審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2022-016834

注意欠陥障害/注意欠陥多動性障害(ADD/ADHD)過敏性試験の組成物、デバイスおよび方法

審判番号
2022-016834
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-531908
請求日
2022年10月21日
審決日
2023年07月03日
公報発行日
2023年12月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】バイオメリカ・インコーポレイテッド
  • 【請求人代理人】弁理士法人R&C
審判長/審判官
  • 審判長 三崎 仁
  • 審判官 松本 隆彦
  • 審判官 石井 哲
分類
P18 .537-Z (G01N) / P18 .55 -Z (G01N)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-531908「注意欠陥障害/注意欠陥多動性障害(ADD/ADHD)過敏性試験の組成物、デバイスおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 6月21日国際公開、WO2018/109746、令和 2年 1月23日国内公表、特表2020-502510〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2017年(平成29年)12月15日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2016年12月15日、米国)を国際出願日とする出願であって、令和2年12月11日に手続補正書が提出され、令和3年10月11日付けの拒絶理由の通知に対し、令和4年4月18日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年6月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年10月21日に審判の請求がされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 令和4年10月21日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和4年10月21日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由](補正の適否の判断) 1.本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所を明示するために当審で付したものである。) 「【請求項1】 注意欠陥障害/注意欠陥多動性障害(ADD/ADHD)と診断される患者またはADD/ADHDが疑われる患者において、IgG反応性を試験するための検査パネルであって、 個別にアドレス可能な固相担体に固定された複数の異なる食物調製物からなり、 ここで、前記複数の異なる食物調製物が、それぞれ、0.07以下の未処理p値、または、0.10以下の偽発見率(FDR)多重度調整p値を有し、前記複数の食物調製物が、カンタロープ、カボチャ属、うずら豆、バター、ナス、サフラワー、カッテージチーズ、タバコ、および、麦芽からなる群から選択される少なくとも1種の食物調製物を含み、 前記未処理p値が、ADD/ADHDと診断される、または、ADD/ADHDが疑われる第一の患者検査群からの異なる食物調製物に対するIgG免疫アッセイスコアの平均値または中央値を、ADD/ADHDと診断されない、またはADD/ADHDが疑われない第二の患者検査群からの前記異なる食物調製物に対するIgG免疫アッセイスコアの平均値または中央値の少なくとも90パーセンタイル順位と比較することを含むプロセスによって決定され、 前記免疫アッセイは、ELISAである、検査パネル。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、令和4年4月18日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 注意欠陥障害/注意欠陥多動性障害(ADD/ADHD)と診断される患者またはADD/ADHDが疑われる患者において、IgG反応性を試験するための検査パネルであって、 個別にアドレス可能な固相担体に固定された複数の異なる食物調製物からなり、 ここで、前記複数の異なる食物調製物が、それぞれ、0.07以下の未処理p値、または、0.10以下の偽発見率(FDR)多重度調整p値を有し、前記複数の食物調製物が、カンタロープ、カボチャ属、うずら豆、バター、ナス、サフラワー、カッテージチーズ、タバコ、および、麦芽からなる群から選択される少なくとも1種の食物調製物を含む、検査パネル。」 2.補正の適否について (1)新規事項追加の有無 ア 本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲について補正しようとするものであるところ、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「0.07以下の未処理p値」について、「前記未処理p値が、ADD/ADHDと診断される、または、ADD/ADHDが疑われる第一の患者検査群からの異なる食物調製物に対するIgG免疫アッセイスコアの平均値または中央値を、ADD/ADHDと診断されない、またはADD/ADHDが疑われない第二の患者検査群からの前記異なる食物調製物に対するIgG免疫アッセイスコアの平均値または中央値の少なくとも90パーセンタイル順位と比較することを含むプロセスによって決定され、 前記免疫アッセイは、ELISAである」こと(以下「未処理p値特定事項」という。)を特定することを含んでいる。 イ 本願は、国際出願であることから、特許法17条の2第3項の規定により(同法第184条の12第2項参照)、国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る。)の翻訳文、国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く。)(以下、「翻訳文等」という。)に記載した事項の範囲内でない新規事項を追加する補正はできないところ、「未処理p値特定事項」が、翻訳文等に記載したものであるか、以下、検討する。 ウ 請求人は、審判請求書において、上記「未処理p値特定事項」を追加する補正は、翻訳文等の段落【0041】、【0042】、【0050】及び実施例等の記載(特に【0116】~【0118】)に基づくものであると主張する。 しかし、翻訳文等の段落【0041】には、平均値判別p値が、ADD/ADHDによる頭痛と診断される第一の患者検査コホート集団またはADD/ADHDによる頭痛が疑われる第一の患者検査コホート集団のアッセイ値と、ADD/ADHDによる頭痛と診断されない第二の患者検査コホート集団またはADD/ADHDによる頭痛が疑われない第二の患者検査コホート集団のアッセイ値を比較するプロセスによって決定されることが記載されているが、未処理p値が、第一の患者検査群の平均値又は中央値を第二の患者検査群の平均値又は中央値の少なくとも90パーセンタイル順位と比較することを含むプロセスで決定されることは記載されていない。 また、翻訳文等の段落【0042】には、ELISAの結果を用いることが記載されているが、未処理p値に関する記載はない。そして段落【0050】には、「0.07以下の平均判別p値」を未処理p値による判定に用いること、「前記平均判別p値は、ADD/ADHDと診断される第一の患者検査コホート集団またはADD/ADHDが疑われる第一の患者検査コホート集団のアッセイ値と、ADHDと診断されない第二の患者検査コホート集団またはADD/ADHDが疑われる第二の患者検査コホート集団のアッセイ値とを比較することを含むプロセスによって決定される。」ことは記載されているものの、未処理p値が、第一の患者検査群の平均値又は中央値を第二の患者検査群の平均値又は中央値の少なくとも90パーセンタイル順位と比較することを含むプロセスで決定されることは記載されていない。 次に、翻訳文等の実施例(段落【0106】以下)についての記載をみると、段落【0111】に「食物抗原調製物を、・・・それぞれのマイクロタイターウェルに固定化した。アッセイのために、食物抗原を患者の血清中に存在する抗体と反応させ・・・た。IgG抗体結合を検出するために、酵素標識された抗IgG抗体コンジュゲートを抗原-抗体複合体と反応させ・・・カップリングされた酵素と反応する基質の添加によって発色させた。・・・色の強度が、特定の食物抗原に対して特異的なIgG抗体の濃度に正比例している。」との記載があり、段落【0112】以下に「ADD/ADHDをコントロール被験者から識別するためのELISAシグナルの能力の順で順位づけされた食物リストを決定するための方法論」について記載され、段落【0113】に「試験した食物(すなわち、食物調製物)のそれぞれについて、残りのシグナルスコアを、比較的多数回の再サンプリング(例えば、特定の実施形態においては1,000回超、他の実施形態では10,000回超、さらに他の実施形態では50,000回超)による二標本t検定での並べ替え検定を使用してADD/ADHDとコントロールとの間で比較する。」との記載、「前記両側並び替えp値は、それぞれの食物についての未処理p値になろう。」との記載があり、未処理p値に関する記載といえる。 しかし、「未処理p値特定事項」は、「p値」の「決定」に関し、「ADD/ADHDと診断される、または、ADD/ADHDが疑われる第一の患者検査群」からの「食物調製物に対するIgG免疫アッセイスコア」の「平均値または中央値」を、「ADD/ADHDと診断されない、またはADD/ADHDが疑われない第二の患者検査群」からの「食物調製物に対するIgG免疫アッセイスコア」の「平均値または中央値」の「少なくとも90パーセンタイル順位」と「比較」するプロセスが関係することを意味する。「二標本t検定」が、標本データからt値と呼ばれる統計量を計算し、t値を利用して、2つのグループ間の母平均に差があるかどうかを検定する方法であり、これが技術常識であることを踏まえても、翻訳文等の上記実施例についての記載からは、「p値」の「決定」に際し、上記「第一の患者検査群」からの「食物調製物に対するIgG免疫アッセイスコア」と上記「第二の患者検査群」からの「食物調製物に対するIgG免疫アッセイスコア」について、当該2つの検査群におけるIgG免疫アッセイスコアの「平均値」を比較することは理解できるとしても、「未処理p値特定事項」における「第一の患者検査群」における「平均値または中央値」と「第二の患者検査群」における「平均値または中央値」の「少なくとも90パーセンタイル順位」とを比較することまでは意味しないし、自明でもない。 さらに、翻訳文等の段落【0116】以下に「それぞれの食物についてのカットポイント選択のための統計学的方法」について、段落【0121】以下に「ADD/ADHDの根底にある食物過敏性を有するADD/ADHD患者のサブセットを決定するための方法論」についての記載あるが、食物調製物のp値を決定することに関するものではなく、「未処理p値特定事項」を記載するものではない。また、段落【0131】以下に「「陽性」と宣言される食物の1人あたりの数の分布を決定するための方法」、段落【0133】以下に「診断成績を見積もるための方法」についての記載があるが、食物調製物のp値を決定することに関するものではなく、「未処理p値特定事項」を記載するものではない。 エ そして、その余の翻訳文等の記載を参照しても、上記「未処理p値特定事項」に関する記載はない、 オ 以上のとおりであるから、本件補正により追加された「未処理p値特定事項」は、翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものということはできないから、本件補正は、翻訳文等に記載した事項の範囲内でするものではない。 (2)特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか ア また、本件補正は、「未処理p値」の決定手法を「未処理p値特定事項」に限定することを含んでいるところ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するといえる。 そうすると、本件補正後の請求項1に記載される発明は同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合する(特許出願の際独立して特許を受けることができる)ものでなければならない。 イ 特許請求の範囲の記載が、明確性要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載だけでなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。 そして、本件補正後の請求項1に記載される発明が「検査キットパネル」という物の発明であり、「複数の異なる食物調製物」からなるものであることに照らすと、「前記複数の食物調製物が、カンタロープ、カボチャ属、うずら豆、バター、ナス、サフラワー、カッテージチーズ、タバコ、および、麦芽からなる群から選択される少なくとも1種の食物調製物を含」むと特定されているだけでは、これら列挙されている食物調整物以外の食物調製物としてどのようなものが含まれるのか不明である。そうすると、本件補正後の請求項1に記載される「検査キットパネル」の発明が物の発明として明確であるというためには、「未処理p値特定事項」で決定される「0.07以下の未処理p値、または0.10以下の偽発見率(FDR)多重度調整p値を有」する「食物調製物」とは何であるのか特定できなければ、第三者の利益が不当に害されることにもなり得ることから、「未処理p値特定事項」で決定される「0.07以下の未処理p値、または0.10以下の偽発見率(FDR)多重度調整p値を有」すると特定することで、少なくとも「食物調整物」の構造又は特性を明確に特定しているといえるものでなければならない。 ウ そこで検討するに、「p値」とは、統計学的仮説検定における概念であり、帰無仮説のもとで検定統計量がその値となる確率のことであるところ、本件請求項1には、「0.07以下の未処理p値、または0.10以下の偽発見率(FDR)多重度調整p値」とされているから、検定統計量が7%以下または、多重度調整を行った上での検定統計量が10%以下であれば、帰無仮説を棄却して対立仮説を採択する(有意差がある)とするものである。 このようなp値の概念に照らすと、「0.07以下の未処理p値、または0.10以下の偽発見率(FDR)多重度調整p値」との特定は、「食物調製物」の構造又は特性を直接特定するものではないことは明らかである。 そして、検定統計量として周知のものであり、本願明細書の段落【0113】にも記載の「二標本t検定」におけるt値が、母平均に差があるかどうかを検定したい2つの各グループにおける標本データの標本平均、不偏分散、サンプルサイズから算出されることが技術常識であることを踏まえると、t値は、標本データ(免疫アッセイスコア)をどのような試料について、どのような試験方法により取得するのかによって影響を受けるし、サンプル数によっても影響を受けるものであると認められる。 そうすると、本件補正により、2つの患者検査群から無作為に抽出した「食物調製物に対するIgG免疫アッセイスコア」をデータとして用いることが特定され、「ELISA」により求められることが特定されているとしても、いかなる試料を用いるか、すなわち、血清、血漿、尿、唾液等のいずれを用いるのかによって、「IgG免疫アッセイスコア」は異なり得るし、母集団の人種、年齢、性別等が異なれば、それによっても異なり得るものと認められる。 また、「偽発見率(FDR)多重度調整p値」については、多重度の調整方法が具体的に特定されておらず、調整方法は、本願明細書の段落【0116】にも記載されているように複数存在し、調整方法によってもp値が異なることは技術常識であり、「0.10以下の偽発見率(FDR)多重度調整p値を有」する食物調整物の範囲が一義的に定まらず、同じ食物調整物であっても「0.10以下の偽発見率(FDR)多重度調整p値」になる場合とならない場合があるから、「食物調製物」について、「0.10以下の偽発見率(FDR)多重度調整p値を有」すると特定する記載は、この点においても「食物調整物」の構造又は特性を明確に特定するものとはいえない。 以上によれば、本件補正後の請求項1の記載によっても、「0.07以下の未処理p値、または0.10以下の偽発見率(FDR)多重度調整p値を有」する「食物調製物」の技術的範囲は一義的に定まらないし、同じ食物調整物であっても「0.07以下の未処理p値、または0.10以下の偽発見率(FDR)多重度調整p値」になる場合とならない場合があり得るから、「食物調製物」について、「0.07以下の未処理p値、または0.10以下の偽発見率(FDR)多重度調整p値を有」すると特定する記載は、「食物調整物」の構造又は特性を明確に特定するものとはいえない。 エ そうすると、「前記複数の食物調製物が、カンタロープ、カボチャ属、うずら豆、バター、ナス、サフラワー、カッテージチーズ、タバコ、および、麦芽からなる群から選択される少なくとも1種の食物調製物を含」むと特定されているだけでは、これら列挙されている食物調整物以外の食物調製物としてどのようなものが含まれるのか不明であり、第三者の利益が不当に害されることにもなり得るものである。 オ なお、上記(1)で新規事項の追記に当たると判断した「未処理p値特定事項」の記載を考慮したとしても、「第一の患者検査群」の「平均値または中央値」と「第二の患者検査群」の「平均値または中央値」の「少なくとも90パーセンタイル順位」とを比較することの技術的意義を理解することができず、「未処理p値」を決定するプロセスを理解することができないものでもある。 カ 請求人の主張について (ア)請求人は、審判請求書の「(III)原査定の拒絶理由(特許法第36条第6項第2号)に対する答弁」の項において、以下の主張をしている。 a 「本願の請求項1および14に記載の「0.07以下の未処理p値」、および、「0.10以下の偽発見率(FDR)多重度調整p値」との文言は、少なくとも令和3年10月11日付け拒絶理由通知に対して提出した令和4年4月18日付け意見書で説明した通り、当業者にとっては明確な用語であると思料します。」と主張しており、この主張において言及されている令和4年4月18日提出の意見書においては、「本願の出願当初の明細書等の記載および出願時の技術常識に基づけば、「未処理p値」および「FDR多重度調整p値」の意味内容は明確であり、本願の特許請求の範囲で記載された発明は明確であるものと思料します。」 b 「本願の請求項1に係る発明は、以下の構成要件が要求されます。(i)複数の異なる食物調製物が、それぞれ、0.07以下の未処理p値、または、0.10以下の偽発見率(FDR)多重度調整p値を有すること、および、(ii)複数の食物調製物が、カンタロープ、カボチャ属、うずら豆、バター、ナス、サフラワー、カッテージチーズ、タバコ、および、麦芽からなる群から選択される少なくとも1種の食物調製物を含むこと。 これに関して、ADD/ADHD患者集団における抗体レベルの上昇との関連性が最も高いとして、分析された食物調製物がランク付けされたリストを提供する本願の出願当初の明細書の表2を参照ください。ここで、本願の請求項1に記載されている特定の食物調製物、すなわち、カンタロープ、カボチャ属、うずら豆、バター、ナス、サフラワー、カッテージチーズ、タバコ、および、麦芽の、それぞれが、0.07以下の未処理p値、または、0.10以下の偽発見率(FDR)多重度調整p値を有するものです。 したがって、本願の特許請求の範囲に記載の特定の食物調製物(即ち、カンタロープ、カボチャ属、うずら豆、バター、ナス、サフラワー、カッテージチーズ、タバコ、および、麦芽)は、いずれも、0.07以下の未処理p値、または、0.10以下の偽発見率(FDR)多重度調整p値によって特徴づけられています。」 (イ)請求人の主張に対する当審の判断 aの主張について 仮に、「未処理p値」および「FDR多重度調整p値」の意味内容が明確であるとしても、「未処理p値」および「FDR多重度調整p値」で特定しようとする「食物調整物」については、上記イ~エで検討したように、列挙されている食物調整物以外の食物調製物としてどのようなものが含まれるのか不明であるため、請求人の主張は採用することができない。 bの主張について 本件補正後の本願請求項1で列挙されている「カンタロープ、カボチャ属、うずら豆、バター、ナス、サフラワー、カッテージチーズ、タバコ、および、麦芽」については、本願明細書の表2を参照すると、請求人の主張するとおり、0.07以下の未処理p値、または、0.10以下の偽発見率(FDR)多重度調整p値を満たすものとして記載されている。 しかし、本件補正後の請求項1に係る発明の食物調製物が「カンタロープ、カボチャ属、うずら豆、バター、ナス、サフラワー、カッテージチーズ、タバコ、および、麦芽」に限定されているわけではなく、本願明細書の表2を参照しても、上記列挙されている食物調整物以外の「0.07以下の未処理p値、または、0.10以下の偽発見率(FDR)多重度調整p値を有する」食物調製物としてどのようなものがあるのか明らかになるものでもない。そして、いかなる試料を用いるか、すなわち、血清、血漿、尿、唾液等のいずれを用いるのかによって、「IgG免疫アッセイスコア」は異なり得るし、母集団の人種、年齢、性別等が異なれば、それによって未処理p値及び偽発見率(FDR)多重度調整p値は異なり得るものであるから、本願明細書の表2から、当業者といえども、「カンタロープ、カボチャ属、うずら豆、バター、ナス、サフラワー、カッテージチーズ、タバコ、および、麦芽」以外の「0.07以下の未処理p値、または、0.10以下の偽発見率(FDR)多重度調整p値を有する」食物調製物として、具体的にどのような食物調製物があるのか想定されるものではない。 よって、上記請求人のbの主張によっても、本件補正後の請求項1に係る発明で特定される「食物調整物」が明確になるものではない。 キ 以上のとおり、本件補正後の請求項1に係る発明の範囲は不明確であるから、特許法36条6項2号の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 3.本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法17条の2第3項の規定に違反し、また、本件補正後の請求項1に係る発明は、同条6項において準用する同法126条7項の規定にも違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1.本願発明 令和4年10月21日付け手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、同年4年4月18日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし17に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2.原査定における拒絶の理由の要旨 原査定の拒絶の理由(理由4)の要旨は、請求項1の記載について以下のとおりである。 請求項1に「前記複数の食物調製物が、カンタロープ、カボチャ属、うずら豆、バター、ナス、サフラワー、カッテージチーズ、タバコ、および、麦芽からなる群から選択される少なくとも1種の食物調製物を含む」とあり、具体的な食物調製物が記載されているとしても、これらについては「含む」ものとして特定されているだけであり、ここに列挙された具体的な食物調製物のみからなることが特定されているわけではない。そして、「0.07以下の未処理p値、または、0.10以下の偽発見率(FDR)多重度調整p値を有」する「食物調整物」との記載が不明確であるから、請求項1における「食料調整物」が明確に特定できず、「検査パネル」の発明である請求項1に係る発明は不明確である。よって、特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。 3.理由4(明確性)について 本件補正前の請求項1の「0.07以下の未処理p値」及び「0.10以下の偽発見率(FDR)多重度調整p値」との記載が「食物調整物」を特定する上で明確でないことは、上記第2[理由]2(2)イ~ウで検討したとおりであるから、上記2で記載した原査定における拒絶理由のとおり、請求項1における「食料調整物」が明確に特定できず、「検査パネル」の発明である請求項1に係る発明は不明確である。 第4 むすび(結論) 以上のとおり、請求項1に係る発明は不明確であることから、本願は、特許請求の範囲の記載が特許法36条条6項2号に規定する要件を満たしておらず、拒絶すべきものである。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2022-016834

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決7件(バイオメリカ・インコーポレイテッド)
  • 2023-001909拒絶査定不服審判 / 2024-01-23 / 請求不成立IBS感受性試験の組成物、デバイスおよび方法
    同じ当事者: バイオメリカ・インコーポレイテッド
  • 2022-010591拒絶査定不服審判 / 2023-09-19 / 請求不成立胃食道逆流性疾患感受性試験の組成物、デバイスおよび方法
    同じ当事者: バイオメリカ・インコーポレイテッド
  • 2022-003621拒絶査定不服審判 / 2023-08-07 / 請求不成立潰瘍性大腸炎感受性試験の組成物、デバイスおよび方法
    同じ当事者: バイオメリカ・インコーポレイテッド
  • 2021-017098拒絶査定不服審判 / 2023-07-18 / 請求不成立機能性消化不良感受性試験の組成物、デバイスおよび方法
    同じ当事者: バイオメリカ・インコーポレイテッド
  • 2021-017100拒絶査定不服審判 / 2022-12-05 / 請求不成立クローン病感受性試験の組成物、デバイスおよび方法
    同じ当事者: バイオメリカ・インコーポレイテッド
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)666件(537・G01N、55・G01N)
  • 2024-019239拒絶査定不服審判 / 2026-06-09 / 原査定取消(特許/登録すべき)自動化された組織切片の捕捉、指標付けおよび保管システム及び方法
    共通の審決分類: 537・G01N、55・G01N
  • 2024-013973拒絶査定不服審判 / 2025-12-03 / 請求不成立タンパク質をアッセイする方法
    共通の審決分類: 537・G01N、55・G01N
  • 2024-014730拒絶査定不服審判 / 2025-11-04 / 原査定取消(特許/登録すべき)情報処理システム及びその制御方法並びにプログラム
    共通の審決分類: 537・G01N、55・G01N
  • 2024-010326拒絶査定不服審判 / 2025-10-20 / 原査定取消(特許/登録すべき)オープンセル発泡体を用いた血液サンプルの管理
    共通の審決分類: 537・G01N、55・G01N
  • 2024-015185拒絶査定不服審判 / 2025-10-15 / 原査定取消(特許/登録すべき)空気汚染及び処理健全性のインラインモニタのためのシステム及び方法
    共通の審決分類: 537・G01N、55・G01N

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存