特許拒絶査定不服審判
2022-012753
認証装置、認証方法、プログラム
- 審判番号
- 2022-012753
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-081015外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年08月15日
- 審決日
- 2023年04月18日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】トヨタ自動車株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人小笠原特許事務所
- 分類
- P18 .561-Z (G06F) / P18 .121-Z (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021- 81015「認証装置、認証方法、プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 8月19日出願公開、特開2021-120895〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成29年6月28日に出願した特願2017-126182号(以下、「原出願」という。)の一部を令和3年5月12日に新たな特許出願としたものであって、令和4年3月2日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月21日に意見書とともに手続補正書が提出され、同年5月19日付けで拒絶査定(謄本送達日同年5月31日。以下、「原査定」という。)がなされ、これに対して同年8月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされたものである。
第2 令和4年8月15日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年8月15日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「認証装置であって、
ユーザーの生体情報を取得する取得部と、
前記ユーザーに提供可能な複数のサービスのうち、前記取得部により取得された生体情報と予め登録された生体情報との類似度に応じた認証レベルのサービスを決定する決定部と、
前記決定部により前記類似度に応じた認証レベルのサービスとして第1レベルのサービスが決定された場合には、第1の時間、前記第1レベルのサービスの情報及び前記第1レベルの情報を維持し、前記決定部により前記類似度に応じた認証レベルのサービスとして前記第1レベルに対応する類似度よりも高い類似度に対応する第2レベルのサービスが決定された場合には、前記第1の時間よりも短い第2の時間、前記第2レベルのサービスの情報及び前記第2レベルの情報を維持するように制御すると共に、前記決定部により決定された前記サービスの情報及び前記認証レベルの情報を前記ユーザーに通知するように制御する通知部と、
を備える、認証装置。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和4年4月21日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「認証装置であって、
ユーザーの生体情報を取得する取得部と、
前記ユーザーに提供可能な複数のサービスのうち、前記取得部により取得された生体情報と予め登録された生体情報との類似度に応じた認証レベルのサービスを決定する決定部と、
前記決定部により決定された前記サービスの情報及び前記認証レベルの情報を前記ユーザーに通知するように制御する通知部と、
を備える、認証装置。」
2 補正の適否の判断
(1)当初明細書等に記載された事項
本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、これらを「当初明細書等」という。)には、本件補正によって追加された、「前記決定部により前記類似度に応じた認証レベルのサービスとして第1レベルのサービスが決定された場合には、第1の時間、前記第1レベルのサービスの情報及び前記第1レベルの情報を維持し、前記決定部により前記類似度に応じた認証レベルのサービスとして前記第1レベルに対応する類似度よりも高い類似度に対応する第2レベルのサービスが決定された場合には、前記第1の時間よりも短い第2の時間、前記第2レベルのサービスの情報及び前記第2レベルの情報を維持するように制御すると共に、」との事項(以下、「本件補正事項」という。)に関連して、次のような記載が認められる。
「【0020】
[認証装置の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る認証装置10の構成を説明する概略図である。図1に示す本実施形態に係る認証装置10は、生体情報取得部11と、生体情報格納部12と、認証処理部13と、サービス決定部14と、を備えている。
…中略…
【0025】
認証処理部13は、生体情報取得部11で取得された入力生体情報と、生体情報格納部12に格納されている登録生体情報とを比較する。そして、認証処理部13は、入力生体情報と登録生体情報との類似度に基づいた認証判定値D(スコア)を求めることによって、車両を利用するユーザーの認証を行う。より具体的には、認証処理部13は、双方の生体情報の類似度から求められる認証判定値Dがユーザーの本人性を認証する基準となる所定の閾値以上である場合に、車両を利用するユーザーの生体認証を成功と判断する。
【0026】
このとき、認証処理部13は、入力生体情報から抽出される特徴点が登録生体情報の特徴点とどの程度一致又は近似しているかなどに応じた認証判定値Dを、算出することができる。より具体的には、認証処理部13は、双方の生体情報の間に一致又は近似している特徴点が多いほど、高い認証判定値Dを算出する。なお、生体情報から特徴点を抽出する手法には、周知の技術を適用することができるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0027】
例えば、ある登録ユーザーを顔画像で生体認証する場合、読み取りデバイスであるカメラに対して正面を向いた顔画像の方が、カメラに対して少し斜めを向いた顔画像よりも特徴点が一致又は近似する箇所が多くなると考えられる。よって、正面を向いた顔画像の認証判定値Dは、少し斜めを向いた顔画像の認証判定値Dよりも高く算出される。また例えば、マスクやメガネをしていない顔画像の方が、マスクやメガネをしている顔画像よりも特徴点が一致又は近似する箇所が多くなると考えられる。よって、マスクやメガネをしている顔画像の認証判定値Dは、マスクやメガネをしていない顔画像の認証判定値Dよりも高く算出される。
【0028】
このように、認証処理部13は、登録生体情報と入力生体情報との間における類似度が大きいものと小さいものとの違いを、求める認証判定値Dの高さ(大きさ)を変化させることによって示すことができる。この認証処理部13によって求められた認証判定値Dは、サービス決定部14へ出力される。
【0029】
サービス決定部14は、入力生体情報について認証処理部13で求められた認証判定値Dに基づいて、ユーザーに提供可能なサービスを決定する。ここで、サービスを決定するにあたり、サービス決定部14は、異なるサービスがそれぞれ割り当てられた複数の閾値を有している。図2に、閾値に割り当てられたサービスの一例を示す。典型的には、以下に説明するように、提供されるサービスに求められるセキュリティ性に応じて閾値が設定される。
【0030】
例えば、サービスとして車両の操作を考えた場合、車両のエンジン始動の許可や車載ナビゲーション装置を介した課金処理(ホテル予約、アプリ購入など)の許可には、最も高いセキュリティが要求される。よって、これらのサービス(第1レベル)に対しては、高い閾値(以下「第1閾値T1」という)が設定される。また、ユーザーのスマートフォンを介した車両に蓄積されたメールの確認やスケジュールの読み出しの許可には、ある程度高いセキュリティが要求される。よって、これらのサービス(第2レベル)に対しては、中間の閾値(以下「第2閾値T2」という。T2<T1)が設定される。また、車両のシートポジション設定(カスタマイズ)の許可には、それほど高いセキュリティは要求されない。よって、このサービス(第3レベル)に対しては、低い閾値(以下「第3閾値T3」という。T3<T2)が設定される。なお、サービス決定部14が有する閾値は、3つに限られるものではなく、図2に示すようにサービスのレベル数n(nは任意の整数)に応じて任意に設定可能である。
【0031】
上記設定例において、認証処理部13によって求められた認証判定値Dが、例えば第1閾値T1及び第2閾値T2を満足しなくても(超えなくても)第3閾値T3を満足する(超える)場合には、第3レベルのサービスがユーザーに提供可能であると判定される。すなわち、セキュリティ性が要求されないシートポジション設定などであれば、上述した顔画像を用いた生体認証においてカメラに対して正面を向き直したりマスクやメガネを外したりして再度認証処理を行うことなく、直ちに使用することができることになる。よって、サービス利用におけるユーザー利便性が向上する。
【0032】
また、上記設定例において、認証処理部13によって求められた認証判定値Dが、例えば第2閾値T2までしか満足しない(超えない)場合に車両のエンジンを始動するためには、上述した顔画像を用いた生体認証においてカメラに対して正面を向き直したりマスクやメガネを外したりして、第1閾値T1を満足する(超える)ための正確かつ精細な生体情報による認証処理が再度要求される。これによって、高いセキュリティが要求されるサービスに対しては、高い安全性が確保される。
…中略…
【0044】
[応用例]
上記実施形態で説明した顔画像から認証処理を行うような場合には、カメラなどが生体情報として顔画像を常に取得しており、ユーザーは意識することなく認証処理が実行されることになる。このような場合には、現在どのレベルまで認証されているのか又はどのサービスが使用できるのかなどを示した情報を、ユーザーに提示してもよい。例えば、マルチインフォメーションディスプレイやナビゲーション装置の画面に、認証レベルの情報を表示したり、使用可能なサービスだけを表示したりすることによって、ユーザーに通知することができる。よって、ユーザー利便性をさらに向上させることができる。
【0045】
また、例えばドア開錠のためにドアハンドルに設けられた指紋センサーのように、サービスを使用する際にその都度認証処理を要求するような場合には、認証された結果を所定の時間だけ維持するように制御してもよい。このように認証結果を時限制御すれば、例えば、登録ユーザーが高レベルの認証処理を成功させた後車両から離れたすきに、第三者がエンジンを始動させてしまうといったことを防止できる。よって、セキュリティ性をさらに向上させることができる。」
「図1
[図:0001399098000001.jpg]
」
「図2
[図:0001399098000002.jpg]
」
(2)当初明細書等の記載と本件補正事項との対比
本件補正事項について検討する。
本件補正事項は、「通知部」が、「前記決定部により決定された前記サービスの情報及び前記認証レベルの情報を前記ユーザーに通知するように制御する」ほかに、「前記決定部により前記類似度に応じた認証レベルのサービスとして第1レベルのサービスが決定された場合には、第1の時間、前記第1レベルのサービスの情報及び前記第1レベルの情報を維持し、前記決定部により前記類似度に応じた認証レベルのサービスとして前記第1レベルに対応する類似度よりも高い類似度に対応する第2レベルのサービスが決定された場合には、前記第1の時間よりも短い第2の時間、前記第2レベルのサービスの情報及び前記第2レベルの情報を維持するように制御する」ことを特定するものであるところ、本件補正事項に係る「通知部」について、当初明細書等には、上記(1)のとおり、その段落0044において、「このような場合には、現在どのレベルまで認証されているのか又はどのサービスが使用できるのかなどを示した情報を、ユーザーに提示してもよい。例えば、マルチインフォメーションディスプレイやナビゲーション装置の画面に、認証レベルの情報を表示したり、使用可能なサービスだけを表示したりすることによって、ユーザーに通知することができる。よって、ユーザー利便性をさらに向上させることができる。」と記載されるのみであって、「通知部」が、「前記決定部により決定された前記サービスの情報及び前記認証レベルの情報を前記ユーザーに通知するように制御する」機能に加えて、同補正事項に係る「第1の時間、前記第1レベルのサービスの情報及び前記第1レベルの情報を維持」する機能、及び「前記第1の時間よりも短い第2の時間、前記第2レベルのサービスの情報及び前記第2レベルの情報を維持するように制御する」機能をも果たすことについては、当初明細書等に記載も示唆も見当たらない。
審判請求書によれば、本件補正は、「出願当初明細書の段落0045の記載に基づくものである」旨主張しているが、当該箇所には、
「【0045】
また、例えばドア開錠のためにドアハンドルに設けられた指紋センサーのように、サービスを使用する際にその都度認証処理を要求するような場合には、認証された結果を所定の時間だけ維持するように制御してもよい。このように認証結果を時限制御すれば、例えば、登録ユーザーが高レベルの認証処理を成功させた後車両から離れたすきに、第三者がエンジンを始動させてしまうといったことを防止できる。よって、セキュリティ性をさらに向上させることができる。」
とのみ記載され、当該箇所からは、ドア開錠のためにドアハンドルに設けられた指紋センサーのように、サービスを使用する際にその都度認証処理を要求するような場合には、認証された結果を所定の時間だけ維持するように制御してもよく、認証結果を時限制御すれば、例えば、登録ユーザーが高レベルの認証処理を成功させた後車両から離れたすきに、第三者がエンジンを始動させてしまうといったことを防止できることは読み取れるものの、「通知部」が、「前記決定部により前記類似度に応じた認証レベルのサービスとして第1レベルのサービスが決定された場合」に、「第1の時間、前記第1レベルのサービスの情報及び前記第1レベルの情報を維持」したり、「前記決定部により前記類似度に応じた認証レベルのサービスとして前記第1レベルに対応する類似度よりも高い類似度に対応する第2レベルのサービスが決定された場合」に、「前記第1の時間よりも短い第2の時間、前記第2レベルのサービスの情報及び前記第2レベルの情報を維持するように制御する」ことまでは、当初明細書等に記載があったということはできない。
したがって、本件補正事項は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正事項を含む本件補正は特許法17条の2第3項の規定に違反するので、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和4年8月15日にされた手続補正(本件補正)は、上記第2に示すとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和4年4月21日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。再掲すれば、次のとおり。
「認証装置であって、
ユーザーの生体情報を取得する取得部と、
前記ユーザーに提供可能な複数のサービスのうち、前記取得部により取得された生体情報と予め登録された生体情報との類似度に応じた認証レベルのサービスを決定する決定部と、
前記決定部により決定された前記サービスの情報及び前記認証レベルの情報を前記ユーザーに通知するように制御する通知部と、
を備える、認証装置。」
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1-5、7-9、11-13に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、下記の引用文献1及び3に記載された発明に基づいて、請求項10に係る発明は、下記の引用文献1~3に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1:特開2006-107302号公報
引用文献2:特開2017-007525号公報
引用文献3:特開2008-084044号公報
3 引用例
(1)引用例1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用した、本願の原出願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開2006-107302号公報(平成18年4月20日公開。以下、これを「引用例1」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。(下線は当審で付加。以下同様。)
ア 「【0013】
本発明の生体認証装置1を利用したコンピュータシステムは、生体認証装置1、読取装置2及び表示装置3から構成される。生体認証装置1は、ユーザ4の生体情報2aからユーザ4を生体認証し、ユーザ4が利用可能なサービス種別1gを決定する。読取装置2は、ユーザ4の生体情報2aをコンピュータシステムに読み取る。表示装置3は、ユーザ4が利用可能なサービス種別1gを表示する。生体認証装置1、読取装置2及び表示装置3は、互いに通信している。なお、生体認証装置1、読取装置2及び表示装置3は、三つの装置ではなく一つの装置として構成しても良い。また、生体認証装置1及び表示装置3は、二つの装置ではなく一つの装置として構成しても良い。さらに、生体認証装置1及び読取装置2は、二つの装置ではなく一つの装置として構成しても良い。そして、読取装置2及び表示装置3は、二つの装置ではなく一つの装置として構成しても良い。
【0014】
生体認証装置1は、受付手段1a、生体情報記憶手段1b、生体認証手段1d、条件記憶手段1f、サービス決定手段1h及び出力手段1iから構成される。
生体情報記憶手段1bは、ユーザ4の生体情報1cをあらかじめ記憶する。例えば、生体情報記憶手段1bは、「山田花子」の手のひら静脈パターンを生体情報1cとして記憶する。そして、条件記憶手段1fは、各サービスの利用を許可するための生体認証確度の閾値をあらかじめ記憶する。例えば、条件記憶手段1fは、「サービス種別」が「残高照会」の場合、生体認証確度1eは「70%から100%」を満たす必要があることを記憶する。そして、条件記憶手段1fは、「サービス種別」が「記帳」の場合、生体認証確度1eは「80%から100%」を満たす必要があることを記憶する。さらに、条件記憶手段1fは、「サービス種別」が「振替」の場合、生体認証確度1eは「90%から100%」を満たす必要があることを記憶する。
【0015】
受付手段1aは、読取装置2から生体情報2aを受け付ける。例えば、受付手段1aは、読取装置2から、「山田花子」の手のひら静脈パターンを生体情報2aとして受け付ける。その後、生体認証手段1dは、生体情報記憶手段1bを参照して、受付手段1aにより受け付けられた生体情報2aと、生体情報記憶手段1bに記憶された生体情報1cとを比較して、ユーザ4の生体情報2aの生体認証確度1eを算出する。例えば、生体認証手段1dは、受付手段1aにより受け付けられた「山田花子」の手のひら静脈パターンの生体情報2aと、生体情報記憶手段1bに記憶された「山田花子」の手のひら静脈パターンの生体情報1cとを比較する。そして、生体認証手段1dは、「山田花子」の手のひら静脈パターンの生体情報2aの生体認証確度1eについて、「84%」と算出する。
【0016】
サービス決定手段1hは、条件記憶手段1fを参照して、生体認証手段1dにより算出された生体認証確度1eと、条件記憶手段1fに記憶された各サービス種別の閾値とを比較する。そして、サービス決定手段1hは、生体認証確度1eより低い閾値が設定された全てのサービス種別1gを、ユーザが利用可能なサービス種別1gと決定する。例えば、サービス決定手段1hは、「山田花子」の手のひら静脈パターンの生体情報2aの生体認証確度1eは「84%」であるので、「山田花子」の利用可能なサービス種別1gは「残高照会」及び「記帳」であることを決定する。その後、出力手段1iは、表示装置3に対して、サービス決定手段1hにより決定された利用可能なサービス種別3aを出力する。例えば、出力手段1iは、表示装置3に対して、「残高照会」及び「記帳」を出力する。」
イ 「【0036】
図5は、第1の実施の形態の条件テーブルの例を示す図である。
条件テーブル44は、パターン名、生体認証確度の閾値、入金、出金、記帳、残高照会、カード振込、現金振込及び振替から構成される。
…中略…
【0039】
以下、第1の実施の形態における、ユーザに表示される画面について説明する。
図6は、生体認証受付画面の例を示す図である。
生体認証受付画面21は、ATM40がユーザ30から生体情報を取得するために、ユーザ30の生体認証を受け付ける画面である。
【0040】
図7は、Aパターンの出力画面の例を示す図である。
Aパターンの出力画面22は、ユーザ30の生体認証の結果から、ユーザ30に対するATM40の出力の画面である。なお、図5のAパターンと対応している。
【0041】
ここで、ユーザ30は、100万円以下の入金、100万円以下の引出、記帳、残高照会、100万円以下のカード振込、100万円以下の現金振込及び振替の実行が可能である。
【0042】
図8は、Bパターンの出力画面の例を示す図である。
Bパターンの出力画面23は、ユーザ30の生体認証の結果から、ユーザ30に対するATM40の出力の画面である。なお、図5のBパターンと対応している。
【0043】
ここで、ユーザ30は、100万円以下の入金、10万円以下の引出、残高照会、10万円以下のカード振込、100万円以下の現金振込及び振替の実行が可能である。
図9は、Cパターンの出力画面の例を示す図である。
【0044】
Cパターンの出力画面24は、ユーザ30の生体認証の結果から、ユーザ30に対するATM40の出力の画面である。なお、図5のCパターンと対応している。
ここで、ユーザ30は、100万円以下の入金、残高照会及び10万円以下の現金振込の実行が可能である。」
ウ 「図1
[図:0001399098000003.jpg]
」
エ 「図5
[図:0001399098000004.jpg]
」
オ 「図7
[図:0001399098000005.jpg]
」
カ 「図8
[図:0001399098000006.jpg]
」
キ 「図9
[図:0001399098000007.jpg]
」
(2)引用発明
ア 上記(1)記載事項アの「本発明の生体認証装置1を利用したコンピュータシステムは、生体認証装置1、読取装置2及び表示装置3から構成される。…中略…生体認証装置1、読取装置2及び表示装置3は、三つの装置ではなく一つの装置として構成しても良い」(【0013】)との記載から、引用例1には、“読取装置2及び表示装置3を備える生体認証装置1”が記載されているといえる。
イ 上記(1)記載事項アの「生体認証装置1は、ユーザ4の生体情報2aからユーザ4を生体認証し、ユーザ4が利用可能なサービス種別1gを決定する。」(【0013】)との記載から、引用例1には、“生体認証装置1は、ユーザ4の生体情報2aからユーザ4を生体認証し、ユーザ4が利用可能なサービス種別1gを決定するものであ”ることが記載されているといえる。
ウ 上記(1)記載事項アの「読取装置2は、ユーザ4の生体情報2aをコンピュータシステムに読み取る。表示装置3は、ユーザ4が利用可能なサービス種別1gを表示する。」(【0013】)との記載、及び上記アの認定を踏まえると、引用例1には、“読取装置2は、ユーザ4の生体情報2aを生体認証装置1に読み取”ること、及び、“表示装置3は、ユーザ4が利用可能なサービス種別1gを表示”することが記載されているといえる。
エ 上記(1)記載事項アの「生体情報記憶手段1bは、ユーザ4の生体情報1cをあらかじめ記憶する…中略…条件記憶手段1fは、各サービスの利用を許可するための生体認証確度の閾値をあらかじめ記憶する。…条件記憶手段1fは、「サービス種別」が「残高照会」の場合、生体認証確度1eは「70%から100%」を満たす必要があることを記憶する。そして、条件記憶手段1fは、「サービス種別」が「記帳」の場合、生体認証確度1eは「80%から100%」を満たす必要があることを記憶する。さらに、条件記憶手段1fは、「サービス種別」が「振替」の場合、生体認証確度1eは「90%から100%」を満たす必要があることを記憶する。」(【0014】)との記載から、引用例1には、“生体情報記憶手段1bは、ユーザ4の生体情報1cをあらかじめ記憶”すること、及び“条件記憶手段1fは、各サービスの利用を許可するための生体認証確度の閾値をあらかじめ記憶し、前記閾値は、「サービス種別」が「残高照会」の場合、生体認証確度1eは「70%から100%」を満たす必要があり、「サービス種別」が「記帳」の場合、生体認証確度1eは「80%から100%」を満たす必要があり、「サービス種別」が「振替」の場合、生体認証確度1eは「90%から100%」を満たす必要があることを記憶”することが記載されているといえる。
オ 上記(1)記載事項アの「受付手段1aは、読取装置2から生体情報2aを受け付ける」との記載、及び、「生体認証手段1dは、生体情報記憶手段1bを参照して、受付手段1aにより受け付けられた生体情報2aと、生体情報記憶手段1bに記憶された生体情報1cとを比較して、ユーザ4の生体情報2aの生体認証確度1eを算出する」(【0015】)との記載から、引用例1には、“受付手段1aは、読取装置2から生体情報2aを受け付け”ること、及び、“生体認証手段1dは、生体情報記憶手段1bを参照して、受付手段1aにより受け付けられた生体情報2aと、生体情報記憶手段1bに記憶された生体情報1cとを比較して、ユーザ4の生体情報2aの生体認証確度1eを算出”することが記載されているといえる。
カ 上記(1)記載事項アの「サービス決定手段1hは、条件記憶手段1fを参照して、生体認証手段1dにより算出された生体認証確度1eと、条件記憶手段1fに記憶された各サービス種別の閾値とを比較する。…サービス決定手段1hは、生体認証確度1eより低い閾値が設定された全てのサービス種別1gを、ユーザが利用可能なサービス種別1gと決定する。…中略…出力手段1iは、表示装置3に対して、サービス決定手段1hにより決定された利用可能なサービス種別3aを出力する」(【0016】)との記載から、引用例1には、“サービス決定手段1hは、条件記憶手段1fを参照して、生体認証手段1dにより算出された生体認証確度1eと、条件記憶手段1fに記憶された各サービス種別の閾値とを比較し、生体認証確度1eより低い閾値が設定された全てのサービス種別1gを、ユーザが利用可能なサービス種別1gと決定”すること、及び“出力手段1iは、表示装置3に対して、サービス決定手段1hにより決定された利用可能なサービス種別3aを出力”することが記載されているといえる。
キ 上記(1)記載事項イの「図5は…条件テーブルの例」(【0036】)との記載及び同エ(図5)、同イの「図7は、Aパターンの出力画面の例…中略…図5のAパターンと対応」(【0040】)との記載及び同オ(図7)、同イの「図8は、Bパターンの出力画面の例…中略…図5のBパターンと対応」(【0042】)との記載及び同カ(図8)、並びに、同イの「図9は、Cパターンの出力画面の例…中略…図5のCパターンと対応」(【0043】~【0044】)との記載及び同キ(図9)から、引用例1には、“生体認証確度の閾値に応じたパターンで、利用可能なサービス種別が表示され”ることが記載されているといえる。
ク 以上、上記ア~キより、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「読取装置2及び表示装置3を備える生体認証装置1であって、
生体認証装置1は、ユーザ4の生体情報2aからユーザ4を生体認証し、ユーザ4が利用可能なサービス種別1gを決定し、
読取装置2は、ユーザ4の生体情報2aを生体認証装置1に読み取り、
表示装置3は、ユーザ4が利用可能なサービス種別1gを表示し、
生体情報記憶手段1bは、ユーザ4の生体情報1cをあらかじめ記憶し、
条件記憶手段1fは、各サービスの利用を許可するための生体認証確度の閾値をあらかじめ記憶し、前記閾値は、「サービス種別」が「残高照会」の場合、生体認証確度1eは「70%から100%」を満たす必要があり、「サービス種別」が「記帳」の場合、生体認証確度1eは「80%から100%」を満たす必要があり、「サービス種別」が「振替」の場合、生体認証確度1eは「90%から100%」を満たす必要があることを記憶し、
受付手段1aは、読取装置2から生体情報2aを受け付け、
生体認証手段1dは、生体情報記憶手段1bを参照して、受付手段1aにより受け付けられた生体情報2aと、生体情報記憶手段1bに記憶された生体情報1cとを比較して、ユーザ4の生体情報2aの生体認証確度1eを算出し、
サービス決定手段1hは、条件記憶手段1fを参照して、生体認証手段1dにより算出された生体認証確度1eと、条件記憶手段1fに記憶された各サービス種別の閾値とを比較し、生体認証確度1eより低い閾値が設定された全てのサービス種別1gを、ユーザが利用可能なサービス種別1gと決定し、
出力手段1iは、表示装置3に対して、サービス決定手段1hにより決定された利用可能なサービス種別3aを出力し、生体認証確度の閾値に応じたパターンで、利用可能なサービス種別が表示される、
生体認証装置1。」
(3)引用例2に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用した、本願の原出願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開2017-7525号公報(平成29年1月12日公開。以下、これを「引用例2」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。
ア 「【0013】
操作者認証装置1は、例えば、図1(a)に示すように、車両内に配置される。この操作者認証装置1は、スタートスイッチ2を操作する操作者を特定する装置である。例えば、車両制御部が車両に搭載された電子機器などを総合的に制御する場合、操作者認証装置1が操作者を特定することにより、車両制御部が当該操作者に適したサービスを提供することが可能となる。
【0014】
操作者認証装置1は、図1(a)及び図1(b)に示すように、車両のエンジンを始動させるスタートスイッチ2が操作される際に操作者の掌90が表面31に接近又は接触するようにスタートスイッチ2の周辺に配置されると共にスタートスイッチ2よりも突出した凸状部材3と、凸状部材3に配置され、凸状部材3の表面31に接近又は接触した掌90から得られる生体情報40を読み取る読取部としての生体センサ4と、生体情報40を認証するための認証情報50を記憶する記憶部5と、生体センサ4が読み取った生体情報40と記憶部5が記憶する認証情報50とを比較し、その結果を操作者情報60として出力する比較部としての制御部6と、を備えて概略構成されている。なお接近とは、生体センサ4が生体情報40を読み取ることができる程度の接近を示すものとする。」
(4)引用例3に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用した、本願の原出願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開2008-84044号公報(平成20年4月10日公開。以下、これを「引用例3」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された生体情報と予め登録されている生体情報とを照合した結果、それらの類似度が認証基準としての認証レベルに達しているか否かに応じてユーザ認証を行う携帯端末装置であって、
前記入力生体情報と前記登録生体情報とを照合した結果、それらの類似度に応じて複数の認証レベルの中から現在の認証レベルを判定するレベル判定手段と、
セキュリティ対象の機能と認証レベルとを対応付けて記憶管理する認証レベル記憶手段と、
複数の機能の中から任意の機能を選択する選択手段と、
この選択手段によって任意の機能が選択された際に、この選択機能がセキュリティ対象機能であれば、前記レベル判定手段によって判定された現在の認証レベルと当該機能対応の認証レベルとの比較結果に応じて当該機能の利用を制限するか、その制限を解除するかを決定してそれに応じた制御を行う制御手段と、
を具備したことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
入力された生体情報と予め登録されている生体情報とを照合した結果、それらの類似度が認証基準としての認証レベルに達しているか否かに応じてユーザ認証を行う携帯端末装置であって、
前記入力生体情報と前記登録生体情報とを照合した結果、それらの類似度に応じて複数の認証レベルの中から現在の認証レベルを判定するレベル判定手段と、
セキュリティ対象のデータと認証レベルとを対応付けて記憶管理する認証レベル記憶手段と、
複数のデータの中から任意のデータを選択する選択手段と、
この選択手段によって任意のデータが選択された際に、この選択データがセキュリティ対象データであれば、前記レベル判定手段によって判定された現在の認証レベルと当該データ対応の認証レベルとの比較結果に応じて当該データの利用を制限するかその制限を解除するかを決定してそれに応じた制御を行う制御手段と、
を具備したことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項3】
前記レベル判定手段によって判定された現在の認証レベルを案内出力する案内手段を設けた、ことを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の携帯端末装置。」
イ 「【0007】
なお、上述した請求項1記載の発明は次のようなものであってもよい。
前記レベル判定手段によって判定された現在の認証レベルを案内出力する案内手段を設ける(請求項3記載の発明)。この場合、前記レベル判定手段は、電源投入時に現在の認証レベルを判定し、前記案内手段は、電源投入時に判定された現在の認証レベルを案内するようにしてもよい(請求項4記載の発明)。」
ウ 「【0033】
図9は、図6の機能一覧表示処理(ステップA5)を詳述するためのフローチャートである。
先ず、制御部1は、電源オン時の判定レベルを読み出すと共に(ステップD1)、この判定レベルに基づいて機能/レベル対応テーブルFLCを検索し(ステップD2)、判定レベル以下の認証レベルの有無をチェックし(ステップD3)、判定レベル以下の認証レベルがあれば、それに該当する機能名を読み出す(ステップD4)。以下、機能/レベル対応テーブルFLCの内容を全て検索し終わるまで(ステップD5)、上述のステップD2に戻る。これによって検索が終了すると、読み出した各機能名を現在の判定レベルで利用可能な機能名として一覧表示すると共に、現在の判定レベルを表示する(ステップD6)。図15は、利用可能な機能一覧画面を示した図で、現在の判定レベルが“B”であれば、そのレベルで利用可能な機能は、「メール新規作成」、「電卓」、「カメラ」、‥‥、となる。」
エ 「図15
[図:0001399098000008.jpg]
」
上記記載事項ア~エ(特に下線部)から、引用例3には、次の事項(以下、「引用例3記載事項」という。)が記載されているといえる。
「認証レベルを案内出力する案内手段を設けた装置において、現在の認証レベルを案内出力する案内手段を設け、利用可能な機能一覧画面とともに、現在の判定レベルを表示すること。」
4 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「生体認証装置1」、「ユーザ4」及び「ユーザ4の生体情報2a」は、それぞれ、本願発明の「認証装置」、「ユーザー」及び「ユーザーの生体情報」に相当する。
引用発明の「読取装置2」は、「ユーザ4の生体情報2aを生体認証装置1に読み取」るものであるところ、本願発明の「取得部」に相当するから、引用発明の「生体認証装置1」は、本願発明の「ユーザーの生体情報を取得する取得部」を備える。
(2)引用発明の「サービス種別」としての、「残高照会」、「記帳」及び「振替」は、本願発明の「前記ユーザーに提供可能な複数のサービス」に相当する。
引用発明の「生体認証装置1に読み取」られるところの、「読取装置2」によって読取られる「ユーザ4の生体情報2a」は、上記(1)の認定も踏まえ、本願発明の「前記取得部により取得された生体情報」に相当する。
引用発明の「生体情報記憶手段1b」に、「あらかじめ記憶」される「ユーザ4の生体情報1c」は、本願発明の「予め登録された生体情報」に相当する。
引用発明の「生体認証手段1d」は、「受付手段1aにより受け付けられた生体情報2aと、生体情報記憶手段1bに記憶された生体情報1cとを比較して、ユーザ4の生体情報2aの生体認証確度1eを算出」するところ、「受付手段1a」は、「読取装置2から生体情報2aを受け付け」るものであり、「ユーザ4の生体情報2aの生体認証確度1e」は、本願発明の「前記取得部により取得された生体情報と予め登録された生体情報との類似度」に対応するものといえる。
そして、引用発明の「サービス決定手段1h」は、「条件記憶手段1fを参照して、生体認証手段1dにより算出された生体認証確度1eと、条件記憶手段1fに記憶された各サービス種別の閾値とを比較し、生体認証確度1eより低い閾値が設定された全てのサービス種別1gを、ユーザが利用可能なサービス種別1gと決定」するものであるところ、「各サービスの利用を許可するための生体認証確度の閾値」として、「生体認証確度1e」が「90%から100%」であれば、「振替」のサービスが利用でき、「生体認証確度1e」が「80%から100%」であれば、「記帳」のサービスも利用できることからして、当該「生体認証確度1e」に応じた認証レベルのサービスが決定されているといえるから、以上を総合すると、引用発明の「生体認証装置1」は、本願発明の「前記ユーザーに提供可能な複数のサービスのうち、前記取得部により取得された生体情報と予め登録された生体情報との類似度に応じた認証レベルのサービスを決定する決定部」を備える。
(3)引用発明の「表示装置3」は、「ユーザ4が利用可能なサービス種別1gを表示」するものであるとともに、「出力手段1iは、表示装置3に対して、サービス決定手段1hにより決定された利用可能なサービス種別3aを出力し、生体認証確度の閾値に応じたパターンで、利用可能なサービス種別が表示される」ものであるところ、上記(2)の認定を踏まえると、当該「出力手段1i」は、「利用可能なサービス種別1gを表示」することによって、引用発明の「サービス決定手段1h」によって“決定されたサービスの情報をユーザに通知するように制御する通知部”であるといえるから、引用発明の「生体認証装置1」と本願発明の「認証装置」とは、下記の点(相違点)で相違するものの、“前記決定部により決定された前記サービスの情報を前記ユーザーに通知するように制御する通知部”を備える点で一致する。
(4)以上、(1)~(3)の検討から、引用発明と本願発明とは、次の一致点及び相違点を有する。
〈一致点〉
認証装置であって、
ユーザーの生体情報を取得する取得部と、
前記ユーザーに提供可能な複数のサービスのうち、前記取得部により取得された生体情報と予め登録された生体情報との類似度に応じた認証レベルのサービスを決定する決定部と、
前記決定部により決定された前記サービスの情報を前記ユーザーに通知するように制御する通知部と、
を備える、認証装置。
〈相違点〉
本願発明の「通知部」が、「サービスの情報」のほかに「前記認証レベルの情報」も通知するのに対し、引用発明の「表示装置3」が、認証レベルを通知することが特定されていない点。
5 判断
上記相違点につき検討する。
引用発明の「表示装置3」は、「生体認証確度1e」に応じて、上記3(1)記載事項オ~キに示した図7~9のような表示がなされるところ、例えば、図8と図9とを比べると、図9では、図8にあった「お引出 限度額10万円」、「カードでお振込 限度額10万円」、「お振替」などのボタンが消えており、また、「現金でお振込」については、図8では、限度額が「100万円」であったものが、図9では「10万円」になっている。
このことから、引用発明の「生体認証装置1」を利用する「ユーザ4」は、自らの「生体情報2a」の読取状態に応じて、異なるサービスが提供されるものであることが通知されているともいえる。
そして、引用発明の「生体認証装置1」は、「生体認証確度の閾値に応じたパターンで、利用可能なサービス種別が表示される」ところ、認証レベルに応じたパターンの表示がなされるものであるから、上記したとおり、当該認証レベルに応じた表示態様の変更がなされることは、サービス情報、すなわち、「ご入金」や「お振込」といったサービスの情報に加え、認証レベルについても間接的に通知されているといえる。
そして、ユーザの生体情報の読取状態を示す認証レベルそのものを通知すれば、生体情報の読取状態を直接認識でき、ユーザの利便性が向上することは明らかであるところ、引用例3記載事項のように、認証レベルを案内出力する案内手段を設けた装置において、現在の認証レベルを案内出力する案内手段を設け、利用可能な機能一覧画面とともに、現在の判定レベルを表示することは、本願の原出願前に既に知られた周知技術に過ぎないことに鑑みれば、表示態様を異ならせて利用できるサービスを通知することに加えて、認証レベルをも通知するよう設計変更することは、当業者であれば容易になし得たというほかない。
したがって、本願発明は、引用発明及び引用例3に記載された周知の技術事項に基づいて当業者が容易になし得たものである。
したがって、本願発明は、引用発明及び引用例3に記載された周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができないものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、本願の原出願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用例1及び3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-012753