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特許異議申立

2022-701111

クリーンルーム装置および空気循環ユニット

審判番号
2022-701111
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-229685
登録番号
7068261
請求日
2022年11月14日
審決日
2023年08月03日
公報発行日
2023年11月24日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】高砂熱学工業株式会社
  • 【権利者代理人】萩原 康司
  • 【権利者代理人】金本 哲男
  • 【異議申立人】新日本空調 株式会社
  • 【異議申立人代理人】和泉 久志
審判長/審判官
  • 審判長 間中 耕治
  • 審判官 平城 俊雅
  • 審判官 白土 博之
分類
P1651.55 -YAA(F24F) / P1651.121-YAA(F24F) / P1651.537-YAA(F24F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第17条の2第3項、特許法第36条第6項第2号、特許法第126条第4項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7068261号発明「クリーンルーム装置および空気循環ユニット」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7068261号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕、〔5-7〕について訂正することを認める。 特許第7068261号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許7068261号(以下「本件特許」という。)の請求項1~7に係る特許についての出願は、平成28年5月31日に出願した特願2016-108663号の一部を令和1年12月19日に新たな特許出願としたものであって、令和4年5月6日にその特許権の設定登録がされ、令和4年5月16日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和4年11月14日 :特許異議申立人新日本空調株式会社(以下「 申立人」という。)による請求項1~7に係 る特許に対する特許異議の申立て 令和5年 2月 3日付け:取消理由通知書 同年 4月10日 :特許権者による訂正請求書及び意見書の提出 同年 5月16日 :申立人による意見書の提出 第2 訂正の適否についての判断 令和5年4月10日に提出された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)は、以下のとおりである(下線は訂正箇所を示すため当審で付したものである。)。 1 訂正の内容 1-1 一群の請求項1~4に係る訂正 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に記載された 「天井、床および側壁で区画されたクリーンルームの前記床から所定の高さまで形成される空調領域を清浄に保つクリーンルーム装置であって、」を、 「天井、床および側壁で区画されたクリーンルームの前記床から所定の高さまで形成される空調領域を非層流方式で清浄に保つクリーンルーム装置であって、 前記空調領域には機器が存在し、前記機器が存在する前記空調領域に非層流方式で給気が行われ、前記空調領域において前記機器の熱的影響による上昇流により汚染物質がクリーンルーム内において前記空調領域よりも上方に搬送され、」に訂正する。 (請求項1の記載を引用する請求項3、4も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に記載された 「前記クリーンルーム内の空気を循環させる空気循環ユニットを備え、」を、 「前記クリーンルーム内の前記空調領域に非層流方式で給気を行い、前記空調領域の空気を循環させる空気循環ユニットを備え、」に訂正する (請求項1の記載を引用する請求項3、4も同様に訂正する)。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項1に記載された 「前記空気循環ユニットの高さは前記空調領域の高さよりも高く、前記空気循環ユニットの下部は給気口を有し且つ前記空調領域内に位置するように形成され、前記空気循環ユニットの上部は吸気口を有し且つ前記クリーンルーム内において前記空調領域よりも上方の空間に突出するように形成され、前記吸気口は前記空気循環ユニットの上面に設けられ、」を、 「前記空気循環ユニットの高さは前記空調領域の高さよりも高く、前記空気循環ユニットの下部は給気口を有し且つ前記空調領域内に位置するように形成され、前記空気循環ユニットの上部は吸気口を有し且つ前記クリーンルーム内において非層流方式で空調される前記空調領域よりも上方の空間に突出するように形成され、前記吸気口は前記空気循環ユニットの上面に設けられ、」に訂正する。 (請求項1の記載を引用する請求項3、4も同様に訂正する)。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項2に記載された 「天井、床および側壁で区画されたクリーンルームの下部に形成される空調領域を清浄に保つクリーンルーム装置であって、」を、 「天井、床および側壁で区画されたクリーンルームの下部に形成される空調領域を非層流方式で清浄に保つクリーンルーム装置であって、 前記空調領域には機器が存在し、前記機器が存在する前記空調領域に非層流方式で給気が行われ、前記空調領域において前記機器の熱的影響による上昇流により汚染物質がクリーンルーム内において前記空調領域よりも上方に搬送され、」に訂正する。 (請求項2の記載を引用する請求項3、4も同様に訂正する)。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項2に記載された 「前記クリーンルーム内の空気を循環させる空気循環ユニットを備え、」を、 「前記クリーンルーム内の前記空調領域に非層流方式で給気を行い、前記空調領域の空気を循環させる空気循環ユニットを備え、」に訂正する。 (請求項2の記載を引用する請求項3、4も同様に訂正する)。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項2に記載された 「前記空気循環ユニットの前面において床から所定高さまでの領域に分布して配置されて、横向きに給気する複数の前記給気口が設けられ、」を、 「前記空気循環ユニットの前面において前記空調領域と向かい合う高さまでの領域に分布して配置されて、横向きに給気する複数の前記給気口が設けられ、」に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項3、4も同様に訂正する)。 1-2 一群の請求項5~7に係る訂正 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項5に記載された 「クリーンルームの下部に形成される空調領域を清浄に保つクリーンルーム内の床上に配置され、前記クリーンルーム内の空気を循環させる空気循環ユニットであって、」を、 「天井、床および側壁で区画されたクリーンルームの下部に形成される空調領域を非層流方式で清浄に保ち、前記空調領域には機器が存在し、前記機器が存在する前記空調領域に非層流方式で給気が行われ、前記空調領域において前記機器の熱的影響による上昇流により汚染物質がクリーンルーム内において前記空調領域よりも上方に搬送されるクリーンルーム装置において、前記クリーンルーム内の床上に前記クリーンルームの側壁に沿って配置され、前記クリーンルーム内の空気を循環させる空気循環ユニットであって、」に訂正する。 (請求項5の記載を引用する請求項6、7も同様に訂正する)。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項5に記載された 「清浄空気が、前記給気ダクト、前記清浄空気の給気口を経て前記クリーンルームにおいて、前記空調領域よりも上方に供給され、前記空気循環ユニットは、前記吸気口からのみで前記給気ダクトを介さずに空気を吸い込むことを特徴とする、空気循環ユニット。」を、 「清浄空気が、前記給気ダクト、前記清浄空気の給気口を経て前記クリーンルームにおいて、前記空調領域よりも上方に供給され、前記空気循環ユニットは、前記吸気口からのみで前記給気ダクトを介さずに前記吸気口の真上に位置する天井の給気口から供給される清浄空気と前記クリーンルーム内の空気を吸い込み、前記クリーンルーム内の前記空調領域に非層流方式で給気を行い、前記空調領域の空気を循環させることを特徴とする、空気循環ユニット。」に訂正する。 (請求項5の記載を引用する請求項6、7も同様に訂正する)。 1-3 明細書の訂正 (9)訂正事項9 明細書の段落【0009】に記載された 「この目的を達成するために、本発明によれば、天井、床および側壁で区画されたクリーンルームの前記床から所定の高さまで形成される空調領域を清浄に保つクリーンルーム装置であって、前記クリーンルーム内の空気を循環させる空気循環ユニットを備え、前記空気循環ユニットの高さは前記空調領域の高さよりも高く、前記空気循環ユニットの下部は給気口を有し且つ前記空調領域内に位置するように形成され、前記空気循環ユニットの上部は吸気口を有し且つ前記クリーンルーム内において前記空調領域よりも上方の空間に突出するように形成され、前記吸気口は前記空気循環ユニットの上面に設けられ、前記空気循環ユニットの内部には、冷却器および高性能フィルタと、前記クリーンルーム内の空気を前記吸気口から吸い込み、前記冷却器および前記高性能フィルタを通過させて前記給気口に向けて送風するファンを備え、前記空気循環ユニットは、前記吸気口が、前記クリーンルームの内部であって前記空調領域よりも上方の位置のみで空気を吸い込み、前記複数の給気口が、前記空気循環ユニットの前面において前記空調領域と向かい合う高さまでの領域に分布して配置されて、前記空調領域に向けて横向きに給気するように前記クリーンルーム内の前記側壁に沿って前記床上に配置され、前記クリーンルーム外に前記空気循環ユニットに清浄空気を供給するための給気ダクトが設けられ、前記クリーンルーム内には前記給気ダクトがなく、前記空気循環ユニットには前記給気ダクトが直接接続されず、クリーンルームの天井には、清浄空気の給気口が設けられ、清浄空気が、前記給気ダクト、前記清浄空気の給気口を経て前記クリーンルームにおいて、前記空調領域よりも上方に供給され、前記空気循環ユニットは、前記吸気口からのみで前記給気ダクトを介さずに空気を吸い込むことを特徴とする、クリーンルーム装置が提供される。 また本発明によれば、天井、床および側壁で区画されたクリーンルームの下部に形成される空調領域を清浄に保つクリーンルーム装置であって、前記クリーンルーム内の空気を循環させる空気循環ユニットを備え、前記空気循環ユニットの内部には、冷却器および高性能フィルタと、前記クリーンルーム内の空気を吸気口から吸い込み、前記冷却器および前記高性能フィルタを通過させて給気口に向けて送風するファンを備え、前記空気循環ユニットの前面において床から所定高さまでの領域に分布して配置されて、横向きに給気する複数の前記給気口が設けられ、前記空気循環ユニットの上面に前記空調領域よりも上方の位置のみで空気を吸い込む前記吸気口が設けられ、前記空気循環ユニットは前記クリーンルーム内の前記側壁に沿って前記床上に配置され、前記クリーンルームの床から所定の高さまで空調領域が形成され、前記クリーンルーム外に前記空気循環ユニットに清浄空気を供給するための給気ダクトが設けられ、前記クリーンルーム内には前記給気ダクトがなく、前記空気循環ユニットには前記給気ダクトが直接接続されず、クリーンルームの天井には、清浄空気の給気口が設けられ、清浄空気が、前記給気ダクト、前記清浄空気の給気口を経て前記クリーンルームにおいて、前記空調領域よりも上方に供給され、前記空気循環ユニットは、前記吸気口からのみで前記給気ダクトを介さずに空気を吸い込むことを特徴とする、クリーンルーム装置が提供される。」を、 「この目的を達成するために、本発明によれば、天井、床および側壁で区画されたクリーンルームの前記床から所定の高さまで形成される空調領域を非層流方式で清浄に保つクリーンルーム装置であって、前記空調領域には機器が存在し、前記機器が存在する前記空調領域に非層流方式で給気が行われ、前記空調領域において前記機器の熱的影響による上昇流により汚染物質がクリーンルーム内において前記空調領域よりも上方に搬送され、前記クリーンルーム内の前記空調領域に非層流方式で給気を行い、前記空調領域の空気を循環させる空気循環ユニットを備え、前記空気循環ユニットの高さは前記空調領域の高さよりも高く、前記空気循環ユニットの下部は給気口を有し且つ前記空調領域内に位置するように形成され、前記空気循環ユニットの上部は吸気口を有し且つ前記クリーンルーム内において非層流方式で空調される前記空調領域よりも上方の空間に突出するように形成され、前記吸気口は前記空気循環ユニットの上面に設けられ、前記空気循環ユニットの内部には、冷却器および高性能フィルタと、前記クリーンルーム内の空気を前記吸気口から吸い込み、前記冷却器および前記高性能フィルタを通過させて前記給気口に向けて送風するファンを備え、前記空気循環ユニットは、前記吸気口が、前記クリーンルームの内部であって前記空調領域よりも上方の位置のみで空気を吸い込み、前記複数の給気口が、前記空気循環ユニットの前面において前記空調領域と向かい合う高さまでの領域に分布して配置されて、前記空調領域に向けて横向きに給気するように前記クリーンルーム内の前記側壁に沿って前記床上に配置され、前記クリーンルーム外に前記空気循環ユニットに清浄空気を供給するための給気ダクトが設けられ、前記クリーンルーム内には前記給気ダクトがなく、前記空気循環ユニットには前記給気ダクトが直接接続されず、クリーンルームの天井には、清浄空気の給気口が設けられ、清浄空気が、前記給気ダクト、前記清浄空気の給気口を経て前記クリーンルームにおいて、前記空調領域よりも上方に供給され、前記空気循環ユニットは、前記吸気口からのみで前記給気ダクトを介さずに空気を吸い込むことを特徴とする、クリーンルーム装置が提供される。 また本発明によれば、天井、床および側壁で区画されたクリーンルームの下部に形成される空調領域を非層流方式で清浄に保つクリーンルーム装置であって、前記空調領域には機器が存在し、前記機器が存在する前記空調領域に非層流方式で給気が行われ、前記空調領域において前記機器の熱的影響による上昇流により汚染物質がクリーンルーム内において前記空調領域よりも上方に搬送され、前記クリーンルーム内の前記空調領域に非層流方式で給気を行い、前記空調領域の空気を循環させる空気循環ユニットを備え、前記空気循環ユニットの内部には、冷却器および高性能フィルタと、前記クリーンルーム内の空気を吸気口から吸い込み、前記冷却器および前記高性能フィルタを通過させて給気口に向けて送風するファンを備え、前記空気循環ユニットの前面において前記空調領域と向かい合う高さまでの領域に分布して配置されて、横向きに給気する複数の前記給気口が設けられ、前記空気循環ユニットの上面に前記空調領域よりも上方の位置のみで空気を吸い込む前記吸気口が設けられ、前記空気循環ユニットは前記クリーンルーム内の前記側壁に沿って前記床上に配置され、前記クリーンルームの床から所定の高さまで空調領域が形成され、前記クリーンルーム外に前記空気循環ユニットに清浄空気を供給するための給気ダクトが設けられ、前記クリーンルーム内には前記給気ダクトがなく、前記空気循環ユニットには前記給気ダクトが直接接続されず、クリーンルームの天井には、清浄空気の給気口が設けられ、清浄空気が、前記給気ダクト、前記清浄空気の給気口を経て前記クリーンルームにおいて、前記空調領域よりも上方に供給され、前記空気循環ユニットは、前記吸気口からのみで前記給気ダクトを介さずに空気を吸い込むことを特徴とする、クリーンルーム装置が提供される。」に訂正する。 (10)訂正事項10 明細書の段落【0011】に記載された 「また、本発明によれば、クリーンルームの下部に形成される空調領域を清浄に保つクリーンルーム内の床上に配置され、前記クリーンルーム内の空気を循環させる空気循環ユニットであって、前記クリーンルームの内部であって前記空調領域よりも上方の位置のみで空気を吸い込む吸気口と、前記空気循環ユニットの前面において前記空調領域と向かい合う高さまでの領域に分布して配置されて、前記空調領域に向けて横向きに給気する複数の給気口が設けられ、前記吸気口は前記空気循環ユニットの上面に設けられ、冷却器および高性能フィルタと、前記クリーンルーム内の空気を前記吸気口から吸い込み、前記冷却器および前記高性能フィルタを通過させて前記給気口に向けて送風するファンを内部に備え、前記クリーンルーム外に前記空気循環ユニットに清浄空気を供給するための給気ダクトが設けられ、前記クリーンルーム内には前記給気ダクトがなく、前記空気循環ユニットには前記給気ダクトが直接接続されず、クリーンルームの天井には、清浄空気の給気口が設けられ、清浄空気が、前記給気ダクト、前記清浄空気の給気口を経て前記クリーンルームにおいて、前記空調領域よりも上方に供給され、前記空気循環ユニットは、前記吸気口からのみで前記給気ダクトを介さずに空気を吸い込むことを特徴とする、空気循環ユニットが提供される。」を、 「また、本発明によれば、天井、床および側壁で区画されたクリーンルームの下部に形成される空調領域を非層流方式で清浄に保ち、前記空調領域には機器が存在し、前記機器が存在する前記空調領域に非層流方式で給気が行われ、前記空調領域において前記機器の熱的影響による上昇流により汚染物質がクリーンルーム内において前記空調領域よりも上方に搬送されるクリーンルーム装置において、前記クリーンルーム内の床上に前記クリーンルームの側壁に沿って配置され、前記クリーンルーム内の空気を循環させる空気循環ユニットであって、前記クリーンルームの内部であって前記空調領域よりも上方の位置のみで空気を吸い込む吸気口と、前記空気循環ユニットの前面において前記空調領域と向かい合う高さまでの領域に分布して配置されて、前記空調領域に向けて横向きに給気する複数の給気口が設けられ、前記吸気口は前記空気循環ユニットの上面に設けられ、冷却器および高性能フィルタと、前記クリーンルーム内の空気を前記吸気口から吸い込み、前記冷却器および前記高性能フィルタを通過させて前記給気口に向けて送風するファンを内部に備え、前記クリーンルーム外に前記空気循環ユニットに清浄空気を供給するための給気ダクトが設けられ、前記クリーンルーム内には前記給気ダクトがなく、前記空気循環ユニットには前記給気ダクトが直接接続されず、クリーンルームの天井には、清浄空気の給気口が設けられ、清浄空気が、前記給気ダクト、前記清浄空気の給気口を経て前記クリーンルームにおいて、前記空調領域よりも上方に供給され、前記空気循環ユニットは、前記吸気口からのみで前記給気ダクトを介さずに前記吸気口の真上に位置する天井の給気口から供給される清浄空気と前記クリーンルーム内の空気を吸い込み、前記クリーンルーム内の空調領域に非層流方式で給気を行い、前記空調領域の空気を循環させることを特徴とする、空気循環ユニットが提供される。」に訂正する。 2 訂正の適否について 2-1 一群の請求項1~4に係る訂正について (1)訂正事項1 ア 訂正の目的について 訂正事項1は、クリーンルーム装置が、「非層流方式」で空調領域を清浄に保つことを限定するとともに、空調領域に関して「前記空調領域には機器が存在し、前記機器が存在する前記空調領域に非層流方式で給気が行われ、前記空調領域において前記機器の熱的影響による上昇流により汚染物質がクリーンルーム内において前記空調領域よりも上方に搬送され、」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項1に関して、本件特許の明細書の段落【0015】には、「このクリーンルーム装置1は、気流によってクリーンルーム10内の空気を混合・希釈させる非層流方式(コンベンショナル方式)である。」と記載され、段落【0016】には、「クリーンルーム10内の下部には、半導体の製造などを行うために清浄に保たれた空調領域11が形成されている。空調領域11は、床10bから所定の高さまでの領域であり、空調領域11には、半導体製造装置などの各種の機器12が存在している。」と記載され、段落【0044】には、「また、空調領域11において機器12や人間などの周りに生じた浮遊粒子aなどの汚染物質は、機器12や人間などの熱的影響によってやがて加熱され、緩やかに上昇する。その上昇流により、空調領域11に生じた浮遊粒子aなどの汚染物質は、クリーンルーム10内において空調領域11よりも上方に搬送される。」と記載されている。 したがって、訂正事項1は、本件特許の明細書の段落【0015】、【0016】、【0044】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「願書に添付した明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものである。 そして、訂正事項1は、特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的について 訂正事項2は、空気循環ユニットが、「前記空調領域に非層流方式で給気を行い、前記空調領域」の空気を循環させることを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項2に関して、本件特許の明細書の段落【0015】には、「このクリーンルーム装置1は、気流によってクリーンルーム10内の空気を混合・希釈させる非層流方式(コンベンショナル方式)である。」と記載され、段落【0016】には、「クリーンルーム10内の下部には、半導体の製造などを行うために清浄に保たれた空調領域11が形成されている。」と記載されており、クリーンルーム装置1を構成する空気循環ユニットもクリーンルーム内の空調領域に非層流方式で給気を行うことは明らかである。 したがって、訂正事項2は、本件特許の明細書の段落【0015】、【0016】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 そして、訂正事項2は、特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的について 訂正事項3は、クリーンルーム内における空調領域が「非層流方式で空調される」ことを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項3に関して、本件特許の明細書の段落【0015】には、「このクリーンルーム装置1は、気流によってクリーンルーム10内の空気を混合・希釈させる非層流方式(コンベンショナル方式)である。」と記載されており、クリーンルーム内における空調領域が非層流方式で空調されることは明らかである。 したがって、訂正事項3は、本件特許の明細書の段落【0015】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 そして、訂正事項3は、特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (4)訂正事項4 ア 訂正の目的について 訂正事項4は、クリーンルーム装置が、「非層流方式」で空調領域を清浄に保つことを限定するとともに、空調領域に関して「前記空調領域には機器が存在し、前記機器が存在する前記空調領域に非層流方式で給気が行われ、前記空調領域において前記機器の熱的影響による上昇流により汚染物質がクリーンルーム内において前記空調領域よりも上方に搬送され、」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項4に関して、本件特許の明細書の段落【0015】には、「このクリーンルーム装置1は、気流によってクリーンルーム10内の空気を混合・希釈させる非層流方式(コンベンショナル方式)である。」と記載され、段落【0016】には、「クリーンルーム10内の下部には、半導体の製造などを行うために清浄に保たれた空調領域11が形成されている。空調領域11は、床10bから所定の高さまでの領域であり、空調領域11には、半導体製造装置などの各種の機器12が存在している。」と記載され、段落【0044】には、「また、空調領域11において機器12や人間などの周りに生じた浮遊粒子aなどの汚染物質は、機器12や人間などの熱的影響によってやがて加熱され、緩やかに上昇する。その上昇流により、空調領域11に生じた浮遊粒子aなどの汚染物質は、クリーンルーム10内において空調領域11よりも上方に搬送される。」と記載されている。 したがって、訂正事項4は、本件特許の明細書の段落【0015】、【0016】、【0044】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 そして、訂正事項4は、特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (5)訂正事項5 ア 訂正の目的について 訂正事項5は、空気循環ユニットが、「前記空調領域に非層流方式で給気を行い、前記空調領域」の空気を循環させることを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項5に関して、本件特許の明細書の段落【0015】には、「このクリーンルーム装置1は、気流によってクリーンルーム10内の空気を混合・希釈させる非層流方式(コンベンショナル方式)である。」と記載され、段落【0016】には、「クリーンルーム10内の下部には、半導体の製造などを行うために清浄に保たれた空調領域11が形成されている。」と記載されており、クリーンルーム装置1を構成する空気循環ユニットもクリーンルーム内の空調領域に非層流方式で給気を行うことは明らかである。 したがって、訂正事項5は、本件特許の明細書の段落【0015】、【0016】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 そして、訂正事項5は、特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (6)訂正事項6 ア 訂正の目的について 訂正事項6は、複数の給気口が、「前記空気循環ユニットの前面において前記空調領域と向かい合う高さまでの領域に分布して配置され」ることを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項6に関して、本件特許の明細書の段落【0024】には、「一方、複数の給気口32は、空気循環ユニット30の前面において、クリーンルーム10の床10bから空調領域11とほぼ同じ高さまでの領域に全体に分布して配置されている。」と記載されている。 したがって、訂正事項6は、本件特許の明細書の段落【0024】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 そして、訂正事項6は、特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (7)一群の請求項について 訂正前の請求項1、3、4について、請求項3、4は、直接的又は間接的に請求項1を引用しているのであって、訂正事項1~3によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。また、訂正前の請求項2~4について、請求項3、4は、直接的又は間接的に請求項2を引用しているのであって、訂正事項4~6によって記載が訂正される請求項2に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~4に対応する訂正後の請求項1~4は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 2-2 一群の請求項5~7に係る訂正について (8)訂正事項7 ア 訂正の目的について 訂正事項7は、クリーンルーム装置が、「天井、床および側壁で区画された」クリーンルームの下部に形成される空調領域を「非層流方式」で清浄に保つことを限定するとともに、「前記空調領域には機器が存在し、前記機器が存在する前記空調領域に非層流方式で給気が行われ、前記空調領域において前記機器の熱的影響による上昇流により汚染物質がクリーンルーム内において前記空調領域よりも上方に搬送される」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項7に関して、本件特許の明細書の段落【0015】には、「このクリーンルーム装置1は、気流によってクリーンルーム10内の空気を混合・希釈させる非層流方式(コンベンショナル方式)である。」と記載され、段落【0016】には、「クリーンルーム10の内部は、天井10a、床(床スラブ)10b及び側壁10cで区画された閉鎖空間になっている。かかるクリーンルーム10は、例えば半導体の製造分野などにおいて広く利用される。クリーンルーム10内の下部には、半導体の製造などを行うために清浄に保たれた空調領域11が形成されている。空調領域11は、床10bから所定の高さまでの領域であり、空調領域11には、半導体製造装置などの各種の機器12が存在している。」と記載され、段落【0044】には、「また、空調領域11において機器12や人間などの周りに生じた浮遊粒子aなどの汚染物質は、機器12や人間などの熱的影響によってやがて加熱され、緩やかに上昇する。その上昇流により、空調領域11に生じた浮遊粒子aなどの汚染物質は、クリーンルーム10内において空調領域11よりも上方に搬送される。」と記載されている。 したがって、訂正事項7は、本件特許の明細書の段落【0015】、【0016】、【0044】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「願書に添付した明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものである。 そして、訂正事項7は、特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (9)訂正事項8 ア 訂正の目的について 訂正事項8は、空気循環ユニットが、「前記吸気口の真上に位置する天井の給気口から供給される清浄空気と前記クリーンルーム内の空気を吸い込み、前記クリーンルーム内の前記空調領域に非層流方式で給気を行い、前記空調領域の空気を循環させる」ことを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項8に関して、本件特許の明細書の段落【0015】には、「このクリーンルーム装置1は、気流によってクリーンルーム10内の空気を混合・希釈させる非層流方式(コンベンショナル方式)である。」と記載され、段落【0018】には、「クリーンルーム10の天井10aには、清浄空気CAの給気口20が設けられている。清浄空気CAの給気口20は、後述する空気循環ユニット30の真上に位置している。」と記載され、段落【0039】には、「すなわち、空気循環ユニット30に設けられたファン37の動力により、クリーンルーム10内における空調領域11よりも上方の空気が、給気口20から空気循環ユニット30の真上位置に供給された清浄空気CAと一緒に、吸気口31から空気循環ユニット30の内部に吸い込まれる。」と記載されている。 したがって、訂正事項8は、本件特許の明細書の段落【0015】、【0018】、【0039】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 そして、訂正事項8は、特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項8は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (10)一群の請求項について 訂正前の請求項5~7について、請求項6、7は、直接的又は間接的に請求項5を引用しているのであって、訂正事項7、8によって記載が訂正される請求項5に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項5~7に対応する訂正後の請求項5~7は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 2-3 明細書の訂正について (11)訂正事項9 ア 訂正の目的について 訂正事項9は、上記訂正事項1~6に係る訂正にともない、特許請求の範囲の記載と願書に添付した明細書との整合を図るため、願書に添付した明細書の段落【0009】の記載を訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項9は、上記訂正事項1~6と同様に、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項8は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 ウ 一群の請求項との関係について 訂正事項9によって訂正された明細書の段落【0009】は、訂正後の請求項1に対応する記載になっている。 そして、上記2-1で述べたように、訂正前の請求項1~4に対応する訂正後の請求項1~4は、特許法第120条の5第4項に規定する「一群の請求項」である。したがって、訂正後の請求項1~4が、訂正事項9による明細書の訂正と関係する請求項である。 よって、訂正事項9は、明細書の訂正と関係する請求項を含む一群の請求項の全てについて行うものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項に適合するものである。 (12)訂正事項10 ア 訂正の目的について 訂正事項10は、上記訂正事項7、8に係る訂正にともない、特許請求の範囲の記載と願書に添付した明細書との整合を図るため、願書に添付した明細書の段落【0011】の記載を訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項10は、上記訂正事項7、8と同様に、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項10は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 ウ 一群の請求項との関係について 訂正事項10によって訂正された明細書の段落【0011】は、訂正後の請求項5に対応する記載になっている。 そして、上記2-2で述べたように、訂正前の請求項5~7に対応する訂正後の請求項5~7は、特許法第120条の5第4項に規定する「一群の請求項」である。したがって、訂正後の請求項5~7が、訂正事項10による明細書の訂正と関係する請求項である。 よって、訂正事項10は、明細書の訂正と関係する請求項を含む一群の請求項の全てについて行うものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項に適合するものである。 3 小活 したがって、本件訂正の訂正事項1~10は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項~第6項に適合するから、特許請求の範囲及び明細書を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲、訂正明細書のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕、〔5-7〕について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 本件訂正により訂正された請求項1~7に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明7」ということがある。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 天井、床および側壁で区画されたクリーンルームの前記床から所定の高さまで形成される空調領域を非層流方式で清浄に保つクリーンルーム装置であって、 前記空調領域には機器が存在し、前記機器が存在する前記空調領域に非層流方式で給気が行われ、前記空調領域において前記機器の熱的影響による上昇流により汚染物質がクリーンルーム内において前記空調領域よりも上方に搬送され、 前記クリーンルーム内の前記空調領域に非層流方式で給気を行い、前記空調領域の空気を循環させる空気循環ユニットを備え、 前記空気循環ユニットの高さは前記空調領域の高さよりも高く、前記空気循環ユニットの下部は給気口を有し且つ前記空調領域内に位置するように形成され、前記空気循環ユニットの上部は吸気口を有し且つ前記クリーンルーム内において非層流方式で空調される前記空調領域よりも上方の空間に突出するように形成され、前記吸気口は前記空気循環ユニットの上面に設けられ、 前記空気循環ユニットの内部には、冷却器および高性能フィルタと、前記クリーンルーム内の空気を前記吸気口から吸い込み、前記冷却器および前記高性能フィルタを通過させて前記給気口に向けて送風するファンを備え、 前記空気循環ユニットは、前記吸気口が、前記クリーンルームの内部であって前記空調領域よりも上方の位置のみで空気を吸い込み、前記複数の給気口が、前記空気循環ユニットの前面において前記空調領域と向かい合う高さまでの領域に分布して配置されて、前記空調領域に向けて横向きに給気するように前記クリーンルーム内の前記側壁に沿って前記床上に配置され、 前記クリーンルーム外に前記空気循環ユニットに清浄空気を供給するための給気ダクトが設けられ、前記クリーンルーム内には前記給気ダクトがなく、前記空気循環ユニットには前記給気ダクトが直接接続されず、 クリーンルームの天井には、清浄空気の給気口が設けられ、 清浄空気が、前記給気ダクト、前記清浄空気の給気口を経て前記クリーンルームにおいて、前記空調領域よりも上方に供給され、前記空気循環ユニットは、前記吸気口からのみで前記給気ダクトを介さずに空気を吸い込むことを特徴とする、クリーンルーム装置。 【請求項2】 天井、床および側壁で区画されたクリーンルームの下部に形成される空調領域を非層流方式で清浄に保つクリーンルーム装置であって、 前記空調領域には機器が存在し、前記機器が存在する前記空調領域に非層流方式で給気が行われ、前記空調領域において前記機器の熱的影響による上昇気流により汚染物質がクリーンルーム内において前記空調領域よりも上方に搬送され、 前記クリーンルーム内の前記空調領域に非層流方式で給気を行い、前記空調領域の空気を循環させる空気循環ユニットを備え、 前記空気循環ユニットの内部には、冷却器および高性能フィルタと、前記クリーンルーム内の空気を吸気口から吸い込み、前記冷却器および前記高性能フィルタを通過させて給気口に向けて送風するファンを備え、 前記空気循環ユニットの前面において前記空調領域と向かい合う高さまでの領域に分布して配置されて、横向きに給気する複数の前記給気口が設けられ、 前記空気循環ユニットの上面に前記空調領域よりも上方の位置のみで空気を吸い込む前記吸気口が設けられ、 前記空気循環ユニットは前記クリーンルーム内の前記側壁に沿って前記床上に配置され、 前記クリーンルームの床から所定の高さまで空調領域が形成され、 前記クリーンルーム外に前記空気循環ユニットに清浄空気を供給するための給気ダクトが設けられ、前記クリーンルーム内には前記給気ダクトがなく、前記空気循環ユニットには前記給気ダクトが直接接続されず、 クリーンルームの天井には、清浄空気の給気口が設けられ、 清浄空気が、前記給気ダクト、前記清浄空気の給気口を経て前記クリーンルームにおいて、前記空調領域よりも上方に供給され、前記空気循環ユニットは、前記吸気口からのみで前記給気ダクトを介さずに空気を吸い込むことを特徴とする、クリーンルーム装置。 【請求項3】 前記複数の給気口には、前記空調領域に向けて横向きに給気される空気に対して旋回成分を与えるフィンが設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載のクリーンルーム装置。 【請求項4】 前記冷却器および高性能フィルタは、前記複数の給気口の内側全体を覆う位置に配置されていることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載のクリーンルーム装置。 【請求項5】 天井、床および側壁で区画されたクリーンルームの下部に形成される空調領域を非層流方式で清浄に保ち、前記空調領域には機器が存在し、前記機器が存在する前記空調領域に非層流方式で給気が行われ、前記空調領域において前記機器の熱的影響による上昇流により汚染物質がクリーンルーム内において前記空調領域よりも上方に搬送されるクリーンルーム装置において、前記クリーンルーム内の床上に前記クリーンルームの側壁に沿って配置され、前記クリーンルーム内の空気を循環させる空気循環ユニットであって、 前記クリーンルームの内部であって前記空調領域よりも上方の位置のみで空気を吸い込む吸気口と、前記空気循環ユニットの前面において前記空調領域と向かい合う高さまでの領域に分布して配置されて、前記空調領域に向けて横向きに給気する複数の給気口が設けられ、前記吸気口は前記空気循環ユニットの上面に設けられ、 冷却器および高性能フィルタと、前記クリーンルーム内の空気を前記吸気口から吸い込み、前記冷却器および前記高性能フィルタを通過させて前記給気口に向けて送風するファンを内部に備え、 前記クリーンルーム外に前記空気循環ユニットに清浄空気を供給するための給気ダクトが設けられ、前記クリーンルーム内には前記給気ダクトがなく、前記空気循環ユニットには前記給気ダクトが直接接続されず、 クリーンルームの天井には、清浄空気の給気口が設けられ、 清浄空気が、前記給気ダクト、前記清浄空気の給気口を経て前記クリーンルームにおいて、前記空鯛領域よりも上方に供給され、前記空気循環ユニットは、前記吸気口からのみで前記給気ダクトを介さずに前記吸気口の真上に位置する天井の給気口から供給される清浄空気と前記クリーンルーム内の空気を吸い込み、前記クリーンルーム内の前記空調領域に非層流方式で給気を行い、前記空調領域の空気を循環させることを特徴とする、空気循環ユニット。 【請求項6】 前記複数の給気口には、前記空調領域に向けて横向きに給気される空気に対して旋回成分を与えるフィンが設けられていることを特徴とする、請求項5に記載の空気循環ユニット。 【請求項7】 前記冷却器および高性能フィルタは、前記複数の給気口の内側全体を覆う位置に配置されていることを特徴とする、請求項5または6に記載の空気循環ユニット。」 第4 取消理由通知に記載した取消理由について 当審が令和5年2月3日付けの取消理由通知に記載した取消理由は、次のとおりである。なお、取消理由通知に記載した取消理由は、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由と同様のものである。 1 (新規事項)請求項2~4に係る特許は、令和3年12月6日付け手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)が願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものである。 2 (明確性)請求項2~4に係る特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、不備があるため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 3 (進歩性)本件特許の請求項1~7に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の請求項1~7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 記 甲第1号証:特開2000-291989号公報 甲第2号証:特開平8-105641号公報 甲第3号証:特許5361140号公報 甲第4号証:実願昭60-131207号(実開昭62-38533号公 報)のマイクロフィルム (以下、甲第1号証~甲第4号証を「甲1」~「甲4」という。) ・理由1(新規事項)について 本件補正により補正された請求項2の「前記空気循環ユニットの前面において床から所定高さまでの領域に分布して配置されて、横向きに給気する複数の前記給気口が設けられ、」との記載は、当初明細書等に記載したものではない。 請求項2を直接的又は間接的に引用する請求項3~4も同様である。 ・理由2(明確性)について 請求項2においては、給気口は、「所定高さ」までの領域に配置され、空調領域は、「所定の高さ」まで形成されることとなり、空調領域に対して給気口をどのように配置するのかが明確でない。さらに、「所定の高さ」と「所定高さ」が同じ高さを意味するのか否かについても明確でない。 請求項2を直接的又は間接的に引用する請求項3~4も同様である。 ・理由3(進歩性)について (1)本件発明1、3、5、6は、甲1発明及び甲2、3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)本件発明2は、甲1発明及び甲2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)本件発明4、7は、甲1発明及び甲2~4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第5 当審の判断 1 特許法第17条の2第3項(新規事項)について 訂正事項6に係る訂正により、特許請求の範囲の請求項2に記載された「前記空気循環ユニットの前面において床から所定高さまでの領域に分布して配置されて、横向きに給気する複数の前記給気口が設けられ、」は、「前記空気循環ユニットの前面において前記空調領域と向かい合う高さまでの領域に分布して配置されて、横向きに給気する複数の前記給気口が設けられ、」に訂正された。 そして、訂正事項6の「前記空気循環ユニットの前面において前記空調領域と向かい合う高さまでの領域に分布して配置されて、横向きに給気する複数の前記給気口が設けられ」る点は、当初明細書等の段落【0024】に記載されているから、本件特許の請求項2に係る発明は、当初明細書等に記載した範囲内のものとなった。 よって、請求項2に係る発明、及び請求項2を直接的又は間接的に引用する請求項3~4に係る発明は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。 2 特許法第36条第6項第2号(明確性)について 訂正事項6に係る訂正により、「前記空気循環ユニットの前面において前記空調領域と向かい合う高さまでの領域に分布して配置されて、横向きに給気する複数の前記給気口が設けられ、」と特定されたため、「所定の高さ」が「前記空調領域と向かい合う高さ」であること、及び、給気口を空調領域に対してどのように配置するのかが明確となった。 よって、請求項2に係る発明、及び請求項2を直接的又は間接的に引用する請求項3~4に係る発明は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たすものである。 3 特許法第29条第2項(進歩性)について (1)甲各号証の記載 ア 甲1 甲1には、以下の事項が記載されている(下線は、当審にて付したものである。また、「・・・」は、記載の省略を意味する。)。 (ア)「【0005】本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、暖房時や温風を吹き出す場合に小風量、低速で給気しても、室に対して好適な空調を実施することができる空調設備、並びに空調方法を提供して前記問題の解決を図ることをその目的としていてる。」 (イ)「【0015】請求項5の空調設備は、外気調和機が実質的に外気の湿度の調整を行うように構成されると共に、前記流路中に高性能フィルタを設けたことを特徴としている。かかる構成によって、顕熱交換器は、温度調整のみに専従することができるから高い精度で給気の温湿度制御が行える。そして高性能フィルタを有しているので、クリーンルームに適した設備を容易に構成できる。 ・・・ 【0017】 【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は、本発明を適用した室としての高さ13.4mの高天井、大空間の機械組立工場の室Rを平面からみた様子を示し、図2はその縦断面を概略的に示している。 【0018】室Rは、その3つの側面が壁体1、2、3で囲まれ、残りの側面は製品搬入出口4を形成している。壁体1、2、3は基本的に同一の構成を有し、本実施の形態では間仕り切壁5が建て込まれて壁体の内壁を構成している。なおこの間仕切り壁5には公知のプラスターボード2枚貼の壁パネルを用いることができる。そして壁体1、2、3のいずれも図2に示したように、内壁を構成する間仕切り壁5と外壁6とによって、その内部に流路としての調和空気の循環路7が形成されている。なおこの循環路7の上面は後述のダクト16接続のための開口を残してパネル材7aで塞がれている。また間仕切り壁5は柱8と面一に建て込まれ、室Rのデッドスペースを有効利用している。 【0019】室Rの外部、例えば上部には、外気調和機11が設置されている。この外気調和機11は、冷却コイル12、加熱コイル13、加湿器14、送風機15を備えており、導入した外気OAに対して、実質的に湿度の調整を行うように構成されている。そしてそのようにして湿度調整された空気は、ダクト16を通じて前記循環路7に供給されるようになっている。なおこの外気調和機11には、起動運転時のエネルギ効率を向上させるため、天井部に設けた取り入れ口17から室Rの還気が適宜導入されるようになっている。また、例えば天井部における他の位置には、外気処理風量に相当する量を排気するための排気口18が設けられている。 【0020】本実施の形態において室Rの空調対象域Sの高さHは5mに設定されており、したがって、給気口21は、高さHより低い位置で床面Fの近傍であって、給気口21の上端が3.2mとなる位置に設定されている。また本実施の形態では、図1に示すように、対向する壁体1、3にあっては、1スパン、すなわち柱8、8の間につき、1つの単位間仕切り壁5が配置され、かつ1スパンおきに交互に循環路7を形成するように構成されている。すなわち、壁体1においては、壁体1b、1dにのみ循環路7と給気口21とが形成され、壁体3においては壁体3c、3eにのみ循環路7と給気口21とが形成されている。」 (ウ)「【0024】循環路7を有する壁体、例えば壁体1b、1d、2a~2d、3c、3eの内側の各間仕り切壁5における所定の高さ、すなわち空調対象域Sよりも高い位置には、室Rからの還気RAを取り入れて循環路7に導入するための還気取り入れ口31が形成されている。この還気取り入れ口31には、循環ファンとして有圧扇32が設けられており、吸い込んだ還気RAを循環路7内に送風するようになっている。さらにこの有圧扇32には逆流防止のためのチャッキダンパ(図示せず)が押し込み側、すなわち循環路7側に取り付けられている。 【0025】本実施の形態では、空調対象域Sの温度成層が崩れることを避けるべく、前記有圧扇32は、高さ10mの位置に取り付けられており、また風速3.8m/sで還気RAを吸い込むように設定されている。なお有圧扇32については、冷房負荷減少時にその台数制御を行いつつ、温度成層の高さを一定に維持できるようにその計裝システムを構成すれば、空気搬送動力を低減でき、さらなる省エネルギ効果が期待できる。 【0026】そして各循環路7における給気口21の上流側であって、前記還気取り入れ口31の下流側には、顕熱交換器41が配置されている。この顕熱交換器41は、室R内の温度と空気の湿度を検知して結露を生じないよう冷水流量を二方弁で制御する公知のもので、例えば高砂熱学工業株式会社の製品「ドライコイル(登録商標)」が好適に利用できる。前記したように外気調和機11は送風機15の他に冷却コイル12、加熱コイル13、加湿器14を備えているが、減湿処理は、冷却コイル12が担い、加湿は加熱コイル13+加湿器14が担っており、室R内を所定温度に制御することは、この顕熱交換器41によって行われている。 【0027】本実施の形態にかかる空調設備は以上のように構成されており、例えば室Rの冷房運転を実施する場合には、図4に示したように、給気口21のモータダンパ24の羽根B1~B16は、例えば全て水平位置に制御されて、すなわち吹き出し方向が水平となるように制御されて全て開の状態にされる。そして外気調和機11によって水分量が制御された処理済みの外気は、循環路7へと送られ、室Rからの還気RAと循環路7内で混合され、その後顕熱交換器41で所定の温度に制御された後、給気口21から室Rに給気される。」 (エ)「【0031】本発明をクリーンルームに応用する場合には、例えば顕熱交換器41の下流側に高性能フィルタ42、例えばHEPAフィルタやULPAフィルタなどを取り付ける。この際の載置の方法やシールの方法は公知の方法を用いることができるのでその具体的な説明は省略する。そのように高性能フィルタを介装させると、給気口21から吹き出される給気SAは、冷房時には清浄空気の水平層流となって室R内をクリーン化する。一方暖房時には床Fから天井面に向かって清浄空気が上昇することになるが、床面を防塵塗装するなどの対策を講じることで、塵埃の巻き上げ現象を防止できる。したがって、クリーンルームにおける暖房運転であっても支障がない。」 (オ)「【図2】 [図:0001403659000001.jpg] 」 (カ)段落【0015】には、「高性能フィルタを有しているので、クリーンルームに適した設備を容易に構成できる」ことが記載されており、段落【0031】には、「クリーンルームに応用する場合には、例えば顕熱交換器41の下流側に高性能フィルタ42」「を取り付ける」ことが記載されているから、図2には、顕熱交換器41の下流側に高性能フィルタ42を取り付けたクリーンルームが示されているといえる。 そして、図2のクリーンルームは、天井、床Fおよび外壁6により区画されていることが把握でき、段落【0017】の「高さ13.4mの高天井、大空間の機械組立工場の室R」との記載、段落【0020】の「室Rの空調対象域Sの高さHは5mに設定されており」との記載を踏まえると、甲1には、天井、床および側壁で区画され、高さ13.4mの高天井のクリーンルームの前記床から5mに設定された空調対象域Sを清浄空気によりクリーン化する空調設備が記載されているといえる。 (キ)段落【0018】には、「内壁を構成する間仕切り壁5と外壁6とによって、その内部に流路としての調和空気の循環路7が形成され」、「循環路7の上面は」「パネル材7aで塞がれている」ことが記載されており、この間仕切り壁5と外壁6と上面がパネル材7aで塞がれた構造を有し、内部に循環路7が形成されたものを、循環ユニットということができる。 以上を踏まえると、図2には、クリーンルーム内の空調対象域Sに給気を行い、空調対象域Sの空気を循環させる循環ユニットが示されているといえる。 (ク)図2には、循環ユニットを構成する間仕切り壁5の高さが、空調対象域Sの高さよりも高いことが示されている。また、段落【0020】には、「空調対象域Sの高さHは5mに設定されており、したがって、給気口21は、高さHより低い位置で床面Fの近傍であって、給気口21の上端が3.2mとなる位置に設定されている。」と記載され、段落【0024】には、「各間仕り切壁5における所定の高さ、すなわち空調対象域Sよりも高い位置には、室Rからの還気RAを取り入れて循環路7に導入するための還気取り入れ口31が形成されている。この還気取り入れ口31には、循環ファンとして有圧扇32が設けられており、吸い込んだ還気RAを循環路7内に送風するようになっている。」と記載されている。 よって、甲1には、循環ユニットの高さは空調対象域Sよりも高く、循環ユニットの下部は給気口21を有し且つ空調対象域S内に位置するように形成され、循環ユニットの上部は還気取り入れ口31を有し且つクリーンルーム内において空調対象域Sよりも上方の空間に突出するように形成され、還気取り入れ口31は、循環ユニットを構成する間仕り切壁5における所定の高さに設けられることが記載されているといえる。 (ケ)段落【0024】には、「空調対象域Sよりも高い位置には、室Rからの還気RAを取り入れて循環路7に導入するための還気取り入れ口31が形成されている。この還気取り入れ口31には、循環ファンとして有圧扇32が設けられており、吸い込んだ還気RAを循環路7内に送風するようになっている。」と記載され、段落【0027】には、「外気調和機11によって水分量が制御された処理済みの外気は、循環路7へと送られ、室Rからの還気RAと循環路7内で混合され、その後顕熱交換器41で所定の温度に制御された後、給気口21から室Rに給気される。」と記載され、段落【0031】には、「本発明をクリーンルームに応用する場合には、例えば顕熱交換器41の下流側に高性能フィルタ42、例えばHEPAフィルタやULPAフィルタなどを取り付ける」と記載されている。 よって、甲1には、循環ユニットの内部には、顕熱交換器41および高性能フィルタ42と、クリーンルーム内の空気を前記還気取り入れ口31から吸い込み、顕熱交換器41および高性能フィルタ42を通過させて前記給気口21に向けて送風する有圧扇32を備えることが記載されているといえる。 (コ)段落【0024】には、「各間仕り切壁5における所定の高さ、すなわち空調対象域Sよりも高い位置には、室Rからの還気RAを取り入れて循環路7に導入するための還気取り入れ口31が形成されている。」と記載されているから、還気取り入れ口31が空気を吸い込むのは、空調対象域Sよりも上方の位置のみといえる。 また、段落【0020】には、「空調対象域Sの高さHは5mに設定されており、したがって、給気口21は、高さHより低い位置で床面Fの近傍であって、給気口21の上端が3.2mとなる位置に設定されている。・・・壁体1においては、壁体1b、1dにのみ循環路7と給気口21とが形成され」と記載され、図2には、給気口21が、空調対象域Sに向けて横向きに給気するように前記クリーンルーム内の外壁6に沿って床上に配置される点が示されている。 よって、甲1には、循環ユニットは、還気取り入れ口31がクリーンルームの内部であって空調対象域Sよりも上方の位置のみで空気を吸い込み、複数の給気口21が、循環ユニットを構成する間仕り切壁5に配置され、給気口21の上端が3.2mとなる位置に設定されて、空調対象域Sに向けて横向きに給気するようにクリーンルーム内の外壁6に沿って床上に配置される点が記載されているといえる。 (サ)段落【0018】には、「循環路7の上面は後述のダクト16接続のための開口を残してパネル材7aで塞がれている」ことが記載されており、段落【0019】には、「室Rの外部、例えば上部には、外気調和機11が設置されている。この外気調和機11は、冷却コイル12、加熱コイル13、加湿器14、送風機15を備えており、導入した外気OAに対して、実質的に湿度の調整を行うように構成されている。そしてそのようにして湿度調整された空気は、ダクト16を通じて前記循環路7に供給されるようになっている。」と記載されている。 よって、甲1には、クリーンルーム外に湿度調整を行う外気調和機11を設置し、循環ユニットに湿度調整された空気を供給するためのダクト16が設けられ、循環ユニットを構成するパネル材7aにダクト16が接続され、湿度調整された空気が、ダクト16を通じて循環路7に供給される、空調設備が記載されているといえる。 以上の事項を総合すると、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「天井、床および側壁で区画され、高さ13.4mの高天井のクリーンルームの前記床から5mに設定された空調対象域Sを清浄空気によりクリーン化する空調設備であって、 クリーンルーム内の空調対象域Sに給気を行い、空調対象域Sの空気を循環させる循環ユニットを備え、 循環ユニットの高さは空調対象域Sよりも高く、循環ユニットの下部は給気口21を有し且つ空調対象域S内に位置するように形成され、循環ユニットの上部は還気取り入れ口31を有し且つクリーンルーム内において空調対象域Sよりも上方の空間に突出するように形成され、還気取り入れ口31は、循環ユニットを構成する間仕り切壁5における所定の高さに設けられ、 循環ユニットの内部には、顕熱交換器41および高性能フィルタ42と、クリーンルーム内の空気を前記還気取り入れ口31から吸い込み、顕熱交換器41および高性能フィルタ42を通過させて前記給気口21に向けて送風する有圧扇32を備え、 循環ユニットは、還気取り入れ口31がクリーンルームの内部であって空調対象域Sよりも上方の位置のみで空気を吸い込み、複数の給気口21が、循環ユニットを構成する間仕り切壁5に配置され、給気口21の上端が3.2mとなる位置に設定されて、空調対象域Sに向けて横向きに給気するようにクリーンルーム内の外壁6に沿って床上に配置され、 クリーンルーム外に湿度調整を行う外気調和機11を設置し、循環ユニットに湿度調整された空気を供給するためのダクト16が設けられ、循環ユニットを構成するパネル材7aにダクト16が接続され、湿度調整された空気が、ダクト16を通じて循環路7に供給される、空調設備。」 イ 甲2 甲2には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0006】本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、周縁雰囲気が例えばクリーンルームのような清浄雰囲気ではないエリアであっても、前記した要清浄雰囲気部品等を、例えば前記搬送システムを用いて搬送することができるクリーンな搬送通路を容易に形成できるクリーン搬送通路を提供して、叙上の問題の解決を図ることを目的とするものである。」 (イ)「【0022】 【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明すれば、まず図1、図2、図3は夫々本実施例にかかるクリーン搬送通路に用いたファンフィルタユニット1の概観、平面、縦断面を示しており、このファンフィルタユニット1は、下面の開口部を吹出し口2とする略直方体のアルミ製のケーシング3内下部に、前記吹出し口2を覆うように水平方向に収納されたULPAフィルタ4を有している。 【0023】ケーシング3の上部には天板5が設けられており、この天板5のほぼ中央部には、円形に開口された吸込口6が形成されている。またケーシング3内の上部空間内には、2つの吐出口11、12を有する多翼型のファン13が設けられており、このファン13のファンランナ14を駆動させるファンモータ15は、前記吸込口6の中心に位置するように、4つの支持片16によって天板5に支持されている。このファンモータ15は、例えばインバータによる周波数制御によってその出力が制御されて、ファン13の回転速度が無段階で調節自在である。 【0024】ケーシング3の内部には、さらに前記ファン13を囲むファンケーシング21が設けられており、さらにこのファンケーシング21の底部と前出ULPAフィルタ4との間の空間には、気流の流路を形成するガイド板22が水平に設けられている。なおこのガイド板22、及びケーシング3内の側壁の表面には、吸音材23が設けられている。そして前記流路の吹出し側には、拡散板24が設けられている。 【0025】前記構成にかかるファンフィルタユニット1は、図4、図5に示したように、クリーン搬送通路31における収納空間32内に設置される。詳述すれば、このクリーン搬送通路31は、上部に収納空間32、下部に搬送空間33が形成されている。」 (ウ)「【0029】前記天板34には、給気ダクト41と還気ダクト42が設けられ、給気ダクト41は、別設の中央空調機(図示せず)からの空調空気を収納空間32内に給気し、還気ダクト41は、収納空間32からの還気を、前記中央空調機へと排気させる。なおこれら給気、排気は、前記中央空調機のファンが担っている。給気ダクト41から給気される空調空気は、ファンフィルタユニット1が発生する熱負荷、搬送空間33内に位置する後述の搬送機器の発生する熱負荷、及び周囲環境から、天板34等のパネルを通して入ってくる熱負荷等に見合うように空気調和され、所定温度、所定湿度に保たれている。なお前記中央空調機は、より小型化し、所定の台数をクリーン搬送通路が納まるエリアに、適宜の間隔で設置してもよい。」 (エ) 「【0039】そして搬送空間33自体の雰囲気については、アイリッドパネル56によって垂直層流が確保されているので、常にダウン・フローによる清浄雰囲気が確保され、また静圧も周囲より高くなって周囲環境からは全く隔離されているので、搬送対象物であるキャリアCや、搬送機器54にコンタミネーションが発生することはない。」 「【図4】 [図:0001403659000002.jpg] 」 (オ)図4から、クリーン搬送通路31の収納空間32内には、吸気ダクト41がなく、ファンフィルタユニット1には、前記吸気ダクト41が直接接続されていないことが把握できる。 以上を総合すると、甲2には、次の事項(以下「甲2に記載された事項」という。)が記載されていると認められる。 「上部に収納空間32、下部に搬送空間33が形成されたクリーン搬送通路31であって、 ファンフィルタユニット1のケーシング3の上部に吸込口6が設けられ、ケーシング3内下部にはULPAフィルタ4を有しており、 収納空間32内には、吸気ダクト41がなく、ファンフィルタユニット1には、前記吸気ダクト41が直接接続されず、 搬送空間33は、清浄化雰囲気が確保され、 天板34には、給気ダクト41が設けられ、給気ダクト41は、中央空調機からの空調空気を収納空間32内に給気するクリーン搬送通路31。」 ウ 甲3 甲3には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0007】 本発明の目的は、少ない換気回数で作業域の清浄度を確保し、かつ作業域温度差を小さくできる非層流方式のクリーンルーム装置を提供することにある。」 (イ)「【0012】 クリーンルーム10の内部は、天井10a、床10b及び側壁10cで区画された閉鎖空間になっている。かかるクリーンルーム10は、例えば半導体の製造分野などにおいて広く利用される。クリーンルーム10内の下部には、半導体の製造などを行うための作業域11が形成されている。作業域11は、床から2m程度の高さまでの領域であり、作業域11には、各種作業を行うために人間12が存在している。本発明においては、この作業域11における空気中の浮遊粒子aが所定の濃度以下の清浄度となるように管理されている。」 (ウ)「【0029】 一方、クリーンルーム10内の作業域11には、発熱体としての人間11などが存在しているので、作業域11内に供給されて人間11やその他の発熱機器類などに熱的に接触した清浄空気SAは、やがて加熱され、緩やかに上昇する。その上昇流により、作業域11において人間11の周りに生じた浮遊粒子aなどの汚染物質をクリーンルーム10内において作業域11の上方に搬送することができる。」 エ 甲4 甲4には、以下の事項が記載されている。 「又、クリーンユニット(10)は上記室外機(7)に配管接続された蒸発器(9)と、この蒸発器(9)の風下側に設けられた水はね防止板(9A)と、例えば0.5ミクロン以上の塵埃又は細菌を濾過するヘパフィルタ(12)と、蒸発器(11)とヘパフィルタ(12)の下面を覆う露受皿(13)と、蒸発器(9)、ヘパフィルタ(12)及び水はね防止板(9A)を覆い取付ボルト(14A)、(14A)にて天井ダクト(5)に固定された箱体(14)とから構成され、この箱体(14)には吸込口(15)、及び吹出口(16)が夫々形成されている。」(明細書第6頁第4~13行) (2)対比・判断 ア 本件発明1について (ア)甲1発明の「空調対象域S」、「空調設備」は、それぞれ、本件発明1の「空調領域」、「クリーンルーム装置」に相当する。そして、甲1発明には、空調領域を「非層流方式で」清浄に保つことが明示されていない。 よって、甲1発明の「天井、床および側壁で区画され、高さ13.4mの高天井のクリーンルームの前記床から5mに設定された空調対象域Sを清浄空気によりクリーン化する空調設備」は、本件発明1の「天井、床および側壁で区画されたクリーンルームの前記床から所定の高さまで形成される空調領域を」「清浄に保つクリーンルーム装置」に相当する。 (イ)甲1発明の「循環ユニット」は、本件発明1の「空気循環ユニット」に相当する。そして、甲1発明には、循環ユニットは空調対象域Sに「非層流方式で」給気を行う点が明示されていない。 よって、甲1発明の「クリーンルーム内の空調対象域Sに給気を行い、空調対象域Sの空気を循環させる循環ユニット」は、本件発明1の「前記クリーンルーム内の前記空調領域に」「給気を行い、前記空調領域の空気を循環させる空気循環ユニット」に相当する。 (ウ)甲1発明の「給気口21」、「還気取り入れ口31」は、それぞれ、本件発明1の「給気口」、「吸気口」に相当する。そして、甲1発明には、「非層流方式で」空調される点が明示されていない。 よって、甲1発明の「循環ユニットの高さは空調対象域Sよりも高く、循環ユニットの下部は給気口21を有し且つ空調対象域S内に位置するように形成され、循環ユニットの上部は還気取り入れ口31を有し且つクリーンルーム内において空調対象域Sよりも上方の空間に突出するように形成され」る点は、本件発明1の「前記空気循環ユニットの高さは前記空調領域の高さよりも高く、前記空気循環ユニットの下部は給気口を有し且つ前記空調領域内に位置するように形成され、前記空気循環ユニットの上部は吸気口を有し且つ前記クリーンルーム内において」「空調される前記空調領域よりも上方の空間に突出するように形成され」る点に相当する。 (エ)甲1発明の「顕熱交換器41」、「高性能フィルタ42」、「有圧扇32」は、それぞれ、本件発明1の「冷却器」、「高性能フィルタ」、「ファン」に相当する。 よって、甲1発明の「循環ユニットの内部には、顕熱交換器41および高性能フィルタ42と、クリーンルーム内の空気を前記還気取り入れ口31から吸い込み、顕熱交換器41および高性能フィルタ42を通過させて前記給気口21に向けて送風する有圧扇32を備え」る点は、本件発明1の「前記空気循環ユニットの内部には、冷却器および高性能フィルタと、前記クリーンルーム内の空気を前記吸気口から吸い込み、前記冷却器および前記高性能フィルタを通過させて前記給気口に向けて送風するファンを備え」る点に相当する。 (オ)甲1発明の「給気口21」は、上端が3.2mとなる位置に設定されており、床から5mに設定された空調対象域Sと向かい合う高さまでの領域に分布して配置されたものではない。 よって、甲1発明の「循環ユニットは、還気取り入れ口31がクリーンルームの内部であって空調対象域Sよりも上方の位置のみで空気を吸い込み、複数の給気口21が、循環ユニットを構成する間仕り切壁5に配置され、給気口21の上端が3.2mとなる位置に設定されて、空調対象域Sに向けて横向きに給気するようにクリーンルーム内の外壁6に沿って床上に配置され」る点と、 本件発明1の「前記空気循環ユニットは、前記吸気口が、前記クリーンルームの内部であって前記空調領域よりも上方の位置のみで空気を吸い込み、前記複数の給気口が、前記空気循環ユニットの前面において前記空調領域と向かい合う高さまでの領域に分布して配置されて、前記空調領域に向けて横向きに給気するように前記クリーンルーム内の前記側壁に沿って前記床上に配置され」る点とは、 「前記空気循環ユニットは、前記吸気口が、前記クリーンルームの内部であって前記空調領域よりも上方の位置のみで空気を吸い込み、前記複数の給気口が、前記空気循環ユニットの前面において配置されて、前記空調領域に向けて横向きに給気するように前記クリーンルーム内の前記側壁に沿って前記床上に配置され」るという限りにおいて一致する。 そうすると、本件発明1と甲1発明とは、 「天井、床および側壁で区画されたクリーンルームの前記床から所定の高さまで形成される空調領域を清浄に保つクリーンルーム装置であって、 前記クリーンルーム内の前記空調領域に給気を行い、前記空調領域の空気を循環させる空気循環ユニットを備え、 前記空気循環ユニットの高さは前記空調領域の高さよりも高く、前記空気循環ユニットの下部は給気口を有し且つ前記空調領域内に位置するように形成され、前記空気循環ユニットの上部は吸気口を有し且つ前記クリーンルーム内において空調される前記空調領域よりも上方の空間に突出するように形成され、 前記空気循環ユニットの内部には、冷却器および高性能フィルタと、前記クリーンルーム内の空気を前記吸気口から吸い込み、前記冷却器および前記高性能フィルタを通過させて前記給気口に向けて送風するファンを備え、 前記空気循環ユニットは、前記吸気口が、前記クリーンルームの内部であって前記空調領域よりも上方の位置のみで空気を吸い込み、前記複数の給気口が、前記空気循環ユニットの前面において配置されて、前記空調領域に向けて横向きに給気するように前記クリーンルーム内の前記側壁に沿って前記床上に配置され、 前記クリーンルーム外に給気ダクトが設けられたクリーンルーム装置。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 本件発明1は、空調領域を「非層流方式で」清浄に保ち、空調領域に「非層流方式で」給気を行い、「非層流方式で」空調されるのに対し、甲1発明は、そのような方式について明示されていない点。 [相違点2] 本件発明1は、「前記空調領域には機器が存在し、前記機器が存在する前記空調領域に非層流方式で給気が行われ、前記空調領域において前記機器の熱的影響による上昇流により汚染物質がクリーンルーム内において前記空調領域よりも上方に搬送され」るのに対し、甲1発明は、そのように特定されていない点。 [相違点3] 本件発明1は、「前記吸気口は前記空気循環ユニットの上面に設けられ」るのに対し、甲1発明は、「還気取り入れ口31は、循環ユニットを構成する間仕り切壁5における所定の高さに設けられ」る点。 [相違点4] 「前記複数の給気口」の配置に関して、本件発明1は、「前記空調領域と向かい合う高さまでの領域に分布して配置され」るのに対し、甲1発明は、「床から5mに設定された空調対象域S」に対して、「前記給気口21の上端が3.2mとなる位置に設定され」る点。 [相違点5] 本件発明1は、「前記クリーンルーム外に前記空気循環ユニットに清浄空気を供給するための給気ダクトが設けられ、前記クリーンルーム内には前記給気ダクトがなく、前記空気循環ユニットには前記給気ダクトが直接接続されず、 クリーンルームの天井には、清浄空気の給気口が設けられ、 清浄空気が、前記給気ダクト、前記清浄空気の給気口を経て前記クリーンルームにおいて、前記空調領域よりも上方に供給され、前記空気循環ユニットは、前記吸気口からのみで前記給気ダクトを介さずに空気を吸い込む」のに対し、 甲1発明は、「クリーンルーム外に湿度調整を行う外気調和機11を設置し、循環ユニットに湿度調整された空気を供給するためのダクト16が設けられ、循環ユニットを構成するパネル材7aにダクト16が接続され、湿度調整された空気が、ダクト16を通じて循環路7に供給される」点。 事案に鑑み、まず、相違点5について検討する。 本件発明1のクリーンルームの天井の給気口から供給される「清浄空気」に関して、本件の特許明細書には、以下のとおり記載されている。 「【0018】・・・これにより、外調機21内において、外気OAは先ず粗フィルタ23を通過して予備的に濾過された後、冷却器24で室内温度より低温に冷却され、更に、高性能フィルタ26によって浮遊粒子が除去されて清浄空気CAにされる。高性能フィルタ26は例えばHEPAフィルタ、ULPAフィルタ等で構成される。こうして外調機21内で処理されて作られた低温の清浄空気CAが、給気ダクト22、給気口20を経てクリーンルーム10において、空調領域11よりも上方に供給されるようになっている。」 すなわち、本件発明1の「清浄空気」は、本件の特許明細書の記載を参酌すると、高性能フィルタによって浮遊流離が除去された空気であると解される。 一方、甲1発明のクリーンルーム外のダクト16から供給される空気は、「湿度調整された空気」であって「清浄空気」ではない。また、甲1発明は、湿度調整された空気が、ダクト16を通じて循環路7に供給されるものであり、循環ユニットの内部には高性能フィルタ42があるため、ダクト16から清浄空気を供給する必要がない。 また、甲2に記載された事項において、収納空間32内に給気ダクト41によって供給される空気は、「空調空気」であって「清浄空気」ではない。そして、甲2に記載された事項において、ファンフィルタユニット1は、ULPAフィルタ4を有しており、搬送空間33は、清浄雰囲気が確保されているから、搬送を行わない収納空間32に清浄空気を供給する必要がない。 したがって、甲1発明及び甲2に記載された事項のいずれにおいても、清浄空気をクリーンルームの上方から供給し、空気循環ユニットが給気ダクトを介さずに空気を吸い込むように構成した点が開示されておらず、甲1発明の「湿度調整された空気」、及び甲2に記載された事項の「空調空気」を「清浄空気」とする動機付けもない。 さらに、甲3には、非層流方式のクリーンルーム装置が記載されているものの、上記の「清浄空気をクリーンルームの上方から供給し、空気循環ユニットが給気ダクトを介さずに空気を吸い込むように構成した点」を開示するものではない。 よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2、3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2について 本件発明2と甲1発明とを対比すると、少なくとも以下の相違点で相違する。 [相違点6] 本件発明2は、「前記クリーンルーム外に前記空気循環ユニットに清浄空気を供給するための給気ダクトが設けられ、前記クリーンルーム内には前記給気ダクトがなく、前記空気循環ユニットには前記給気ダクトが直接接続されず、 クリーンルームの天井には、清浄空気の給気口が設けられ、 清浄空気が、前記給気ダクト、前記清浄空気の給気口を経て前記クリーンルームにおいて、前記空調領域よりも上方に供給され、前記空気循環ユニットは、前記吸気口からのみで前記給気ダクトを介さずに空気を吸い込む」のに対し、 甲1発明は、「クリーンルーム外に湿度調整を行う外気調和機11を設置し、循環ユニットに湿度調整された空気を供給するためのダクト16が設けられ、循環ユニットを構成するパネル材7aにダクト16が接続され、湿度調整された空気が、ダクト16を通じて循環路7に供給される」点。 上記相違点6について検討する。 上記相違点6は、上記(2)アで検討した相違点5と同様のものであるから、上記(2)アと同様の理由により、本件発明2は、甲1発明及び甲2、3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件発明3について 本件発明3は、本件発明1又は本件発明2を引用するものであるから、上記(2)ア又はイと同様の理由により、甲1発明及び甲2、3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 エ 本件発明4について 本件発明4は、本件発明1又は本件発明2を引用するものであるから、上記(2)ア又はイと同様の理由により、甲1発明及び甲2、3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、甲4に記載された事項を考慮しても、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 オ 本件発明5について 本件発明5と甲1発明とを対比すると、少なくとも以下の相違点で相違する。 [相違点7] 本件発明5は、「クリーンルームの天井には、清浄空気の給気口が設けられ、 清浄空気が、前記給気ダクト、前記清浄空気の給気口を経て前記クリーンルームにおいて、前記空鯛領域よりも上方に供給され、前記空気循環ユニットは、前記吸気口からのみで前記給気ダクトを介さずに前記吸気口の真上に位置する天井の給気口から供給される清浄空気と前記クリーンルーム内の空気を吸い込み、前記クリーンルーム内の前記空調領域に非層流方式で給気を行い、前記空調領域の空気を循環させる」「空気循環ユニット」であるのに対し、 甲1発明は、「クリーンルーム外に湿度調整を行う外気調和機11を設置し、循環ユニットに湿度調整された空気を供給するためのダクト16が設けられ、循環ユニットを構成するパネル材7aにダクト16が接続され、湿度調整された空気が、ダクト16を通じて循環路7に供給される」「空調設備」である点。 上記相違点7について検討する。 上記相違点7は、上記(2)アで検討した相違点5を含むものであるから、上記(2)アと同様の理由により、本件発明5は、甲1発明及び甲2、3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 カ 本件発明6について 本件発明6は、本件発明5を引用するものであるから、上記(2)オと同様の理由により、甲1発明及び甲2、3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 キ 本件発明7について 本件発明7は、本件発明5を引用するものであるから、上記(2)オと同様の理由により、甲1発明及び甲2、3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、甲4に記載された事項を考慮しても、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)申立人の主張について 申立人は、令和5年5月16日付けの意見書において、「甲2では、前記給気ダクトから供給される空気は、空調空気でありフィルタによって清浄化が図られた空気かどうかについて明確な記載はないが、“ウィキペディア(Wikipedia) "によれば、「空気調和とは、人間の快滴性の向上目的や、生産、管理、貯蔵といった物品を扱う上での産業目的で、ある場所の空気の温度や湿度、清浄度、気流などを調整することである。」と定義され、“空気調和設備計画設計の実務の知識空気調和・衛生工学会編平成29年3月25日改訂4版”によれば、「空気調和とは、対象とする室内全体もしくは特定の場所における空気の温度、湿度、清浄度などを、人体あるいは物品や装置などに適した環境になるように、処理・調整するプロセスをいう。」と定義されているものであるから、甲2における「中央空調機による空気調和」には、清浄度に関する事項をも含む概念であると解釈する」と主張する(第4ページ第11~21行)。 しかしながら、上記(2)アで検討したとおり、本件の特許明細書の記載を参酌すると、本件発明1の「清浄空気」は、高性能フィルタによって浮遊流離が除去された空気であると解されものであるから、“ウィキペディア(Wikipedia) "に、空気調和と清浄度との関係が記載されていたとしても、甲2に記載された「中央空調機からの空調空気」は、本件発明1で特定される「清浄空気」であるとはいえない。 したがって、申立人の主張は、採用できない。 (4)小括 以上のとおり、本件発明1~7は、甲1発明及び甲2~4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1~7に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1~7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-701111

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