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意匠拒絶査定不服審判

2022-021392

乗用自動車

審判番号
2022-021392
法域
意匠
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
意願2021-028946外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
1748821
請求日
2022年12月28日
審決日
2023年06月07日
公報発行日
2026年07月31日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
D18 .3 -WY (G2-2)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
意匠法10条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
意匠法第14条第1項、意匠法第10条第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

意願2021- 28946「乗用自動車」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。

理由

目次 ▾ 9項目
理 由

第1 手続の主な経緯

本願は、意匠登録第1662771号の意匠を本意匠とし、意匠法第14条第1項の規定により意匠を3年間秘密にすることを請求する、令和3年12月28日の関連意匠に係る意匠登録出願であって、その後の主な経緯は以下のとおりである。

令和4年 4月13日付 :拒絶理由通知書
5月25日 :期間延長請求書の提出
7月22日 :意見書の提出
9月15日付 :拒絶査定
12月28日 :審判請求書の提出
令和5年 2月13日 :手続補正書の提出

(補正対象書類名:審判請求書)

第2 本願意匠

本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「乗用自動車」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び本意匠

原査定における拒絶の理由は、本願意匠は願書に記載した本意匠に類似する意匠と認められないから、意匠法第10条第1項の規定に該当しない、というものである。

そして、本願の願書に記載した本意匠である意匠登録第1662771号の意匠(以下、単に「本意匠」という。)は、意匠法第14条第1項の規定により意匠を3年間秘密にする請求を伴って令和元年12月27日に意匠登録出願され(意願2019-29278)、その後、令和2年6月12日に意匠権の設定の登録がなされたものであって、意匠に係る物品を「乗用自動車」とし、その形状等を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。

第4 当審の判断

1 本願意匠

(1)意匠に係る物品

本願意匠の意匠に係る物品は「乗用自動車」である。

(2)形状等

〔A1〕全体は、一般にSUV4ドアクーペタイプ(SUV:Sport Utility Vehicle(スポーツ用多目的車))と称される車高がやや高いスタイリングであり、全体的に丸みを帯びた4ドアのボディ形状を有し、正面視及び側面視の縦横比は、それぞれ約7:8、約7:20である。また、全てのピラー及びウィンドウの下端位置を略水平に全周接続してなる明調子のトリムラインによって、車体全体を上下に大きく二分した態様としている。(以下、トリムラインより下方を「ボディ部」、上方を「ルーフ部」という。)

〔A2〕ボディ部前方は、ボンネット、ヘッドライト、バンパー及びグリルからなり、

〔A2-1〕ボンネット上面中央部分には、略台形状を呈する浅い凹陥部が設けられている。

〔A2-2〕ヘッドライトは、斜め「木の葉」状を呈する左右一対の開口部内に設けられたものであり、当該開口部を上下に二分する緩弧状の装飾ラインを有し、その左右装飾ラインは折曲した先端部分が相対し、左右のヘッドライト間をボディ前方部も含めて一体的に接続するような弓なり状の態様を呈するものとなっている。

〔A2-3〕バンパーは、ボンネットから連なる傾斜面の上方位置に明確な屈曲ラインを設け、そこから略垂直に降下する前端面を有する態様のものであり、屈曲ラインの左右端部は、側面視で略「J」字状を呈する縦長スリットの上端部と接続している。

〔A2-4〕グリルは、バンパーの下方に、バンパーとは大きな明暗のコントラストを呈する態様で略横長台形状に設けられている。

〔A3〕ボディ部側面には、略水平のプレスラインが上下に2本設けられ、上側ラインは後方端部のみが若干の尻下がりとなっており、その上側プレスラインよりも上方、トリムラインとの中間位置には、ドアパネル表面と面一に細幅矩形状の前後ドアハンドル及び線状のターンシグナルランプが同一高さで設けられるとともに、ターンシグナルランプを上辺とする位置には暗調子の略逆台形状区画部が設けられている。

〔A4〕ボディ部後方は、上下2本のプレスライン間を滑らかな均一断面に凹陥させた態様であり、特にその上側プレスラインは、ボディ部側面に至る両端部がリアフェンダーに向けて緩弧状に下降傾斜することで、背面視全体で弓なり状を呈する態様となっており、同プレスラインとその端部を結ぶ水平線とによって区画された先細りの略帯状エリアは、全体が暗調子であって、内部を横断する装飾ラインを伴う一体的なリアコンビネーションランプとされている。

〔A5〕ルーフ部は、その側面視形状が、前端部から後端部までを滑らかに連続させたアーチ状で、後方部の湾曲の曲率が前方部よりも大きく、後端部の傾斜角度はボディ部後方と面一に接続する態様である。

2 本意匠

(1)意匠に係る物品

本意匠の意匠に係る物品は「乗用自動車」である。

(2)形状等

〔B1〕全体は、一般にスポーツセダン又は4ドアクーペタイプと称される車高がやや低いスタイリングであり、全体的に丸みを帯びた4ドアのボディ形状を有し、正面視及び側面視の縦横比は、それぞれ約6:8、約6:20である。また、全てのピラー及びウィンドウの下端位置を略水平に全周接続してなる明調子のトリムラインによって、車体全体を上下に大きく二分した態様としている。(以下、本願意匠と同様、トリムラインより下方を「ボディ部」、上方を「ルーフ部」という。)

〔B2〕ボディ部前方は、ボンネット、ヘッドライト、バンパー及びグリルからなり、

〔B2-1〕ボンネット上面中央部分には、略台形状を呈する浅い凹陥部が設けられている。

〔B2-2〕ヘッドライトは、斜め「木の葉」状を呈する左右一対の開口部内に設けられたものであり、当該開口部を上下に二分する緩弧状の装飾ラインを有し、その左右装飾ラインは折曲した先端部分が相対し、左右のヘッドライト間をボディ前方部も含めて一体的に接続するような弓なり状の態様のものとなっている。

〔B2-3〕バンパーは、ボンネットから連なる傾斜面の上方位置に明確な屈曲ラインを設け、そこから略垂直に降下する前端面を有する態様のものであり、屈曲ラインの左右端部は、側面視で略「J」字状を呈する縦長スリットの上端部と接続している。

〔B2-4〕グリルは、バンパーの下方に、バンパーとは大きな明暗のコントラストを呈する態様で略横長台形状に設けられている。

〔B3〕ボディ部側面には、略水平のプレスラインが上下に2本設けられ、上側ラインは後方端部のみが若干の尻下がりとなっており、その上側プレスラインよりも上方、トリムラインとの中間の位置には、ドアパネル表面と面一に細幅矩形状の前後ドアハンドル及び線状のターンシグナルランプが同一高さで設けられるとともに、ターンシグナルランプを上辺とする位置には暗調子の略逆台形状区画部が設けられている。

〔B4〕ボディ部後方は、上下2本のプレスライン間を滑らかな均一断面に凹陥させるとともに、当該凹陥部の中央付近を略逆台形状に更に凹陥させた態様であり、特にその上側プレスラインは、ボディ部側面に至る両端部がリアフェンダーに向けて緩弧状に下降傾斜することで、背面視全体で弓なり状を呈する態様となっており、同プレスラインとその端部を結ぶ水平線とによって区画された先細りの略帯状エリアは、全体が暗調子であって、内部を横断する装飾ラインを伴う一体的なリアコンビネーションランプとされている。

〔B5〕ルーフ部は、その側面視形状が、前端部から後端部までを滑らかに連続させたアーチ状で、後方部の湾曲の曲率が前方部よりも小さく、後端部の傾斜角度はボディ部後方と面一に接続する態様である。

3 本願意匠と本意匠の対比

(1)意匠に係る物品

本願意匠及び本意匠(以下、これらを合わせて「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、いずれも「乗用自動車」であり一致する。

(2)形状等

ア 共通点

両意匠の形状等を対比すると、主として以下のとおりの共通点が認められる。

〔共通点1〕上記〔A1〕及び〔B1〕で認定した車体全体の構成態様のうち、正面視及び側面視における縦横比(車高)を除く全ての点。

〔共通点2〕上記〔A2〕及び〔B2〕で認定した、ボディ部前方(ボンネット、ヘッドライト、バンパー及びグリル)の構成態様の全ての点。

〔共通点3〕上記〔A3〕及び〔B3〕で認定した、ボディ部側面の構成態様の全ての点。

〔共通点4〕上記〔A4〕及び〔B4〕で認定したボディ部後方の構成態様のうち、凹陥部に係る形状を除く全ての点。

〔共通点5〕上記〔A5〕及び〔B5〕で認定したルーフ部の構成態様のうち、側面視した際の湾曲の態様を除く全ての点。

イ 相違点

一方、両意匠の形状等には、主として以下のとおりの相違点が認められる。

〔相違点1〕全体の縦横比(車高)について、本願意匠は、正面視及び側面視での縦横比がそれぞれ約7:8及び約7:20であるのに対し、本意匠は、それぞれ約6:8及び約6:20である点。

〔相違点2〕ボディ部後方の凹陥部に係る形状について、本願意匠は、上下プレスライン間の凹陥部を滑らかな均一断面によるシンプルな形状としているのに対し、本意匠は、滑らかな均一断面による凹陥部の中央付近を略逆台形状に更に凹陥させた態様としている点。

〔相違点3〕ルーフ部の側面視形状について、本願意匠は、後方部の湾曲の曲率が前方部よりも大きいのに対し、本意匠は、後方部の湾曲の曲率が前方部よりも小さい点。

4 類否判断

以上の共通点及び相違点が類否に及ぼす影響を評価、総合し、両意匠の類否について判断する。

(1)意匠に係る物品

両意匠は、意匠に係る物品が同一である。

(2)形状等

ア 共通点の評価

まず、〔共通点1〕にいう全体的に丸みを帯びた4ドアクーペタイプのスタイリングをベースに、全てのピラー及びウィンドウの下端位置を略水平のトリムラインによって上下に二分した基本構成は、両意匠の車体全体における意匠造形の基調を形成している。また、個別の構成要素単体では乗用自動車の意匠において本願出願前から既に採用されている態様やモチーフも含まれてはいるものの、〔共通点2〕ないし〔共通点5〕に摘示した具体的な形状等は、それら要素の全てが両意匠中に存することにより、両意匠の造形に独自の個性を与えるものとなっている。中でも、〔共通点2〕に見られるヘッドライト周辺部分の具体的態様、すなわち、斜め「木の葉」状のヘッドライト開口部に上下を二分する装飾ラインを設け、それをボディ前方まで連続させることで、左右ヘッドライト間を接続するように弓なり状の装飾ラインを形成した態様、そして、その弓なり状の前方装飾ラインを、ボディ側面のターンシグナルランプ及び前後ドアハンドルを介して後方のリアコンビネーションランプ内を横断する装飾ラインまで同一の延長線上に設けてなる態様は、従来の意匠に比しても、両意匠を独自に強く特徴付けるものとなっている。

よって、上記各共通点に係る態様は、それら全てが相まって需要者に共通の印象を強く与えるものであるから、これらの共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は非常に大きいといえる。

イ 相違点の評価

〔相違点1〕、すなわち、両意匠の縦横比(車高)については、車体の全幅又は全長を揃えて対比すると、本願意匠は本意匠の1.1倍強の車高を有しており、全体として、本願意匠の方が本意匠よりも背高の印象を与えるものとなっている。しかしながら、一般にはスポーツセダンやSUVのようにカテゴリー分けされる傾向にはあるものの、それらの境界は必ずしも明確でなく、クロスオーバータイプといった中間タイプも存在する状況の中、両意匠に見られる縦横比(車高)は、各カテゴリーにおいてよく見られる構成であるとともに、直接対比しても違いは1割程度にとどまるものであるため、いずれも4ドアクーペタイプの特徴的な共通スタイリングを有する中では、この相違が両意匠の類否判断に与える影響は限定的である。

〔相違点2〕、すなわち、ボディ部後方の凹陥部に係る形状について、両意匠には、上下プレスライン間の凹陥部内に略逆台形状の更なる凹陥部を設けたか否かという相違があるものの、これは、ナンバープレートの取付け位置の違いに起因した選択的な相違に係るものであって、面積的にも限られた部分限定的な相違にとどまるものであるため、この相違が両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

〔相違点3〕、すなわち、ルーフ部の側面視形状について、本願意匠は後方部の湾曲の曲率が前方部よりも大きく、ルーフ部全体の重心位置がやや後ろ寄りにあるように見えるのに対し、本意匠は後方部の湾曲の曲率が前方部よりも小さく、ルーフ部全体の重心位置がやや前寄りにあるように見える点で相違している。しかしながら、乗用自動車においては、スポーツセダンやSUVというカテゴリーに見合った乗車定員や座席配列を施すことが一般的であり、両意匠に見られるルーフ形状の相違は、乗員の頭上クリアランスという機能的要求をクーペタイプという流麗なスタイリングの共通印象を破壊しない範囲内でまとめ上げたものと認められ、後端部の傾斜角度をボディ部と面一に接続する態様とした共通の造形も含めて勘案すると、この相違が両意匠の類否判断に与える影響も限定的なものにとどまるといえる。

ウ 小括

上記した共通点及び相違点の評価に基づくと、両意匠の形状等の共通点が類否判断に及ぼす影響は非常に大きいのに対して、相違点が類否判断に及ぼす影響は限定的であり、これら共通点は相まって需要者に共通の美感を与えているというべきものであるため、両意匠の形状等は類似すると認められる。

(3)両意匠の類否

以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が同一であり、その形状等も類似するものであるから、本願意匠は本意匠に類似するといえる。

第5 結び

以上のとおりであって、本願意匠は意匠法第10条第1項に規定する本意匠に類似する意匠に該当するから、原審の拒絶理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-021392

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