商標取消審判
2022-301011
マスターピース
- 審判番号
- 2022-301011
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2013-010471
- 登録番号
- 5589356
- 請求日
- 2022年11月18日
- 審決日
- 2023年08月24日
- 公報発行日
- 2024年02月22日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ザ アッパー デック カンパニー
- 【請求人代理人】柴田 雅仁
- 【被請求人】株式会社 井野屋
- 【被請求人代理人】小林 正樹
- 審判長/審判官
- 審判長 小松 里美
- 審判官 大山 健
- 審判官 渡邉 あおい
- 分類
- T132 .1 -Y (W09)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第50条第2項、商標法第2条第3項第8号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5589356号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5589356号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり、「Master-piece」の文字を筆記体風の書体で書してなり、平成25年2月18日に登録出願、同年6月7日に設定登録され、指定商品を第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電池」とするものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和4年12月9日である。
なお、本件審判において商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和元年(2019年)12月9日ないし同4年(2022年)12月8日である(以下「要証期間」という場合がある。)。
第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第9類「電子応用機械器具及びその部品」について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、本件商標に係る商標公報の写し及び商標登録原簿の写しを提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、本件審判の請求に係る指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は、被請求人提出の審判事件答弁書に対して、何ら弁駁していない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第10号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
(1)通常使用権者の存在
本件商標について、商標権者である株式会社井野屋は、平成24年7月10日に設立され、袋物及び雑貨の企画、製造、卸売及び販売を主な事業とするMSPC株式会社に対して通常使用権を許諾している(乙1)。
なお、通常使用権者であるMSPC株式会社は、商標権者から分割した100%子会社であって(乙2、乙3)、商標権者と住所及び代表者も同一である(乙4、乙5)。
(2)本件商標の使用事実
本件では、以下の証拠が示すように、要証期間に日本国内において、通常使用権者であるMSPC株式会社が、少なくとも「アプリケーションソフトウェア」について、本件商標と社会通念上同一の商標(以下「使用商標」という。)を使用している。
具体的には、MSPC株式会社は、Apple社によるスマートフォンアプリの提供サイト(App Store)及びGoogle社によるスマートフォンアプリの提供サイト(GooglePlay)において、活字体による「master-piece」の商標を付したダウンロード可能な「アプリケーションソフトウェア」(以下「アプリ」という場合がある。)を2022年4月22日に日本向けに正式にリリースして、それ以降、現在に至るまで継続的に使用している(乙6、乙7)。
このアプリは、スマートフォン等にダウンロード後にアイコンをタップすると、ホーム画面が表示される(乙8の1)。そして、ホーム画面から運営者表示画面(乙8の2)に移行するとMSPC株式会社の名称、住所及び電話番号が掲載されている(乙8の2)。また、ホーム画面から利用規約画面に移行すると、サービス提供者がMSPC株式会社である旨を明記したうえで、日本の利用者に対する種々の規約を日本語で規定している(乙8の3)。なお、このアプリは、MSPC株式会社が、株式会社大塚商会に依頼して作成されたものである(乙9)。
(3)本件商標と使用商標の標章と指定商品の同一性について
本件商標は、筆記体により「master-piece」と表記されるのに対して、使用商標は、活字体により「master-piece」と表記されるところ、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標は社会通念上同一の商標と認められるため(乙10)、使用商標は本件商標と明らかに社会通念上同一の商標である。
また、使用商標が付されている「アプリケーションソフトウェア」は、審判請求に係る指定商品「電子応用機械器具及びその部品」のうちの「電子計算機プログラム」と明らかに同一の商品である。
2 結論
以上のとおり、審判請求前3年以内に日本国内において通常使用権者が指定商品についての本件商標を使用しているため、本件審判請求は容認されない。
第4 当審の判断
1 事実認定
(1)被請求人提出の乙各号証によれば、次の事実を認めることができる。
ア 商標権者は、2022年3月15日に、MSPC株式会社と商標使用権設定契約書を交わし、本件商標について商標権者はMSPC株式会社に対し、通常使用権を許諾した(乙1)。
イ MSPC株式会社は、商標権者の100%子会社であり(乙2、乙3)、住所及び代表者が一致する(乙4、乙5)。
ウ MSPC株式会社は、スマートフォンにダウンロードして提供される「master-piece」と称するショッピングのための「アプリケーションソフトウェア」を、「App Store」及び「Google Play」においていずれも2022年4月22日にリリースした(乙6、乙7)。
なお、「Google Play」における「master-piece」をインストールする画面には、「MSPC株式会社」及び「master-pieceの公式アプリです」の表記がある(乙7の1)。
エ 上記ウの「アプリケーションソフトウェア」をダウンロード後にアイコンから遷移するホーム画面には、「COMPANY PROFILE」として、MSPC株式会社の名称、所在地等が確認できる(乙8の2)。
オ 上記「アプリケーションソフトウェア」の提供サイト(乙6、乙7)及び同「アプリケーションソフトウェア」のホーム画面(乙8)には、「master-piece」の文字が、一般に用いられる書体で表示されている。
(2)以上より、商標権者が通常使用権を許諾したMSPC株式会社は、スマートフォンアプリの提供サイト(「App Store」及び「Google Play」)において、「master-piece」の文字(以下「使用商標」という。)を画面上に付した「アプリケーションソフトウェア」(以下「使用商品」という。)を2022年4月22日から提供したことが認められる。
2 判断
(1)使用商標について
本件商標は、別掲のとおり、「Master-piece」の文字を筆記体風の書体で書してなり、また、使用商標は、上記1(1)オのとおり、「master-piece」の文字を一般的な書体で書してなるところ、使用商標は、本件商標の構成文字を書体のみに変更を加えた同一の文字からなるものといえるから、本件商標と社会通念上同一と認められる商標といえる。
(2)使用商品について
使用商標は、ショッピングのためのアプリケーションソフトウェア(使用商品)の名称として使用されているといえる。
そして、使用商品(「アプリケーションソフトウェア」)は、スマートフォンにダウンロードして使用させるコンピュータプログラムであって、第9類「スマートフォン用アプリケーションプログラム」といえるから、本件商標の指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」に含まれる商品である。
(3)使用者について
商標権者は、要証期間である令和4年(2022年)3月15日に、本件商標についてMSPC株式会社と商標使用権設定契約書を交わし通常使用権を許諾したことから、MSPC株式会社は本件商標の通常使用権者というべきである。
(4)使用時期及び使用行為について
本件商標の通常使用権者は、スマートフォンアプリの提供サイトにおいて、要証期間である令和4年(2022年)4月22日から、提供に係る使用商品(「アプリケーションソフトウェア」)の画面上に使用商標が表示されることを、上記提供サイト中で表示し、展示していたものと認められる。
そうすると、これは、商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する広告に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当するものと認められる。
3 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者が本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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