特許拒絶査定不服審判
2022-016476
スルホン酸基を含むKAT阻害剤としての化合物
- 審判番号
- 2022-016476
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-527328
- 請求日
- 2022年10月14日
- 審決日
- 2024年01月09日
- 公報発行日
- 2024年06月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エピザイム,インコーポレイティド
- 【請求人代理人】山本 秀策
- 【請求人代理人】森下 夏樹
- 【請求人代理人】飯田 貴敏
- 【請求人代理人】石川 大輔
- 【請求人代理人】山本 健策
- 審判長/審判官
- 審判長 井上 典之
- 審判官 瀬良 聡機
- 審判官 赤澤 高之
- 分類
- P18 .113-Z (C07C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-527328「スルホン酸基を含むKAT阻害剤としての化合物」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 6月 7日国際公開、WO2018/102419、令和 2年 1月23日国内公表、特表2020-502064〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年)11月29日(パリ条約に基づく優先権主張外国庁受理 2016年11月29日 米国(US)、2016年12月14日 米国(US))を国際出願日とする出願であって、令和3年8月12日付けで拒絶理由が通知され、令和4年2月16日に意見書および手続補正書が提出され、同年6月10日付けで拒絶査定され、同年10月14日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。
第2 令和4年10月14日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年10月14日にされた手続補正を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)令和4年10月14日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、本件補正による記載の変更箇所である。)
「 【請求項1】
式I:
【化1】
[図:0001410724000001.jpg]
(式中:
環Aは、フェニル、および3~7員環の飽和又は部分不飽和炭素環から選択され;
Lは、
【化134】
[図:0001410724000002.jpg]
【化135】
[図:0001410724000003.jpg]
からなる群から選択され;
環Bは、フェニル、3~7員環の飽和又は部分不飽和炭素環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員環の飽和又は部分不飽和複素環式環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する5~6員環のヘテロアリール環、8~10員環の二環式アリール環、並びに窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~3個のヘテロ原子を有する8~10員環の二環式ヘテロアリール環から選択される、任意選択で置換されている基であり;
Raは、ハロゲン、-CN、-NO2、-OR、-SR、-N(R)2、-C(O)R、-C(O)2R、-OC(O)R、-C(O)N(R)2、-N(R)C(O)R、-Cy、又は任意選択で置換されたC1~4脂肪族から選択され;
Zは、ハロゲン、-CN、-NO2、-OR、-SR、-N(R)2、-C(O)R、
-C(O)2R、-OC(O)R、-C(O)N(R)2、-N(R)C(O)R、-Cy、-(C1~3脂肪族)-Cy、又は任意選択で置換されているC1~4脂肪族から選択され;
Cyは、フェニル、3~7員環の飽和又は部分不飽和炭素環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員環の飽和又は部分不飽和複素環式環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する6~8員環の架橋二環式複素環式環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する5~6員環のヘテロアリール環、8~10員環の二環式アリール環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~3個のヘテロ原子を有する8~10員環の二環式ヘテロアリール環から選択される、任意選択で置換されている基であり;
Rは、それぞれ独立に、水素であるか、又はC1~4脂肪族、フェニル、3~7員環の飽和又は部分不飽和炭素環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員環の飽和又は部分不飽和複素環式環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する5~6員環のヘテロアリール環、8~10員環の二環式アリール環、並びに窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~3個のヘテロ原子を有する8~10員環の二環式ヘテロアリール環から選択される、任意選択で置換されている基であり;
nは0又は1であり;
xは0、1、2、又は3である)の化合物又はその医薬的に許容される塩であって、ただし、該化合物は、
(1)
【化136】
[図:0001410724000004.jpg]
【化137】
[図:0001410724000005.jpg]
【化138】
[図:0001410724000006.jpg]
【化139】
[図:0001410724000007.jpg]
、
(2)
【化140】
[図:0001410724000008.jpg]
(式中、X1は、6-Fである)、又は
(3)
【化141】
[図:0001410724000009.jpg]
(式中、X2は、H、4-Br、4-OMe、4-CN、4-(CH2)2CO2Me、4-NHCO(CH2)2CH3、4-(CH2)2CO2H、4-OCH2CO2H又はCO2Hである)
ではない、化合物又はその医薬的に許容される塩。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載
本件補正前の、令和4年2月16日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。
「 【請求項1】
式I:
【化1】
[図:0001410724000010.jpg]
(式中:
環Aは、フェニル、および3~7員環の飽和又は部分不飽和炭素環から選択され;
Lは、
【化134】
[図:0001410724000011.jpg]
【化135】
[図:0001410724000012.jpg]
からなる群から選択され;
環Bは、フェニル、3~7員環の飽和又は部分不飽和炭素環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員環の飽和又は部分不飽和複素環式環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する5~6員環のヘテロアリール環、8~10員環の二環式アリール環、並びに窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~3個のヘテロ原子を有する8~10員環の二環式ヘテロアリール環から選択される、任意選択で置換されている基であり;
Raは、ハロゲン、-CN、-NO2、-OR、-SR、-N(R)2、-C(O)R、-C(O)2R、-OC(O)R、-C(O)N(R)2、-N(R)C(O)R、-Cy、又は任意選択で置換されたC1~4脂肪族から選択され;
Zは、ハロゲン、-CN、-NO2、-OR、-SR、-N(R)2、-C(O)R、
-C(O)2R、-OC(O)R、-C(O)N(R)2、-N(R)C(O)R、-Cy、-(C1~3脂肪族)-Cy、又は任意選択で置換されているC1~4脂肪族から選択され;
Cyは、フェニル、3~7員環の飽和又は部分不飽和炭素環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員環の飽和又は部分不飽和複素環式環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する6~8員環の架橋二環式複素環式環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する5~6員環のヘテロアリール環、8~10員環の二環式アリール環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~3個のヘテロ原子を有する8~10員環の二環式ヘテロアリール環から選択される、任意選択で置換されている基であり;
Rは、それぞれ独立に、水素であるか、又はC1~4脂肪族、フェニル、3~7員環の飽和又は部分不飽和炭素環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員環の飽和又は部分不飽和複素環式環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する5~6員環のヘテロアリール環、8~10員環の二環式アリール環、並びに窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~3個のヘテロ原子を有する8~10員環の二環式ヘテロアリール環から選択される、任意選択で置換されている基であり;
nは0又は1であり;
xは0、1、2、又は3である)の化合物又はその医薬的に許容される塩。」
(3)本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である式Iの化合物又はその医薬的に許容される塩について、上記(1)~(3)の化合物又はその医薬的に許容される塩を除くとしたものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(いわゆる「独立特許要件」))について、以下、検討する。
2 本願補正発明の独立特許要件の判断
(1)本願補正発明
本願補正発明は、上記1(1)に摘記した本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項等
ア 引用文献5及びその記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献5「Lin, Shu-Yu et al.,Phenyl Benzenesulfonylhydrazides Exhibit Selective Indoleamine 2,3-Dioxygenase Inhibition with Potentin Vivo Pharmacodynamic Activity and Antitumor Efficacy,Journal of Medicinal Chemistry,2016年,vol.59, no.1,pp.419-430」(発行日:2015年12月10日)には、次の記載がある。なお、引用文献5は英文で記載されているため、図表の記載を除いて当審合議体による和訳にて摘記する。また、下線は当審合議体が付したものであり、「・・・」は摘記の省略を示す。
(ア)「
[図:0001410724000013.jpg]
」
(421頁右欄)
(イ)「N-(4-{[2-(4-ブロモフェニル)ヒドラジニル]スルフォニル}フェニル)-3-(モルフォリン-4-イル)プロパナミド(36)。クロロスルホン酸(2.5ml)が、3-(モルフォリン-4-イル)-N-フェニルプロパナミド(5)(0.270g、1.00mmol)に室温でゆっくり添加され、その反応混合物は6時間攪拌された。・・・。有機層はMgSO4で乾燥され、真空中で濃縮された。残渣を、Isco CombiFlash Companyのカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、傾斜、メタノール/ジクロロメタン=0:100~20:80)で精製することで、目的生成物36を黄色固体として得た(60.0mg、28%)。・・・」
(426頁左欄の「N-(4-{[2-(4-ブロモフェニル)ヒドラジニル]スルフォニル}フェニル)-3-(モルフォリン-4-イル)プロパナミド(36)」の項目)
イ 引用文献5に記載された発明
上記摘記(ア)には、化合物番号36~49の「フェニルベンゼンスルフォニルヒドラジン化合物」の構造式及びIDO阻害活性についてタイトルが付された表2に、化合物番号36の化合物の構造式(化合物番号36~49の化合物の共通の一般式及びそのRの部分の構造式)が記載されており、上記摘記(イ)には、化合物番号36の化合物の名称が「N-(4-{[2-(4-ブロモフェニル)ヒドラジニル]スルフォニル}フェニル)-3-(モルフォリン-4-イル)プロパナミド」であることが記載され、該化合物が製造方法を伴って記載されている。
そうすると、引用文献5には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「N-(4-{[2-(4-ブロモフェニル)ヒドラジニル]スルフォニル}フェニル)-3-(モルフォリン-4-イル)プロパナミド。」
また、上記引用発明の化合物を、以下「引用化合物」ともいう。
(3)本願補正発明と引用発明との対比
ア 本願補正発明と引用発明とを対比する(下線は、当審合議体にて追加。)。
引用発明のN-(4-{[2-(4-ブロモフェニル)ヒドラジニル]スルフォニル}フェニル)-3-(モルフォリン-4-イル)プロパナミドは、本願補正発明の式Iの
[図:0001410724000014.jpg]
において、
「環A」が、「フェニル」であり;
「L」が、
「
[図:0001410724000015.jpg]
」であり;
「環B」が、「フェニル」であり;
「Ra」が、「ハロゲン」であり;
「Z」が、「-N(R)C(O)R」であり;
「R」が、それぞれ独立に、水素であるか、又はC1~4脂肪族、・・・から選択される、任意選択で置換されている基であって、Nに結合する「R」が水素であり、Cに結合する「R」がモルホリン基で置換されているC2の脂肪族であるエチル基であり;
「n」が「1」であり;
「x」が「1」である、
化合物に相当する。
また、引用化合物は、前記1(1)の本願補正発明において除外されている前記(1)~(3)に列記されたいずれの化合物にも該当しない。
イ したがって、本願補正発明と引用発明とは、
「式I:
【化1】
[図:0001410724000016.jpg]
(式中:
環Aは、フェニル、および3~7員環の飽和又は部分不飽和炭素環から選択され;
Lは、
【化134】
[図:0001410724000017.jpg]
【化135】
[図:0001410724000018.jpg]
からなる群から選択され;
環Bは、フェニル、3~7員環の飽和又は部分不飽和炭素環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員環の飽和又は部分不飽和複素環式環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する5~6員環のヘテロアリール環、8~10員環の二環式アリール環、並びに窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~3個のヘテロ原子を有する8~10員環の二環式ヘテロアリール環から選択される、任意選択で置換されている基であり;
Raは、ハロゲン、-CN、-NO2、-OR、-SR、-N(R)2、-C(O)R、-C(O)2R、-OC(O)R、-C(O)N(R)2、-N(R)C(O)R、-Cy、又は任意選択で置換されたC1~4脂肪族から選択され;
Zは、ハロゲン、-CN、-NO2、-OR、-SR、-N(R)2、-C(O)R、
-C(O)2R、-OC(O)R、-C(O)N(R)2、-N(R)C(O)R、-Cy、-(C1~3脂肪族)-Cy、又は任意選択で置換されているC1~4脂肪族から選択され;
Cyは、フェニル、3~7員環の飽和又は部分不飽和炭素環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員環の飽和又は部分不飽和複素環式環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する6~8員環の架橋二環式複素環式環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する5~6員環のヘテロアリール環、8~10員環の二環式アリール環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~3個のヘテロ原子を有する8~10員環の二環式ヘテロアリール環から選択される、任意選択で置換されている基であり;
Rは、それぞれ独立に、水素であるか、又はC1~4脂肪族、フェニル、3~7員環の飽和又は部分不飽和炭素環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員環の飽和又は部分不飽和複素環式環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する5~6員環のヘテロアリール環、8~10員環の二環式アリール環、並びに窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~3個のヘテロ原子を有する8~10員環の二環式ヘテロアリール環から選択される、任意選択で置換されている基であり;
nは0又は1であり;
xは0、1、2、又は3である)の化合物又はその医薬的に許容される塩であって、ただし、該化合物は、
(1)
【化136】
[図:0001410724000019.jpg]
【化137】
[図:0001410724000020.jpg]
【化138】
[図:0001410724000021.jpg]
【化139】
[図:0001410724000022.jpg]
、
(2)
【化140】
[図:0001410724000023.jpg]
(式中、X1は、6-Fである)、又は
(3)
【化141】
[図:0001410724000024.jpg]
(式中、X2は、H、4-Br、4-OMe、4-CN、4-(CH2)2CO2Me、4-NHCO(CH2)2CH3、4-(CH2)2CO2H、4-OCH2CO2H又はCO2Hである)
ではない、化合物又はその医薬的に許容される塩。」
の点で一致し、両者の間に相違点はない。
ウ 審判請求人の主張について
審判請求人は、審判請求書の11頁下から2行~12頁4行において、
「引用文献5の化合物36は、
[図:0001410724000025.jpg]
[図:0001410724000026.jpg]
です。本願の-N(R)C(O)RのRが、複素環式環で置換された脂肪族基ではなく、アルキル複素環式環でもないので、引用文献5の化合物36は、請求項1の式Iの化合物の範囲外です。」
と主張している。
しかしながら、引用文献5の化合物36は、本願補正発明の式Iにおいて、「Z」が「-N(R)C(O)R」であり、炭素に結合された「R」が、モルホリン基という複素環式環で置換されたエチル基という脂肪族基である(独立して選択される窒素に結合された「R」は水素である)化合物に該当するものであるから、審判請求人の上記主張は採用できない。
エ したがって、本願補正発明は、引用文献5に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許法29条1項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 補正の却下の決定のむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明
令和4年10月14日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~22に係る発明は、令和4年2月16日にされた手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1~22に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められ、その請求項1に係る発明は、前記第2の[理由]1(2)に摘記した、次のとおりのものである。
「 【請求項1】
式I:
【化1】
[図:0001410724000027.jpg]
(式中:
環Aは、フェニル、および3~7員環の飽和又は部分不飽和炭素環から選択され;
Lは、
【化134】
[図:0001410724000028.jpg]
【化135】
[図:0001410724000029.jpg]
からなる群から選択され;
環Bは、フェニル、3~7員環の飽和又は部分不飽和炭素環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員環の飽和又は部分不飽和複素環式環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する5~6員環のヘテロアリール環、8~10員環の二環式アリール環、並びに窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~3個のヘテロ原子を有する8~10員環の二環式ヘテロアリール環から選択される、任意選択で置換されている基であり;
Raは、ハロゲン、-CN、-NO2、-OR、-SR、-N(R)2、-C(O)R、-C(O)2R、-OC(O)R、-C(O)N(R)2、-N(R)C(O)R、-Cy、又は任意選択で置換されたC1~4脂肪族から選択され;
Zは、ハロゲン、-CN、-NO2、-OR、-SR、-N(R)2、-C(O)R、
-C(O)2R、-OC(O)R、-C(O)N(R)2、-N(R)C(O)R、-Cy、-(C1~3脂肪族)-Cy、又は任意選択で置換されているC1~4脂肪族から選択され;
Cyは、フェニル、3~7員環の飽和又は部分不飽和炭素環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員環の飽和又は部分不飽和複素環式環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する6~8員環の架橋二環式複素環式環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する5~6員環のヘテロアリール環、8~10員環の二環式アリール環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~3個のヘテロ原子を有する8~10員環の二環式ヘテロアリール環から選択される、任意選択で置換されている基であり;
Rは、それぞれ独立に、水素であるか、又はC1~4脂肪族、フェニル、3~7員環の飽和又は部分不飽和炭素環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員環の飽和又は部分不飽和複素環式環、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~2個のヘテロ原子を有する5~6員環のヘテロアリール環、8~10員環の二環式アリール環、並びに窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1~3個のヘテロ原子を有する8~10員環の二環式ヘテロアリール環から選択される、任意選択で置換されている基であり;
nは0又は1であり;
xは0、1、2、又は3である)の化合物又はその医薬的に許容される塩。」
(以下「本願発明」という。)
第4 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の一つは、次のとおりのものと認める。
この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、下記の引用文献5に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許法第29条第1項の規定により、特許を受けることができない。
記
引用文献5 Lin, Shu-Yu et al.,Phenyl Benzenesulfonylhydrazides Exhibit Selective Indoleamine 2,3-Dioxygenase Inhibition with Potentin Vivo Pharmacodynamic Activity and Antitumor Efficacy,Journal of Medicinal Chemistry,2015年,vol.59, no.1,pp.419-430
なお、「2015年」との表記は、発行日に基づくものである。
第5 当審合議体の判断
当審合議体は、原査定の拒絶の理由のとおり、本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、原査定の拒絶の理由で引用されたものと同じ引用文献5に記載された発明であるから、新規性が欠如しており、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許法第29条第1項の規定により、特許を受けることができない、と判断する。
理由は以下のとおりである。
1 引用文献及び引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献5の記載事項及び同文献に記載された発明(「引用発明」)は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。
2 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本願補正発明から、式Iの化合物又はその医薬的に許容される塩について、前記第2の[理由]2に記載した前記(1)~(3)の化合物又はその医薬的に許容される塩を除いて範囲を限定する特定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て備え、さらに特定の化合物を削除して範囲を限定したものに相当する本願補正発明が、前記第2の[理由]2(2)、(3)に記載したとおり、引用文献5に記載された発明であるから、本願発明も、引用文献5に記載された発明である。
3 小括
以上のとおり、本願発明と引用発明との対比において実質的相違点はなく、本願発明は、引用文献5に記載された発明である。
第6 むすび
上記のとおりであって、本願発明は、本願の優先日前に、日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、引用文献5に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、同法第29条第1項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-016476