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特許拒絶査定不服審判

2025-002229

車両用表示装置、車両、表示方法及びプログラム

審判番号
2025-002229
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-153379
請求日
2025年02月12日
審決日
2026年06月11日
公報発行日
2026年08月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】トヨタ自動車株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人太陽国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 道祖土 新吾
  • 審判官 後藤 亮治
  • 審判官 関口 英樹
分類
P18 .121-Z (G09G) / P18 .57 -Z (G09G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-153379「車両用表示装置、車両、表示方法及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 4月 3日出願公開、特開2023- 45138〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和3年9月21日の出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和6年 8月19日付け:拒絶理由通知書 同年10月21日 :意見書、手続補正書の提出 同年10月30日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同年11月26日 :原査定の謄本の送達) 令和7年 2月12日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和7年2月12日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和7年2月12日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 補正の内容 令和7年2月12日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正を含むものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和6年10月21日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。 (1) 本件補正前 「【請求項1】 プロセッサを有し、前記プロセッサは、 車両周辺の第1範囲に存在する第1他車両の情報を取得した場合、運転席の前方に設けられた表示領域に前記第1他車両の位置を表示し、 前記第1範囲よりも外側の第2範囲に存在する第2他車両の情報を取得した場合、前記表示領域に前記第2他車両が存在する方向を表示し、 自車両と前記第2他車両との距離が離れていく場合には、前記第2他車両が存在する方向を非表示とするように制御する、 車両用表示装置。」 (2) 本件補正後 「【請求項1】 プロセッサを有し、前記プロセッサは、 車両周辺の第1範囲に存在する第1他車両の情報を取得した場合、運転席の前方に設けられた表示領域に前記第1他車両の位置を表示し、 前記第1範囲よりも外側の第2範囲に存在する第2他車両の情報を取得した場合、前記表示領域に前記第2他車両が存在する方向を表示する車両用表示装置であって、 前記プロセッサは、前記表示領域に、自車両を模した画像及び周辺道路を模した画像を表示し、前記第2他車両が存在する方向を示すマークを、周辺道路を模した画像における前記第2他車両が走行している車線と対応する位置に表示する、 車両用表示装置。」 2 補正の目的 本件補正の目的について検討する。 (1) 請求項の削除か否かについて 請求項1について一部の記載を変更する本件補正が、請求項の削除を目的とするものではないことは、明らかである。 したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項1号に規定する、請求項の削除を目的とするものとは認められない。 (2) 特許請求の範囲の減縮か否かについて 本件補正前の請求項1においては、「車両用表示装置」は「自車両と前記第2他車両との距離が離れていく場合には、前記第2他車両が存在する方向を非表示とするように制御(以下「非表示制御」という。)する」と特定されていたところ、本件補正後の請求項1においては、当該特定は削除された。 このような本件補正は、請求項1に係る「車両用表示装置」について、本件補正前には非表示制御をするものであったところ、本件補正後には、非表示制御をしなくてもよいものへと拡張するものであるから、本件補正前の請求項1に係る「車両用表示装置」を限定する補正ではない。 したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとは認められない。 (3) 誤記の訂正か否かについて 誤記の訂正とは、当該記載が誤りであることが明らかである場合において、当該記載を、本来その意であることが明細書、特許請求の範囲又は図面の記載などから明らかな内容の字句、語句に正すことであって、訂正前の記載が当然に訂正後の記載と同一の意味を表示するものと客観的に認められるものをいうところ、非表示制御に関する特定を削除することが、誤記の訂正に該当しないことは明らかである。 したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項3号に規定する、誤記の訂正を目的とするものとは認められない。 (4) 明りようでない記載の釈明か否かについて 明りようでない記載の釈明とは、当該記載それ自体意味の不明りような記載、又は、明細書、特許請求の範囲又は図面中の他の記載との関係で不合理を生じているために不明りようとなっている記載等の記載上の不備を訂正し、その本来の意味内容を明らかにすることをいう。 しかるところ、本件補正前の請求項1は明りようであって、本件補正前の請求項1に対して明確性要件違反の拒絶理由が通知あるいは指摘されていたわけでもないから、本件補正は、明りようでない記載の釈明を目的としたものともいえない。 原査定には、「補正後の請求項1-9に係る発明において、第2範囲に存在する他車両を一度表示した上で、他車両が自車両から離れていく場合に非表示とするようなことが特定されているとはいえないが、仮にそれが補正後の請求項1-9において特定されているとするのであれば、そのような制御の態様が本願の当初明細書等に開示されていたとは認められないため・・・、請求項1-9についての補正は、新規事項の追加に該当する。」との説示がある。 しかしながら、当該説示は、本件補正前の請求項1~9の記載からは、第2範囲に存在する他車両を一度表示した上で、他車両が自車両から離れていく場合に非表示とするものとは読み取れないことを指摘するものであって、明りようでない記載であると指摘するものではない。 仮に、当該説示が、本件補正前の請求項1~9に明りょうでない記載があることを指摘するものと解する余地があったとしても、構成Dそのものを削除することが、明りようでない記載の釈明に当たらないことは明らかである。 よって、本件補正は、特許法17条の2第5項4号に規定する、明りようでない記載の釈明を目的とするものとは認められない。 (5) 請求人の主張について 請求人は、本件補正の目的について、審判請求書において、限定的減縮に該当する旨主張しているが、前記(2)のとおり、本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとは認められない。 (6) 小括 上記(1)~(5)のとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項1号ないし4号のいずれを目的とするものでもなく、同項の規定に違反するものである。 3 本件補正の却下の決定の理由のむすび 前記2(6)のとおり、本件補正は、同法17条の2第5項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明について (1) 本願発明 本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。 ここで、検討の便宜上、本願発明の構成を次のとおり構成Xと構成Aから構成Dまでに分説する。また、参考図として、本願の【図4】及び【図5】を掲載する。 <本願発明の分説> A プロセッサを有し、前記プロセッサは、 B 車両周辺の第1範囲に存在する第1他車両の情報を取得した場合、運転席の前方に設けられた表示領域に前記第1他車両の位置を表示し、 C 前記第1範囲よりも外側の第2範囲に存在する第2他車両の情報を取得した場合、前記表示領域に前記第2他車両が存在する方向を表示し、 D 自車両と前記第2他車両との距離が離れていく場合には、前記第2他車両が存在する方向を非表示とするように制御する、 X 車両用表示装置。 <参考図> 図4 [図:0001437957000001.jpg] 図5 [図:0001437957000002.jpg] (2) 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載 本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。なお、下線は、当合議体が付した。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、車両用表示装置、車両、表示方法及びプログラムに関する。 【背景技術】 【0002】 特許文献1には、自動運転モードを含む複数の運転モードを備えた車両において、運転モードの変更の予告を運転席前方に表示するヘッドアップディスプレイ装置が開示されている。また、特許文献1のヘッドアップディスプレイ装置では、カメラが撮影した先行車両及び対向車両の映像に基づいてマーキング画像が生成されて表示領域に表示される。 …(中略)… 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、表示領域外から車両が急接近した場合には乗員への注意喚起が行われない。また、表示領域外の車両に起因して自動で加減速された場合、乗員が加減速の原因を把握できず不安を感じる可能性がある。 【0005】 本発明は、乗員が不安を感じるのを抑制することができる車両用表示装置、車両、表示方法及びプログラムを得ることを目的とする。」 「【0007】 請求項1に係る車両用表示装置では、運転席の前方に設けられた表示領域に第1他車両の位置が表示されることにより、運転者が車両周辺の第1範囲に存在する第1他車両に注意を向けることができる。 【0008】 また、第1範囲よりも外側の第2範囲に第2他車両が存在する場合には、表示領域に第2他車両が存在する方向が表示される。これにより、運転者は表示領域の外側から近づいてくる車両に対して不安を感じるのを抑制することができる。 【0010】 請求項2に係る車両用表示装置では、車両に近づいてくる第2他車両の方向のみが表示領域に表示されるため、運転者にとって不要な情報が表示されるのを抑制することができる。」 「【発明の効果】 【0025】 以上説明したように、本発明に係る車両用表示装置、車両、表示方法及びプログラムによれば、乗員が不安を感じるのを抑制することができる。」 2 原査定における拒絶の理由の概要 原査定の本願発明に対する拒絶の理由3(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。 理由3(進歩性の欠如) 本願発明は、出願前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1.国際公開第2017/022047号(主たる引用文献) 引用文献2.特開2004-077281号公報(周知技術を示す文献) 3 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定 (1) 引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である国際公開第2017/022047号(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記(3)の引用発明の認定で参考にした記載に下線を付した。)。 ア 特許請求の範囲 「[請求項1] 虚像表示部を制御する表示制御装置であって、 前記虚像表示部は、 車両の運転席から前記車両のウィンドシールドを介して視認可能な虚像である表示オブジェクトを、前記車両の特定位置を基準とする前記虚像の方向である虚像方向と、前記虚像までの距離である虚像距離とによって規定される虚像位置に表示可能であり、 走行している前記車両の運転者に注意喚起すべき注意対象の前記車両に対する相対位置、相対方向、及び、前記注意対象の属性の少なくともいずれか1つを含む注意情報を取得する情報取得部と、 前記虚像表示部の表示を制御する制御部と を備え、 前記制御部は、 前記情報取得部で取得された前記注意情報に基づいて、前記注意対象に対応する前記表示オブジェクトである対応表示オブジェクトの前記虚像距離及び前記虚像方向のうち少なくとも前記虚像距離を制御する、表示制御装置。」 イ [0001]~[0005] 「技術分野 [0001] 本発明は、虚像表示部を制御する表示制御部及び表示制御方法、並びに、当該表示制御装置を備える表示装置に関する。 背景技術 [0002] 車両のウィンドシールドに画像を表示するヘッドアップディスプレイ(HUD)に関して様々な技術が提案されている。例えば運転者にとって、あたかも車両前方の実風景に実在するかのように見える虚像の画像を表示するHUDが提案されている。また例えば特許文献1には、虚像の画像の見かけ上の位置と運転者との間の距離(虚像距離)を、車速に応じて変更するHUDが提案されている。 発明が解決しようとする課題 [0004] しかしながら、虚像の画像を表示する上述の従来技術では、人や自転車などの注意対象に対して、車両を運転している運転者の注意を十分に喚起できるものではなかった。 [0005] そこで、本発明は、上記のような問題点を鑑みてなされたものであり、注意対象に対して、必ずしも最適な虚像距離で表示オブジェクトを提示するものではなく、運転者の注意を十分に喚起することが可能な技術を提供することを目的とする。」 ウ [0012]~[0021]及び図2 「[0012] 図2は、虚像表示部21により表示される表示オブジェクト82を説明するための図である。虚像表示部21は、自車両の運転席から自車両のウィンドシールド81を介して視認可能な虚像である表示オブジェクト82を表示することが可能となっている。表示オブジェクト82の実際の表示位置は、ウィンドシールド81上の位置であるが、運転者にとっては、あたかも表示オブジェクト82が虚像位置に実在するかのように見えるようになっている。ここで、虚像位置は、虚像方向と虚像距離とによって規定される。 図2 [図:0001437957000003.jpg] …(中略)… [0015] 運転者83は、自身の目の焦点(ピント)の距離を虚像距離に合わせることによって、3次元極座標(ri,θi,φi)などで表される虚像位置の表示オブジェクト82を視認することができる。ここで、運転者83の目の焦点の距離xd=ri≒yiである。 [0016] 図1に戻って、表示制御装置1は、情報取得部11と、表示オブジェクト記憶部12と、制御部13とを備えている。なお、表示オブジェクト記憶部12には、例えば後述するメモリが適用される。情報取得部11及び制御部13は、例えば後述するように、プロセッサがメモリに記憶されたプログラム等を実行することによって実現される。 …(中略)… [0020] <注意対象の第1例> 注意対象の第1例では、注意対象に、自車両周辺の移動体(モータバイク、他車両または人など)、自車両周辺の非移動体(道路上の障害物または落下物など)が適用される。なお以下の説明では便宜上、移動体及び非移動体をまとめて「注意対象物」と記すこともある。例えば自車両のミリ波レーダー、DSRC(Dedicate Short Range Communication)ユニット、カメラ(例えば赤外線カメラ)の画像を処理する画像処理装置などが、自車両周辺(前方、側方、後方)の注意対象物と自車両との相対位置または相対方向を検出する。情報取得部11は、それらの検出結果(注意対象物の自車両に対する相対位置または相対方向)を取得する。 [0021] 情報取得部11は、当該取得した検出結果、つまり自車両周辺の注意対象物の自車両に対する相対位置または相対方向を、注意対象の相対位置または相対方向として含む注意情報を取得(生成)する。なおここでは、情報取得部11は、上述のミリ波レーダーなどと別体であるとして説明したが、これに限ったものではなく、情報取得部11は、上述のミリ波レーダーなどを含んでもよい。また、情報取得部11は、結果的に注意対象物と自車両との相対位置または相対方向を取得すればよく、例えば、注意対象物の絶対位置と自車両の絶対位置とに基づいて、注意対象物と自車両との相対位置または相対方向を算出する構成であってもよい。」 エ [0040]~[0056]、図5、図8及び図9 「[0040] <実施の形態2> 図3は、本発明の実施の形態2に係る表示装置の構成を示すブロック図である。以下、本実施の形態2に係る表示装置2のうち、実施の形態1と同じまたは類似する構成要素については同じ参照符号を付し、異なる構成要素について主に説明する。 [0041] 図3の表示装置2は、表示制御装置1と虚像表示部21とを備える。図3の表示制御装置1は、実施の形態1と同様の構成要素(図1の情報取得部11、表示オブジェクト記憶部12及び制御部13)を備えている。 [0042] 本実施の形態2では、注意情報は、注意対象の自車両に対する相対位置または相対方向を含み、当該注意対象は、注意対象物(移動体、非移動体)であるものとする。この場合、実施の形態1で説明したように、情報取得部11は、自車両周辺の注意対象物の自車両に対する相対位置または相対方向を含む注意情報を取得(生成)する。また、注意対象が注意対象物であることから、本実施の形態2に係る制御部13は、対応表示オブジェクトとして警報オブジェクトを、虚像表示部21に表示させる。 …(中略)… [0048] ステップS3にて、制御部13は、情報取得部11で取得した相対方向θに基づいて、警報オブジェクトの虚像距離を制御する。この際、本実施の形態2に係る制御部13は、相対方向θに基づいて、警報オブジェクトの虚像方向も制御する。このとき警報オブジェクトの方向と、注意対象物の方向とは完全に同一にする必要はなく、やや方向が離れていた方が、警報オブジェクトと注意対象物とが見た目上重ならないので、視認性が良い。また、制御部13は、情報取得部11で取得された注意対象物の色彩及び色相に、警報オブジェクトの色彩及び色相を対応させる。その後、ステップS1に戻る。 [0049] 図5は、ステップS3における虚像距離の制御の一例を示す図である。なお、角度θminと角度θmaxとの間の領域は、虚像表示部21の表示可能領域(表示オブジェクトを表示可能なウィンドシールド81での領域)に相当する。 [0050] 図5に示されるように、制御部13は、自車両前方の方向と、ステップS2で取得された相対方向(情報取得部11で取得された注意情報に基づく相対方向)とがなす角度θが小さいほど、警報オブジェクトの虚像距離を大きくするように制御する。ここでは一例として、角度θが、図5に示される角度θminと角度θ1との間または角度θ2と角度θmaxとの間の領域(以下「斜め前方領域」と記す)内にある場合には、制御部13は、警報オブジェクトの虚像距離を短くする(例えば10m)。一方、角度θが、図5に示される角度θ1と角度θ2との間の領域(以下「前方領域」と記す)内にある場合には、制御部13は、警報オブジェクトの虚像距離を長くする(例えば50m)。ただし、虚像距離の値は、10m及び50mに限ったものではない。また、制御部13は、図5のように角度θに基づいて虚像距離を2段階で制御する代わりに、虚像距離を3段階以上で制御してもよいし、虚像距離を連続的に制御してもよい。 図5 [図:0001437957000004.jpg] …(中略)… [0052] 図6~図9は、本実施の形態2に係る表示装置2の表示を説明するための図である。なお、図7及び図9には、自車両のハンドル86aと、虚像表示部21の表示可能領域84とが示されている。なお、以下では右ハンドル(左側通行)の構成を例にして説明するが、左ハンドル(右側通行)の構成も同様である。 …(中略)… [0055] 図8には、前方領域内ではなく、斜め前方領域内に、移動体であるバイク87bが存在している状態が示されており、図9には、図8の状態における表示装置2の表示例が示されている。図8のように、バイク87bが斜め前方領域内に存在している場合には、図9(a)及び図9(b)のように、制御部13は、バイク87bの警報オブジェクト82b(図9)の虚像距離を10mにする。この際、図9(a)のように、制御部13は、警報オブジェクト82bを、運転席から見てバイク87b近傍に表示する。また、制御部13は、情報取得部11で取得されたバイク87bの色(図9では黒塗りハッチングに対応する色)に、警報オブジェクト82bの縁部の色を対応させる。 図8 [図:0001437957000005.jpg] 図9 [図:0001437957000006.jpg] …(中略)… [0056] <実施の形態2のまとめ> 一般的に、運転中の運転者の焦点は、前方領域を見る場合は遠くなり、斜め前方領域を見る場合は近くなる傾向がある。また、斜め前方領域に存在する注意対象物は、自車両の近くに存在することが一般的である。このことに鑑みて、本実施の形態2に係る表示装置2は、自車両前方の方向と、情報取得部11で取得された注意情報に基づく相対方向とがなす角度θが小さいほど、警報オブジェクトの虚像距離を大きくする。これにより、注意対象に対して、運転者の注意を十分に喚起することができる。」 オ [0059]~[0066]、図10及び図11 「[0059] <変形例1> 実施の形態2では、虚像表示部21の表示可能領域内に存在する注意対象物について、警報オブジェクトを表示した。これに対して、変形例1に係る表示装置2は、虚像表示部21の表示可能領域外に存在する注意対象物についても、警報オブジェクトを表示することが可能となっている。 [0060] 図10及び図11は、変形例1に係る表示装置2の表示を説明するための図である。 [0061] 図10では、表示可能領域(図5の角度θminと角度θmaxとの間の領域に相当)外に、移動体である他車両87cが存在している状態が示されており、図11には、図10の状態における表示装置2の表示例が示されている。図10のように、他車両87cが表示可能領域外に存在している場合、制御部13は、他車両87cの警報オブジェクトを、運転席から見て他車両87c近傍に表示することはできない。そこで、変形例1に係る制御部13は、まず、情報取得部11で取得された注意情報に基づく注意対象物の相対方向θが角度θminと角度θmaxと間にあるか否かを判定する。相対方向θが図5の角度θminと角度θmaxと間にある場合には、制御部13は、注意対象物の位置が虚像表示部21の表示可能領域内であると判定する。一方、相対方向θが角度θminと角度θmaxと間にない場合には、制御部13は、注意対象物の位置が虚像表示部21の表示可能領域外であると判定する。 [0062] 制御部13は、注意対象物の位置が、虚像表示部21の表示可能領域内であると判定した場合に、実施の形態2と同様の表示を行う。 [0063] 一方、制御部13は、注意対象物の位置が、虚像表示部21の表示可能領域外であると判定した場合に、当該注意対象物の警報オブジェクトが表示可能領域の端部に表示されるように、虚像表示部21を制御する。ここではその一例として、制御部13は、角度θの値が角度θmaxの値よりも角度θminの値に近い場合には、当該注意対象物の警報オブジェクトを表示可能領域の左端部に表示し、角度θの値が角度θminの値よりも角度θmaxの値に近い場合には、当該注意対象物の警報オブジェクトを表示可能領域の右端部に表示する。 [0064] 図11には、図10の状態における変形例1に係る表示装置2の表示例が示されている。図10の状態では、他車両87cの相対方向θが、図5の角度θminよりも角度θmaxに近いことから、図11(a)のように、制御部13は、他車両87cの警報オブジェクト82cを表示可能領域84の右端部に表示している。この際、図11(a)及び図11(b)のように、制御部13は、他車両87cの警報オブジェクト82cの虚像距離を例えば10mにする。ただし、虚像距離の値は、10mに限ったものではない。また、制御部13は、角度θに基づいて当該虚像距離を複数段で制御してもよいし、連続的に制御してもよい。 [0065] 制御部13は、情報取得部11で取得された他車両87cの色(図11では砂地ハッチングに対応する色)に、警報オブジェクト82cの縁部の色を対応させる。なお、制御部13は、表示可能領域84外の注意対象物の警報オブジェクトを表示する場合には、図11(a)に示すように、「後方注意」または「右後方注意」というマークを、表示可能領域84の中央下などに表示してもよい。 [0066] 以上のような変形例1に係る表示装置2は、注意対象物の位置が、虚像表示部21の表示可能領域84外であると判定した場合に、当該注意対象物の警報オブジェクトを表示可能領域84の端部に表示する。これにより、側方または後方などに位置する注意対象物(例えば自車両を追い越そうとしている他車両など)に対して、運転者の注意を十分に喚起することができる。 図10 [図:0001437957000007.jpg] 図11 [図:0001437957000008.jpg] 」 カ [0078]~[0082]及び図14 「[0078] 本実施の形態3では、注意情報は、自車両周辺の注意対象について運転者に注意喚起すべき度合を示す注意度を、注意対象の属性として含むものとする。この場合、実施の形態1で説明したように、情報取得部11は、当該注意度を含む注意情報を取得(生成)する。また本実施の形態3では、注意対象は、例えば、人、モータバイク、他車両及び非移動体であるものとする。この場合、本実施の形態3に係る制御部13は、対応表示オブジェクトとして警報オブジェクトを、虚像表示部21に表示させる。 [0079] さらに本実施の形態3では、人についての注意度、モータバイクまたは他車両についての注意度、非移動体についての注意度が、この順に低くなっているものとする。すなわち、車両と注意対象とが接触した場合の人体への影響が高くなるほど、注意対象の注意度が高くなっているものとする。なお、ここでいう人体には、車両に乗っている人、注意対象の人、モータバイク等に乗っている人の人体などが適用される。 [0080] 図14は、本実施の形態3に係る表示装置2の表示を説明するための図である。本実施の形態3に係る制御部13は、注意対象の属性(情報取得部11で取得された注意情報に含まれる注意度)に基づいて、警報表示オブジェクトの形状を変更する。具体的には図14(a)に示すように、制御部13は、注意対象が人87eである場合(注意度が高い場合)には、運転席から見て当該人87eを囲むような警報オブジェクト82eを表示し、注意対象が落下物(非移動体)87fである場合(注意度が低い場合)には、運転席から見て当該落下物87f近傍に警報オブジェクト82fを表示する。 …(中略)… [0082] <実施の形態3のまとめ> 以上のような本実施の形態3に係る表示装置2によれば、注意情報に含まれる注意度に基づいて、警報オブジェクトの虚像距離を制御する。一般に、虚像距離が短い警報オブジェクトのほうが、運転者の注意を引くことができるので、運転者に適切な注意喚起を行うことができる。 図14 [図:0001437957000009.jpg] 」 (2) 引用文献1の記載から読み取れる事項の認定 ア 前記(1)に摘記した[0055]及び図8によれば、実施の形態2の制御部13は、移動体であるバイク87bが表示可能領域84内に存在している場合、警報オブジェクト82bを、運転席から見てバイク87b近傍に表示する。 イ 前記(1)に摘記した[0062]及び前記アによれば、変形例1の制御部13は、注意対象物の位置が、虚像表示部21の表示可能領域84内であると判定した場合に、警報オブジェクトを、運転席から見て注意対象物の近傍に表示するものである。 (3) 引用発明の認定 前記(2)において認定した事項及び前記(1)に摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、変形例1に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。 <引用発明> 「表示制御装置1と虚像表示部21とを備える表示装置2であって、([0041]) 表示制御装置1は、情報取得部11と、制御部13とを備え、情報取得部11と制御部13は、プロセッサによって実現され、([0016]、[0041]) 虚像表示部21は、自車両の運転席から自車両のウィンドシールド81を介して視認可能な虚像である表示オブジェクト82を表示することが可能であって([0012]、[0041])、虚像表示部21には、表示可能領域84が含まれており、([0052]、図8、図9) 注意対象物には、自車両周辺の移動体(モータバイク、他車両または人など)が含まれ、([0020]、[0042]) 情報取得部11は、自車両周辺の注意対象物の自車両に対する相対位置または相対方向を、注意対象の相対位置または相対方向として含む注意情報を取得(生成)し、([0021]、[0042]) 制御部13は、情報取得部11で取得された注意情報に基づく注意対象物の相対方向θが角度θminと角度θmaxと間にあるか否かを判定し、相対方向θが角度θminと角度θmaxと間にある場合には、制御部13は、注意対象物の位置が虚像表示部21の表示可能領域84内であると判定し、相対方向θが角度θminと角度θmaxと間にない場合には、制御部13は、注意対象物の位置が虚像表示部21の表示可能領域84外であると判定し、([0061]) 制御部13は、注意対象物の位置が、虚像表示部21の表示可能領域84内であると判定した場合に、警報オブジェクトを、運転席から見て注意対象物の近傍に表示し、(イ) 制御部13は、注意対象物の位置が、虚像表示部21の表示可能領域84外であると判定した場合に、当該注意対象物の警報オブジェクトを表示可能領域84の注意対象物の相対方向θの近い側の端部に表示する、([0063]) 表示装置2。」 4 引用文献2の記載事項及び周知技術の認定 (1) 引用文献2に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である特開2004-77281号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付した。 「【0006】 【発明の実施の形態】 (A)本発明の概略 図1は本発明の第1の概略説明図であり、(a)は通常の地図表示例、(b)は交差点に接近した時の本発明の地図表示例である。なお、(a)では、便宜上、他車1~10及び周辺領域境界線MARを表示しているが実際には表示されていない。 図中、SCRはスクリーン、CARは自車、1~10は周辺車両、MARは周辺領域境界線、すなわち、その中に存在すれば周辺車両であると認定するための周辺領域の境界線であり周辺領域の大きさは予め設定されている。各車両は車車間通信手段、例えばブルーツース(Bluetooth)機器を備えている。」 「【0015】 ナビゲーション制御部51は、受信した各周辺車両の周辺車両情報を用いてドライバに対する危険度合を求め、該危険度合により表示優先順位を決定する(ステップ104)。自車と反対車線走行中の車両(図1(a)の車両9、10)や自車の車線から離れてゆく車両で、該車線から相当距離の車両(図1の車両2,6)は優先順位が小さい。自車前方の車両や自車の車線に接近中の車両の優先順位は高い。 ついで、現在地図を三次元立体表示中であるかチェックし(ステップ105)、三次元立体表示中でなければ、周辺領域内の地図をスクリーン一杯に拡大描画すると共に(図1(b)参照)、該拡大地図上の所在位置に周辺車両を表示優先順位に従って表示する(ステップ106)。図1では、表示優先順位の低い周辺車両2,6,9,10を表示せず、表示優先順位の高い車輌1,3~5,8のみを表示している。また、表示する周辺車輌図形は、車別が判る図形、大きさ、色で表示するものとし、かつ、周辺車両の進行方向及び速度を矢印及びその長さで表示する。 【0016】 以後、交差点を通過したか監視(ステップ107)、通過してなければ、ステップ102以降の処理を繰り返し、通過すれば、通常表示に戻し(ステップ108)、処理を終了する。 一方、ステップ105において、三次元立体表示中であれば、取得済みの周辺車輌情報を参照して建造物により隠れて見えなくなっている車輌が存在するか判別し(ステップ109)、存在すれば、警報出力、例えば、”コーナ車注意”を三次元立体画像上に表示してドライバに注意を促す(ステップ110)。しかる後、交差点を通過したか監視(ステップ107)、通過してなければ、ステップ102以降の処理を繰り返し、通過すれば、通常表示に戻し(ステップ108)、処理を終了する。 図1 [図:0001437957000010.jpg] 」 (2) 周知技術1の認定 前記(1)に摘記した引用文献2の記載事項に例示されるように、次の技術事項は、「車両表示装置」の技術分野において、本願出願時、当業者にとって周知技術であったと認められる。(以下「周知技術1」という。) <周知技術1> 「各周辺車両の周辺車両情報を用いてドライバに対する危険度合を求め、該危険度合により表示優先順位を決定するものであって、自車に接近中で近くにある他車両の表示優先度を高くし、自車から離れていき遠くにある他車両の表示優先度を低いものとし、表示優先度の高いもののみを表示すること。」 5 本願発明と引用発明の対比 (1) 対比分析 本願発明と引用発明を対比する。 ア 構成Xの観点(車両用表示装置) (ア) 引用発明の「表示装置2」は、「自車両の運転席から自車両のウィンドシールド81を介して視認可能な虚像である表示オブジェクト82を表示する」「虚像表示部21」を備えるものであるから、「車両」用の「表示装置2」であるといえる。 (イ) したがって、「車両用表示装置」の発明である本願発明と「表示装置2」の発明である引用発明は、「車両用表示装置」の発明である点において一致する。 イ 構成Aの観点(プロセッサを有し、前記プロセッサは、) (ア) 引用発明の「表示装置2」が備える「表示制御装置1」は、「情報取得部11と、制御部13とを備え、情報取得部11と制御部13は、プロセッサによって実現され」るものであるから、「プロセッサ」を有しており、「情報取得部11」及び「制御部13」が行う動作は、「プロセッサ」が行うものといえる。 (イ) したがって、引用発明の「プロセッサ」は、本願発明の「プロセッサ」に相当する。 ウ 構成Bの観点(車両周辺の第1範囲に存在する第1他車両の情報を取得した場合、運転席の前方に設けられた表示領域に前記第1他車両の位置を表示し) (ア) 引用発明において、「注意対象物」には、「自車両周辺」の「他車両」が含まれるところ、「制御部13は、情報取得部11で取得された注意情報に基づく注意対象物の相対方向θが角度θminと角度θmaxと間にあるか否かを判定し、相対方向θが角度θminと角度θmaxと間にある場合には、制御部13は、注意対象物の位置が虚像表示部21の表示可能領域84内であると判定し」、その場合、「警報オブジェクトを、運転席から見て注意対象物の近傍に表示」するものである。ここで、「虚像表示部21」は、「自車両の運転席から自車両のウィンドシールド81を介して視認可能な虚像である表示オブジェクト82を表示する」ものである。 (イ) したがって、引用発明の「自車両周辺」の「相対方向θが角度θminと角度θmaxと間にある」領域は、本願発明の「車両周辺の第1範囲」に相当し、以下同様に、「自車両周辺」の「相対方向θが角度θminと角度θmaxと間にある」「他車両」は「車両周辺の第1範囲に存在する第1他車両」に、「自車両の運転席から自車両のウィンドシールド81を介して視認可能な虚像である表示オブジェクト82を表示する」「虚像表示部21の表示可能領域84」は「運転席の前方に設けられた表示領域」に相当する。 (ウ) 以上の検討結果を踏まえると、本願発明と引用発明の構成Bの観点における一致点及び相違点は、次のa及びbに示すとおりである。 a 構成Bの観点における一致点 「車両周辺の第1範囲に存在する第1他車両の情報を取得した場合、運転席の前方に設けられた表示領域に前記第1他車両の位置に対応する箇所に表示する」点。 b 構成Bの観点における一応の相違点 本願発明においては、 「前記第1他車両の位置を表示」するのに対して、 引用発明においては、 注意対象物の近傍に警報オブジェクトを表示する点。 エ 構成Cの観点(前記第1範囲よりも外側の第2範囲に存在する第2他車両の情報を取得した場合、前記表示領域に前記第2他車両が存在する方向を表示し) (ア) 引用発明において、「制御部13」は、「他車両を含む注意対象物の相対方向θが角度θminと角度θmaxと間にない場合には、制御部13は、注意対象物の位置が虚像表示部21の表示可能領域84外であると判定し」、その場合、「当該注意対象物の警報オブジェクトを表示可能領域84の注意対象物の相対方向θの近い側の端部に表示する」ものである。 (イ) したがって、前記ウ(イ)の相当関係を踏まえると、引用発明の「自車両周辺」の「相対方向θが角度θminと角度θmaxと間にない」領域は、本願発明の「前記第1範囲よりも外側の第2範囲」に相当し、以下同様に、「自車両周辺」の「相対方向θが角度θminと角度θmaxと間にない」「他車両」は「前記第1範囲よりも外側の第2範囲に存在する第2他車両」に、「当該注意対象物の警報オブジェクトを表示可能領域84の注意対象物の相対方向θの近い側の端部に表示」は「前記表示領域に前記第2他車両が存在する方向を表示」に相当する。 (ウ) 以上によれば、引用発明の「自車両周辺」の「相対方向θが角度θminと角度θmaxと間にない」「他車両」の位置が、「虚像表示部21の表示可能領域84外であると判定した場合に、当該注意対象物の警報オブジェクトを表示可能領域84の注意対象物の相対方向θの近い側の端部に表示する」ことは、本願発明の「前記第1範囲よりも外側の第2範囲に存在する第2他車両の情報を取得した場合、前記表示領域に前記第2他車両が存在する方向を表示」することに相当する。 オ 構成Dの観点(自車両と前記第2他車両との距離が離れていく場合には、前記第2他車両が存在する方向を非表示とするように制御する) 引用発明は、本願発明の構成Dに相当する構成を備えていないから、本願発明と引用発明は、次の点において相違する。 本願発明は、 「自車両と前記第2他車両との距離が離れていく場合には、前記第2他車両が存在する方向を非表示とするように制御する」のに対し、 引用発明は、 かかる制御を行わない点。 (2) 一致点及び相違点 前記(1)の対比分析の結果をまとめると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次のア及びイに示すとおりである。 ア 一致点 「プロセッサを有し、前記プロセッサは、 車両周辺の第1範囲に存在する第1他車両の情報を取得した場合、運転席の前方に設けられた表示領域に前記第1他車両の位置に対応する箇所に表示し、 前記第1範囲よりも外側の第2範囲に存在する第2他車両の情報を取得した場合、前記表示領域に前記第2他車両が存在する方向を表示する、 車両用表示装置」である点。 イ 相違点 (ア) 相違点1 「車両周辺の第1範囲に存在する第1他車両の情報を取得した場合」の「表示領域」への表示として、 本願発明は、 「前記第1他車両の位置を表示」するのに対し、 引用発明は、 警報オブジェクトを、運転席から見て注意対象物の近傍に表示する点。 (イ) 相違点2 本願発明は、 「自車両と前記第2他車両との距離が離れていく場合には、前記第2他車両が存在する方向を非表示とするように制御する」のに対し、 引用発明は、 かかる制御を行わない点。 6 判断 (1) 相違点1について ア 引用文献1における、変形例1が参照する実施の形態2において、[0055]及び図8には、警報オブジェクト87bを、注意対象物であるバイク87bの近傍に表示するものとなっているが、同じく実施の形態2を説明する[0048]には、「この際、本実施の形態2に係る制御部13は、相対方向θに基づいて、警報オブジェクトの虚像方向も制御する。このとき警報オブジェクトの方向と、注意対象物の方向とは完全に同一にする必要はなく、やや方向が離れていた方が、警報オブジェクトと注意対象物とが見た目上重ならないので、視認性が良い。」と記載されている。 したがって、引用文献1には、警報オブジェクトの虚像方向と、注意対象物の方向とを完全に同一とすることも記載されている。そして、警報オブジェクトの虚像方向と注意対象物の方向とが同一の警報オブジェクトを表示することは、虚像表示部21上で、注意対象物の位置を表示するものといえる。 イ 仮に、引用文献1の記載からは、視認性の向上のために、やや方向が離れた方向に表示するものしか読み取れなかったとしても、実施の形態2において、[0056]に記載されているように、警報オブジェクトを、注意対象物の近傍に表示することは、注意対象物に対して、運転者の注意を十分に喚起するために行っているものであるから、警報オブジェクトを、注意対象物の近傍に表示することも、「車両周辺の第1範囲に存在する第1他車両」の「位置を表示する」ことに該当するものといえる。(前記第3の1(2)に摘記した本願明細書の【0007】参照。) ウ また、引用文献1の[0077]~[0082]及び図14には、実施の形態3として、注意度の高い注意対象物の警報オブジェクト82eを表示する際に、注意対象物を囲むように表示させるものが記載されている。そして、表示可能領域84内にある、モータバイク等を含む他車両は、注意度を高く設定すべきものであるから、かかる他車両を囲むように、警報オブジェクト82eを表示することは、注意対象物である他車両の位置を表示することにほかならない。 エ よって、前記ア~ウによれば、相違点1は実質的な相違点ではないか、引用発明及び引用文献1の記載事項に基づいて、当業者が当然に想到し得た事項にすぎない。 (2) 相違点2について ア 前記4(2)で周知技術1として認定したように、次の技術事項は、「車両用表示装置」の技術分野において、本願出願時、当業者にとって周知技術であったと認められる。 「各周辺車両の周辺車両情報を用いてドライバに対する危険度合を求め、該危険度合により表示優先順位を決定するものであって、自車に接近中で近くにある他車両の表示優先度を高くし、自車から離れていき遠くにある他車両の表示優先度を低いものとし、表示優先度の高いもののみを表示すること。」 イ そして、引用発明は、[0066]に記載されているように、例えば自車両を追い越そうとしている他車両などに対して、運転者の注意を十分に喚起するものであるから、引用文献1には、周囲から自車両に及ぼされる危険度に応じて、注意度を設定する思想が開示されている。また、引用文献1の[0079]及び[0080]には、自車両が周囲に及ぼす影響に応じて、注意度が設定されることも記載されている。 よって、引用発明において、周知技術1を踏まえて、自車に接近中で近くにある他車両については注意度(周知技術1の「危険度合」に対応する。以下同様。)が高いものであることから、表示優先度(危険度合)を高くし、自車両から離れていき遠くにある他車両については注意度が低いものであることから、表示優先度を低いものとし、虚像表示部21の表示可能領域84の外側(遠く)にあって、自車両から離れていく他車両については、他車両が存在する方向を示す警報オブジェクトを非表示、すなわち、他車両が存在する方向を非表示とすることにより、相違点2に係る本願発明を構成することは、当業者が容易になし得たことである。 (3) 総合評価 前記(1)及び(2)において検討したとおり、引用発明において、相違点1及び2に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。 そして、相違点1及び2を総合的に勘案しても、本願発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2025-002229

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