商標拒絶査定不服審判
2022-016015
ビイエムデイ
- 審判番号
- 2022-016015
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-141381
- 請求日
- 2022年10月07日
- 審決日
- 2023年07月25日
- 公報発行日
- 2024年01月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】イマーゴ バイオサイエンシーズ インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】弁理士法人深見特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 冨澤 武志
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 須田 亮一
- 分類
- T18 .261-Z (W0542) / T18 .262-Z (W0542) / T18 .263-Z (W0542) / T18 .264-Z (W0542)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-141381拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年11月12日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年2月4日付け:拒絶理由通知
令和4年5月16日 :意見書の提出
令和4年7月4日付け:拒絶査定
令和4年10月7日 :審判請求書の提出
第2 本願商標
本願商標は、「BMD」の欧文字を横書きしてなり、第5類「後成的酵素の調整不全に関する遺伝性疾患の治療用薬剤,薬剤」及び第42類「医薬品の研究及び開発,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究」を指定商品及び指定役務とし、2021年5月14日にアメリカ合衆国おいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、登録出願されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下に掲げるとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第5634935号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成 BMDウォーターゲル(標準文字)
指定商品 第3類「歯磨き,水性ゲル状の化粧品,口臭用消臭剤,動物用防臭剤,香料,薫料」
登録出願日 平成25年1月7日
設定登録日 平成25年12月6日
2 登録第6146315号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成 別掲のとおり
指定商品・役務 第5類「薬剤(農薬に当たるものを除く。)」、第7類、第10類、第11類、第40類及び第44類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
登録出願日 平成30年7月9日
設定登録日 令和元年5月24日
以下、引用商標1及び引用商標2をまとめて「引用商標」という。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)商標の類否
商標の類否は、同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して、その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきものである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷・民集22巻2号399頁参照)。
また、複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについては、商標の各構成部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められる場合には、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、原則として許されないが、商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などには、商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるものと解される(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。
(2)本願商標
本願商標は、上記第2のとおり、「BMD」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字に相応して、「ビーエムディー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)引用商標
ア 引用商標1
引用商標1は、上記第3の1のとおり、「BMDウォーターゲル」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同じ大きさで、等間隔に、外観上まとまりよく一体的に表されているものである。
そして、引用商標1の構成中の「ウォーター」の文字は「水」の、「ゲル」の文字は「コロイド溶液が流動性を失い、多少の弾性と固さをもってゼリー状に固化したもの」等の意味を有する語(ともに「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)であるものの、「BMD」の文字は、上記(2)のとおり、特定の意味合いを認識させることのないものであり、これらを結合してなる引用商標1全体としても、特定の意味合いを認識させるものではない。
また、引用商標1全体から生じる「ビーエムディーウォーターゲル」の称呼も格別冗長とはいえず、無理なく一連に称呼し得るものである。
そうすると、引用商標1は、上記構成及び称呼からすれば、その構成全体をもって、特定の観念を生じない一体不可分のものとして認識されるとみるのが自然である。
したがって、引用商標1は、その構成文字に相応して、「ビーエムディーウォーターゲル」を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標2
引用商標2は、別掲のとおり、薄青色のV字状の図形を開口部が右側を向くように横にしたものと緑色のV字状の図形を開口部が左側を向くように横にしたものを若干空間を空けて上下に並べてなる図形(以下、これらをまとめて「図形部分」という。)の右側に、薄青色のV字状の図形とほぼ同じ高さの「BMD」の緑色の欧文字(以下「上段文字部分」という。)を横書きし、図形部分及び上段文字部分の下には「Sun-Bio Medical Device Co.,Ltd.」の緑色の欧文字(以下「下段文字部分」という。)を小さく横書きしてなるものである(以下、これらをまとめて「構成各部分」という。)。
そして、引用商標構成中の上段文字部分は、上記(2)及びアのとおり、特定の意味合いを認識させることのないものである。また、下段文字部分は、その構成中の「Sun」の文字は「太陽」等の、「Bio」の文字は「生物学」等の、「Medical」の文字は「医学の」等の、「Device」の文字は「装置」等の意味を有する語であるものの(いずれも「ジーニアス英和辞典第5版」株式会社大修館)、これら及び「-」(ハイフン)を結合してなる「Sun-Bio Medical Device」の文字全体としては、辞書等に掲載のないものであって、特定の意味合いを認識させるものではない。さらに、「Co.,Ltd.」の文字は「株式会社」の英語表記として一般に使用されているものであるから、下段文字部分は全体として「Sun-Bio Medical Device株式会社」という社名を表したものと容易に理解できるものである。
さらに、特定の観念を生じない欧文字からなる商標については、我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語風の発音をもって称呼されるのが一般的といえるから、上段文字部分からは「ビーエムディー」の、下段文字部分からは「サンバイオメディカルデバイスシーオーエルティーディー」の称呼を生じるものとみるのが相当である。
また、図形部分は、特定の事物を表したもの、又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないことから、特定の称呼及び観念は生じないものである。
そして、引用商標2の構成中、上段文字部分と図形部分及び下段文字部分とは、上段文字部分の構成文字の間隔及び下段文字部分の構成文字の間隔よりも大きく間隔を空けて配されていること、図形部分と上段文字部分及び下段文字部分とは高さが異なることからすれば、構成各部分はそれぞれ視覚上分離して看取されるものである。また、引用商標2全体から生じる「ビーエムディーサンバイオメディカルデバイスシーオーエルティーディー」の称呼は29音と非常に冗長であり、さらに、構成各部分は互いに観念上のつながりがないものであって、一連一体となって何らかの称呼が生じるともいえないものある。ほかに構成各部分を常に一体のものとしてのみ観察しなければならない特段の事情も見いだせない。
そうすると、構成各部分は、それぞれが独立して商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものといえるから、上段文字部分を要部として抽出し、他の商標と比較して商標の類否を判断することも許される。
したがって、引用商標2は、その構成中、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る上段文字部分の構成文字に相応して、「ビーエムディー」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
(4)本願商標と引用商標との類否
ア 本願商標と引用商標1について
本願商標と引用商標1とは、外観においては、「ウォーターゲル」の文字の有無という顕著な差異があるから、両商標は外観上相紛れるおそれはない。
次に、称呼においては、本願商標から生じる「ビーエムディー」の称呼と、引用商標1から生じる「ビーエムディーウォーターゲル」の称呼とは、後半部における「ウォーターゲル」の称呼の有無という明らかな差異があるから、両商標は称呼上相紛れるおそれはない。
さらに、観念においては、両商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、両商標は観念上比較することができない。
以上によれば、本願商標と引用商標1とは、観念において比較することができないものの、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、称呼及び観念等によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は非類似の商標と判断するのが相当である。
イ 本願商標と引用商標2について
本願商標と引用商標2の要部の一つである上段文字部分とは、外観においては、書体において差異があるものの、いずれも一般的な書体で表されているものであって、文字のつづりを同一にするものであるから、両者は外観において似通った印象を与えるものである。
次に、称呼においては、本願商標と上段文字部分は、いずれも「ビーエムディー」の称呼を生じるから、両者は称呼上同一である。
さらに、観念においては、本願商標と上段文字部分は、いずれも特定の観念を生じないから、両者は観念上比較することができない。
以上によれば、本願商標と上段文字部分とは、観念上比較することはできないものの、外観が似通った印象を与えるものであって、称呼を同一とするものであるから、その外観、称呼及び観念が、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合すれば、本願商標と引用商標2は、商品の出所について誤認を生じさせるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
(5)本願商標の指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務との類否について
本願の指定商品及び指定役務中の第5類「後成的酵素の調整不全に関する遺伝性疾患の治療用薬剤,薬剤」と、引用商標1の指定商品中の第3類「口臭用消臭剤,動物用防臭剤」及び引用商標2の指定商品及び指定役務中の第5類「薬剤(農薬に当たるものを除く。)」とは、とは同一又は類似の商品である。
(6)小括
本願商標と引用商標2とは、相紛れるおそれのある類似の商標であり、かつ、本願の指定商品は、引用商標2の指定商品と同一又は類似のものを含むものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、引用商標2の構成中の図形部分がロゴ化された「S」の欧文字であること、また、下段文字部分のうち「Co.,Ltd.」以外を構成する各単語の頭文字を集めると「SBMD」となることから、図形部分と上段文字部分は一体となって「SBMD」の文字を表したものと認識される旨を主張している。
しかしながら、上記1(3)イのとおり、図形部分と上段文字部分とは高さが異なることなどから、構成各部分はそれぞれ視覚上分離して看取されるものであることに加え、「S」の欧文字は通常1本の線で表されるものであるところ、図形部分は、上記1(3)イのとおり、2つのV字状の図形で構成されていることに加え、これらは異なる色彩で表されており、デザイン化の程度も高いことからすれば、図形部分が「S」の欧文字をロゴ化したものと直ちに認識されるとはいい難い。
そうすると、下段文字部分のうち「Co.,Ltd.」以外を構成する各語の頭文字を集めると「SBMD」となるとしても、図形部分と上段文字部分が一体となって「SBMD」の文字を表したものと認識されるということはできない。
(2)請求人は「引用商標2の上段の最初の文字である「S」は、緑色だけでなく水色をプラスした2色構成としてやや大きめに描かれているが、企業のハウスマーク・ロゴデザインを考案するに際し、語の識別上、重要で目立つ位置を占める語頭の最初の欧文字について、このようにやや強調したデザイン表現を採択することは、我が国では一般的であり、じょうとうのレタリング技法の範囲内にすぎない」と主張している。
しかしながら、図形部分は、1(3)イのとおり、文字としてではなく、特定の称呼及び観念を生じることのない図形として認識されると判断するのが相当であり、また、上記(1)のとおり、「S」の欧文字をロゴ化したものと直ちに認識されるともいい難いものである。
(3)請求人は、「引用商標2の「BMD」の文字は本願商標とは異なるグリーンの着色が施され、通常の文字フォントとは異なる角張ってどっしりとした印象を与えるフォントデザインとなっている。中央の「M」の文字が前後の「B」「D」に比して横幅の広いデザインとなっている点も特徴的である。」と主張している。
しかしながら、商標の構成文字に色彩を施すことは、広く一般に行われていることであること、上段文字部分の構成文字は、それぞれ「B」「M」「D」を表していることが直ちに理解できるものであって、デザイン化の程度が高いとはいえないこと、さらに、2文字目の「M」は、語頭及び語尾の「B」「D」の文字よりも幅が広いとしても、その差はわずかであることからすると、上記1(3)イのとおり、上段文字部分は、いまだ「BMD」の文字を一般的な書体で表したものと判断するのが相当である。
(4)請求人は、過去における登録例(甲9~甲25)を挙げて、本願商標も登録されるべき旨主張している。
しかしながら、商標の類否の判断は、対比する商標について個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げる登録例と本願商標とは、商標の具体的構成等において本願とは事案を異にするものである。また、引用商標2の構成各部分は、それぞれが独立して商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものといえるから、上段文字部分を要部として抽出し、他の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきであり、本願商標は、引用商標2と、商品の出所について誤認を生じさせるおそれのある類似の商標と判断するのが相当であることは、上記1(4)イのとおりである。
(5)したがって、請求人の主張は、いずれも採用できない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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