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特許拒絶査定不服審判

2022-021333

ソースドライバ及び表示装置

審判番号
2022-021333
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-157566外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年12月28日
審決日
2023年11月15日
公報発行日
2024年02月22日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (G09G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第44条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-157566「ソースドライバ及び表示装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 1月13日出願公開、特開2022- 8587〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 17項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、令和3年9月28日に提出された特許法44条1項の規定による特許出願であって、令和2年3月23日(優先権主張 令和元年12月13日)に出願された特願2020-51237号の分割出願であるところ、本願の出願後の手続の経緯の概略は、次のとおりである。

令和4年 7月13日付け:拒絶理由通知書

同年 9月13日 :意見書、手続補正書の提出

同月22日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)

(同年10月 4日 :原査定の謄本の送達)

同年12月28日 :審判請求書の提出

第2 本願発明

本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和4年9月13日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。

「【請求項1】
m本のソース線及びn本のゲート線(m、nは2以上の整数)と、前記m本のソース線と前記n本のゲート線との交差部の各々にマトリクス状に設けられたm×n個の画素部と、を有する表示パネルに接続され、各々がm個の画素データ片からなるn個の画素データ片群が連続してなる1フレーム分の映像データ信号を受け、前記映像データ信号に基づいて前記m×n個の画素部の各々を供給対象とする階調電圧信号を生成するソースドライバであって、
前記映像データ信号から前記n個の画素データ片群を所定周期で順次取り込み、取り込んだ当該画素データ片群に含まれる前記m個の画素データ片を前記m本のソース線に対応するm個の出力端から順次出力するラッチ回路と、
前記ラッチ回路から出力された前記m個の画素データ片を順次取り込み、取り込んだ当該画素データ片をm個の階調電圧に変換して階調電圧信号として前記m本のソース線に出力する出力回路と、
前記表示パネルに接続され且つ前記n本のゲート線を介して前記m×n個の画素部にゲート信号を供給するゲートドライバから前記画素部の各々までの前記ゲート線の長さが長くなるにしたがって、前記ゲート信号の立下りから前記階調電圧信号の立下りまでの時間間隔が大きくなるように第1の遅延時間を設定し、前記ソースドライバから前記画素部の各々が配されたゲート線までの距離が長くなるにしたがって、前記画素部の各々を供給対象とする前記階調電圧信号に対応する前記画素データ片の前記ラッチ回路による取り込みから出力までの時間間隔が小さくなるように第2の遅延時間を設定し、前記第1の遅延時間と前記第2の遅延時間とによって定まる出力遅延時間に基づいて前記ラッチ回路からの前記m個の画素データ片の出力のタイミングを制御するタイミング制御部と、
を有するソースドライバ。」

第3 原査定における拒絶の理由

原査定の拒絶の理由のうち、本願発明に対する理由3(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。

(進歩性の欠如)本願発明は、本願の優先日前に発行された下記の引用文献1に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

記

<引用文献一覧>

1.特開2004-94014号公報

第4 引用文献1に記載された事項と引用発明の認定

1 引用文献1に記載された事項

原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に発行された前記引用文献1(特開2004-94014号公報)には、以下の事項が記載されている。下線は当合議体において付したものであり、以下同様である。

(1) 【0001】

「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は表示装置に係り、たとえば液晶表示装置あるいは有機EL(Electro Luminescence)表示装置等の画像表示装置に関する。」

(2) 【0006】~【0008】

「【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような表示装置は、近年、その表示面の大型化が要望されてきているが、それにともない、ゲート信号線あるいはドレイン信号線の長さを大きくしなければならず、それによる不都合によって表示装置の大型化にも制限が付されるのが実情である。
【0007】
すなわち、ゲート信号線あるいはドレイン信号線を長くした場合、それによって生じる抵抗および寄生容量によって、それぞれ供給される走査信号あるいは映像信号の波形に歪みが発生し、この信号波形の歪みが原因して表示面に輝度の高い領域と低い領域が発生し、いわゆる輝度むらとなって目視できるからである。
【0008】
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、その目的は輝度むらの発生を抑制できる表示装置を提供することにある。」

(3) 【0025】~【0038】、【図1】

「【0025】
実施例1.
《全体の構成》
まず、図1は本発明による表示装置、たとえば液晶表示装置の全体構成の一実施例を示す平面図である。
続きを表示(全30行)
【0026】
図1において、液晶を介して互いに対向配置される一対の透明基板SUB1、SUB2があり、該液晶は一方の透明基板SUB1に対する他方の透明基板SUB2の固定を兼ねるシール材SLによって封入されている。
【0027】
シール材SLによって囲まれた前記一方の透明基板SUB1の液晶側の面には、そのx方向に延在しy方向に並設されたゲート信号線GLとy方向に延在しx方向に並設されたドレイン信号線DLとが形成されている。
【0028】
各ゲート信号線GLと各ドレイン信号線DLとで囲まれた領域は画素領域を構成するとともに、これら各画素領域のマトリクス状の集合体は液晶表示部ARを構成するようになっている。
【0029】
また、x方向に並設される各画素領域のそれぞれにはそれら各画素領域内に走行された共通の対向電圧信号線CLが形成されている。この対向電圧信号線CLは各画素領域の後述する対向電極CTに映像信号に対して基準となる電圧を供給するための信号線となるものである。
【0030】
各画素領域には、その片側のゲート信号線GLからの走査信号によって作動される薄膜トランジスタTFTと、この薄膜トランジスタTFTを介して片側のドレイン信号線DLからの映像信号が供給される画素電極PXが形成されている。
【0031】
この画素電極PXは、前記対向電圧信号線CLと接続された対向電極CTとの間に電界を発生させ、この電界によって液晶の光透過率を制御させるようになっている。
【0032】
前記ゲート信号線GLのそれぞれの一端は前記シール材SLを超えて延在され、その延在端は走査信号駆動回路Vの出力端子が接続される端子GLTを構成するようになっている。そして、この走査信号駆動回路Vには表示制御回路TCONから走査制御信号が入力されるようになっている。
【0033】
走査信号駆動回路Vは複数個の半導体装置(以下ゲートドライバGDと称す)からなり、互いに隣接する複数のゲート信号線GLどうしがグループ化され、これら各グループ毎に一個の半導体装置があてがわれるようになっている。このため、該半導体装置のそれぞれは各ゲート信号線GLの並設方向(y方向)に並設されて搭載されている。
【0034】
同様に、前記ドレイン信号線DLのそれぞれの一端は前記シール材SLを超えて延在され、その延在端は映像信号駆動回路Heの出力端子が接続される端子DLTを構成するようになっている。そして、この映像信号駆動回路Heには表示制御回路TCONから映像制御信号、および階調表示用リファレンス電圧生成手段SRVから階調に応じた電圧が供給されるようになっている。
【0035】
この映像信号駆動回路Heも複数個の半導体装置(以下ソースドライバSDと称す)からなり、互いに隣接する複数のドレイン信号線DLどうしがグループ化され、これら各グループ毎に一個の半導体装置があてがわれるようになっている。このため、該半導体装置のそれぞれは各ドレイン信号線DLの並設方向(y方向)に並設されて搭載されている。
【0036】
また、前記対向電圧信号線CLはたとえば図中右側の端部で共通に接続され、その接続線はシール材SLを超えて延在され、その延在端において端子CLTを構成している。この端子からは映像信号に対して基準となる電圧が供給されるようになっている。
【0037】
前記各ゲート信号線GLは、走査信号駆動回路Vからの走査信号によって、その一つが順次選択されるようになっている。
【0038】
また、前記各ドレイン信号線DLのそれぞれには、映像信号駆動回路Heによって、前記ゲート信号線GLの選択のタイミングに合わせて映像信号が供給されるようになっている。」
「【図1】
[図:0001406460000001.jpg]
」

(4) 【0041】~【0046】、【図2】

「【0041】
《ソースドライバ》
図2は、前記ソースドライバSDの一実施例を示したブロック図である。まず、液晶表示装置の外部から入力される表示データがデータラッチDR(1)に入力されるようになっている。このデータラッチDR(1)に入力される該表示データは、たとえば液晶表示装置の一つのゲート信号線GLに沿って配列される画素群に供給されるデータ、すなわち一ライン分のデータとなっている。
【0042】
続きを表示(全13行)
ラッチアドレスセレクタRASは、該表示データを集合体とする個々のデータが前記データラッチDR(1)のどのアドレスにラッチされるかを決定するようになっている。
【0043】
データラッチDR(1)に格納された前記表示データは、データラッチDR(2)にパラレルに移行され、これにより、データラッチDR(1)には次の一ライン分の表示データが格納されるようになる。
【0044】
データラッチDR(2)に格納された表示データはデコーダDDに移行され、このデコーダDDによって、該表示データを集合体とする個々のデータの内容に基づいてそれぞれ階調電圧からなる映像信号に変換されるようになる。なお、データラッチDD(2)に格納された表示データをデコーダに移行するのはラッチパルスによってなされるとともに、前記映像信号の階調電圧は該デコーダDDに供給されるリファレンス電圧(階調生成用電圧)を分圧することによって生成されるようになっている。
【0045】
さらに、階調電圧に変換された各映像信号はアンプAMPによって増幅された後に各ドレイン信号線DLに供給されるようになっている。
【0046】
そして、この実施例の場合、走査ライン位置情報がアンプに入力されるようになっている。ここで、走査ライン位置情報とは、走査信号(オン電圧)が供給されているゲート信号線GLを特定する情報であって、各ゲート信号GLをソースドライバSD側から順に数えた番号に相当する情報となっている。」
「【図2】
[図:0001406460000002.jpg]
」

(5) 【0083】~【0089】、【図11】、【図12】

「【0083】
実施例5.
図11は、本発明による表示装置の他の実施例を示す回路図で、図2と対応した図となっている。
【0084】
続きを表示(全15行)
同図において、図2に示すソースドライバSDにおいてそのデータラッチDR(2)に入力されるラッチパルスを出力切り替え信号として用い、この出力切り替え信号を走査ライン位置情報に応じて遅延させ、この遅延された信号を新たに形成されたラッチパルスとして用いることにある。
【0085】
すなわち、図11に示すように、遅延手段DMがあり、この遅延手段DMには前記出力切り替え信号と走査ライン位置情報が入力されている。また、この遅延手段DMの出力であるラッチパルスはデータラッチDR(2)に入力されている。
【0086】
ここで、走査ライン位置情報は、走査信号を供給するゲート信号線GLのソースドライバSD側から何番目に位置するかを示す値からなり、たとえば1、2、3、……に相当する情報となっている。
【0087】
図12は、ソースドライバSDの近端側から遠端側へのゲート信号線GLの選択による走査ライン位置情報に応じた、ソースドライバSDからの映像信号の遅延量の変化を示す図である。
【0088】
すなわち、たとえば走査ライン位置情報が30の場合、ソースドライバSDからの映像信号の遅延量は比較的大きくなっており、また、走査ライン位置情報が700の場合、ソースドライバSDからの映像信号の遅延量は比較的小さくなっている。この映像信号の遅延量は、走査ライン位置情報の値が大きくなるにつれ、それに応じて順次小さくなるようになっている。
【0089】
このように構成した場合、ソースドライバSDの近端に位置する画素への電圧(映像信号)書き込み時間は短く、遠端に位置する画素への電圧(映像信号)書き込みは長くすることができ、結果として、各画素に加わる電圧(映像信号)の書き込みは、近端、遠端においてもほぼ同一とすることができる。」
「【図11】
[図:0001406460000003.jpg]
」
「【図12】
[図:0001406460000004.jpg]
」

(6) 【0129】~【0135】、【図25】、【図26】

「【0129】
実施例12.
図25は、本発明による表示装置の他の実施例を示す図で、ソースドライバSDの構成を示している。
【0130】
続きを表示(全15行)
このソースドライバSDからの各映像信号を、走査信号駆動回路Vから遠ざかるゲート信号線GLにおける走査信号の遅延に応じて、該走査信号駆動回路Vから遠ざかる各ドレイン信号線DLに順次遅延させて供給する構成としたものである。
【0131】
すなわち、ラッチアドレスセレクタRAS、データラッチDR(1)、データラッチDR(2)、デコーダDD、およびアンプAMPを有するソースドライバSDにおいて、前記データラッチDR(2)に入力されるラッチパルスの入力にともない、アンプAMPから出力される各映像信号は、それぞれ遅延手段d1、d2、d3、……、dnによって、走査信号駆動回路Vから遠ざかるにつれ順次遅延量が増加されて各ドレイン信号線DLに供給されるようになっている。
【0132】
この場合、前記ラッチパルスは遅延手段DM1に入力され、その遅延されたラッチパルスは走査信号駆動回路Vから遠ざかる方向に隣接するソースドライバSDのデータラッチDR(2)に入力されている。この遅延手段におけるラッチパルスの遅延量は、一つのソースドライバSDがその各ドレイン信号線DLに順次遅延をもたらして映像信号を供給したのち、ほぼ同じ遅延量で隣接するソースドライバSDの最初の映像信号が供給されるように設定されている。
【0133】
これにより、複数の並設されたソースドライバSDからなる映像信号駆動回路Heは、走査信号駆動回路V側から順次並設された各ドレイン信号線DLに該順番通りに同じ遅延量で順次供給されることになる。
【0134】
また、この実施例では、上述した各遅延手段d1、d2、……、dn、およびDM1に調整量変更情報が入力されるように構成されている。実施例10と同様に、液晶表示パネルの大きさ等の種類に応じた適当値を入力させ、これにより各遅延手段に最適の遅延量を設定するためである。
【0135】
図26(a)、(b)は、当該ソースドライバSDに入力されるラッチパルス、該ソースドライバSDから出力される映像信号、および該ソースドライバSDと走査信号駆動回路と遠ざかる方向に隣接するソースドライバSDに入力ラッチパルスの関係を示したタイミングチャートである。図26(a)は調整量変更情報に相当する値が小さい場合、図26(a)は大きい場合を示している。」
「【図25】
[図:0001406460000005.jpg]
」
「【図26】
[図:0001406460000006.jpg]
」

(7) 【0156】

「【0156】
上述した各実施例はそれぞれ単独に、あるいは組み合わせて用いても良い。それぞれの実施例での効果を単独であるいは相乗して奏することができるからである。」

2 引用文献1から読み取れる認定事項

(1)ア 引用文献1には、実施例5について、以下の記載がある。

「【0083】
実施例5.
図11は、本発明による表示装置の他の実施例を示す回路図で、図2と対応した図となっている。
【0084】
同図において、図2に示すソースドライバSDにおいてそのデータラッチDR(2)に入力されるラッチパルスを出力切り替え信号として用い、この出力切り替え信号を走査ライン位置情報に応じて遅延させ、この遅延された信号を新たに形成されたラッチパルスとして用いることにある。」

イ 前記アの記載を踏まえつつ、引用文献1の【図2】及び【図11】に示されたそれぞれの構成を比較すると、引用文献1の【図11】に示された実施例5のソースドライバSDは、【図2】に示された実施例1のソースドライバSDの構成において、データラッチDR(2)に入力されるラッチパルスを走査ライン位置情報に応じて遅延させる遅延手段DMを追加し、走査ライン位置情報の供給先をアンプAMPから前記遅延手段DMへ変更したものであって、そのほかの構成はソースドライバSDが設けられる表示装置全体を含めて共通のものであることが読み取れる。

(2)ア 引用文献1には、ソースドライバについて、以下の記載がある。

「【0041】
《ソースドライバ》
図2は、前記ソースドライバSDの一実施例を示したブロック図である。まず、液晶表示装置の外部から入力される表示データがデータラッチDR(1)に入力されるようになっている。このデータラッチDR(1)に入力される該表示データは、たとえば液晶表示装置の一つのゲート信号線GLに沿って配列される画素群に供給されるデータ、すなわち一ライン分のデータとなっている。」

イ 前記段落【0041】において「ソースドライバSD」について説明されているところ、そこに入力される表示データについては、「たとえば液晶表示装置の一つのゲート信号線GLに沿って配列される画素群に供給されるデータ、すなわち一ライン分のデータ」とされている。映像信号駆動回路Heを構成する複数個のソースドライバSDのそれぞれが一ライン分のデータを受けることはできないのであるから、前記段落【0041】及び図2で説明されている「ソースドライバSD」とは、複数個のソースドライバSD全体、すなわち映像信号駆動回路Heを指すものであることは明らかといえる。

3 引用発明の認定

前記1(3)~(5)の記載事項及び前記2の認定事項を総合すると、引用文献1には、実施例5に示された映像信号駆動回路Heに関して、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

<引用発明>

「液晶を介して互いに対向配置される一対の透明基板SUB1、SUB2があり、一方の透明基板SUB1の液晶側の面には、そのx方向に延在しy方向に並設されたゲート信号線GLとy方向に延在しx方向に並設されたドレイン信号線DLとが形成されており、(【0026】、【0027】)
各ゲート信号線GLと各ドレイン信号線DLとで囲まれた領域は画素領域を構成するとともに、これら各画素領域のマトリクス状の集合体は液晶表示部ARを構成するようになっており、(【0028】)
各画素領域には、その片側のゲート信号線GLからの走査信号によって作動される薄膜トランジスタTFTと、この薄膜トランジスタTFTを介して片側のドレイン信号線DLからの映像信号が供給される画素電極PXが形成されており、(【0030】)
前記ドレイン信号線DLのそれぞれの一端は延在され、その延在端は映像信号駆動回路Heの出力端子が接続される端子DLTを構成するようになっており、(【0034】)
続きを表示(全16行)
この映像信号駆動回路Heは複数個のソースドライバSDからなり、互いに隣接する複数のドレイン信号線DLどうしがグループ化され、これら各グループ毎に一個のソースドライバSDがあてがわれるようになっており、このため、該ソースドライバSDのそれぞれは各ドレイン信号線DLの並設方向(y方向)に並設されて搭載されており、(【0035】)
各ドレイン信号線DLのそれぞれには、映像信号駆動回路Heによって、前記ゲート信号線GLの選択のタイミングに合わせて映像信号が供給されるようになっており、(【0038】)
前記複数個のソースドライバSDからなる映像信号駆動回路Heは、
液晶表示装置の外部から入力される表示データがデータラッチDR(1)に入力されるようになっており、このデータラッチDR(1)に入力される該表示データは、液晶表示装置の一ライン分のデータとなっており、(【0041】、前記2(2)の認定事項)
データラッチDR(1)に格納された前記表示データは、データラッチDR(2)にパラレルに移行され、これにより、データラッチDR(1)には次の一ライン分の表示データが格納されるようになり、(【0043】)
データラッチDR(2)に格納された表示データはデコーダDDに移行され、このデコーダDDによって、該表示データを集合体とする個々のデータの内容に基づいてそれぞれ階調電圧からなる映像信号に変換されるようになり、データラッチDD(2)に格納された表示データをデコーダに移行するのはラッチパルスによってなされ、(【0044】)
階調電圧に変換された各映像信号はアンプAMPによって増幅された後に各ドレイン信号線DLに供給されるようになっており、(【0045】)
出力切り替え信号を走査ライン位置情報に応じて遅延させ、この遅延された信号をラッチパルスとして用い、(【0084】)
すなわち、遅延手段DMがあり、この遅延手段DMには前記出力切り替え信号と走査ライン位置情報が入力され、この遅延手段DMの出力であるラッチパルスはデータラッチDR(2)に入力されており、(【0085】)
ここで、走査ライン位置情報は、走査信号を供給するゲート信号線GLのソースドライバSD側から何番目に位置するかを示す値からなり、(【0086】)
ソースドライバSDからの映像信号の遅延量は、走査ライン位置情報の値が大きくなるにつれ、それに応じて順次小さくなるようになっている、(【0088】)
複数個のソースドライバSDからなる映像信号駆動回路He。」

4 引用文献1技術事項の認定

前記1(6)の記載事項を総合すると、引用文献1には、「実施例12.」として次の技術事項(以下「引用文献1技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

<引用文献1技術事項>

「ラッチアドレスセレクタRAS、データラッチDR(1)、データラッチDR(2)、デコーダDD、およびアンプAMPを有するソースドライバSDにおいて、(【0131】)
前記データラッチDR(2)に入力されるラッチパルスの入力にともない、アンプAMPから出力される各映像信号は、各ドレイン信号線DLに供給されるようになっており、(【0131】)
この場合、前記ラッチパルスは遅延手段DM1に入力され、その遅延されたラッチパルスは走査信号駆動回路Vから遠ざかる方向に隣接するソースドライバSDのデータラッチDR(2)に入力されている、(【0132】)
ソースドライバSD。」

第5 対比

1 対比分析

本願発明と引用発明を対比する。

(1)ア(ア) 本願明細書の【0022】には、ソースドライバについて、以下の記載がある。

「【0022】
ソースドライバ14-1~14-pは、ソース線SL1~SLmを分割した所定数のソース線毎に設けられている。…(後略)。」

(イ) 本願発明の「ソースドライバ」は、「1フレーム分の映像データ信号を受け、前記映像データ信号に基づいて前記m×n個の画素部の各々を供給対象とする階調電圧信号を生成する」ものであるから、前記(ア)から、本願発明の「ソースドライバ」は、複数のソースドライバ14-1~14-pから構成されているものと解釈される。

イ そうすると、引用発明の「複数個のソースドライバSDからなる映像信号駆動回路He」は、本願発明の「ソースドライバ」に相当する。

ウ よって、本願発明と引用発明は、「ソースドライバ」の発明である点において一致する。

(2)ア 引用発明においては、液晶を介して互いに対向配置される一対の透明基板SUB1、SUB2があり、一方の透明基板SUB1の液晶側の面には、そのx方向に延在しy方向に並設されたゲート信号線GLとy方向に延在しx方向に並設されたドレイン信号線DLとが形成されており、各ゲート信号線GLと各ドレイン信号線DLとで囲まれた領域は画素領域を構成するとともに、これら各画素領域のマトリクス状の集合体は液晶表示部ARを構成するようになっているものである。

イ 引用発明の「x方向に並設されたドレイン信号線DL」及び「y方向に並設されたゲート信号線GL」は、それぞれ本願発明の「m本のソース線」及び「n本のゲート線(m、nは2以上の整数)」に相当する。

ウ 引用発明の「各ゲート信号線GLと各ドレイン信号線DLとで囲まれた」「各画素領域のマトリクス状の集合体」は、本願発明の「前記m本のソース線と前記n本のゲート線との交差部の各々にマトリクス状に設けられたm×n個の画素部」に相当する。

エ 引用発明の「液晶表示部ARを構成する」「各画素領域のマトリクス状の集合体」を構成する「液晶を介して互いに対向配置される一対の透明基板SUB1、SUB2」を有する部位は、本願発明の「表示パネル」に相当する。

オ 引用発明において、映像信号駆動回路Heがドレイン信号線DLの端子DLTに接続されており、ドレイン信号線DLが透明基板SUB1の液晶側の面に形成されていることは、前記エを踏まえると、本願発明の「ソースドライバ」が「表示パネルに接続され[ている]」ことに相当する。

カ よって、本願発明と引用発明は、「ソースドライバ」が「m本のソース線及びn本のゲート線(m、nは2以上の整数)と、前記m本のソース線と前記n本のゲート線との交差部の各々にマトリクス状に設けられたm×n個の画素部と、を有する表示パネルに接続され[ている]」点において一致する。

(3)ア 引用発明において、映像信号駆動回路Heは複数個のソースドライバSDからなり、当該ソースドライバSDのデータラッチDR(1)に、液晶表示装置の一ライン分のデータが入力されているところ、この一ライン分のデータは、本願発明の「m個の画素データ片からなる」「画素データ片群」に相当する。

イ また、引用発明においては、表示データが、一ライン毎にデータラッチDR(1)に格納されており、ゲート信号線GLの全てのライン分のデータが、1フレーム分の映像信号として、映像信号駆動回路Heに供給されていることは明らかであるから、この1フレーム分のデータが供給されていることは、本願発明の「各々がm個の画素データ片からなるn個の画素データ片群が連続してなる1フレーム分の映像データ信号を受け[ている]」ことに相当する。

ウ 引用発明において、データラッチDR(1)に格納された表示データは、データラッチDR(2)にパラレルに移行され、データラッチDR(2)に格納された表示データはデコーダDDに移行され、このデコーダDDによって、該表示データを集合体とする個々のデータの内容に基づいてそれぞれ階調電圧からなる映像信号に変換され、階調電圧に変換された各映像信号はアンプAMPによって増幅された後に各ドレイン信号線DLに供給されることは、本願発明の「前記映像データ信号に基づいて前記m×n個の画素部の各々を供給対象とする階調電圧信号を生成する」ことに相当する。

エ よって、本願発明と引用発明は、「各々がm個の画素データ片からなるn個の画素データ片群が連続してなる1フレーム分の映像データ信号を受け、前記映像データ信号に基づいて前記m×n個の画素部の各々を供給対象とする階調電圧信号を生成する」点において一致する。

(4)ア 引用発明の「データラッチDR(1)」及び「データラッチDR(2)」は、本願発明の「ラッチ回路」に相当する。

イ 引用発明の「データラッチDR(1)」は、液晶表示装置の一ライン分のデータを格納した後、データラッチDR(2)にパラレルに移行し、これにより、データラッチDR(1)には、次の一ライン分の表示データが格納されていることから、全ライン分の表示データを、「一ライン分の表示データ」ずつ、順次格納していることになる。このことは、表示データの格納が通常周期的に行われるものであることを踏まえると、本願発明の「前記映像データ信号から前記n個の画素データ片群を所定周期で順次取り込[む]」ことに相当する。

ウ 引用発明においては、前記(3)ウで示したとおり、データラッチDR(2)に格納された表示データはデコーダDDに移行され、このデコーダDDによって、それぞれ階調電圧からなる映像信号に変換され、階調電圧に変換された各映像信号は各ドレイン信号線DL(本願発明の「m本のソース線」に相当)に供給されているところ、この階調電圧の変換は「一ライン分の表示データ」がデータラッチDR(2)から出力されるごとに行われているから、引用発明の「データラッチDR(2)」から出力された表示データが階調電圧に変換されて、各映像信号として各ドレイン信号線DLに供給することは、本願発明の「取り込んだ当該画素データ片群に含まれる前記m個の画素データ片を前記m本のソース線に対応するm個の出力端から順次出力する」ことに相当する。

エ よって、前記ア~ウにおいて検討した事項を踏まえると、本願発明と引用発明は、「前記映像データ信号から前記n個の画素データ片群を所定周期で順次取り込み、取り込んだ当該画素データ片群に含まれる前記m個の画素データ片を前記m本のソース線に対応するm個の出力端から順次出力するラッチ回路」を有する点において一致する。

(5)ア 引用発明の「デコーダ」及び「アンプAMP」は、前記(3)において検討した事項を踏まえると、本願発明の「出力回路」に相当する。

イ よって、前記(3)及び(4)において検討した事項を踏まえると、本願発明と引用発明は、「前記ラッチ回路から出力された前記m個の画素データ片を順次取り込み、取り込んだ当該画素データ片をm個の階調電圧に変換して階調電圧信号として前記m本のソース線に出力する出力回路」を有する点において一致する。

(6)ア(ア) 引用発明においては、液晶表示装置の外部から入力される表示データがデータラッチDR(1)に入力され、データラッチDR(1)に格納された前記表示データは、データラッチDR(2)にパラレルに移行され、データラッチDD(2)に格納された表示データを、ラッチパルスによってデコーダに移行している。

(イ) そして、遅延手段DMに、出力切り替え信号と走査ライン位置情報を入力して、出力切り替え信号を走査ライン位置情報に応じて遅延させ、この遅延された信号をラッチパルスとして用いることにより、走査ライン位置情報の値が大きくなるに応じて、ソースドライバSDからの映像信号の遅延量は順次小さくなるようにしている。

(ウ) したがって、前記(ア)及び(イ)から、引用発明の「遅延手段DM」は、走査ライン位置情報の値が大きくなるに応じて、データラッチDR(2)に入力されるラッチパルスの遅延量を順次小さくしているものと認められる。

イ 一方、データラッチDR(1)に入力される、液晶表示装置の外部から入力される表示データについては、その入力するタイミングは走査ライン位置情報の値に関わらず同じであることは明らかといえる。

ウ(ア) 前記ア及びイをまとめると、引用発明の「遅延手段DM」は、走査ライン位置情報の値が大きくなるに応じて、表示データがデータラッチDR(1)に入力されるタイミングと、ラッチパルスがデータラッチDR(2)に入力されるタイミングの間隔が小さくなるように制御していることになる。

(イ) そして、データラッチDR(2)に入力されるラッチパルスによって、データラッチDR(2)に格納された表示データをデコーダに移行するタイミングを規定しているから、引用発明の「遅延手段DM」は、走査ライン位置情報の値が大きくなるに応じて、表示データがデータラッチDR(1)に入力されるタイミングと、データラッチDR(2)に格納された表示データがデコーダに移行するタイミングの間隔が小さくなるように制御しているものといえ、本願発明の「前記ソースドライバから前記画素部の各々が配されたゲート線までの距離が長くなるにしたがって、前記画素部の各々を供給対象とする前記階調電圧信号に対応する前記画素データ片の前記ラッチ回路による取り込みから出力までの時間間隔が小さくなるように第2の遅延時間を設定し」、「前記第2の遅延時間」「によって定まる出力遅延時間に基づいて前記ラッチ回路からの前記m個の画素データ片の出力のタイミングを制御するタイミング制御部」に相当する。

エ よって、前記(4)アで示したとおり、引用発明の「データラッチDR(1)」及び「データラッチDR(2)」が、本願発明の「ラッチ回路」に相当することを踏まえると、本願発明と引用発明は、「前記ソースドライバから前記画素部の各々が配されたゲート線までの距離が長くなるにしたがって、前記画素部の各々を供給対象とする前記階調電圧信号に対応する前記画素データ片の前記ラッチ回路による取り込みから出力までの時間間隔が小さくなるように第2の遅延時間を設定し」、「前記第2の遅延時間」「によって定まる出力遅延時間に基づいて前記ラッチ回路からの前記m個の画素データ片の出力のタイミングを制御するタイミング制御部」を有する点において共通する。

2 一致点及び相違点

前記1の対比分析の検討結果を総合すると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次に示すとおりである。

(1) 一致点

m本のソース線及びn本のゲート線(m、nは2以上の整数)と、前記m本のソース線と前記n本のゲート線との交差部の各々にマトリクス状に設けられたm×n個の画素部と、を有する表示パネルに接続され、各々がm個の画素データ片からなるn個の画素データ片群が連続してなる1フレーム分の映像データ信号を受け、前記映像データ信号に基づいて前記m×n個の画素部の各々を供給対象とする階調電圧信号を生成するソースドライバであって、

前記映像データ信号から前記n個の画素データ片群を所定周期で順次取り込み、取り込んだ当該画素データ片群に含まれる前記m個の画素データ片を前記m本のソース線に対応するm個の出力端から順次出力するラッチ回路と、

前記ラッチ回路から出力された前記m個の画素データ片を順次取り込み、取り込んだ当該画素データ片をm個の階調電圧に変換して階調電圧信号として前記m本のソース線に出力する出力回路と、

前記ソースドライバから前記画素部の各々が配されたゲート線までの距離が長くなるにしたがって、前記画素部の各々を供給対象とする前記階調電圧信号に対応する前記画素データ片の前記ラッチ回路による取り込みから出力までの時間間隔が小さくなるように第2の遅延時間を設定し、前記第2の遅延時間によって定まる出力遅延時間に基づいて前記ラッチ回路からの前記m個の画素データ片の出力のタイミングを制御するタイミング制御部と、

を有するソースドライバ、である点。

(2) 相違点

第2の遅延時間によって定まる出力遅延時間に基づいて前記ラッチ回路からの前記m個の画素データ片の出力のタイミングを制御するタイミング制御部について、

本願発明においては、さらに、「前記表示パネルに接続され且つ前記n本のゲート線を介して前記m×n個の画素部にゲート信号を供給するゲートドライバから前記画素部の各々までの前記ゲート線の長さが長くなるにしたがって、前記ゲート信号の立下りから前記階調電圧信号の立下りまでの時間間隔が大きくなるように第1の遅延時間を設定し」、

「タイミング制御部」は、前記第2の遅延時間のみでなく、「前記第1の遅延時間と前記第2の遅延時間とによって定まる出力遅延時間に基づいて前記ラッチ回路からの前記m個の画素データ片の出力のタイミングを制御する」ものであるのに対して、

引用発明においては、遅延手段DMは、走査ライン位置情報の値に応じた遅延制御のみ行っている点。

第6 判断

1 相違点について

前記相違点について検討する。

(1) 前記第4の4において引用文献1技術事項として示したとおり、引用文献1には「実施例12.」として以下の技術事項が記載されている。

「ラッチアドレスセレクタRAS、データラッチDR(1)、データラッチDR(2)、デコーダDD、およびアンプAMPを有するソースドライバSDにおいて、
前記ラッチパルスは遅延手段DM1に入力され、その遅延されたラッチパルスは走査信号駆動回路Vから遠ざかる方向に隣接するソースドライバSDのデータラッチDR(2)に入力される、
ソースドライバSD。」

(2)ア そして、引用文献1の【0156】には、「上述した各実施例はそれぞれ単独に、あるいは組み合わせて用いても良い。それぞれの実施例での効果を単独であるいは相乗して奏することができるからである。」と記載されている。

イ したがって、当該記載に倣って、引用文献1の実施例5として示された引用発明に、同引用文献1の実施例12として示された引用文献1技術事項を組み合わせて、引用発明において、遅延手段DM1を付加し、データラッチDR(2)に入力されるラッチパルスは遅延手段DM1に入力され、その遅延されたラッチパルスは走査信号駆動回路Vから遠ざかる方向に隣接するソースドライバSDのデータラッチDR(2)に入力するようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(3)ア その場合、引用発明において、データラッチDR(2)に入力されるラッチパルスは遅延手段DM1に入力され、その遅延されたラッチパルスは走査信号駆動回路Vから遠ざかる方向に隣接するソースドライバSDのデータラッチDR(2)に入力することになるところ、ゲート信号のタイミングは、どの位置かに関わらず同じであるから、前段のソースドライバSDにおける、ゲート信号の立下りから階調電圧信号の立下りまでの時間間隔よりも、次段のソースドライバSDにおける、ゲート信号の立下りから階調電圧信号の立下りまでの時間間隔の方が大きくなることは明らかである。

イ すなわち、引用発明に引用文献1技術事項を組み合わせた構成における、「遅延手段DM」及び「遅延手段DM1」が、本願発明の「前記表示パネルに接続され且つ前記n本のゲート線を介して前記m×n個の画素部にゲート信号を供給するゲートドライバから前記画素部の各々までの前記ゲート線の長さが長くなるにしたがって、前記ゲート信号の立下りから前記階調電圧信号の立下りまでの時間間隔が大きくなるように第1の遅延時間を設定し、前記ソースドライバから前記画素部の各々が配されたゲート線までの距離が長くなるにしたがって、前記画素部の各々を供給対象とする前記階調電圧信号に対応する前記画素データ片の前記ラッチ回路による取り込みから出力までの時間間隔が小さくなるように第2の遅延時間を設定し、前記第1の遅延時間と前記第2の遅延時間とによって定まる出力遅延時間に基づいて前記ラッチ回路からの前記m個の画素データ片の出力のタイミングを制御するタイミング制御部」に相当することになる。

(4) したがって、引用発明において、前記相違点に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

2 総合検討

前記1において検討したとおり、引用発明において前記相違点に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本願発明の奏する作用効果としては、引用発明及び引用文献1技術事項から予測されるものを超え、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。

したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献1技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3 請求人の主張について

(1) 請求人の主張内容

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審判請求の理由における請求人の主張の概略は、次のとおりである。

引用文献1の段落【0129】~【0135】及び【図25】、【図26】には、遅延手段d1~dnに調整量変更情報を入力し、ソースドライバから出力される映像信号を走査信号駆動回路Vから遠ざかる方向に遅延させることが記載されている。

しかし、引用文献1で行われる映像信号の出力の遅延は、あくまでも走査信号が供給されるタイミングに合わせて線形的に出力波形を遅延させるものであり、本願発明のようにラッチ回路による取り込みから出力までの時間間隔を遅延させるものではない。

なお、拒絶査定において、本願発明における遅延の時間は、「出力遅延時間に基づいて前記ラッチ回路からの前記m個の画素データ片の出力のタイミング」と特定されるとおり、出力タイミングであって前記主張する「取り込みから出力までの時間間隔」ではないと認定された。

しかし、本願発明でタイミング制御部が行う「第2の遅延時間」の設定は、「ソースドライバから画素部の各々が配されたゲート線までの距離が長くなるにしたがって、画素部の各々を供給対象とする階調電圧信号に対応する画素データ片のラッチ回路による取り込みから出力までの時間間隔が小さくなるように第2の遅延時間を設定」するものであり、出力タイミングの制御は「取り込みから出力までの時間間隔」の要素を含んでいる。

また、拒絶査定において、「「取り込みから出力までの時間間隔」も、図26から明らかな事項である」と認定した。

しかし、引用文献1の図26は、Y1、Y2及びY3というゲート線の伸長方向に沿って出力波形が線形に遷移することを表すものであり、本願発明のようにソースドライバから各ゲート線までの距離に応じた方向、換言するとソース線の伸長方向においてラッチ回路による取り込みから出力までの時間間隔が小さくなるように第2の遅延時間を設定することは、引用文献1には開示も示唆もされていない。

(2) 請求人の主張についての検討

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請求人の主張は、要するに、引用文献1には、本願発明のようにラッチ回路による取り込みから出力までの時間間隔を遅延させることは記載されていないというものである。

しかしながら、前記第5の1(4)及び(6)と前記第6の1(3)に示したとおり、本願発明の「タイミング制御部」に相当する、「遅延手段DM」及び「遅延手段DM1」は、データラッチDR(2)に入力されるラッチパルスを遅延するものであり、当該ラッチパルスは、データラッチDR(2)からデコーダDDに表示データを出力するタイミングを規定するものであるから、本願発明の「ラッチ回路」に相当する、「データラッチDR(1)」及び「データラッチDR(2)」においても、「遅延手段DM」及び「遅延手段DM1」が、データラッチDR(1)の表示データの取り込みから、データラッチDR(2)からの表示データの出力までの時間間隔を遅延させていることは明らかである。

よって、請求人の前記主張は認められず、前記2の結論を左右するものではない。

第7 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献1技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-021333

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