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特許拒絶査定不服審判

2022-013540

基準局装置

審判番号
2022-013540
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-076988外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年08月29日
審決日
2023年07月19日
公報発行日
2023年10月27日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (G01S)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021- 76988「基準局装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 8月12日出願公開、特開2021-119353〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 14項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、平成30年2月8日に出願した特願2018-20903号の一部を令和3年4月30日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。

令和4年 2月 7日付け:拒絶理由通知書

同年 4月 6日 :意見書、手続補正書の提出

同年 5月23日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)

(同月31日 :原査定の謄本の送達)

同年 8月29日 :審判請求書の提出

令和5年 6月21日 :面接記録

第2 本願発明

本願の請求項1~3に係る発明は、令和4年4月6日に提出された手続補正書により補正された請求項1~3に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1の記載は次のとおりである。

以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。

「 【請求項1】
移動局との間で無線通信を行う通信用アンテナと、
測位衛星から測位信号を受信する測位用アンテナと、を備えた基準局装置であって、
前記測位用アンテナが取り付けられる基準局本体を備え、
前記基準局本体は、開閉自在な開閉扉を有し、
前記基準局本体には、前記開閉扉が開状態にあるときに交換可能となる電源用のバッテリが取り付けられ、
前記バッテリは、前記測位用アンテナの上端よりも低い位置に配置される、
基準局装置。」

第3 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての理由(進歩性)の概要は、次のとおりである。

理由(進歩性の欠如)

本願発明は、本願の出願前に発行された下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2、3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

記

引用文献1:中国実用新案第2777572号明細書

引用文献2.特開2006-299532号公報(周知技術を示す文献)

引用文献3.特開平05-217570号公報(周知技術を示す文献)

第4 各引用文献に記載された事項及び引用発明等の認定

1 引用文献1に記載された事項と引用発明の認定

(1) 引用文献1の記載事項

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原査定において引用された引用文献1(中国実用新案第2777572号明細書)には、以下の記載がある。下線は合議体が付し、日本語訳は合議体において作成した。以下同様である。

ア 4頁5行~5頁2行

「
[図:0001402403000001.jpg]
[図:0001402403000002.jpg]
」

(【背景技術】

様々な位置決めシステムが、物体の位置を正確に決定するために使用される。ここで、全地球測位システム(Global Positioning System、GPS)は米国国防省によって完成された衛星測位システムであり、それは24個の衛星で構成されるネットワークで構成される。GPSは、当初は軍事用途のために設計されていたが、米国政府は現在、このシステムを一般大衆に開放している。GPSは世界中のどこでも使用することができ、使用料を支払う必要がない。同様の衛星測位システムには、ロシアのGlobal Navigation Satellite System(GLONASS)および欧州連合のGalileoプログラムがある。

衛星測位システム、特にGPSは既に精密農業、測定、建築工事及び車両ナビゲーション等に広く用いられている。ここで差動GPS基準局(differential GPS reference station)はGPS較正信号を他のGPS受信端末にブロードキャストすることにより測位精度をさらに向上させることができる。RTK(Real Time Kinematic)基準局はすなわち近年業界で一般的に使用される差動GPS基準局である。関連技術については、米国特許出願公開第6803879号などをさらに参照されたい。

ある野外測定作業を行うRTK型衛星測位装置に対して、それ自体は測定端末と基準局の機能を一体に集積することができる。即ち、衛星測位装置を既知の座標の地点に置き且つ放送機能をオンにし、該装置はRTK基準局として使用することができる;衛星測位装置を被測定点に置き且つ放送を受信する機能をオンにし、該装置はRTK受信側として使用することができる。)

イ 5頁10行~18行

「
[図:0001402403000003.jpg]
」

(【実用新案の内容】

本実用新案の目的は衛星測位装置を提供することであり、それは一体化構造を備え、使用及び携帯がより容易である。

上記目的を実現するために、本実用新案は以下の技術的解決手段を採用する:衛星測位装置であって、それはホスト、それぞれホストに電気的に接続される第一アンテナ及び第二アンテナ、それぞれホストに装着される支持フレーム及びハンドルを含み、前記第二アンテナはハンドルに装着されている。

上記技術的解決手段はさらに以下を補充することができる:前記ハンドルシステムは取り外し可能に本体に装着されている。

従来技術に比べて、本実用新案は以下の有益な効果を有する:該衛星測位装置の第二アンテナはハンドルに組み立てられ、全体が一体化構造であり、よりコンパクトで、使用及び携帯しやすい。)

ウ 6頁1行~20行

「
[図:0001402403000004.jpg]
」

(【具体的実施形態】

図1を参照すると、本発明の好ましい実施形態は、衛星測位装置1である。該衛星測位装置1はホスト20、第一アンテナ30、ハンドル40、第二アンテナ50及びブラケット60を含む。本実施形態では、第一アンテナ30は二周波衛星受信アンテナであり、ホルダ60は三脚である。

図2及び図3に示すとおり、ホスト20に制御パネル21、上下に対向する第一及び第二組み立て部22、23が設けられる。制御パネル21はホスト20の前端に置かれ、それは表示画面211、キー212及び複数の指示ランプ213を含む。第一組付部22には、連結部221が設けられている。他の一対の係止部(図示せず)はホスト20の後端から延伸して形成される。

ハンドル40は略"U"字形であり、両端にそれぞれホスト20の係止部に対応する第一及び第二ドッキング部41、42が設けられる。各当接部41、42にそれぞれ略"T"字形の係止溝410、420が設けられる。ここで、第一ドッキング部41はさらにその間を前後に貫通するねじ貫通孔412を含む。ハンドル40はさらに手持ち部43、第二ドッキング部42に近接するねじ付きの第三組み立て部44及びねじ45を含む。

第二アンテナ50は、UHF利得アンテナであり、ベース51と、ベースに接続されたケーブル52とを備える。基部51の底部にはねじが設けられている。アンテナ50内にさらに増幅回路が設けられて信号の放送機能を実現する。

組み立て時、ホスト20の係止部はそれぞれハンドル40の第一及び第二ドッキング部41、42と係合して第一及び第二係止溝410、420に収容され、ねじ45はねじ貫通孔412に組み立てられて第一ドッキング部41及び係止部をロックしてハンドル40をホスト20に固定し、ブラケット60と第二組み立て部23はねじで取り付けて固定され、第一アンテナ30と第一組み立て部22はねじで取り付けて固定され、且つ接続部221によってホスト20に電気的に接続され、第二アンテナ50の基部51と第三組み立て部44はねじで取り付けて固定され、且つケーブル52によってホスト20に接続される。)

エ 図1~図3

「図1
[図:0001402403000005.jpg]
」
「図2
[図:0001402403000006.jpg]
」
「図3
[図:0001402403000007.jpg]
」

(2) 引用文献1の記載から認定した事項

ア 前記(1)アの「野外測定作業を行うRTK型衛星測位装置に対して、それ自体は測定端末と基準局の機能を一体に集積することができる。」という記載は背景技術に関するものであるが、前記(1)イ~ウに記載されている衛星測位装置もそのような機能及び使用形態を前提とするものであることは明らかといえる。

イ 引用文献1の前記(1)ウの摘記箇所、図1の記載からみて、引用文献1の第一アンテナ30は、ホスト20よりも上部に位置していることが読み取れる。

(3) 引用発明の認定

前記(1)において摘記した事項及び前記(2)において認定した事項から、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

[引用発明]

「衛星測位装置1であって、
該衛星測位装置1は、ホスト20、第一アンテナ30、ハンドル40、第二アンテナ50及びブラケット60を含み、
ホスト20に制御パネル21、上下に対向する第一及び第二組み立て部22、23が設けられ、
第一アンテナ30と第一組み立て部22はねじで取り付けて固定され、
続きを表示(全11行)
第一アンテナ30は二周波衛星受信アンテナであり、
第二アンテナ50は、UHF利得アンテナであって、信号の放送機能が実現されており、(前記(1)ウ摘記事項)
第一アンテナ及び第二アンテナはホストに電気的に接続されており、(前記(1)イ摘記事項)
第一アンテナ30は、ホスト20よりも上部に位置しており、(前記(2)イ認定事項)
野外測定作業を行い、それ自体は測定端末と基準局の機能を一体に集積することができ、(前記(1)ア摘記事項、前記(2)ア認定事項)
一体化構造を備え、使用及び携帯がより容易である(前記(1)イ摘記事項)
衛星測位装置1。」

2 引用文献2、引用文献3の記載事項及び周知技術1の認定について

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(1) 引用文献2の記載事項

原査定において引用された引用文献2(特開2006-299532号公報)には、以下の記載がある。

「【0017】
本発明に係る非常用ボックスは、図1乃至図3に示すように、内部に非常用品である高輝度懐中電灯や手動発電式のラジオ付きの災害用懐中電灯などが収納できる本体1と、前記本体1の前面に開閉自在取り付けられた前面扉2と、前記前面扉2を施錠するロック機構3と、前記ロック機構を解除する解除ボタン4と、を有している。この本体1には後述するように地震時において電池で自動的に作動する非常回路10を配設することもできる。
【0018】
この非常用ボックスに使用される本体1は、金属より前面開口された堅牢な箱体に形成されたもので、上部に棚が形成され電池ボックス1aが設けられている。この電池ボックス1aには開閉式の扉が設けられており、電池を交換できるようになっている。さらに、電池ボックス1aの中には後述する非常回路10が格納されている。そして、この非常回路10に組み込まれている警報器14の解除ボタン15が電池ボックス1aの扉に突設されている。そして、この本体1の背面には壁掛け用のフック1cが設けられている。」
「【0022】
非常回路10は、図5に示すように、給電用の電池11と、地震の振動を検知するセンサ12と、前記センサ12の出力で作動するスイッチング回路13と、照明用発光素子である4個のLED14,14,14,14と、解除ボタン4の周囲を発光させるフラッシュ用LED15と、このLED15をフラッシュ発光させるためのフラッシュ回路16と、警報を発する警報機17と、この警報機17を解除するリセットスイッチ18と、が備えられたものである。
【0023】
電池11は通常、長寿命タイプの乾電池を使用するが、定期的(1回/年)に交換するようにしている。そのため、前面扉2には次回の乾電池の交換日を表示したシールを貼り付けておき、誰でもわかるようにしてある。また、振動を検知するセンサ12は、圧電素子などを使用した公知の加速度センサであり、設定した強さの振動があった場合には、このセンサ12から信号がスイッチング回路13に出力されるものである。スイッチング回路13はスイッチング用トランジスタを使用した公知の回路であり、センサ12から信号が入力した場合にスイッチング用トランジスタがオン状態となり、メイン回路19が導通するように構成したものである。
【0024】
このように構成された非常回路10は、地震などが発生した場合には、センサ12で検知されてから信号がスイッチング回路13に出力される。するとスイッチング回路13のトランジスタがオンとなりメイン回路19に電流が流れるので、LED14が点灯すると共に解除ボタン4のLED15がフラッシュ発光し、警報機17が鳴るものである。従って、例えば、夜間に強い地震が発生して停電になった場合にも、非常回路10の動作でLED14が点灯してLED15がフラッシュ発光し、警報機17が鳴るので、非常用ボックスの位置が直ぐわかるものである。」
「【0030】
尚、本発明の非常用ボックスは、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において様々な態様が可能なことは勿論である。
例えば、電池は乾電池に限らず充電可能なバッテリを使用してもよいし、燃料電池を配備してもよい。このスイッチング回路はリレーなどを使用してよいことは勿論である。更に、外部の警備会社などへ通信連絡できる電子回路を内蔵すれば、110番の電話連絡をしなくても良い。」
「【図2】
[図:0001402403000008.jpg]
」
「【図3】
[図:0001402403000009.jpg]
」
「【図5】
[図:0001402403000010.jpg]
」

(2) 引用文献3の記載事項

原査定において引用された引用文献3(特開平05-217570号公報)には、以下の記載がある。

「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子機器、特に電子計算機等の電子回路を具備する測量機等、野外で用いられ、電源を電池とする電子機器の電源装置に関するものである。」
「【0008】
【実施例】以下、図面を参照しつつ本発明の一実施例を説明する。
【0009】図1に於いて、1は測定機本体であり、該測定機本体1は基盤2を介して3脚3に設けられている。
【0010】電源装置4は前記測定機本体1の下部に設けられている。該電源装置4は、電池収納庫5と電池6から構成され、該電池収納庫5は電池6が貫通する電池収納空間を有し、該電池6は前記電池収納庫5にスライドさせて装入する様になっている。又、前記電池収納庫5はその両端の電池出入口を回転自在に設けた蓋8によって閉塞される様になっている。
続きを表示(全15行)
【0011】前記電池6の1端面には着脱を容易にする為の取手7が設けられ、前記電池6の両側面にはそれぞれ接点9、接点10が設けられている。該接点9、接点10は1方が+極であり、他方が-極であり、1側面と他側面とでは+極と-極とが上下逆となっている。この1側面と他側面とで+極と-極とを上下逆にすることで電池6の上下を逆に装填しても極性の不整合が生ずることがない。又、電池6の後端側(反取手7側)の上下両面には、係止溝11が刻設されている。
【0012】前記電池収納庫5の両内側面には、それぞれ前記接点9、接点10と対応する様に上下2列に接点が設けられている。各列には図3に示される様に2個宛ての接点12、接点13が設けられている。
【0013】これら接点12,13は前記電池収納庫5の両側面に形成された接点収納部14に設けられ、該接点12,13は板バネを成形したもので前後に円弧状に形成した接触部を有し、該接触部が前記電池収納庫5の内壁面より突出する様になっている。又、前記接点12,13の突出方向及び引込み方向の変位を規制する為のストッパ15,16を設けてある。
【0014】前記電池収納庫5の下面、前端側には係止片17を回転可能に設け、更に図1中、時計方向付勢する。尚、該係止片17を板バネ材で形成すれば、スプリング等の付勢手段は省略することができる。
【0015】而して、該係止片17は前記係止溝11と係合可能であり、前記電池6を引出した時に電池6の過半部が突出した状態で、一旦前記係止片17が前記係止溝11に係合する。前記係止片17は前記電池6の引出しを拘束し、予期しない電池6の落下を防止する。
【0016】前記接点12,13は並列に測定機本体1の電子回路に接続され、前記電池6の接点9が、前記接点12,12のいずれか1つに接触することで、又前記電池6の接点10が、前記接点13,13のいずれか1つに接触することで、電池6は前記測定機本体1の電子回路に給電できる様になっている。
【0017】以下、作動を説明する。
【0018】測量機を使用することで電池が消耗し、交換時期が測定機本体1の表示部に表示される等して、電池を交換する場合は、前記蓋8を開け、新しい電池6bを後方より押込む。新しい電池の押込みにより、装填電池6aは押出されていく(図1参照)。
【0019】前記した様に、装填電池6aの過半部が突出した状態で、一旦前記係止片17が前記係止溝11に係合し、装填電池6aの移動を拘束し、予期しない装填電池6aの落下を防止する。前記係止片17を反時計方向に回転させ、係止片17と前記係止溝11との係合を解除し、更に装填電池6aを完全に取出す。新しい電池6bを完全に装填し、前記蓋8を閉じて、電池の交換作業を完了する。
【0020】又、前記係止片17が前記係止溝11に係合した状態では、接点12,12及び接点13,13の1方が装填電池6aの接点9、接点10に接触し、更に接点12,12及び接点13,13の他方が新しい電池6bの接点9、接点10に接触するので、電池交換の過程で前記測定機本体1への給電が切れることがなく、入力した種々の情報は消えることがない。
【0021】更に、取出した電池6は充電器によって充電すれば、長時間に亘る測量を連続して行うことができる。」
「【図1】
[図:0001402403000011.jpg]
」

(3) 周知技術1の認定

前記(1)に摘記した引用文献2の記載及び前記(2)に摘記した引用文献3の記載に例示されるように、次の事項は、本願の出願前において、当業者にとって周知技術であったと認められる(以下「周知技術1」という。)。

[周知技術1]

「電池(バッテリ)を備えた機器において、当該機器を作動するための電池(バッテリ)を開閉式の扉(蓋)を備えた空間に保持して交換可能とすること。」

3 引用文献4の記載事項及び技術常識1の認定について

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(1) 引用文献4の記載事項

当審において新たに引用する引用文献4(特開2001-188082号公報)には、以下の記載がある。

「【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来技術のDGPSシステムに必要とされる各種の構成要素を収容するのに多くのユニットを使用したり、ユニットを接続するケーブルやコネクターを必要とすることで、信頼性と耐久性に関する問題を起こす。このことは、可動で、使用や移動でゆさぶらせたり、振られたりするDGPSシステムにとって特に当てはまる。更に、それらシステムは、製作や組立に費用がかかる。更に接続部は、しばしば大きくなり、高価になり、壊れたり故障を起こしやすい。更に、色々なボックスやケーブルを周りに移動させることが困難である。一般に、GPSユニットの受信器は、長距離又は不動の構造物によって隔てられており、従って、無線中継ユニットが、一方のGPSユニットからもう一つのGPSユニットへの信号を得るために使用されている。GPS信号の中継のための従来技術の中継システムは、一般に、或る一つの周波数で作動して第2の周波数で作動する別のトランシーバにケーブルを介して接続されたトランシーバのような多くの独立した構成要素を有している。これら中継システムは、一般に、プロセッサにケーブル接続されているアンテナを介して信号を受信し、そのプロセッサは、次いで、無線装置にケーブルで取付けられたアンテナを介して信号を再放送する無線装置にケーブル接続されている。これらの中継システムは、大きく動きまわるのは困難である。更に、これらの中継システムは、一般に、無線中継システムの各構成要素がユニークであると言う事実によって、高価で、保守及び操作が難しいものと成っている。更に、現在利用可能な大部分のシステムは、RTK測量や建築現場のような厳しい環境での使用等の用途に対して十分な耐久性と信頼性を有していない。
【0006】必要とされるものは、場所から場所へ容易に移動できて、耐久性と信頼性が有り、製作と組立が安価で簡単なGPSネットワークである。より具体的には、建築現場のような厳しい環境で繰り返し移動され且つ使用されることで遭遇するような困難な環境で高い信頼性の下で作動するGPSユニットや無線機や無線中継装置を有したGPSネットワークが必要とされる。更に、作動や使用や保守が容易な構成要素から成るGPSネットワークも必要とされている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、容易に動かされ且つ容易に安価に製造され且つ組立られる位置確定装置を含む位置確定システムにより上記要望をかなえるものである。これの目標は、位置確定アンテナと、GPS受信器と、電力調節システムと、位置確定プロセッサと、DGPS無線アンテナと、DGPS無線回路基板とを収容するために単一の統合された構造を採用することによって達成された。位置確定装置は、ハウジング内に配置された構成要素を変えることによって容易に無線中継装置に転換される。結果として得られる位置確定ネットワークは、厳しい環境で高い信頼性の下で作動し且つ作動、使用及び保守が容易な統合された位置確定装置と無線中継装置の組合わせを有している。」
「【0016】図2は、矢印113~115によって示されているように、人工衛星110、人工衛星111、人工衛星112から天体位置表を受信するGPSのアンテナ3を示している。アンテナ3は、2組の信号又は『チャンネル』を得るように2つの別々の周波数で天体位置表を受信する。一方の組の信号は、矢印117によって示されているように低雑音増幅器5に送信され、他方の組の信号は、矢印118によって示されているように低雑音増幅器6に送信される。電気信号は、低雑音増幅器5によって増幅され、結果的に生じた信号は、矢印119によって示されているようにGPS無線周波数回路基板22に送信される。同様に、低雑音増幅器6は、到来する信号を増幅し、それらを矢印120で表示されているようにGPS無線周波数回路基板22に送信する。GPS無線周波数回路基板22は、矢印121で示されているように信号をディジタル回路基板23に送信する無線送受信回路を収容している。ディジタル回路基板23は、GPSシステムの正確な位置を確定するようにGPSの天体位置表と修正情報とを演算処理するロジックを有している。無線アンテナ10は、矢印126によって示されているように無線回路基板25に送信されるDGPSのエラー修正情報を含んだ無線放送を矢印128で示されているように無線中継装置700から受信する。しかし、エラー修正情報は、幾つかの他の源のいずれからも受信され得る。無線回路基板25は、無線信号を送受信するための電子回路を有している。無線回路基板25は、信号を処理し、その信号を矢印131で示されているようにディジタル回路基板23に送信する。人工衛星110~112から受信されす天体位置表に関連したエラー修正データを使用して、ディジタル回路基板23は、大いに高められた精度で位置を算定する。一実施例では、エラー修正データは、算定された見かけの範囲を有している。RTKシステムでは、エラー修正データは、搬送波位相データと見かけの範囲とを有している。位置は、次いで表示ユニット900上に表示される。
【0017】図2を引き続き参照にすると、PGSユニット101がエラー修正を確定するために使用されると、ディジタル回路基板23は、知られている場所情報を使用して修正情報を確定する。知られている場所情報は、表示ユニット900を使用して入力される。修正情報は、次いで矢印132で示されているように無線回路基板25に送られる(電力とI/Oの回路基板24に取り付けられたコネクターは、信号を直接一定ルートで送る)。無線回路基板25は、次いで矢印127で示されているように無線アンテナ10を介して修正情報を放送する。無線信号は2.44ギガヘルツの周波数で送受信される。しかし、幾つかの他の周波数のいずれもが使用され得る。図2を引き続き参照すると、電力とI/Oの回路基板24は、電力の管理と転送を行う機能を持つ電子回路を有し、他の構成要素への電力を調整する。電力とI/Oの回路基板24は、矢印145で示されているようにバッテリー41に接続されており、GPSユニット101の電子構成要素に対して電力と電力管理機能を与える。電力とI/Oの回路基板は、矢印124で示されているように無線回路基板25とディジタル回路基板23に直接接続されている。表示パネル200上のオン/オフのスイッチは、そのオン/オフスイッチを作動させることで、GPSユニットがオンやオフに切り換えられるように矢印129で示されているように電力とI/Oの回路基板に接続されている。外部装置に対する入力部と出力部とが、ボックス140と矢印141、142とで示されているようにI/Oポート13~15を介して接続されている。表示ユニット900は、矢印143、144で示されているようにI/Oポート13~15を介してGPSユニット101に接続されている。」
「【図2】
[図:0001402403000012.jpg]
」

(2) 技術常識1の認定

前記(1)に摘記した引用文献4の記載に例示されるように、次の事項は、本願の出願前において、当業者にとって技術常識であったと認められる(以下「技術常識1」という。)。

[技術常識1]

「移動可能なGPSユニット機器において、GPSユニットに電力を与えるバッテリーを備えること。」

第5 本願発明と引用発明の対比

1 対比分析

本願発明と引用発明を対比する。

(1) 引用発明の「衛星測位装置1」は、「それ自体は測定端末と基準局の機能を一体に集積することができる」ものであるから、本願発明の「基準局装置」に相当し、本願発明と引用発明は、「基準局装置」の発明である点で一致する。

(2) 引用発明の「衛星測位装置1」は、前記(1)において説示したとおり、基準局の機能を有しており、任意のシステム内において、それと対となる「移動局」に対して基準信号を送信するものであることは技術常識から自明である。

そして、引用発明の「第二アンテナ50」は、「UHF利得アンテナであって、信号の放送機能を実現するものであ[る]」から、第二アンテナは本願発明の「通信用アンテナ」に相当し、本願発明と引用発明は、「移動局との間で無線通信を行う通信用アンテナ」を備える点で一致する。

(3) 引用発明の「第一アンテナ30」は、「二周波衛星受信アンテナ」であるから、本願発明の「測位用アンテナ」に相当し、本願発明と引用発明は、「測位衛星から測位信号を受信する測位用アンテナ」を備える点で一致する。

(4)ア 引用発明の「ホスト20」は、「ホスト20に制御パネル21、上下に対向する第一及び第二組み立て部22、23が設けられ」、「第一アンテナ30と第一組み立て部22はねじで取り付けて固定され」ているなど、各部材によってアンテナ等を取り付ける中心部としての役割を有しており、かつ、「第一アンテナ及び第二アンテナはホストに電気的に接続されて[いる]」ことを踏まえると装置の電気的制御の中枢としての役割を有するものでもあるから、「本体」としての機能を有すると認められ、当該「ホスト20」は、本願発明の「基準局本体」に相当する。

イ また、引用発明において、前記アにおいて説示したとおり、「第一アンテナ30と第一組み立て部22はねじで取り付けて固定され」ているから、本願発明と引用発明は、「前記測位用アンテナが取り付けられる基準局本体を備え[る]」点で一致する。

2 一致点及び相違点の認定

前記1の対比分析の検討結果をまとめると、本願発明と引用発明は、次の(1)の一致点において一致し、後記(2)の相違点において相違する。

(1) 一致点

「移動局との間で無線通信を行う通信用アンテナと、
測位衛星から測位信号を受信する測位用アンテナと、を備えた基準局装置であって、
前記測位用アンテナが取り付けられる基準局本体を備える、
基準局装置」である点。

(2) 相違点

本願発明においては、「前記基準局本体は、開閉自在な開閉扉を有し、前記基準局本体には、前記開閉扉が開状態にあるときに交換可能となる電源用のバッテリが取り付けられ、前記バッテリは、前記測位用アンテナの上端よりも低い位置に配置される」のに対し、

引用発明においては、「ホスト20」が電源用のバッテリを有すること、それに関連する開閉扉、配置関係などの本願発明の前記構成を有する点について明示されていない点。

第6 判断

1 相違点について

(1) 電源用バッテリについて

ア(ア) 引用発明において、「衛星測位装置1」が電気的に駆動されるものであることは明らかである。また「衛星測位装置1」は「野外測定作業を行[う]」用途に用いられ、「一体化構造を備え、使用及び携帯がより容易である」ものであるから、それ自体が外部から接続する別体の電源等を必要とせずに単独で作動する機器であり、電池などを含む電源用バッテリを備えることは自明である。

(イ) 仮に、引用発明において電源用バッテリを備えることが自明でないとしても、「移動可能なGPSユニット機器において、GPSユニットに電力を与えるバッテリーを備えること。」は本願の出願前において技術常識であるから(前記「技術常識1」を参照)、引用発明の「使用及び携帯がより容易である」「衛星測位装置1」において、携帯し移動させる「衛星測位装置1」に電源用のバッテリを備えることは当業者であれば適宜なし得る設計事項にすぎない。

イ(ア) ここで、引用発明において、「第一アンテナ及び第二アンテナはホストに電気的に接続されて」いることから、ホストを中心として第一アンテナや第二アンテナが接続されていることを考慮すると、電源用のバッテリが備えられるのが「ホスト20」となることは明らかである。

(イ) そうすると、引用発明において、「第一アンテナ30は、ホスト20よりも上部に位置して」いるから、本願発明の「前記バッテリは、前記測位用アンテナの上端よりも低い位置に配置される」構成を備えることは自明である。

(ウ) 仮に、「ホスト20」においてバッテリを備えることが自明でないとしても、「第一アンテナ30」及び「第二アンテナ50」内に電源用のバッテリを設けることは、それぞれのアンテナ部分の容積を考えても、また通信に悪影響を与え得ることからも技術的に想定し得ないこと、さらに「ホスト20」には「制御パネル21」が設けられ、こうした「制御パネル21」との接続の容易性、装置のコンパクト化の観点などを考慮すると、「ホスト20」に電源用のバッテリを備えることは当業者であれば通常想定し得ることであって、適宜なし得る設計事項にすぎない。

(エ) なお、そもそも重量の大きい物体を低い位置に設けることで重心の位置が下がり、安定性が向上することは、特に例を示すまでもない技術常識であり、引用発明の「衛星測位装置1」において、重心安定性の観点から一定の重量を有する電源用バッテリを低い位置に配置する、すなわち、「測位用アンテナの上端よりも低い位置に配置」する程度のことは、当業者が通常検討すべき範囲内の事項にすぎない。

ウ したがって、前記相違点に係る本願発明の構成のうち、「基準局本体には」、「電源用バッテリが取り付けられ[る]」こと、「前記バッテリは、前記測位用アンテナの上端よりも低い位置に配置される」ことは、実質的な相違点ではないか、仮に相違点であるとしても当業者であれば適宜なし得る設計事項にすぎない。

(2) 開閉扉について

ア 「電池(バッテリ)を備えた機器において、当該機器を作動するための電池(バッテリ)を開閉式の扉(蓋)を備えた空間に保持して交換可能とすること」は、本願の出願前において周知技術である(前記「周知技術1」を参照)。

イ 引用発明において、「ホスト20」は「制御パネル21」など精密機器が設けられていること、「野外測定作業を行[う]」ことを考慮すると、外部の日光、雨や埃などから保護するための筐体内に、「制御パネル21」や電源用のバッテリなどの「ホスト20」の構成要素を配置することは当業者であれば当然有する設計指針である。

ウ そして、引用発明においてもバッテリ残量がなくなった場合に交換又は充電する必要があることは自明であり、引用発明において、前記イの設計指針のもとで、電源用のバッテリをホスト20の筐体内に配置しつつ、周知技術1を踏まえて交換可能なように開閉式の扉を設けること、すなわち、相違点に係る構成である電源用のバッテリを交換可能とするための開閉自在な開閉扉を設けることは当業者であれば適宜なし得る事項にすぎない。

(3) 総合評価

前記(1)及び(2)の検討結果を総合しても、前記相違点に係る本願発明の構成を導き出すことは当業者にとっては、格別困難なものではない。

また、本願発明の奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測困難で、かつ、格別顕著な効果を認めることができない。

したがって、本願発明は、引用発明、周知技術1及び技術常識1に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。

2 請求人の主張について

(1) 請求人の主張の内容

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審判請求書において、請求人は、概略次のアからウの主張をしている。

ア 引用文献1にはバッテリの位置が明記されていない以上、単に「第1アンテナ30が、本体20の上側に設けられること」をもって、本願発明1の「バッテリは、前記測位用アンテナの上端よりも低い位置に配置されている」ことと、基準局本体は、測位用アンテナの上端よりも低い位置に配置されているとの点で共通する、とは言えない。

イ 本願発明では、測位用アンテナが取り付けられる基準局本体には、開閉扉が開状態にあるときに交換可能な電源用のバッテリが取り付けられ、当該バッテリと測位用アンテナとの相対的な位置関係として、「前記バッテリは、前記測位用アンテナの上端よりも低い位置に配置される」との位置関係が採用されている。これにより、重量物であるバッテリを低い位置に配置して低重心で安定姿勢を維持しつつ、バッテリによる測位用アンテナの(測位衛星との)通信障害が抑制された良好な測位が可能になる。

ウ 拒絶査定においては、引用文献2,3の記載から認定した周知技術を引用発明に適用する動機付けについての説明はない。「周知技術」というだけで動機付けが直ちに不要となる訳でないことも考えると、引用文献1の記載に触れただけの当業者が、「前記バッテリは、前記測位用アンテナの上端よりも低い位置に配置される」との本願発明1の構成を適用することについては、到底容易に想到し得るレベルではない。

(2) 請求人の主張に対する当審の判断

折りたたみ中(クリックで表示)

ア 主張アについて

電源用バッテリと測位用アンテナの上端の配置関係に係る相違点については、前記1(1)イにおいて説示したとおりである。

したがって、請求人の主張は採用できない。

イ 主張イについて

前記1(1)イの(ア)~(ウ)において説示したとおり、引用発明において電源用のバッテリが「ホスト20」に配置されていることは明らか、もしくは設計事項であって、当該配置により、バッテリが測位用アンテナの上端よりも低い位置に配置される構成となることは当然である。

なお、前記1(1)イ(エ)において説示したとおり、重量の大きい物体を低い位置に設けることで重心の位置が下がり、安定性が向上することは技術常識であって、請求人の主張する「重量物であるバッテリを低い位置に配置して低重心で安定姿勢を維持」できることは当業者が容易に予測し得る程度の効果にすぎない。

また、前記1(1)イ(ウ)において説示したとおり、アンテナにバッテリを設けることは通常技術的に想定し得ない。

したがって、請求人の主張は採用できない。

ウ 主張ウについて

引用発明に周知技術1を適用することの動機付け、及びその適用によって相違点の開閉扉に係る構成を導き出すことが設計事項であることは、前記1(2)において説示したとおりである。

したがって、請求人の主張は採用できない。

第7 むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-013540

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