「6-6 添付書類の説明」への反論 「イ.」から「ト.」の主張は根拠を欠くものであるから、採用されるべきではない。 (陳述要領書) カ 甲1において段落【0074】に記載された態様(ヒンジユニットをカメラ横方向(X軸)回りに上下に回動させ、液晶表示ディスプレイをカメラ縦方向(Y軸)回りに左右に回動させる構造)を採用した場合でも、X軸上の一対のヒンジの一方がY軸上の一対のヒンジの間に配置されることにはならないから、上記態様であっても、本件特許発明1の構成要件1Fを充足することはできない。 第4 当審の判断 1 甲各号証の記載事項及び甲各号証に記載された発明 (1)甲1 ア 甲1の記載事項 甲1には、「ディジタルカメラ」(発明の名称)に関し、図面と共に次に揚げる事項が記載されている。 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 撮像レンズを有する本体部と、前記撮像レンズによる撮像画像を表示する電子ディスプレイと、前記本体部及び前記電子ディスプレイを連結するヒンジユニットとを備えるディジタルカメラであって、 前記ヒンジユニットが、該ヒンジユニットを前記本体部に対して第1の方向回りに90度回動可能に軸着する第1回転軸と、前記電子ディスプレイを前記ヒンジユニットに対して前記第1の方向に垂直な第2の方向回りに90度回動可能に軸着する第2回転軸とを備え、 前記本体部と前記ヒンジユニットとの間に設けられて、前記本体部と前記ヒンジユニットとを開閉自在に連結する第1のクイックリリース機構と、 前記ヒンジユニットと前記電子ディスプレイと間に設けられて、前記ヒンジユニットと前記電子ディスプレイとを開閉自在に連結する第2のクイックリリース機構とを備えていることを特徴とするディジタルカメラ。」 「【0001】 本発明は、ディジタルカメラに関するものであって、特に、ディジタルカメラをローアングルで使用する場合に、電子ディスプレイをワンタッチで縦横に回動可能なディジタルカメラを提供する。」 「【0027】 本実施例に係るディジタルカメラ1は、図1に示すように、撮像レンズを有する本体部2と、撮像レンズによる撮像画像を表示する電子ディスプレイとしての液晶表示ディスプレイ3と、本体部2及び液晶表示ディスプレイ3を連結するヒンジユニット4とを備えている。 なお、電子ディスプレイは、有機ELディスプレイであっても構わない。 【0028】 前述したヒンジユニット4は、図1に示すように、ヒンジユニット4を本体部2に対してカメラ縦方向(Y軸)回りに90度回動可能に軸着する第1回転軸41と、液晶表示ディスプレイ3をヒンジユニット4に対してカメラ横方向(X軸)回りに90度回動可能に軸着する第2回転軸42とを備えている。 【0029】 ヒンジユニット4の第1回転軸41は、一方端をヒンジユニット4の基台43上に載置された軸受44の孔44aを貫通して本体部2の盲穴に軸支され、他方端を基台43から立設するガイド45を貫通して本体部2の盲穴に軸支されている。 【0030】 ヒンジユニット4の第2回転軸42は、図1及び図2に示すように、一方端をヒンジユニット4の基台43に取り付けられた軸受44の孔44bに軸支され、他方端を基台43から立設するサイドフレーム46に軸支されている。 【0031】 軸受44は、図3(a)に示すように、基台43上にネジ止めして載置される底部44cと、第1回転軸41の一方端を通す孔44aを有し、底部44cから立設してX方向に平行に延びる支持部44dと、第2回転軸42の一方端を軸支する孔44bを有し、底部43から立設してY軸方向に平行に延びる支持部44eとを備えている。」 「【0074】 上述した本発明の各実施例においては、ヒンジユニットをカメラ縦方向(Y軸)回りに左右に回動させ、液晶表示ディスプレイをカメラ横方向(X軸)回りに上下に回動させているが、ヒンジユニットをカメラ横方向(X軸)回りに上下に回動させ、液晶表示ディスプレイをカメラ縦方向(Y軸)回りに左右に回動させる構造にしても構わない。」 「【図1】 [図:0001390053000001.jpg] 」 「【図2】 [図:0001390053000002.jpg] 」 「【図3】 [図:0001390053000003.jpg] 」 イ 甲1に記載された発明 段落【0028】、【0029】、【0030】の記載及び図1~図3によると、ヒンジユニット4の基台43に取り付けられた軸受け44の孔44bを有する支持部44eは、孔44aを有する支持部44dよりも液晶表示ディスプレイ3側にあり、軸受け部44の支持部44d及び第1回転軸41の他方端が貫通するガイド45は、基台43における第2回転軸42の他方端を軸支するサイドフレーム46と反対側のカメラ縦方向の一辺に配置されている。 また、図1によると、液晶表示ディスプレイ3は、本体部2の一面に沿って配置されている。 上記アの記載、図面及び上記検討から、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。なお、構成を区別するために「1a」~「1h」を付した。以下、各構成を「構成1a」~「構成1h」という。また、各構成の末尾に対応する段落番号又は図面番号を付した。 (甲1発明) (1a)撮像レンズを有する本体部2と、撮像レンズによる撮像画像を表示する電子ディスプレイとしての液晶表示ディスプレイ3と、本体部2及び液晶表示ディスプレイ3を連結するヒンジユニット4とを備えるディジタルカメラ1であって、(【0027】) (1b)液晶表示ディスプレイ3は、本体部2の一面に沿って配置され、(図1) (1c)ヒンジユニット4は、ヒンジユニット4を本体部2に対してカメラ縦方向(Y軸)回りに90度回動可能に軸着する第1回転軸41と、液晶表示ディスプレイ3をヒンジユニット4に対してカメラ横方向(X軸)回りに90度回動可能に軸着する第2回転軸42とを備え、(【0028】) (1d)ヒンジユニット4の第1回転軸41は、一方端をヒンジユニット4の基台43上に載置された軸受44の孔44aを貫通して本体部2の盲穴に軸支され、他方端を基台43から立設するガイド45を貫通して本体部2の盲穴に軸支され、(【0029】) (1e)ヒンジユニット4の第2回転軸42は、一方端をヒンジユニット4の基台43に取り付けられた軸受44の孔44bに軸支され、他方端を基台43から立設するサイドフレーム46に軸支され、(【0030】) (1f)軸受44は、基台43上にネジ止めして載置される底部44cと、第1回転軸41の一方端を通す孔44aを有し、底部44cから立設してX軸方向に平行に延びる支持部44dと、第2回転軸42の一方端を軸支する孔44bを有し、底部43から立設してY軸方向に平行に延びる支持部44eとを備え、(【0031】) (1g)軸受け44の孔44bを有する支持部44eは、孔44aを有する支持部44dよりも液晶表示ディスプレイ3側にあり、軸受け部44の支持部44d及び第1回転軸41の他方端が貫通するガイド45は、基台43における第2回転軸42の他方端を軸支するサイドフレーム46と反対側のカメラ縦方向の一辺に配置されている(【0028】、【0029】、【0030】、図1~3) (1h)ディジタルカメラ1。(【0027】) (2)甲2 ア 甲2の記載事項 甲2には、「携帯電話」(発明の名称)に関し、図面と共に次に揚げる事項が記載されている。 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 表示部を備えた第1の筐体と操作部及びカメラを備えた第2の筐体とを備え、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを折り畳み可能な携帯電話であって、 前記第1の筐体と前記第2の筐体との間に介装されて、前記第1の筐体を第1の回転軸回りに回動可能に支持し、前記第2の筐体を前記第1の回転軸に垂直な第2の回転軸回りに回動可能に支持する連結部材と、 前記第1の筐体と前記連結部材との間に設けられて、前記第1の筐体と前記連結部材とを前記第1の回転軸回りに開閉自在に連結する第1のロック機構と、 前記第2の筐体と前記連結部材との間に設けられて、前記第2の筐体と前記連結部材とを前記第2の回転軸回りに開閉自在に連結する第2のロック機構と、 を備えていることを特徴とする携帯電話。」 「【0001】 本発明は、携帯電話に関し、特に、カメラを備えた折り畳み携帯電話に関する。」 「【0022】 図1及び図2に示すように、携帯電話1は、第1の筐体2と、第2の筐体3と、第1の筐体2と第2の筐体3との間に介装された連結部材4と、を備え、第1の筐体2の表面2aと第2の筐体3の表面3aとを対向させて折り畳むことが可能なカメラ付き携帯電話である。 【0023】 第1の筐体2は、矩形平板状に形成されて、表面2aに表示部としてのLCD(Liquid Crystal Display)等の電子ディスプレイ21を備えている。なお、符号22は、受話時に用いられるマイクロホンである。 【0024】 第1の筐体2は、第1の筐体2の幅方向Wの両端から夫々突設されたピン23を後述する連結部材4の軸受孔42aに挿通して成る第1のヒンジ部H1を介して、携帯電話1の幅方向Wに平行な第1の回転軸X回りに回動可能に連結部材4に連結されている。 【0025】 第2の筐体3は、矩形平板状に形成されており、表面3aに配置された操作部31と、裏面3bに設けられた後述する撮影レンズ32を有するカメラ(図示せず)と、を備えている。なお、符号33は、受話時に用いられるスピーカーである。 【0026】 第2の筐体3は、第2の筐体3の長手方向Lの両端から夫々突設されたピン34を後述する連結部材の軸受孔43aに挿通して成る第2のヒンジ部H2を介して、携帯電話1の長手方向Lに平行な第2の回転軸Y回りに回動可能に連結部材4に連結されている。」 「【0028】 連結部材4は、矩形状枠体の基部41と、基部41の裏面41aの幅方向Wに沿う一対の短端部41sの一方に幅方向Wに互いに対向して立設されて軸受孔42aを夫々形成した一対の第1のフランジ42、42と、基部41の表面41bの長手方向Lに沿う一対の長端部41lの一方に長手方向Lに互いに対向して立設されて軸受孔43aを夫々形成した一対の第2のフランジ43、43と、を備えている。」 「【0031】 図3に示すように、連結部材4の基部41は、鋼板又はステンレス鋼板製の薄板を略矩形状にプレスして得られる。基部41は、電子ディスプレイ21及び操作部31を囲繞するように形成された略矩形状の枠体である。これにより、撮影者は、枠状の基部41に囲まれた隙間を介して、第1の筐体2の電子ディスプレイ21を視たり、第2の筐体3の操作部31を入力操作することができる。 【0032】 第1のフランジ42の軸受孔42aが、第1の筐体2の幅方向Wの両端に夫々設けられたピン24を支持するため、第1の筐体2が第1の回転軸X回りに回動する際の第1の筐体2の偏芯が防止されて、第1の筐体2を安定して回動させることができる。 【0033】 また、第2のフランジ43の軸受孔43aが、第2の筐体3の長手方向Wの両端から夫々突設されたピン34を支持するため、第2の筐体3が第2の回転軸Y回りに回動する際の第2の筐体3の偏芯が防止されて、第2の筐体3を安定して回動させることができる。 【0034】 第1のフランジ42及び第2のフランジ43は、基部41の一部をプレス加工する等して基部41と一体に形成されても、基部41とは独立した別個の部材をネジ止め等によって基部に固着されても溶接されても構わない。」 「【図1】 [図:0001390053000004.jpg] 」 「【図2】 [図:0001390053000005.jpg] 」 「【図3】 [図:0001390053000006.jpg] 」 イ 甲2に記載された発明 上記アの記載、図面から、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。なお、構成を区別するために「2a」~「2g」を付した。以下、各構成を「構成2a」~「構成2g」という。また、各構成の末尾に対応する段落番号を付した。 (甲2発明) (2a)第1の筐体2と、第2の筐体3と、第1の筐体2と第2の筐体3との間に介装された連結部材4と、を備え、第1の筐体2の表面2aと第2の筐体3の表面3aとを対向させて折り畳むことが可能なカメラ付き携帯電話であって、(【0022】) (2b)第1の筐体2は、矩形平板状に形成され、電子ディスプレイ21を備え、(【0023】) (2c)第1の筐体2は、第1の筐体2の幅方向Wの両端から夫々突設されたピン23を連結部材4の軸受孔42aに挿通して成る第1のヒンジ部H1を介して、携帯電話1の幅方向Wに平行な第1の回転軸X回りに回動可能に連結部材4に連結され、(【0024】) (2d)第2の筐体3は、矩形平板状に形成され、裏面3bに設けられた撮影レンズ32を有するカメラを備え(【0025】) (2e)第2の筐体3は、第2の筐体3の長手方向Lの両端から夫々突設されたピン34を連結部材4の軸受孔43aに挿通して成る第2のヒンジ部H2を介して、携帯電話1の長手方向Lに平行な第2の回転軸Y回りに回動可能に連結部材4に連結され、(【0026】) (2f)連結部材4は、矩形状枠体の基部41と、基部41の裏面41aの幅方向Wに沿う一対の短端部41sの一方に幅方向Wに互いに対向して立設されて軸受孔42aを夫々形成した一対の第1のフランジ42、42と、基部41の表面41bの長手方向Lに沿う一対の長端部41lの一方に長手方向Lに互いに対向して立設されて軸受孔43aを夫々形成した一対の第2のフランジ43、43と、を備えた、(【0028】) (2g)カメラ付き携帯電話。(【0022】) (3)甲3 ア 甲3の記載事項 甲3には、「ディジタルカメラ」(発明の名称)に関し、図面と共に次に揚げる事項が記載されている。 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 撮像レンズを有するカメラ本体と、前記撮像レンズによる撮像画像を表示する電子ディスプレイと、前記カメラ本体に対して第1の回転軸回りに回動可能に連結されると共に前記電子ディスプレイを前記第1の回転軸に垂直な第2の回転軸回りに回動可能に連結するヒンジユニットと、を備えるディジタルカメラであって、 前記カメラ本体は、該カメラ本体の表面に凹設されて前記ヒンジユニットを収容する収容凹部の内周壁の少なくとも一部を切り欠いて形成されて、前記ヒンジユニットの外周面を外部に露出させる第1のスリットを備え、 前記ヒンジユニットは、前記電子ディスプレイの外周を囲繞する外周壁の少なくとも一部を切り欠いて形成されて、前記電子ディスプレイの外周面を外部に露出させる第2のスリットを備えていることを特徴とするディジタルカメラ。」 「【0001】 本発明は、ディジタルカメラに関するものであって、特に、ディジタルカメラをローアングルで使用する場合に、電子ディスプレイをワンタッチで縦横に回動可能なディジタルカメラを提供する。」 「【0034】 本実施例に係るディジタルカメラ1は、図示しない撮像レンズを有するカメラ本体2と、撮像レンズによる撮像画像を表示する電子ディスプレイとしての液晶ディスプレイ3と、カメラ本体2及び液晶ディスプレイ3を連結するヒンジユニット4とを備えている。なお、電子ディスプレイは、有機ELディスプレイであっても構わない。 【0035】 ヒンジユニット4は、カメラ本体2に対してカメラ横方向Wと平行なX軸回りに回動可能に支持されると共に、液晶ディスプレイ3をカメラ縦方向Lと平行なY軸回りに回動可能に支持している。」 「【0038】 ヒンジユニット4は、液晶ディスプレイ3の裏面3aに対向する矩形状の基台41と、基台41の周縁から立設して液晶ディスプレイ3の外周を囲繞する外周壁42と、外周壁42の一部を切り欠いて形成された第2のスリット43と、を備えている。」 「【0040】 外周壁42は、基台41の周縁を上方に折り曲げて基台41と一体に形成されており、ヒンジユニット4は、薄く軽量でありながら高い剛性を有している。外周壁42には、基台41からカメラ縦方向Lの外側に突出されて後述する圧入軸受孔44aが形成されたフランジ部44が連設されている。収容凹部22とヒンジ部44との隙間は、カバーC1で覆われている。」 「【0042】 カメラ本体2とヒンジユニット4とを連結する第1の回転軸5は、X軸上でヒンジユニット4のカメラ横方向Wの両端に一つずつ配置された一対の横方向軸部5a、5b[審決注、「51a、51b」の誤記]で構成されている。 【0043】 横方向軸部5aは、一方端をヒンジユニット4のフランジ部43[審決注、「44」の誤記]に形成された圧入軸受孔43a[審決注、「44a」の誤記]に圧入され、中央をカメラ本体2の内周壁21aに形成された遊嵌軸受孔21bに軸支され、他方端を後述する第1のカム72の圧入孔72bに圧入されている。 【0044】 横方向軸部5bは、一方端をヒンジユニット4のフランジ部43[審決注、「44」の誤記]に形成された圧入軸受孔43a[審決注、「44a」の誤記]に圧入され、中央から他方端に亘ってカメラ本体2の内周壁21aに形成された遊嵌軸受孔21bに軸支されている。 【0045】 これにより、ヒンジユニット4は、カメラ本体2に対してX軸回りに回動可能に支持されている。 【0046】 また、液晶ディスプレイ3とヒンジユニット4とを連結する第2の回転軸6は、Y軸上で液晶ディスプレイ3のカメラ縦方向Lの両端に一つずつ配置された一対の縦方向軸部6a、6b[審決注、「61a、61b」の誤記]で構成されている。 【0047】 縦方向軸部6a[審決注、「61a」の誤記]は、液晶ディスプレイ3の外周面3bからカメラ縦方向Lに向かって突設され、中央をヒンジユニット4の外周壁42に形成された遊嵌軸受孔42aに軸支され、先端を後述する第2のカム83の圧入孔83bに圧入されている。 【0048】 縦方向軸部6b[審決注、「61b」の誤記]は、液晶ディスプレイ3の外周面3bからカメラ縦方向Lに向かって突設され、中央から先端に亘ってヒンジユニット4の外周壁42に形成された遊嵌軸受孔42aに軸支されている。 【0049】 これにより、ヒンジユニット4は、液晶ディスプレイ3をY軸回りに回動可能に支持している。」 「【図1】 [図:0001390053000007.jpg] 」 「【図2】 [図:0001390053000008.jpg] 」 「【図3】 [図:0001390053000009.jpg] 」 「【図5】 [図:0001390053000010.jpg] 」 「【図10】 [図:0001390053000011.jpg] 」 イ 甲3に記載された発明 上記アの記載、図面から、甲3には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されている。なお、構成を区別するために「3a」~「3m」を付した。以下、各構成を「構成3a」~「構成3m」という。また、各構成の末尾に対応する段落番号を付した。 (甲3発明) (3a)撮像レンズを有するカメラ本体2と、撮像レンズによる撮像画像を表示する電子ディスプレイとしての液晶ディスプレイ3と、カメラ本体2及び液晶ディスプレイ3を連結するヒンジユニット4とを備えたディジタルカメラ1であって、(【0034】) (3b)ヒンジユニット4は、カメラ本体2に対してカメラ横方向Wと平行なX軸回りに回動可能に支持されると共に、液晶ディスプレイ3をカメラ縦方向Lと平行なY軸回りに回動可能に支持し、(【0035】) (3c)ヒンジユニット4は、液晶ディスプレイ3の裏面3aに対向する矩形状の基台41と、基台41の周縁から立設して液晶ディスプレイ3の外周を囲繞する外周壁42と、外周壁42の一部を切り欠いて形成された第2のスリット43と、を備え、(【0038】) (3d)外周壁42は、基台41の周縁を上方に折り曲げて基台41と一体に形成され、外周壁42には、基台41からカメラ縦方向Lの外側に突出されて圧入軸受孔44aが形成されたフランジ部44が連設され、(【0040】) (3e)カメラ本体2とヒンジユニット4とを連結する第1の回転軸5は、X軸上でヒンジユニット4のカメラ横方向Wの両端に一つずつ配置された一対の横方向軸部51a、51bで構成され、(【0042】) (3f)横方向軸部51aは、一方端をヒンジユニット4のフランジ部44に形成された圧入軸受孔44aに圧入され、中央をカメラ本体2の内周壁21aに形成された遊嵌軸受孔21bに軸支され、他方端を第1のカム72の圧入孔72bに圧入され(【0043】) (3g)横方向軸部51bは、一方端をヒンジユニット4のフランジ部44に形成された圧入軸受孔44aに圧入され、中央から他方端に亘ってカメラ本体2の内周壁21aに形成された遊嵌軸受孔21bに軸支され、(【0044】) (3h)ヒンジユニット4は、カメラ本体2に対してX軸回りに回動可能に支持され、(【0045】) (3i)液晶ディスプレイ3とヒンジユニット4とを連結する第2の回転軸6は、Y軸上で液晶ディスプレイ3のカメラ縦方向Lの両端に一つずつ配置された一対の縦方向軸部61a、61bで構成され、(【0046】) (3j)縦方向軸部61aは、液晶ディスプレイ3の外周面3bからカメラ縦方向Lに向かって突設され、ヒンジユニット4の外周壁42に形成された遊嵌軸受孔42aに軸支され、(【0047】) (3k)縦方向軸部61bは、液晶ディスプレイ3の外周面3bからカメラ縦方向Lに向かって突設され、ヒンジユニット4の外周壁42に形成された遊嵌軸受孔42aに軸支され、(【0048】) (3l)ヒンジユニット4は、液晶ディスプレイ3をY軸回りに回動可能に支持する、(【0049】) (3m)ディジタルカメラ。(【0034】) (4)甲4 ア 甲4の記載事項 甲4には、「撮像装置、撮像方法およびプログラム」(発明の名称)に関し、図面と共に次に揚げる事項が記載されている。 「【0001】 本発明は、被写体を撮像して該被写体の画像データを生成する撮像装置、撮像方法およびプログラムに関する。」 「【0020】 図1は、本発明の実施の形態1にかかる撮像装置の被写体に面する側(前面側)の構成を示す図である。図2は、本発明の実施の形態1にかかる撮像装置の撮影者に面する側(背面側)の構成を示す図である。図3は、本発明の実施の形態1にかかる撮像装置の機能構成を示すブロック図である。 【0021】 図1~図3に示す撮像装置1は、本体部2と、本体部2に着脱自在であり、所定の視野領域から光を集光するとともに、光学ズームが可能なレンズ部3と、本体部2に着脱自在な外部機器4と、を備える。 【0022】 まず、本体部2について説明する。本体部2は、シャッタ201と、シャッタ駆動部202と、撮像素子203と、撮像素子駆動部204と、信号処理部205と、A/D変換部206と、画像処理部207と、AE処理部208と、AF処理部209と、画像圧縮展開部210と、入力部211と、アクセサリ通信部212と、接眼表示部213と、アイセンサ214と、可動部215と、表示部216と、タッチパネル217と、回動判定部218と、状態検出部219と、時計220と、記録媒体221と、メモリI/F222と、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)223と、Flashメモリ224と、本体通信部225と、バス226と、本体制御部227と、を備える。」 「【0039】 可動部215は、表示部216およびタッチパネル217が設けられ、ヒンジ215aを介して可動可能に本体部2に設けられる。たとえば、可動部215は、本体部2の鉛直方向に対して表示部216が上向き、または下向きに変更可能に本体部2に設けられる(図2を参照)。 【0040】 表示部216は、液晶または有機ELからなる表示パネルおよび駆動ドライバ等を用いて構成される。表示部216は、本体制御部227の制御のもと、バス226を介してSDRAM223に記録された画像データまたは記録媒体221に記録された画像データを取得し、取得した画像データに対応する画像を表示する。ここで、画像の表示には、撮影直後の画像データを所定時間(たとえば3秒間)だけ表示するレックビュー表示、記録媒体221に記録された画像データを再生する再生表示、および撮像素子203が連続的に生成する画像データに対応するライブビュー画像を時系列に沿って順次表示するライブビュー表示等が含まれる。また、表示部216は、撮像装置1の操作情報および撮影に関する情報を適宜表示する。 【0041】 タッチパネル217は、表示部216の表示画面上に重畳して設けられる。タッチパネル217は、外部からの物体のタッチを検出し、この検出したタッチ位置に応じた位置信号を本体制御部227へ出力する。また、タッチパネル217は、ユーザが表示部216で表示される情報、たとえばアイコン画像やサムネイル画像に基づいてタッチした位置を検出し、この検出したタッチ位置に応じて撮像装置1が行う動作を指示する指示信号や画像を選択する選択信号の入力を受け付けてもよい。一般に、タッチパネル217としては、抵抗膜方式、静電容量方式および光学方式等がある。本実施の形態1では、いずれの方式のタッチパネルであっても適用可能である。さらに、可動部215、表示部216およびタッチパネル217は、一体的に形成してもよい。」 「【図1】 [図:0001390053000012.jpg] 」 「【図2】 [図:0001390053000013.jpg] 」 イ 甲4に記載された発明 図2によると、表示部216が設けられた可動部215は、表示部216が本体部2に一体に接続された時に本体部の鉛直方向と平行な表示部216の少なくとも一辺のほぼ中央から伸びた可動部215の棒状体により、ヒンジ215aを介して本体部2と接続されている。なお、図2には、図示されていないが、上記可動部215の棒状体は、表示部216の一辺と逆側の一辺にもあるものと認められる。このような構成により、「可動部215は、本体部2の鉛直方向に対して表示部216が上向き、または下向きに変更可能に本体部に設けられている」(段落【0039】)ものと認められる。 上記アの記載、図面及び上記検討から、甲4には、次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されている。なお、構成を区別するために「4a」~「4f」を付した。以下、各構成を「構成4a」~「構成4f」という。また、各構成の末尾に対応する段落番号を付した。 (甲4発明) (4a)本体部2を備えた撮像装置1であって、(【0021】) (4b)本体部2は撮像素子203を備え、(【0022】) (4c)表示部216が設けられた可動部215が、ヒンジ215aを介して可動可能に本体部に設けられ、(【0039】) (4d)表示部216が本体部2に一体に接続された時に本体部の鉛直方向と平行な表示部216の一辺のほぼ中央から伸びた可動部215の棒状体により、ヒンジ215aを介して本体部2と接続され、(図2) (4e)上記可動部215は、本体部2の鉛直方向に対して表示部216が上向き、または下向きに変更可能に本体部2に設けられる(【0039】) (4f)撮像装置。(【0021】) (5)甲5 ア 甲5の記載事項 甲5には、「ステレオビューワ及び又はステレオビューファインダ」(発明の名称)に関し、図面と共に次に揚げる事項が記載されている。 「【0133】 また、カップリング77はカメラ側に設けたピン74に圧入されている(図17bにおいて、断面形状に“段”が付いているが、図示の表現上であり、このような団は無くても良い)そして、カップリング位置決めピンによって回転方向の位置は位置決めされる。この時ディスプレイ側のカップリング78は、一体に成型されていて、あらかじめ位置決めされている。そして、カメラ側に設けたピン74の先端とカップリング78の孔は、緩い嵌合状態になっているので、多少の斜め状態であっても容易く取り付けることができる。そこで、ネジ80を緩め、ピン移動用ネジ76を右方向に動かせば、ピン75の先端はピン移動用孔83の左端面よりも後退するのでディスプレイDを取り付けることができる。」 「【図17a】 [図:0001390053000014.jpg] 」 「【図17b】 [図:0001390053000015.jpg] 」 2 本件特許発明1 (1)甲1発明に基づく新規性、進歩性 ア 本件特許発明1と甲1発明との対比 本件特許発明1と甲1発明とを対比する。 (ア)構成要件1A、1B、1Cについて 構成1aは、「ディジタルカメラ1」であるから、構成1aの「撮像レンズを有する本体部2」が撮像素子を有することは明らかである。したがって、構成1aの「撮像レンズを有する本体部2」は、構成要件1Aの「撮像素子を有する本体」に相当する。 構成1a、1bの「液晶表示ディスプレイ3」は、構成要件1Bの「前記本体の一面に沿って配置された矩形のディスプレイ」に相当する。 構成1a、1cの「ヒンジユニット4」は、構成要件1Cの「前記ディスプレイを前記本体に可動に連結しているヒンジユニット」に相当する。 よって、本件特許発明1と甲1発明とは、「撮像素子を有する本体と、前記本体の一面に沿って配置された矩形のディスプレイと、前記ディスプレイを前記本体に可動に連結しているヒンジユニット」とを備える点で一致する。 (イ)構成要件1Dについて 構成1c、1dの「第1回転軸41」は、「ヒンジユニット4を本体部2に対してカメラ縦方向(Y軸)回りに90度回動可能に軸着する」から、構成要件1Dの「前記ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸」に相当する。 構成1d、1gの「ヒンジユニット4の基台43上に載置された軸受44の孔44aを有する支持部44d」及び「基台43から立設するガイド45」は、構成要件1Dの「第1軸上の一対の第1ヒンジ」に相当する。 構成1dの「基台43」は、本体部2に軸支され(構成d)、本体部2に対してカメラ縦方向(Y軸)回りに90度回動可能(構成c)であるから、構成要件1Dの「前記第1軸まわりに回動可能に前記本体に連結された支持部」に相当する。 したがって、本件特許発明1と甲1発明とは、「前記ヒンジユニットは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸上の一対の第1ヒンジによって前記第1軸まわりに回動可能に前記本体に連結された支持部を含む」点で一致する。 (ウ)構成要件1Eについて 構成1c、1eの「第2回転軸42」は、「液晶表示ディスプレイ3をヒンジユニット4に対してカメラ横方向(X軸)回りに90度回動可能に軸着する」から、構成要件1Eの「前記ディスプレイの直交する二辺のうち他辺に沿って延びる第2軸」に相当する。 構成1e、1gの「ヒンジユニット4の基台43に取り付けられた軸受44の孔44bを有する支持部44e」及び「基台43から立設するサイドフレーム46」は、構成要件1Eの「第2軸上の一対の第2ヒンジ」に相当する。 「液晶表示ディスプレイ3」は、「ヒンジユニット4に対してカメラ横方向(X軸)回りに90度回動可能に軸着」し(構成1c)、ヒンジユニット4の基台43に取り付けられた軸受44の孔44bを有する支持部44e」及び「基台43から立設するサイドフレーム46」により支持されているといえるから、「液晶表示ディスプレイ3」は、構成要件1Dの「支持部」に相当する「基台43」(上記(イ))に支持されているといえる。 したがって、本件特許発明1と甲1発明とは、「前記ディスプレイは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち他辺に沿って延びる第2軸上の一対の第2ヒンジによって前記第2軸まわりに回動可能に前記支持部に支持されている」点で一致する。 (エ)構成要件1Fについて 構成1gは、軸受け44の孔44bを有する支持部44e(「一対の第2ヒンジ」の一方に相当)が、孔44aを有する支持部44d(「一対の第1ヒンジ」の一方に相当)よりも液晶表示ディスプレイ3側にあり、軸受け部44の支持部44d及び第1回転軸41の他方端が貫通するガイド45(「一対の第1ヒンジ」に相当)が、基台43における第2回転軸42の他方端を軸支するサイドフレーム46(「一対の第2ヒンジ」のもう一方に相当)と反対側のカメラ縦方向の一辺に配置されているものである。 そうすると、支持部44d、ガイド45(「一対の第1ヒンジ」に相当)は、支持部44eと第2回転軸の他方端を軸支するサイドフレーム46との間(「一対の第2ヒンジの間」に相当)に位置していない。 したがって、甲1発明は、「前記一対の第1ヒンジの一方は前記一対の第2ヒンジの間に配置」されておらず、本件特許発明1と相違する。 (オ)構成要件1Gについて 構成1hの「ディジタルカメラ1」は、「撮像装置」といえるから、本件特許発明1と甲1発明とは、「撮像装置」として一致する。 イ 一致点、相違点 上記アによると、本件特許発明1と甲1発明との一致点、相違点は次のとおりである。 (一致点) (1A)撮像素子を有する本体と、 (1B)前記本体の一面に沿って配置された矩形のディスプレイと、 (1C)前記ディスプレイを前記本体に可動に連結しているヒンジユニットと、 を備え、 (1D)前記ヒンジユニットは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸上の一対の第1ヒンジによって前記第1軸まわりに回動可能に前記本体に連結された支持部を含み、 (1E)前記ディスプレイは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち他辺に沿って延びる第2軸上の一対の第2ヒンジによって前記第2軸まわりに回動可能に前記支持部に支持されている、 (1G)撮像装置。 (相違点) 本件発明1においては、「前記一対の第1ヒンジの一方は前記一対の第2ヒンジの間に配置」されているのに対し、甲1発明においては、支持部44d、ガイド45は、支持部44eと第2回転軸の他方端を軸支するサイドフレーム46との間になく、「前記一対の第1ヒンジの一方は前記一対の第2ヒンジの間に配置」されていない点 ウ 判断 (ア)新規性 上記イのとおり、本件特許発明1と甲1発明とを対比すると相違するから、本件特許発明は甲1発明でない。 (イ)進歩性 甲1発明においては、ディスプレイを本体に可動に連結するヒンジユニットを小型化しようとする示唆はなく、他に、「第1ヒンジ」に相当する支持部44e又はガイド45を、「一対の第2ヒンジの間」に相当する、支持部44eと第2回転軸の他方端を軸支するサイドフレーム46との間に配置しようとする動機付けとなる事項は見当たらない。 したがって、本件特許発明1は、当業者であっても甲1発明に基づいて容易に想到し得るものとは認められない。 エ 請求人の主張について (ア)請求人は、甲1の段落【0074】に基づく主張をしている(上記第3の1(3)コ、シ、タ)ので、検討する。 甲1の段落【0074】には、「上述した本発明の各実施例においては、ヒンジユニットをカメラ縦方向(Y軸)回りに左右に回動させ、液晶表示ディスプレイをカメラ横方向(X軸)回りに上下に回動させているが、ヒンジユニットをカメラ横方向(X軸)回りに上下に回動させ、液晶表示ディスプレイをカメラ縦方向(Y軸)回りに左右に回動させる構造にしても構わない。」と記載されている。 甲1発明は、ヒンジユニットをカメラ縦方向(Y軸)回りに左右に回動させ、液晶表示ディスプレイをカメラ横方向(X軸)回りに上下に回動させるものであり、甲1発明を、ヒンジユニットをカメラ横方向(X軸)回りに上下に回動させ、液晶表示ディスプレイをカメラ縦方向(Y軸)回りに左右に回動させる構造にしたもの(以下「甲1発明2」という。)を検討する。 甲1発明の構成1cに対応する甲1発明2の構成1c’は、「(1c’)ヒンジユニット4は、ヒンジユニット4を本体部2に対してカメラ横方向(X軸)回りに90度回動可能に軸着する第1回転軸41と、液晶表示ディスプレイ3をヒンジユニット4に対してカメラ縦方向(Y軸)回りに90度回動可能に軸着する第2回転軸42とを備え、」となり、甲1発明の構成1fに対応する甲1発明2の構成1f’は、「(1f’)軸受44は、基台43上にネジ止めして載置される底部44cと、第1回転軸41の一方端を通す孔44aを有し、底部44cから立設してY軸方向に平行に延びる支持部44dと、第2回転軸42の一方端を軸支する孔44bを有し、底部43から立設してX軸方向に平行に延びる支持部44eとを備え、」となり、他の構成は、甲1発明と同じである(下線は、当審で付与した。)。 甲1発明2における、「第1ヒンジ」に相当する「支持部44d」、「ガイド45」、と「第2ヒンジ」に相当する「支持部44e」、「第2回転軸の他方端を軸支するサイドフレーム46」との位置関係は、甲1発明における位置関係と変化はないから、本件特許発明1と甲1発明2との一致点、相違点は、上記イと同じであり、判断も上記ウと同じである。 したがって、請求人の主張によっては、本件特許発明1を無効にすることはできない。 (イ)請求人は、本件特許発明1が、甲1の請求項1に記載された発明に対し、クイック機構を付属していないだけの状態を表しており、特許法第29条1項3号及び同条2項の規定により特許を受けることができないと主張している(上記第3のア(ア))。 甲1の請求項1に記載された発明は、以下のとおりである。 「撮像レンズを有する本体部と、前記撮像レンズによる撮像画像を表示する電子ディスプレイと、前記本体部及び前記電子ディスプレイを連結するヒンジユニットとを備えるディジタルカメラであって、 前記ヒンジユニットが、該ヒンジュニットを前記本体部に対して第1の方向回りに90度回動可能に軸着する第1回転軸と、前記電子ディスプレイを前記ヒンジユニットに対して前記第1の方向に垂直な第2の方向回りに90度回動可能に軸着する第2回転軸とを備え、 前記本体部と前記ヒンジユニットとの間に設けられて、前記本体部と前記ヒンジユニットとを開閉自在に連結する第1のクイックリリース機構と、 前記ヒンジユニットと前記電子ディスプレイと間に設けられて、前記ヒンジユニットと前記電子ディスプレイとを開閉自在に連結する第2のクイックリリース機構とを備えていることを特徴とするディジタルカメラ。」 甲1の請求項1に記載された発明には、構成要件1Fがない。 したがって、本件特許発明1は、甲1の請求項1に記載された発明ではない。 そして、甲1の請求項1に記載された発明において、構成要件1Fとする動機付けとなる事項は見当たらない。 したがって、本件特許発明1は、当業者であっても、甲1の請求項1に記載された発明に基づいて容易に想到し得るものとは認められない。 オ まとめ 以上のとおりであるから、本件特許発明1は、甲1に記載された発明でなく、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものとは認められない。 (2)甲2発明に基づく進歩性 ア 本件特許発明1と甲2発明との対比 本件特許発明1と甲2発明とを対比する。 (ア)構成要件1A、1B、1Cについて 構成2dの「第2の筐体3」は、「カメラ」を備えており、撮像素子を有することは明らかであるから、構成要件1Aの「撮像素子を有する本体」に相当する。 構成2bの「第1の筐体2」は、「電子ディスプレイ21」を備えており、「第1の筐体2の表面2aと第2の筐体3の表面3aとを対向させて折り畳むことが可能なカメラ付き携帯電話」であるから、構成2bの「電子ディスプレイ21」は、構成要件1Bの「前記本体の一面に沿って配置された矩形のディスプレイ」に相当する。 構成2aの「連結部材4」は、「第1の筐体2」が「第1のヒンジ部H1を介して、携帯電話1の幅方向Wに平行な第1の回転軸X回りに回動可能に」連結され(構成2c)、「第2の筐体3」が「第2のヒンジ部H2を介して、携帯電話1の長手方向Lに平行な第2の回転軸Y回りに回動可能に連結部材4に」連結される(構成2e)から、構成要件1Cの「前記ディスプレイを前記本体に可動に連結しているヒンジユニット」に相当する。 したがって、本件特許発明1と甲1発明とは、「撮像素子を有する本体と、前記本体の一面に沿って配置された矩形のディスプレイと、前記ディスプレイを前記本体に可動に連結しているヒンジユニット」とを備える点で一致する。 (イ)構成要件1Dについて 構成2eの「携帯電話1の長手方向Lに平行な第2の回転軸Y」は、構成要件1Dの「前記ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸」に相当し、構成2eの「第2のヒンジ部H2」は、構成要件1Dの「第1ヒンジ」に相当する。 本件特許発明1の「ヒンジユニット」に相当するの「連結部4」は、軸受孔43aを夫々形成した一対の第2のフランジ43、43を備えた「基部41」を備えている(構成2g)。当該「基部41」は、構成要件1Dの「支持部」に相当する。 そして、本件特許発明1の「本体」に相当する「第2の筐体3」(上記(ア))は、「第2の筐体3の長手方向Lの両端から夫々突設されたピン34を連結部材4の軸受孔43aに挿通して成る第2のヒンジ部H2を介して、携帯電話1の長手方向Lに平行な第2の回転軸Y回りに回動可能に連結部材4に連結」される(構成2e)から、「連結部材4」は、「前記ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸」上の一対の「第1ヒンジ」によって、「前記第1軸まわりに回動可能に」第2の筐体3(「本体」)に連結された「支持部」を含むといえる。 したがって、本件特許発明1と甲2発明とは、「前記ヒンジユニットは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸上の一対の第1ヒンジによって前記第1軸まわりに回動可能に前記本体に連結された支持部を含む」点で一致する。 (ウ)構成要件1Eについて 構成2cの「携帯電話1の幅方向Wに平行な第1の回転軸X」は、構成要件1Eの「前記ディスプレイの直交する二辺のうち他辺に沿って延びる第2軸」に相当し、構成2cの「第1のヒンジ部H1」は、構成要件1Eの「第2ヒンジ」に相当する。 構成2fの「基部41」は、本件特許発明1の「支持部」に相当し(上記(イ))、「基部41」は、軸受孔42aを夫々形成した一対の第2のフランジ42、42を備えている。 「電子ディスプレイ21」を備えた「第1の筐体2」(構成2b)は、「第1の筐体2の幅方向Wの両端から夫々突設されたピン23を連結部材4の軸受孔42aに挿通して成る第1のヒンジ部H1を介して、携帯電話1の幅方向Wに平行な第1の回転軸X回りに回動可能に連結部材4に連結」される(構成2c)から、「前記ディスプレイの直交する二辺のうち他辺に沿って延びる第2軸上の一対の第2ヒンジによって前記第2軸まわりに回動可能に前記支持部に支持」されているといえる。 したがって、本件特許発明1と甲2発明とは、「前記ディスプレイは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち他辺に沿って延びる第2軸上の一対の第2ヒンジによって前記第2軸まわりに回動可能に前記支持部に支持」されている点で一致する。 (エ)構成要件1Fについて 甲2発明において、第1のフランジ42、42は、第1のヒンジ部H1を構成するものであり(構成2c、2f)、第2のフランジ43、43は、第2のヒンジ部H2を構成するものであり(構成2e、2f)、上記(イ)のとおり、構成2eの「第2のヒンジ部H2」は、構成要件1Dの「第1ヒンジ」に相当し、上記(ウ)のとおり、構成2cの「第1のヒンジ部H1」は、構成要件1Eの「第2ヒンジ」に相当する。 甲2発明において、第1のフランジ42、42は、「基部41の裏面41aの幅方向Wに沿う一対の短端部41sの一方に幅方向Wに互いに対向して立設」されており(構成2f)、第2のフランジ43、43は、「基部41の表面41bの長手方向Lに沿う一対の長端部41lの一方に長手方向Lに互いに対向して立設」されており(構成2f)、第1のフランジ42、42と第2のフランジ43、43とは、基部41の異なる面に立設されている。 したがって、甲2発明は、「前記一対の第1ヒンジの一方は前記一対の第2ヒンジの間に配置」されておらず、本件特許発明1と相違する。 (オ)構成要件1Gについて 構成2hの「カメラ付き携帯電話」であり、撮像できるから、撮像装置といえ、本件特許発明1と甲2発明とは、「撮像装置」として一致する。 イ 一致点、相違点 上記アによると、本件特許発明1と甲2発明との一致点、相違点は次のとおりである。 (一致点) (1A)撮像素子を有する本体と、 (1B)前記本体の一面に沿って配置された矩形のディスプレイと、 (1C)前記ディスプレイを前記本体に可動に連結しているヒンジユニットと、 を備え、 (1D)前記ヒンジユニットは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸上の一対の第1ヒンジによって前記第1軸まわりに回動可能に前記本体に連結された支持部を含み、 (1E)前記ディスプレイは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち他辺に沿って延びる第2軸上の一対の第2ヒンジによって前記第2軸まわりに回動可能に前記支持部に支持されている、 (1G)撮像装置。 (相違点) 本件発明1においては、「前記一対の第1ヒンジの一方は前記一対の第2ヒンジの間に配置」されているのに対し、甲2発明においては、第1のフランジ42、42と第2のフランジ43、43とは、基部41の異なる面に立設されており、「前記一対の第1ヒンジの一方は前記一対の第2ヒンジの間に配置」されていない点 ウ 判断 甲2発明においては、第1のフランジ42、42と第2のフランジ43、43とは、基部41の異なる面に立設されている。 基部41の異なる面に立設されている第1のフランジ42、42と第2のフランジ43、43の配置を、「一対の第2ヒンジ」に相当する「第1ヒンジ部」を構成する「一対の第1フランジ42、42」の間に、「一対の第1ヒンジ」に相当する「第2ヒンジ部」を構成する「一対の第2フランジ43、43」の一方を配置するようにする動機付けとなる事項は見当たらない。 したがって、本件特許発明1は、甲2発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものとは認められない。 エ まとめ 以上のとおりであるから、本件特許発明1は、甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものとは認められない。 (3)甲3発明に基づく新規性 ア 本件特許発明1と甲3発明との対比 本件特許発明1と甲3発明とを対比する。 (ア)構成要件1A、1B、1Cについて 構成3aは、「ディジタルカメラ1」であるから、構成3aの「撮像レンズを有する本体2」が撮像素子を有することは明らかである。したがって、構成3aの「撮像レンズを有する本体2」は、構成要件1Aの「撮像素子を有する本体」に相当する。 構成3a、3bの「液晶表示ディスプレイ3」は、構成要件1Bの「前記本体の一面に沿って配置された矩形のディスプレイ」に相当する。 構成3a、3bの「ヒンジユニット4」は、構成要件1Cの「前記ディスプレイを前記本体に可動に連結しているヒンジユニット」に相当する。 よって、本件特許発明1と甲3発明とは、「撮像素子を有する本体と、前記本体の一面に沿って配置された矩形のディスプレイと、前記ディスプレイを前記本体に可動に連結しているヒンジユニット」とを備える点で一致する。 (イ) 構成要件1Dについて 甲3発明においては、カメラ本体2とヒンジユニット4とを連結する第1の回転軸5は、X軸上でヒンジユニット4のカメラ横方向Wの両端に一つずつ配置された一対の横方向軸部51a、51bで構成され(構成3e)、横方向軸部51aは、ヒンジユニット4のフランジ部44に形成された圧入軸受孔44aに圧入され(構成3f)、横方向軸部51bは、ヒンジユニット4のフランジ部44に形成された圧入軸受孔44aに圧入され(構成3f)、ヒンジユニット4は、カメラ本体2に対してX軸回りに回動可能に支持される(構成3h)。 構成3eの「X軸」は、構成要件1Dの「前記ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸」に相当する。 構成3fの横方向軸部51aが圧入される圧入軸受孔44aが形成されたフランジ部44と、構成3gの横方向軸部51bが圧入される圧入軸受孔44aが形成されたフランジ部44とは、構成要件1Dの「一対の第1ヒンジ」に相当する。 ヒンジユニット4は、基台41と基台41の周縁から立設して液晶ディスプレイ3の外周を囲繞する外周壁42と備え(構成3c)、外周壁42には、基台41からカメラ縦方向Lの外側に突出されて圧入軸受孔44aが形成されたフランジ部44が連設され(構成3d)、ヒンジユニット4は、カメラ本体2に対してX軸回りに回動可能に支持される(構成3h)から、「基台41」は、「前記ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸上の一対の第1ヒンジによって前記第1軸まわりに回動可能に前記本体に連結された支持部」に相当する。 したがって、本件特許発明1と甲3発明とは、「記ヒンジユニットは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸上の一対の第1ヒンジによって前記第1軸まわりに回動可能に前記本体に連結された支持部を含む」点で一致する。 (ウ) 構成要件1Eについて 構成3iの「Y軸」は、構成要件1Eの「前記ディスプレイの直交する二辺のうち他辺に沿って延びる第2軸」に相当する。 構成3jの縦方向軸部61aが軸支される遊嵌軸受孔42aが形成された外周壁42と、構成3kの縦方向軸部61bが軸支される遊嵌軸受孔42aが形成された外周壁42とは、構成要件1Eの「一対の第2ヒンジ」に相当する。 ヒンジユニット4は、基台41と基台41の周縁から立設して液晶ディスプレイ3の外周を囲繞する外周壁42と備え(構成3c)、外周壁42に形成された遊嵌軸受孔42aに軸支された縦方向軸部61a、61b(構成3j、3k)は、Y軸上で液晶ディスプレイ3のカメラ縦方向Lの両端に配置され(構成3i)、液晶ディスプレイ3をY軸回りに回動可能に支持している(構成3l)。遊嵌軸受孔42aが形成された外周壁42は、基台41の周縁から立設している(構成3c)から、「液晶ディスプレイ3」は、構成要件1Dの「支持部」に相当する「基台41」(上記(イ))に支持されているといえる。 したがって、本件特許発明1と甲3発明とは、「前記ディスプレイは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち他辺に沿って延びる第2軸上の一対の第2ヒンジによって前記第2軸まわりに回動可能に前記支持部に支持されている」点で一致する。 (エ) 構成要件1Fについて 甲3発明においては、外周壁42は、液晶ディスプレイ3の外周を囲繞するものであり(構成3c)、縦方向軸部61a、61bが軸支される遊嵌軸受孔42aが形成された外周壁42(構成3j、3k)は、「第2ヒンジ」に相当する(上記(ウ))。 一方、「第1ヒンジ」に相当する「横方向軸部51a、51bが圧入される圧入軸受孔44aが形成されたフランジ部44」(上記(イ))は、基台41からカメラ縦方向Lの外側に突出されて連設されるものである(構成3d)。 そうすると、フランジ44は、遊嵌軸受孔42aが形成された外周壁42の間にはない。 したがって、甲1発明は、「前記一対の第1ヒンジの一方は前記一対の第2ヒンジの間に配置」されておらず、本件特許発明1と相違する。 (オ) 構成要件1Gについて 構成3nの「ディジタルカメラ」は、「撮像装置」といえるから、本件特許発明1と甲1発明とは、「撮像装置」として一致する。 イ 一致点、相違点 上記アによると、本件特許発明1と甲3発明との一致点、相違点は次のとおりである。 (一致点) (1A)撮像素子を有する本体と、 (1B)前記本体の一面に沿って配置された矩形のディスプレイと、 (1C)前記ディスプレイを前記本体に可動に連結しているヒンジユニットと、 を備え、 (1D)前記ヒンジユニットは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸上の一対の第1ヒンジによって前記第1軸まわりに回動可能に前記本体に連結された支持部を含み、 (1E)前記ディスプレイは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち他辺に沿って延びる第2軸上の一対の第2ヒンジによって前記第2軸まわりに回動可能に前記支持部に支持されている、 (1G)撮像装置。 (相違点) 本件発明1においては、「前記一対の第1ヒンジの一方は前記一対の第2ヒンジの間に配置」されているのに対し、甲3発明においては、横方向軸部51a、51bが圧入される圧入軸受孔44aが形成されたフランジ部44は、基台41からカメラ縦方向Lの外側に突出されて連設されるものであり、「前記一対の第1ヒンジの一方は前記一対の第2ヒンジの間に配置」されていない点 ウ 判断 上記イのとおり、本件特許発明1と甲3発明とを対比すると相違するから、本件特許発明は甲1発明でない。 エ 請求人の主張について 請求人は、本件特許発明1は、甲3の図10と同じであると主張する(上記第3の1(3)ス、セ)ので検討する。 図10において、カメラ本体2に連結される基部41のフランジ部44が、構成要件1Dの「一対の第1ヒンジ」に相当し、基部41が「支持部」に相当する。 また、図10の基部41の外周壁42に形成された遊嵌軸受孔42aと縦方向軸部61a、61bが構成要件Eの「一対の第2ヒンジ」に相当する。 図10においては、「一対の第2ヒンジ」に相当する、「遊嵌軸受孔42aと縦方向軸部61a」及び「遊嵌軸受孔42aと縦方向軸部61b」の間には、「一対の第1ヒンジの一方」に相当する「基部41のフランジ44」は配置されておらず、本件特許発明1と相違する。 したがって、請求人の主張は、採用できない。 オ まとめ 以上のとおりであるから、本件特許発明1は、甲3に記載された発明でない。 3 本件特許発明2~5 本件特許発明2~5は、本件特許発明1を引用するから、上記2の理由と同じ理由で、甲1、甲3に記載された発明でなく、甲1、甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものとは認められない。 4 本件特許発明6 (1)甲4発明に基づく進歩性 ア 本件特許発明6と甲4発明との対比 本件特許発明6と甲4発明とを対比する。 (ア)構成要件6Aについて 構成4bの「本体部2」は撮像素子203を備えているから、構成6Aの「撮像素子を有する本体」に相当する。 したがって、本件特許発明6と甲4発明とは、「撮像素子を有する本体」を備える点で一致する。 (イ)構成要件6Bについて 構成4cの「表示部216」は、構成要件6Bの「前記本体の一面に沿って配置された矩形のディスプレイ」に相当する。 したがって、本件特許発明6と甲4発明とは、「前記本体の一面に沿って配置された矩形のディスプレイ」を備える点で一致する。 (ウ)構成要件6Cについて 構成4cの「可動部215」、「ヒンジ215a」、構成4dの「可動部215の棒状体」は、「本体部2の鉛直方向に対して表示部216が上向き、または下向きに変更可能に本体部2に設けられる」から、構成要件6Cの「ヒンジユニット」に相当する。 したがって、本件特許発明6と甲4発明とは、「前記ディスプレイを前記本体に可動に連結しているヒンジユニット」を備える点で一致する。 (エ)構成要件6Dについて 甲4発明の構成4cのヒンジ215aは、本体部2の鉛直方向に対して90度の向きである軸まわりに回転可能に連結されているといえる。 また、本体部2の鉛直方向に対して90度の向きである軸は、表示部6が本体に設けられているから,表示部6の直交する二辺のうちの一辺に沿って伸びる第1軸といえる。 したがって、本件特許発明6と甲4発明とは、「前記ヒンジユニットは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸上の一対の第1ヒンジによって前記第1軸まわりに回動可能に前記本体に連結された第1支持部」を含む点で一致する。 (オ) 構成要件6Eについて 甲4発明の構成4dの「可動部215の棒状体」のヒンジ215aとは逆の表示部216側の接続部は、本体部2の鉛直方向に対して表示部216が上向き、または下向きに変更可能に本体部に設けられている(構成4e)から、「前記第1軸に対して前記第1軸が沿う前記ディスプレイの一辺とは反対側の一辺側に偏倚した前記第1軸と平行な第2軸まわりに回動可能」な支持部といえる。そして、「可動部215の棒状体」は、「第1支持部」に相当する「ヒンジ215a」に接続されている。 したがって、本件特許発明6と甲4発明とは、「前記第1軸に対して前記第1軸が沿う前記ディスプレイの一辺とは反対側の一辺側に偏倚した前記第1軸と平行な第2軸まわりに回動可能に前記第1支持部に連結された第2支持部」を含む点で共通し、「第2軸まわりに回動可能」にする構成が、本件特許発明6においては、「第2軸上の一対の第2ヒンジ」であるのに対し、甲4発明においては、「第2軸上の一対の第2ヒンジ」であると特定されていない点で相違する。 (カ)構成要件6Fについて 甲4発明におけて、「ディスプレイ」は、「前記ディスプレイの直交する二辺のうち他辺に沿って延びる第3軸上の一対の第3ヒンジによって前記第3軸まわりに回動可能に前記第2支持部に支持」されておらず、本件特許発明6と相違する。 (キ)構成要件6Gについて 甲4発明においては、「前記一対の第1ヒンジの一方及び前記一対の第2ヒンジの一方の少なくともいずれかは、前記一対の第3ヒンジの間に配置」されておらず、本件特許発明6と相違する。 (ク)構成要件6Hについて 本件特許発明6と甲4発明とは、「撮像装置」として一致する。 イ 一致点、相違点 上記アによると、本件特許発明6と甲4発明との一致点、相違点は次のとおりである。 (一致点) (6A)撮像素子を有する本体と、 (6B)前記本体の一面に沿って配置された矩形のディスプレイと、 (6C)前記ディスプレイを前記本体に可動に連結しているヒンジユニットと、を備え、 (6D)前記ヒンジユニットは、前記ディスプレイの直交する二辺のうち一辺に沿って延びる第1軸上の一対の第1ヒンジによって前記第1軸まわりに回動可能に前記本体に連結された第1支持部と、 (6E)前記第1軸に対して前記第1軸が沿う前記ディスプレイの一辺とは反対側の一辺側に偏倚した前記第1軸と平行な第2軸まわりに回動可能に前記第1支持部に連結された第2支持部と、 を含む、 (6G)撮像装置。 (相違点1) 「第2軸まわりに回動可能」にする構成が、本件特許発明6においては、「第2軸上の一対の第2ヒンジ」であるのに対し、甲4発明においては、「第2軸上の一対の第2ヒンジ」であると特定されていない点 (相違点2) 「ディスプレイ」が、本件特許発明6においては、「前記ディスプレイの直交する二辺のうち他辺に沿って延びる第3軸上の一対の第3ヒンジによって前記第3軸まわりに回動可能に前記第2支持部に支持」されているのに対し、甲4発明においては、そのような構成を有するものでない点 (相違点3) 本件特許発明6においては、「前記一対の第1ヒンジの一方及び前記一対の第2ヒンジの一方の少なくともいずれかは、前記一対の第3ヒンジの間に配置」されているのに対し、甲4発明においては、そのような構成を有するものでない点 ウ 判断 甲1には、上記1(1)イのとおりの甲1発明が記載され、甲3には、上記1(3)イのとおりの甲3発明が記載されている。また、上記2(1)ア、イ及び上記2(3)ア、イのとおり甲1発明及び甲3発明は、「前記一対の第1ヒンジの一方は前記一対の第2ヒンジの間に配置されている」ものではない。 そうすると、甲4発明に、甲1発明のヒンジユニット4又は甲3発明のヒンジユニットを適用したとしても、甲4発明において「前記一対の第1ヒンジの一方及び前記第1の第2ヒンジの一方の少なくともいずれかは、前記一対の第3ヒンジの間に配置」されるもの(相違点3に係る構成)とはならない。 したがって、本件特許発明6は、甲4発明及び甲1発明、又は甲4発明及び甲3発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものとは認められない。 エ まとめ 以上のとおりであるから、本件特許発明6は、甲4発明及び甲1発明、又は甲4発明及び甲3発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものとは認められない。 5 本件特許発明7~12 本件特許発明7~12は、本件特許発明6を引用するから、上記4の理由と同じ理由で、甲4発明及び甲1発明、又は甲4発明及び甲3発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものとは認められない。 また、本件特許発明6は、上記4のとおり、甲4発明と対比すると相違するから、本件特許発明6を引用する本件特許発明7~12は、甲4に記載された発明ではない。 6 請求人の主張について 請求人は、補正された審判請求書4頁において「6-6 添付書類の説明」として、上記第3の1(3)オの「イ.」~「ト.」の主張をしている。 「イ.」~「ニ.」の主張は、本件特許発明1~12を無効とする理由ではないから、採用できない。 「ホ.」の主張は、甲1~甲3に基づく主張であるが、本件特許発明1~5が、甲1~甲3に記載された発明ではなく、甲1~3に基づいて当業者が容易に発明できたものではないことは、上記2、3のとおりであり、当該主張は採用できない。 「ヘ.」の主張は、甲4及び甲1,甲4及び甲3に基づく主張であるが、本件特許発明6~12が甲4及び甲1、甲4及び甲3に基づいて当業者が容易に発明できたものでないことは、上記4、5のとおりであり、当該主張は採用できない。 「ト.」の主張は、本件特許の図14A、14Bが甲5の図17bの77及び78の模倣である旨の主張であるが、当該主張は、本件特許発明1~12を無効とする理由ではないから、採用できない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件特許の請求項1から請求項12に係る発明の特許を無効とすることはできない。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定においてさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。

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2020-800010

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