特許異議申立
2022-700409
マッサージ機
- 審判番号
- 2022-700409
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2017-125729
- 登録番号
- 6966767
- 請求日
- 2022年05月10日
- 審決日
- 2023年09月27日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】ファミリーイナダ株式会社
- 【権利者代理人】坂本 寛
- 【異議申立人】井上 恭
- 審判長/審判官
- 審判長 佐々木 一浩
- 審判官 後藤 泰輔
- 審判官 井上 哲男
- 分類
- P1651.113-YAA(A61H) / P1651.121-YAA(A61H) / P1651.536-YAA(A61H) / P1651.537-YAA(A61H)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項、特許法第113条第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6966767号発明「マッサージ機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6966767号の特許請求の範囲を、令和 5年 6月 1日提出の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2、5~13〕について訂正することを認める。
特許第6966767号の請求項1ないし13に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6966767号(以下「本件特許」という。)の請求項1~13に係る特許についての出願は、2017年(平成29年) 6月28日(優先権主張 2016年(平成28年) 7月28日)の出願であって、令和 3年10月26日にその特許権の設定登録がされ、令和 3年11月17日に特許掲載公報が発行された。
これに対し、令和 4年 5月10日に特許異議申立人 井上 恭(以下「申立人」という。)より、特許異議の申立てがされたところ、その後の経緯は以下のとおりである。
令和 4年 5月17日提出 申立人による手続補正書
同年 9月 7日付け 取消理由通知
同年10月28日提出 特許権者による意見書
同年11月15日付け 取消理由通知
令和 5年 1月17日提出 特許権者による訂正請求書及び意見書
同年 2月 7日付け 訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)
同年 3月14日提出 申立人による意見書
同年 4月 4日付け 取消理由通知
同年 6月 1日提出 特許権者による訂正請求書及び意見書
同年 6月14日付け 訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)
同年 7月18日提出 申立人による意見書
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和 5年 6月 1日提出の訂正請求書による訂正の請求は、「特許第6966767号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、5~13について、訂正することを求める。」ものであり、その訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。
特許請求の範囲の請求項1の「複数の前記制御モードには、マッサージ機の全ての機能又はほとんど全ての機能を使用者が利用できるフル機能制御モードと、前記フル機能制御モードにおいて使用者が利用可能な機能のうちの少なくとも一部の機能が制限された機能限定制御モードと、を含み、」の記載を、「複数の前記制御モードには、マッサージ機の全ての機能又はほとんど全ての機能を使用者が利用できるフル機能制御モードと、前記フル機能制御モードにおいて使用者が利用可能な機能のうちの少なくとも一部の機能が制限された機能限定制御モードと、を含み、前記機能限定制御モードにおいて制限された前記機能は、前記マッサージ機が有する前記マッサージ部の作動に関する機能を含み、」に訂正する(以下「訂正事項」という。)。
2 一群の請求項について
訂正前の請求項1、2、5~13について、請求項2、5~13は、それぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、上記訂正事項によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、本件訂正は、一群の請求項〔1、2、5~13〕に対して請求されたものであり、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。
3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正の目的の適否
上記訂正事項に係る請求項1についての訂正は、訂正前の請求項1の「機能限定制御モード」において「制限された」「機能」が、「前記マッサージ機が有する前記マッサージ部の作動に関する機能を含」むものに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)新規事項の有無
上記訂正事項の「前記マッサージ機が有する前記マッサージ部の作動に関する機能」については、本件特許明細書の段落【0023】及び【0035】の記載から導き出される事項である。
したがって、上記訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、上記訂正事項は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合する。
(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記訂正事項に係る請求項1についての訂正は、訂正前の請求項1の発明特定事項である「機能限定制御モード」における「制限された」「機能」について、具体的に限定するものであって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
よって、上記訂正事項は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合する。
4 小括
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項の規定によって準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2、5~13〕について訂正することを認める。
第3 本件特許発明
上記のとおり本件訂正が認められるから、本件特許の請求項1~13に係る発明(以下「本件発明1~13」という。これらをまとめて「本件発明」ということもある。)は、令和 5年 6月 1日提出の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
使用者にマッサージを行うマッサージ部を有するマッサージ機において、
前記マッサージ機の各種操作を行うための操作部を有するコントローラと、
使用者が視認する表示部及び/又は音声出力部と、
前記マッサージ機が有する機能を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、マッサージ機の全機能のうち使用者が利用可能な機能が少なくとも一部異なる複数の制御モードを有し、
複数の前記制御モードには、マッサージ機の全ての機能又はほとんど全ての機能を使用者が利用できるフル機能制御モードと、前記フル機能制御モードにおいて使用者が利用可能な機能のうちの少なくとも一部の機能が制限された機能限定制御モードと、を含み、
前記機能限定制御モードにおいて制限された前記機能は、前記マッサージ機が有する前記マッサージ部の作動に関する機能を含み、
前記マッサージ機が所定の状態となった時、前記制御部は前記機能限定制御モードへ移行し、
前記制御部は、前記機能限定制御モードにおいて、前記マッサージ機に関する情報の前記表示部への表示が完了した後、及び/又は前記音声出力部に音声として出力が完了した後に前記機能限定制御モードから前記フル機能制御モードへ移行することを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記情報は、前記マッサージ機の特徴、使用方法、価格又は購入方法の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
使用者にマッサージを行うマッサージ部を有するマッサージ機において、
前記マッサージ機の各種操作を行うための操作部を有するコントローラと、
使用者が視認する表示部及び/又は音声出力部と、
前記マッサージ機が有する機能を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、マッサージ機の全機能のうち使用者が利用可能な機能が少なくとも一部異なる複数の制御モードを有し、
複数の前記制御モードには、マッサージ機の全ての機能又はほとんど全ての機能を使用者が利用できるフル機能制御モードと、前記フル機能制御モードにおいて使用者が利用可能な機能のうちの少なくとも一部の機能が制限された機能限定制御モードと、を含み、
前記マッサージ機が所定の状態となった時、前記制御部は前記機能限定制御モードへ移行し、
前記制御部は、前記機能限定制御モードにおいて、前記マッサージ機を設置する事業者からのメッセージ情報の前記表示部への表示が完了した後、及び/又は前記音声出力部に音声として出力が完了した後に前記機能限定制御モードから前記フル機能制御モードへ移行することを特徴とするマッサージ機。
【請求項4】
前記メッセージ情報は、事業者からの宣伝であることを特徴とする請求項3に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記マッサージ機を起動させる操作を行った時、前記マッサージ部を作動させる操作を行った時、又は使用者と前記マッサージ機の当接を検出した時、前記制御部は前記機能限定制御モードへ移行することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記マッサージ機を停止させる操作を行った時、又はマッサージコースが終了した時、前記制御部は前記機能限定制御モードへ移行することを特徴とする請求項5に記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記操作部は、タッチパネル又は物理ボタンよりなり、
前記機能限定制御モードでは、前記操作部による操作を無効とする、又は操作部を非表示とするよう制御することを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項8】
前記機能限定制御モードでは、前記マッサージ部を作動させる操作を制限するよう制御することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項9】
使用者が凭れる背凭れ部、又は使用者の下肢を支持するフットレストを有し、
前記機能限定制御モードでは、前記背凭れ部又は前記フットレストを移動させる操作は制限しないよう制御することを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項10】
前記操作部は、前記表示部に表示させる情報及び/又は前記音声出力部に出力させる情報を選択可能な選択部を更に有することを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項11】
前記選択部は、前記表示部に表示させる情報を伝達する人物又はキャラクターを複数の中から選択可能であることを特徴とする請求項10に記載のマッサージ機。
【請求項12】
前記選択部は、前記音声出力部に出力させる情報を伝達する音声を複数の中から選択可能であることを特徴とする請求項10又は11に記載のマッサージ機。
【請求項13】
外部との通信手段を有し、
前記通信手段を介して前記情報を取得可能であることを特徴とする請求項1~12のいずれかに記載のマッサージ機。」
第4 取消理由の概要
1 令和 5年 4月 4日付け取消理由について
当審が令和 5年 4月 4日付けで通知した取消理由の概要は以下のとおりである。
令和 5年 1月19日に提出された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1、2、5~13に係る発明は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
請求項1には「前記マッサージ機が有する機能である前記マッサージ部」と記載されているが、本件特許の発明の詳細な説明の段落【0021】、【0023】、【0033】、及び【0035】には、マッサージ部の機能を選択又は作動させることができない旨記載されているものの、「マッサージ部」自体は物であり、「マッサージ機が有する機能」ではないから、物である「マッサージ部」を「マッサージ機が有する機能」として特定しようとする上記請求項1の記載は明確でない。
よって、上記請求項1に係る発明、及び、上記請求項1を直接的又は間接的に引用する本件特許の特許請求の範囲の請求項2、5~13に係る発明は明確でない。
2 令和 4年11月15日付け取消理由及び令和 4年 9月 7日付け取消理由について
当審が令和 4年11月15日付けで通知した取消理由及び令和 4年 9月 7日付けで通知した取消理由の概要は以下のとおりである。
請求項1、2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物(引用文献1)に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
請求項10、11に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1及び2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
請求項12、13に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1ないし3に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2004-248974号公報(甲第7号証)
2.特開2003-250895号公報
3.特開2002-224184号公報(甲第5号証)
第5 取消理由についての当審の判断
1 令和 5年 4月 4日付け取消理由について
本件訂正が認められたことにより、請求項1の「機能限定制御モード」において「制限された」「機能」が、「前記マッサージ機が有する前記マッサージ部の作動に関する機能」であることが明らかとなったことにより、当該取消理由は解消した。
2 令和 4年11月15日付け取消理由及び令和 4年 9月 7日付け取消理由について
(1)引用文献の記載事項、認定事項、引用発明、及び技術的事項
ア 引用文献1
(ア)記載事項
引用文献1には、以下の事項が記載されている。下線は当審にて付与したものである(以下同様。)。
「【0005】
【課題を解決するための手段】
一つの側面からみた本発明(以下、第1発明という)は、被施療者に対するマッサージ動 作を行うマッサージ部を備えたマッサージ機において、少なくとも前記マッサージ動作中 に音楽を流す音楽出力部を備えていることを特徴とする。第1発明によれば、マッサージ 動作中に、音楽出力部から音楽が流れるため、マッサージ施療効果と同時に、音楽による 精神疲労又はストレスの緩和を図ることができる。 」
「【0008】
また、さらに他の側面からみた本発明(以下、第4発明という)は、マッサージ機の主電源がオンであって、かつ被施療者に対してマッサージ動作を行うための操作電源がオンとなることで、前記マッサージ部が動作可能なマッサージ機において、前記主電源がオンであれば、前記操作電源オン・オフにかかわらず、音楽を流すことができる音楽出力部を備えていることを特徴とする。」
「【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、マッサージ機の一例としての椅子型マッサージ機1を示している。この椅子型マッサージ機1は、椅子型に構成されたマッサージ機本体2の各所にマッサージ動作を行うマッサージ部3a,3b,3cを備えており、マッサージ機本体2に着座した被施療者にマッサージを施すことができる。」
「【0017】
図3は、ホルダ11から取り外した操作器10の外観を示しており、操作面100である正面部には、電源のオン・オフ操作を行うための電源ボタン101を備えている。また、操作面100には、マッサージ部3a,3b,3c等を操作するためのマッサージ関連操作ボタン(背もたれ部6のリクライニング操作及び脚載部7の上下回動操作、その他マッサージに関連した動作のための操作ボタンを含む)102が設けられている。」
「【0019】
操作面100には、表示部104が設けられており、操作に関連した表示又はその他必要な表示を文字・図形等によって電子的に表示可能とされている。なお、表示部104は、開閉部103でない範囲に設けられており、具体的には、開閉部103よりも上方の操作面上部に設けられている。
また、操作面100には、スピーカ(音出力部;音楽出力部)105が設けられており、このスピーカ105から音楽が流れる。スピーカ105は、音楽を流すための音楽出力部として機能する他、ボタン101,102が操作されたときの操作音(例えば「ピッ」という音)や、操作のための音声ガイドなどの操作関連電子音を出力する操作関連電子音出力部としても機能する。なお、スピーカ105から音楽が流れているときは、その音楽の説明が表示部104に表示される。当該表示は、流れ文字とするのが好ましい。」
「【0022】
操作器10及びマッサージ機本体2には、マッサージ機本体2に設けられた主電源スイッチ13(図1では図示せず)を介して、電源(家庭用交流電源等)から電力が供給されており、主電源スイッチ13によって、主電源のオン・オフ切替が可能となっている。操作器10の電源ボタン101の操作は、主電源オンの状態で有効であり、主電源オンのときに、電源ボタン101を押すことで、操作電源がオンとなる。電源ボタン101を押して操作電源がオンになると、マッサージ関連操作ボタン102による操作が有効となり、操作電源がオフになると、マッサージ関連操作ボタン102による操作は無効となる。このように、マッサージ関連操作ボタン102の操作をするには、主電源がオン、かつ操作電源オンでなければならない。」
「【0024】
マッサージ動作と同時に音楽を流す場合には、マッサージによる施療効果とともに音楽によるリラックス効果も得られる。しかも、音楽が、マッサージ部の機械部分の動作音や空気給排に伴う動作音に対するマスキングとなって、マッサージ機の動作音を、被施療者が意識しないように和らげることができる。」
「【0026】
本実施形態によれば、音楽出力部であるスピーカ105が、操作器10の操作をしようとする際に被施療者と対向することになる操作面100に設けられているため、スピーカ105から出力される音楽は、自然と被施療者に向かって流れるようになり、好適なスピーカ配置が得られている。しかも、スピーカ105が操作器10の下部に配置されているため、背もたれ部6を後方に倒して、被施療者が横臥状態となっている場合であっても、音楽が被施療者に効率的に流れていく。なお、スピーカ105は、操作器10以外の位置に配置することも可能である。」
「【0029】
マッサージ動作中に流れる音楽は、マッサージ動作の種類に応じて変化するようにしてもよく、例えば、叩き・揉みなどの施療手法に応じて音楽の種類を変えたり、マッサージのスピードの大小に応じて音楽の種類(テンポ)を変えてもよい。また、マッサージコース(施療コース)に応じて音楽の種類を変えてもよく、例えば、求心コースの場合には目覚めの音楽、遠心コースの場合には眠りの音楽というように、音楽の種類を変えることができる。特に、マッサージ(コース)の施療目的に対して相乗効果のある音楽を、当該マッサージ動作中に流すことで、施療効果を一段と高めることができ、例えば、マッサージコースが疲労回復コースである場合には、当該コース中には疲労回復に効果のある音楽を流すのが好ましい。」
「【0034】
図7は、音楽出力中に、マッサージ関連ボタン102操作などの操作器10に対する操作が行われて操作音(操作関連電子音)が出力されるときの処理方式を示している。操作器10に対する操作が行われると、処理装置110は、割り込みをかけて音楽出力を終了させ、スピーカ105からの音楽が消音された状態にしておいてから、操作音をスピーカ105から出力させる。操作音発生後、処理装置110は、音楽出力を再開する。再開の際には、音楽は最初から流れるが、中断したところから継続してもよい。
【0035】
このように、音楽が流れていない状態にしておいて、操作音を発生させることで、被施療者は、音楽に邪魔されることなく操作音を確実に聞き取ることができ、操作が確実となる。また、音声ガイド出力がなされる場合にも、同様に音楽出力を消音することで、被施療者は音声ガイドを確実に聞き取ることができる。さらに、被施療者の音声指示によって操作可能なマッサージ機の場合、音声指示を確実に行うため、音声指示受付中においても音楽出力を止めておくのが好ましい。」
引用文献1には、以下の図が記載されている。
図3
[図:0001404741000001.jpg]
図7
[図:0001404741000002.jpg]
(イ)認定事項
a 段落【0017】の記載、及び図3の図示内容から、操作器10は操作面100を有するといえる。
b 段落【0034】に「図7は、音楽出力中に、マッサージ関連ボタン102操作などの操作器10に対する操作が行われて操作音(操作関連電子音)が出力されるときの処理方式を示している。」、「操作音発生後、処理装置110は、音楽出力を再開する。」と記載され、さらに、段落【0035】に「音声ガイド出力がなされる場合にも、同様に音楽出力を消音する」ことが記載されていることを踏まえると、音声ガイド発生後に音楽出力を再開することは明らかである。
(ウ)引用発明
上記(ア)の記載事項、及び、上記(イ)の認定事項から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「椅子型に構成されたマッサージ機本体2の各所にマッサージ動作を行うマッサージ部3a,3b,3cを備えており、マッサージ機本体2に着座した被施療者にマッサージを施すことができる椅子型マッサージ機1において、
マッサージ部3a,3b,3c等を操作するためのマッサージ関連操作ボタン(背もたれ部6のリクライニング操作及び脚載部7の上下回動操作、その他マッサージに関連した動作のための操作ボタンを含む)102が設けられている操作面100を有する操作器10と、
操作に関連した表示又はその他必要な表示を文字・図形等によって電子的に表示可能とされている表示部104と、
スピーカ105と、
処理装置110であって、
操作器10に対する操作が行われると、処理装置110は、割り込みをかけて音楽出力を終了させ、スピーカ105からの音楽が消音された状態にしておいてから、操作音をスピーカ105から出力させ、操作音発生後、処理装置110は、音楽出力を再開する処理装置110と、
を備えており、
音楽が流れていない状態にしておいて、操作音を発生させることで、被施療者は、音楽に邪魔されることなく操作音を確実に聞き取ることができ、また、操作のための音声ガイド出力がなされる場合にも、同様に音楽出力を消音し、音声ガイド発生後、音楽出力を再開することで、被施療者は操作のための音声ガイドを確実に聞き取ることができる
椅子型マッサージ機1であって、
前記音声ガイドは、操作のための音声ガイドである椅子型マッサージ機1。」
イ 引用文献2の記載事項
引用文献2には、以下の事項が記載されている。
「【0037】図2には、この施療制御のブロック・ダイヤグラムを示す。該リモコン表示部には、音声ガイドのon/offスイッチ15が設けられている。以下、この発明の音声ガイドについて説明する。」
「【0045】また、上記音声ガイドは、音声ガイド・スイッチ(図1の15)により、以下のようなパターンが選択可能になっている。
「フル音声ガイド」→「簡易音声ガイド」→「簡易音声ガイド」→OFF→「フル音声ガイド」に戻る。
【0046】上記パターンの内容は、以下のとおりである。
(1)フル音声ガイド
「呼吸指導」、「警報」に加え、「機能」、「操作方法」がすべて音声ガイドされる。
(2)簡易音声ガイド
「呼吸指導」、「警報」に加え、「機能」のみが音声ガイドされる。
(3)簡易音声ガイド
「呼吸指導」、「警報」に加え、「操作方法」のみが音声ガイドされる。
【0047】従来は音声ガイドの有/無の操作はできるが、使用者によっては音声有りだとうるさいし、無しだと使用方法が分からないことがあり、この発明の音声ガイドはその人のニーズに対応し、フル音声ガイドと簡易音声ガイドを切り替えることができる。」
ウ 引用文献3の記載事項
引用文献3には、以下の事項が記載されている。
「【0038】このような発声だけでなく、マッサージ機1は、使用者との簡単な会話が行えるように成っており、例えば、前回使用したマッサージコースをメモリに登録しておくと、使用者が電源を入れた段階で、「おはようございます。マッサージ機の○○です。前回と同じ疲労回復コースをしますか。はい、いいえ、でお答え下さい。どうぞ!」とすることができる。また、マッサージの終了時間が近くなると、「あと1分でマッサージを終了します」等と残り時間を言葉で発声することも可能である。なお、発声される音声は、男声・女声切換スイッチ36(図2参照)によって、男声と女声に切り換えることができる。」
(2)本件発明1及び2についての判断
ア 対比
本件発明1と引用発明1とを対比する。
(ア)引用発明1の「椅子型に構成されたマッサージ機本体2の各所にマッサージ動作を行うマッサージ部3a,3b,3cを備えており、マッサージ機本体2に着座した被施療者にマッサージを施すことができる椅子型マッサージ機1」は、本件発明1の「使用者にマッサージを行うマッサージ部を有するマッサージ機」に相当する。
(イ)引用発明1の「マッサージ部3a,3b,3c等を操作するためのマッサージ関連操作ボタン(背もたれ部6のリクライニング操作及び脚載部7の上下回動操作、その他マッサージに関連した動作のための操作ボタンを含む)102が設けられている操作面100」は、本件発明1の「前記マッサージ機の各種操作を行うための操作部」に相当する。
(ウ)上記(イ)を踏まえると、引用発明1の「マッサージ部3a,3b,3c等を操作するためのマッサージ関連操作ボタン(背もたれ部6のリクライニング操作及び脚載部7の上下回動操作、その他マッサージに関連した動作のための操作ボタンを含む)102が設けられている操作面100を有する操作器10」は、本件発明1の「前記マッサージ機の各種操作を行うための操作部を有するコントローラ」に相当する。
(エ)引用発明1の「操作に関連した表示又はその他必要な表示を文字・図形等によって電子的に表示可能とされている表示部104」は、本件発明1の「使用者が視認する表示部」に相当する。
(オ)引用発明1の「スピーカ105」は本件発明1の「音声出力部」に相当する。
(カ)引用発明1の「処理装置110」は、「操作器10に対する操作が行われると、処理装置110は、割り込みをかけて音楽出力を終了させ、スピーカ105からの音楽が消音された状態にしておいてから、操作音をスピーカ105から出力させ、操作音発生後、処理装置110は、音楽出力を再開する」制御を行うとともに、「音声ガイド出力がなされる場合にも、同様」の制御を行うから、本件発明1の「前記マッサージ機が有する機能を制御する制御部」に相当する。
(キ)引用発明1の「操作器10に対する操作が行われると、処理装置110は、割り込みをかけて音楽出力を終了させ、スピーカ105からの音楽が消音された状態にしておいてから、操作音をスピーカ105から出力させ、操作音発生後、処理装置110は、音楽出力を再開する」制御、及び、「操作のための音声ガイド出力がなされる場合にも、同様に音楽出力を消音し、音声ガイド発生後、音楽出力を再開する」ことは、「処理装置110」が「音楽出力」を行う第1の制御モードと「割り込みをかけて音楽出力を終了させ、スピーカ105からの音楽が消音された状態にしておいてから、操作音をスピーカ105から出力」又は「音声ガイド出力」がなされる第2の制御モードとを有すると表現できるから、本件発明1の「前記制御部は、マッサージ機の全機能のうち使用者が利用可能な機能が少なくとも一部異なる複数の制御モードを有し」ていることに相当する。
(ク)引用発明1の「音楽出力」を行う際は、引用文献1の段落【0005】、【0008】、【0024】、【0029】の記載から、「音楽出力」に加えて、マッサージ動作を行うことができるモードがあるから、当該モードは、本件発明1の「マッサージ機の全ての機能又はほとんど全ての機能を使用者が利用できるフル機能制御モード」に相当する。これに対し、引用発明1の「割り込みをかけて音楽出力を終了させ、スピーカ105からの音楽が消音された状態にしておいてから、操作音をスピーカ105から出力」又は「音声ガイド出力」を行うモードは、音楽の出力を制限するモードといえるから、本件発明1の「前記フル機能制御モードにおいて使用者が利用可能な機能のうちの少なくとも一部の機能が制限された機能限定制御モード」に相当する。
(ケ)引用発明1では「操作器10に対する操作が行われると、処理装置110は、割り込みをかけて音楽出力を終了させ、スピーカ105からの音楽が消音された状態にしておいてから、操作音をスピーカ105から出力」又は「音声ガイド出力」がなされるから、引用発明1の「操作器10に対する操作が行われる」時又は「音声ガイド出力がなされる」時は、本件発明1の「前記マッサージ機が所定の状態となった時」に相当する。また、引用発明1の「処理装置110は、割り込みをかけて音楽出力を終了させ、スピーカ105からの音楽が消音された状態にしておいてから、操作音をスピーカ105から出力」又は「音声ガイド出力がなされる」ことは、本件発明1の「前記制御部は前記機能限定制御モードへ移行」することに相当する。
(コ)「音声ガイド発生後、音楽出力を再開すること」は、本件発明1の「前記機能限定制御モードにおいて、前記マッサージ機に関する情報」の、「前記音声出力部に音声として出力が完了した後に前記機能限定制御モードから前記フル機能制御モードへ移行する」ことに相当する。
してみると、本件発明1と引用発明1とは以下の相違点で相違し、その余の点で一致する。
<相違点>
本件発明1の「機能限定制御モード」において「制限された」「機能」は、「前記マッサージ機が有する前記マッサージ部の作動に関する機能を含」むのに対して、引用発明1の「機能限定制御モード」において「制限された」「機能」は、音楽の出力である点。
イ 判断
上記相違点に示したとおり、本件発明1の「機能限定制御モード」において「制限された」「機能」は、「前記マッサージ機が有する前記マッサージ部の作動に関する機能」であるところ、引用文献1には、音楽出力を消音したモードは記載されているものの、「マッサージ部3a、3b、3c」等のマッサージ部の作動に関する機能を制限することは記載も示唆もされていない。
してみると、本件発明1は、引用発明1ではない。
また、本件発明2は、本件発明1にさらに発明特定事項を付加したものであるところ、同様の理由で、本件発明2は、引用発明1ではない。
(3)本件発明10~13
本件発明10~13は、本件発明1にさらに発明特定事項を付加したものである。
ここで、引用文献2、3には、上記相違点の本件発明1に係る構成に関して、記載も示唆もない。
してみると、本件発明10~13は、引用文献1ないし3に基いて当業者が容易に想到し得たものでない。
3 小括
以上のとおり、本件訂正が認められたことにより、当審で通知した取消理由はいずれも解消された。
第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由に対する当審の判断
1 特許法第29条第1項第3号及び第2項違反(特許異議申立書63~97頁)
(1)本件発明1について
(申立人の主張の概要)
本件発明1は、甲第1~8号証のいずれかに記載された発明であるか、甲第1~8号証のいずれかの記載に基いて、あるいは、甲第6号証及び甲第5号証、または、甲第8号証及び甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものである。
(当審の判断)
ア 刊行物に記載された発明
(ア)甲第1号証(特開2004-139270号公報)
甲第1号証には、以下の事項が記載されている。
「マッサージ機器」(段落【0020】)。
「・・・駆動部に代えて、リーダライタボックス12」(段落【0020】)。
「ランプ17」(段落【0028】)。
「制御部14」(段落【0021】)。
「前記スタートボタン18は、・・・ランプ17が点灯してIDコード読み込み終了表示された後、顧客が時間貸し機器11を駆動開始させるために押圧操作用のボタンである。」(段落【0032】)
「・・・前記スタートボタン18がオン操作されると、制御部14がタイマー19のタイマーカウント開始と共に、電磁開閉器20をオンさせて、商用電源を機器駆動部15に供給して、時間貸し機器11を駆動させる。タイマー19のタイマカウントが所定のカウント値に達すると、制御部14は、電磁開閉器20をオフ操作させて、機器駆動部15への商用電源供給を停止させるようになっている。」(段落【0033】)。
「ステップS13で制御部14は、タイマー19のタイマーカウントが所定のカウント値に到達しタイムアップしたことを検出すると、ステップS14で制御部14は、電磁開閉器20を開にして、商用電源の供給を停止させ、ステップS15で時間貸し機器11の駆動を停止させる。」(段落【0047】)
「リーダライタボックス・・・の読み込み完了ランプ17が点灯後、スタートボタン18を押圧操作すると時間貸し機器11を所定時間駆動させることができ」(段落【0048】)
上記記載事項から、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「使用者にマッサージを行うマッサージ部を有するマッサージ機器において、
前記マッサージ機器の各種操作を行うための操作部を有するリーダライタボックス12と、
使用者が視認するランプ17と、
前記マッサージ機が有する機能を制御する制御部14と、を有し、
リーダライタボックス12のスタートボタン18がオン操作されると、制御部14がタイマー19のタイマーカウント開始と共に、電磁開閉器20をオンさせて、商用電源を機器駆動部15に供給して、時間貸し機器11を駆動させ、タイマー19のタイマカウントが所定のカウント値に達すると、制御部14は、電磁開閉器20をオフ操作させて、機器駆動部15への商用電源供給を停止させ、時間貸し機器11の駆動を停止させるようになっており、
リーダライタボックス12の読み込み完了ランプ17が点灯後、スタートボタン18を押圧操作すると時間貸し機器11を所定時間駆動させることができるマッサージ機器。」
また、甲第1号証には、以下の事項も記載されている。
「ステップS6で、コンピュータ機器16からチェックイン登録した顧客のIDコードでは無いと判定されると、ステップS7で制御部14は、コンピュータ機器16からのチェックイン登録されてなく、時間貸し機器11を使用できないIDコードである信号を受信して、たとえスタートボタン18がオンされても時間貸し機器11が駆動停止状態を維持するように制御する。」(段落【0042】)
「タイマー19のタイマカウントが所定のカウント値に達すると、制御部14は、電磁開閉器20をオフ操作させて、機器駆動部15への商用電源供給を停止させる」(段落【0033】)
(イ)甲第2号証(特開2012-170605号公報)
甲第2号証には、以下の事項が記載されている。
「椅子型マッサージ機10」(段落【0013】)
「操作器16」(段落【0013】)
「制御部52」(段落【0018】)
「起動スイッチ62がオンされることで、制御部52は、使用者が操作器16の各コース選択スイッチ63による各種コースプログラム等の選択が可能な初期状態S1に移行する。そして、所定時間Ta2においてコース選択スイッチ63のいずれかが操作されることで、制御部52は、使用者がマッサージの設定を行うことができる設定操作期間C1に移行する。制御部52は、この設定操作期間C1に移行するまでは、操作器16の温感スイッチ67が操作されてもヒータ26を駆動できないように設定している(駆動禁止状態H1)。そして、設定操作期間C1に移行すると、制御部52はヒータ26を駆動可能な駆動許可状態H2に切り替え、温感スイッチ67の操作に基づいてヒータ26に所定の電流を印加するようになっている。」(段落【0019】)
「ヒータ26の駆動が禁止された期間で温感スイッチ67が操作された場合に、操作器16の表示部61にエラー表示を行う又は警告音を鳴らす等、使用者に不意な操作を報知する手段を備えてもよい」(段落【0034】)
上記記載事項から、甲第2号証には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「使用者にマッサージを行うマッサージ部を有する椅子型マッサージ機10において、
前記マッサージ機の各種操作を行うための操作部を有する操作器16と、
操作器16の表示部61にエラー表示を行う又は警告音を鳴らす等、使用者に不意な操作を報知する手段と、
前記マッサージ機が有する機能を制御する制御部52と、を有し、
使用者がコース選択スイッチ63を操作し設定操作期間C1に移行すると、ヒータ26を駆動可能な駆動許可状態H2となり、設定操作期間C1に移行するまではヒータ26を駆動できない駆動禁止状態H1とし、
ヒータの駆動が禁止された期間で温感スイッチ67が操作された場合、エラー表示を行う又は警告音を鳴らす等、使用者に不意な操作を報知するマッサージ機。」
また、甲第2号証には、以下の事項も記載されている。
「所定時間Ta6において制御部52は、所定のマッサージコースの終了に伴ってマッサージ機構17及びエアバッグ23,24の動作を停止させると同時にヒータ26の駆動を禁止し、使用者が温感スイッチ67を操作してもヒータ26が駆動できない設定とする(駆動禁止状態H3)。」(段落【0021】)
「温感スイッチ67」(段落【0018】)
(ウ)甲第3号証(特開2003-24400号公報)
甲第3号証には、以下の事項が記載されている。
「マッサージ機1」、「背もたれ3」、「足保持部1a」、(図1、段落【0021】)
「リモコンR」、「表示部A」、「制御ユニット16」(段落【0022】)
「起きるボタンS5a・・・倒れるボタンS5b・・・リクライニング動作中に過電流を検知すると、エラー表示を行い、動作を停止するようにしている。このときは、主電源を一旦切るまでは動作させることはできないようにする。」(段落【0077】)
上記記載事項から、甲第3号証には、次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
「使用者にマッサージを行うマッサージ部を有するマッサージ機1において、
前記マッサージ機の各種操作を行うための操作部を有するリモコンRと、
使用者が視認する表示部A及び/又は音声出力部と、
前記マッサージ機が有する機能を制御する制御ユニット16と、を有し、
リクライニング動作中に渦電流を検知すると、エラー表示を行い、動作を停止し、主電源を一旦切るまでは動作させることができないようになっているマッサージ機。」
(エ)甲第4号証(特開2002-360651号公報)
甲第4号証には、以下の事項が記載されている。
「マッサージ機1」、「リモコンR」、「制御ユニット16」、「背もたれ3」、「足保持部1a」(段落【0013】)
「液晶表示部A」、「スピーカ201」(段落【0036】)
「最下位置にマッサージユニット4が存在する場合に下向きボタンS7を操作した時は「これ以上、下へは移動出来ません」等のメッセージとともに、受け付けを拒否させる」(段落【0033】)
「制御ボタン」(段落【0034】)
上記記載事項から、甲第4号証には、次の発明(以下、「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。
「使用者にマッサージを行うマッサージ部を有するマッサージ機1において、
前記マッサージ機の各種操作を行うための操作部を有するリモコンRと、
使用者が視認する液晶表示部A及び/又はスピーカ201と、
前記マッサージ機が有する機能を制御する制御部ユニット16と、を有し、
最下位置にマッサージユニット4が存在する場合に下向きボタンS7を操作した時に「これ以上、下へは移動出来ません」等のメッセージとともに受け付けを拒否させるマッサージ機。」
(オ)甲第5号証(特開2002-224184号公報)
甲第5号証には、以下の事項が記載されている。
「マッサージ機1」、「背もたれ部2」、「脚載部5」(段落【0017】)
「手動操作部(リモートコントローラ)25」(段落【0021】)
「音声出力部(スピーカ)27」(段落【0022】)
「マッサージ機制御回路(制御部)34」(段落【0025】)
「図4のステップS6のように故障(処理エラー等)が検知されたら、制御回路34へ停止信号を与えて、マッサージを中断する(ステップS7)。そして、音声合成・発声により「安全のため機械が停止しました。電源を入れ直して下さい。」などの合成音声を発して故障の発生を音声で使用者へ伝える(ステップS8)。」(段落【0028】)
上記記載事項から、甲第5号証には、次の発明(以下、「甲5発明」という。)が記載されていると認められる。
「使用者にマッサージを行うマッサージ部を有するマッサージ機1において、
前記マッサージ機の各種操作を行うための操作部を有する手動操作部25と、
音声出力部27と、
前記マッサージ機が有する機能を制御するマッサージ機制御回路34と、を有し、
マッサージ機の故障が検知されたら、制御回路へ停止信号を与えてマッサージを中断するとともに、「安全のため機械が停止しました。電源を入れ直して下さい。」などの合成音声を発して故障の発生を音声で使用者に伝えるマッサージ機。」
また、甲第5号証には、以下の事項も記載されている。
「マッサージ機の基本的使用や、マッサージ機の自動コースなどの特徴やセールスポイントなどの販売促進効果のある音声出力がなされる。つまり、マッサージ機自身がセールストークを行う。」(段落【0039】)
上記記載事項から、甲第5号証には、次の技術的事項(以下、「技術的事項5」という。)が記載されていると認められる。
「マッサージ機において、マッサージ機の自動コースなどの特徴やセールスポイントなどの販売促進効果のある音声出力をすること。」
(カ)甲第6号証(特開2004-173934号公報)
甲第6号証には、以下の事項が記載されている。
「マッサージ機1」、「背凭れ部3」、「フットレスト4」(段落【0019】)
「リモートコントローラ32」(段落【0030】)
「液晶表示部35」、「スピーカ41」、「押しボタンスイッチ式の複数の操作キー」(段落【0031】)
「制御部44」(段落【0033】)
「入力音声が「音声停止」と発音された音声であると制御部44が認識した場合には(ステップS28でYes)、制御部44は内容説明メッセージの音声出力を停止する(ステップS29)」(段落【0044】、図7)
「入力音声が「音声開始」と発声された音声であると制御部44が認識した場合には(ステップS32でYes)、制御部44は再び内容説明メッセージの音声出力を開始し(ステップS33)、ステップS26に処理を戻す」(段落【0046】、図8)
上記記載事項から、甲第6号証には、次の発明(以下、「甲6発明」という。)が記載されていると認められる。
「使用者にマッサージを行うマッサージ部を有するマッサージ機1において、
前記マッサージ機の各種操作を行うための操作部を有するリモートコントローラ32と、
使用者が視認する液晶表示部35及び/又はスピーカ41と、
前記マッサージ機が有する機能を制御する制御部44と、を有し、
入力音声が「音声停止」と発音された音声であると制御部が認識した場合、内容説明メッセージの音声出力を停止し、入力音声が「音声開始」と発音された音声であると制御部が認識した場合、再び内容説明メッセージの出力を開始するマッサージ機。」
また、甲第6号証には、以下の事項も記載されている。
「各マッサージコースの内容を説明するメッセージ(本発明に係る内容説明情報。以下、内容説明メッセージという。)」(段落【0039】)
(キ)甲第7号証(特開2004-248974号公報)
甲第7号証には、第5の2(1)で引用発明1として認定した発明(以下、「甲7発明」という。)が記載されている。
(ク)甲第8号証(特開2011-92513号公報)
甲第8号証には、以下の事項が記載されている。
「椅子型マッサージ機(10)」(段落【0022】)
「背凭れ部(14)」、「脚部用ユニット(16)」(段落【0041】)
「操作部(40)」「操作ボタン」(段落【0026】)
「操作部(40)には、選択されたマッサージコース、マッサージ手段(20)(22)(24)の動作状態、位置、強さ、経過時間等のマッサージ情報などを表示する表示部(49)を具える。」(段落【0031】)
「制御手段(50)」(段落【0033】)
「制御手段(50)は、対価受領装置(60)に対価が投入されるまでは(ステップ1)、第1電源ライン(54)から給電を受けて、所定の動作、即ち、リクライニング機構(28)の操作のみを許容させる(ステップ2)。より望ましくは、座部(12)、背凭れ部(14)及び脚部用ユニット(16)をホームポジション(図2(a)参照)に戻す操作(図4のホームポジション復帰ボタン(48a))のみを許容させる。」(段落【0041】)
「対価受領装置(60)に対価が投入されると(ステップ1)、対価受領装置(60)の内蔵タイマーが動作開始すると共に、第2電源ライン(56)から対価受領装置(60)、受領装置検出回路(52)を介して制御手段(50)に電源が供給される(ステップ3)。
対価受領装置(60)のタイマー動作中は、制御手段(50)は、操作部(40)の所定の操作を許容する。」(段落【0042】)
「図4は、業務用モードにて操作可能な操作ボタンを例示した操作部(40)の平面図である」(段落【0043】)
「タイマーにより所定時間がカウントされると(ステップ4)、マッサージ手段(20)(22)(24)の動作を停止させ、第2電源ライン(56)からの給電を遮断し、上記の如く、座部(12)、背凭れ部(14)及び脚部用ユニット(16)をホームポジションに復帰させる操作(ホームポジション復帰ボタン(48a))のみの操作を許容させる(ステップ2)。」(段落【0047】)
上記記載事項から、甲第8号証には、次の発明(以下、「甲8発明」という。)が記載されていると認められる。
「使用者にマッサージを行うマッサージ部を有するマッサージ機10において、
前記マッサージ機の各種操作を行うための操作部を有する操作部40と、
使用者が視認する表示部49と、
前記マッサージ機が有する機能を制御する制御手段50と、を有し、
業務用モードであると判断されると、対価受領装置に対価が投入されるまでは、座部、背凭れ部及び脚部用ユニットをホームポジションに戻す操作のみを許容し、
対価受領装置に対価が投入されると、内蔵タイマーが動作開始するとともに、制御手段に電源が供給され、操作部の所定の操作を許容し、
タイマーにより所定時間がカウントされると、マッサージ手段の動作を停止させるマッサージ機。」
(ケ)甲第9号証(特開平5-40873号公報)
甲第9号証には、以下の事項が記載されている。
「動作開始スイッチ10が客を検出してあるいは客の操作によってオンとなると、まず初期情報出力手段25が動作を開始し、画像出力装置17および音声出力装置8に挨拶文や機器の概要説明を含む情報を出力する」(段落【0016】)
「この実施例の販売対象機器はヘルスチェアー1である。」(段落【0021】)
「画像出力装置と音声出力装置による商品説明および各動作モードでの試用によって客に機器の機能を充分に納得させることができる」(段落【0032】)
上記記載事項から、甲第9号証には、次の技術的事項(以下、「技術的事項9」という。)が記載されていると認められる。
「ヘルスチェアーにおいて、動作開始スイッチが客を検出してあるいは客の操作によってオンとなると、画像出力装置および音声出力装置に挨拶文や機器の概要説明を含む情報を出力すること。」
(コ)甲第10号証(特開2003-319991号公報)
甲第10号証には、以下の事項が記載されている。
「マッサージ機1」(段落【0050】)
「顧客(使用者)に関する情報(以下「顧客情報」と言う)としては、例えば、・・・登録店名、登録年月日、来店記録(来店名、来店回数、来店日時の履歴等)、サービスポイント・・・が挙げら」(段落【0078】)
「情報(顧客情報、マッサージ条件等の各種情報)のうちの全部または一部は、表示部72に表示される」(段落【0083】)
上記記載事項から、甲第10号証には、次の技術的事項(以下、「技術的事項10」という。)が記載されていると認められる。
「マッサージ機において、来店記録、サービスポイント等の顧客情報を表示部に表示すること。」
また、 甲第10号証には、以下の事項も記載されている。
「体温や血圧が基準値よりも高い場合(健康状態が懸念される場合)には、・・・使用者の安全性を考えて、マッサージを拒否する(マッサージ時間=0とする)こともできる」(段落【0085】)
「音声案内手段75により、例えば、マッサージ機1の基本的な使い方の案内、コントローラ7の操作がわからなくなったときの案内(ヘルプ機能)、各種の情報の入力操作の案内・・・(略)・・・」(段落【0090】)
(サ)甲第11号証(特開2003-104116号公報)
甲第11号証には、以下の事項が記載されている。
「前座席1bの背当部6の裏には、映画、テレビ番組、広告、機内説明、非常時対応方法等の番組を移すための液晶ディスプレイ16が既設されており・・・(略)・・・光透過型のタッチパネル18が取り付けられている」(段落【0054】)
「図20(c)に示すように、ふくらはぎをもみほぐす又は振動させる駆動装置付きのマッサージ装置55が座枠4の前方側面に設置されている。この形状は、上部断面からは、2本のふくらはぎを一度に挟みこむことができるように、略E形状(図20(a))をしており、前方からの側面図に見られるように(図20(b))挟む。使用時には、マッサージ装置55は座枠4からはずし、ふくらはぎを挟みこみ駆動することでマッサージ効果が得られるもの。」(段落【0098】)
「本発明は、乗物用以外の各種座席、例えば劇場、競技場、会議室等の座席にも具体化することができる」(段落【0101】)
上記記載事項から、甲第11号証には、次の技術的事項(以下、「技術的事項11」という。)が記載されていると認められる。
「マッサージ装置付きの座席において、広告、機内説明、非常時対応方法等の番組を液晶ディスプレイに映すこと。」
また、甲第11号証には、以下の事項も記載されている。
「番組信号が液晶ディスプレイ16に入力されていること」(図3)
(シ)甲第12号証(国際公開第2015/174425号)
甲第12号証には、以下の事項が記載されている。
「患者が待合室で健康食品や介護用品などをはじめとした多くの商品をタブレット端末内の画面41から通信販売で購入することができる(図23)。その決済は治療院で行い、その利益の一部を治療院が得ることができる。」(段落[0114])
「多くの患者が閲覧するため、広告媒体として企業等に画面の全部もしくは一部を提供し広告料を得ることができる。」(段落[0115])
上記記載事項から、甲第12号証には、次の技術的事項(以下、「技術的事項12」という。)が記載されていると認められる。
「健康食品や介護用品などをはじめとした商品をタブレット端末内の画面に映すこと。」
(ス)甲第13号証(特開2015-97635号公報)
甲第13号証には、以下の事項が記載されている。
「表示画面4aは、被施療者Hがフィットネス手段7にて行った所定のフィットネス動作における種類(フィットネス種目)、時間、強度(回数)等のフィットネス情報Fも表示できる」(段落【0046】)
「マッサージシステム1は、フィットネス動作をする前の被施療者Hに、これから行う予定のフィットネス種目、強度等に応じた施療コースSを選択し、マッサージを施療しても良い」(段落【0075】)
「マッサージシステム1は、マッサージ装置3や、フィットネス手段7、アプリケーションサーバ13等の機器のエラーの内容を、ネットワークNを介して、コントロール装置4の表示画面4aに表示して、被施療者Hに示しても良い。」(段落【0075】)
「一方の肘掛け部24から立設する支持具に、有線のリモコンが取り付けられているが、コントロール装置4は、このリモコンに限定されない」(段落【0043】)
イ 本件発明1についての判断
(ア)甲1発明について
甲1発明の「マッサージ機器」、「リーダライタボックス12」、「ランプ17」、「制御部14」は、それぞれ本件発明1の「マッサージ機」、「コントローラ」、「表示部」、「制御部」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、以下の点で相違し、その余の点で一致する。
<相違点1>
本件発明1は、「前記制御部は、マッサージ機の全機能のうち使用者が利用可能な機能が少なくとも一部異なる複数の制御モードを有し、
複数の前記制御モードには、マッサージ機の全ての機能又はほとんど全ての機能を使用者が利用できるフル機能制御モードと、前記フル機能制御モードにおいて使用者が利用可能な機能のうちの少なくとも一部の機能が制限された機能限定制御モードと、を含み、
前記機能限定制御モードにおいて制限された前記機能は、前記マッサージ機が有する前記マッサージ部の作動に関する機能を含み、
前記マッサージ機が所定の状態となった時、前記制御部は前記機能限定制御モードへ移行し、
前記制御部は、前記機能限定制御モードにおいて、前記マッサージ機に関する情報の前記表示部への表示が完了した後、及び/又は前記音声出力部に音声として出力が完了した後に前記機能限定制御モードから前記フル機能制御モードへ移行する」のに対して、甲1発明は、このような構成を有するか不明である点。
上記相違点1について検討する。
甲1発明の「タイマー19のタイマカウントが所定のカウント値に達すると、制御部14は、電磁開閉器20をオフ操作させて、機器駆動部15への商用電源供給を停止させ、時間貸し機器11の駆動を停止させるようになって」いる構成は、所定の時間が経過すると、時間貸し機器であるマッサージ機器のへの電源供給を停止させ、マッサージ機器の駆動を停止するものであって、使用者が利用可能な機能を制限する制御モードとはいえない。したがって、甲1発明は、「使用者が利用可能な機能のうちの少なくとも一部の機能が制限された機能限定制御モード」を有するものではない。
仮に、甲1発明の上記構成が、「機能限定制御モード」であるといえるとしても、甲1発明は、「リーダライタボックス11の読み込み完了ランプ17が点灯後、スタートボタン18を押圧操作すると時間貸し機器11を所定時間駆動させることができる」ものであり、「時間貸し機器11を所定時間駆動させることができる」のは、あくまで顧客が「スタートボタン18を押圧操作」した場合であるから、甲1発明は、「機能限定制御モードにおいて、前記マッサージ機に関する情報の前記表示部への表示が完了した後、及び/又は前記音声出力部に音声として出力が完了した後に前記機能限定制御モードから前記フル機能制御モードへ移行する」ものではないし、そのようなことを示唆する記載も甲第1号証にはない。
したがって、本件発明1は、甲1発明ではないし、甲1発明及び甲2~13並びに周知・慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
(イ)甲2発明について
甲2発明の「椅子型マッサージ機10」、「操作器16」、「使用者に不意な操作を報知する手段」、「制御部52」は、それぞれ本件発明1の「マッサージ機」、「コントローラ」、「表示部及び/又は音声出力部」、「制御部」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲2発明とは、以下の点で相違し、その余の点で一致する。
<相違点2>
本件発明1は、「前記制御部は、マッサージ機の全機能のうち使用者が利用可能な機能が少なくとも一部異なる複数の制御モードを有し、
複数の前記制御モードには、マッサージ機の全ての機能又はほとんど全ての機能を使用者が利用できるフル機能制御モードと、前記フル機能制御モードにおいて使用者が利用可能な機能のうちの少なくとも一部の機能が制限された機能限定制御モードと、を含み、
前記機能限定制御モードにおいて制限された前記機能は、前記マッサージ機が有する前記マッサージ部の作動に関する機能を含み、
前記マッサージ機が所定の状態となった時、前記制御部は前記機能限定制御モードへ移行し、
前記制御部は、前記機能限定制御モードにおいて、前記マッサージ機に関する情報の前記表示部への表示が完了した後、及び/又は前記音声出力部に音声として出力が完了した後に前記機能限定制御モードから前記フル機能制御モードへ移行する」のに対して、甲2発明は、このような構成を有するか不明である点。
上記相違点2について検討する。
甲2発明の「設定操作期間C1に移行するまではヒータ26を駆動できない駆動禁止状態H1」が「機能限定制御モード」であるといえるとしても、機能限定制御モードにおいて制限される機能はヒータであるから、「マッサージ機が有する前記マッサージ部の作動に関する機能」を制限するものではない。
仮に、甲2発明の上記構成が、「マッサージ機が有する前記マッサージ部の作動に関する機能」を制限する「機能限定制御モード」であるといえるとしても、甲2発明において、「ヒータ26を駆動可能な駆動許可状態H2」となるのは、あくまで「使用者がコース選択スイッチ63を操作し設定操作期間C1に移行」した場合であるから、「ヒータの駆動が禁止された期間で温感スイッチ67が操作された場合、エラー表示を行う又は警告音を鳴らす等、使用者に不意な操作を報知する」ことが完了した後に、「ヒータ26を駆動可能な駆動許可状態H2」に移行するものではない。よって、甲2発明は、「機能限定制御モードにおいて、前記マッサージ機に関する情報の前記表示部への表示が完了した後、及び/又は前記音声出力部に音声として出力が完了した後に前記機能限定制御モードから前記フル機能制御モードへ移行する」ものではないし、そのようなことを示唆する記載も甲第2号証にはない。
したがって、本件発明1は、甲2発明ではないし、甲2発明及び甲1、3~13並びに周知・慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
(ウ)甲3発明について
甲3発明の「マッサージ機1」、「リモコンR」、「表示部A及び/又は音声出力部」、「制御ユニット16」は、それぞれ本件発明1の「マッサージ機」、「コントローラ」、「表示部及び/又は音声出力部」、「制御部」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲3発明とは、以下の点で相違し、その余の点で一致する。
<相違点3>
本件発明1は、「前記制御部は、マッサージ機の全機能のうち使用者が利用可能な機能が少なくとも一部異なる複数の制御モードを有し、
複数の前記制御モードには、マッサージ機の全ての機能又はほとんど全ての機能を使用者が利用できるフル機能制御モードと、前記フル機能制御モードにおいて使用者が利用可能な機能のうちの少なくとも一部の機能が制限された機能限定制御モードと、を含み、
前記機能限定制御モードにおいて制限された前記機能は、前記マッサージ機が有する前記マッサージ部の作動に関する機能を含み、
前記マッサージ機が所定の状態となった時、前記制御部は前記機能限定制御モードへ移行し、
前記制御部は、前記機能限定制御モードにおいて、前記マッサージ機に関する情報の前記表示部への表示が完了した後、及び/又は前記音声出力部に音声として出力が完了した後に前記機能限定制御モードから前記フル機能制御モードへ移行する」のに対して、甲3発明は、このような構成を有するか不明である点。
上記相違点3について検討する。
甲3発明の「リクライニング動作中に渦電流を検知すると、エラー表示を行い、動作を停止」した状態が「機能限定制御モード」であるといえるとしても、機能限定制御モードにおいて制限される機能はリクライニングであるから、「マッサージ機が有する前記マッサージ部の作動に関する機能」を制限するものではない。
仮に、甲3発明の上記構成が、「マッサージ機が有する前記マッサージ部の作動に関する機能」を制限する「機能限定制御モード」であるといえるとしても、甲3発明において、リクライニングを動作させることができる状態となるのは、あくまで主電源を一旦切った場合であって、「エラー表示」は、主電源を一旦切った結果として、それに付随して完了するに過ぎないから、「エラー表示」が完了した後に、リクライニングを動作させることができる状態に移行するものではない。よって、甲3発明は、「機能限定制御モードにおいて、前記マッサージ機に関する情報の前記表示部への表示が完了した後、及び/又は前記音声出力部に音声として出力が完了した後に前記機能限定制御モードから前記フル機能制御モードへ移行する」ものではないし、そのようなことを示唆する記載も甲第3号証にはない。
したがって、本件発明1は、甲3発明ではないし、甲3発明及び甲1~2、4~13並びに周知・慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
(エ)甲4発明について
甲4発明の「マッサージ機1」、「リモコンR」、「液晶表示部A及び/又はスピーカ201」、「制御部ユニット16」は、それぞれ本件発明1の「マッサージ機」、「コントローラ」、「表示部及び/又は音声出力部」、「制御部」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲4発明とは、以下の点で相違し、その余の点で一致する。
<相違点4>
本件発明1は、「前記制御部は、マッサージ機の全機能のうち使用者が利用可能な機能が少なくとも一部異なる複数の制御モードを有し、
複数の前記制御モードには、マッサージ機の全ての機能又はほとんど全ての機能を使用者が利用できるフル機能制御モードと、前記フル機能制御モードにおいて使用者が利用可能な機能のうちの少なくとも一部の機能が制限された機能限定制御モードと、を含み、
前記機能限定制御モードにおいて制限された前記機能は、前記マッサージ機が有する前記マッサージ部の作動に関する機能を含み、
前記マッサージ機が所定の状態となった時、前記制御部は前記機能限定制御モードへ移行し、
前記制御部は、前記機能限定制御モードにおいて、前記マッサージ機に関する情報の前記表示部への表示が完了した後、及び/又は前記音声出力部に音声として出力が完了した後に前記機能限定制御モードから前記フル機能制御モードへ移行する」のに対して、甲4発明は、このような構成を有するか不明である点。
上記相違点4について検討する。
甲4発明の「最下位置にマッサージユニット4が存在する場合に下向きボタンS7を操作した時に「これ以上、下へは移動出来ません」等のメッセージとともに受け付けを拒否させ」る構成について、マッサージユニット4が最下位置にあるときは、そもそもそれ以上の移動ができない状態なのであって、使用者が利用可能な機能を制限するものではない。したがって、甲4発明は、「使用者が利用可能な機能のうちの少なくとも一部の機能が制限された機能限定制御モード」を有するものではない。
仮に、甲4発明の上記構成が、「機能限定制御モード」であるといえるとしても、甲4発明において、下向きボタンS7の操作を受け付け可能となるのは、あくまでマッサージユニット4が最下位置に存在しなくなった場合であると考えられ、「これ以上、下へは移動出来ません」等のメッセージの出力は、マッサージユニット4が最下位置に存在しなくなった結果として、それに付随して完了するに過ぎないから、「これ以上、下へは移動出来ません」等のメッセージの出力が完了した後に、下向きボタンS7の操作を受け付け可能な状態に移行するものではない。よって、甲4発明は、「機能限定制御モードにおいて、前記マッサージ機に関する情報の前記表示部への表示が完了した後、及び/又は前記音声出力部に音声として出力が完了した後に前記機能限定制御モードから前記フル機能制御モードへ移行する」ものではないし、そのようなことを示唆する記載も甲第4号証にはない。
したがって、本件発明1は、甲4発明ではないし、甲4発明及び甲1~3、5~13並びに周知・慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
(オ)甲5発明について
甲5発明の「マッサージ機1」、「手動操作部25」、「音声出力部27」、「マッサージ機制御回路34」は、それぞれ本件発明1の「マッサージ機」、「コントローラ」、「音声出力部」、「制御部」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲5発明とは、以下の点で相違し、その余の点で一致する。
<相違点5>
本件発明1は、「前記制御部は、マッサージ機の全機能のうち使用者が利用可能な機能が少なくとも一部異なる複数の制御モードを有し、
複数の前記制御モードには、マッサージ機の全ての機能又はほとんど全ての機能を使用者が利用できるフル機能制御モードと、前記フル機能制御モードにおいて使用者が利用可能な機能のうちの少なくとも一部の機能が制限された機能限定制御モードと、を含み、
前記機能限定制御モードにおいて制限された前記機能は、前記マッサージ機が有する前記マッサージ部の作動に関する機能を含み、
前記マッサージ機が所定の状態となった時、前記制御部は前記機能限定制御モードへ移行し、
前記制御部は、前記機能限定制御モードにおいて、前記マッサージ機に関する情報の前記表示部への表示が完了した後、及び/又は前記音声出力部に音声として出力が完了した後に前記機能限定制御モードから前記フル機能制御モードへ移行する」のに対して、甲5発明は、このような構成を有するか不明である点。
上記相違点5について検討する。
甲5発明の「マッサージ機の故障が検知されたら、制御回路へ停止信号を与えてマッサージを中断する」構成は、故障を検知した際にマッサージ機の駆動を停止するものであって、使用者が利用可能な機能を制限する制御モードではない。したがって、甲5発明は、「使用者が利用可能な機能のうちの少なくとも一部の機能が制限された機能限定制御モード」を有するものではない。
仮に、甲5発明の上記構成が、「機能限定制御モード」であるといえるとしても、甲5発明において、マッサージ機が動作可能となるのは、あくまで電源を入れ直した場合であると考えられるから、「安全のため機械が停止しました。電源を入れ直して下さい。」などの合成音声の出力が完了した後に、マッサージ機が動作可能な状態に移行するものではない。よって、甲5発明は、「機能限定制御モードにおいて、前記マッサージ機に関する情報の前記表示部への表示が完了した後、及び/又は前記音声出力部に音声として出力が完了した後に前記機能限定制御モードから前記フル機能制御モードへ移行する」ものではないし、そのようなことを示唆する記載も甲第5号証にはない。
したがって、本件発明1は、甲5発明ではないし、甲5発明及び甲1~4、6~13並びに周知・慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
(カ)甲6発明について
甲6発明の「マッサージ機1」、「リモートコントローラ32」、「液晶表示部35及び/又はスピーカ41」、「制御部44」は、それぞれ本件発明1の「マッサージ機」、「コントローラ」、「表示部及び/又は音声出力部」、「制御部」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲6発明とは、以下の点で相違し、その余の点で一致する。
<相違点6>
本件発明1は、「前記制御部は、マッサージ機の全機能のうち使用者が利用可能な機能が少なくとも一部異なる複数の制御モードを有し、
複数の前記制御モードには、マッサージ機の全ての機能又はほとんど全ての機能を使用者が利用できるフル機能制御モードと、前記フル機能制御モードにおいて使用者が利用可能な機能のうちの少なくとも一部の機能が制限された機能限定制御モードと、を含み、
前記機能限定制御モードにおいて制限された前記機能は、前記マッサージ機が有する前記マッサージ部の作動に関する機能を含み、
前記マッサージ機が所定の状態となった時、前記制御部は前記機能限定制御モードへ移行し、
前記制御部は、前記機能限定制御モードにおいて、前記マッサージ機に関する情報の前記表示部への表示が完了した後、及び/又は前記音声出力部に音声として出力が完了した後に前記機能限定制御モードから前記フル機能制御モードへ移行する」のに対して、甲6発明は、このような構成を有するか不明である点。
上記相違6について検討する。
甲6発明の「入力音声が「音声停止」と発音された音声であると制御部が認識した場合、内容説明メッセージの音声出力を停止」することが「機能限定制御モード」であるといえるとしても、機能限定制御モードにおいて制限される機能は「内容説明メッセージの音声出力」であるから、「マッサージ機が有する前記マッサージ部の作動に関する機能」を制限するものではない。
仮に、甲6発明の上記構成が、「マッサージ機が有する前記マッサージ部の作動に関する機能」を制限する「機能限定制御モード」であるといえるとしても、甲6発明において、「再び内容説明メッセージの出力を開始する」状態となるのは、あくまで「入力音声が「音声開始」と発音された音声であると制御部が認識した場合」であるから、甲6発明は、「機能限定制御モードにおいて、前記マッサージ機に関する情報の前記表示部への表示が完了した後、及び/又は前記音声出力部に音声として出力が完了した後に前記機能限定制御モードから前記フル機能制御モードへ移行する」ものではないし、そのようなことを示唆する記載も甲第6号証にはない。
したがって、本件発明1は、甲6発明ではないし、甲6発明及び甲1~5、7~13並びに周知・慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
また、上述したように、甲6発明は「入力音声が「音声停止」と発音された音声であると制御部が認識した場合、内容説明メッセージの音声出力を停止」するものであり、甲5発明は「マッサージ機の故障が検知されたら、制御回路へ停止信号を与えてマッサージを中断する」ものであるところ、甲6発明、甲5発明のいずれも、「マッサージ機が有する前記マッサージ部の作動に関する機能」を制限する「機能限定制御モード」、及び、「機能限定制御モードにおいて、前記マッサージ機に関する情報の前記表示部への表示が完了した後、及び/又は前記音声出力部に音声として出力が完了した後に前記機能限定制御モードから前記フル機能制御モードへ移行する」構成を備えていないから、本件発明1は、甲6発明に甲5発明を組み合わせて、当業者が容易に想到し得たものであるともいえない。
(キ)甲7発明について
上記第5の2(2)に示したように、本件発明1は、甲7発明(引用発明1)に記載された発明ではない。そして、本件発明1は、甲7発明(引用発明1)及び甲1~6、8~13並びに周知・慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
(ク)甲8発明について
甲8発明の「マッサージ機10」、「操作部40」、「表示部49」、「制御手段50」は、それぞれ本件発明1の「マッサージ機」、「コントローラ」、「表示部」、「制御部」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲8発明とは、以下の点で相違し、その余の点で一致する。
<相違点7>
本件発明1は、「前記制御部は、マッサージ機の全機能のうち使用者が利用可能な機能が少なくとも一部異なる複数の制御モードを有し、
複数の前記制御モードには、マッサージ機の全ての機能又はほとんど全ての機能を使用者が利用できるフル機能制御モードと、前記フル機能制御モードにおいて使用者が利用可能な機能のうちの少なくとも一部の機能が制限された機能限定制御モードと、を含み、
前記機能限定制御モードにおいて制限された前記機能は、前記マッサージ機が有する前記マッサージ部の作動に関する機能を含み、
前記マッサージ機が所定の状態となった時、前記制御部は前記機能限定制御モードへ移行し、
前記制御部は、前記機能限定制御モードにおいて、前記マッサージ機に関する情報の前記表示部への表示が完了した後、及び/又は前記音声出力部に音声として出力が完了した後に前記機能限定制御モードから前記フル機能制御モードへ移行する」のに対して、甲8発明は、このような構成を有するか不明である点。
上記相違点7について検討する。
甲8発明の「業務用モードであると判断されると、対価受領装置に対価が投入されるまでは、座部、背凭れ部及び脚部用ユニットをホームポジションに戻す操作のみを許容」する構成が、「マッサージ機が有する前記マッサージ部の作動に関する機能」を制限する「機能限定制御モード」であるといえるとしても、甲8発明において、「制御手段に電源が供給され、操作部の所定の操作を許容し」た状態となるのは、あくまで「対価受領装置に対価が投入され」た場合であるから、甲8発明は、「機能限定制御モードにおいて、前記マッサージ機に関する情報の前記表示部への表示が完了した後、及び/又は前記音声出力部に音声として出力が完了した後に前記機能限定制御モードから前記フル機能制御モードへ移行する」ものではないし、そのようなことを示唆する記載も甲第8号証にはない。なお、甲第8号証の段落【0031】には、表示部にマッサージ手段の動作状態等のマッサージ情報を表示することは記載されているものの、当該表示部への表示が完了したあとに、「制御手段に電源が供給され、操作部の所定の操作を許容し」た状態となることは記載されていない。
したがって、本件発明1は、甲8発明ではないし、甲8発明及び甲1~7、9~13並びに周知・慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
また、上述したように、甲8発明、甲1発明のいずれも、「機能限定制御モードにおいて、前記マッサージ機に関する情報の前記表示部への表示が完了した後、及び/又は前記音声出力部に音声として出力が完了した後に前記機能限定制御モードから前記フル機能制御モードへ移行する」ことは記載されていないから、本件発明1は、甲8発明に甲1発明を組み合わせて、当業者が容易に想到し得たものであるともいえない。
(2)本件発明2について
(申立人の主張の概要)
本件発明2は、甲5~7発明のいずれかであるか、甲5~7発明のいずれかに基いて、あるいは、甲1~8発明のいずれか及び甲第9,10号証に記載された事項に基いて、または、甲6発明及び甲5発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものである。
(当審の判断)
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項をすべて含むものである。
したがって、本件発明2は、甲5~7発明のいずれかではないし、甲5~7発明及び甲1~4、8~13並びに周知・慣用技術に基いて、あるいは、甲1~8発明のいずれか及び甲第9,10号証に記載された事項(上記(1)ア(ケ)(コ))に基いて、または、甲6発明及び甲5発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものでもない。
(3)本件発明3について
(申立人の主張の概要)
本件発明3は、甲1~8発明のいずれか及び甲第5、9~12号証に記載された事項、または、甲6発明及び甲5発明に基いて当業者が容易に想到し得たものである。
(当審の判断)
ア 甲1発明について
甲1発明の「マッサージ機器」「リーダライタボックス12」、「ランプ17」、「制御部14」は、それぞれ本件発明3の「マッサージ機」、「コントローラ」、「表示部」、「制御部」に相当する。
そうすると、本件発明3と甲1発明とは、以下の点で相違し、その余の点で一致する。
<相違点8>
本件発明3は、「前記制御部は、マッサージ機の全機能のうち使用者が利用可能な機能が少なくとも一部異なる複数の制御モードを有し、
複数の前記制御モードには、マッサージ機の全ての機能又はほとんど全ての機能を使用者が利用できるフル機能制御モードと、前記フル機能制御モードにおいて使用者が利用可能な機能のうちの少なくとも一部の機能が制限された機能限定制御モードと、を含み、
前記マッサージ機が所定の状態となった時、前記制御部は前記機能限定制御モードへ移行し、
前記制御部は、前記機能限定制御モードにおいて、前記マッサージ機を設置する事業者からのメッセージ情報の前記表示部への表示が完了した後、及び/又は前記音声出力部に音声として出力が完了した後に前記機能限定制御モードから前記フル機能制御モードへ移行する」のに対して、甲1発明は、このような構成を有するか不明である点。
上記相違点8について検討する。
上記(1)イ(ア)に示したように、甲1発明は、「使用者が利用可能な機能のうちの少なくとも一部の機能が制限された機能限定制御モード」を有するものではない。
仮に、甲1発明が「機能限定制御モード」を有するものであるとしても、甲1発明は、「機能限定制御モードにおいて、前記マッサージ機を設置する事業者からのメッセージ情報の前記表示部への表示が完了した後、及び/又は前記音声出力部に音声として出力が完了した後に前記機能限定制御モードから前記フル機能制御モードへ移行する」ものではないし、そのようなことを示唆する記載も甲第1号証にはない。
また、仮に、申立人の主張するように、「マッサージ機を設置する事業者からのメッセージ情報の前記表示部への表示」が甲第5、9~12号証の技術的事項5、9~12に基いて周知技術であるとしても、「機能限定制御モードにおいて、前記マッサージ機を設置する事業者からのメッセージ情報の前記表示部への表示が完了した後、及び/又は前記音声出力部に音声として出力が完了した後に前記機能限定制御モードから前記フル機能制御モードへ移行する」ことは甲第5、9~12号証のいずれにも記載されていない。
したがって、本件発明3は、甲1発明及び甲第5、9~12号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 甲2~8発明について
上記(1)ア(イ)~(ク)に示した内容をふまえ、上記アを参照する
と、本件発明3は、甲2~8発明のいずれか及び甲第5、9~12号証に記載された事項、または、甲6発明及び甲5発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件発明4について
(申立人の主張の概要)
本件発明4は、甲1~8発明のいずれか及び甲第9~11号証に記載された事項に基いて、または、甲6発明、甲5発明及び甲第9~11号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものである。
(当審の判断)
本件発明4は、本件発明3の発明特定事項をすべて含むものである。
したがって、本件発明4は、上記(3)と同様の理由で、甲1~8発明のいずれか及び甲第9~11号証に記載された事項に基いて、または、甲6発明、甲5発明及び甲第9~11号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものでもない。
(5)本件発明5について
(申立人の主張の概要)
本件発明4は、甲2、4、6、7発明のいずれかであるか、甲2、4、6、7発明のいずれかに基いて、あるいは、甲1、3、5、8発明のいずれか及び甲第2、4、6、7号証に記載された事項に基いて、または、甲2発明及び甲4発明、甲3発明及び甲4発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものである。
(当審の判断)
本件発明5は、本件発明1または3の発明特定事項をすべて含むものである。
したがって、本件発明5は、上記(1)(3)と同様の理由で、甲2、4、6、7発明のいずれかではないし、甲2、4、6、7発明のいずれかに基いて、あるいは、甲1、3、5、8発明のいずれか及び甲第2、4、6、7号証に記載された事項に基いて、または、甲2発明及び甲4発明、甲3発明及び甲4発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものでもない。
(6)本件発明6について
(申立人の主張の概要)
本件発明6は、甲2発明であるか、甲2発明に基いて、あるいは、甲2、4、6、7発明のいずれか及び甲第1、2、8号証に記載された事項に基いて、または、甲1、3、5、8発明のいずれか、甲第2、4、6,7号証に記載された事項及び甲第1、2、8号証に記載された事項に基いて、または、甲1発明及び甲8発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものである。
(当審の判断)
本件発明6は、本件発明1または3の発明特定事項をすべて含むものである。
したがって、本件発明6は、上記(1)(3)と同様の理由で、甲2発明ではないし、甲2発明に基いて、あるいは、甲2、4、6、7発明のいずれか及び甲第1、2、8号証に記載された事項に基いて、または、甲1、3、5、8発明のいずれか、甲第2、4、6,7号証に記載された事項及び甲第1、2、8号証に記載された事項に基いて、または、甲1発明及び甲8発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものでもない。
(7)本件発明7について
(申立人の主張の概要)
本件発明7は、甲1~5、8発明のいずれかに基いて、当業者が容易に想到し得たものである。
(当審の判断)
本件発明7は、本件発明1または3の発明特定事項をすべて含むものである。
したがって、本件発明7は、上記(1)(3)と同様の理由で、甲1~5、8発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。
(8)本件発明8について
(申立人の主張の概要)
本件発明8は、甲1~5、8発明のいずれかであるか、甲1~5、8発明のいずれかに基いて、あるいは、甲1発明及び甲8発明に基いて、または、甲1発明及び甲10号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものである。
(当審の判断)
本件発明8は、本件発明1または3の発明特定事項をすべて含むものである。
したがって、本件発明8は、上記(1)(3)と同様の理由で、甲1~5、8発明のいずれかではないし、甲1~5、8発明のいずれかに基いて、あるいは、甲1発明及び甲8発明に基いて、または、甲1発明及び甲10号証に記載された事項(上記(1)ア(コ))に基いて、当業者が容易に想到し得たものでもない。
(9)本件発明9について
(申立人の主張の概要)
本件発明9は、甲8発明であるか、甲8発明に基いて、あるいは、甲8発明及び甲1発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものである。
(当審の判断)
本件発明9は、本件発明1または3の発明特定事項をすべて含むものである。
したがって、本件発明9は、上記(1)(3)と同様の理由で、甲8発明ではないし、甲8発明に基いて、あるいは、甲8発明及び甲1発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものでもない。
(10)本件発明10について
(申立人の主張の概要)
本件発明10は、甲5発明であるか、甲5発明に基いて、あるいは、甲1~4、6~8発明のいずれか及び甲5、11、13に記載された事項に基いて、または、甲6発明及び甲5発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものである。
(当審の判断)
本件発明10は、本件発明1または3の発明特定事項をすべて含むものである。
したがって、本件発明10は、上記(1)(3)と同様の理由で、甲5発明ではないし、甲5発明に基いて、あるいは、甲1~4、6~8発明のいずれか及び甲5、11、13に記載された事項(甲11、13に記載された事項は上記(1)ア(サ)(ス))に基いて、または、甲6発明及び甲5発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものでもない。
(11)本件発明11について
(申立人の主張の概要)
本件発明11は、甲1~8発明のいずれかに基いて、当業者が容易に想到し得たものである。
(当審の判断)
本件発明11は、本件発明1または3の発明特定事項をすべて含むものである。
したがって、本件発明11は、上記(1)(3)と同様の理由で、甲1~8発明のいずれかに基いて、当業者が容易に想到し得たものでもない。
(12)本件発明12について
(申立人の主張の概要)
本件発明12は、甲1~8発明のいずれかに基いて、または、甲6発明及び甲5発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものである。
(当審の判断)
本件発明12は、本件発明1または3の発明特定事項をすべて含むものである。
したがって、本件発明12は、上記(1)(3)と同様の理由で、甲1~8発明のいずれかに基いて、または、甲6発明及び甲5発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものでもない。
(13)本件発明13について
(申立人の主張の概要)
本件発明13は、甲1~8発明のいずれか及び甲第11、13号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものである。
(当審の判断)
本件発明13は、本件発明1または3の発明特定事項をすべて含むものである。
したがって、本件発明13は、上記(1)(3)と同様の理由で、甲1~8発明のいずれか及び甲第11、13号証に記載された事項(上記(1)ア(サ)(ス))に基いて、当業者が容易に想到し得たものでもない。
(14)令和 5年 7月18日提出の申立人による意見書における主張に対して
ア 同意見書1~5頁
(申立人の主張の概要)
引用文献1、甲第1号証、第4号証、第5号証、第8号証、第10号証に記載されているように、「マッサージ機のマッサージ部の作動に関する機能が機能限定制御モードにおいて制限される」ことは周知技術であり、引用文献1に周知技術を付加することにより、音楽出力を終了させると共に、マッサージ部の作動を止めて騒音を抑えて操作音や音声ガイドを確実に聞き取ることができるようにすることは容易に想到できる事項又は単なる設計事項である。
(当審の判断)
申立人が周知技術としてあげた文献は、上記第5の2(1)ア(ア)~(ウ)、及び、上記第6の1(1)ア(ア)(エ)(オ)(ク)(コ)のとおり、例えば、操作電源をオフにした際にマッサージ関連操作ボタンによる操作を無効にする制御を行うこと、タイマーのカウントが所定のカウント値に到達した際に機器の駆動を停止する制御を行うこと、あるいは、故障を検知した際にマッサージを中断する制御を行うこと、など、が記載されたものであって、「使用者が利用可能な機能のうちの少なくとも一部の機能が制限された機能限定制御モード」において「マッサージ機のマッサージ部の作動に関する機能」を制限するものでない。
また、仮に、申立人が周知技術としてあげた文献が、「使用者が利用可能な機能のうちの少なくとも一部の機能が制限された機能限定制御モード」において「マッサージ機のマッサージ部の作動に関する機能」を制限するものといえるとしても、これらの文献は、操作音や音声ガイドを確実に聞き取るという引用文献1と同様の課題を有するものではないから、引用文献1において、音楽出力を終了させる際に、これらの文献に記載された上記制御を行うことの動機付けがない。
よって、申立人の上記主張は採用できない。
イ 同意見書9~13頁
(申立人の主張の概要)
引用文献1には、段落0022に、マッサージ関連操作ボタン102による操作を無効にすることが記載されている。
そして、操作電源がオンであっても、マッサージ機の誤った操作を防止するべく、マッサージ関連操作ボタン102による操作を無効にすることは設計事項であるから、引用文献1のマッサージ機の「待機状態」において、誤ってマッサージ部3a,3b,3cを操作しないように、操作電源がオンであっても、マッサージ関連操作ボタン102による操作を無効にすることは設計事項であり、当業者に容易である。
また、引用文献1の段落0027には「音楽出力中に、マッサージ動作が開始されると、自動的に音楽が別のものに切り替わるように構成されていてもよい。」の記載がある。
この場合、マッサージ動作が開始される前は、第1の音楽が出力される「待機状態」であり、マッサージが開始された後は、第2の音楽が出力される「フル機能制御モード」である。
なお、上記の通り、「待機状態」で、マッサージ関連操作ボタン102による操作を無効にすると、第1の音楽が出力される「機能限定制御モード」になる。
よって、引用文献1の段落0027の「音楽出力中に、マッサージ動作が開始されると、自動的に音楽が別のものに切り替わるように構成されていてもよい。」において、マッサージ動作が開始される前に、マッサージ関連操作ボタン102による操作を無効にすることにより、第1の音楽が出力される「機能限定制御モード」から、第1の音楽の出力を完了すると、第2の音楽を出力する「フル機能制御モード」に移行することになる。
これは、請求項1の「前記制御部は、前記機能限定制御モードにおいて、・・・‘(略)・・・又は前記音声出力部に音声として出力が完了した後に前記機能限定制御モードから前記フル機能制御モードへ移行する」に相当する。
(当審の判断)
引用文献1において、マッサージ関連操作ボタン102による操作が無効になるのは、電源ボタンを操作し、操作電源がオフになった場合であって、「待機状態」において、マッサージ関連操作ボタン102による操作が無効にすることは記載も示唆もされていない。
また、「操作電源がオンであっても、マッサージ機の誤った操作を防止するべく、マッサージ関連操作ボタン102による操作を無効にする」ことが設計事項であるとする根拠は示されていない。仮に、「マッサージ機の誤った操作を防止する」ことが周知の課題であり、そのために、操作電源がオンであっても、マッサージ関連操作ボタンによる操作を無効にすることが周知技術であるといえるとしても、請求人が主張する「マッサージ動作が開始される前」の「第1の音楽が出力される「待機状態」」とは、マッサージ関連操作ボタンによる操作をしていない状態であり、その状態でマッサージ関連操作ボタンによる操作をすることで、いつでもマッサージ機の動作をさせることができる状態であるから、当業者であれば、このような待機状態のときに、「マッサージ関連操作ボタンによる操作を無効にする」ことはしない。
さらに、引用文献1の段落【0027】の「音楽出力中に、マッサージ動作が開始されると、自動的に音楽が別のものに切り替わるように構成されていてもよい。」は、待機状態において「マッサージ動作が開始される」ことで、別の音楽に切り替わるものであって、第1の音楽の出力を完了したあとに、マッサージ機が動作可能な状態に移行するものではない。よって、引用文献1は、「機能限定制御モードにおいて、前記マッサージ機に関する情報の前記表示部への表示が完了した後、及び/又は前記音声出力部に音声として出力が完了した後に前記機能限定制御モードから前記フル機能制御モードへ移行する」ものではないし、そのようなことを示唆する記載もない。
(5)小括
以上のとおり、本件発明1~13は、甲第1~8号証に記載された発明ではないし、甲第1~8号証及び甲第9~13号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第1項3号または第2項の規定により特許を受けることができないものとすることはできない。
したがって、本件発明1~13に係る特許は、特許法第113条第2号に該当せず、取り消されるべきものとすることはできない。
2 特許法第36条第4項第1号違反(特許異議申立書97~99頁、令和 5年 7月18日提出の申立人による意見書14~15頁)
(申立人の主張の概要)
段落0030には、「電源ボタン83a」は、通電状態を切り替えることによりマッサージ機を起動又は停止させると説明されているところ、図8において、電源ボタン83aを操作して起動しているマッサージ機1を停止する場合には、マッサージ機1には電源供給がなくなるので、図8において、機能制限制御モードに移行しないのではないかと考えられる。
また、段落0030には、「急停止ボタン83f」は、動作中のマッサージ機1の全ての動作を緊急停止させると説明されているところ、図8において、急停止ボタン83fを操作して起動しているマッサージ機1を停止させると、マッサージ機1の全ての動作を緊急停止させるので、図8において、機能制限モードに移行しないのではないか?と考えられる。
よって、図8の記載は、段落0030の記載に矛盾しており、不備があるから、本件の発明の詳細な説明は、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない
(当審の判断)
請求項1は「前記マッサージ機が所定の状態となった時、前記制御部は前記機能限定制御モードへ移行し」と記載されているところ、本件特許明細書の段落【0039】に「図7に示すとおり、まず、電源ボタン83aを操作してマッサージ機1を起動させる。マッサージ機1が起動されると、制御モードが機能限定制御モード20へ移行する。」と記載され、電源ボタンを操作してマッサージ機1を起動すると、制御モードが機能限定制御モード20へ移行することが記載されているから、発明の詳細な説明は、請求項1に係る発明を当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものである。
以上のとおり、発明の詳細な説明は、請求項1に係る発明を当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものであるが、以下、請求人が主張する図8の記載についても検討する。
電源ボタンを操作してマッサージ機1を停止させた場合に、マッサージ機への電源供給が一切なくなることは本件特許明細書には記載されていない。
また、急停止ボタンは、一般に、動作中のマッサージ機の物理的な動作を急停止させるものであると解するのが自然であるし、急停止ボタンを操作してマッサージ機1を停止させた場合に、マッサージ機の全ての動作を緊急停止させることは本件特許明細書には記載されていない。
そして、電源ボタンや急停止ボタンを操作し、マッサージ機の起動を停止した状態においても、一定の電力を供給することで、機能限定制御モードに移行できることは、当業者が理解し得る程度のことである。
3 特許法第36条第6項第1号違反(令和 5年 7月18日提出の申立人による意見書5~9頁)
(申立人の主張の概要)
本件明細書の段落0035、0036、0039、0042、0047、0050に記載しているように、機能限定制御モード20では、マッサージ部6の作動に関するボタン83b及び/又は各操作キー84a~84cの操作が必ず無効になる(制限される)ものであるところ、訂正後の請求項1は、「機能限定制御モード」と「操作部」との関係を記載しておらず、「機能限定制御モード」で、「操作部」における「マッサージ部」に関する操作を無効にしない(有効とする)場合があり得る記載になっている。
訂正後の請求項1に係る発明は、「機能限定制御モード」で、「操作部」において、マッサージ部に関する操作を無効にしない場合がある記載になっており、訂正後の請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものである。
(当審の判断)
発明の詳細な説明の段落【0035】、【0036】、【0039】、【0042】、【0047】、【0050】には、機能限定制御モードの態様として、マッサージ部6の作動に関するボタン83bを非表示とする、又は、各操作キー84a~84cの操作を無効にすることが記載されているところ、請求項1の「前記フル機能制御モードにおいて使用者が利用可能な機能のうちの少なくとも一部の機能が制限された機能限定制御モード」において、「使用者が利用可能な機能」との記載からして、制限される機能が操作部において利用可能な機能であることは当業者にとって明らかであるから、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものとはいえない。また、請求項1には「機能限定制御モード」において一部の機能を制限することが記載されているから、請求項1の記載は「操作部」における「マッサージ部」に関する操作を有効とするものを含むとの申立人の主張は失当である。
第7 むすび
以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明1~13に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1~13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-700409