特許異議申立
2022-700875
電動機駆動装置及び空気調和機
- 審判番号
- 2022-700875
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-537332
- 登録番号
- 7030997
- 請求日
- 2022年09月07日
- 審決日
- 2023年07月26日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】三菱電機株式会社
- 【権利者代理人】山形 洋一
- 【権利者代理人】佐藤 賢改
- 【権利者代理人】篠原 昌彦
- 【権利者代理人】前田 実
- 【異議申立人】杉村 勝
- 審判長/審判官
- 審判長 柿崎 拓
- 審判官 長馬 望
- 審判官 窪田 治彦
- 分類
- P1651.113-ZDA(H02P) / P1651.121-ZDA(H02P)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項特許法113条2号特許法120条の8第1項特許法135条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7030997号発明「電動機駆動装置及び空気調和機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7030997号の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~25〕について訂正することを認める。
特許第7030997号の請求項7~10、15~20に係る特許を維持する。
特許第7030997号の請求項11~14、21~25に係る特許を取り消す。
特許第7030997号の請求項1~6に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7030997号の請求項1ないし14に係る特許についての出願は、2018年8月16日を国際出願日として出願され、令和4年2月25日にその特許権の設定登録がされ、同年3月7日に特許掲載公報が発行され、同年9月7日に特許異議申立人杉村 勝(以下、「申立人」という。)より、請求項1ないし14に係る特許に対する特許異議の申立て(以下、「本件異議申立て」という。)がされ、同年11月11日付けで取消理由が通知され、これに対し、令和5年1月13日に訂正請求がされるとともに、意見書が提出され、同月20日付けで申立人に対し、訂正請求があった旨の通知をし、同年2月22日に申立人から意見書が提出され、同年3月31日付けで取消理由(決定の予告)を通知し、期間を定めて意見を求めたが、特許権者から期間内に意見の提出はなかった。
第2 令和5年1月13日付け訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の適否
1 本件訂正の内容
本件訂正の内容は、以下のとおりである。(下線は、訂正箇所を示すために当審で付与した。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5を削除する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6を削除する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7に
「前記スター結線モードから前記協調運転モードヘの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオンからオフに切替えられる請求項1から4のいずれか1項に記載の電動機駆動装置。」
とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、
「電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記スター結線モードから前記協調運転モードヘの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオンからオフに切替えられる
電動機駆動装置。」
に訂正する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項7に
「前記スター結線モードから前記協調運転モードへの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオンからオフに切替えられる請求項1から4のいずれか1項に記載の電動機駆動装置。」
とあるうち、請求項1を引用する請求項2を引用するものについて、独立形式に改め、
「電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記電動機の運転状態に応じて前記スター結線モード又は前記協調運転モードの選択が行われ、
前記スター結線モードから前記協調運転モードヘの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオンからオフに切替えられる
電動機駆動装置。」
と記載し、新たに請求項15とする。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項7に
「前記スター結線モードから前記協調運転モードへの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオンからオフに切替えられる請求項1から4のいずれか1項に記載の電動機駆動装置。」
とあるうち、請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3を引用するものについて、独立形式に改め、
「電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記電動機の運転状態に応じて前記スター結線モード又は前記協調運転モードの選択が行われ、
前記運転状態が前記電動機の速度又は負荷の大きさであり、
前記スター結線モードから前記協調運転モードヘの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオンからオフに切替えられる
電動機駆動装置。」
と記載し、新たに請求項16とする。
(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項7に
「前記スター結線モードから前記協調運転モードへの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオンからオフに切替えられる請求項1から4のいずれか1項に記載の電動機駆動装置。」
とあるうち、請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3を引用する請求項4を引用するものについて、独立形式に改め、
「電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記電動機の運転状態に応じて前記スター結線モード又は前記協調運転モードの選択が行われ、
前記運転状態が前記電動機の速度又は負荷の大きさであり、
前記電動機の速度が閾値よりも低いときは前記スター結線モードが選択され、前記電動機の速度が前記閾値よりも高いときは、前記協調運転モードが選択され、
前記スター結線モードから前記協調運転モードヘの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオンからオフに切替えられる
電動機駆動装置。」
と記載し、新たに請求項17とする。
(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項8に
「前記協調運転モードから前記スター結線モードへの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオフからオンに切替えられる請求項1から4のいずれか1項に記載の電動機駆動装置。」
とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、
「電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記協調運転モードから前記スター結線モードへの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオフからオンに切替えられる
電動機駆動装置。」
に訂正する。
(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項8に
「前記協調運転モードから前記スター結線モードへの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオフからオンに切替えられる請求項1から4のいずれか1項に記載の電動機駆動装置。」
とあるうち、請求項1を引用する請求項2を引用するものについて、独立形式に改め、
「電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記電動機の運転状態に応じて前記スター結線モード又は前記協調運転モードの選択が行われ、
前記協調運転モードから前記スター結線モードへの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオフからオンに切替えられる
電動機駆動装置。」
と記載し、新たに請求項18とする。
(13)訂正事項13
特許請求の範囲の請求項8に
「前記協調運転モードから前記スター結線モードへの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオフからオンに切替えられる請求項1から4のいずれか1項に記載の電動機駆動装置。」
とあるうち、請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3を引用するものについて、独立形式に改め、
「電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記電動機の運転状態に応じて前記スター結線モード又は前記協調運転モードの選択が行われ、
前記運転状態が前記電動機の速度又は負荷の大きさであり、
前記協調運転モードから前記スター結線モードへの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオフからオンに切替えられる
電動機駆動装置。」
と記載し、新たに請求項19とする。
(14)訂正事項14
特許請求の範囲の請求項8に
「前記協調運転モードから前記スター結線モードへの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオフからオンに切替えられる請求項1から4のいずれか1項に記載の電動機駆動装置。」
とあるうち、請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3を引用する請求項4を引用するものについて、独立形式に改め、
「電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記電動機の運転状態に応じて前記スター結線モード又は前記協調運転モードの選択が行われ、
前記運転状態が前記電動機の速度又は負荷の大きさであり、
前記電動機の速度が閾値よりも低いときは前記スター結線モードが選択され、前記電動機
の速度が前記閾値よりも高いときは、前記協調運転モードが選択され、
前記協調運転モードから前記スター結線モードへの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオフからオンに切替えられる
電動機駆動装置。」
と記載し、新たに請求項20とする。
(15)訂正事項15
特許請求の範囲の請求項9に「請求項1から8のいずれか1項」と記載されているのを「請求項7又は8」に訂正する。
(16)訂正事項16
特許請求の範囲の請求項10に「請求項1から8のいずれか1項」と記載されているのを「請求項7又は8」に訂正する。
(17)訂正事項17
特許請求の範囲の請求項11に
「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数の半導体スイッチを有する請求項1から10のいずれか1項に記載の電動機駆動装置。」
とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、さらに訂正前の請求項11に
「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数の半導体スイッチを有する」と記載されているのを、
「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数のMOSFETを有し、前記MOSFETのソースは共通接続ノードに接続され、前記MOSFETのドレインは前記巻線の前記第2の端子に接続されている」
とし、
「電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数のMOSFETを有し、前記MOSFETのソースは共通接続ノードに接続され、前記MOSFETのドレインは前記巻線の前記第2の端子に接続されている
電動機駆動装置。」
に訂正する。(請求項11の記載を直接的又は間接的に引用する請求項12、13、14も同様に訂正する。)
(18)訂正事項18
特許請求の範囲の請求項11に
「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数の半導体スイッチを有する請求項1から10のいずれか1項に記載の電動機駆動装置。」
とあるうち、請求項1を引用する請求項2を引用するものについて、独立形式に改め、さらに訂正前の請求項11に
「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数の半導体スイッチを有する」と記載されているのを、
「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数のMOSFETを有し、前記MOSFETのソースは共通接続ノードに接続され、前記MOSFETのドレインは前記巻線の前記第2の端子に接続されている」
とし、
「電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記電動機の運転状態に応じて前記スター結線モード又は前記協調運転モードの選択が行われ、
前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数のMOSFETを有し、前記MOSFETのソースは共通接続ノードに接続され、前記MOSFETのドレインは前記巻線の前記第2の端子に接続されている
電動機駆動装置。」
と記載し、新たに請求項21とする。
(19)訂正事項19
特許請求の範囲の請求項11に
「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数の半導体スイッチを有する請求項1から10のいずれか1項に記載の電動機駆動装置。」
とあるうち、請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3を引用するものについて、独立形式に改め、さらに訂正前の請求項11に
「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数の半導体スイッチを有する」と記載されているのを、
「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数のMOSFETを有し、前記MOSFETのソースは共通接続ノードに接続され、前記MOSFETのドレインは前記巻線の前記第2の端子に接続されている」
とし、
「電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記電動機の運転状態に応じて前記スター結線モード又は前記協調運転モードの選択が行われ、
前記運転状態が前記電動機の速度又は負荷の大きさであり、
前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数のMOSFETを有し、前記MOSFETのソースは共通接続ノードに接続され、前記MOSFETのドレインは前記巻線の前記第2の端子に接続されている
電動機駆動装置。」
と記載し、新たに請求項22とする。
(20)訂正事項20
特許請求の範囲の請求項11に
「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数の半導体スイッチを有する請求項1から10のいずれか1項に記載の電動機駆動装置。」
とあるうち、請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3を引用する請求項4を引用するものについて、独立形式に改め、さらに訂正前の請求項11に
「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数の半導体スイッチを有する」と記載されているのを、
「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数のMOSFETを有し、前記MOSFETのソースは共通接続ノードに接続され、前記MOSFETのドレインは前記巻線の前記第2の端子に接続されている」
とし、
「電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記電動機の運転状態に応じて前記スター結線モード又は前記協調運転モードの選択が行われ、
前記運転状態が前記電動機の速度又は負荷の大きさであり、
前記電動機の速度が閾値よりも低いときは前記スター結線モードが選択され、前記電動機
の速度が前記閾値よりも高いときは、前記協調運転モードが選択され、
前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数のMOSFETを有し、前記MOSFETのソースは共通接続ノードに接続され、前記MOSFETのドレインは前記巻線の前記第2の端子に接続されている
電動機駆動装置。」
と記載し、新たに請求項23とする。
(21)訂正事項21
特許請求の範囲の請求項11に
「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数の半導体スイッチを有する請求項1から10のいずれか1項に記載の電動機駆動装置。」
とあるうち、請求項1を引用する請求項5を引用するものについて、独立形式に改め、さらに訂正前の請求項11に
「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数の半導体スイッチを有する」と記載されているのを、
「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数のMOSFETを有し、前記MOSFETのソースは共通接続ノードに接続され、前記MOSFETのドレインは前記巻線の前記第2の端子に接続されている」
とし、
「電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記スター結線モードから前記協調運転モードへの切替えの際、前記短絡回路がオンからオフに切替わった後に、前記第2のインバータによる交流電圧の出力が開始され、
前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数のMOSFETを有し、前記MOSFETのソースは共通接続ノードに接続され、前記MOSFETのドレインは前記巻線の前記第2の端子に接続されている
電動機駆動装置。」
と記載し、新たに請求項24とする。
(22)訂正事項22
特許請求の範囲の請求項11に
「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数の半導体スイッチを有する請求項1から10のいずれか1項に記載の電動機駆動装置。」
とあるうち、請求項1を引用する請求項6を引用するものについて、独立形式に改め、さらに訂正前の請求項11に
「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数の半導体スイッチを有する」と記載されているのを、
「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数のMOSFETを有し、前記MOSFETのソースは共通接続ノードに接続され、前記MOSFETのドレインは前記巻線の前記第2の端子に接続されている」
とし、
「電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記協調運転モードから前記スター結線モードへの切替えの際、前記第2のインバータによる交流電圧の出力が停止した後に、前記短絡回路がオフからオンに切替えられ、
前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数のMOSFETを有し、前記MOSFETのソースは共通接続ノードに接続され、前記MOSFETのドレインは前記巻線の前記第2の端子に接続されている
電動機駆動装置。」
と記載し、新たに請求項25とする。
(23)訂正事項23
特許請求の範囲の請求項12に「半導体スイッチ」と記載されているのを「MOSFET」に訂正する。
(24)訂正事項24
特許請求の範囲の請求項14に「請求項1から13のいずれか1項」と記載されているのを、「請求項7から13のいずれか1項」に訂正する。
(25)訂正事項25
明細書の段落【0006】に
「本発明の電動機駆動装置は、
電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動される。」
と記載されているのを
「本発明の一つの態様の電動機駆動装置は、
電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記スター結線モードから前記協調運転モードヘの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオンからオフに切替えられる。
本発明の他の態様の電動機駆動装置は、
電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記協調運転モードから前記スター結線モードへの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオフからオンに切替えられる。
本発明のさらに他の態様の電動機駆動装置は、
電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数のMOSFETを有し、前記MOSFETのソースは共通接続ノードに接続され、前記MOSFETのドレインは前記巻線の前記第2の端子に接続されている。」
と訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
(1)訂正事項1ないし6
訂正事項1ないし6は、それぞれ、特許請求の範囲の請求項1ないし6を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という)に記載した事項の範囲内においてするものである。
(2)訂正事項7
訂正事項7は、本件訂正前の請求項7が「請求項1から4のいずれか1項」を引用する請求項の記載であったものを実質上請求項1を引用するものに減縮し、請求項1の記載を引用しないものとするものであるから、特許請求の範囲の減縮及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(3)訂正事項8
訂正事項8は、本件訂正前の請求項7が「請求項1から4のいずれか1項」を引用する請求項の記載であったものを実質上請求項1を引用する請求項2を引用するものに減縮し、請求項1及び2の記載を引用しないものとするものであるから、特許請求の範囲の減縮及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(4)訂正事項9
訂正事項9は、本件訂正前の請求項7が「請求項1から4のいずれか1項」を引用する請求項の記載であったものを実質上請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3を引用するものに減縮し、請求項1ないし3の記載を引用しないものとするものであるから、特許請求の範囲の減縮及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(5)訂正事項10
訂正事項10は、本件訂正前の請求項7が「請求項1から4のいずれか1項」を引用する請求項の記載であったものを実質上請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3を引用する請求項4を引用するものに減縮し、請求項1ないし4の記載を引用しないものとするものであるから、特許請求の範囲の減縮及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(6)訂正事項11
訂正事項11は、本件訂正前の請求項8が「請求項1から4のいずれか1項」を引用する請求項の記載であったものを実質上請求項1を引用するものに減縮し、請求項1の記載を引用しないものとするものであるから、特許請求の範囲の減縮及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(7)訂正事項12
訂正事項12は、本件訂正前の請求項8が「請求項1から4のいずれか1項」を引用する請求項の記載であったものを実質上請求項1を引用する請求項2を引用するものに減縮し、請求項1及び2の記載を引用しないものとするものであるから、特許請求の範囲の減縮及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(8)訂正事項13
訂正事項13は、本件訂正前の請求項8が「請求項1から4のいずれか1項」を引用する請求項の記載であったものを実質上請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3を引用するものに減縮し、請求項1ないし3の記載を引用しないものとするものであるから、特許請求の範囲の減縮及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(9)訂正事項14
訂正事項14は、本件訂正前の請求項8が「請求項1から4のいずれか1項」を引用する請求項の記載であったものを実質上請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3を引用する請求項4を引用するものに減縮し、請求項1ないし4の記載を引用しないものとするものであるから、特許請求の範囲の減縮及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(10)訂正事項15
訂正事項15は、本件訂正前の請求項9が「請求項1から8のいずれか1項」を引用する請求項であったものを「請求項7又は8」を引用する請求項とするものに減縮するものであるから、特許請求の範囲の減縮することを目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(11)訂正事項16
訂正事項16は、本件訂正前の請求項10が「請求項1から8のいずれか1項」を引用する請求項であったものを「請求項7又は8」を引用する請求項とするものに減縮するものであるから、特許請求の範囲の減縮することを目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(12)訂正事項17
訂正事項17は、本件訂正前の請求項11が「請求項1から10のいずれか1項」を引用する請求項の記載であったものを実質上請求項1を引用するものに減縮し、請求項1の記載を引用しないものとし、さらに本件訂正前の請求項11に「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数の半導体スイッチを有する」と記載されているものを「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数のMOSFETを有し、前記MOSFETのソースは共通接続ノードに接続され、前記MOSFETのドレインは前記巻線の前記第2の端子に接続されている」とするものであって、これは、本件訂正後においては、本件訂正前の「半導体スイッチ」の下位概念である「MOSFET」と減縮するとともに、「前記MOSFETのソースは共通接続ノードに接続され、前記MOSFETのドレインは前記巻線の前記第2の端子に接続されている」と特定して減縮するものであるから、訂正事項17は、特許請求の範囲の減縮及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。さらに、本件特許明細書には、「半導体スイッチ51u、51v、51wの一方の主端子は対応する巻線の第2の端子に接続されている。半導体スイッチ51u、51v、51wの他方の主端子は共通接続ノード53に接続されている。後述のように、各半導体スイッチがMOSFETで構成される場合、上記の一方の主端子はドレインであり、上記の他方の主端子はソースである。」(【0022】参照。なお、改行と空白を略した。)と記載されていることから、訂正事項17は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(13)訂正事項18
訂正事項18は、本件訂正前の請求項11が「請求項1から10のいずれか1項」を引用する請求項の記載であったものを実質上請求項1を引用する請求項2を引用するものに減縮し、請求項1及び2の記載を引用しないものとし、さらに本件訂正前の請求項11に「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数の半導体スイッチを有する」と記載されているものを「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数のMOSFETを有し、前記MOSFETのソースは共通接続ノードに接続され、前記MOSFETのドレインは前記巻線の前記第2の端子に接続されている」とするものであって、訂正事項17と同様に、特許請求の範囲の減縮及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(14)訂正事項19
訂正事項19は、本件訂正前の請求項11が「請求項1から10のいずれか1項」を引用する請求項の記載であったものを実質上請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3を引用するものに減縮し、請求項1ないし3の記載を引用しないものとし、さらに本件訂正前の請求項11に「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数の半導体スイッチを有する」と記載されているものを「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数のMOSFETを有し、前記MOSFETのソースは共通接続ノードに接続され、前記MOSFETのドレインは前記巻線の前記第2の端子に接続されている」とするものであって、訂正事項17と同様に、特許請求の範囲の減縮及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(15)訂正事項20
訂正事項20は、本件訂正前の請求項11が「請求項1から10のいずれか1項」を引用する請求項の記載であったものを実質上請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3を引用する請求項4を引用するものに減縮し、請求項1ないし4の記載を引用しないものとし、さらに本件訂正前の請求項11に「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数の半導体スイッチを有する」と記載されているものを「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数のMOSFETを有し、前記MOSFETのソースは共通接続ノードに接続され、前記MOSFETのドレインは前記巻線の前記第2の端子に接続されている」とするものであって、訂正事項17と同様に、特許請求の範囲の減縮及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(16)訂正事項21
訂正事項21は、本件訂正前の請求項11が「請求項1から10のいずれか1項」を引用する請求項の記載であったものを実質上請求項1を引用する請求項5を引用するものに減縮し、請求項1及び5の記載を引用しないものとし、さらに本件訂正前の請求項11に「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数の半導体スイッチを有する」と記載されているものを「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数のMOSFETを有し、前記MOSFETのソースは共通接続ノードに接続され、前記MOSFETのドレインは前記巻線の前記第2の端子に接続されている」とするものであって、訂正事項17と同様に、特許請求の範囲の減縮及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(17)訂正事項22
訂正事項22は、本件訂正前の請求項11が「請求項1から10のいずれか1項」を引用する請求項の記載であったものを実質上請求項1を引用する請求項6を引用するものに減縮し、請求項1及び6の記載を引用しないものとし、さらに本件訂正前の請求項11に「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数の半導体スイッチを有する」と記載されているものを「前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数のMOSFETを有し、前記MOSFETのソースは共通接続ノードに接続され、前記MOSFETのドレインは前記巻線の前記第2の端子に接続されている」とするものであって、訂正事項17と同様に、特許請求の範囲の減縮及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(18)訂正事項23
訂正事項23は、訂正事項17により、請求項11に本件訂正前は、「半導体スイッチ」と記載されていたものを、本件訂正後は「MOSFET」と訂正されたことに伴い、請求項11を引用する請求項12の記載を整合させるために行う請求項12の訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、さらに、本件特許明細書には、「各半導体スイッチがMOSFETで構成される場合、上記の一方の主端子はドレインであり、上記の他方の主端子はソースである。」(【0022】参照。)と記載されていることから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(19)訂正事項24
訂正事項24は、本件訂正前の請求項14が「請求項1から13のいずれか1項」を引用する請求項であったものを「請求項7から13のいずれか1項」を引用する請求項とするものに減縮するものであるから、特許請求の範囲の減縮することを目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(20)訂正事項25
訂正事項25は、訂正事項1ないし24による特許請求の範囲の訂正に伴い、特許請求の範囲と整合させるために行う明細書の訂正であって、明細書の【0006】の記載内容が特許請求の範囲の記載との関係において不合理を生じている記載を正すものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
3 一群の請求項について
本件訂正前の請求項2ないし14は、本件訂正により記載が訂正された請求項1を引用するものであるから、本件訂正前の請求項1ないし14は、一群の請求項である。そして、訂正事項1ないし24は、本件訂正前の請求項1ないし14を訂正するものであるから、一群の請求項毎に訂正を請求するものである。
したがって、訂正前の請求項1ないし14に対応する訂正後の請求項1ないし25に係る本件訂正は、特許法(以下、「法」という。)第120条の5第4項に規定する一群の請求項ごとに請求するものである。
また、明細書の訂正である訂正事項25に係る訂正は、本件訂正前の請求項1ないし14に対して請求されたものであり、訂正事項25は、本件訂正前の一群の請求項1ないし14に対して請求されたものである。
したがって、訂正事項25に係る明細書の訂正は、法第120条の5第9項で準用する法第126条第4項に規定する一群の請求項の全てについて行うものである。
4 小括
上記のとおり、訂正事項1ないし25に係る訂正は、法第120条の5第2項ただし書第1号、同項ただし書第3号又は同項ただし書第4号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第4項、同条第9項で準用する同法第126条第4項ないし第6項の規定に適合する。
したがって、明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~25〕について訂正することを認める。
第3 本件特許
本件訂正後の請求項1ないし25に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明25」という。)は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし25に記載された次の事項によって特定されるとおりのものである。
「【請求項1】(削除)
【請求項2】(削除)
【請求項3】(削除)
【請求項4】(削除)
【請求項5】(削除)
【請求項6】(削除)
【請求項7】
電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記スター結線モードから前記協調運転モードへの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオンからオフに切替えられる
電動機駆動装置。
【請求項8】
電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記協調運転モードから前記スター結線モードへの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオフからオンに切替えられる
電動機駆動装置。
【請求項9】
前記協調運転モードがデルタ結線モードである請求項7又は8に記載の電動機駆動装置。
【請求項10】
前記協調運転モードが中間モードである請求項7又は8に記載の電動機駆動装置。
【請求項11】
電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数のMOSFETを有し、前記MOSFETのソースは共通接続ノードに接続され、前記MOSFETのドレインは前記巻線の前記第2の端子に接続されている
電動機駆動装置。
【請求項12】
前記MOSFETがワイドギャップ半導体によって構成されたものである請求項11に記載の電動機駆動装置。
【請求項13】
前記ワイドギャップ半導体はSiC又はGaNである請求項12に記載の電動機駆動装置。
【請求項14】
請求項7から13のいずれか1項に記載の電動機駆動装置を備える空気調和機。
【請求項15】
電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記電動機の運転状態に応じて前記スター結線モード又は前記協調運転モードの選択が行われ、
前記スター結線モードから前記協調運転モードへの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオンからオフに切替えられる
電動機駆動装置。
【請求項16】
電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記電動機の運転状態に応じて前記スター結線モード又は前記協調運転モードの選択が行われ、
前記運転状態が前記電動機の速度又は負荷の大きさであり、
前記スター結線モードから前記協調運転モードへの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオンからオフに切替えられる
電動機駆動装置。
【請求項17】
電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記電動機の運転状態に応じて前記スター結線モード又は前記協調運転モードの選択が行われ、
前記運転状態が前記電動機の速度又は負荷の大きさであり、
前記電動機の速度が閾値よりも低いときは前記スター結線モードが選択され、前記電動機の速度が前記閾値よりも高いときは、前記協調運転モードが選択され、
前記スター結線モードから前記協調運転モードへの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオンからオフに切替えられる
電動機駆動装置。
【請求項18】
電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記電動機の運転状態に応じて前記スター結線モード又は前記協調運転モードの選択が行われ、
前記協調運転モードから前記スター結線モードへの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオフからオンに切替えられる
電動機駆動装置。
【請求項19】
電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記電動機の運転状態に応じて前記スター結線モード又は前記協調運転モードの選択が行われ、
前記運転状態が前記電動機の速度又は負荷の大きさであり、
前記協調運転モードから前記スター結線モードへの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオフからオンに切替えられる
電動機駆動装置。
【請求項20】
電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記電動機の運転状態に応じて前記スター結線モード又は前記協調運転モードの選択が行われ、
前記運転状態が前記電動機の速度又は負荷の大きさであり、
前記電動機の速度が閾値よりも低いときは前記スター結線モードが選択され、前記電動機の速度が前記閾値よりも高いときは、前記協調運転モードが選択され、
前記協調運転モードから前記スター結線モードへの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオフからオンに切替えられる
電動機駆動装置。
【請求項21】
電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記電動機の運転状態に応じて前記スター結線モード又は前記協調運転モードの選択が行われ、
前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数のMOSFETを有し、前記MOSFETのソースは共通接続ノードに接続され、前記MOSFETのドレインは前記巻線の前記第2の端子に接続されている
電動機駆動装置。
【請求項22】
電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記電動機の運転状態に応じて前記スター結線モード又は前記協調運転モードの選択が行われ、
前記運転状態が前記電動機の速度又は負荷の大きさであり、
前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数のMOSFETを有し、前記MOSFETのソースは共通接続ノードに接続され、前記MOSFETのドレインは前記巻線の前記第2の端子に接続されている
電動機駆動装置。
【請求項23】
電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記電動機の運転状態に応じて前記スター結線モード又は前記協調運転モードの選択が行われ、
前記運転状態が前記電動機の速度又は負荷の大きさであり、
前記電動機の速度が閾値よりも低いときは前記スター結線モードが選択され、前記電動機の速度が前記閾値よりも高いときは、前記協調運転モードが選択され、
前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数のMOSFETを有し、前記MOSFETのソースは共通接続ノードに接続され、前記MOSFETのドレインは前記巻線の前記第2の端子に接続されている
電動機駆動装置。
【請求項24】
電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記スター結線モードから前記協調運転モードへの切替えの際、前記短絡回路がオンからオフに切替わった後に、前記第2のインバータによる交流電圧の出力が開始され、
前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数のMOSFETを有し、前記MOSFETのソースは共通接続ノードに接続され、前記MOSFETのドレインは前記巻線の前記第2の端子に接続されている
電動機駆動装置。
【請求項25】
電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記協調運転モードから前記スター結線モードへの切替えの際、前記第2のインバータによる交流電圧の出力が停止した後に、前記短絡回路がオフからオンに切替えられ
前記短絡回路は、前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数のMOSFETを有し、前記MOSFETのソースは共通接続ノードに接続され、前記MOSFETのドレインは前記巻線の前記第2の端子に接続されている
電動機駆動装置。」
第4 取消理由の概要
本件訂正後の請求項11ないし14に係る特許に対して、当審が令和5年3月31日付け取消理由通知書(決定の予告)により特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
1 (進歩性)本件発明11、14及び21ないし25は、引用文献1に記載された発明及び引用文献4に記載された事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、また本件発明12ないし14は、引用文献1に記載された発明並びに引用文献4に記載された事項及び引用文献5に示される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項11ないし14及び21ないし25に係る特許は、法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
上記引用文献1、4及び5、並びに本件異議申立てにおいて、申立人から提出された引用文献2、3は、次のとおりである。
・引用文献等一覧
引用文献1 特許第4906836号公報
引用文献2 特開2008-219956号公報
引用文献3 特許第4804381号公報
引用文献4 中国特許出願公開第108390488号明細書
引用文献5 特許第5893127号公報
第5 引用文献について
1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載事項
引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は、当審が付与した。以下同様。)。
ア 「【0006】
この発明に係る電動機駆動装置は、電動機巻線の中性点を切り離して引き出された電動機の引き出し線と接続し、第1PWM信号に基づいて、PWMによる電圧印加により電動機を駆動運転させるための動作を行うマスター側インバータ回路と、マスター側インバータ回路とは別の引き出し線と接続し、第2PWM信号に基づいて電動機を駆動運転させるための動作を行うスレーブ側インバータ回路と、中性点の短絡切替えに用いる1つの短絡スイッチを有し、切替え信号に基づいて、マスター側インバータ回路のみの動作により電動機を駆動運転させるスター接続仕様、またはマスター側インバータ回路とスレーブ側インバータ回路との協調動作により電動機を駆動運転させる開放巻線仕様のいずれかに電動機の電動機巻線仕様を切り替えるため、スレーブ側インバータ回路と並列に引き出し線と接続する短絡回路と、マスター側インバータ回路およびスレーブ側インバータ回路に、第1PWM信号、第2PWM信号を送信し、切替え信号を短絡回路に送信する制御手段とを備えるものである。」
イ 「【0009】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る電動機駆動装置を中心とするシステム構成の一例を表す図である。図1に示すシステムは、直流電圧源1、マスター側インバータ回路2およびスレーブ側インバータ回路3、各インバータ回路および電動機6の電動機巻線の接続状態を制御するための、例えばCPU(Central Processing Unit )等で構成される制御手段41、電動機巻線を独立巻線にした電動機6、電動機6に流れる電流を検出するための電流検出手段51~53、直流母線電圧(以下、母線電圧という)を検出するための電圧検出手段54および電動機6の電動機巻線仕様をスター接続仕様(マスター側インバータ回路2による1台のみの動作で電動機6を駆動運転する場合。以下、単独運転という)または開放巻線仕様(マスター側インバータ回路2とスレーブ側インバータ回路3の2台のインバータ協調動作で電動機6を駆動運転する場合。以下、協調運転という)に切り替えるための短絡回路23とから構成する。」
ウ 「【0010】
短絡回路23は、本実施の形態においては3相整流回路21、短絡スイッチ22および短絡スイッチ状態切替え回路24で構成する。」
エ 「【0013】
図1の電動機駆動装置では、制御手段41は、電動機巻線仕様がスター接続仕様あるいは開放巻線仕様のいずれの状態であっても、電流検出素子11a~11cにより電流検出手段51~53を介して電動機電流のデータを得ることができる。また、電圧検出手段54を介して母線電圧のデータも得ることができる。これらのデータに基づいて演算を行ってPWMデューティ信号(以下、PWM信号という)を生成し、マスター側インバータ回路2、スレーブ側インバータ回路3を動作させて電動機6に電圧を印加させ、電動機6の駆動運転制御を行う。」
オ 「【0032】
図4は短絡回路23に送信する切替え信号Eを表す図である。次に、電動機巻線の接続(結線)状態を切り替える方法について説明する。接続(結線)状態は、周波数指令f*、実周波数fm、推定周波数fe(本実施の形態のように位置センサレス制御実施時などに有効)等の駆動周波数に係るデータ(以下、単に駆動周波数という)、電動機6の負荷を表す負荷トルクのデータ(以下、負荷トルクという)に基づいて制御手段41が判断を行い、切替え信号Eを送信する。そして、短絡回路23は受信した切替え信号Eに基づいて切替え動作を行う。
【0033】
図4の例では、短絡回路23の論理をHIアクティブ設定としている。あらかじめ定められた所定値(図4ではA点の位置となる)と比較して駆動周波数が低いとき、負荷トルクが小さいときには切替え信号EをHIとし、短絡回路23(短絡スイッチ22)をONの状態にする。このとき、電動機巻線仕様はスター接続(単独運転)となる。また、所定値と比較して駆動周波数が高いとき、負荷トルクが大きいときには切替え信号EをLOとし、短絡回路23(短絡スイッチ22)をOFFの状態にする。このとき、電動機巻線仕様は開放巻線仕様(協調運転)となる。ここでは、短絡回路23の論理回路の設定をHIアクティブ(正論理)設定としているが、回路の論理設定は、ハードウェア側・ソフトウェア側の事情に応じて、任意に設定することができる。」
カ 「【0034】
従来の装置構成では、切替えに係るスイッチ数を多く設けなければならなかったが、本実施の形態では短絡回路23を設ける構成とするだけでよく、スイッチ数を減少させることができる。そのため、接続状態の切替え管理が容易となる。また、切替え状態遷移時間も短くて済むようになる。よって、誘導電動機のみならず同期電動機に対しても適用可能となる。ただし、同期電動機において、急な切り替えを行うと、負荷の状態によっては電流が急峻に跳ね上がる、電圧が変動する等、不安定な駆動運転となる可能性があるため、電動機6の同期運転を保ちながら接続状態の切替えを行うことが困難な場合がある。このような場合に対応するため、電動機巻線仕様の切替えを円滑に行えるようにする各インバータ回路の動作を制御する方法について説明する。
【0035】
図5は接続仕様の移行に係る動作制御の手順を示す図である。図5に基づいて、各相に印加される電圧ベクトルの概念を示して接続状態の移行について説明する。まず、スター接続仕様から開放巻線仕様に移行する場合について説明する。ここで、図4のA点の前後に、同期運転を保ちながら、円滑に接続状態を切り替えるため、移行に係る領域を設ける(この領域における電動機6の駆動運転を境界モード運転という)。
【0036】
図5に示すように、スター接続仕様のときには、上述した(3)式に示すようにk=1である。すなわち、マスター側インバータ回路2の動作による電圧発生比率は100%である。また、スレーブ側インバータ回路3は出力禁止または停止状態である。この状態においては、短絡回路23はON状態となっている。
【0037】
制御手段41は、駆動周波数、駆動トルクが上昇し、A点より手前の第1の所定の値A1を越えたものと判断すると電動機6を境界モード運転に移行させる。制御手段41はスレーブ側インバータ回路3に送信する第2PWM信号により、接続仕様の切替え時における電圧変動に対する不安定現象を少なくするため、各相中性点電位(母線電圧の半分の電位、中間電圧)を出力(印加)するための動作を行わせる。具体的には、スレーブ側インバータ回路3側からは、キャリア周期内において各相に印加する電圧のデューティ比を50[%]として電動機6を駆動運転させるようにする。
【0038】
そして、駆動周波数、駆動トルクがA点に到達したものと判断すると、制御手段41は切替え信号EをHIからLOにし、短絡回路23による切替え動作をONからOFFに切り替えて電動機巻線仕様をスター接続仕様から開放巻線仕様に切り替える。
【0039】
このように、スレーブ側インバータ回路3から各相とも中性点電位を予め出力することで、短絡回路23における電動機巻線仕様の切替えがスムーズに行える。この後、制御手段41は(3)式に基づいてkを任意比率に設定し、各インバータ回路が所定の比率で電圧を印加して協調動作を行いつつ、電動機6を協調運転する。
【0040】
次に開放巻線仕様からスター接続仕様に移行する場合について説明する。開放巻線仕様のときには、上述した(3)式に示すようにkは任意の値(0≦k≦1)である。このため、kに基づく比率でマスター側インバータ回路2およびスレーブ側インバータ回路3がそれぞれ協調動作している。この状態においては短絡回路23はOFF状態となっている。
【0041】
制御手段41は、駆動周波数、駆動トルクが下降し、図4のA点手前の第2の所定の値A2を越えたものと判断すると境界モード運転に移行する。まず、所定時間かけてkが1になるように移行し、線間電圧発生をマスター側インバータ回路2のみで行うようにする。この後、制御手段41はスレーブ側インバータ回路3に送信する第2PWM信号により、接続状態の切替え時における電圧変動に対する不安定現象を少なくするため、各相中性点電位(母線電圧の半分の電位)を出力するための動作を行わせる。具体的には、スレーブ側インバータ回路3側からは、キャリア周期内において各相の信号のデューティ比を50[%]として電動機6を駆動運転させるようにする。
【0042】
駆動周波数、駆動トルクがA点に到達したものと判断すると、制御手段41は切替え信号EをLOからHIにし、短絡回路23の動作をOFFからONに切り替えて電動機巻線仕様を開放巻線仕様からスター接続仕様に切り替える。スレーブ側インバータ回路3で各相とも中性点電位を予め出力することで、短絡回路切替えがスムーズに行える。この後、スレーブ側インバータ回路3の出力を停止することで、マスター側インバータ回路2のみの動作への移行が完了する。」
キ 「【0046】
図7はスレーブ側インバータ回路3に送信する第2PWM信号により、接続仕様の切替え時に、各相中性点電位(母線電圧の半分の電位、中間電圧)を経ずに接続仕様の移行に係る動作制御の手順を示す図である。図7に基づいて、各相に印加される電圧ベクトルの概念を示して接続状態の移行について説明する。まず、スター接続仕様から開放巻線仕様に移行する場合について説明する。ここでは、図4のA点の前後に、同期運転を保ちながら、境界モード運転を経ずに即時に接続状態を切り替える。
【0047】
図7に示すように、スター接続仕様のときには、上述した(3)式に示すようにk=1である。このとき、マスター側インバータ回路2の動作による電圧発生比率は100%である。また、スレーブ側インバータ回路3は出力禁止または停止状態である。この状態においては、短絡回路23はON状態となっている。
【0048】
制御手段41は、駆動周波数、駆動トルクが上昇し、A点より手前の第1の所定の値A1を越えたものと判断すると電動機6を協調運転に移行させる。
【0049】
そして、駆動周波数、駆動トルクがA点に到達したものと判断すると、制御手段41は切替え信号EをHIからLOにし、短絡回路23による切替え動作をONからOFFに切り替えて電動機巻線仕様をスター接続仕様から開放巻線仕様に切り替える。
【0050】
このように、スレーブ側インバータ回路3から各相とも中性点電位を予め出力することなく、即時に短絡回路23における電動機巻線仕様の切替えを行うことで、短時間での切り替えが可能となる。この後、制御手段41は(3)式に基づいてkを任意比率に設定し、各インバータ回路が所定の比率で電圧を印加して協調動作を行いつつ、電動機6を協調運転する。
【0051】
次に開放巻線仕様からスター接続仕様に移行する場合について説明する。開放巻線仕様のときには、上述した(3)式に示すようにkは任意の値(0≦k≦1)である。このため、kに基づく比率でマスター側インバータ回路2およびスレーブ側インバータ回路3がそれぞれ協調動作している。この状態においては短絡回路23はOFF状態となっている。
【0052】
制御手段41は、駆動周波数、駆動トルクが下降し、図4のA点手前の第2の所定の値A2を越えたものと判断すると、所定時間かけてkが1になるように移行し、線間電圧発生をマスター側インバータ回路2のみで行うようにする。
【0053】
駆動周波数、駆動トルクがA点に到達したものと判断すると、制御手段41は切替え信号EをLOからHIにし、短絡回路23の動作をOFFからONに切り替えて電動機巻線仕様を開放巻線仕様からスター接続仕様に切り替える。スレーブ側インバータ回路3で各相とも中性点電位を予め出力せずに短絡回路切替えを行うことで、短時間で結線切替えが行える。この後、スレーブ側インバータ回路3の出力を停止することで、マスター側インバータ回路2のみの動作への移行が完了する。」
ク 「【0054】
図8は運転状態の切替え時に係る任意の相における指令電圧と切替信号Eの例を表す図である。図8(a)は、スレーブ側インバータ回路3のスイッチング素子8a~8fをすべてOFFにしてから、所定の休止区間(時間。例えば、スイッチング素子のデッドタイム区間以上等)経過後に短絡回路23をON状態に切り替えて移行する方式を表す。また、図8(b)は、スレーブ側インバータ回路3のスイッチング素子8a~8fをすべてOFFにした瞬間に、短絡回路23をON状態に切り替えて移行する方式を表す。
【0055】
例えば、切り替え時のノイズ等が懸念される場合、図8(a)に示す方式を用いて電動機巻線仕様を切替えるようにする。一方、素早い切替えが要求される場合は図8(b)を用いて電動機巻線仕様を切替えるようにする。
【0056】
以上のように、本実施の形態の電動機駆動装置によれば、マスター側インバータ回路2とスレーブ側インバータ回路3とを有し、電動機6の引き出し線と接続してスター接続仕様と開放巻線仕様とによる駆動運転を行えるようにしたので、インバータ回路を大容量に対応するものにしなくても、電動機の電動機巻線仕様を切替えることができる。その際、短絡回路23により、各相に係る電動機巻線を電気的に接続する切替えを行うようにしたので、スター接続仕様においては、スレーブ側インバータ回路3のスイッチング素子8a~8fをすべてONして短絡させ、閉回路を形成する必要がない。そのため、管理するスイッチ数が少なく、電動機巻線仕様の素早い切替えが可能であり、スイッチに係る素子間のばらつきに対する対応が容易であるため、システムとしての信頼性を高くすることができる。」
ケ 「【0058】
実施の形態2.
図9は実施の形態2に係る短絡回路23の構成例を表す図である。本実施の形態では、巻線仕様の切替えを実現する短絡回路23について説明する。図9において、トランジスタ26は制御手段41からの切替え信号Eに基づいてONする(導通する)。フォトカプラ25は、発光ダイオードと受光素子である2つのトランジスタからなる。トランジスタ26がONすることにより、発光ダイオードが光り、受光したトランジスタがONする。短絡スイッチ22は、本実施の形態ではMOS-FET等の半導体スイッチからなる。フォトカプラ25のトランジスタがONすることにより、ゲートの電圧印加が変化してON状態になる。これにより、3相整流回路21と接続された各相の電動機巻線の中性点側が電気的に接続し、上述したように電動機巻線仕様がスター接続仕様となる。短絡スイッチ22がOFF状態の場合は、電動機6からの電流が流れなくなり、電動機巻線仕様が開放巻線仕様となる。
【0059】
次に短絡回路23がONしたときの動作について説明する。制御手段41からの切替え信号EがHIであるとき、トランジスタ26がONする。これにより、フォトカプラ25内においては、発光ダイオードが光り、その光を受けたトランジスタが導通する。これに連動して短絡スイッチ22がONする。短絡スイッチ22がONすることにより、三相整流回路21を介して電動機巻線の中性点側を電気的に接続することができる。」
コ 「【0061】
また、短絡スイッチ22として半導体スイッチを用いるようにしたので、上述した境界モード運転を行う領域の幅を狭くすることができ、素早く電動機巻線仕様を切替えることが可能である。さらに、短絡スイッチ22として低抵抗なMOS-FET等を利用するようにしたので、スレーブ側インバータ回路3のスイッチング素子を全てONして(導通させて)スター接続仕様とする場合に比べて、スイッチング素子を介した場合に比べてトータルの損失を低減することができる。特に、電動機電流が小さい場合に損失低減の効果が大きく、一層の高効率化が期待できる。また、電動機駆動の際の動作点・力率・変調率等によっては高効率に運転することが可能である。」
サ 「【0067】
実施の形態5.
図13は本発明の実施の形態4に係る冷凍空気調和装置の構成図である。本実施の形態では、冷凍空気調和装置の例として空気調和装置について説明する。図13の空気調和装置は、熱源側ユニット(室外機)100と負荷側ユニット(室内機)200とを備え、これらが冷媒配管で連結され、主となる冷媒回路(以下、主冷媒回路という)を構成して冷媒を循環させている。冷媒配管のうち、気体の冷媒(ガス冷媒)が流れる配管をガス配管300とし、液体の冷媒(液冷媒。気液二相冷媒の場合もある)が流れる配管を液配管400とする。
【0068】
熱源側ユニット100は、本実施の形態においては、圧縮機101、油分離器102、四方弁103、熱源側熱交換機104、熱源側ファン105、アキュムレータ(気液分離器)106、熱源側絞り装置(膨張弁)107、冷媒間熱交換器108、バイパス絞り装置109および熱源側制御装置111の各装置(手段)で構成する。
【0069】
圧縮機101は、上述の実施の形態で説明した電動機6を有し、冷媒を吸入して、その冷媒を圧縮して高温・高圧のガス状態にして冷媒配管に流す。圧縮機101の運転制御については、例えば上述の実施の形態で説明したマスター側インバータ回路2、スレーブ側インバータ回路3等を圧縮機101に備え、運転周波数を任意に変化させることにより、圧縮機101の容量(単位時間あたりの冷媒を送り出す量)を細かく変化させることができるものとする。」
シ 引用文献1には、図1、図4、図8、図9として、次の図が記載されている。
[図:0001404760000001.jpg]
[図:0001404760000002.jpg]
(2)引用文献1の記載事項からわかること
上記(1)より、引用文献1には、次の事項が記載されていることがわかる。
ア マスター側インバータ回路は、電動機巻線の中性点を切り離して引き出された電動機の引き出し線と接続している(上記(1)ア)。この引き出し線は、上記(1)シに示す図1の記載から3本である。また、スレーブ側インバータ回路には、マスター側インバータ回路とは別の引き出し線が接続されており(上記(1)ア)、この引き出し線も上記(1)シに示す図1の記載から3本ある。さらに、短絡回路は、スレーブ側インバータ回路と並列に引き出し線と接続し(上記(1)ア)、この短絡回路は、電動機巻線を電気的に接続する(上記(1)ク)。また、上記(1)シに示す図1の記載から、この電動機巻線も3本ある。
イ 短絡回路23は、電動機巻線を電気的に接続する切替えを行うものであり(上記(1)ク)、短絡回路23をONの状態とし、電動機巻線を電気的に接続すると、電動機6は、マスター側インバータ回路2による1台のみの動作で電動機6を駆動運転するスター接続仕様となり、短絡回路23をOFFの状態とすると、電動機6は、マスター側インバータ回路2とスレーブ側インバータ回路3による動作で駆動運転される開放巻線仕様となる(上記(1)イ及びオ、ク)。
ウ 短絡回路23は、3相整流回路21と短絡スイッチ22を有し(上記(1)ウ)、3相整流回路21には、電動機巻線のスレーブ側インバータ回路3に接続される引き出し線が接続され、短絡スイッチ22は、この3相整流回路21の一方側と他方側を短絡させるスイッチである(上記(1)シに示す図1及び図9)。そして、短絡スイッチ22をMOS-FETとし、MOS―FETのドレインとソースを3相整流回路21の一方側と他方側にそれぞれ接続している(上記(1)ケ、上記(1)シに示す図9)。
エ 冷凍空気調和装置は、熱源側ユニット(室外機)100を備え、この熱源側ユニット(室外機)100は、圧縮機101等で構成され、圧縮機101は、上記(1)アないしコ及びシにおいて図示された電動機駆動装置を有するものであるから、結局、冷凍空気調和装置は、上記(1)アないしコ及びシにおいて図示された電動機駆動装置を備える(上記(1)サ)。
オ 電動機駆動装置は、電動機6の駆動周波数に係るデータ又は電動機6の負荷トルクのデータに基づいて短絡回路23の切替え動作を行うものであって、あらかじめ定められた所定値と比較して駆動周波数が低いとき、負荷トルクが小さいときには、短絡回路23をONの状態とし、電動機巻線仕様をスター接続仕様とし、所定値と比較して駆動周波数が高いとき、負荷トルクが大きいときには短絡回路23をOFFの状態とし、電動機巻線仕様を開放巻線仕様とする(上記(1)オ)。したがって、電動機駆動装置は、電動機6の駆動周波数に係るデータ又は負荷トルクのデータに基づいてスター接続仕様と開放巻線仕様の選択が行われ、あらかじめ定められた所定値と比較して駆動周波数が低いときはスター接続仕様が選択され、あらかじめ定められた所定値と比較して駆動周波数が高いときは、開放巻線仕様が選択される。
カ 電動機巻線仕様をスター接続仕様から開放巻線仕様に切替える際、短絡回路23をONの状態からOFFの状態に切替え、この後、各インバータ回路が所定の比率で電圧を印加して協調動作を行いつつ、電動機6を協調運転する(上記(1)キ)。ここで、スター接続仕様のときには、マスター側インバータ回路2による電圧が電動機6に印加され、スレーブ側インバータ回路3による電圧は電動機6に印加されておらず、開放巻線仕様のときには、マスター側インバータ回路2とスレーブ側インバータ回路3による電圧が電動機6に印加される(上記1(イ)及び(エ))から、電動機巻線仕様をスター接続仕様から開放巻線仕様に切替える際、短絡回路23をONの状態からOFFの状態に切替えた後、スター接続仕様のときには電動機6に電圧を印加していなかったスレーブ側インバータ回路3による電圧の印加が開始されることとなる。そして、このようなタイミングでのスレーブ側インバータ回路3による電圧の印加は、上記(1)シに示す図8の記載とも整合している。
キ 開放巻線仕様からスター接続仕様に移行する場合、線間電圧発生をマスター側インバータ回路2のみで行うようにし、駆動周波数、駆動トルクが所定値に到達すると、短絡回路23をOFFの状態からからONの状態に切替える(上記(1)キ)。線間電圧発生をマスター側インバータ回路2のみで行うようにしているから、スレーブ側インバータ回路3による電圧の印加が停止しているといえる。また、駆動周波数、駆動トルクが所定値A2になったとき線間電圧発生をマスター側インバータ回路2のみで行うようにし、その後、さらに駆動周波数、駆動トルクが低下して、別の所定値Aになったときに、短絡回路23をOFFの状態からからONの状態に切替えている(上記(1)キ及び(1)シに示す図4)。
ク スター接続仕様から開放巻線仕様へ移行する場合、まず、制御手段41はスレーブ側インバータ回路3に送信する第2PWM信号により、各相中性点電位(母線電圧の半分の電位、中間電圧)を出力(印加)するための動作として、スレーブ側インバータ回路3側からは、キャリア周期内において各相に印加する電圧のデューティ比を50[%]として電動機6を駆動運転させるようにする(上記(1)カ)から、スレーブ側インバータ回路3は、各相に印加する電圧のデューティ比を50[%]とするように動作する。そして、その後に、短絡回路23がONからOFFに切替えられる(上記(1)カ)。
また、開放巻線仕様からスター接続仕様へ移行する場合、まず、制御手段41はスレーブ側インバータ回路3に送信する第2PWM信号により、各相中性点電位(母線電圧の半分の電位、中間電圧)を出力(印加)するための動作として、スレーブ側インバータ回路3側からは、キャリア周期内において各相に印加する電圧のデューティ比を50[%]として電動機6を駆動運転させるようにする(上記(1)カ)から、スレーブ側インバータ回路3は、各相に印加する電圧のデューティ比を50[%]とするように動作する。そして、その後に、短絡回路23がOFFからONに切替えられる(上記(1)カ)。
(3)引用文献1に記載された発明
上記(1)及び(2)アないしウより、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。
・引用発明1
「電動機6の3本の電動機巻線の中性点を切り離して引き出された電動機6の引き出し線に接続されたマスター側インバータ回路2と、
前記3本の電動機巻線の前記マスター側インバータ回路2とは別の3本の引き出し線に接続されたスレーブ側インバータ回路3と、
前記スレーブ側インバータ回路3と並列に引き出し線と接続し、前記3本の電動機巻線を電気的に接続する短絡回路23とを備え、
前記電動機6は、前記短絡回路23をON状態とし、前記3本の電動機巻線を電気的に接続し、前記マスター側インバータ回路2による動作で駆動運転されるスター接続仕様、または前記短絡回路23をOFF状態として、前記マスター側インバータ回路2と前記スレーブ側インバータ回路3による動作で駆動運転される開放巻線仕様で駆動され、
前記短絡回路23は、前記スレーブ側インバータ回路3に接続される引き出し線が接続される3相整流回路21と前記3相整流回路21の一方側と他方側を短絡するMOS-FETを有し、前記MOS―FETのソースとドレインは、前記3相整流回路21の一方側と他方側のそれぞれに接続されている。
電動機駆動装置。」
また、特に上記(1)サ及び上記(2)エより、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)も記載されている。
・引用発明2
「引用発明1の電動機駆動装置を備える冷凍空気調和装置。」
さらに、引用発明1の認定事項に加え、特に、上記(1)オ及び(2)オより、引用文献1には、次の発明(以下、それぞれ「引用発明3」及び「引用発明4」という。)も記載されている。
・引用発明3
「電動機6の3本の電動機巻線の中性点を切り離して引き出された電動機6の引き出し線に接続されたマスター側インバータ回路2と、
前記3本の電動機巻線の前記マスター側インバータ回路2とは別の3本の引き出し線に接続されたスレーブ側インバータ回路3と、
前記スレーブ側インバータ回路3と並列に引き出し線と接続し、前記3本の電動機巻線を電気的に接続する短絡回路23とを備え、
前記電動機6は、前記短絡回路23をON状態とし、前記3本の電動機巻線を電気的に接続し、前記マスター側インバータ回路2による動作で駆動運転されるスター接続仕様、または前記短絡回路23をOFF状態として、前記マスター側インバータ回路2と前記スレーブ側インバータ回路3による動作で駆動運転される開放巻線仕様で駆動され、
前記電動機6の駆動周波数に係るデータ又は負荷トルクのデータに基づいて前記スター接続仕様と前記開放巻線仕様の選択が行われ、
前記短絡回路23は、前記スレーブ側インバータ回路3に接続される引き出し線が接続される3相整流回路21と前記3相整流回路21の一方側と他方側を短絡するMOS-FETを有し、前記MOS―FETのソースとドレインは、前記3相整流回路21の一方側と他方側のそれぞれに接続されている。
電動機駆動装置。」
・引用発明4
「電動機6の3本の電動機巻線の中性点を切り離して引き出された電動機6の引き出し線に接続されたマスター側インバータ回路2と、
前記3本の電動機巻線の前記マスター側インバータ回路2とは別の3本の引き出し線に接続されたスレーブ側インバータ回路3と、
前記スレーブ側インバータ回路3と並列に引き出し線と接続し、前記3本の電動機巻線を電気的に接続する短絡回路23とを備え、
前記電動機6は、前記短絡回路23をON状態とし、前記3本の電動機巻線を電気的に接続し、前記マスター側インバータ回路2による動作で駆動運転されるスター接続仕様、または前記短絡回路23をOFF状態として、前記マスター側インバータ回路2と前記スレーブ側インバータ回路3による動作で駆動運転される開放巻線仕様で駆動され、
前記電動機6の駆動周波数に係るデータ又は負荷トルクのデータに基づいて前記スター接続仕様と前記開放巻線仕様の選択が行われ、
前記電動機6の駆動周波数に係るデータがあらかじめ定められた所定値と比較して低いときは前記スター接続仕様が選択され、前記電動機6の駆動周波数に係るデータがあらかじめ定められた前記所定値と比較して高いときは前記開放巻線仕様が選択され、
前記短絡回路23は、スレーブ側インバータ回路3に接続される引き出し線が接続される3相整流回路21と前記3相整流回路21の一方側と他方側を短絡するMOS-FETを有し、前記MOS―FETのソースとドレインは、前記3相整流回路21の一方側と他方側のそれぞれに接続されている。
電動機駆動装置。」
引用発明1の認定事項に加え、特に、上記(1)キ及び(2)カより、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明5」という。)も記載されている。
・引用発明5
「電動機6の3本の電動機巻線の中性点を切り離して引き出された電動機6の引き出し線に接続されたマスター側インバータ回路2と、
前記3本の電動機巻線の前記マスター側インバータ回路2とは別の3本の引き出し線に接続されたスレーブ側インバータ回路3と、
前記スレーブ側インバータ回路3と並列に引き出し線と接続し、前記3本の電動機巻線を電気的に接続する短絡回路23とを備え、
前記電動機6は、前記短絡回路23をON状態とし、前記3本の電動機巻線を電気的に接続し、前記マスター側インバータ回路2による動作で駆動運転されるスター接続仕様、または前記短絡回路23をOFF状態として、前記マスター側インバータ回路2と前記スレーブ側インバータ回路3による動作で駆動運転される開放巻線仕様で駆動され、
前記スター接続仕様から前記開放巻線仕様への切替えの際、前記短絡回路23をONの状態からOFFの状態に切替えた後に、前記スレーブ側インバータ回路3による電圧の印加が開始され、
前記短絡回路23は、前記スレーブ側インバータ回路3に接続される引き出し線が接続される3相整流回路21と前記3相整流回路21の一方側と他方側を短絡するMOS-FETを有し、前記MOS―FETのソースとドレインは、前記3相整流回路21の一方側と他方側のそれぞれに接続されている。
電動機駆動装置。」
引用発明1の認定事項に加え、特に、上記(1)キ、(1)シに示す図4、及び(2)キより、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明6」という。)も記載されている。
・引用発明6
「電動機6の3本の電動機巻線の中性点を切り離して引き出された電動機6の引き出し線に接続されたマスター側インバータ回路2と、
前記3本の電動機巻線の前記マスター側インバータ回路2とは別の3本の引き出し線に接続されたスレーブ側インバータ回路3と、
前記スレーブ側インバータ回路3と並列に引き出し線と接続し、前記3本の電動機巻線を電気的に接続する短絡回路23とを備え、
前記電動機6は、前記短絡回路23をON状態とし、前記3本の電動機巻線を電気的に接続し、前記マスター側インバータ回路2による動作で駆動運転されるスター接続仕様、または前記短絡回路23をOFF状態として、前記マスター側インバータ回路2と前記スレーブ側インバータ回路3による動作で駆動運転される開放巻線仕様で駆動され、
前記開放巻線仕様から前記スター接続仕様への切替えの際、前記スレーブ側インバータ回路3による電圧の印加が停止した後に、前記短絡回路23がOFFの状態からONの状態に切替えられ、
前記短絡回路23は、前記スレーブ側インバータ回路3に接続される引き出し線が接続される3相整流回路21と前記3相整流回路21の一方側と他方側を短絡するMOS-FETを有し、前記MOS―FETのソースとドレインは、前記3相整流回路21の一方側と他方側のそれぞれに接続されている。
電動機駆動装置。」
引用発明1の認定事項に加え、特に、上記(1)カ及び(2)クより、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明7」という。)も記載されている。
・引用発明7
「電動機6の3本の電動機巻線の中性点を切り離して引き出された電動機6の引き出し線に接続されたマスター側インバータ回路2と、
前記3本の電動機巻線の前記マスター側インバータ回路2とは別の3本の引き出し線に接続されたスレーブ側インバータ回路3と、
前記スレーブ側インバータ回路3と並列に引き出し線と接続し、前記3本の電動機巻線を電気的に接続する短絡回路23とを備え、
前記電動機6は、前記短絡回路23をON状態とし、前記3本の電動機巻線を電気的に接続し、前記マスター側インバータ回路2による動作で駆動運転されるスター接続仕様、または前記短絡回路23をOFF状態として、前記マスター側インバータ回路2と前記スレーブ側インバータ回路3による動作で駆動運転される開放巻線仕様で駆動され、
前記スター接続仕様から前記開放巻線仕様への切替えの際、前記スレーブ側インバータ回路3が、各相に印加する電圧のデューティ比を50[%]とするように動作した後に、短絡回路23がONからOFFに切替えられる
電動機駆動装置。」
引用発明1の認定事項に加え、特に、上記(1)カ及び(2)クより、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明8」という。)も記載されている。
・引用発明8
「電動機6の3本の電動機巻線の中性点を切り離して引き出された電動機6の引き出し線に接続されたマスター側インバータ回路2と、
前記3本の電動機巻線の前記マスター側インバータ回路2とは別の3本の引き出し線に接続されたスレーブ側インバータ回路3と、
前記スレーブ側インバータ回路3と並列に引き出し線と接続し、前記3本の電動機巻線を電気的に接続する短絡回路23とを備え、
前記電動機6は、前記短絡回路23をON状態とし、前記3本の電動機巻線を電気的に接続し、前記マスター側インバータ回路2による動作で駆動運転されるスター接続仕様、または前記短絡回路23をOFF状態として、前記マスター側インバータ回路2と前記スレーブ側インバータ回路3による動作で駆動運転される開放巻線仕様で駆動され、
前記開放巻線仕様から前記スター接続仕様への切替えの際、前記スレーブ側インバータ回路3が、各相に印加する電圧のデューティ比を50[%]とするように動作した後に、短絡回路23がOFFからONに切替えられる
電動機駆動装置。」
2 引用文献2について
(1)引用文献2の記載事項
引用文献2には、次の事項が記載されている。
ア 「【0002】
従来、固定子巻線が独立巻線化された電動機は、電動機の巻線をY結線とΔ結線とを切替えることにより、電動機の運転範囲を拡大したり、適用する製品の出力トルクを増加させ、また、最高回転数を増加させたり、大容量化することを目的として使用されている。」
イ 「【0017】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、第1の目的はY結線とΔ結線の両方の利点を有するべく、Y結線状態とΔ結線状態との中間の状態の運転、および過変調運転を2台のインバータ部による制御にてY結線のごとく電動機制御を実現することにより、モータ定数を結線状態に応じて換えることなく線形性を保持したまま、電動機を最高効率条件にて常時駆動することが可能な電動機駆動制御装置を得るものである。」
ウ 「【0094】
本実施の形態では、低速回転時にはY結線等価動作状態で動作させ、Y結線で効率が低下する領域より、Y結線等価動作状態からΔ結線等価動作状態へ状態遷移させることができる。よって、中高速回転時はY結線時の効率ピークからΔ結線時の効率ピーク状態を保持して駆動させることができる。
【0095】
単純にY結線とΔ結線を切替える方法であっても、従来品より低速回転時の効率を向上させることは可能であるが、本実施の形態は、Y結線とΔ結線と中間の動作状態を作り出すことにより効率ピーク状態を保持して駆動させることができるので、より中間速度領域での効率を高めることができる。」
3 引用文献3について
(1)引用文献3の記載事項
引用文献3には、次の事項が記載されている。
ア 「【0002】
従来、固定子巻線が独立巻線化された電動機は、電動機の巻線をY結線とΔ結線とを切替えることにより、電動機の運転範囲を拡大したり、適用する製品の出力トルクを増加させ、また、最高回転数を増加させたり、大容量化することを目的として使用されている。」
イ 「【0017】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、第1の目的はY結線とΔ結線の両方の利点を有するべく、Y結線状態とΔ結線状態との中間の状態の運転、および過変調運転を2台のインバータ部による制御にてY結線のごとく電動機制御を実現することにより、モータ定数を結線状態に応じて換えることなく線形性を保持したまま、電動機を最高効率条件にて常時駆動することが可能な電動機駆動制御装置を得るものである。」
ウ 「【0094】
本実施の形態では、低速回転時にはY結線等価動作状態で動作させ、Y結線で効率が低下する領域より、Y結線等価動作状態からΔ結線等価動作状態へ状態遷移させることができる。よって、中高速回転時はY結線時の効率ピークからΔ結線時の効率ピーク状態を保持して駆動させることができる。
【0095】
単純にY結線とΔ結線を切替える方法であっても、従来品より低速回転時の効率を向上させることは可能であるが、本実施の形態は、Y結線とΔ結線と中間の動作状態を作り出すことにより効率ピーク状態を保持して駆動させることができるので、より中間速度領域での効率を高めることができる。」
4 引用文献4について
(1)引用文献4の記載事項
引用文献4には、次の事項が記載されている。なお、翻訳は、申立人提出のものによる。
ア 「
[図:0001404760000003.jpg]
」
(翻訳:[0010]3相モータの巻線切替装置であって、モータ固定子巻線1を含み、前記モータ固定子巻線1の3相は二段に分けられる。一段は外部端子に接続された高低速駆動巻線であり、巻数はW1である。3相巻線はそれぞれA、B、Cと記し、全体はABC巻線とする。他の一段は外部端子に接続された低速駆動巻線であり、低速時のみ回路に接続し、巻数はW2である。3相巻線はそれぞれa、b、cと記し、全体はabc巻線とする。ABC巻線とabc巻線の中性点はいずれも直接接続されるのではなく、それぞれ3つの制御可能半導体スイッチを介して互いに接続されている。前記ABC巻線が接続している制御可能半導体スイッチは、それぞれ第1制御可能半導体スイッチS1、第2制御可能半導体スイッチS2および第3制御可能半導体スイッチS3であり、高速切替回路2を形成している。前記abc巻線が接続している制御可能半導体スイッチは、それぞれ第4制御可能半導体スイッチS4、第5制御可能半導体スイッチS5および第6制御可能半導体スイッチS6であり、低速切替回路3を形成している。高速切替回路2および低速切替回路3は全体として巻線切替装置4を形成している。)
イ 「
[図:0001404760000004.jpg]
」
(翻訳:[0011]前記ABC巻線およびabc巻線の3相巻線は、それぞれ制御可能半導体スイッチの同一端に接続され、制御可能半導体スイッチの他端は共に短絡されている。)
ウ 「
[図:0001404760000005.jpg]
」
(翻訳:[0013]前記モータの巻線切替装置の制御方法は、モータの低速運転時、モータ制御装置が主インバータ回路にPWM操作信号を送ると同時に、低速切替回路3の第4制御可能半導体スイッチS4、第5制御可能半導体スイッチS5および第6制御可能半導体スイッチS6に導通信号を発して、制御可能半導体スイッチを導通させ、それによってabc巻線の下部端点を短絡させる。このとき、すべての巻線が操作に関与しており、各相の巻数はw1+w2であって、大きなトルクが発生し、最大トルクはT1に達する。)
エ 引用文献4には、図1として次の図が記載されている。
[図:0001404760000006.jpg]
(2)引用文献4に記載された事項
上記(1)イより、制御可能半導体スイッチの他端はともに短絡されているから、第4制御可能半導体スイッチS4、第5制御可能半導体スイッチS5および第6制御可能半導体スイッチS6の他端は、共通接続点に接続されているといえる。また、上記(1)エに示す図1の記載からみて、3相巻線であるabc巻線は、第4制御可能半導体スイッチS4、第5制御可能半導体スイッチS5および第6制御可能半導体スイッチS6のコレクタにそれぞれ接続され、これら制御可能半導体スイッチS4ないし6のエミッタが共通接続点に接続されている。
そうすると、引用文献4には、3相モータの3相巻線であるabc巻線の中性点を接続する低速切替回路3であって、前記abc巻線と共通接続点とを導通させる第4制御可能半導体スイッチS4、第5制御可能半導体スイッチS5および第6制御可能半導体スイッチS6を有し、前記第4制御可能半導体スイッチS4、第5制御可能半導体スイッチS5および第6制御可能半導体スイッチS6のエミッタは共通接続点に接続され、第4制御可能半導体スイッチS4、第5制御可能半導体スイッチS5および第6制御可能半導体スイッチS6のコレクタは前記3相巻線であるabc巻線に接続されること(以下、「引用文献4に記載された事項」という。)が記載されている。
5 引用文献5について
(1)引用文献5の記載事項
引用文献5には、次の事項が記載されている。
ア 「【0047】
また、インバータ14を構成するスイッチング素子12a~12fと、これに並列に接続された還流ダイオード13a~13fとしては、現在一般的には珪素(Si)を材料とする半導体を用いるのが主流である。しかしながら、これに代えて、炭化珪素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)、ダイヤモンドを材料とするワイドギャップ半導体を用いてもよい。」
第6 当審の判断
1 本件発明11について
(1)本件発明11と引用発明1との対比
本件発明11と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「電動機6」は、本件発明11の「電動機」に相当し、以下同様に、「3本の電動機巻線」は、「複数の巻線」に、「中性点を切り離して引き出された電動機6の引き出し線」は、「第1の端部」に、「マスター側インバータ回路2」は、「第1のインバータ」に、それぞれ、相当する。
また、引用発明1の「マスター側インバータ回路2とは別の3本の引き出し線」は、本件発明11の「第2の端部」に相当し、同様に、「スレーブ側インバータ回路3」は、「第2のインバータ」に相当する。
引用発明1において、「前記スレーブ側インバータ回路3と並列に引き出し線と接続し、3本の電動機巻線を電気的に接続する」ことは、引用発明1の「マスター側インバータ回路2とは別の3本の引き出し線」と接続し、これらの引き出し線を互いに接続することとなるから、引用発明1の「前記スレーブ側インバータ回路3と並列に引き出し線と接続し、3本の電動機巻線を電気的に接続する短絡回路23」は、本件発明11の「前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路」に相当する。
引用発明1の「前記短絡回路23をON状態とし、前記3本の電動機巻線を電気的に接続し」は、本件発明11の「前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ」に相当する。また、引用発明1において、「前記マスター側インバータ回路2による動作で駆動運転される」ことは、マスター側インバータ回路2から出力する交流電圧が「中性点を切り離して引き出された電動機の引き出し線」に印加されて、電動機が駆動運転されることにほかならないから、引用発明1の「前記マスター側インバータ回路2による動作で駆動運転されるスター接続仕様」は、本件発明11の「前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード」に相当する。さらに、引用発明1の「前記短絡回路23をOFF状態として」は、本件発明11の「前記短絡回路がオフして」に相当する。そして、引用発明1の「前記マスター側インバータ回路2とスレーブ側インバータ回路3による動作で駆動運転される」ことは、マスター側インバータ回路2から出力する交流電圧が「中性点を切り離して引き出された電動機の引き出し線」に印加されると共に、スレーブ側インバータ回路3から出力する交流電圧が、「マスター側インバータ回路とは別の3本の引き出し線」に印加されて電動機が駆動運転されることにほかならないから、引用発明1の「前記マスター側インバータ回路2とスレーブ側インバータ回路3による動作で駆動運転される開放巻線仕様」は、本件発明11の「前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モード」に相当する。
引用発明1の「MOS-FET」は、本件発明11の「MOSFET」に相当する。
そうすると、本件発明11と引用発明1とは次の一致点1で一致し、相違点1の点で相違する。
・一致点1
「電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記短絡回路は、MOSFETを有している
電動機駆動装置。」
・相違点1
本件発明11は、短絡回路が有するMOSFETが「前記複数の巻線の前記第2の端部と共通接続ノードとを短絡する複数のMOSFET」であり、「前記MOSFETのソースは共通接続ノードに接続され、前記MOSFETのドレインは前記巻線の前記第2の端子に接続されている」のに対し、引用発明1は、短絡回路23が有するMOS-FETが「前記スレーブ側インバータ回路3に接続される引き出し線が接続される3相整流回路21と前記3相整流回路21の一方側と他方側を短絡するMOS-FET」であり、「前記MOS―FETのソースとドレインは、前記3相整流回路21の一方側と他方側のそれぞれに接続されている」点。
(2)相違点についての判断
上記相違点1について検討する。
まず、引用発明1の短絡回路23のMOS-FETは、半導体スイッチとして動作するものである(上記第5・1(1)オ及び第5・1(1)ケ参照。)。そして、このような半導体スイッチを用いて短絡回路を構成するにあたって、どのように構成するかは、当業者が公知の回路から適宜選択する設計事項である。
そして、上記第5・4(2)に示す引用文献4に記載された事項の低速切替回路3は、3相モータの3相巻線であるabc巻線を共通接続点で互いに導通させるものであるから、半導体スイッチを用いた短絡回路である。また、引用文献4に記載された事項の低速切替回路3の半導体スイッチである第4制御可能半導体スイッチS4、第5制御可能半導体スイッチS5および第6制御可能半導体スイッチS6は、MOS-FETのドレインとソースに相当するコレクタとエミッタが3相巻線と共通接続点にそれぞれ接続している。
そうすると、引用発明1の短絡回路23として、引用文献4に記載された事項の低速切替回路3を採用し、この際、MOS-FETのドレインとソースを3相巻線と共通接続点にそれぞれ接続することは、当業者が容易になし得た事項である。したがって、引用発明1に、引用文献4に記載された事項を適用し、上記相違点1に係る本件発明11の発明特定事項を得ることは当業者が容易になし得た事項である。
(3)本件発明11についての結論
上記(1)及び(2)に示すように、本件発明11は、引用発明1に引用文献4に記載された事項を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものである。
2 本件発明12について
(1)本件発明12と引用発明1との対比、
本件発明12と引用発明1とを対比すると、上記1(1)に示す、本件発明11と引用発明1との対比と同様に対比することができ、本件発明12と引用発明1とは、本件発明11と引用発明1の一致点である一致点1と同様の点で一致し、本件発明11と引用発明1の相違点である上記相違点1と同様の点で相違し、さらに、次の相違点2の点で相違する。
・相違点2
本件発明12のMOSFETは、「ワイドギャップ半導体によって構成されたものである」のに対し、引用発明1のMOS-FETは、ワイドギャップ半導体によって構成されたことが特定されていない点。
(2)相違点についての判断
まず、相違点1について検討すると、引用発明1に、引用文献4に記載された事項を適用し、上記相違点1に係る本件発明12の発明特定事項を得ることは当業者が容易になし得た事項である(上記1(2)参照。)。
次に相違点2について検討すると、本件特許出願前において、スイッチング素子としてワイドギャップ半導体を用いることは周知技術(周知例として、引用文献5(上記第5・5(1)ア参照)がある。)であり、引用発明1のMOS-FETをワイドギャップ半導体として、上記相違点2に係る本件発明12の発明特定事項を得ることは当業者が容易になし得た事項である。
(3)本件発明12についての結論
上記(1)及び(2)に示すように、本件発明12は、引用発明1に引用文献4に記載された事項及び引用文献5に示される周知技術を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものである。
3 本件発明13について
(1)本件発明13と引用発明1との対比、
本件発明13と引用発明1とを対比すると、上記2(1)に示す、本件発明12と引用発明1との対比と同様に対比することができ、本件発明13と引用発明1とは、本件発明11と引用発明1の一致点である一致点1と同様の点で一致し、本件発明11と引用発明1の相違点である上記相違点1と同様の点、本件発明12と引用発明1との相違点である相違点2と同様の点で相違し、さらに次の相違点3の点で相違する。
・相違点3
本件発明13のワイドギャップ半導体は、「SiC又はGaNである」のに対し、引用発明1のMOS-FETは、ワイドギャップ半導体によって構成されたことが特定されておらず(上記相違点2参照)、SiC又はGaNであるか否か不明な点。
(2)相違点についての判断
まず、相違点1について検討すると、引用発明1に引用文献4に記載された事項を適用し、上記相違点1に係る本件発明12の発明特定事項を得ることは当業者が容易になし得た事項である(上記1(2)参照。)。
次に、相違点2及び3について検討する。相違点2と3は、MOSFET素子についての相違点であるから、併せて検討する。
本件特許出願前において、スイッチング素子として、炭化珪素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)を材料とするワイドギャップ半導体を用いることは周知技術(周知例として、引用文献5(上記第5・5(1)ア参照)がある。)である。そして、引用発明1のMOS-FETを、炭化珪素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)を材料とするワイドギャップ半導体として、上記相違点2及び3に係る本件発明13の発明特定事項を得ることは当業者が容易になし得た事項である。
(3)本件発明13についての結論
上記(1)及び(2)に示すように、本件発明13は、引用発明1に引用文献4に記載された事項及び引用文献5に示される周知技術を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものである。
4 本件発明14について
(1)本件発明14と引用発明2との対比、
本件発明14と引用発明2とを対比すると、引用発明2の「引用発明1に記載の電動機駆動装置」と本件発明14の「請求項7から13のいずれか1項に記載の電動機駆動装置」は、上記一致点1(上記1(1)参照)で一致し、引用発明2の「冷凍空気調和装置」は、本件発明14の「空気調和機」に相当する。
そうすると、本件発明14と引用発明2とは次の一致点2で一致し、上記相違点1(上記1(1)参照)と同様の点、又は上記相違点1及び上記相違点2(上記2(1)参照)と同様の点、又は上記相違点1ないし3(上記1(1)、2(1)及び3(1)参照)と同様の点で相違する。
・一致点2
「電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記短絡回路は、MOSFETを有している
電動機駆動装置を備える空気調和機。」
(2)相違点についての判断
引用発明1に引用文献4に記載された事項を適用し、相違点1に係る本件発明11の発明特定事項を得ることは当業者が容易になし得た事項であり(上記1(2)参照)、また、引用発明1に引用文献5に示される周知技術を適用し、相違点2及び相違点3に係る本件発明12及び本件発明13の発明特定事項を得ることも当業者が容易になし得た事項である(上記2(2)、3(2)参照)。そうすると、これらと同様に、引用発明2に引用文献4に記載された事項、引用文献5に示される周知技術を適用し、本件発明14を得ることも当業者が容易になし得た事項である。
(3)本件発明14についての結論
上記(1)及び(2)に示すように、本件発明14は、引用発明2に、引用文献4に記載された事項、又は、引用文献4に記載された事項及び引用文献5に示される周知技術を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものである。
5 本件発明21について
(1)本件発明21と引用発明3との対比
本件発明21と引用発明3とを対比すると、本件発明11と引用発明1と同様に対比することができ(上記1(1)参照)、加えて、引用発明3の「前記電動機6の駆動周波数に係るデータ又は負荷トルクのデータに基づいて」は、本件発明21の「前記電動機の運転状態に応じて」に相当し、同様に、「前記スター接続仕様と前記開放巻線仕様の選択」は、「前記スター結線モード又は前記協調運転モードの選択」に相当する。
そうすると、本件発明21と引用発明3とは、次の一致点3で一致し、上記本件発明11と引用発明1との相違点である相違点1と同様の点で相違する。
・一致点3
「電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記電動機の運転状態に応じて前記スター結線モード又は前記協調運転モードの選択が行われ、
前記短絡回路は、MOSFETを有している
電動機駆動装置。」
(2)相違点についての判断
引用発明1に引用文献4に記載された事項を適用し、上記相違点1に係る本件発明11の発明特定事項を得ることは当業者が容易になし得た事項であり(上記1(2)参照)、同様に引用発明3に引用文献4に記載された事項を適用し、相違点1に係る本件発明21の発明特定事項を得ることも当業者が容易になし得た事項である。
(3)本件発明21についての結論
上記(1)及び(2)に示すように、本件発明21は、引用発明3に引用文献4に記載された事項を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものである。
6 本件発明22について
(1)本件発明22と引用発明4との対比、
本件発明22と引用発明4とを対比すると、本件発明11と引用発明1と同様に対比することができ(上記1(1)参照。)、さらに、本件発明21と引用発明3と同様に対比することができる(上記5(1)参照。)。加えて、引用発明4の「前記電動機6の駆動周波数に係るデータ」は、電動機6の速度によって変化するデータであるから、引用発明4において、「前記電動機6の駆動周波数に係るデータがあらかじめ定められた所定値と比較して低いときは前記スター接続仕様が選択され、前記電動機6の駆動周波数に係るデータがあらかじめ定められた前記所定値と比較して高いときは前記開放巻線仕様が選択され」ることは、本件発明22の「前記電動機の運転状態に応じて前記スター結線モード又は前記協調運転モードの選択が行われ」ることにおける「前記運転状態が前記電動機の速度又は負荷の大きさであ」ることに相当する。
そうすると、本件発明22と引用発明4とは、次の一致点4で一致し、上記本件発明11と引用発明1との相違点である相違点1と同様の点で相違する。
・一致点4
「電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記電動機の運転状態に応じて前記スター結線モード又は前記協調運転モードの選択が行われ、
前記運転状態が前記電動機の速度又は負荷の大きさであり、
前記短絡回路は、MOSFETを有している
電動機駆動装置。」
(2)相違点についての判断
引用発明1に引用文献4に記載された事項を適用し、上記相違点1に係る本件発明11の発明特定事項を得ることは当業者が容易になし得た事項であり(上記1(2)参照)、同様に引用発明4に引用文献4に記載された事項を適用し、相違点1に係る本件発明22の発明特定事項を得ることも当業者が容易になし得た事項である。
(3)本件発明22についての結論
上記(1)及び(2)に示すように、本件発明22は、引用発明4に引用文献4に記載された事項を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものである。
7 本件発明23について
(1)本件発明23と引用発明4との対比、
本件発明23と引用発明4とを対比すると、本件発明11と引用発明1と同様に対比することができ(上記1(1)参照)、さらに、本件発明21と引用発明3と同様に対比することができる(上記5(1)参照)とともに本件発明22と引用発明4と同様に対することができる(上記6(1)参照)。加えて、引用発明4において、「前記電動機6の駆動周波数に係るデータがあらかじめ定められた所定値と比較して低いときは前記スター接続仕様が選択され、前記電動機6の駆動周波数に係るデータがあらかじめ定められた前記所定値と比較して高いときは前記開放巻線仕様が選択され」ることは、本件発明23において「前記電動機の速度が閾値よりも低いときは前記スター結線モードが選択され、前記電動機の速度が前記閾値よりも高いときは、前記協調運転モードが選択され」ることに相当する。
そうすると、本件発明23と引用発明4とは、次の一致点5で一致し、上記本件発明11と引用発明1との相違点である相違点1と同様の点で相違する。
・一致点5
「電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記電動機の運転状態に応じて前記スター結線モード又は前記協調運転モードの選択が行われ、
前記運転状態が前記電動機の速度又は負荷の大きさであり、
前記電動機の速度が閾値よりも低いときは前記スター結線モードが選択され、前記電動機の速度が前記閾値よりも高いときは、前記協調運転モードが選択され、
前記短絡回路は、MOSFETを有している
電動機駆動装置。」
(2)相違点についての判断
引用発明1に引用文献4に記載された事項を適用し、上記相違点1に係る本件発明11の発明特定事項を得ることは当業者が容易になし得た事項であり(上記1(2)参照)、同様に引用発明4に引用文献4に記載された事項を適用し、相違点1に係る本件発明23の発明特定事項を得ることも当業者が容易になし得た事項である。
(3)本件発明23についての結論
上記(1)及び(2)に示すように、本件発明23は、引用発明4に引用文献4に記載された事項を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものである。
8 本件発明24について
(1)本件発明24と引用発明5との対比
本件発明24と引用発明5とを対比すると、本件発明11と引用発明1と同様に対比することができ(上記1(1)参照)、加えて、引用発明5の「前記スター接続仕様から前記開放巻線仕様への切替えの際、前記短絡回路23をONの状態からOFFの状態に切替えた後に、前記スレーブ側インバータ回路3による電圧の印加が開始され」ることは、本件発明24の「前記スター結線モードから前記協調運転モードへの切替えの際、前記短絡回路がオンからオフに切替わった後に、前記第2のインバータによる交流電圧の出力が開始され」ることに相当する。
そうすると、本件発明24と引用発明5とは次の一致点6で一致し、上記本件発明11と引用発明1との相違点である相違点1と同様の点で相違する。
・一致点6
「電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記スター結線モードから前記協調運転モードへの切替えの際、前記短絡回路がオンからオフに切替わった後に、前記第2のインバータによる交流電圧の出力が開始され、
前記短絡回路は、MOSFETを有している
電動機駆動装置。」
(2)相違点についての判断
引用発明1に引用文献4に記載された事項を適用し、上記相違点1に係る本件発明11の発明特定事項を得ることは当業者が容易になし得た事項であり(上記1(2)参照)、同様に引用発明5に引用文献4に記載された事項を適用し、相違点1に係る本件発明24の発明特定事項を得ることも当業者が容易になし得た事項である。
(3)本件発明24についての結論
上記(1)及び(2)に示すように、本件発明24は、引用発明5に引用文献4に記載された事項を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものである。
9 本件発明25について
(1)本件発明25と引用発明6との対比、
本件発明25と引用発明6とを対比すると、本件発明11と引用発明1と同様に対比することができ(上記1(1)参照)、加えて、引用発明6の「前記開放巻線仕様から前記スター接続仕様への切替えの際、前記スレーブ側インバータ回路3による電圧の印加が停止した後に、前記短絡回路23がOFFの状態からONの状態に切替えられ」ることは、本件発明25の「前記協調運転モードから前記スター結線モードへの切替えの際、前記第2のインバータによる交流電圧の出力が停止した後に、前記短絡回路がオフからオンに切替えられ」ることに相当する。
そうすると、本件発明25と引用発明6とは次の一致点7で一致し、上記本件発明11と引用発明1との相違点である相違点1と同様の点で相違する。
・一致点7
「電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動され、
前記協調運転モードから前記スター結線モードへの切替えの際、前記第2のインバータによる交流電圧の出力が停止した後に、前記短絡回路がオフからオンに切替えられ
前記短絡回路は、MOSFETを有している
電動機駆動装置。」
(2)相違点についての判断
引用発明1に引用文献4に記載された事項を適用し、上記相違点1に係る本件発明11の発明特定事項を得ることは当業者が容易になし得た事項であり(上記1(2)参照)、同様に引用発明6に引用文献4に記載された事項を適用し、相違点1に係る本件発明25の発明特定事項を得ることも当業者が容易になし得た事項である。
(3)本件発明25についての結論
上記(1)及び(2)に示すように、本件発明25は、引用発明6に引用文献4に記載された事項を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 令和5年3月31日付けで通知した取消理由(決定の予告)において採用しなかった特許異議の申立ての理由について
申立人は、本件訂正後の請求項7ないし10及び請求項15ないし20に対応する本件訂正前の請求項7ないし10について、本件訂正前の請求項7及び8に係る発明は、引用文献1に記載された発明と同一であり、また引用文献1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであると主張し、本件訂正前の請求項9に係る発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件訂正前の請求項10に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであると主張するから、以下、これらの請求項に係る発明に対応する本件発明7ないし10及び15ないし20について検討する。
1 本件発明7について
(1)本件発明7と引用発明7との対比
本件発明7と引用発明7とを対比すると、上記第6・1(1)に示す、本件発明11と引用発明1との対比と同様に対比することができ、本件発明7と引用発明7とは、次の一致点8で一致し、相違点4で相違する。
・一致点8
「電動機の複数の巻線の第1の端部に接続された第1のインバータと、
前記複数の巻線の第2の端部に接続された第2のインバータと、
前記複数の巻線の前記第2の端部を互いに接続する短絡回路とを備え、
前記電動機は、前記短絡回路がオンして前記第2の端部を互いに短絡させ、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるスター結線モード、または前記短絡回路がオフして、前記第1のインバータから出力された交流電圧が前記第1の端部に印加されるとともに、前記第2のインバータから出力された交流電圧が前記第2の端部に印加される協調運転モードで駆動される
電動機駆動装置。」
・相違点4
本件発明7は、「前記スター結線モードから前記協調運転モードへの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオンからオフに切替えられる」のに対し、引用発明7は、「前記スター接続仕様から前記開放巻線仕様への切替えの際、前記スレーブ側インバータ回路3が、各相に印加する電圧のデューティ比を50[%]とするように動作した後に、短絡回路23がONからOFFに切替えられる」点。
(2)相違点についての判断
上記相違点4について検討する。
引用発明7において、「前記スレーブ側インバータ回路3が、各相に印加する電圧のデューティ比を50[%]とするように動作」するのは、「接続仕様の切替え時における電圧変動に対する不安定現象を少なくするため」(引用文献1[0037])である。ここで、仮に、引用発明7において、スレーブ側インバータ回路3を「上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態」とすると、スレーブ側インバータ回路3のスイッチの半分がオンの状態で、残り半分がオフの状態とはなるが、このような状態は、電動機6の3本の電動機巻線がスレーブ側インバータ回路3のオンとなっているスイッチを通して接続されている状態、すなわち、短絡回路23の状態にかかわらず、実質的にスター接続仕様となるだけであり、スレーブ側インバータ回路3のこのような動作により、各相に印加される電圧のデューティ比が50[%]となるものではない。そうすると、本件発明7において、「前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態にな」ることと、引用発明7において、「前記スター接続仕様から前記開放巻線仕様への切替えの際、前記スレーブ側インバータ回路3が、各相に印加する電圧のデューティ比を50[%]とするように動作」することとは、第2のインバータ(引用発明7のスレーブ側インバータ回路3)の動作として異なるものである。したがって、上記相違点4は、実質的な相違点であり、本件発明7は、引用文献1に記載された発明とはいえない。
そして、引用文献1には、スレーブ側インバータ回路3の動作として、スター接続仕様から開放巻線仕様への切替えの際、「上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後」に、短絡回路23がONからOFFに切替えられることは、記載も示唆もされておらず、また引用文献1の記載から自明な事項ともいえない。
そうすると、引用発明7において、「前記スレーブ側インバータ回路3が、各相に印加する電圧のデューティ比を50[%]となるように動作」することに代えて、スレーブ側インバータ回路3の上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態とすることは、当業者であっても容易であるとはいえない。
そして、本件発明7は、上記相違点4に係る発明特定事項を備えることにより、「第2のインバータ4が3相オンの状態から、交流電圧を出力する状態に移行させると、交流電圧の出力の開始の際にはすでに、第2のインバータ4内のスイッチを介して電流が流れる状態となっており、従って交流電圧の出力の開始がより円滑に行われる」(本件明細書[0146])という引用発明7からは得られない有利な効果を奏するものである。
以上のことから、本件発明7は、引用発明7に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
2 本件発明8について
(1)本件発明8と引用発明8との対比
本件発明8と引用発明8とを対比すると、上記第6・1(1)に示す、本件発明11と引用発明1との対比と同様に対比することができ、本件発明8と引用発明8とは、上記1(1)に示す一致点8と同様の点で一致し、次の相違点5で相違する。
・相違点5
本件発明8は、「前記協調運転モードから前記スター結線モードへの切替えの際、前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後に、前記短絡回路がオフからオンに切替えられる」のに対し、引用発明8は、「前記開放巻線仕様から前記スター接続仕様への切替えの際、前記スレーブ側インバータ回路3が、各相に印加する電圧のデューティ比を50[%]とするように動作した後に、短絡回路23がOFFからONに切替えられる」点。
(2)相違点についての判断
上記相違点5について検討する。
引用発明8において、「前記スレーブ側インバータ回路3が、各相に印加する電圧のデューティ比を50[%]となるように動作」するのは、「接続状態の切替え時における電圧変動に対する不安定現象を少なくするため」(引用文献1[0041])である。ここで、仮に、引用発明8において、スレーブ側インバータ回路3を「上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態」とすると、スレーブ側インバータ回路3のスイッチの半分がオンの状態で、残り半分がオフの状態とはなるが、このような状態は、電動機6の3本の電動機巻線がスレーブ側インバータ回路3のオンとなっているスイッチを通して接続されている状態、すなわち、短絡回路23の状態にかかわらず、実質的にスター接続仕様となるだけであり、スレーブ側インバータ回路3のこのような動作により、各相に印加される電圧のデューティ比が50[%]となるものではない。そうすると、本件発明8において、「前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態にな」ることと、引用発明8において、「前記開放巻線仕様から前記スター接続仕様への切替えの際、前記スレーブ側インバータ回路3が、各相に印加する電圧のデューティ比を50[%]とするように動作」することとは、第2のインバータ(引用発明8のスレーブ側インバータ回路3)の動作として異なるものである。したがって、上記相違点5は、実質的な相違点であり、本件発明8は、引用文献1に記載された発明とはいえない。
そして、引用文献1には、スレーブ側インバータ回路3の動作として、開放巻線仕様からスター接続仕様への切替えの際、「上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態になった後」に、短絡回路23がOFFからONに切替えられることは、記載も示唆もされておらず、また引用文献1の記載から自明な事項ともいえない。
そうすると、引用発明8において、「前記スレーブ側インバータ回路3が、各相に印加する電圧のデューティ比を50[%]となるように動作」することに代えて、スレーブ側インバータ回路3の上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態とすることは、当業者であっても容易であるとはいえない。
そして、本件発明8は、上記相違点5に係る発明特定事項を備えることにより、「第2のインバータ4による交流電圧出力の終了の直後に3相オンの状態にすると、第2のインバータ4内のスイッチに電流が流れる状態が続く。従って、交流電圧出力の停止がより円滑に行われる」(本件明細書[0157])という引用発明8からは得られない有利な効果を奏するものである。
以上のことから、本件発明8は、引用発明8に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
3 本件発明9及び10並びに15ないし20について
本件訂正後の請求項9及び10は、請求項7又は8を引用する形式で記載された請求項であり、本件発明9及び10は、本件発明7又は8の発明特定事項を含み、さらに限定されたものである。
そうすると、本件発明9又は10と引用発明7又は8とは、上記相違点4又は5のいずれかの点で相違する。
また、本件発明15ないし17は、本件発明7の発明特定事項を全て含み、さらに限定されたものであるから、本件発明15ないし17と引用発明7とは、上記相違点4の点で少なくとも相違する。
同様に、本件発明18ないし20は、本件発明8の発明特定事項を全て含み、さらに限定されたものであるから、本件発明18ないし20と引用発明8とは、上記相違点5の点で少なくとも相違する。
そして、引用発明7において、上記相違点4に係る本件発明7の発明特定事を得ること、及び引用発明8において、上記相違点5に係る本件発明8の発明特定事項を得ることのいずれもが容易でないのは、上記1(2)及び2(2)に示すとおりであり、同様に、引用発明7及び8において、上記相違点4又は5に係る本件発明9、10及び15ないし20の発明特定事項を得ることも容易であるとはいえない。
また、申立人が本件発明9及び10が容易に発明をすることができたものであることを示す証拠として提出した引用文献2及び3(上記第5・2及び3)をみても、上記相違点4又は5に係る本件発明9又は10の発明特定事項は、記載されていない。
そうすると、本件発明9、10及び15ないし20は、引用発明7又は8及び引用文献2、3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
4 申立人の主張について
申立人は、特許異議申立書において、引用文献1の[0036]ないし[0039]及び[図5]を引用し、「これによれば、接続仕様の切替え時において、各相中性点電位(母線電圧の半分の電位、中間電圧)を出力(印加)するべく、スレーブ側インバータ回路3側からは、キャリア周期内において各相に印加する電圧のデューティ比を50[%]として電動機6を駆動運転させている。電圧のデューティ比が50[%]である状態とは、スレーブ側インバータ回路3の上アームのスイッチング素子8a~8cがONであり、且つ下アームのスイッチング素子8d~8fがOFFである状態(以下、この状態をA状態という)と、スレーブ側インバータ回路3の上アームのスイッチング素子8a~8cがOFFであり、且つ下アームのスイッチング素子8d~8fがONである状態(以下、この状態をB状態という)が、1キャリア周期内で同じ時間(50%ずつ)発生し、これがキャリア周期毎に繰り返される。この動作によって、スレーブ側インバータ回路3がキャリア周期内に各相に印加する電圧のデューティ比が50[%]となる。したがって、甲第1号証には、上述したA状態とB状態を交互に繰り返しながら接続仕様を切替える態様が開示されている。すなわち、甲第1号証には、「スター接続仕様」から「開放巻線仕様」へ接続仕様を切替える際、各相中性点電位を出力後、つまりA状態又はB状態となった後に、「短絡回路23」が「ONからOFFに切替えられる」ことが開示されている。」(特許異議申立書29ページ3行ないし同ページ20行。改行と空白を省略した。)と主張し、また、令和5年2月22日提出の意見書において、「インバータ技術に関わる当業者であれば、引用文献1の【0037】における「キャリア周期内において各相に印加する電圧のデューティ比を50[%]として電動機を駆動させる」との記載は、各相の上アームのオン、オフが同期してデューティ比が50[%]で駆動する、と認識するのが自然であ」(令和5年2月22日提出の意見書4ページ10行ないし同ページ13行)るとも主張している。
しかし、特許異議申立書でいうA状態とB状態は、いずれも、電動機6の3本の電動機巻線がスレーブ側インバータ回路3の上アームのスイッチング素子8a~8c又は下アームのスイッチング素子8d~8fのうち、ON状態となっているスイッチング素子を通して短絡している状態であり、電動機6は、短絡回路23の状態にかかわらず、実質的にスター接続仕様となるだけである。そして、A状態とB状態を交互に繰り返しても、スター接続仕様の状態が継続するだけである。そうすると、引用発明7又は8において、「前記スレーブ側インバータ回路3が、各相に印加する電圧のデューティ比を50[%]とするように動作」することと、「前記第2のインバータが、上アームのスイッチがすべてオンで且つ下アームのスイッチがすべてオフの状態、又は前記下アームのスイッチがすべてオンで且つ前記上アームのスイッチがすべてオフの状態にな」ることとは、異なるものである。そうすると、電圧のデューティ比が50[%]である状態であることから、A状態とB状態とがキャリア周期毎に繰り返されるという申立人の主張は失当であり、また、インバータ技術に関わる当業者であれば、引用文献1の【0037】の記載から、各相の上アームのオン、オフが同期してデューティ比が50[%]で駆動する、と認識するとする主張も失当である。
したがって、申立人のこの点についての主張は採用することができない。
第8 結論
以上のとおりであるから、本件発明11及び21ないし25は、引用文献1に記載された発明及び引用文献4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また本件発明12ないし14は、引用文献1に記載された発明及び引用文献4に記載された事項、引用文献5に示される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項11ないし14及び21ないし25に係る特許は、法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、本件発明7ないし10及び15ないし20に係る特許は、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。さらに、他に本件請求項7ないし10及び15ないし20に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、請求項1ないし6は、上記第2に示すとおり、訂正により削除された。これにより、本件異議申立ての請求項1ないし6に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2022-700875