商標取消審判
2022-300889
アイジェイテイアイ、アイジェイタバコインダストリー、アイジェイタバコ
- 審判番号
- 2022-300889
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2017-040241
- 登録番号
- 5985527
- 請求日
- 2022年10月03日
- 審決日
- 2025年05月27日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】日本たばこ産業 株式会社
- 【請求人代理人】瀧野 文雄
- 【請求人代理人】江成 文恵
- 【請求人代理人】加藤 智子
- 【請求人代理人】赤岩 美紀
- 【請求人代理人】今井 貴子
- 【被請求人】アイ.ジェー.タバコ インダストリー エフゼットイー
- 【被請求人代理人】▲吉▼川 俊雄
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 富澤 哲生
- 分類
- T131 .1 -Y (W34)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項、商標法第2条第3項第2号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5985527号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5985527号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成29年3月24日に登録出願、第34類「たばこ,喫煙用具,マッチ」を指定商品として、同年10月6日に設定登録され、その商標権は現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、令和4年10月25日になされたものであり、この登録前3年以内の期間(令和元年10月25日~令和4年10月24日)を以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は令和5年1月27日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対して、何ら弁駁していない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、令和5年1月27日付け答弁書及び同年8月30日付け審尋に対する同年10月19日付け回答書(以下「回答書」という。)において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第12号証(枝番号を含む。)を提出した。
なお、以下、乙各号証の表記にあたっては、乙第1号証を「乙1」のように省略して表示する場合があり、枝番号を有する証拠において、枝番号の全てを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。
1 答弁の理由
商標権者は、本件審判請求の登録前3年以内に我が国において本件審判請求に係る指定商品中「たばこ」について、本件商標を使用している。
(1)本件商標の使用の事実
ア 本件商標の使用者
乙第4号証のTax Invoiceの左上には、商標権者である「I.J.TOBACCO INDUSTRY F.Z.C」の記載がされている。
乙第5号証のPacking Listの左上「Sipper/Exporter」の項に商標権者「I.J.TOBACCO INDUSTRY FZC」の記載がある。
乙第6号証のAir Waybill中、「Shipper’s Name and Address」の項に商標権者「I.J.TOBACCO INDUSTRY FZC」の記載がある。
乙第7号証のドバイ税関発行の書類中、「CONSIGNEE/EXPORTER」の項に、商標権者「I.J.TOBACCO INDUSTRY F.Z.C」の記載がある。
イ 使用に係る商品
乙第3号証は、本件審判請求に係る指定商品「たばこ」の写真が示されている。
乙第7号証の「GOODS DESCRIPTION」には、たばこを示す「MALAKI TOBACCO MOLASSES」の記載がある。
ウ 使用に係る商標
乙第3号証の3及び乙第3号証の4の写真に示されたたばこの包装には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示されている。
また、乙第4号証、乙第5号証にも、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示されている。
エ 使用時期
乙第4号証のTax Invoiceには、2022年8月25日を表す「25-Aug-2022」の記載がある。
乙第5号証のPacking Listには、2022年8月25日を表す「August 25,2022」の記載がある。
乙第6号証には下部に2022年8月23日を表す「23-Aug-2022」の記載、並びに日本への輸出に係る航空便の便名及びフライト日を示す「Flight/Date」の項に2022年9月1日を示す「010922」の記載がある。
乙第7号証には、2022年8月25日を示す「25/08/2022」の記載がある。
オ 商標法第2条第3項に規定の使用であること
乙第3号証は、たばこ「Malaki TWO APPLE」の写真であり、当該製品を含む製品の日本への輸入に係る書類は、乙第4号証ないし乙第7号証に示されるとおりである。
乙第4号証のTax InvoiceのNo.16には、当該フレーバー付きたばこに相当する、Item No.「6291107590028」「Malaki Molasses Two Apple 50G」の記載がある。
乙第5号証の項目16にHS Code「24031100」、Description of Goodsに「Malaki Molasses Two Apple 50G」の記載がある。
乙第6号証には、「Airport of Departure」として「DUBAI WORLD CENTRAL」の記載があり、「Airport of Destination」に「NARITA APT/TOKYO」の記載があり、「Flight/Date」の項に2022年9月1日を示す「010922」の記載がある。
乙第7号証に記載の項目番号25の「CIL FOREIGN VALUE」の「1880.00」数値は、乙第4号証の「Total USD Exel.VAT」「Total USD Incl.VAT」の「1880.00」に一致し、乙第7号証に記載の項目番号36の「NET」の「100kg」は乙第5号証に記載の「Net Weight(KG)」の「100」と一致し、項目番号32の「20」は乙第5号証に記載のTotal number of cartonsの「20 cartons」に一致する。
すなわち、本件商標がその包装に付されたたばこ「Malaki Molasses Two Apple」を含む、商標権者の製品が、2022年9月1日に、ドバイ・ワールド・セントラル国際空港発、成田空港着の航空便によって輸入されたことを示す。
なお、輸入行為の主体に関し、平成14年(行ケ)第346号、東京高裁平成15年7月14日判決によれば、「登録商標が付された商品が、我が国において流通に供されるために輸入されたときには、その輸入行為をとらえて,これを当該外国法人による同法2条3項2号にいう「商品に標章を付したものを輸入する行為」に該当する「使用」行為と解しても差し支えないというべきである」と判示されており、本件における当該輸入行為についても、商標権者による輸入行為と解することができる。
したがって、当該輸入行為は、商標権者による、商標法第2条第3項第2号に規定の「商品の包装に標章を付したものを輸入する行為」に該当する。
また、乙第4号証、乙第5号証は、指定商品のたばこについての取引書類であり、F社(東京都台東区)宛てであり、輸入のために提供されたものである。
乙第4号証、乙第5号証の取引書類の提供は「商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」に相当し、商標法第2条第3項第8号に規定の「使用」に該当する。
カ 本件商標の使用をすることができなかった期間が存すること
上記のとおり、商標権者は、要証期間内に指定商品「たばこ」について本件商標の使用をしたが、要証期間内に本件商標の使用をすることができなかった期間が存することを申し述べる。
(ア)日本たばこ産業株式会社(請求人、以下「日本たばこ産業社」という。)の子会社で国際部門を担うJTインターナショナルは、アラブ首長国連邦において商標権者を被告として不正競争に関する訴訟を提起し、その訴訟に関連し、アラブ首長国連邦アジュマンにある商標権者の工場を差し押さえる請求をした。
訴訟は終局的に商標権者に有利に終わり差押命令は取り消されたものの、差押命令が取り消されるまでの間、商標権者は製品を製造、販売することができなかった。
概要はaないしdのとおりである。
a 日本たばこ産業社の子会社であるJTインターナショナルは、商標権者を被告として、アラブ首長国連邦アブダビ首長国において、不正競争に関する訴訟を提起した。
b 商標権者が製品を製造できなくなるように、原告は、差押命令を得て、アラブ首長国連邦アジュマンにある商標権者の工場を閉鎖させた。
c 工場がアジュマン首長国にあったため、アジュマン首長国においても不正競争に関する訴訟を提起された。
d 聴取は何度も延期されたが、アジュマンとアブダビで商標権者にとって有利な決定が下された。
(イ)上記(ア)bにより、商標権者の工場は、2021年2月2日から2021年11月10日まで閉鎖され、翌年の3月に稼働再開した。しかしながら、混乱のため再度整備したり、損失を補填する必要を余儀なくされた。
(ウ)乙第8号証ないし乙第12号証は当該差押に関するアジュマン首長国裁判所の文書の写しであり、乙第8号証に記載のように2021年2月2日を決定日として差押命令を受け、当該差押が執行され(乙9)、訴訟に関する聴取の延期等(乙10、乙11)を経て、最終的には、2021年11月10日に差押取消の決定が発行された(乙12)。
(エ)以上のように、商標権者は少なくとも2021年2月2日から、工場の稼働を再開した2022年3月まで本件商標の使用をすることができない、正当な理由が存在する。
2 回答書による主張
(1)答弁書に記述したように、商標権者においては、要証期間内に本件商標の使用をすることができなかった正当な理由が存在する。
日本たばこ産業社の子会社で国際部門を担うJTインターナショナルは、アラブ首長国連邦において商標権者を被告として不正競争に関する訴訟を提起し、その訴訟に関連し、アラブ首長国連邦アジュマンにある商標権者の工場を差し押さえる請求をしたため、差押命令が取り消されるまでの間、商標権者は製品を製造、販売することができなかった。
概要は答弁書にも記述のとおりであり、商標権者の工場は閉鎖され商標権者が本件商標の使用をすることができなかった正当な理由が存在する。
第4 当審の判断
1 事実認定
(1)被請求人の主張及び同人が提出した乙各号証によれば、以下の事実が確認できる。
ア 乙第3号証
乙第3号証は、被請求人が、たばこの包装の写真と主張するものであり、別掲2に示すように、箱の1つの面に、「MALAKI」、「TWO APPLE」及び「たばこの煙は、周りの人の健康に悪影響を及ぼします。健康増進法で禁じられている場所では喫煙できません。」の各文字が表示されていることが見て取れる(乙3の1)。
また、別掲3に示すように、当該箱の他の面に、「I」、「J」、「T」、及び「I」の欧文字をモノグラムのように組み合わせた図形(以下「IJTI図形」という。)が表示されていることが見て取れる(乙3の3)。
イ 乙第4号証
乙第4号証は、被請求人が、製品の日本への輸出に係るインボイスと主張するものであり、1葉目において、左上に、「Tax Invoice」の記載、右上に、別掲4のとおりの、IJTI図形及びその下に「I.J.TOBACCO INDUSTRY」の文字を配した構成よりなる商標の記載、その下に、「I.J.TOBACCO INDUSTRY F.Z.C.」の記載、その下に、「Ajaman,United Arab Emirates」を含む住所の記載、その左における「Bill-to Address」及び「Ship-to Address」の各記載のそれぞれの下に、共通して、欧文字によるF社の社名及び東京都台東区内の住所の記載、その下の「Invoice Date」の項に、「25-Aug-2022」の記載があり、その下に提示された、「No.」、「Description」及び「Qty in Packet」等の見出しが設けられた表中の項番16に、「Description」に対応して「Malaki Molasses Two Apple 50G」の記載、「Qty in Packet」に対応して「400」がある。
ウ 乙第5号証
乙第5号証は、被請求人が、製品の日本への輸出に係る包装明細書と主張するものであり、1葉目において、左上に、「Packing List」の記載、右上に、乙第4号証における別掲4の商標と同一の商標の記載、その下の「Date」の項に、「August 25,2022」の記載、その左下に、「Shipper/Exporter」の記載、その下に、「I J TOBACCO INDUSTRY FZC」の記載、その下に「Ajman,United Arab Emirates」を含む住所の記載、その下に、「Consignee:」の記載、その下に、欧文字によるF社の社名及び東京都台東区内の住所の記載があり、その下に提示された、「Pallet No.」及び「Description of Goods」等の見出しが設けられた表中の項番16に、「Malaki Molsses Two Apple 50G」の記載がある。
(2)上記(1)アないしウによれば、次の事実を認めることができる。
ア 乙第3号証の写真は、「MALAKI TWO APPLE」の文字が表示されたたばこのパッケージを撮影したものであり、当該パッケージにはさらに、IJTI図形及び「たばこの煙は、周りの人の健康に悪影響を及ぼします。・・・」の文字が表示されているところ、後者は、当該たばこが、日本国内での販売を目的としたものであることを示すものと認められる。
イ 商標権者によって2022年8月25日付けで発行された、400個の「Malaki Molasses Two Apple 50G」の日本への輸出に係る日本国内のF社宛てのインボイス及び包装明細書には、それぞれ、別掲4のとおりの、IJTI図形及びその下に「I.J.TOBACCO INDUSTRY」の文字を配した構成よりなる商標が表示されていた(乙4、乙5)。
ここで、「Malaki Molasses Two Apple 50G」のうち、「Malaki」及び「Two Apple」の文字が上記アのたばこのパッケージにおける表示と共通しており、IJTI図形においても共通しているから、上記インボイス及び包装明細書は、当該たばこに関するものと認められる。
ウ 上記イのインボイス及び包装明細書は、いずれもF社宛てに発行されたものであるが、それぞれの体裁よりすれば、それらの発行は、取引書類に別掲4の商標を付して頒布する行為として行われたものと推認できる。
エ 上記アないしウによれば、商標権者は、2022年8月25日に日本国内において、商品「たばこ」(以下「使用商品」という。)に関する取引書類に、別掲4の商標、すなわち、IJTI図形及びその下に「I.J.TOBACCO INDUSTRY」の文字を配した構成よりなる商標(以下「使用商標」という。)を付して頒布したことが認められる。
2 判断
上記1(2)エの行為について、次のとおり判断できる。
(1)使用商品、使用者、使用時期及び使用行為について
使用商品は、たばこであるから、本件商標の指定商品中の「たばこ」に該当する商品であり、これを日本国に輸出した取引に係る取引書類の頒布は、要証期間に日本国内において、商標権者によりされたものである。
そして、使用商品に関する取引書類に使用商標を付して頒布する行為は、商標法第2条第3項第8号にいう、商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為に該当する。
(2)本件商標と使用商標との社会通念上の同一性について
本件商標と使用商標とは、IJTI図形及びその下に「I.J.TOBACCO INDUSTRY」の文字を配した構成において共通しており、後者の文字の字体において相違するものの、両者は外観において同視され得るものであって、社会通念上同一の商標と認められる。
(3)小括
上記(1)及び(2)によれば、商標権者は、要証期間に日本国内において、本件商標の指定商品中の「たばこ」に該当する商品に関する取引書類に本件商標と社会通念上同一の商標と認められる標章を付して頒布する、商標法第2条第3項第8号に該当する行為を行ったことが認められる。
3 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、本件商標の指定商品に該当する商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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