商標拒絶査定不服審判
2022-013886
オンラインモギシンサ
- 審判番号
- 2022-013886
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-066428
- 請求日
- 2022年09月05日
- 審決日
- 2024年01月11日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社東山堂
- 【請求人代理人】小川 清
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 浦崎 直之
- 分類
- T18 .13 -Z (W41) / T18 .272-Z (W41)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第56条第1項、商標法第4条第1項第16号、特許法第169条第3項、特許法第135条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-66428拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
請求の趣旨中、「審判費用は特許庁の負担とする」との請求は、却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年5月31日の登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年11月 9日付け:拒絶理由通知書
令和3年12月18日付け:意見書
令和4年 5月24日付け:拒絶査定
令和4年 9月 5日付け:審判請求書
令和5年 9月15日付け:審尋
令和5年10月30日付け:回答書
第2 本願商標
本願商標は、「オンライン模擬審査」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなり、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),スポーツの興行の企画・運営又は開催」を指定役務として登録出願されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要旨
本願商標は、「オンライン模擬審査」の文字を、普通に用いられる方法で書してなるところ、その構成中「オンライン」の文字は「コンピューターの入出力装置などが、中央処理装置と直結している状態。また、端末がインターネットなどの通信回線に接続されていること。」、「模擬」の文字は「本物や実際の場合と同じようにすること。」、「審査」の文字は「詳しく調べて、適否・優劣・等級などを決めること。」の意味を有する語である。
そして、本願指定役務をはじめとする多種多様な役務が、オンラインで広く一般に提供されている現状からすれば、本願商標は、その構成全体として、「オンラインによる本物や実際の場合と同じようにする審査」ほどの意味合いを、これを見る者に認識させるものというのが相当である。
また、本願の指定役務の取引業界において、本試験や本審査を受験する前に、技術・知識の教授における自己の習熟度を確認することを目的として、模擬試験、模擬審査が普通に行われており、その中には、オンラインにより実施されているものも存在する実情が認められる。
そうすると、本願商標を、その指定役務中「模擬審査に関する役務」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「オンラインによる模擬審査を行う役務」であること、すなわち、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するというのが相当である。
また、本願商標を「模擬審査に関する役務」以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
第4 当審における審尋
当審において、本願商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について、請求人に対し、審尋で、別掲1(1)ないし(9)、別掲2及び別掲3のとおりの事実を示すとともに、当審における合議体の暫定的見解について通知し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。
第5 審尋に対する請求人の回答の要旨
請求人は、上記第4の審尋に対し、回答書を提出し、要旨、以下のとおりの意見を述べた。
商標法第3条第1項第3号は、「役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」は登録しないということであって、「取引者、需要者の認識」は無関係であり、商標が「役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章」であるか否かだけで判断すべきである。
特許庁が、「役務の質」の「質」の言葉の意味、解釈について述べることなく、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当すると判断しているのは全くの誤りであり、本願商標の「オンライン模擬審査」という言葉は、「役務の質」、すなわち、指定役務の「質」を表現している言葉とは、到底いえない。
第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について
本願商標は、「オンライン模擬審査」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、その構成中「オンライン」の文字は、「コンピューターの入出力装置などが、中央処理装置と直結している状態。また、通信回線などによって、人手を介さず情報を転送できる状態。」の意味を有する語であり、「模擬」の文字は、「本物や実際の場合と同じようにすること。」の意味を有する語であり、「審査」の文字は、「詳しく調べて、適否・優劣・等級などを決めること。」(いずれも「大辞泉第二版」株式会社小学館)の意味を有する語であるから、本願商標は全体として「オンラインによる本物や実際の場合と同じようにする審査」ほどの意味合いが容易に理解されるものである。
また、別掲1のとおり、本願指定役務を取り扱う業界において、技芸・スポーツ又は知識の教授等における現状や習熟度を確認すること等を目的として、模擬審査(本物や実際の場合と同じようにする審査)が普通に行われている実情が認められる。
そして、別掲2及び3のとおり、同業界において、オンラインによる本物や実際の場合と同じようにする審査を行う役務が提供されている事実が認められる。
加えて、別掲2のとおり、そのような役務を表す際に、「オンライン」及び「模擬審査」の文字が併せて使用され、さらに、別掲3のとおり、「オンライン模擬審査」の文字が使用されている事実が認められる。
そうすると、本願商標を、本願指定役務に使用したときには、これに接する取引者、需要者は、「オンラインによる本物や実際の場合と同じようにする審査を行う技芸・スポーツ又は知識の教授,オンラインによる本物や実際の場合と同じようにする審査を行うセミナーの企画・運営又は開催,オンラインによる本物や実際の場合と同じようにする審査を行う役務のための電子出版物の提供,オンラインによる本物や実際の場合と同じようにする審査を行う役務のための教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),オンラインによる本物や実際の場合と同じようにする審査を行うスポーツの興行の企画・運営又は開催」であること、すなわち、役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示したものと認識するというのが相当である。
また、本願商標を、前記に相応する役務以外の役務に使用するときは、役務の質(内容)について誤認を生じさせるおそれがあるというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、商標法第3条第1項第3号は、「役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」は登録しないということであって、「取引者、需要者の認識」は無関係であり、商標が「役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章」であるか否かだけで判断すべきである旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くと規定されているのは、このような商標は、指定役務との関係で、役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他役務の識別力を欠くものであることによるものと解される(最判昭和54年4月10日同53年(行ツ)第129号参照)。そうすると、出願に係る商標が、その指定役務について、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには、審決の時点において、当該商標が当該役務との関係で役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、当該商標の取引者、需要者によって当該役務に使用された場合に、将来を含め、役務の質を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される。そして、当該商標の取引者、需要者によって当該役務に使用された場合に役務の質を表示したものと一般に認識されるかどうかは、当該商標の構成やその指定役務に関する取引の事情を考慮して判断すべきである(知財高裁令和3年(行ケ)第10113号、令和4年1月25日判決、知財高裁令和4年(行ケ)第10002号、令和4年6月16日判決参照)。
そして、本願商標を、その指定役務に使用しても、「オンライン模擬審査」の文字からなる商標について、その構成や指定役務に関する取引の実情を考慮して、本願の指定役務に使用された場合に、その取引者、需要者に本願の指定役務の質を表示したものと一般に認識されるものであることは、上記1のとおりである。
(2)請求人は、特許庁は、「役務の質」の「質」の言葉の意味、解釈について定義文を設けるべきで、その意味、解釈について述べることなく、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当すると判断しているのは全くの誤りであり、本願商標の「オンライン模擬審査」という言葉は、「役務の質」、すなわち、指定役務の「質」を表現している言葉とは、到底いえない旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号の「役務の質」を請求人が主張するような意味に限定して解釈する必要はなく(広辞苑第7版の「質」の項には「[2]内容。中味。価値。[3](quality)物がそれとして存在するありかた。性質。⇔量。」と記載されている。)(審決注:数字の〇は[]で置き換えている。)、「質」という文言を「内容」と言い換えることによってその意味を明らかにしようとしたものであるから、「質」の定義が全くされていないとはいえない(知財高裁令和3年(行ケ)第10113号、令和4年1月25日判決参照)。
そして、「オンライン模擬審査」の文字からなる商標について、その構成や指定役務に関する取引の実情を考慮して、本願の指定役務に使用された場合に、その取引者、需要者に本願の指定役務の質を表示したものと一般に認識されるものであることは、上記1のとおりであり、請求人の主張が本件の判断を何ら左右するものではない。
(3)したがって、請求人による上記主張は、いずれも採用することができない。
3 請求人の「審判費用は特許庁の負担とする」との請求について
拒絶査定不服審判に関する費用は、商標法第56条第1項で準用する特許法第169条第3項において、請求人の負担とする旨定められているから、請求人による、審判請求費用は特許庁の負担とする旨の請求は、実定法上の根拠を欠く不適法な請求である。
したがって、請求人による上記主張は、不適法な審判の請求であって、その補正をすることができないものであるから、商標法第56条第1項で準用する特許法第135条の規定により、却下すべきものである。
4 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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