特許異議申立
2022-700174
ボイラシステム
- 審判番号
- 2022-700174
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2017-239675
- 登録番号
- 6943167
- 請求日
- 2022年02月28日
- 審決日
- 2023年09月29日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社IHI
- 【権利者代理人】西澤 和純
- 【権利者代理人】寺本 光生
- 【権利者代理人】清水 雄一郎
- 【権利者代理人】高橋 久典
- 【異議申立人】新妻 久
- 審判長/審判官
- 審判長 間中 耕治
- 審判官 水野 治彦
- 審判官 白土 博之
- 分類
- P1651.121-YAA(F23K) / P1651.113-YAA(F23K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6943167号発明「ボイラシステム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6943167号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕、5について訂正することを認める。
特許第6943167号の請求項1、2、3、5に係る特許を維持する。
特許第6943167号の請求項4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
1 手続の経緯
特許第6943167号の請求項1~5に係る特許についての出願は、平成29年12月14日に出願され、令和3年9月13日にその特許権の設定登録がされ、令和3年9月29日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和4年 2月28日 : 特許異議申立人 新妻 久(以下、「申立人」という。)による請求項1~5に係る特許に対する特許異議の申立て
令和4年 6月 2日付け: 取消理由通知
令和4年 8月 4日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和4年 9月20日 : 申立人による意見書の提出
令和4年11月17日付け: 訂正拒絶理由通知
令和4年12月22日 : 特許権者による意見書の提出
令和5年 3月23日付け: 取消理由通知(以下、「決定の予告」という。)
令和5年 5月25日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書(以下、「本件訂正」という。)の提出
令和5年 7月11日 : 申立人による意見書の提出
なお、令和4年8月4日に特許権者が提出した訂正請求書は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。
2 訂正の適否
(1)訂正の内容
本件訂正は、以下の訂正事項で示す内容で特許請求の範囲を訂正することを求めるものである。
なお、下線は訂正箇所を示す。
ア 一群の請求項1~4に係る訂正
(ア) 訂正事項1
訂正前の請求項1が
「バイオマス燃料を燃焼させるボイラを備えるボイラシステムであって、
石炭燃料を燃焼させて生成された石炭燃焼灰を前記バイオマス燃料と別経路にて前記ボイラに供給する石炭燃焼灰供給部を備えることを特徴とするボイラシステム。」
とあるのを
「バイオマス燃料を燃焼させるボイラを備えるボイラシステムであって、
石炭燃料を燃焼させて生成された石炭燃焼灰を前記バイオマス燃料と別経路にて前記ボイラに供給する石炭燃焼灰供給部を備え、
燃焼バーナが設けられ、
前記ボイラが備える火炉の内壁面に向けて空気を供給する空気供給部を備え、
前記空気供給部の配管が、前記燃焼バーナの配置位置に接続される分岐管を有し、
前記石炭燃焼灰供給部は、石炭燃焼灰を貯蔵する貯蔵部と前記空気供給部の前記分岐管とを接続する接続配管を有し、前記各接続配管の開閉を行う開閉バルブとを備えることを特徴とするボイラシステム。」
に訂正する。
(請求項1の記載を引用する請求項2~3も同様に訂正する。)
(イ) 訂正事項2
訂正前の請求項2が
「前記ボイラは、前記バイオマス燃料を燃料とするバイオマス燃焼バーナと、前記石炭燃料を燃料とする微粉炭燃焼バーナとを有する混焼ボイラであり、
前記石炭燃焼灰供給部は、前記混焼ボイラで生成された燃焼灰を前記ボイラに還流させることにより前記石炭燃焼灰を前記ボイラに供給する
ことを特徴とする請求項1記載のボイラシステム。」
とあるのを
「前記ボイラは、前記バイオマス燃料を燃料とするバイオマス燃焼バーナと、前記石炭燃料を燃料とする微粉炭燃焼バーナとを前記燃焼バーナとして有する混焼ボイラであり、
前記石炭燃焼灰供給部は、前記混焼ボイラで生成された燃焼灰を前記ボイラに還流させることにより前記石炭燃焼灰を前記ボイラに供給する
ことを特徴とする請求項1記載のボイラシステム。」
に訂正する。
(請求項2を引用する請求項3も同様に訂正する。)
(ウ) 訂正事項3
請求項4を削除する。
イ 請求項5に係る訂正
(ア) 訂正事項4
訂正前の請求項5が
「バイオマス燃料を燃焼させるボイラを備えるボイラシステムであって、
石炭燃料を燃焼させて生成された石炭燃焼灰を前記ボイラに供給する石炭燃焼灰供給部を備え、
前記ボイラが備える火炉の内壁面に向けて空気を供給する空気供給部を備え、
前記石炭燃焼灰供給部は、前記石炭燃焼灰を貯蔵する貯蔵部と前記空気供給部とを接続する接続配管と、前記接続配管の開閉を行う開閉バルブとを備える
ことを特徴とするボイラシステム。」
とあるのを
「バイオマス燃料を燃焼させるボイラを備えるボイラシステムであって、
石炭燃料を燃焼させて生成された石炭燃焼灰を前記ボイラに供給する石炭燃焼灰供給部を備え、
前記ボイラの火炉の対向する内壁面のそれぞれに燃焼バーナが設けられ、
前記ボイラが備える火炉の前記内壁面以外の側壁面に向けて空気及び前記石炭燃焼灰を供給する空気供給部を備え、
前記石炭燃焼灰供給部は、前記石炭燃焼灰を貯蔵する貯蔵部と前記空気供給部とを接続する接続配管と、前記接続配管の開閉を行う開閉バルブとを備える
ことを特徴とするボイラシステム。」
に訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 一群の請求項1~4に係る訂正
(ア)訂正の目的
訂正事項1に係る請求項1についての訂正は、訂正前の「ボイラシステム」が「設け」る、あるいは、「備え」るとした部材として、さらに「燃焼バーナ」と「空気供給部」を追加し、当該追加された「空気供給部」と、訂正前からある「石炭燃焼灰供給部」とが「配管」、「分岐管」、「石炭燃焼灰を貯蔵する貯蔵部」にて相互に接続され、さらに「開閉バルブ」を備えることを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項2に係る請求項2についての訂正は、引用元の請求項1について訂正事項1により「燃焼バーナ」が追加されたことにより、訂正前に特定されていた「バイオマス燃焼バーナ」及び「微粉炭燃焼バーナ」との関係を明瞭にするための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
訂正事項3は、請求項4を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
したがって、請求項1~4に係る訂正についての訂正事項1~3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とした訂正と認める。
(イ)一群の請求項について
訂正前の請求項1~4について、請求項2ないし4は、それぞれ直接的又は間接的に請求項1を引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1~4に対応する訂正後の請求項〔1~4〕は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
(ウ)新規事項の有無
訂正事項1に係る「燃焼バーナ」については、特許明細書の【0016】に、「空気供給部」については、同じく【0030】に、部材同士の配管による接続については、同じく【0020】及び【0023】に記載されており、新規事項の追加に該当しない。
訂正事項2は、特許明細書の【0015】~【0016】に、「バーナ2b」について、微粉炭燃焼バーナ2cとバイオマス燃焼バーナ2dである旨が記載されており、新規事項の追加に該当しない。
訂正事項3は、請求項4を削除するものであるから、新規事項の追加に該当しないことが明らかである。
したがって、請求項1~4に係る訂正についての訂正事項1~3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合すると認める。
(エ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項1に係る発明のボイラシステムに対し、当該システムが備えるとした部材に、「燃焼バーナ」、「空気供給部」を追加すると共に、訂正前に備わっていた「石炭燃焼灰供給部」をさらに追加して特定するものであって、発明のカテゴリーや発明特定事項を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
訂正事項2に係る訂正は、訂正事項1によって追加された「燃焼バーナ」が「バイオマス燃焼バーナ」と「微粉端燃焼バーナ」であること特定するにとどまり、発明のカテゴリーや発明特定事項を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
訂正事項3は、請求項4を削除するものであるから、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことが明らかである。
したがって、請求項1~4に係る訂正についての訂正事項1~3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合すると認める。
イ 請求項5に係る訂正
(ア) 訂正事項4
訂正事項4は、次の2点を内容とする訂正である。
a.「ボイラシステム」に対して、「前記ボイラの火炉の対向する内壁面のそれぞれに燃焼バーナが設けられ」るとの事項を追加する訂正
b.「空気供給部」に対して、訂正前の請求項5では、「前記ボイラが備える火炉の内壁面に向けて空気を供給する」としていたものを、訂正により、「前記ボイラが備える火炉の前記内壁面以外の側壁面に向けて空気及び石炭燃焼灰を供給する」ものとする訂正
上記a.に係る訂正は、訂正前の「内壁面」について、「前記ボイラの火炉の対向する内壁面のそれぞれに燃焼バーナが設けられ」る点を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正と認められる。
次に、上記a.に係る訂正は、願書に添付された【図2】の図示、特許明細書の【0016】に、「バーナ2b」について、微粉炭燃焼バーナ2cが「火炉2aの正面側に配置された」点、及び、バイオマス燃焼バーナ2dが「火炉2aの背面側に配置された」点が記載されており、新規事項の追加に該当しない。
そして、上記a.に係る訂正は、「内壁面」について、「燃焼バーナ」が設けられた面を特定するものであって、発明のカテゴリーや発明特定事項を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
上記b.に係る訂正は、上記a.の訂正により「前記内壁面」とは、訂正前の「内壁面」の内、燃焼バーナが設けられたとする「対向する内壁面」のみを指すものと解されるから、訂正前の「内壁面」について、「前記内壁面以外の」「面」を、「側壁面」であるとし、当該側壁面のみを「空気及び石炭燃焼灰」の「供給」される向きであると特定する訂正である。また、上記b.に係る訂正は、空気供給部が「供給」するものについて、「空気」を「空気及び石炭燃焼灰」と減縮する訂正である。してみると、上記b.に係る訂正は、「空気及び石炭燃焼灰」と減縮し、「空気供給部」が供給する「空気及び石炭燃焼灰」の「供給」の向きを側壁面に特定する訂正となるので、同じく特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正と認められる。
次に、上記b.に係る訂正は、願書に添付された【図2】の図示、特許明細書の【0022】に、「空気供給部10」が「火炉2aの側壁2a1の内壁面に向けて空気を供給する」とした記載があり、【0023】に「接続配管11は、灰貯蔵サイロ8と、空気供給部10とを接続する配管であり、灰貯蔵サイロ8に貯蔵された燃焼灰を空気供給部10に案内する」とした記載があり、【0030】に「このような本実施形態のボイラシステム1においては、火炉2aの内壁面に向けて空気を供給する空気供給部10を石炭燃焼灰供給部9の一部として用いることができる。」とした記載があるため、新規事項の追加に該当しない。
そして、上記b.に係る訂正は、空気供給部が供給するものについて、「空気」を「空気及び石炭燃焼灰」とし、さらに、「内壁面」について「空気及び石炭燃焼灰」が「供給」される向きを特定するものであって、発明のカテゴリーや発明特定事項を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項4は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とした訂正と認められ、新規事項の追加に該当しないものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合し、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合すると認める。
(3)小括
上記のとおり、一群の請求項である請求項1~4に係る訂正事項1~3、及び請求項5に係る訂正事項4について、前者が特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、後者が特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕、5について訂正することを認める。
3 決定の予告の概要
決定の予告の概要は、次のとおりである。
請求項5に係る発明は、下記の甲第1号証に記載された発明及び甲第5号証、甲第3号証並びに甲第4号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
記
甲第1号証:国際公開第2014/162117号
甲第3号証:特開2012-132602号公報
甲第4号証:特開2016-176640号公報
甲第5号証:特開2000-65305号公報
4 当審の判断
(1)訂正後の請求項1~5に係る発明
本件訂正後の請求項1~5に係る発明(以下、各請求項に係る発明を、「本件発明1」~「本件発明5」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
バイオマス燃料を燃焼させるボイラを備えるボイラシステムであって、
石炭燃料を燃焼させて生成された石炭燃焼灰を前記バイオマス燃料と別経路にて前記ボイラに供給する石炭燃焼灰供給部を備え、
燃焼バーナが設けられ、
前記ボイラが備える火炉の内壁面に向けて空気を供給する空気供給部を備え、
前記空気供給部の配管が、前記燃焼バーナの配置位置に接続される分岐管を有し、
前記石炭燃焼灰供給部は、石炭燃焼灰を貯蔵する貯蔵部と前記空気供給部の前記分岐管とを接続する接続配管を有し、前記各接続配管の開閉を行う開閉バルブとを備えることを特徴とするボイラシステム。
【請求項2】
前記ボイラは、前記バイオマス燃料を燃料とするバイオマス燃焼バーナと、前記石炭燃料を燃料とする微粉炭燃焼バーナとを前記燃焼バーナとして有する混焼ボイラであり、
前記石炭燃焼灰供給部は、前記混焼ボイラで生成された燃焼灰を前記ボイラに還流させることにより前記石炭燃焼灰を前記ボイラに供給する
ことを特徴とする請求項1記載のボイラシステム。
【請求項3】
前記混焼ボイラは、複数の前記バイオマス燃焼バーナを含むバイオマス燃焼バーナ群と、複数の前記微粉炭燃焼バーナを含む微粉炭燃焼バーナ群とを有し、
前記石炭燃焼灰供給部は、前記バイオマス燃焼バーナ群の配置位置に前記石炭燃焼灰を供給する
ことを特徴とする請求項2記載のボイラシステム。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
バイオマス燃料を燃焼させるボイラを備えるボイラシステムであって、
石炭燃料を燃焼させて生成された石炭燃焼灰を前記ボイラに供給する石炭燃焼灰供給部を備え、
前記ボイラの火炉の対向する内壁面のそれぞれに燃焼バーナが設けられ、
前記ボイラが備える火炉の前記内壁面以外の側壁面に向けて空気及び石炭燃焼灰を供給する空気供給部を備え、
前記石炭燃焼灰供給部は、前記石炭燃焼灰を貯蔵する貯蔵部と前記空気供給部とを接続する接続配管と、前記接続配管の開閉を行う開閉バルブとを備える
ことを特徴とするボイラシステム。」
(2)引用文献の記載
ア 甲第1号証の記載事項、引用発明
決定の予告において引用した甲第1号証には、以下の事項が記載されている。なお、日本語の記載として、特許異議申立書に添付された甲第1号証の翻訳文を援用した。
(ア)「Biomass may be combusted in small or large scale-combustion systems. For example, biomass may be combusted in a pulverised fuel boiler (1) as depicted in Figure 1. Biomass fuel is injected into the combustion region of a furnace (F) via burners (2) . The heat generated by the combustion of biomass is used to produce superheated steam in superheaters and reheaters (3) . The superheated steam is directed to rotate a turbine (not shown) and this, in turn, drives a generator (not shown) to produce electricity. In pulverised fuel boilers, combustion typically takes place at temperatures in the range of approximately 1200°C to 1700°C.」(第1ページ第14行~第25行)
(日本語訳:バイオマスは、小規模または大規模な燃焼システム内で燃焼されてもよい。たとえば、バイオマスは、図1に示すように、微粉燃料ボイラ(1)で燃焼させることができる。バイオマス燃料は、バーナー(2)を介して炉(F)の燃焼領域に注入される。バイオマスの燃焼によって発生する熱は、過熱器及び再熱器(3)で過熱蒸気を生成するために使用される。過熱蒸気はタービン(図示せず)を回転させるように導かれ、これが次に、発電機(図示せず)を駆動して電気を生成する。微粉燃料ボイラでは、燃焼は通常、約1200℃~1700℃の範囲の温度で行われる。)
(イ)「A further aspect of the invention relates to a biomass combustion system comprising:
a furnace having a combustion region;
a gas pass; and means for injecting biomass and mitigant into the combustion region, whereby the biomass releases biomass ash as it combusts and the mitigant comprises aerodynamic particles for capturing biomass ash.
The means for injecting may comprise one or more primary injection ports for injecting biomass into the combustion region and a one or more secondary injection ports for injecting the mitigant into the combustion region. The one or more secondary injection ports for injecting the mitigant may be arranged to inject the mitigant into the combustion region below, adjacent to and/or above the biomass.」(第9ページ第1行~第18行)
(日本語訳:本発明のさらなる態様は、燃焼領域を有する炉と、ガスパスと、バイオマスと緩和剤を燃焼領域に注入するための手段とを備え。それによってバイオマスは燃焼時にバイオマス灰を放出し、緩和剤はバイオマス灰を捕捉するための空気力学的粒子を含むバイオマス燃焼システムに関する。
注入するための手段は、バイオマスを燃焼領域に注入するための1以上の一次注入ポートと、緩和剤を燃焼領域に注入するための1つまたは複数の二次注入ポートとを含み得る。緩和剤を注入するための1以上の二次注入ポートは、バイオマスの下、バイオマスに隣接して、および/または上にある燃焼領域に緩和剤を注入するように配置されてもよい。)
(ウ)「The biomass combustion system may combust one or more types of biomass. The biomass combustion system may at least substantially combust biomass fuel. The biomass combustion system may co-fire biomass fuel with one or more other fuels.
The biomass combustion system may be small scale or large scale. The biomass combustion system may be for commercial or industrial purposes. The biomass combustion system may be a pulverised fuel boiler, a fluidised bed boiler or any other suitable boiler.」(第13ページ第11行~第21行)
(日本語訳:バイオマス燃焼システムは、1つまたは複数のタイプのバイオマスを燃焼させることができる。バイオマス燃焼システムは、バイオマス燃料を少なくとも実質的に燃焼させることができる。バイオマス燃焼システムは、バイオマス燃料を1つまたは複数の他の燃料と混焼させることができる。
バイオマス燃焼システムは、小規模または大規模であり得る。バイオマス燃焼システムは、商業目的または産業目的であり得る。バイオマス燃焼システムは、微粉燃料ボイラ、流動床ボイラまたは他の任意の適切なボイラであり得る。)
(エ)「Injection of mitigant
The mitigant is injected into a combustion (fireball) region of a biomass combustion system along with the biomass.
The mitigant may be injected into the combustion region using injection ports. The mitigant and biomass may be separately injected into the combustion region. For example, the biomass may be injected into the combustion region using one or more primary injection ports and the mitigant may be injected using a one or more secondary injection ports. The one or more secondary injection ports for injecting the mitigant may be arranged below, adjacent to or above the one or more primary injection ports for the biomass. As a result, the mitigant may be injected below the fireball, into the fireball or onto the top of the fireball in the combustion region. The mitigant and biomass may be injected into the combustion region using the same injection port(s). For example, a mixture composition or a compound composition comprising the mitigant and biomass may be injected into the combustion region using one or more injection ports.」(第17ページ16行~第18ページ第3行)
(日本語訳:緩和剤の注入
緩和剤は、バイオマスとともにバイオマス燃焼システムの燃焼(火の玉)領域に注入される。
緩和剤は、噴射ポートを使用して燃焼領域に噴射されてもよい。緩和剤とバイオマスは、燃焼領域内へ別々に注入されてもよい。例えば、バイオマスは、1以上の一次注入ポートを使用して燃焼領域内に注入されてもよく、緩和剤は、1以上の二次注入ポートを使用してされてもよい。緩和剤を注入するための1以上の二次注入ポートは、バイオマスのための1以上の一次注入ポートの下、一時注入ポートに隣接して、または一時注入ポートの上に配置することができる。結果として、緩和剤は、燃焼領域において、火の玉の下、火の玉の中、又は火の玉の上部に注入されてもよい。緩和剤とバイオマスは、同じ注入ポート使用して燃焼領域にされてもよい。例えば、緩和剤およびバイオマスを含む混合物組成物又は化合物組成物は、1以上の注入ポートを使用して燃焼領域に注入されてもよい。)
(オ)「The mitigant may comprise pulverised fuel ash (PFA) . Pulverised fuel ash is a by-product, formed during the combustion of pulverised coal, that is carried through the coal fired boiler by flue gasses and collected by electrostatic precipitators or other filtration apparatus. For this reason, PFA is otherwise referred to as "fly ash" or "flue ash". To control pollution, pulverised fuel ash is typically captured and then stored, sold or disposed in landfills. Due to the substantial number of coal-fired boilers, PFA is available in large quantities. Recycling PFA to mitigate the undesirable slagging, fouling and corrosion effects of biomass ash advantageously reduces the storage/landfill cost and space.」(第25ページ第3行~第15行)
(日本語訳:緩和剤は、粉砕燃料灰(PFA)を含み得る。燃料粉砕灰は、微粉炭の燃焼時に発生する副産物であり、煙道ガスにより石炭焚きボイラを通過し、静電集じん器又は他のろ過装置により回収される。この理由から、PFAは、「フライアッシュ」または「煙道灰」とも称される。汚染を管理するために、粉砕された燃料灰は通常、捕獲されてから、保管、販売、または埋立地に処分される。石炭燃焼ボイラの数が多いために、PFAは大量に入手可能である。バイオマス灰の望ましくないスラッギング、ファウリング、および腐食の影響を軽減するためにPFAをリサイクルすると、保管/貯蔵埋め立てのコストとスペースが有利に削減される。)
(カ)「FIG.1
[図:0001404730000001.jpg]
」
(キ)「FIG.7
[図:0001404730000002.jpg]
」
また、(ア)で摘示した「バイオマスは、図1に示すように、微粉燃料ボイラ(1)で燃焼させることができる。バイオマス燃料は、バーナー(2)を介して炉(F)の燃焼領域に注入される。」という記載、(オ)で摘示したFIG.1及び(カ)で摘示したFIG.7から、ボイラ(1)の炉(F)には、バーナー(2)が設けられていると認められる。
以上を総合すると、甲第1号証には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
[引用発明]
「バイオマス燃料及び他の燃料を同時に燃焼可能なボイラ1に、バイオマスの微粉を注入する1以上の一次注入ポートと、前記一次注入ポートに隣接した位置に微粉炭を燃焼させて生成した燃料粉砕灰を注入する1以上の二次注入ポートとを備え、
ボイラ1の炉Fには、バーナー2が設けられる
バイオマス燃焼システム。」
イ 甲第3号証の記載事項
決定の予告において引用した甲第3号証には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0019】
石炭粉砕装置13は、ホッパ22から供給された石炭11を粉砕するものであって、例えば、数μmから数百μm程度の所望の粒径に粉砕し、石炭粉体(微粉炭)とするものである。石炭粉砕装置13は、ハウジング13aと粉砕テーブル13bと、粉砕ローラ13cと、を備える。」
(イ)「【0033】
バイオマス粉体15及び微粉炭13は、各々、燃焼バーナ17bから別々に1次空気と共に、ボイラ火炉17内に供給され、ボイラ火炉17内で混合して燃焼される。ボイラ火炉17内に供給された微粉炭13及びバイオマス粉体15は燃焼することにより燃焼排ガスGを発生する。」
(ウ)「【図1】
[図:0001404730000003.jpg]
」
※当審注 図1中「石灰11」、「バイオマス・石灰混焼システム」、「石灰破砕装置13」の表記は誤りがあり、誤「石灰」→正「石炭」である。
ウ 甲第4号証の記載事項
決定の予告において引用した甲第4号証には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0004】
ところで、硫黄含有燃料を燃焼させるボイラの火炉では、火炉のバーナ部の最上段の追加燃焼用空気ノズル(OFA:OverFireAir)と追加空気ノズル(AA:AdditionalAir)との間の領域などでは、火炉内の空気が不足して炉壁付近の空気が不足して酸素濃度が低下する場合があり、また炉壁の中央部付近では火炎と炉壁までの距離が近く、高温領域となる場合がある。このような場合には、炉壁の中央部付近に低酸素、かつ、高温となる還元雰囲気にある領域が形成されるので、腐食成分である硫化水素(H2S)が発生しやすくなり、炉壁の内面に腐食が発生する場合がある。」
(イ)「【0025】
各燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭供給管26,27,28,29,30を介して微粉炭機(ミル)31,32,33,34,35に連結されている。この微粉炭機31,32,33,34,35は、ハウジング内に鉛直方向に沿った回転軸心をもって粉砕テーブル(不図示)が駆動回転可能に支持され、この粉砕テーブルの上方に対向して複数の粉砕ローラが粉砕テーブルの回転に連動して回転可能に支持されて構成されている。これにより、石炭が複数の粉砕ローラと粉砕テーブルとの間に投入されると、ここで所定の大きさまで粉砕され、搬送用空気(1次空気)により分級された微粉炭を微粉炭供給管26,27,28,29,30から燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給することができる。」
(ウ)「【0052】
火炉11の燃焼領域Aや還元領域Bでは、低酸素雰囲気で、且つ、高温雰囲気となることから、腐食成分である硫化水素(H2S)が発生しやすく、炉壁の内面に腐食が発生するおそれがある。そこで、本実施の形態では、火炉11にて、保護ガスノズル62,63,64が燃焼領域Aにある内壁面に沿って空気を吹き込む。この空気は、炉壁に沿って火炎旋回流より外側に吹き込まれることから、火炎が火炉11の内壁面に直接接触することがなく、炉壁の低温化により腐食の発生が抑制される。
【0053】
また、保護ガスノズル62,63,64から火炉11の内壁面と火炎旋回流との間に空気が吹き込まれることで、この領域が高酸素領域となり、硫化水素の発生が抑制されることから、炉壁の腐食が抑制される。更に、火炉11は、燃焼領域Aや還元領域Bの壁面近傍が高酸素雰囲気で、且つ、低温雰囲気に抑制されることから、フライアッシュの溶融を抑制することができ、スラッギングを防止することができる。」
(エ)「【符号の説明】
【0077】
10 石炭焚きボイラ
11 火炉
12 燃焼装置
21,22,23,24,25燃焼バーナ
26,27,28,29,30微粉炭供給管
31,32,33,34,35微粉炭機
36 風箱
37 空気ダクト
41 追加燃焼用空気供給装置
42,43 追加燃焼用空気ノズル
44 第1分岐空気ダクト
51 追加空気供給装置
52 追加空気ノズル
53 第2分岐空気ダクト
61 保護ガス供給装置
62,63,64 保護ガスノズル
65,66 第3分岐空気ダクト
100,100A,100Bレーザ分析部
101 送光素子
102 光ファイバ
103 マルチプレクサ
104,107 光スイッチ
105 送光光学系
106 受光光学系
108 マルチプレクサ
109 受光素子
110 演算装置
200 制御部
G 排ガス」
(オ)「【図1】
[図:0001404730000004.jpg]
」
(カ)「【図2】
[図:0001404730000005.jpg]
」
エ 甲第5号証の記載事項
決定の予告において引用した甲第5号証には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0025】《実施例1》図1は、本発明による貫流型ボイラの実施例1における火炉の概略構造を示す斜視図である。火炉は、前壁14aおよび後壁14bと、これらの壁14a,14bに交わる左側壁1aおよび右側壁1bとを有する。対向する前壁14aおよび後壁14bの少なくとも一方には、バーナが、複数段かつ複数列に取り付けられている。実施例1の場合、下段バーナ2,中段バーナ3,上段バーナ4は、それぞれ4列のバーナからなる。各バーナは、燃料と燃焼用空気とを燃焼室13に投入する。」
(イ)「【0027】実施例1においては、燃料を含まない気体が、気体噴出口6から供給される。燃料を含まない気体の成分は、空気,酸素,燃焼排ガスなどである。」
(ウ)「【0035】気体噴出口6の噴流18は、バーナ壁14に垂直に供給するだけではなく、任意の角度で供給してもよい。気体噴出口6の噴流18を燃焼室13の内部に向くように供給すると、燃焼ガス16は、側壁1の方向に流れにくくなる。噴流18を側壁1に向けて噴出すると、噴流18の気体は、側壁1に沿うように供給できる。」
(エ)「【図1】
[図:0001404730000006.jpg]
」
(オ)「【図4】
[図:0001404730000007.jpg]
」
(3)対比
本件発明5と引用発明とを対比する。
引用発明の「バイオマス燃料」、「ボイラ1」は、それぞれ本件発明5の「バイオマス燃料」、「ボイラ」に相当するから、引用発明の「バイオマス燃料及び他の燃料を同時に燃焼可能なボイラ1」は、「バイオマス燃料」を燃焼可能であるから、本件発明5の「バイオマス燃料を燃焼させるボイラ」に相当する。
引用発明の「微粉炭」は、本件発明5の「石炭燃料」に相当するから、引用発明の「微粉炭燃料を燃焼させて生成した燃料粉砕灰」は、本件発明5の「石炭燃料を燃焼させて生成された石炭燃焼灰」に相当する。
してみると、引用発明の「前記一次注入ポートに隣接した位置に微粉炭を燃焼させて生成した燃料粉砕灰を注入する1以上の二次注入ポート」は、本件発明5の「石炭燃料を燃焼させて生成された石炭燃焼灰を前記ボイラに供給する石炭燃焼灰供給部」に相当する。
引用発明の「バイオマス燃焼システム」は、本件発明5の「ボイラシステム」に相当する。
引用発明の「炉F」、「バーナー2」は、本件発明5の「火炉」、「燃焼バーナー」に相当する。
してみると、引用発明の「ボイラ1の炉Fには、バーナー2が設けられ」ることと本件発明5の「前記ボイラの火炉の対向する内壁面のそれぞれに燃焼バーナが設けられ」ることとは、「前記ボイラの火炉に燃焼バーナが設けられ」ることの限りで一致する。
よって、本件発明5と引用発明とは、次の一致点で一致し、かつ、相違点で相違する。
[一致点]
バイオマス燃料を燃焼させるボイラを備えるボイラシステムであって、
石炭燃料を燃焼させて生成された石炭燃焼灰を前記ボイラに供給する石炭燃焼灰供給部を備え、
前記ボイラの火炉に燃焼バーナが設けられる
ボイラシステム。
[相違点1]
「前記ボイラの火炉」に「設けられ」る「燃焼バーナ」に関して、本件発明5は、「対向する内壁面のそれぞれに燃焼バーナが設けられ」るのに対して、引用発明は、バーナー2の設置について明らかでない点。
[相違点2]
本件発明5は、「前記ボイラが備える火炉の前記内壁面以外の側壁面に向けて空気及び前記石炭燃焼灰を供給する空気供給部を備え」るのに対し、引用発明は、かかる事項を備えることが明らかでない点。
[相違点3]
本件発明5は、「前記石炭燃焼灰供給部は、前記石炭燃焼灰を貯蔵する貯蔵部と前記空気供給部とを接続する接続配管と、前記接続配管の開閉を行う開閉バルブとを備える」のに対し、引用発明は、かかる事項を備えることが明らかでない点。
(4)判断
上記相違点について検討する。
事例に鑑み、相違点3について検討する。
相違点3に係る本件発明5の発明特定事項である「石炭燃焼灰供給部」は、石炭燃焼灰を貯蔵する貯蔵部と、空気及び石炭燃焼灰を供給する空気供給部とを接続する接続配管部、接続配管の開閉を行う開閉バルブとを備えるものである。
一方、甲第3号証は、ホッパ22から供給された石炭11を石炭粉砕装置13で粉砕するもの(段落【0019】)であるから、少なくとも、本件発明5の「石炭燃焼灰」に対応する「粉砕された石炭」を貯蔵するための手段は備えておらず、当該貯蔵するための手段と空気供給部とを接続する配管も備えていない。同様に、甲第4号証も、燃焼バーナが微粉炭機(ミル)と微粉炭供給管を介して接続され、石炭が微粉炭機で粉砕されるもの(段落【0025】)であるから、本件発明5の「石炭燃焼灰」に対応する「粉砕された石炭」を貯蔵するための手段は備えておらず、当該貯蔵する手段と本件発明5の「空気供給部」に対応する「微粉炭供給管」を接続する配管も備えていない。
そうすると、甲第3号証及び甲第4号証は、相違点3に係る本件発明5の発明特定事項、特に「貯蔵部と、空気及び石炭燃焼灰を供給する空気供給部とを接続する接続配管部」を開示するものではない。
また、甲第5号証及び異議申立人が提出した甲第2号証も、相違点3に係る本件発明5の発明特定事項を開示するものではない。
してみると、引用発明において、相違点3に係る本件発明5の発明特定事項を容易に想到し得たとする動機は見いだせない。
したがって、他の相違点についての検討をするまでもなく、本件発明5は、引用発明及び甲第2号証ないし甲第5号証に基いて当業者が容易に発明し得たとすることはできない。
(5)令和5年7月11日の意見書における申立人の意見について
令和5年7月11日の意見書において、申立人は、次の主張をしている。
「合議体は、『・・・開閉バルブは搬送対象物の量を調整する役目を果たすと理解・・・』したようであるが、訂正後本件発明5の「開閉バルブ」は「・・・前記接続配管の開閉を行う・・・」ものであって、開度調整により石炭燃焼灰の供給量を制御するものではないと考えることもできる。この場合であっても、ボイラシステムの運転状態に応じて(あるいは保守時の利便性を考慮して)二次注入ポートと貯蔵部との連通を遮断するために、「開閉バルブ」(遮断弁)を接続配管に設けることは、きわめて慣用された仕様とみられ、格別なものではない。」と主張する。
しかしながら、相違点3の検討で述べたとおり、甲第2号証及び甲第5号証は、相違点3に係る本件発明の発明特定事項、特に「貯蔵部と、空気及び石炭燃焼灰を供給する空気供給部とを接続する接続配管部」を開示するものではない。仮に、申立人が主張するとおり「開閉バルブを接続配管に設けること」がきわめて慣用された仕様であるとしても、甲第2号証ないし甲第5号証が相違点3に係る本件発明5の発明特定事項を全て備えることにはならないのであるから、引用発明において、甲第2号証ないし甲第5号証に基いて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。
したがって、申立人の上記主張は、結論において採用できない。
(5)小括
以上のとおり、本件発明5は、引用発明及び甲第5号証、甲第3号証並びに甲第4号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
本件発明1と引用発明とを対比すると、両者は、少なくとも次の点で相違する。
[相違点4]
本件発明1は「空気供給部の配管が、前記燃焼バーナの配置位置に接続される分岐管を有し、
前記石炭燃焼灰供給部は石炭燃焼灰を貯蔵する貯蔵部と前記空気供給部の前記各分岐管とを接続する接続配管を有し、前記各接続配管の開閉を行う開閉バルブを備える」のに対し、引用発明は係る構成、特に「分岐管」及び「貯蔵部と空気供給部の各分岐管とを接続する分岐配管」に係る構成を有しない点。
そうすると、本件発明1は引用発明でないから、特許異議申立書に記載された取消理由1(特許法第29条第1項第3号)により取り消すことはできない。
さらに、相違点4について検討すると、相違点4に係る本件発明1の発明特定事項は、甲第1号証、甲第3号証ないし甲第5号証には記載されておらず、示唆もない。また、申立人が提出した甲第2号証をみても、当該発明特定事項は記載されておらず、示唆もない。そうすると、引用発明において、相違点4に係る本件発明1の発明特定事項とする動機を見いだすことはできない。
そうすると、本件発明1は引用発明及び甲第1号証ないし甲5号証から容易に発明をすることができたものではないから、特許異議申立書に記載された取消理由2(特許法第29条第2項)により取り消すこともできない。
したがって、本件発明1は、特許異議申立書に記載された理由により取り消すことはできない。
また、本件発明1の発明特定事項をすべて有し、さらに請求項2及び請求項3に記載される発明特定事項を備えた本件発明2及び本件発明3も、本件発明1と同じ理由により、特許異議申立書に記載された取消理由2により取り消すことはできない。
5 むすび
以上のとおりであるから、請求項5に係る特許は、取消理由通知で通知した理由によって取り消すことはできない。
また、請求項1~3に係る特許は、特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由によって取り消すことはできない。
さらに、他に請求項1~3及び請求項5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項4に係る特許は、上記のとおり、本件訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項4に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-700174