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特許拒絶査定不服審判

2022-015546

セグメント化保護ディスプレイフィルム

審判番号
2022-015546
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-531751
請求日
2022年09月30日
審決日
2023年07月27日
公報発行日
2024年01月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
  • 【請求人代理人】藤井 憲
  • 【請求人代理人】野村 和歌子
  • 【請求人代理人】佃 誠玄
  • 【請求人代理人】浅村 敬一
審判長/審判官
  • 審判長 岡田 吉美
  • 審判官 後藤 慎平
  • 審判官 濱野 隆
分類
P18 .121-WZ (G09F) / P18 .536-WZ (G09F) / P18 .537-WZ (G09F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
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特願2019-531751「セグメント化保護ディスプレイフィルム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 6月21日国際公開、WO2018/112181、令和 2年 5月14日国内公表、特表2020-513593〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2017年(平成29年)12月14日を国際出願日とする外国語特許出願であって(パリ条約による優先権主張外国庁受理2016年12月14日、米国)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和元年 6月13日 :翻訳文の提出 令和2年12月11日 :手続補正書の提出 令和3年 9月16日付け:拒絶理由通知 令和4年 2月24日 :意見書、手続補正書の提出 同年 5月26日付け:拒絶査定 (同月31日 :拒絶査定の謄本の送達) 同年 9月30日 :審判請求書の提出 同年11月11日付け:拒絶理由通知書 令和5年 5月15日 :意見書、手続補正書の提出 なお、令和4年11月11日付けで当審において通知した拒絶理由を、以下「当審拒絶理由」といい、これに対して、令和5年5月15日に請求人から提出された意見書を、以下、単に「意見書」という。 第2 本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和5年5月15日に提出された手続補正書(以下、当該手続補正書による補正を「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。 「【請求項1】 同一平面上の2つ以上のガラス層セグメントを含み、かつ第1の主面と前記第1の主面の反対側にある第2の主面とによって画定される厚さを有し、前記厚さが、25マイクロメートル以上500マイクロメートル未満の範囲内である、透明ガラス層と、 隣接するセグメントを分離する隙間ポリマー材料と、 前記第1の主面上に配置された透明なエネルギー散逸層であって、27℃以下のガラス転移温度及び1Hzの振動で測定したときに0.5以上のTanδピーク値を有する、透明なエネルギー散逸層と、 を備える、ディスプレイの表面を保護するディスプレイフィルム。」 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由のうち、本件補正前の請求項1に係る発明に対する理由4(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。 (進歩性の欠如)本件補正前の請求項1に係る発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において発行された、下記引用文献5に記載された発明及び引用文献6~9に例示される周知技術に基づいて、本願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献5 特開2000-62093号公報 引用文献6 特開2014-214205号公報 引用文献7 国際公開第2015/041052号 引用文献8 特開2015-110319号公報 引用文献9 特開2009-300506号公報 第4 各引用文献に記載された事項及び引用発明の認定等 1 引用文献5に記載された事項及び引用発明の認定 (1) 引用文献5に記載された事項 当審拒絶理由において引用した引用文献5(特開2000-62093号公報)には、以下の事項が記載されている。下線は当合議体が付したもので、以下同様である。 ア 特許請求の範囲 「【請求項1】 第1層(10)及び第2層(20)を含み、第1層(10)はガラス層であり、ガラス層が亀裂線(11)を有することを特徴とする積層物(50)。 (後略)」 イ 段落【0001】~【0019】 「【0001】 【発明の分野】本発明はガラス層及び第2層を含む積層物に関する。 【0002】さらに特定的には、本発明はガラス層及びポリマー層を含む積層物に関する。 【0003】 【発明の背景】特許出願WO 99/21707は構成層として少なくとも1つのガラス層を有し、ガラス層が4mm未満の厚さを有する積層物を開示している。そのような積層物は、高い熱安定性、高い物理的密度、高い硬度、化学品に対する非常に優れた抵抗性、水分、溶剤及び酸素に対する優れた障壁性などの、例えば透明ポリマー層を越えるいくつかの利点を与える。さらに、ガラスは高い透明度及び優れた光学的性質を有する。 【0004】しかしながら、そのような積層物の問題はその限られた柔軟性である。ガラスの脆さの故に、積層物は、特にガラスが幾分大きい、例えば1mmより大きい厚さを有する場合あるいは変形ガラスが小さい曲率半径を有する場合、有意な程度まで変形させることができない。非常に薄い、従って柔軟なガラス層でさえ破損し得る。 【0005】セキュリティーカードの製造のためにそのようなガラス積層物を用いるのは有利であろう。ガラスの高い物理的密度のために、カードの密度を測定することにより、偽造されたプラスチックカードからガラス積層物を含むもとのセキュリティーカードを区別することができる。しかしながら、そのようなガラス積層物を含むセキュリティーカードは、例えばずぼんのポケット中の財布中にしまわれた場合に、容易に破損し得る。 【0006】例えば、印刷回路板、半導体デバイス、集積回路の製造に用いることができるフォトマスクの作製のためにそのようなガラス積層物を用いるのも有利であろう。ポリマー支持体を有する先行技術のマスクは、温度及び/又は湿度の環境的変化に基因する不十分な寸法安定性に悩まされる。ガラス層支持体は高い寸法安定性という重要な利点を与える。しかしながら、そのようなガラス積層物を含むフォトマスクは、例えば操作の間に、その低い柔軟性の故に破損し得る。 【0007】 【発明の目的及び概略】本発明の目的は、ガラス層を含み、柔軟性が向上している積層物を提供することである。 【0008】本発明の他の目的は、ガラス層を含む先行技術の積層物の利点を保存している積層物を提供することである。 【0009】これらの目的は請求項1に定義する特別な特徴を有する積層物により実現される。 【0010】本発明のさらに別の目的は、高い物理的密度及び優れた柔軟性を有するセキュリティーカードを提供することである。 【0011】本発明のさらに別の目的は、高い寸法安定性及び優れた柔軟性を有するフォトマスクの作製のための材料を提供することである。 【0012】本発明にさらに別の目的は、3次元における非常に大きな変形を可能にする変形積層物の製造のための方法を提供することである。 【0013】請求項において用いたいくつかの用語を下記に定義する。 【0014】ガラス層における「亀裂線」は、ガラス層表面内の長くて狭い開口を示し(例えば、図1、ガラス層10における亀裂線11を参照されたい)、開口は制御されたやり方で、すなわち亀裂線の性質、例えばその数、その幅、その深さなどが亀裂線が作られる前にわかるように作られる。偶発的な破損は亀裂線ではない。亀裂線はガラス層の端、別の亀裂線又はガラス層表面上の随意の位置において始まりそして終わることができる。亀裂線の深さはガラス層の厚さより小さいか又はそれと同じであり;下記において議論する通り、亀裂線の最小の深さはゼロではない。亀裂線は特殊な場合としてゼロの幅を有することができる(ゼロの幅を有する亀裂線は例えばガラス層を切断し、かくしてそれを中間に狭い開口を有する2つのガラス層部分に分け、続いて第1の部分をそれが第2の部分に接触するまで動かすことにより開口を閉じることによって作ることができる)。亀裂線の断面の端は鋭いか又は丸められていることができ;断面は亀裂線の「底」側において丸められた端を有していることができ、例えば、断面はU-形を有していることができるか、あるいは断面は底側と反対の「上」側において丸められた端を有していることができるか、あるいは断面の端のいくらかが鋭く、他の端が丸められていることができる。 【0015】「パターン」は表面上の1組の亀裂線により形成される。「パターン要素」はこれらの亀裂線及びおそらく表面の端により完全に閉じられているものである。例えば図3aのパターン要素は六角形である。パターン要素は、パターン要素の囲い内で始まりそして終わるかあるいはパターン要素の端上で始まり、パターン要素の囲い内で終わる1つ又はそれより多い亀裂線を含むことができ;両方の場合を図3fに示す。パターン要素はパターン要素の面積から以下の通りに算出すると定義される「パータン要素寸法」を有する: …(中略)… 【0017】好ましい態様の場合、積層物中の1つ又はそれより多いガラス層は亀裂線を有する複数の部分及び亀裂線を有していない複数の部分を含む。かくして積層物のいくらかの部分は柔軟性が向上していることができ(下記で説明する通り)、他の部分は先行技術の積層物の柔軟性を有していることができる。この場合、積層物の最大パターン要素寸法は、亀裂線を有するガラス層の部分の最大パターン要素寸法として定義される。 【0018】亀裂線を有するガラス層を含む積層物を変形させる場合、ガラス層はその材料の性質及びその厚さにより決定される高い剛性を有する均一な層として働かない。その代わり、個々のパターン要素が亀裂線の回りで動くことができる。この方法でガラス層を含み、高い柔軟性を有する積層物が得られる。これを以下においてさらに詳細に議論する。 【0019】本発明の積層物は、ガラス層を含む先行技術の積層物の利点を保存し且つ向上した柔軟性を与える。」 ウ 段落【0022】、【0023】、【図1】 「【0022】 【発明の詳細な記述】図1はガラス層10、第2層20及び追加のガラス層40を含む積層物50の1つの実施態様を示す。例えばもっと大きいストリップから切断した積層物の長方形の一部分のみを示してある。明確にするために、図面において第2層20及び追加のガラス層40は部分的に切断して除いてある。ガラス層10は第2層20の表面A(21)に積層され、追加のガラス層40は第2層20の表面A(21)と反対側である表面B(24)に積層されている。ガラス層10及び追加のガラス層40の両方は亀裂線それぞれ11及び41を有する。図1において、亀裂線は六角形パターンで配置され、それぞれのガラス層の厚さに等しい深さを有する。 【0023】かくして、積層物50を変形させる場合、例えばそれを曲げる場合、ガラス層はその材料の性質及びその厚さにより決定される高い剛性を有する均一な層として働かない。代わりに、個々の六角形が亀裂線の回りで動くことができる。特に六角形要素が十分に小さい場合、積層物の柔軟性は主に、例えばポリマー層であることができる第2層20の柔軟性により決定される。この方法で、ガラス層を含み且つ高い柔軟性を有する積層物50が得られる。」 「【図1】 [図:0001405422000001.jpg] 」 エ 段落【0024】~【0033】、【図2】 「【0024】図2はガラス層10、第2層20及び第3層30を含む別の態様を示す。例えばもっと大きいストリップから切断した積層物の長方形の一部分のみを示してある。明確にするために、図面においてガラス層10及び第3層30は部分的に切断して除いてある。第2層20はガラス層10の表面Cに積層され、第3層30は表面Cと反対側であるガラス層10の表面Dに積層されている。ガラス層10における亀裂線11はレンガ-様パターンで配置されている。亀裂線11はゼロの幅を有し、従って1本の線により示されているが-ゼロでない幅を有する図1の亀裂線11及び41は2本の実質的に平行な線により示されている。 【0025】以下で議論する通り、第2層20及び第3層30は好ましくは有機樹脂、例えばポリマーを含む。非常に好ましい本発明の態様の場合、ガラス層10においてパターンを形成しているガラス要素61(図2を参照されたい)は柔軟性ポリマー層中に埋め込まれている。ガラスパターン要素61は亀裂線11、41の回りで動くことができるので、柔軟性積層物が得られ、ガラスの制御されない破損が避けられる。これは先行技術のガラス積層物の問題を解決する。 【0026】本発明の積層物50は以下の通りに製造することができる。第1に第2層20をガラス層10の上に積層する。次に硬い切断具、好ましくはダイアモンドを用いてガラス層の表面においてパターンを引っ掻いて作る。場合により第3層30をガラス層10の上に積層し、かくして図2に示す積層物50を得る。続いて例えば円筒状ローラーの表面の一部の回りの湾曲した軌道に積層物を沿わせることにより、ガラス層10をその表面において引っ掻いて作られたパターンに沿って制御されたやり方で破損させる。そのような湾曲した軌道はガラス層中に曲げ応力を誘発し、それは引っ掻き傷をガラス層の厚さ全体を介して広げ、かくして亀裂線11を形成させる。 【0027】レーザーを用いるか又は当該技術分野において既知の他の方法によりガラス層10に亀裂線11を切断して作ることもできる。1つの製造法においては、第1に第2層20をガラス層10の上に積層し、続いて例えばレーザーを用いてガラス層10において直接亀裂線11を切断して作る。切断の後、第3層30をガラス層10の上に積層し、図2に示す積層物50を得ることができる。別の製造法では、図1に示す通り、2つのガラス層10及び40を層20の上に積層することができ、例えばレーザー切断により両方のガラス層において亀裂線を作ることができる。 【0028】2つ又はそれより多い層の積層は既知の方法で、本明細書において前述した特許出願WO 99/21707に記載されている通り、層の間に接着剤層あるいはテープ又はグルーを適用し、そこに熱及び/又は圧力を加えることにより行うことができる。 【0029】場合により、有機樹脂を含む第2層20を有する図1に示す態様において、接着剤層の後-硬化製造段階を行うことができる。そのような段階で、有機樹脂は亀裂線中に浸透する。有機樹脂の型、温度、後-硬化段階の持続時間に依存して、有機樹脂は亀裂線を部分的に又は完全に満たすことができる。 【0030】場合により、ガラス層はエッチングなどの化学的処理あるいは研磨(grinding)などの熱的もしくは機械的処理を受けることができる。 【0031】好ましくは本発明の積層物は連続的製造法で製造される。ガラスはロール上に提供することができ、それをロールからほどいて上記の連続的製造段階を行うことができる。バッチ法も用いることができるが、これは本来連続的製造法より高価であり、より複雑である。 【0032】本発明の積層物の場合、ガラス層10は好ましくは4mm未満の厚さを有する。本発明のための基礎製品(basicproduct)として適したガラス層(まだ亀裂線を含まない)はEP-A-0 716 339に記載されている。好ましいガラス層は1x107Paより高い破壊応力(引張応力下)、1x1011Paより低い弾性率(ヤング率)及び好ましくは1.2mm以下、より好ましくは0.5mm未満、さらにもっと好ましくは0.3mm未満そして最も好ましくは120μm未満の厚さにより特徴付けられる。 【0033】上記の規格に従うガラスはSchottグループの会社であるDesagから30μm~1.1mmの範囲の厚さを有するAF45型及びD263型としてならびにCorningから0.7mm及び1.1mmの厚さを有する7059F型及び1737F型として商業的に入手可能である。ガラス層は好ましくは珪酸又は硼珪酸ナトリウムから作られるが、化学的に強化されたガラスを用いることもできる。化学的に強化されたガラスは、両表面に近い最初のアルカリイオンがもっと大きな半径を有するアルカリイオンにより少なくとも部分的に置き換えられているガラスである。強化されたナトリウム石灰シリカガラスの表面では、ナトリウムが少なくとも部分的にカリウムにより置き換えられており、強化されたリチウム石灰シリカガラスの表面では、リチウムが少なくとも部分的にナトリウムにより置き換えられている。ガラスの化学的強化についてのさらなる詳細は、中でも、雑誌“GlassTechnology”,Vol.6,No.3,page90-97,June 1965に示されている。薄くて化学的に強化されたガラス、その使用及びその製造法はヨーロッパ特許出願EP-A-0875 490に開示されている。」 「【図2】 [図:0001405422000002.jpg] 」 オ 段落【0045】、【0046】 「【0045】本明細書において前述した化学的に強化された薄いガラスは、例えばEP-B396 824及びEP-A 615 61に開示されているような多色フィルターを含むカラーフラットパネルディスプレーの製造における使用に特別に適している。軽重量及び高い熱安定性に加え、ガラスの光学的等方性は、光学的に異方性であって結果として複屈折を示すほとんどのポリマーフィルムと比較して、この用途における他の利点である。フラットパネルディスプレーカラーフィルターとして用いるために、それぞれ異なる波長領域の光に感受性である少なくとも3つのハロゲン化銀乳剤層をガラスにコーティングすることができる。 【0046】本発明のガラスに非-画像形成層も適用することができる。そのような層の例は接着剤層、磁気層、ハードコート層、顔料層、熱-接着層、UV-吸収層、熱可塑性層などである。本発明のロール上のガラスはLCDなどのフラットパネルディスプレーにおいて、例えば液晶配向層又はITOなどの導電性層を保有するためにあるいは薄-フィルムトランジスタ又は画素電極などの電子部品の支持体として必要な軽重量で熱的に安定な透明支持体として非常に適している。通常のシートガラス上にそのような電子部品を適用するためにシルクスクリーン印刷が典型的に用いられるが、ロール上のガラスはオフセット印刷などのもっと速くてもっと確実な印刷法を用いることを可能にする。」 カ 段落【0069】~【0071】 「【0069】本発明の積層物のさらに別の用途は光学素子と関連している。ガラス層における亀裂線がゼロでない幅を有し、有機樹脂で満たされている場合(後-硬化製造段階を用いる本明細書において前述した態様に関する場合のように)、好ましくはガラスの屈折率ng及び有機樹脂の屈折率norは実質的に等しい。好ましい態様の場合、積層物のすべてのガラス層及びすべての有機樹脂層の屈折率は実質的に等しい。2つ又はそれより多い屈折率の1組の最大屈折率nmax及びその組の最小屈折率nminの間の差nmax-nminが0.2以下、好ましくは0.1未満、より好ましくは0.05未満、さらにもっと好ましくは0.02未満そして最も好ましくは0.01未満である場合、その組の屈折率は実質的に等しい。好ましくは上記の屈折率nは589nmの波長、すなわちナトリウムD-線の波長における屈折率である。Desagから入手可能であり、n=1.5255の屈折率を有するAF45型ガラスの場合、他の物の中でも以下のポリマー(又は有機樹脂)が好ましい:ポリスチレン及びアクリロニトリルブタジエンスチレンのコポリマー(n=1.52)、ポリエチレン(n=1.51)、ポリ(メチルメタクリレート)及びアクリロニトリルのコポリマー(n=1.51)。 【0070】同じ層中の材料(例えば一方でガラス及び他方で亀裂線中の有機樹脂)が実質的に等しい屈折率を有する場合、第1の利点はこの層を介して光が透過する時にほとんど又は全く画像の歪みが生じないことである。これは上記の窓ガラスの場合においても利点である。第2の利点は異なる材料の間の境界で、層上に斜めに入射する光の反射がほとんど又は全くないことである。さらに積層物における連続する層が実質的に等しい屈折率を有する場合、利点は層間の境界においてほとんど又は全く光の反射がないことである。 【0071】本発明に従うそして好ましくは上記の光学的性質を有する積層物は柔軟性であることができ及び/又は複雑な形を有していることができる。例えば:柔軟性積層物を薄いガラス及びポリマー層を用いることにより得ることができ;複雑な形を有する積層物を上記の変形法により得ることができ;複雑な形及び高い柔軟性を有する積層物を薄い層の積層物を変形させることにより得ることができる。」 (2) 引用発明の認定 前記(1)に摘記した事項を総合すると、引用文献5には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 <引用発明> 「 第1層10及び第2層20を含み、第1層10はガラス層であり、ガラス層が亀裂線11を有する積層物であって、(【請求項1】) ガラス層における「亀裂線」は、ガラス層表面内の長くて狭い開口を示し、開口は制御されたやり方で、すなわち亀裂線の性質、例えばその数、その幅、その深さなどが亀裂線が作られる前にわかるように作られるものであり、偶発的な破損は亀裂線ではなく、亀裂線の深さはガラス層の厚さと同じであり、(【0014】) パターンは表面上の1組の亀裂線により形成され、パターン要素はこれらの亀裂線及びおそらく表面の端により完全に閉じられており、(【0015】) 第3層30を含み、第2層20はガラス層10の表面Cに積層され、第3層30は表面Cと反対側であるガラス層10の表面Dに積層され、(【0024】) 第2層20及び第3層30は有機樹脂、例えばポリマーを含み、ガラス層10においてパターンを形成しているガラス要素61は柔軟性ポリマー層中に埋め込まれ、ガラスパターン要素61は亀裂線11、41の回りで動くことができるので、柔軟性積層物となっており、(【0025】) その製造においては、第2層20をガラス層10の上に積層して製造されるものであり(【0027】)、 ガラス層のガラスはSchottグループの会社であるDesagから30μm~1.1mmの範囲の厚さを有するAF45型及びD263型として商業的に入手可能であるものであり、(【0033】) 光学素子と関連した用途に用いられ、ガラス層における亀裂線がゼロでない幅を有し、有機樹脂で満たされており、(【0069】) ガラス及び亀裂線中の有機樹脂が実質的に等しい屈折率を有し、この層を介して光が透過する時にほとんど又は全く画像の歪みが生じない、(【0070】) 積層物。」 2 引用文献6~8に記載された事項及び周知技術1の認定 (1) 引用文献6に記載された事項 当審拒絶理由において引用した引用文献6(特開2014-214205号公報)には、以下の事項が記載されている。 「【請求項1】 樹脂を発泡したものであって、独立気泡である気泡を有する発泡体からなり、厚みが0.02~1.0mm、ZD方向の平均気泡径に対する、MD方向及びTD方向の平均気泡径の比で表される気泡の扁平率が0.5~1.9である衝撃吸収シート。」 「【0050】 [樹脂(B)] 本発明の樹脂(B)は、動的粘弾性測定による損失正接tanδのピーク値の温度(ピーク温度)が0℃未満であるものである。tanδのピーク温度が0℃未満となることで、低温環境下における曲げ強度や衝撃吸収性能を十分に向上させることができる。tanδのピーク温度は、好ましくは-10~-50℃であり、また、ピーク値は好ましくは0.5~3.0である。」 「【0062】 [樹脂の物性] 本発明で以上で述べた樹脂の各種物性は以下の方法で測定されるものである。 <測定用プレスシートの作製> 200°Cに設定した神藤金属工業株式会社製の油圧式熱プレス機を用い、10MPaの圧力で測定対象の樹脂シートを成形する。所定厚さのシート(スペーサー形状;240×240×2mm厚の板に80×80×3mm、4個取り)の場合、余熱を5~7分程度とし、10MPaで1~2分間加圧した後、20°Cに設定した別の神藤金属工業株式会社製の油圧式熱プレス機を用い、10MPaで圧縮し、5分程度冷却して測定用試料を作成する。熱板として、5mm厚の真鍮板を用いる。得られたサンプルを用いて、各種物性評価を行う。 <動的粘弾性試験> 上記の方法で厚さ3mmのプレスシートを作成し、さらに動的粘弾性測定に必要な45mm×10mm×3mmの短冊片を切り出す。ANTONPaar社製のMCR301を用いて、10rad/sの周波数で-70~120°Cまでの動的粘弾性の温度依存性を測定し、損失正接(tanδ)のピーク値と、ピーク値における温度(ピーク温度)を測定する。 (以下略)」 (2) 引用文献7に記載された事項 当審拒絶理由において引用した引用文献7(国際公開第2015/041052号)には、以下の事項が記載されている。 「[0001] 本発明は、タッチフィードバック機能を有するタッチパネル装置ときょう体との固定に用いられる粘着テープに関する。」 「[0027] また、本発明の粘着テープとしては、周波数1Hzにおける損失正接(tanδ)のピーク値が好ましくは0.36以上であり、0.40~1.50であることがさらに好ましい。粘着テープの損失正接のピーク値を当該範囲とすることで、良好なタッチフィードバック特性を付与しやすくなる。 [0028] 周波数1Hzにおける損失正接(tanδ)は、温度分散による動的粘弾性測定で得られた貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)から、tanδ=G”/G’の式より求められる。動的粘弾性の測定においては、粘弾性試験機(ティ・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、商品名:ARES G2)を用いて、直径8mmの円形に加工した粘着テープ1枚を同試験機の測定部である直径8mmの平行円盤の間に試験片を挟み込み、周波数1Hz、昇温速度2℃/分で-50℃から150℃までの損失正接(tanδ)を測定して極大値を求める。なお、極大値が2つ以上存在する場合は、値が大きい方を採用する。」 「[0114] 本発明の粘着テープを構成する粘着剤層は、周波数1Hzにおける損失正接(tanδ)のピーク値を示す温度が好ましくは温度が-40℃~15℃であることが好ましい。粘着剤層の損失正接のピーク値を当該範囲とすることで、常温下での被着体との良好な密着性を付与しやすくなる。特に低温環境下での耐落下衝撃性の向上に際しては、-35℃~10℃であることがより好ましく、-30℃~6℃であることがさらに好ましい。」 (3) 引用文献8に記載された事項 当審拒絶理由において引用した引用文献8(特開2015-110319号公報)には、以下の事項が記載されている。 「【請求項1】 厚さが30~500μmであり、密度が0.2~0.7g/cm3、平均セル径が10~150μmである発泡体で構成された発泡体層と、熱伝導率が200W/m・K以上の熱伝導層とを有する積層体。」 「【0001】 本発明は、厚さが薄くても衝撃吸収性及び熱拡散性(放熱性)に優れた積層体(熱拡散衝撃吸収シート)、及び該積層体が用いられている電気・電子機器に関する。」 「【0031】 前記発泡体の動的粘弾性測定における角振動数1rad/sでの貯蔵弾性率と損失弾性率の比率である損失正接(tanδ)のピークトップは-30℃以上30℃以下の範囲にあることが好ましい。前記損失正接のピークトップが存在する温度範囲の下限は、より好ましくは-25℃、さらに好ましくは-20℃、特に好ましくは-10℃であり、上限は、より好ましくは20℃、さらに好ましくは10℃である。損失正接のピークトップを2個以上持つ材料の場合は、そのうちの少なくとも1つが上記範囲に入ることが望ましい。ピーク温度が-30℃以上であることにより、優れた圧縮回復性が発揮される。また、ピーク温度が30℃以下であることにより、高い柔軟性を示し、優れた衝撃吸収性が発揮される。 【0032】 -30℃以上30℃以下の範囲における損失正接(tanδ)のピークトップ強度(最大値)は衝撃吸収性の観点から高い方が好ましく、例えば0.2以上、好ましくは0.3以上である。前記ピークトップ強度(最大値)の上限値は、例えば2.0である。」 (4) 周知技術1の認定 前記(1)から(3)に摘記した引用文献6から引用文献8の記載に例示されるように、次の事項は、本願の優先日前において、当業者にとって周知技術であったと認められる(以下「周知技術1」という。) [周知技術1] 「低温度環境下においても衝撃吸収部材の衝撃吸収性能を十分なものとするために、損失正接(Tanδ)のピーク値を示す温度を低い温度とし、かつ、そのピーク値を所定以上に高いものとすること。」 3 引用文献9に記載された事項及び周知技術2の認定 (1) 引用文献9に記載された事項 当審拒絶理由において引用した引用文献9(特開2009-300506号公報)には、以下の事項が記載されている。 「【請求項1】 透明基材に貼合する耐衝撃フィルムであって、貼合時に発生した気泡が加熱加圧処理により消泡し、さらに耐衝撃性を有するディスプレイ用耐衝撃フィルム。」 「【0001】 本発明は、ガラス、プラスチック等の透明基材に貼合が可能なディスプレイ用耐衝撃フィルムに関するものであり、特にプラズマディスプレイ(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、EL(エレクトロルミネッセンス)等のディスプレイ前面のガラス又はプラスチックに貼合ができるディスプレイ用耐衝撃フィルムに関する。 …(中略)… 【0012】 本発明は、かかる点に鑑み、LCDパネルなどのFPDと透明保護板を貼り合せた際に発生した気泡をオートクレーブなどの加熱加圧処理で抹消することができ、さらに外力による衝撃を受けてもディスプレイの割れを防止し、外力が取り除かれた後は、樹脂が復元し視認性を低下させないディスプレイ用耐衝撃フィルムを提供することを目的とする。」 「【0063】 【表1】 [図:0001405422000003.jpg] 【0064】 表1に示されるように、実施例1~4は透明性に優れ、貼合時に気泡が混入しても加熱加圧処理で気泡が消泡し、さらに優れた耐衝撃性を有していることが明らかである。」 (2) 周知技術2の認定 前記(1)に摘記した引用文献9の記載に例示されるように、次の事項は、本願の優先日前において、当業者にとって周知技術であったと認められる(以下「周知技術2」という。) [周知技術2] 「耐衝撃性を有する透明フィルムをディスプレイ前面に設けること。」 4 引用文献11に記載された事項及び技術常識1及び技術常識2の認定 (1) 引用文献11に記載された事項 本審決において新たに引用する引用文献11(西山、“固体ポリマーの動的粘弾性評価”、ネットワークポリマー、合成樹脂工業協会、2011年、vol.32 No.6、p.362-366)には、以下の事項が記載されている。 「2.動的粘弾性測定の概要 DMAは,試料に時間によって変化(振動)する応力または歪みを与えて,それによって発生する歪みまたは応力を測定することにより,試料の力学的な性質を測定する方法である。また,試料の温度を走査すれば,振動応力(または歪)に対する試料の力学的な性質を温度の関数として測定する技法となる。振動周期(周波数)を与えることから,周波数を変えることで試料の周波数特性も評価できる。 試料は,入力した正弦波応力に対し,粘性成分に依存した位相の遅れをもって同様な正弦波状の歪応答を与える(Fig.1)。ここで検出するのは応力と歪の振幅比(σ*/ε*)と位相差(δ)である。この両者を式に示すように複素式で表し,得られた実数項E’(イー・プライム)は貯蔵弾性率と呼ばれ,弾性成分に対応し,虚数項E”(イー・ダブルプライム)は損失弾性率と呼ばれ,粘性成分に対応する。両者の比tanδは損失正接と呼ばれ,振動吸収性を反映する。 Fig. 2 に,DMAの装置構成例(引張りモード)を示す。試料は,測定ヘッドにクランプされ,ヒーターにより加熱されるとともに,荷重発生部からプローブを介して試料に応力が与えられる。この応力は,測定条件の一つとして設定された周波数による正弦波応力として,試料の歪振幅が一定となるように与えられるこの正弦波応力により生じた試料の変形量(歪)は,変位検出部により検出され,試料に与えた応力と検出した歪から,各種の粘弾性量が算出され,温度または時間の関数として出力される。 DMAは,異なる変形モードを用いることにより,広範囲にわたる材料に適用することができる。試験片の形状や弾性率,目的によって,引張り,圧縮,曲げ,ずり(せん断)など,Fig.4に示す変形モードが選択される。」 「 [図:0001405422000004.jpg] 」 「3.測定例 3.1 ポリメタクリル酸メチル(PMMA) Fig. 5に,PMMA の温度分散測定結果を示す。これは,0.5Hzから10Hzまでの5種類の測定周波数におけるE’,E”およびtanδの測定結果で,100℃付近から170℃付近にわたって,ガラス転移(主分散)に伴うE’の低下とともにE”曲線およびtanδ曲線にピークが観測されている。 ガラス転移のような緩和現象における周波数依存性は,E’では高周波数ほど高弾性率側に検出され,E”ピークおよびtanδピークでは高周波数ほど高温側に検出される。 この結果から,PMMAでは,1Hzにおいて,室温におけるE’が4GPa程度であること,ガラス転移温度がE”のピークトップ温度により約117℃であることが読み取れる。」 「 [図:0001405422000005.jpg] 」 (2) 技術常識1の認定 前記(1)に摘記した引用文献11の記載に例示されるように、次の事項は、本願の優先日前において、当業者にとって技術常識であったと認められる(以下「技術常識1」という。) [技術常識1] 「試料の動的粘弾性測定において、測定条件として設定される周波数を例えば1Hzとすること。」 (3) 技術常識2の認定 前記(1)に摘記した引用文献11の記載に例示されるように、次の事項は、本願の優先日前において、当業者にとって技術常識であったと認められる(以下「技術常識2」という。) [技術常識2] 「tanδのピークを示す温度は、E”のピークを示す温度で定義されるガラス転移温度よりも高いこと。」 第5 対比 1 対比分析 本願発明と引用発明を対比する。 (1)ア 本願発明は「ディスプレイの表面を保護するディスプレイフィルム」であるところ、本願の明細書の段落【0004】には、「セグメント化保護ディスプレイフィルムは、ディスプレイに耐擦傷性及び耐衝撃性をもたらす一方で、ディスプレイフィルムの光学特性を維持する。」と記載されていることから、本願発明の「ディスプレイの表面を保護するディスプレイフィルム」は、所定の光学特性が要求されるフィルムである点で光学フィルムであるといえる。 イ(ア) 引用発明の「積層物」は「柔軟性積層物」であって、「第1層10及び第2層20を含み、第1層10はガラス層であり」、「ガラス層のガラスはSchottグループの会社であるDesagから30μm~1.1mmの範囲の厚さを有するAF45型及びD263型として商業的に入手可能であるものであ」るから、十分に薄い積層物からなり、フィルムであることは自明である。 (イ) また、引用発明の「積層物」は、「光学素子と関連した用途に用いられる積層物」である。 (ウ) したがって、引用発明の「積層物」も光学フィルムであるといえる。 ウ そうすると、本願発明と引用発明は、「光学フィルム」の発明である点で共通する。 (2)ア 引用発明は、「光学素子と関連した用途に用いられ[る]」ものであり、かつ、「ガラス及び亀裂線中の有機樹脂が実質的に等しい屈折率を有し、この層を介して光が透過する時にほとんど又は全く画像の歪みが生じない」と特定されていることから、光を透過させることを想定しているものである。 したがって、引用発明の「積層物」を構成する「ガラス層」は、透明であることは明らかであって、本願発明の「透明ガラス層」に相当する。 イ(ア) 引用発明において、「第1層10はガラス層であ[る]」とあるように、「ガラス層」は「積層物」を構成する一つの層として形成されており、引用発明の「積層物」は「その製造においては、第2層20をガラス層10の上に積層して製造されるものであ[る]」から、引用発明の「ガラス層」は同一平面上に形成されていることは明らかである。 (イ) また、引用発明において、ガラス層における「亀裂線」は、ガラス層表面内の長くて狭い開口を示し、開口は制御されたやり方で、すなわち亀裂線の性質、例えばその数、その幅、その深さなどが亀裂線が作られる前にわかるように作られるものであり、偶発的な破損は亀裂線ではないから、「表面上の1組の亀裂線により形成され」、「これらの亀裂線及びおそらく表面の端により完全に閉じられて」いる、引用発明の「ガラス層」の「パターン要素」は、本願発明の「セグメント」に相当する。 (ウ) さらに、引用発明の「パターン要素」は複数あることは自明であるから、引用発明の「ガラス層」の「パターン要素」は、本願発明の「同一平面上の2つ以上のガラス層セグメント」に相当する。 ウ 引用発明の「積層物」に含まれる「ガラス層」が、第1の主面と前記第1の主面の反対側にある第2の主面とによって画定される厚さを有していることは自明である。 エ したがって、前記アからウを踏まえると、本願発明と引用発明は、「同一平面上の2つ以上のガラス層セグメントを含み、かつ第1の主面と前記第1の主面の反対側にある第2の主面とによって画定される厚さを有する、透明ガラス層」を備える点で共通する。 (3)ア(ア) 本願発明の「隙間ポリマー材料」と「エネルギー散逸層」の意味を理解するために、本願の明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌すると、明細書の段落【0027】、【0028】、【0034】、【図1】、【図3】には、次の事項が記載されている。 「【0027】 図1は、例示的なディスプレイフィルム10の概略側面図である。用語「ディスプレイフィルム」、「カバーフィルム」、「保護フィルム」、「保護カバーフィルム」又は「保護ディスプレイフィルム」は、本明細書において互換的に用いられる。ディスプレイフィルム10は、同一平面上の2つ以上のガラス層セグメント115、及び第1の主面114と第1の主面114の反対側にある第2の主面116とによって画定される厚さYを含む、透明ガラス層118を含む。ガラス層118又はガラス層セグメント115の厚さは、500マイクロメートル未満、又は300マイクロメートル未満、又は250マイクロメートル未満、又は200マイクロメートル未満、又は150マイクロメートル未満、又は100マイクロメートル未満とすることができる。厚さは、20マイクロメートル~250マイクロメートル、又は25マイクロメートル~150マイクロメートル、又は50マイクロメートル~100マイクロメートルの範囲内であってもよい。隙間ポリマー材料111は、隣接するセグメント115を分離する。ポリマー層110は、第1の主面114上に配置して、隙間ポリマー材料111を形成してもよい。ポリマー層110は、200マイクロメートル未満、又は100マイクロメートル未満、又は50マイクロメートル未満、又は20マイクロメートル未満の厚さを有してもよく、あるいはポリマー層110の厚さは、1マイクロメートル~200マイクロメートル、又は5マイクロメートル~100マイクロメートル、又は5マイクロメートル~50マイクロメートル、又は5~20マイクロメートルの範囲内であってもよい。 【0028】 ポリマー層110は、透明ガラス層118又はガラス層セグメント115と屈折率が一致していてもよい。ポリマー層110は、本明細書に記載される任意のポリマー材料で形成されてもよい。ポリマー層110は、透過性かつ光学的に透明であり、透明ガラス層118又はガラス層セグメント115に光学的に結合される。ポリマー層110及び隙間ポリマー材料111は、保護層、エネルギー散逸層、又は弾性層を形成してもよい。場合によっては、ポリマー層110及び隙間ポリマー材料111は、以下で説明するエネルギー散逸層材料で形成されてもよい。場合によっては、ポリマー層110及び隙間ポリマー材料111は、以下で説明する保護層材料で形成されてもよい。他の場合には、ポリマー層110及び隙間ポリマー材料111は、光学的に透明な接着剤材料で形成されてもよい。」 「【図1】 [図:0001405422000006.jpg] 」 「【0034】 図3は、ポリマー層110が透明ガラス層118及びガラスセグメント115の第2の主面116上に配置され、透明なエネルギー散逸層120が透明ガラス層118及びガラスセグメント115の第1の主面114上に配置された、別の例示的なディスプレイフィルム100の概略側面図である。隙間ポリマー材料111は、ポリマー層110を形成する同じ又は同様の材料で形成されてもよい。隙間ポリマー材料111は、ポリマー層110を形成する材料とは異なる材料で形成されてもよい。ポリマー層110は、保護層(以下で説明する)であってもよい。ポリマー層110は、5~200マイクロメートル、又は5~100マイクロメートル、又は10~75マイクロメートルの範囲内の厚さXを有することができる。接着剤層140は、透明なエネルギー散逸層120上に配置されてもよい。透明なエネルギー散逸層120は、透明ガラス層118を接着剤層140から分離してもよい。」 「【図3】 [図:0001405422000007.jpg] 」 (イ)a 前記(ア)に摘記した実施形態において、段落【0028】には、「ポリマー層110及び隙間ポリマー材料111は、保護層、エネルギー散逸層、又は弾性層を形成してもよい」、「ポリマー層110及び隙間ポリマー材料111は、以下で説明するエネルギー散逸層材料で形成されてもよい」と記載されており、【0034】には、【図3】の120で示される部材が「エネルギー散逸層」であるとしている。 b(a) 前記aを踏まえると、本願発明の「エネルギー散逸層」とは、「エネルギー散逸層材料」から形成され、「透明ガラス層118」の主表面を覆うものであればよく(「エネルギー散逸層」と接する「透明ガラス層118」主表面を「第1の主面114」と称している。)、「ポリマー層110」が形成されたのと反対側に「エネルギー散逸層120」が形成されている場合だけでなく、「ポリマー層110」が「エネルギー散逸層120」を構成しているものも含むと解するのが相当である。 (b) また、本願発明の「隙間ポリマー材料」とは、隣接するセグメント115の間にある「ポリマー材料」のことであると解するのが相当であり、当該「隙間ポリマー材料」は「ポリマー層110」と同一の材料であるものが含まれると解するのが相当である。 イ 前記(2)イを踏まえると、引用発明の「亀裂線」中の有機樹脂は、「ガラス層」の「パターン要素」を分離する構成となっていると認められるところ、「ガラス層における亀裂線」は「ゼロでない幅を有し、有機樹脂で満たされている」ことから、前記ア(イ)b(b)において示した本願発明の「隙間ポリマー材料」に係る解釈を踏まえると、引用発明の「亀裂線」中の有機樹脂は、本願発明の「隣接するセグメントを分離する隙間ポリマー材料」に相当するといえる。 ウ 引用発明の「有機樹脂層20(第2層20)」及び「有機樹脂、例えばポリマーを含[む]」「第3層30」は、前記(2)アを踏まえると透明であることは明らかであるところ、前記ア(イ)b(a)において示した本願発明の「エネルギー散逸層」に係る解釈を踏まえると、本願発明の「透明なエネルギー散逸層」と引用発明の「有機樹脂層20」及び「第3層30」は、「前記第1の主面上に配置された」「透明な樹脂層」である点で共通する。 エ したがって、アからウの検討結果を踏まえると、本願発明と引用発明は、「隣接するセグメントを分離する隙間ポリマー材料と、前記第1の主面上に配置された透明な樹脂層」を備える点で共通する。 2 一致点及び相違点の認定 前記1の対比分析の検討結果を総合すると、本願発明と引用発明は、次の(1)の一致点において一致し、後記(2)の相違点において相違する。 (1) 一致点 「 同一平面上の2つ以上のガラス層セグメントを含み、かつ第1の主面と前記第1の主面の反対側にある第2の主面とによって画定される厚さを有する、透明ガラス層と、 隣接するセグメントを分離する隙間ポリマー材料と、 前記第1の主面上に配置された透明な樹脂層と、 を備える、光学フィルム」である点 (2) 相違点 ア 相違点1 本願発明においては、 光学フィルムが「ディスプレイの表面を保護するディスプレイフィルム」であり、 第1の主面上に配置された透明な樹脂層が、「27℃以下のガラス転移温度及び1Hzの振動で測定したときに0.5以上のTanδピーク値を有する、透明なエネルギー散逸層」であるのに対して、 引用発明においては、 光学フィルムは、「光学素子と関連した用途に用いられる積層物」であるものの、「ディスプレイの表面を保護するディスプレイフィルム」ではなく、 「有機樹脂層20(第2層20)」及び「有機樹脂、例えばポリマーを含[む]」「第3層30」についてのガラス転移温度及び1Hzの振動で測定したときのTanδピーク値は不明である点。 イ 相違点2 本願発明においては、 「透明ガラス層」の厚さが「25マイクロメートル以上500マイクロメートル未満の範囲内」であるのに対し、 引用発明においては、 「ガラス層10」として、「Schottグループの会社であるDesagから30μm~1.1mmの範囲の厚さを有するAF45型及びD263型として商業的に入手可能であるもの」を用いるところ、そのガラス層の厚さの上限値において本願発明の範囲を超えるものとなっている点。 第6 判断 1 相違点1について (1) ディスプレイの表面を保護するディスプレイフィルムである点 ア 「耐衝撃性を有する透明フィルムをディスプレイ前面に設けること」は、本願の優先日前において周知技術である(「周知技術2」参照)。 イ 引用発明における「光学素子と関連した用途に用いられる積層物」は、前記第5の1(1)及び(2)において検討したとおり、光を透過させることを想定した透明な光学フィルムであるといえるから、ディスプレイの前面のフィルムとして用い得ることは、当業者には自明である。 ウ したがって、「光学素子と関連した用途に用いられる積層物」である引用発明において、「有機樹脂層20(第2層20)」と「有機樹脂、例えばポリマーを含[む]」「第3層30」のいずれかに耐衝撃性を備えるようにして、耐衝撃性を備えた「ディスプレイの表面を保護するディスプレイフィルム」とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (2) ガラス転移温度及び損失正接(Tanδ)のピーク値を示す温度について ア 耐衝撃性を備えた「ディスプレイの表面を保護するディスプレイフィルム」を設計するにあたり、その使用が想定される温度範囲のうちの低温領域においても耐衝撃性を有するようにすることは、当業者にとって自明な設計指針にすぎない。 イ そして、「低温度環境下においても衝撃吸収部材の衝撃吸収性能を十分なものとするために、損失正接(Tanδ)のピーク値を示す温度を低い温度とし、かつ、そのピーク値を所定以上に高いものとすること」は、本願の優先日前において周知技術である(「周知技術1」参照)。 ウ してみれば、引用発明の「積層物」を耐衝撃性を備えた「ディスプレイの表面を保護するディスプレイフィルム」として用いるための設計をするに当たって、前記周知技術1を採用し、引用発明の積層物を構成する「有機樹脂層20(第2層20)」と「有機樹脂、例えばポリマーを含[む]」「第3層30」のいずれかについて、損失正接(Tanδ)のピーク値を示す温度を十分に低い温度とし、かつ、そのピーク値を十分に高い値とすることは、当業者が適宜設定し得ることにすぎない。 エ(ア) なお、「試料の動的粘弾性測定において、測定条件として設定される周波数を例えば1Hzとすること。」は本願の優先日前において技術常識であって(「技術常識1」参照)、格別のものではない。 (イ) また、「tanδのピークを示す温度は、E”のピークを示す温度で定義されるガラス転移温度よりも高いこと」は本願の優先日前において技術常識であるから(「技術常識2」参照)、損失正接(Tanδ)のピーク値を示す温度を低く設計することでガラス転移温度も低く設計されることとなる。 (ウ) したがって、引用発明の積層物を構成する「有機樹脂層20(第2層20)」と「有機樹脂、例えばポリマーを含[む]」「第3層30」のいずれかについて、そのガラス温度の上限値を27℃とし、かつ、1Hzの振動で測定したときの損失正接(Tanδ)のピーク値を0.5以上とすることは、当業者の通常の創作能力の発揮にすぎない。 (3) 相違点1の判断の小括 前記(1)及び(2)において検討したとおりであるから、引用発明において周知技術1、2及び技術常識1、2を考慮して、引用発明において相違点1に係る構成を備えるようにすることは、当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。 2 相違点2について 引用発明において、「ガラス層10」として、「Schottグループの会社であるDesagから30μm~1.1mmの範囲の厚さを有するAF45型及びD263型として商業的に入手可能であるもの」が用いられるとしている。 ここで、引用文献5の段落【0071】に、「本発明に従うそして好ましくは上記の光学的性質を有する積層物は柔軟性であることができ及び/又は複雑な形を有していることができる。例えば:柔軟性積層物を薄いガラス及びポリマー層を用いることにより得ることができ・・・」と記載されているように、引用発明においては、薄いガラス層を用いることをその前提としており、前記ガラス層10の「30μm~1.1mm」の範囲内でより薄いガラス層を得る観点から、その厚さを500マイクロメートル未満とすることにより、相違点2に係る構成を備えるようにすることは、当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。 3 総合評価 前記1、2において検討したとおり、相違点1及び相違点2は、当業者が適宜なすべき設計事項にすぎず、引用発明において前記相違点1及び相違点2に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、前記相違点1及び相違点2を総合的に勘案しても、本願発明の奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本願発明は、引用発明、周知技術1、2、技術常識1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 請求人の主張について (1) 請求人の主張内容 請求人は、意見書において、次の主張をしている。 引用文献5の有機樹脂層は、その加工工程(段落【0066】)、その作用効果(段落【0025】)から、本願発明におけるエネルギー散逸層というよりむしろポリマー層に相当するものである。 引用文献5に係る発明の積層物における曲げはガラス層の表面に予め設けておいた亀裂線のパターンにより発揮されるものであり、積層物をセキュリティーカードなどに適用したときに使用者が誤って曲げてしまうといった際にも耐えられる程度の柔軟性を意味するものであって、本願発明のような折り畳みタイプのディスプレイに適用するような何千回にもわたる折り曲げ動作にも破損することなく耐えられるという耐久性に関するものではない。 引用文献5では、あくまでガラス層を含む積層物に柔軟性を付与して制御されない破壊を避けることを課題としており、低温度環境下での使用や、繰り返し折り畳む使用形態に至るまでの課題を見出しておらず、引用文献6~8に記載のような技術を適用することは、本願に接した後の事後的分析によらなければ当業者といえども容易であったとはいえないものであり、具体的にその数値を定めることは設計事項であったとはいえない。 (2) 請求人の主張についての検討 本願発明について、本願の請求項6に「前記ガラス層セグメントが、前記ガラス層セグメントを破損することなく前記ガラス層の曲げ又は折り畳みをもたらすように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。」と記載されているのに対して、本願の請求項1においては、繰り返し折り畳む使用形態はおろか、曲げられることすらその構成において特定されておらず、「本願発明のような折り畳みタイプのディスプレイに適用するような何千回にもわたる折り曲げ動作にも破損することなく耐えられるという耐久性に関するもの」とする請求人の主張は、請求項1の記載に基づかないものであって失当である。 そして、前記1において説示したとおり、「耐衝撃性を有する透明フィルムをディスプレイ前面に設けること」は、本願の優先日前において周知技術である(「周知技術2」参照)から、「光学素子と関連した用途に用いられる積層物」である引用発明において、「有機樹脂層20(第2層20)」と「有機樹脂、例えばポリマーを含[む]」「第3層30」のいずれかに耐衝撃性を備えるようにして、耐衝撃性を備えた「ディスプレイの表面を保護するディスプレイフィルム」とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。その際、使用が想定される温度範囲のうちの低温領域において耐衝撃性が求められるようにすることは、自明の設計指針にすぎない。 したがって、低温度環境下での使用が引用文献5に開示されていないことを根拠として本願発明に進歩性がある旨の請求人の主張は、採用できない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明、周知技術1、2及び技術常識1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-015546

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