商標拒絶査定不服審判
2022-020083
リモートシンダン
- 審判番号
- 2022-020083
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-095451
- 請求日
- 2022年12月11日
- 審決日
- 2024年05月07日
- 公報発行日
- 2024年07月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社東山堂
- 【請求人代理人】小川 清
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 阿曾 裕樹
- 審判官 吉沢 恵美子
- 分類
- T18 .13 -Z (W41)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第56条第1項、商標法第4条第1項第16号、特許法第150条、特許法第169条第3項、特許法第135条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-95451拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
請求の趣旨中、「審判費用は特許庁の負担とする」との請求は、却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年7月31日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 2月28日付け:拒絶理由通知書
令和4年 4月12日付け:意見書
令和4年 9月 1日付け:拒絶査定
令和4年12月11日付け:審判請求書
令和6年 1月30日付け:証拠調べ通知書
令和6年 3月12日付け:意見書
第2 本願商標
本願商標は、「リモート診断」の文字を横書きしてなり、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),スポーツの興行の企画・運営又は開催」を指定役務として登録出願されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要旨
本願商標は、「リモート診断」の文字を、普通に用いられる方法で書してなるところ、その構成中の「リモート」の文字は「遠隔の意」、「診断」の文字は「医師が患者を診察して病状を判断すること。転じて、物事の欠陥の有無をしらべて判断すること。」の意味を有する語だから、本願商標は、全体として「遠隔地から病状判断・物事の欠陥の有無を調べて判断すること。」程の意味合いを認識させる。
そして、「リモート診断」の文字は、「インターネットを利用して行う遠隔地からの診断」の意味合いで使用されており、本願商標の指定役務に係る分野で、「リモート診断」についてのセミナーや知識の教授が行われている実情がある。
そうすると、本願商標を、その指定役務中「インターネットを利用して行う遠隔地からの診断に関する役務」に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するにすぎず、また、本願商標を前記以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び商標法第4条第1項第16号に該当する。
第4 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標「リモート診断」が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲に掲げる事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条の規定に基づき通知し、請求人の意見を求めた。
第5 上記通知に対する請求人の意見の要旨
商標法第3条第1項第3号の「役務の質」とは、「他人のために行う労働勤務、又は他人に利益があるようにする行為であって、独立して商取引の対象たり得るべきものの「質」であって、本願商標は、そうした「労働勤務」、又は「他人に利益があるようにする行為」の「質」を表現している言葉ではない。
第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「リモート診断」の文字を横書きしてなるところ、その構成中「リモート」の文字部分は、「遠隔の意」の意味を有する語であり、「診断」の文字は、「医師が患者を診察して病状を判断すること。転じて、物事の欠陥の有無をしらべて判断すること。」(いずれも「広辞苑第七版」岩波書店)の意味を有する語であるから、構成文字全体として「遠隔(リモート)による診断」ほどの意味合いを容易に理解させるものである。
また、別掲のとおり、本願商標の指定役務を含む様々な分野において、インターネット等を通じて、遠隔(リモート)で診断することを「リモート診断」と称している実情がある。
そうすると、本願商標を、その指定役務中、例えば、「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」等に使用するときは、その需要者及び取引者をして、インターネット等を通じて、遠隔(リモート)で診断する役務であること、すなわち、役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示したものと認識するというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 請求人の主張について
請求人は、商標法第3条第1項第3号の「役務の質」とは、「他人のために行う労働勤務、又は他人に利益があるようにする行為であり、独立して商取引の対象たり得るべきものの「質」であって、本願商標は、そうした「労働勤務」、又は「他人に利益があるようにする行為」の「質」を表現している言葉ではない旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くと規定されているのは、このような商標は、指定役務との関係で、役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他役務の識別力を欠くものであることによるものと解される(最判昭和54年4月10日同53年(行ツ)第129号参照)。そうすると、出願に係る商標が、その指定役務について、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには、審決の時点において、当該商標が当該役務との関係で役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、当該商標の取引者、需要者によって当該役務に使用された場合に、将来を含め、役務の質を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される。そして、当該商標の取引者、需要者によって当該役務に使用された場合に役務の質を表示したものと一般に認識されるかどうかは、当該商標の構成やその指定役務に関する取引の事情を考慮して判断すべきである(知財高裁令和3年(行ケ)第10113号、令和4年1月25日判決、知財高裁令和4年(行ケ)第10002号、令和4年6月16日判決参照)。
そして、「リモート診断」の文字からなる本願商標について、その構成や指定役務に関する取引の実情を考慮して、本願の指定役務に使用された場合に、その取引者、需要者に本願の指定役務の質を表示したものと一般に認識されるものであることは、上記1のとおりである。
したがって、請求人による上記主張は採用することができない。
3 「審判費用は特許庁の負担とする」との請求について
拒絶査定不服審判に関する費用は、商標法第56条第1項で準用する特許法第169条第3項において、請求人の負担とする旨定められているから、請求人による、審判請求費用は特許庁の負担とする旨の請求は、実定法上の根拠を欠く不適法な請求である。
したがって、請求人による上記主張は、不適法な審判の請求であって、その補正をすることができないものであるから、商標法第56条第1項で準用する特許法第135条の規定により、却下すべきものである。
4 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができないから、請求の趣旨中、「現査定を取り消す。本願商標は登録すべきものとする。」についての請求は成り立たない。
請求の趣旨中、「審判費用は特許庁の負担とする。」との請求は、却下する。
審決本文(J-PlatPat)
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