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特許拒絶査定不服審判

2022-012279

発光素子

審判番号
2022-012279
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-162630外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年08月05日
審決日
2024年01月30日
公報発行日
2024年04月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (H05B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-162630「発光素子」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 3月28日出願公開、特開2019- 50370〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 事案の概要 1 手続等の経緯 特願2018-162630号(以下「本件出願」という。)は、平成30年8月31日を出願日(先の出願に基づく優先権主張 平成29年9月6日)とする特許出願であって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。 令和3年12月 2日付け:拒絶理由通知書 令和4年 2月 7日提出:意見書 令和4年 2月 7日提出:手続補正書 令和4年 3月 3日付け:拒絶理由通知書 令和4年 4月20日提出:意見書 令和4年 5月10日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) 令和4年 8月 5日提出:審判請求書 令和4年 8月 5日提出:手続補正書 令和5年 9月11日付け:拒絶理由通知書 令和5年10月31日提出:意見書 令和5年10月31日提出:手続補正書 2 本願発明 本件出願の請求項1~請求項12に係る発明は、令和5年10月31日に提出した手続補正書による手続補正後の特許請求の範囲の請求項1~請求項12に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「陽極と、陰極と、陽極及び陰極の間に設けられた第1の有機層及び第2の有機層と、を有する発光素子であって、 前記第1の有機層が、デンドロンを有する燐光発光性遷移金属錯体、及び、最低三重項励起状態のエネルギー準位と最低一重項励起状態のエネルギー準位との差の絶対値が0.25eV以下である、遷移金属を含まない低分子化合物を含有する層であり、 前記第2の有機層が、架橋材料の架橋体を含有する層であり、 前記架橋材料が、式(Y)で表される構成単位、式(X)で表される構成単位、及び下記架橋基A群から選ばれる架橋基を有する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種からなり、かつ、前記架橋基A群から選ばれる架橋基を有する構成単位として、式(2’)で表される構成単位を含む高分子化合物であり、 前記デンドロンが、式(D-A)又は式(D-B)で表される基であり、 前記デンドロンを有する燐光発光性遷移金属錯体が、式(1)で表される金属錯体である、発光素子。 【化1】 [図:0001408386000001.jpg] [式中、 mDA1、mDA2及びmDA3は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。 GDAは、芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。 ArDA1、ArDA2及びArDA3は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArDA1、ArDA2及びArDA3が複数ある場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。 TDAは、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるTDAは、同一でも異なっていてもよい。] 【化2】 [図:0001408386000002.jpg] [式中、 mDA1、mDA2、mDA3、mDA4、mDA5、mDA6及びmDA7は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。 GDAは、芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるGDAは、同一でも異なっていてもよい。 ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6及びArDA7は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6及びArDA7が複数ある場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。 TDAは、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるTDAは、同一でも異なっていてもよい。] (架橋基A群) 【化3】 [図:0001408386000003.jpg] [式中、RXLは、メチレン基、酸素原子又は硫黄原子を表し、nXLは、0~5の整数を表す。RXLが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。nXLが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。*1は結合位置を表す。これらの架橋基は置換基を有していてもよく、該置換基が複数存在する場合、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。] 【化4】 [図:0001408386000004.jpg] [式中、 mAは0~5の整数を表し、mは1~4の整数を表し、cは0又は1を表す。mAが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。 Ar5は、芳香族炭化水素基、複素環基、又は、少なくとも1種の芳香族炭化水素環と少なくとも1種の複素環とが直接結合した基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。 Ar4及びAr6は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。 Ar4、Ar5及びAr6はそれぞれ、該基が結合している窒素原子に結合している該基以外の基と、直接結合して、又は、酸素原子若しくは硫黄原子を介して結合して、環を形成していてもよい。 KAは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、-NR’-で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R’は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。KAが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。 X’は、前記架橋基A群から選ばれる架橋基、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。X’が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、少なくとも1つのX’は、前記架橋基A群から選ばれる架橋基である。] 【化5】 [図:0001408386000005.jpg] [式中、 Mは、ルテニウム原子、ロジウム原子、パラジウム原子、イリジウム原子又は白金原子を表す。 n1は1以上の整数を表し、n2は0以上の整数を表す。但し、Mがルテニウム原子、ロジウム原子又はイリジウム原子の場合、n1+n2は3であり、Mがパラジウム原子又は白金原子の場合、n1+n2は2である。 E1及びE2は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。但し、E1及びE2の少なくとも一方は炭素原子である。E1及びE2が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。 環L1は、6員の芳香族複素環を表し、該環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環L1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。 環L2は、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環L2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。 環L1が有していてもよい置換基と、環L2が有していてもよい置換基とは、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。 環L1及び環L2の少なくとも一つは、前記デンドロンを有する。 A1-G1-A2は、アニオン性の2座配位子を表す。A1及びA2は、それぞれ独立に、炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表し、これらの原子は環を構成する原子であってもよい。G1は、単結合、又は、A1及びA2とともに2座配位子を構成する原子団を表す。A1-G1-A2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]」 ここで、本願出願の請求項1には、「式(Y)」及び「式(X)」が記載されていないが、本件出願の願書に添付された明細書(以下「本件出願明細書」という。)を参酌すると、上記「式(Y)」及び「式(X)」が、それぞれ、【0280】及び【0260】に示された、以下の【化64】の式(Y)及び【化56】の式(X)を意味することは明らかであるため、以降の検討では、それを前提に行うこととする。 「【化64】 [図:0001408386000006.jpg] [式中、ArY1は、アリーレン基、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]」 「【化56】 [図:0001408386000007.jpg] [式中、 aX1及びaX2は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。 ArX1及びArX3は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。 ArX2及びArX4は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArX2及びArX4が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。 RX1~RX3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RX2及びRX3が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]」 3 令和5年9月11日付け拒絶理由通知書で通知した拒絶の理由の概要 令和5年9月11日付け拒絶理由通知書において当合議体が通知した拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。 ●理由1(明確性要件) 本件出願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 ●理由2(進歩性欠如) 本件出願の請求項1~13に係る発明は、先の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、先の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (引用例等一覧) 引用例1:特開2016-111355号公報 引用例2:国際公開第2017/119203号 (当合議体注:引用例1は主引用例であり、引用例2は副引用例である。) 第2 理由2(進歩性欠如)についての当合議体の判断 1 引用例1の記載 令和5年9月11日付け拒絶理由通知書において当合議体が通知した拒絶の理由において引用された、特開2016-111355号公報(以下「引用例1」という。)は、先の出願前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明が記載されたものであるところ、そこには以下の記載がある(当合議体注:下線は当合議体が付したものであり、引用発明の認定や判断等に活用した箇所を示す。)。 (1) 「【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、発光素子に関する。 ・・・略・・・ 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 ・・・略・・・本発明は、電力効率に優れる発光素子を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明の一側面は、以下の発光素子に関する。 【0009】 陽極と、 陰極と、 前記陽極及び前記陰極の間に設けられた第1の有機層と、 前記陽極及び前記第1の有機層の間に設けられた第2の有機層とを有する発光素子であって、 前記第1の有機層が、燐光発光性化合物を含み、 前記第2の有機層が、1種又は2種以上の高分子化合物が配合された高分子組成物から形成される高分子硬化物を含み、 前記高分子化合物の少なくとも1種が、架橋基を有し、 前記高分子化合物の少なくとも1種が、燐光発光性構成単位を含み、 前記高分子化合物を構成する各単量体単位について、全単量体単位の総モルに対するその単量体単位のモル比Cとその単量体単位の分子量Mとを乗じた値x、及び、前記モル比Cとその単量体単位が有する前記架橋基の数nとを乗じた値yを求めたとき、前記xの総和X1及び前記yの総和Y1から計算される(Y1×1000)/X1の値が、0.6以上である、発光素子。 【発明の効果】 【0010】 本発明によれば、電力効率に優れる発光素子を提供することができる。 【発明を実施するための形態】 ・・・略・・・ 【0063】 「架橋基」とは、加熱処理、紫外線照射処理、ラジカル反応等に供することにより、新たな結合を生成することが可能な基であり、好ましくは、架橋基A群の式(XL-1)、(XL-2)、(XL-3)、(XL-4)、(XL-5)、(XL-6)、(XL-7)、(XL-8)、(XL-9)、(XL-10)、(XL-11)、(XL-12)、(XL-13)、(XL-14)、(XL-15)、(XL-16)又は(XL-17)で表される架橋基(以下、場合により「式(XL-1)~(LX-17)で表される基」という。)である。 【0064】 【化12】 (架橋基A群) [図:0001408386000008.jpg] 【0065】 式中、RXLは、メチレン基、酸素原子又は硫黄原子を表し、nXLは、0~5の整数を表す。RXLが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、nXLが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。*は結合位置を表す。これらの架橋性基は置換基を有していてもよい。 ・・・略・・・ 【0067】 <発光素子> 次に、本発明の一実施形態に係る発光素子について説明する。 【0068】 本実施形態に係る発光素子は、陽極と、陰極と、陽極及び陰極の間に設けられた第1の有機層と、陽極及び第1の有機層の間に設けられた第2の有機層とを有する。第1の有機層は、燐光発光性化合物を用いて形成される層であり、第2の有機層は、1種又は2種以上の高分子化合物が配合された高分子組成物を用いて形成される層である。高分子化合物の少なくとも1種は、架橋基を有する(具体的には、高分子化合物の少なくとも1種は、架橋基を有する架橋性構成単位を含む)。また、高分子化合物の少なくとも1種は、燐光発光性構成単位を含む。 ・・・略・・・ 【0073】 第2の有機層を塗布法により形成する場合、後述する第2の有機層用のインクを用いることが好ましい。第2の有機層を形成後、加熱又は光照射することで、高分子組成物に含有される架橋性高分子化合物を架橋させて、高分子組成物を硬化させることができる。 高分子組成物が硬化された状態で、第2の有機層に含有されている場合、第2の有機層は溶媒に対して実質的に不溶化されている。そのため、該第2の有機層は、発光素子の積層化に好適に使用することができる。 【0074】 本実施形態に係る発光素子は、高分子組成物に含有される架橋性高分子化合物が架橋された状態で第2の有機層に含有されていることが好ましい。すなわち、第2の有機層が、高分子組成物から形成された高分子硬化物を含むことが好ましい。 ・・・略・・・ 【0077】 <第1の有機層> 第1の有機層は、1種以上の燐光発光性化合物を用いて形成される層である。 【0078】 [燐光発光性化合物] 燐光発光性化合物は、燐光発光性を有する化合物である。燐光発光性化合物としては、室温で高い発光量子収率を有するものを好適に用いることができる。 【0079】 燐光発光性化合物としては、例えば、式(1)で表される燐光発光性化合物が挙げられる。 【0080】 【化13】 [図:0001408386000009.jpg] 【0081】 式中、 Mは、ルテニウム原子、ロジウム原子、パラジウム原子、イリジウム原子又は白金原子を表す。 n1は1~3の整数を表し、n2は0~2の整数を表し、n1+n2は2又は3である。Mがルテニウム原子、ロジウム原子又はイリジウム原子の場合、n1+n2は3であり、Mがパラジウム原子又は白金原子の場合、n1+n2は2である。 E1及びE2は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。但し、E1及びE2の少なくとも一方は炭素原子である。E1及びE2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。 環R1は、5員環又は6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。環R1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、環R1が6員環の芳香族複素環である場合、E1は炭素原子である。 環R2は、5員環若しくは6員環の芳香族炭素環、又は、5員環若しくは6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。環R2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、環R2が6員環の芳香族複素環である場合、E2は炭素原子である。 環R1が有していてもよい置換基と、環R2が有していてもよい置換基とは、互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。 A1-G1-A2は、アニオン性の2座配位子を表す。A1及びA2は、それぞれ独立に、炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表し、これらの原子は環を構成する原子であってもよい。G1は、単結合、又は、A1及びA2と共に2座配位子を構成する原子団を表す。A1-G1-A2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。 【0082】 式(1)で表される燐光発光性化合物は、中心金属であるMと、添え字n1でその数を規定されている配位子と、添え字n2でその数を規定されている配位子とから構成されている。 【0083】 Mがルテニウム原子、ロジウム原子又はイリジウム原子の場合、n1は2又は3であることが好ましく、3であることがより好ましい。 ・・・略・・・ 【0088】 環R1及び環R2が有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子又はデンドロンが好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、ハロゲン原子又はデンドロンがより好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ハロゲン原子又はデンドロンがさらに好ましく、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。 ・・・略・・・ 【0093】 式(1)で表される燐光発光性化合物としては、式(1-A)で表される燐光発光性化合物又は式(1-B)で表される燐光発光性化合物を好適に用いることができる。 【0094】 【化16】 [図:0001408386000010.jpg] 【0095】 式中、 M、n1、n2、E1及びA1-G1-A2は、それぞれ式(1)におけるM、n1、n2、E1及びA1-G1-A2と同じ意味を表す。 E11A、E12A、E13A、E21A、E22A、E23A及びE24Aは、それぞれ独立に、窒素原子又は炭素原子を表す。E11A、E12A、E13A、E21A、E22A、E23A及びE24Aが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。E11A、E12A及びE13Aが窒素原子の場合、R11A、R12A及びR13Aは、存在しても存在しなくてもよい。E21A、E22A、E23A及びE24Aが窒素原子の場合、R21A、R22A、R23A及びR24Aは、存在しない。 R11A、R12A、R13A、R21A、R22A、R23A及びR24Aは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R11A、R12A、R13A、R21A、R22A、R23A及びR24Aが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R11AとR12A、R12AとR13A、R11AとR21A、R21AとR22A、R22AとR23A、及び、R23AとR24Aは、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。 環L1Aは、窒素原子、E1、E11A、E12A及びE13Aとで構成されるトリアゾール環又はイミダゾール環を表す。 環L2Aは、2つの炭素原子、E21A、E22A、E23A及びE24Aとで構成されるベンゼン環、ピリジン環又はピリミジン環を表す。 【0096】 【化17】 [図:0001408386000011.jpg] 【0097】 式中、 M、n1、n2及びA1-G1-A2は、それぞれ式(1)におけるM、n1、n2及びA1-G1-A2と同じ意味を表す。 E11B、E12B、E13B、E14B、E21B、E22B、E23B及びE24Bは、それぞれ独立に、窒素原子又は炭素原子を表す。E11B、E12B、E13B、E14B、E21B、E22B、E23B及びE24Bが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。E11B、E12B、E13B、E14B、E21B、E22B、E23B及びE24Bが窒素原子の場合、R11B、R12B、R13B、R14B、R21B、R22B、R23B及びR24Bは、存在しない。 R11B、R12B、R13B、R14B、R21B、R22B、R23B及びR24Bは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子又は置換アミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R11B、R12B、R13B、R14B、R21B、R22B、R23B及びR24Bが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R11BとR12B、R12BとR13B、R13BとR14B、R11BとR21B、R21BとR22B、R22BとR23B、及び、R23BとR24Bは、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。 環L1Bは、窒素原子、炭素原子、E11B、E12B、E13B及びE14Bとで構成されるピリジン環又はピリミジン環を表す。 環L2Bは、2つの炭素原子、E21B、E22B、E23B及びE24Bとで構成されるベンゼン環、ピリジン環又はピリミジン環を表す。 【0098】 以下、式(1-A)で表される燐光発光性化合物及び式(1-B)で表される燐光発光性化合物について詳述する。 【0099】 [式(1-A)で表される燐光発光性化合物] ・・・略・・・ 【0113】 R11A、R12A、R13A、R21A、R22A、R23A及びR24Aがアリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基である場合、発光素子の電力効率がより優れるので、デンドロンであることが好ましい。 【0114】 「デンドロン」とは、原子又は環を分岐点とする規則的な樹枝状分岐構造(即ち、デンドリマー構造)を有する基を意味する。 ・・・略・・・ 【0115】 デンドロンとしては、式(D-A)又は(D-B)で表される基が好ましい。 【0116】 【化18】 [図:0001408386000012.jpg] 【0117】 式中、 mDA1、mDA2及びmDA3は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。 GDAは、窒素原子、芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。 ArDA1、ArDA2及びArDA3は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArDA1、ArDA2及びArDA3が複数ある場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。 TDAは、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるTDAは、同一でも異なっていてもよい。 なお、*は結合位置を表す。 ・・・略・・・ 【0131】 式(D-A)で表される基は、好ましくは式(D-A1)、(D-A2)又は(D-A3)で表される基(以下、場合により「式(D-A1)~(D-A3)で表される基」という。)である。 【0132】 【化23】 [図:0001408386000013.jpg] 【0133】 式中、 Rp1、Rp2及びRp3は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はハロゲン原子を表す。Rp1及びRp2が複数ある場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。 np1は、0~5の整数を表し、np2は0~3の整数を表し、np3は0又は1を表す。複数あるnp1は、同一でも異なっていてもよい。 ・・・略・・・ 【0149】 [式(1-B)で表される燐光発光性化合物] 式(1-B)で表される燐光発光性化合物は、中心金属であるMと、添え字n1でその数を規定されている配位子と、添え字n2でその数を規定されている配位子とから構成されている。 ・・・略・・・ 【0154】 R11B、R12B、R13B及びR14Bがアリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基である場合、R11B又はR13Bがアリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であることがより好ましく、R11Bがアリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であることがより好ましい。これらの基は、発光素子の電力効率がより優れるので、デンドロンであることが好ましい。デンドロンの例示及び好ましい態様としては、式(1-A)で表される燐光発光性化合物におけるデンドロンの例示及び好ましい態様と同じものが挙げられる。 ・・・略・・・ 【0159】 R21B、R22B、R23B、及びR24Bがアリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基である場合、発光素子の電力効率がより優れるので、デンドロンであることが好ましい。デンドロンの例示及び好ましい態様としては、式(1-A)で表される燐光発光性化合物におけるデンドロンの例示及び好ましい態様と同じものが挙げられる。 ・・・略・・・ 【0166】 式(1-B)で表される燐光発光性化合物としては、例えば、下記で表される燐光発光性化合物が挙げられる。 ・・・略・・・ 【0168】 【化33】 [図:0001408386000014.jpg] ・・・略・・・ 【0171】 [ホスト材料] 本実施形態に係る発光素子の電力効率が優れるため、本実施形態に係る発光素子の第1の有機層は、少なくとも1種の燐光発光性化合物と、正孔注入性、正孔輸送性、電子注入性及び電子輸送性からなる群から選ばれる少なくとも1つの機能を有するホスト材料とを含有する組成物を用いて形成される層であることが好ましい。該組成物において、ホスト材料は、1種単独で含有されていても、2種以上含有されていてもよい。 ・・・略・・・ 【0174】 ホスト材料の有する最低励起三重項状態(T1)は、本実施形態に係る発光素子の電力効率が優れるので、第1の有機層の形成に用いられる燐光発光性化合物の有するT1と同等のエネルギー準位、又は、より高いエネルギー準位であることが好ましい。 ・・・略・・・ 【0176】 ホスト材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。 【0177】 [低分子ホスト] ホスト材料として好ましい低分子化合物(以下、「低分子ホスト」という。)に関して以下に説明する。低分子ホストは、上記ホスト材料のうち、分子量分布を有さず、分子量が1×104以下の化合物である。 ・・・略・・・ 【0203】 [高分子ホスト] ホスト材料として好ましい高分子化合物(以下、「高分子ホスト」という。)に関して以下に説明する。高分子ホストは、上記ホスト材料のうち、分子量分布を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量が1×103~1×108の重合体である。 【0204】 高分子ホストとしては、例えば、後述の正孔輸送材料である高分子化合物、後述の電子輸送材料である高分子化合物が挙げられる。 【0205】 高分子ホストは、好ましくは、式(Y)で表される構成単位を含む高分子化合物である。 【0206】 【化41】 [図:0001408386000015.jpg] 【0207】 式中、ArY1は、アリーレン基、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。 【0208】 ArY1で表されるアリーレン基は、より好ましくは、式(A-1)、(A-2)、(A-6)~(A-10)、(A-19)又は(A-20)で表される基であり、更に好ましくは、式(A-1)、(A-2)、(A-7)、(A-9)又は(A-19)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。 【0209】 ArY1で表される2価の複素環基は、より好ましくは、式(AA-1)~(AA-4)、(AA-10)~(AA-15)、(AA-18)~(AA-21)、(AA-33)又は(AA-34)で表される基であり、更に好ましくは、式(AA-4)、(AA-10)、(AA-12)、(AA-14)又は(AA-33)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。 【0210】 ArY1で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基における、アリーレン基及び2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲は、それぞれ、前述のArY1で表されるアリーレン基及び2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲と同様である。 【0211】 「少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基」としては、例えば、下記式で表される基が挙げられ、これらは置換基を有していてもよい。 【0212】 【化42】 [図:0001408386000016.jpg] 【0213】 式中、RXXは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。 【0214】 RXXは、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。 【0215】 ArY1で表される基が有してもよい置換基は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。 【0216】 式(Y)で表される構成単位としては、例えば、式(Y-1)、(Y-2)、(Y-3)、(Y-4)、(Y-5)、(Y-6)、(Y-7)、(Y-8)、(Y-9)又は(Y-10)で表される構成単位(以下、「式(Y-1)~(Y-10)で表される構成単位」ともいう。)が挙げられ、本実施形態に係る発光素子の輝度寿命の観点からは、好ましくは式(Y-1)~(Y-3)で表される構成単位であり、本実施形態に係る発光素子の電子輸送性の観点からは、好ましくは式(Y-4)~(Y-7)で表される構成単位であり、本実施形態に係る発光素子の正孔輸送性の観点からは、好ましくは式(Y-8)~(Y-10)で表される構成単位である。 【0217】 【化43】 [図:0001408386000017.jpg] 【0218】 式中、RY1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRY1は、同一でも異なっていてもよく、隣接するRY1同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。 【0219】 RY1は、好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。 ・・・略・・・ 【0251】 式(Y)で表される構成単位としては、例えば、式(Y-101)、(Y-102)、(Y-103)、(Y-104)、(Y-105)、(Y-106)、(Y-107)、(Y-108)、(Y-109)、(Y-110)、(Y-111)、(Y-112)、(Y-113)、(Y-114)、(Y-115)、(Y-116)、(Y-117)、(Y-118)、(Y-119)、(Y-120)又は(Y-121)で表されるアリーレン基(以下、場合により「式(Y-101)~(Y-121)で表されるアリーレン基」という。)からなる構成単位、式(Y-201)、(Y-202)、(Y-203)、(Y-204)、(Y-205)又は(Y-206)で表される2価の複素環基(以下、場合により「式(Y-201)~(Y-206)で表される2価の複素環基」という。)からなる構成単位、式(Y-301)、(Y-302)、(Y-303)又は(Y-304)(以下、場合により「式(Y-301)~(Y-304)」という。)で表される、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基からなる構成単位が挙げられる。 【0252】 【化55】 [図:0001408386000018.jpg] 【0253】 【化56】 [図:0001408386000019.jpg] 【0254】 【化57】 [図:0001408386000020.jpg] 【0255】 【化58】 [図:0001408386000021.jpg] 【0256】 【化59】 [図:0001408386000022.jpg] 【0257】 【化60】 [図:0001408386000023.jpg] 【0258】 【化61】 [図:0001408386000024.jpg] 【0259】 【化62】 [図:0001408386000025.jpg] 【0260】 【化63】 [図:0001408386000026.jpg] 【0261】 式(Y)で表される構成単位であって、ArY1がアリーレン基である構成単位は、所定量含まれることで発光素子の輝度寿命がより優れる傾向がある。 ・・・略・・・ 【0262】 式(Y)で表される構成単位であって、ArY1が2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基である構成単位は、所定量含まれることで発光素子の電荷輸送性がより優れる傾向がある。 ・・・略・・・ 【0264】 高分子ホストは、正孔輸送性が優れるので、更に、下記式(X)で表される構成単位を含むことが好ましい。 【0265】 【化64】 [図:0001408386000027.jpg] 【0266】 式中、 aX1及びaX2は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。 ArX1及びArX3は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。 ArX2及びArX4は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArX2及びArX4が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。 RX1、RX2及びRX3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RX2及びRX3が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。 【0267】 aX1は、本実施形態に係る発光素子の輝度寿命がより優れるので、好ましくは2以下であり、より好ましくは1である。 【0268】 aX2は、本実施形態に係る発光素子の輝度寿命がより優れるので、好ましくは2以下であり、より好ましくは0である。 【0269】 RX1、RX2及びRX3は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。 【0270】 ArX1及びArX3で表されるアリーレン基は、より好ましくは式(A-1)又は(A-9)で表される基であり、更に好ましくは式(A-1)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。 ・・・略・・・ 【0279】 式(X)で表される構成単位は、好ましくは式(X-1)、(X-2)、(X-3)、(X-4)、(X-5)、(X-6)又は(X-7)で表される構成単位(以下、場合により「式(X-1)~(X-7)で表される構成単位」という。)であり、より好ましくは式(X-1)~(X-6)で表される構成単位であり、更に好ましくは式(X-3)~(X-6)で表される構成単位である。 【0280】 【化65】 [図:0001408386000028.jpg] 【0281】 【化66】 [図:0001408386000029.jpg] 【0282】 【化67】 [図:0001408386000030.jpg] 【0283】 【化68】 [図:0001408386000031.jpg] 【0284】 式中、RX4及びRX5は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、1価の複素環基又はシアノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRX4は、同一でも異なっていてもよい。複数存在するRX5は、同一でも異なっていてもよく、隣接するRX5同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。 【0285】 式(X)で表される構成単位は、正孔輸送性が優れるので、所定量高分子ホストに含まれることが好ましい。 ・・・略・・・ 【0286】 式(X)で表される構成単位としては、例えば、式(X1-1)、(X1-2)、(X1-3)、(X1-4)、(X1-5)、(X1-6)、(X1-7)、(X1-8)、(X1-9)、(X1-10)又は(X1-11)で表される構成単位(以下、場合により「式(X1-1)~(X1-11)で表される構成単位」という。)が挙げられ、好ましくは式(X1-3)~(X1-10)で表される構成単位である。 【0287】 【化69】 [図:0001408386000032.jpg] 【0288】 【化70】 [図:0001408386000033.jpg] 【0289】 【化71】 [図:0001408386000034.jpg] 【0290】 【化72】 [図:0001408386000035.jpg] 【0291】 【化73】 [図:0001408386000036.jpg] ・・・略・・・ 【0293】 高分子ホストとしては、例えば、表1の高分子化合物(P-1)、(P-2)、(P-3)、(P-4)、(P-5)及び(P-6)が挙げられる。 【0294】 【表1】 [図:0001408386000037.jpg] ・・・略・・・ 【0331】 <第2の有機層> 第2の有機層は、1種又は2種以上の高分子化合物が配合された高分子組成物を用いて形成される層である。上記高分子化合物の少なくとも1種は、架橋基を有する高分子化合物(具体的には、上記高分子化合物の少なくとも1種は、架橋基を有する構成単位を含む高分子化合物)(以下、「架橋性高分子化合物」ともいう。)である。また、上記高分子化合物の少なくとも1種は、燐光発光性構成単位を含む高分子化合物(以下、「燐光発光性高分子化合物」ともいう。)である。第2の有機層は、好ましくは、上記高分子組成物から形成される高分子硬化物を含む。 【0332】 本実施形態においては、一種の高分子化合物が、燐光発光性構成単位及び架橋基の両方を有していてもよい(具体的には、一種の高分子化合物が、燐光発光性構成単位、及び、架橋基を有する構成単位の両方を含んでいてもよい)。すなわち、上記高分子化合物は、燐光発光性構成単位及び架橋基を有する高分子化合物(具体的には、燐光発光性構成単位、及び、架橋基を有する構成単位を含む高分子化合物)(以下、「架橋性燐光発光性高分子化合物」ともいう。)を含むものであってよい。 【0333】 ・・・・略・・・すなわち、上記高分子化合物は、燐光発光性高分子化合物、及び、架橋性高分子化合物の2種を少なくとも含むものであってもよい。 【0334】 好適な一態様において、高分子化合物(架橋性高分子化合物を含む1種又は2種以上の高分子化合物)は、高分子化合物を構成する各単量体単位について、全単量体単位の総モルに対するその単量体単位のモル比Cとその単量体単位の分子量Mとを乗じた値x、及び、モル比Cとその単量体単位が有する架橋基の数nとを乗じた値yを求めたとき、xの総和X1及びyの総和Y1から計算される(Y1×1000)/X1の値が、0.6以上となる。 【0335】 第2の有機層が、一種の高分子化合物(架橋性燐光発光性高分子化合物)を用いて形成される層である場合、一種の高分子化合物を構成する各単量体単位について、一種の高分子化合物を構成する全単量体単位の総モルに対するその単量体単位のモル比Cとその単量体単位の分子量Mとを乗じた値x、及び、モル比Cとその単量体単位が有する架橋基の数nとを乗じた値yを求めたとき、xの総和X1及びyの総和Y1から計算される(Y1×1000)/X1の値が、0.6以上となる。 【0336】 第2の有機層が、二種以上の高分子化合物(架橋性高分子化合物、及び、燐光発光性高分子化合物を含む二種以上の高分子化合物)が配合された高分子組成物を用いて形成される層である場合、各高分子化合物について求めた(Y1×1000)/X1の値の加重平均(二種以上の高分子化合物の配合量比からの平均値)が、0.6以上となる。 【0337】 第2の有機層が、架橋基を有する架橋性高分子化合物と、架橋基を有さない高分子化合物(具体的には、燐光発光性高分子化合物)とが配合された高分子組成物を用いて形成される層である場合、架橋基を有さない高分子化合物としては、例えば、式(Y)で表される構成単位及び式(X)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位を含む高分子化合物が挙げられる。 【0338】 [架橋性高分子化合物] 架橋性高分子化合物は、本実施形態に係る発光素子の電力効率が優れるので、架橋基A群から選ばれる少なくとも1種の架橋基を有する高分子化合物であることが好ましい。 【0339】 架橋基A群から選ばれる架橋基としては、本実施形態に係る発光素子の電力効率がより優れるので、好ましくは、式(XL-1)、(XL-3)、(XL-9)、(XL-16)又は(XL-17)で表される架橋基であり、より好ましくは、式(XL-1)、(XL-16)又は(XL-17)で表される架橋基であり、更に好ましくは、式(XL-1)又は(XL-17)で表される架橋基である。 【0340】 架橋性高分子化合物は、架橋基を有する構成単位(以下、「架橋構成単位」ともいう。)を有する。架橋構成単位は、後述する式(2)又は(3)で表される構成単位であることが好ましいが、下記式で表される構成単位であってもよい。 ・・・略・・・ 【0342】 架橋性高分子化合物は、架橋基A群から選ばれる少なくとも一種の架橋基を有する架橋構成単位を有することが好ましく、該架橋構成単位は、式(2)で表される構成単位又は式(3)で表される構成単位であることが好ましい。 【0343】 【化75】 [図:0001408386000038.jpg] 【0344】 式中、 nAは0~5の整数を表し、nは1又は2を表す。 Ar1は、芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。 LAは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、-NR’-で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R’は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。LAが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。 Xは、架橋基A群から選ばれる架橋基を表す。Xが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。 【0345】 nAは、本実施形態に係る発光素子の電力効率が優れるため、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。 【0346】 nは、本実施形態に係る発光素子の電力効率が優れるので、好ましくは2である。 【0347】 Ar1は、本実施形態に係る発光素子の電力効率が優れるので、好ましくは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。 【0348】 Ar1で表される芳香族炭化水素基において、芳香環を構成する炭素原子の数は、通常6~60であり、好ましくは6~30であり、より好ましくは6~18である。 【0349】 Ar1で表される芳香族炭化水素基のn個の置換基を除いたアリーレン基部分は、好ましくは式(A-1)~(A-20)で表される基であり、より好ましくは式(A-1)、(A-2)、(A-6)~(A-10)、(A-19)又は(A-20)で表される基であり、さらに好ましくは、式(A-1)、(A-2)、(A-7)、(A-9)又は(A-19)で表される基である。これらの基は置換基を有していてもよい。 【0350】 Ar1で表される複素環基において、複素環及び複素環と縮環した環を構成する炭素原子の数は、通常2~60であり、好ましくは3~20であり、より好ましくは4~15である。 【0351】 Ar1で表される複素環基のn個の置換基を除いた2価の複素環基部分は、好ましくは式(AA-1)~(AA-34)で表される基である。 【0352】 Ar1で表される芳香族炭化水素基及び複素環基は置換基を有していてもよい。芳香族炭化水素基及び複素環基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、1価の複素環基及びシアノ基が挙げられる。 【0353】 LAで表されるアルキレン基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~10であり、好ましくは1~5であり、より好ましくは1~3である。LAで表されるシクロアルキレン基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~10である。 【0354】 LAで表されるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基が挙げられる。LAで表されるアルキレン基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、ハロゲン原子及びシアノ基が挙げられる。 【0355】 LAで表されるシクロアルキレン基としては、例えば、シクロヘキシレン基、シクロペンチレンが挙げられる。LAで表されるシクロアルキレン基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、ハロゲン原子及びシアノ基が挙げられる。 【0356】 LAで表されるアリール基は、置換基を有していてもよい。アリール基としては、o-フェニレン、m-フェニレン、p-フェニレンが挙げられる。アリール基が有してもよい置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子、シアノ基及び架橋基A群から選ばれる架橋基が挙げられる。 【0357】 LAは、架橋基含有高分子化合物の合成が容易になるため、好ましくは、フェニレン基又はメチレン基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。 【0358】 Xで表される架橋基の好ましい範囲、より好ましい範囲及び更に好ましい範囲は、前述の架橋基A群から選ばれる架橋基の好ましい範囲、より好ましい範囲及び更に好ましい範囲と同じである。 ・・・略・・・ 【0360】 【化76】 [図:0001408386000039.jpg] 【0361】 式中、 mAは0~5の整数を表し、mは1~4の整数を表し、cは0又は1を表す。mAが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。 Ar3は、芳香族炭化水素基、複素環基、又は、少なくとも1種の芳香族炭化水素環と少なくとも1種の複素環とが直接結合した基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。 Ar2及びAr4は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。 Ar2、Ar3及びAr4はそれぞれ、当該基が結合している窒素原子に結合している当該基以外の基と、直接又は酸素原子若しくは硫黄原子を介して結合して、環を形成していてもよい。 KAは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、-NR’’-で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R’’は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。KAが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。 X’は、架橋基、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。X’が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、少なくとも1つのX’は、架橋基である。 【0362】 mAは、本実施形態に係る発光素子の電力効率が優れるので、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。 【0363】 mは、本実施形態に係る発光素子の電力効率が優れるので、好ましくは2である。 【0364】 cは、架橋基含有高分子化合物の合成が容易となり、かつ、本実施形態に係る発光素子の電力効率が優れるため、好ましくは0である。 【0365】 Ar3は、本実施形態に係る発光素子の電力効率が優れるので、好ましくは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。 【0366】 Ar3で表される芳香族炭化水素基のm個の置換基を除いたアリーレン基部分の定義や例は、前述の式(X)におけるArX2で表されるアリーレン基の定義や例と同じである。 【0367】 Ar3で表される複素環基のm個の置換基を除いた2価の複素環基部分の定義や例は、前述の式(X)におけるArX2で表される2価の複素環基部分の定義や例と同じである。 【0368】 Ar3で表される少なくとも1種の芳香族炭化水素環と少なくとも1種の複素環が直接結合した基のm個の置換基を除いた2価の基の定義や例は、前述の式(X)におけるArX2で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基の定義や例と同じである。 【0369】 Ar2及びAr4は、本実施形態に係る発光素子の輝度寿命がより優れるので、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。 【0370】 Ar2及びAr4で表されるアリーレン基の定義や例は、前述の式(X)におけるArX1及びArX3で表されるアリーレン基の定義や例と同じである。 【0371】 Ar2及びAr4で表される2価の複素環基の定義や例は、前述の式(X)におけるArX1及びArX3で表される2価の複素環基の定義や例と同じである。 【0372】 Ar2、Ar3及びAr4で表される基は置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、1価の複素環基及びシアノ基が挙げられる。 【0373】 KAで表されるアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基の定義や例は、それぞれ、LAで表されるアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基の定義や例と同じである。 【0374】 KAは、架橋基含有高分子化合物の合成が容易になるため、好ましくは、フェニレン基又はメチレン基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。 【0375】 X’で表される架橋基の好ましい範囲、より好ましい範囲及び更に好ましい範囲は、前述の架橋基A群から選ばれる架橋基の好ましい範囲、より好ましい範囲及び更に好ましい範囲と同じである。 【0376】 式(3)で表される構成単位は、架橋性高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。 【0377】 式(2)で表される構成単位としては、例えば、式(2-1)、(2-2)、(2-3)・・・略・・・(2-20)・・・・略・・・(2-27)・・・・略・・・又は(2-31)で表される構成単位(以下、場合により「式(2-1)~(2-31)で表される構成単位」という。)が挙げられる。式(3)で表される構成単位としては、例えば、式(3-1)、(3-2)、(3-3)・・・略・・・で表される構成単位・・・略・・・が挙げられる。 ・・・略・・・ 【0379】 【化77】 ・・・略・・・ [図:0001408386000040.jpg] ・・・略・・・ 【0380】 【化78】 ・・・略・・・ [図:0001408386000041.jpg] ・・・略・・・ [図:0001408386000042.jpg] ・・・略・・・ [図:0001408386000043.jpg] 【0381】 【化79】 ・・・略・・・ [図:0001408386000044.jpg] ・・・略・・・ 【0382】 架橋性高分子化合物は、正孔輸送性が優れるので、式(X)で表される構成単位をさらに含むことが好ましい。 【0383】 架橋性高分子化合物が含んでいてもよい式(X)で表される構成単位の定義及び例は、前述の高分子ホストが含んでいてもよい式(X)で表される構成単位の定義及び例と同じである。 【0384】 式(X)で表される構成単位は、正孔輸送性が優れるので、所定量、架橋性高分子化合物に含まれることが好ましい。 ・・・略・・・ 【0385】 式(X)で表される構成単位は、架橋性高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。 【0386】 架橋性高分子化合物は、式(Y)で表される構成単位をさらに含んでいてもよい。 【0387】 架橋性高分子化合物が含んでいてもよい式(Y)で表される構成単位の定義及び例は、前述の高分子ホストが含んでいてもよい式(Y)で表される構成単位の定義及び例と同じである。 ・・・略・・・ 【0405】 [燐光発光性高分子化合物] 燐光発光性高分子化合物は、燐光発光性構成単位を含む高分子化合物である。燐光発光性構成単位とは、燐光発光性化合物から、該化合物を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子を取り除いてなる基を含む構成単位をいう。燐光発光性化合物としては、例えば、上述した第1の有機層の形成に用いられる燐光発光性化合物が挙げられる。 ・・・略・・・ 【0530】 燐光発光性高分子化合物は、式(X)で表される構成単位を更に含んでいてもよい。また、燐光発光性高分子化合物は、式(Y)で表される構成単位及び/又は式(Y12)で表される構成単位を更に含んでいてもよい。 ・・・略・・・ 【0544】 [架橋基の平均数] 第2の有機層は、架橋基を有する架橋性高分子化合物を含む1種又は2種以上の高分子化合物が配合された高分子組成物を用いて形成される。本実施形態では、第2の有機層の形成に用いられる高分子化合物における架橋基の平均数を示す指標を、以下の方法で求めることができる。 【0545】 まず、高分子化合物を構成する各単量体単位について、全単量体単位の総モルに対するその単量体単位のモル比Cとその単量体単位の分子量Mとを乗じた値x、及び、モル比Cとその単量体単位が有する架橋基の数nとを乗じた値yを求める。次いで、各単量体単位について求めたxの総和をX1、各単量体単位について求めたyの総和をY1とする。 【0546】 このとき、(Y1×1000)/X1の値は、高分子化合物の分子量1000あたりの架橋基の平均数とほぼ等しい値となり、高分子化合物における架橋基の平均数を示す指標として有効に用いることができる。以下、場合により(Y1×1000)/X1の値を「分子量1000あたりの架橋基の平均数」という。 【0547】 具体的な架橋基の平均数の算出方法を、下記実施例1で用いた高分子化合物P1で詳細に説明する。 【0548】 高分子化合物P1は、単量体である化合物MM1、化合物MM2、化合物MM3及び化合物MM4から形成される単量体単位を有する。全単量体の総モルに対する比率は、化合物MM1が0.40、化合物MM2が0.10、化合物MM3が0.47、化合物MM4が0.03である。また、化合物MM1から形成される単量体単位の分子量は776.45、化合物MM2から形成される単量体単位の分子量は240.20、化合物MM3から形成される単量体単位の分子量は750.51、化合物MM4から形成される単量体単位の分子量は1682.77である。また、化合物MM1が有する架橋基の数は2、化合物MM2が有する架橋基の数は2、化合物MM3が有する架橋基の数は0、化合物MM4が有する架橋基の数は0である。 【0549】 よって、X1は、以下のとおり求められる。 (0.40×776.45)+(0.10×240.20)+(0.47×750.51)+(0.03×1682.77)=737.82 【0550】 また、Y1は、以下のとおり求められる。 (0.40×2)+(0.10×2)+(0.47×0)+(0.03×0)=1.00 【0551】 よって、分子量1000あたりの架橋基の平均数は、以下のとおり求められる。 (1.00×1000)/737.82=1.36 【0552】 高分子組成物が、高分子化合物として2種以上の高分子化合物を含む場合、(Y1×1000)/X1の値は、各高分子化合物を構成する単量体単位に基づいて求められる。また、各高分子化合物について(Y1×1000)/X1の値を求め、各高分子化合物の配合量比から、高分子化合物全体の(Y1×1000)/X1の値を求めることができる。 【0553】 具体的な算出方法を、下記実施例2の高分子化合物P1及び高分子化合物P2を90:10の比で配合した場合について説明する。 【0554】 高分子化合物P1における分子量1000あたりの架橋基の平均数は、1.36である。 【0555】 高分子化合物P2は、単量体である化合物MM1、化合物MM2、化合物MM5、化合物MM3及び化合物MM4から形成される単量体単位を有する。全単量体の総モルに対する比率は、化合物MM1が0.05、化合物MM2が0.05、化合物MM5が0.40、化合物MM3が0.47、化合物MM4が0.03である。また、・・・略・・・化合物MM5から形成される単量体単位の分子量は244.23・・・略・・・である。また、・・・略・・・化合物MM5が有する架橋基の数は0・・・略・・・である。 【0556】 よって、X1は、以下のとおり求められる。 (0.05×776.45)+(0.05×240.20)+(0.40×244.23)+(0.47×750.51)+(0.03×1682.77)=551.75 【0557】 また、Y1は、以下のとおり求められる。 (0.05×2)+(0.05×2)+(0.40×0)+(0.47×0)+(0.03×0)=0.20 【0558】 よって、分子量1000あたりの架橋基の平均数は、以下のとおり求められる。 (0.20×1000)/551.75=0.36 【0559】 高分子化合物P1及び高分子化合物P2を90:10の比で配合した場合の高分子化合物全体の(Y1×1000)/X1の値は、以下のとおり求められる。 (1.36×0.9)+(0.36×0.1)=1.26 【0560】 本実施形態において、分子量1000あたりの架橋基の平均数は、好ましくは0.7以上であり、より好ましくは0.8以上であり、さらに好ましくは1.0以上であり、1.1以上であることが一層好ましく、1.2以上であることが特に好ましい。架橋基の平均数が増えることによって、架橋性高分子化合物により緻密な膜が形成され、第2の有機層の電荷輸送性及び/又は第2の有機層から第1の有機層への電荷注入が改善されると考えられる。 【0561】 また、本実施形態において、分子量1000あたりの架橋基の平均数は、例えば10以下であってよく、3以下であってもよい。架橋基の平均数をこの範囲とすることで、本実施形態に係る発光素子の輝度寿命が優れるという効果が奏される。 【0562】 [第2の有機層の組成物] 第2の有機層は、上記高分子化合物と、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料、酸化防止剤及び溶媒からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料とを含有する組成物(以下、「第2の有機層の組成物」ともいう。)を用いて形成される層であってもよい。 【0563】 例えば、第2の有機層は、第2の有機層の組成物を硬化させた硬化物を含む層であってよい。第2の有機層の組成物は、例えば、高分子化合物中の架橋基を架橋することによって硬化することができる。」 (2) 「【実施例】 【0637】 以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。 ・・・略・・・ 【0642】 (1)燐光発光性化合物 ・・・略・・・ 【0644】 <1-2>燐光発光性化合物2 ・・・略・・・ 【0645】 【化113】 [図:0001408386000045.jpg] 【0646】 <1-3>燐光発光性化合物3 ・・・略・・・ 【0647】 【化114】 [図:0001408386000046.jpg] 【0648】 <1-4>燐光発光性化合物4 ・・・略・・・ 【0649】 【化115】 [図:0001408386000047.jpg] 【0650】 <1-5>燐光発光性化合物5 ・・・略・・・ 【0651】 【化116】 [図:0001408386000048.jpg] ・・・略・・・ 【0690】 <2-10>高分子化合物P1の合成 以下の工程1~4により、高分子化合物P1を合成した。 【0691】 【化126】 [図:0001408386000049.jpg] 【0692】 (工程1)反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物MM1(0.81933g)、国際公開第2013/146806号に記載の化合物MM2(0.09907g)、国際公開第2005/049546号に記載の化合物MM3(0.86215g)、国際公開第2009/157424号に記載の化合物MM4(0.11290g)、ジクロロビス(トリス-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(1.76mg)及びトルエン(34mL)を加え、105℃に加熱した。 【0693】 (工程2)反応液に、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(6.7mL)を滴下し、6時間還流させた。 【0694】 (工程3)反応後、そこに、フェニルボロン酸(48.8mg)及びジクロロビス(トリス-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(0.88mg)を加え、14.5時間還流させた。 【0695】 (工程4)その後、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。冷却後、得られた反応液を、水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに滴下したところ、沈澱が生じた。得られた沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムの順番で通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物P1を1.22g得た。 【0696】 高分子化合物P1のポリスチレン換算の数平均分子量は3.0×104であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.7×105であった。 【0697】 高分子化合物P1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物MM1から形成される構成単位と、化合物MM2から形成される構成単位と、化合物MM3から形成される構成単位と、化合物MM4から形成される構成単位とを、40:10:47:3のモル比で含む共重合体である。高分子化合物P1について、上述の方法で計算した分子量1000あたりの架橋基の平均数は1.36であった。 【0698】 <2-11>高分子化合物P2の合成 以下の方法により、高分子化合物P2を合成した。 【0699】 【化127】 [図:0001408386000050.jpg] 【0700】 上記高分子化合物P1の合成における(工程1)を、下記(工程1-2)に変更したこと以外は、上記高分子化合物P1の合成と同様の方法により、高分子化合物P2を0.98g得た。 【0701】 (工程1-2)反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物MM1(0.10369g)、化合物MM2(0.04951g)、特開2010-189630号公報に記載の化合物MM5(0.39465g)、化合物MM3(0.86213g)、化合物MM4(0.11563g)、ジクロロビス(トリス-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(1.76mg)及びトルエン(30mL)を加え、105℃に加熱した。 【0702】 高分子化合物P2のポリスチレン換算の数平均分子量は4.8×104であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.0×105であった。 【0703】 高分子化合物P2は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物MM1から形成される構成単位と、化合物MM2から形成される構成単位と、化合物MM5から形成される構成単位と、化合物MM3から形成される構成単位と、化合物MM4から形成される構成単位とを、5:5:40:47:3のモル比で含む共重合体である。高分子化合物P2について、上述の方法で計算した分子量1000あたりの架橋基の平均数は0.36であった。 ・・・略・・・ 【0722】 <2-16>高分子化合物P3の合成 以下の方法により、高分子化合物P3を合成した。 【0723】 【化132】 [図:0001408386000051.jpg] 【0724】 上記高分子化合物P1の合成における(工程1)を、下記(工程1-3)に変更したこと以外は、上記高分子化合物P1の合成と同様の方法により、高分子化合物P3を1.19g得た。 【0725】 (工程1-3)反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物MM6(0.80419g)、国際公開第2013/191088号に記載の化合物MM7(0.11088g)、化合物MM3(0.86213g)、化合物MM4(0.11288g)、ジクロロビス(トリス-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(0.88mg)及びトルエン(34mL)を加え、105℃に加熱した。 【0726】 高分子化合物P3のポリスチレン換算の数平均分子量は3.0×104であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.0×105であった。 【0727】 高分子化合物P3は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物MM6から形成される構成単位と、化合物MM7から形成される構成単位と、化合物MM3から形成される構成単位と、化合物MM4から形成される構成単位とを、40:10:47:3のモル比で含む共重合体である。高分子化合物P3について、上述の方法で計算した分子量1000あたりの架橋基の平均数は0.82であった。 【0728】 <2-17>高分子化合物P4の合成 以下の方法により、高分子化合物P4を合成した。 【0729】 【化133】 [図:0001408386000052.jpg] 【0730】 上記高分子化合物P1の合成における(工程1)を下記(工程1-4)に変更し、(工程2)を下記(工程2-4)に変更し、(工程3)を下記(工程3-4)に変更したこと以外は、上記高分子化合物P1の合成と同様の方法により、高分子化合物P4を2.01g得た。 【0731】 (工程1-4)反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、特開2011-174062号公報に記載の化合物MM12(0.27281g)、化合物MM3(0.37418g)、化合物MM4(0.16929g)、ジクロロビス(トリス-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(0.44mg)及びトルエン(31mL)を加え、105℃に加熱した。 【0732】 (工程2-4)反応液に、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(10.0mL)を滴下し、3.5時間還流させた後、化合物MM1(0.92538g)、化合物MM7(0.16637g)、化合物MM3(0.91904g)、ジクロロビス(トリス-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(0.88mg)及びトルエン(13mL)を加え、さらに、6時間還流させた。 【0733】 (工程3-4)反応後、そこに、フェニルボロン酸(73.2mg)及びジクロロビス(トリス-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(1.32mg)を加え、14.5時間還流させた。 【0734】 高分子化合物P4のポリスチレン換算の数平均分子量は3.3×104であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は1.7×105であった。 【0735】 高分子化合物P4は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物MM12から形成される構成単位と、化合物MM1から形成される構成単位と、化合物MM7から形成される構成単位と、化合物MM3から形成される構成単位と、化合物MM4から形成される構成単位とを、10:30:10:47:3のモル比で含む共重合体である。高分子化合物P4について、上述の方法で計算した分子量1000あたりの架橋基の平均数は1.09であった。 【0736】 <2-18>高分子化合物P5の合成 以下の方法により、高分子化合物P5を合成した。 【0737】 【化134】 [図:0001408386000053.jpg] 【0738】 上記高分子化合物P1の合成における(工程1)を下記(工程1-5)に変更し、(工程2)を下記(工程2-5)に変更し、(工程3)を下記(工程3-5)に変更したこと以外は、上記高分子化合物P1の合成と同様の方法により、高分子化合物P5を1.26g得た。 【0739】 (工程1-5)反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物MM1(1.23596g)、化合物MM2(0.14849g)、特開2007-511636号公報に記載の化合物MM13(0.60981g)、化合物MM4(0.16851g)、ジクロロビス(トリス-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(2.64mg)及びトルエン(31mL)を加え、105℃に加熱した。 【0740】 (工程2-5)反応液に、16重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(20.7mL)を滴下し、6時間還流させた。 【0741】 (工程3-5)反応後、そこに、フェニルボロン酸(73.2mg)及びジクロロビス(トリス-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(1.32mg)を加え、14.5時間還流させた。 【0742】 高分子化合物P5のポリスチレン換算の数平均分子量は3.7×104であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は1.7×105であった。 【0743】 高分子化合物P5は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物MM1から形成される構成単位と、化合物MM2から形成される構成単位と、化合物MM13から形成される構成単位と、化合物MM4から形成される構成単位とを、40:10:47:3のモル比で含む共重合体である。高分子化合物P5について、上述の方法で計算した分子量1000あたりの架橋基の平均数は2.87であった。 ・・・略・・・ 【0767】 <3-3>高分子化合物E3の合成 ・・・略・・・ 【0768】 高分子化合物E3は、理論上では、下記で表される構成単位からなる共重合体である。 【0769】 【化137】 [図:0001408386000054.jpg] ・・・略・・・ 【0775】 [実施例1]発光素子1の作製と評価 ・・・略・・・ 【0777】 (発光層の形成) トルエンに、2,8-di(9H-carbazol-9-yl)dibenzo[b,d]thiophene(DCzDBT)(Luminescence Technology Corp社製)及び燐光発光性化合物1(DCzDBT/燐光発光性化合物1=75重量%/25重量%)を2.0重量%の濃度で溶解させた。得られたトルエン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により75nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱させることにより発光層を形成した。 【0778】 【化139】 [図:0001408386000055.jpg] ・・・略・・・ 【0812】 [実施例10]発光素子10の作製と評価 (陽極及び正孔注入層の形成) ガラス基板にスパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。該陽極上に、ポリチオフェン・スルホン酸系の正孔注入剤であるAQ-1200(Plextronics社製)をスピンコート法により35nmの厚さで成膜し、大気雰囲気下において、ホットプレート上で170℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。 【0813】 (正孔輸送層の形成) キシレンに、高分子化合物P1を0.7重量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱させることにより正孔輸送層を形成した。 【0814】 (発光層の形成) トルエンに、2,8-di(9H-carbazol-9-yl)dibenzo[b,d]thiophene(DCzDBT)(Luminescence Technology Corp社製)、燐光発光性化合物2及び燐光発光性化合物3(DCzDBT/燐光発光性化合物2/燐光発光性化合物3=74重量%/25重量%/1重量%)を2.0重量%の濃度で溶解させた。得られたトルエン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により75nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱させることにより発光層を形成した。 【0815】 (電子輸送層の形成) 2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノールに、高分子化合物E3を0.25重量%の濃度で溶解させた。得られた2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール溶液を用いて、発光層の上にスピンコート法により10nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分加熱させることにより電子輸送層を形成した。 【0816】 (陰極の形成) 電子輸送層の形成した基板を蒸着機内において、1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、発光層の上にフッ化ナトリウムを約4nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止することにより、発光素子10を作製した。 【0817】 (発光光素子の評価) 発光素子10に電圧を印加することによりEL発光が観測された。駆動電圧が6.1[V]の時に1000cd/m2を示し、電力効率は19.1lm/W、色度座標(x,y)は(0.43,0.47)であった。 【0818】 [実施例11]発光素子11の作製と評価 (発光素子の作製) 高分子化合物P1に代えて、高分子化合物P3を用いたこと以外は、実施例10と同様にして発光素子11を作製した。 【0819】 (発光素子の評価) 発光素子11に電圧を印加することによりEL発光が観測された。駆動電圧が5.2[V]の時に1000cd/m2を示し、電力効率は21.6lm/W、色度座標(x,y)は(0.44,0.45)であった。 【0820】 [実施例12]発光素子12の作製と評価 (発光素子の作製) 高分子化合物P1に代えて、高分子化合物P4を用いたこと以外は、実施例10と同様にして発光素子12を作製した。 【0821】 (発光素子の評価) 発光素子12に電圧を印加することによりEL発光が観測された。駆動電圧が5.4[V]の時に1000cd/m2を示し、電力効率は18.5lm/W、色度座標(x,y)は(0.48,0.44)であった。 ・・・略・・・ 【0824】 実施例10~12及び比較例4の結果を表6に示す。 【0825】 【表6】 [図:0001408386000056.jpg] ・・・略・・・ 【0835】 [実施例14]発光素子14の作製と評価 (陽極及び正孔注入層の形成) ガラス基板にスパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。該陽極上に、ポリチオフェン・スルホン酸系の正孔注入剤であるAQ-1200(Plextronics社製)をスピンコート法により35nmの厚さで成膜し、大気雰囲気下において、ホットプレート上で170℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。 【0836】 (正孔輸送層の形成) キシレンに、高分子化合物P1を0.7重量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱させることにより正孔輸送層を形成した。 【0837】 (発光層の形成) トルエンに、2,8-ジ(9H-カルバゾール-9-イル)ジベンゾ[b,d]チオフェン(DCzDBT)(Luminescence TechnologyCorp社製)、燐光発光性化合物4及び燐光発光性化合物3(DCzDBT/燐光発光性化合物4/燐光発光性化合物3=74重量%/25重量%/1重量%)を2.0重量%の濃度で溶解させた。得られたトルエン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により75nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱させることにより発光層を形成した。 【0838】 (電子輸送層の形成) 2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノールに、高分子化合物E3を0.25重量%の濃度で溶解させた。得られた2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール溶液を用いて、発光層の上にスピンコート法により10nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分加熱させることにより電子輸送層を形成した。 【0839】 (陰極の形成) 電子輸送層の形成した基板を蒸着機内において、1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、発光層の上にフッ化ナトリウムを約4nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止することにより、発光素子14を作製した。 【0840】 (発光素子の評価) 発光素子14に電圧を印加することによりEL発光が観測された。駆動電圧が3.9[V]の時に1000cd/m2を示し、電力効率は29.0lm/W、色度座標(x,y)は(0.55,0.41)であった。 ・・・略・・・ 【0843】 実施例14及び比較例6の結果を表8に示す。 【0844】 【表8】 [図:0001408386000057.jpg] ・・・略・・・ 【0857】 [実施例17]発光素子17の作製と評価 (陽極及び正孔注入層の形成) ガラス基板にスパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。該陽極上に、ポリチオフェン・スルホン酸系の正孔注入剤であるAQ-1200(Plextronics社製)をスピンコート法により35nmの厚さで成膜し、大気雰囲気下において、ホットプレート上で170℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。 【0858】 (正孔輸送層の形成) キシレンに、高分子化合物P1を0.7重量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱させることにより正孔輸送層を形成した。 【0859】 (発光層の形成) トルエンに、2,8-ジ(9H-カルバゾール-9-イル)ジベンゾ[b,d]チオフェン(DCzDBT)(Luminescence Technology Corp社製)、燐光発光性化合物5(DCzDBT/燐光発光性化合物5=75重量%/25重量%)を2.0重量%の濃度で溶解させた。得られたトルエン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により75nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱させることにより発光層を形成した。 【0860】 (電子輸送層の形成) 2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノールに、高分子化合物E3を0.25重量%の濃度で溶解させた。得られた2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール溶液を用いて、発光層の上にスピンコート法により10nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分加熱させることにより電子輸送層を形成した。 【0861】 (陰極の形成) 電子輸送層を(当合議体注:「電子輸送層の」における「の」は、「を」の誤記と認められる。)形成した基板を蒸着機内において、1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、発光層の上にフッ化ナトリウムを約4nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止することにより、発光素子17を作製した。 【0862】 (発光素子の評価) 発光素子17に電圧を印加することによりEL発光が観測された。駆動電圧が3.2[V]の時に1000cd/m2を示し、電力効率は38.9lm/W、色度座標(x,y)は(0.55,0.40)であった。 【0863】 [実施例18]発光素子18の作製と評価 (発光素子の作製) 高分子化合物P1に代えて、高分子化合物P5を用いたこと以外は、実施例17と同様にして発光素子18を作製した。 【0864】 (発光素子の評価) 発光素子18に電圧を印加することによりEL発光が観測された。駆動電圧が4.1[V]の時に1000cd/m2を示し、電力効率は28.3lm/W、色度座標(x,y)は(0.44,0.38)であった。 ・・・略・・・ 【0867】 実施例17~18及び比較例8の結果を表10に示す。 【0868】 [図:0001408386000058.jpg] 」 2 引用例1に記載された発明(引用発明1) 上記1の引用例1の記載(【0545】~【0546】(架橋基の平均数)、【0651】(燐光発光性化合物5)、【0737】(高分子化合物P5)、【0743】、【0768】~【0769】(高分子化合物E3)、【0777】~【0778】(DCzDBT)、【0858】~【0862】(実施例17)、【0863】~【0864】(実施例18)、【0868】【表10】等)からみて、引用例1には、「高分子化合物P1に代えて、高分子化合物P5を用いたこと以外は、実施例17と同様にして」作製・評価された、実施例18に係る「発光素子18」の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 「ガラス基板にスパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成し、該陽極上に、ポリチオフェン・スルホン酸系の正孔注入剤であるAQ-1200(Plextronics社製)をスピンコート法により35nmの厚さで成膜し、大気雰囲気下において、ホットプレート上で170℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成し、(【0857】) キシレンに、高分子化合物P5を0.7重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱させることにより正孔輸送層を形成し、(【0858】、【0863】) トルエンに、2,8-ジ(9H-カルバゾール-9-イル)ジベンゾ[b,d]チオフェン(DCzDBT)(Luminescence Technology Corp社製)、燐光発光性化合物5(DCzDBT/燐光発光性化合物5=75重量%/25重量%)を2.0重量%の濃度で溶解させ、得られたトルエン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により75nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱させることにより発光層を形成し、(【0859】) 2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノールに、高分子化合物E3を0.25重量%の濃度で溶解させ、得られた2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール溶液を用いて、発光層の上にスピンコート法により10nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分加熱させることにより電子輸送層を形成し、(【0860】) 電子輸送層を形成した基板を蒸着機内において、1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、発光層の上にフッ化ナトリウムを約4nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約80nm蒸着し、蒸着後、ガラス基板を用いて封止することにより作製した、発光素子18であって、(【0861】) 発光素子18に電圧を印加することによりEL発光が観測された。駆動電圧が4.1[V]の時に1000cd/m2を示し、電力効率は28.3lm/W、色度座標(x,y)は(0.44,0.38)であり、(【0864】) 高分子化合物P5は、化合物MM1から形成される構成単位と、化合物MM2から形成される構成単位と、化合物MM13から形成される構成単位と、化合物MM4から形成される構成単位とを、40:10:47:3のモル比で含む共重合体であり、化合物MM1、化合物MM2、化合物MM13及び化合物MM4はそれぞれ以下のものであり、(【0743】) [図:0001408386000059.jpg] 、(【0737】) 高分子化合物P5を構成する各単量体単位について、全単量体単位の総モルに対するその単量体単位のモル比Cとその単量体単位の分子量Mとを乗じた値x、及び、モル比Cとその単量体単位が有する架橋基の数nとを乗じた値yを求め、次いで、各単量体単位について求めたxの総和をX1、各単量体単位について求めたyの総和をY1とした時、(Y1×1000)/X1から計算した、分子量1000あたりの架橋基の平均数は2.87であり、(【0545】~【0546】、【0743】) 2,8-di(9H-carbazol-9-yl)dibenzo[b,d]thiophene(DCzDBT)(Luminescence Technology Corp社製)、燐光発光性化合物5及び高分子化合物E3は、それぞれ、 [図:0001408386000060.jpg] 、(【0778】) [図:0001408386000061.jpg] 、(【0651】) [図:0001408386000062.jpg] 高分子化合物E3である、(【0768】) 発光素子18。」 3 対比 本願発明と引用発明1とを対比する。 (1) 低分子化合物、燐光発光性遷移金属錯体、第1の有機層 ア 引用発明1の「発光層」の製造工程からみて、引用発明1の「発光層」は、「DCzDBT」及び「燐光発光性化合物5」を含有する。 イ 引用発明1の「DCzDBT」の分子量は、その構造式より、514.64程度である。また、引用発明1の「DCzDBT」は、遷移金属を含まない。 ここで、本件出願明細書の【0029】によれば、「低分子化合物」とは、「分子量分布を有さず、分子量が1×104以下の化合物を意味する」から、引用発明1の「DCzDBT」と、本願発明の「低分子化合物」は、「遷移金属を含まない低分子化合物」である点で共通する。 ウ 引用発明1の「発光層」の「燐光発光性化合物5」は、その名称及び構造式からみて、デンドロンを有する、「燐光発光性」の遷移金属(Ir)錯体である(「デンドロン」については、引用例1の【0114】や本件出願明細書の【0049】等参照)。 また、引用発明1の「燐光発光性化合物5」が有するデンドロンは、本願発明の「式(D-A)」において、「0以上の整数を表す」「mDA1」及び「mDA2」をそれぞれ「0」とし、「GDA」を「芳香族炭化水素基」とし、「TDA」を「置換基」を有する「アリール基」としたものに該当する。 そうすると、引用発明1の「燐光発光性化合物5」は、本願発明の、「デンドロンを有する」とされる、「燐光発光性遷移金属錯体」に相当する。 また、引用発明1は、本願発明の、「前記デンドロンが、式(D-A)又は式(D-B)で表される基であり」との構成を具備する。 エ 引用発明1の「発光層」を構成する各材料の構造式からみて、引用発明1の「発光層」は、有機層である。 そうすると、上記ア~ウより、引用発明1の「発光層」は、本願発明の「第1の有機層」に相当する。また、本願発明と引用発明1は、「前記第1の有機層が」、「デンドロンを有する燐光発光性遷移金属錯体、及び」、「遷移金属を含まない低分子化合物を含有する層であ」る点で共通する。 (2) 架橋材料、架橋基を有する構成単位、高分子化合物、第2の有機層 ア 引用発明1の「正孔輸送層」は、「キシレンに、高分子化合物P5を」「溶解させ、得られたキシレン溶液を用いて、」「正孔注入層の上に」「20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱させることにより」「形成し」たものである。 イ また、引用発明1の「高分子化合物P5」は、以下に示す「化合物MM1から形成される構成単位と、化合物MM2から形成される構成単位と、化合物MM13から形成される構成単位と、化合物MM4から形成される構成単位とを、40:10:47:3のモル比で含む共重合体」である。 [図:0001408386000063.jpg] ウ 上記イの各化合物の化学構造より、引用発明1の「化合物MM1から形成される構成単位」、「化合物MM2から形成される構成単位」及び「化合物MM13から形成される構成単位」は、架橋基を有している。 また、引用発明1の「化合物MM13から形成される構成単位」は、本願発明の「式(2’)で表される構成単位」の「式(2’)」中、「c」を「0」、「mA」を「0」、「Ar4及びAr6」を「それぞれ独立に」「アリーレン基」とし、「X’」を、本願発明の「架橋基A群」の式「(XL-1)」の「架橋基」とした場合に該当する(当合議体注:本件出願明細書の【0252】、【0256】【化54】に「式(2’)で表される構成単位」として例示された式(2’-3)からも理解できることである。)。 エ 上記ウより、引用発明1の「高分子化合物P5」は、本願発明の「高分子化合物」に相当し、両者は、「架橋基A群から選ばれる架橋基を有する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種」を含み、「かつ、前記架橋基A群から選ばれる架橋基を有する構成単位として、式(2’)で表される構成単位を含む」点において共通する。 オ また、引用発明1の「正孔輸送層」の上記アの加熱条件からみて、引用発明の「正孔輸送層」は、「共重合体」である「高分子化合物P5」が、その「化合物MM13から形成される構成単位」(上記イ)が有する「架橋基」(上記ウ)により架橋された架橋体から構成されているといえる(このことは、引用例1の「「架橋基」とは、加熱処理、紫外線照射処理、ラジカル反応等に供することにより、新たな結合を生成することが可能な基であり」(【0063】)及び「加熱又は光照射することで、高分子組成物に含有される架橋性高分子化合物を架橋させて、高分子組成物を硬化させることができる」(【0073】)との記載等からも理解できることである。) そうすると、引用発明の「高分子化合物P5」は、架橋材料ということもでき、また、引用発明の「正孔輸送層」は、「高分子化合物P5」(架橋材料)の架橋体を含有する層である、ということができる。 してみると、引用発明1の「高分子化合物P5」及び「正孔輸送層」は、それぞれ本願発明の「架橋材料」及び「第2の有機層」に相当する。 また、上記ウ及びエより、本願発明と引用発明1とは、「前記架橋材料が」、「下記架橋基A群から選ばれる架橋基を有する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種」を含み、「かつ、前記架橋基A群から選ばれる架橋基を有する構成単位として、式(2’)で表される構成単位を含む高分子化合物であ」る点で共通する。 さらに、引用発明1は、本願発明の、「前記第2の有機層が、架橋材料の架橋体を含有する層であ」るとの構成を具備する。 (3) 陽極、陰極 引用発明1の「陽極」は、本件補正後発明の「陽極」に相当する。 引用発明1の、「陰極として」、「発光層の上に」「蒸着し」た「フッ化ナトリウム層」及び「フッ化ナトリウム層の上に」「蒸着し」た「アルミニウム」は、本願発明の「陰極」に相当する。 (4) 発光素子 上記(1)~(3)より、引用発明1の「発光素子18」は、本願発明の「発光素子」に相当する。 また、引用発明1の製造工程から理解される積層構造からみて、引用発明1の「発光素子18」は、本願発明の「発光素子」の、「陽極と、陰極と、陽極及び陰極の間に設けられた第1の有機層及び第2の有機層と、を有する」との構成を具備する。 4 一致点及び相違点 上記3の対比結果を踏まえると、本願発明と引用発明1は、 「陽極と、陰極と、陽極及び陰極の間に設けられた第1の有機層及び第2の有機層と、を 有する発光素子であって、 前記第1の有機層が、デンドロンを有する燐光発光性遷移金属錯体、及び、遷移金属を含まない低分子化合物を含有する層であり、 前記第2の有機層が、架橋材料の架橋体を含有する層であり、 前記架橋材料が、下記架橋基A群から選ばれる架橋基を有する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種を含み、かつ、前記架橋基A群から選ばれる架橋基を有する構成単位として、式(2’)で表される構成単位を含む高分子化合物であり、 前記デンドロンが、式(D-A)又は式(D-B)で表される基である、発光素子。 【化1】 [図:0001408386000064.jpg] [式中、 mDA1、mDA2及びmDA3は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。 GDAは、芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。 ArDA1、ArDA2及びArDA3は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArDA1、ArDA2及びArDA3が複数ある場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。 TDAは、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるTDAは、同一でも異なっていてもよい。] 【化2】 [図:0001408386000065.jpg] [式中、 mDA1、mDA2、mDA3、mDA4、mDA5、mDA6及びmDA7は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。 GDAは、芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるGDAは、同一でも異なっていてもよい。 ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6及びArDA7は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArDA1、ArDA2、ArDA3、ArDA4、ArDA5、ArDA6及びArDA7が複数ある場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。 TDAは、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるTDAは、同一でも異なっていてもよい。] (架橋基A群) 【化3】 [図:0001408386000066.jpg] [式中、RXLは、メチレン基、酸素原子又は硫黄原子を表し、nXLは、0~5の整数を表す。RXLが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。nXLが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。*1は結合位置を表す。これらの架橋基は置換基を有していてもよく、該置換基が複数存在する場合、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。] 【化4】 [図:0001408386000067.jpg] [式中、 mAは0~5の整数を表し、mは1~4の整数を表し、cは0又は1を表す。mAが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。 Ar5は、芳香族炭化水素基、複素環基、又は、少なくとも1種の芳香族炭化水素環と少なくとも1種の複素環とが直接結合した基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。 Ar4及びAr6は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。 Ar4、Ar5及びAr6はそれぞれ、該基が結合している窒素原子に結合している該基以外の基と、直接結合して、又は、酸素原子若しくは硫黄原子を介して結合して、環を形成していてもよい。 KAは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、-NR’-で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R’は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。KAが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。 X’は、前記架橋基A群から選ばれる架橋基、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。X’が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、少なくとも1つのX’は、前記架橋基A群から選ばれる架橋基である。]」である点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1-1) 「遷移金属を含まない低分子化合物」が、本願発明においては、「最低三重項励起状態のエネルギー準位と最低一重項励起状態のエネルギー準位との差の絶対値が0.25eV以下である」のに対して、引用発明1においては、「DCzDBT」が、当該「差の絶対値」が「0.25eV以下である」かどうか不明である点。 (相違点1-2) 「架橋材料」が、本願発明においては、「式(Y)で表される構成単位、式(X)で表される構成単位、及び下記架橋基A群から選ばれる架橋基を有する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種からなり、かつ、前記架橋基A群から選ばれる架橋基を有する構成単位として、式(2’)で表される構成単位を含む高分子化合物であ」るのに対して、引用発明1においては、「高分子化合物P5」(「架橋材料」)が、「化合物MM1から形成される構成単位と、化合物MM2から形成される構成単位と、化合物MM13から形成される構成単位と、化合物MM4から形成される構成単位とを」「含む」とされるにとどまる点。 (当合議体注:「式(2’)」の再掲は省略する。「式(Y)」及び「式(X)」については、上記「第1」「2 本願発明」において述べたとおりであり、再掲は省略する。) (相違点1-3) 「デンドロンを有する燐光発光性遷移金属錯体」が、本願発明においては、「式(1)で表される金属錯体である」のに対して、引用発明1においては、「燐光発光性化合物5」は、「式(1)で表される金属錯体である」でない点(「燐光発光性化合物5」は、「式(1)」において「環L1」が「6員の芳香族複素環」ではなく、5員の芳香族複素環である点)。 (当合議体注:「式(1)」の再掲は省略する。以下、構造式については同様に再掲を省略することがある。) 5 判断 (1) 相違点1-1について ア 引用例2に記載された技術事項 令和5年9月11日付け拒絶理由通知書において当合議体が通知した拒絶の理由において引用された、国際公開2017/119203号(以下「引用例2」という。)には、次の事項が開示されていると認められる。 (ア)ドーパントやホストが凝集・分解等することによって生成された準位の低い消光物質にエネルギーが移動し易いこと([0006]) (イ)コアシェル型ドーパントの利点(コア部から消光物質へのエネルギー移動速度(Kq)の抑制)と欠点(通常のドーパント20では問題なく行われていたホストからコア部へのキャリア、及び励起子のエネルギーの移動までもが抑制されてしまうこと、ホスト14上でのキャリアの再結合確率が高くなり、生成したホスト14上の励起子のエネルギーがホスト14上で失活しやすく、薄膜の発光寿命が短くなること等。)([0049]~[0050]) (ウ)発光中心であるコア部に対して全方位において消光物質との物理的距離を設けることができるコアシェル型ドーパントである発光性金属錯体の構造及び当該発光性金属錯体の具体例([0067]~[0071]、[0074]、[0079]~[0080]、[0086]~[0090]、請求項5等) (エ)コアシェル型ドーパントである発光性金属錯体に対して励起子のエネルギーを高効率でフェルスター型移動させる「フェルスター型ホスト」([0091]) (オ)「フェルスター型ホスト」として、最低三重項励起状態の準位と最低一重項励起状態の準位との間隔(ΔEst)が小さく、両状態の間で逆項間交差現象を発現する熱活性型遅延蛍光(TADF)を用いること([0096]、図5) (カ)ΔEstが小さく逆項間交差現象を発現する熱活性型遅延蛍光(TADF)を示す化合物の具体例:H-4~H-7 [図:0001408386000068.jpg] [図:0001408386000069.jpg] ([0098]~[0099][化23]) ここで、ΔEstが小さい「H-4」及び「H-5」の置換基「R」の「~」部分を最も単純な直接結合としたものは、それぞれ「4CzIPN」及び「2CzPN」としてよく知られ、そのΔEstがそれぞれ0.083eV及び0.09eVであることは、先の出願時における当業者の技術常識である。 また、「H-7」は、「DIC-TRZ」と略され、ΔEst=0.06eVであること、「H-6」は、「Cz2BP」と略され、ΔEst=0.21eVであることも、先の出願時における当業者の技術常識である。 (当合議体注:各材料の上記ΔEstの値は、例えば、以下に記載されている。 「4CzIPN」(H-4)に関しては、Chihaya Adachi 他,Highly efficient organic light-emitting diodes from delayed fluorescence,NATURE,Vol.492,13 December 2012,p.234-238(他補足資料2頁)(特に、234頁右欄4行~19行、234頁Fig1(a,b)、238頁Fig4(d)等)、 「2CzPN」(H-5)及び「Cz2BP」(H-6)に関しては、Ye Tao 他,Thermally Activated Delayed Fluorescence Materials Towards the Breakthrough of Organoelectronics,ADVANCED MATERAIALS,Vol.26,2014,p.7931-7958(特に、7939頁「Table2」のTADF「45」、「44」、「82」の「ΔEst/eV」欄、7946頁「Figure13a」「45」、「44」、7952頁「Scheme7」「82」等)、 「DIC-TRZ」(H-7)に関しては、Dongdong Zhang 他,High-Efficiency Fluorescent Organic Light-Emitting Devices Using Sensitizing Hosts with a Small Singlet-Triplet Exchange Energy,ADVANCED MATERIALS,Vol.26,2014,p.5050-5055(特に、5051頁右欄7~9行、同頁「Figure 2」「a」「DIC-TRZ」)等)を参照。なお、「H-7」のΔEstについては、本件出願の明細書の【0376】【化82】の「化合物H5」、【0390】【表4】(「実施例D20」の「化合物H5」の「ΔEst」「0.066」)等からも確認できる。) (キ)さらに、上記(ア)~(カ)を総合すれば、引用例2には、次の事項(技術的知見)が開示されていると認められる。 発光中心であるコア部に対して全方位において消光物質との物理的距離を設けることができるコアシェル型ドーパントにおいては、ホストからコア部へのキャリア、及び励起子のエネルギーの移動が抑制されるため、生成したホスト上の励起子のエネルギーがホスト上で失活しやすく薄膜の発光寿命が短くなるという課題があるところ、最低三重項励起状態の準位と最低一重項励起状態の準位との間隔(ΔEst)が小さく逆項間交差を示す熱活性型遅延蛍光(TADF)を示す化合物をフェルスター型ホストとして採用すること(以下「課題解決手段」という。)で、当該課題を解決することができること。 イ 引用発明1の「燐光発光性化合物5」は、デンドロン構造(樹状構造)を有するものであるところ、当該デンドロン構造は、引用例2の「コアシェル型ドーパント」([0067]~[0075](特に[0074])、請求項5等に記載の第2実施形態に係る発光性金属錯体)(上記ア(ウ))と同様、金属錯体(コア)を取り囲む嵩高い分子構造に起因して、ドーパントとホストとの物理的距離が大きくなるから、引用例2に接した当業者であれば、引用発明1の「燐光発光性化合物5」(ドーパントに対応)においても、上記ア(キ)に示した課題(ホストとからゲストへのエネルギーの移動が抑制されるという問題)が生じることを直ちに理解する。 また、電力効率に優れる発光素子を提供すること(引用例1の【0007】参照。)を課題とする引用発明1においても、発光寿命が長いことは当然に望まれる特性である(例えば、引用例1の【0561】には、「分子量1000あたりの架橋基の平均数は、例えば10以下であってよく、3以下であってもよい。架橋基の平均数をこの範囲とすることで、本実施形態に係る発光素子の輝度寿命が優れるという効果が奏される。」との記載がある。引用例1の【0216】、【0261】、【0267】、【0268】、【0369】等の記載も参照。)。 してみると、引用発明1において、引用例2に記載された上記ア(キ)の課題解決手段を心得た当業者が、長い発光寿命が得られるように、引用例2に具体的に示された、ΔEstが小さいH-7(ΔEst=0.06eV)、H-6(ΔEst=0.21eV)、置換基「R」の「~」部分を直接結合とした「H-4」(4CzIPN、ΔEst=0.083eV)、あるいは、置換基「R」の「~」部分を直接結合とした「H-5」(2CzPN、ΔEst=0.09eV)で表されるTADF材料をフェルスター型ホストとして採用して、相違点1-1に係る本願発明の「最低三重項励起状態のエネルギー準位と最低一重項励起状態のエネルギー準位との差の絶対値が0.25eV以下である」を満たす構成とすることは容易に想到し得たことである。 ウ 小括 以上のとおりであるから、引用発明1において、引用例2に記載された技術に基づき、相違点1-1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (2) 相違点1-2について ア 本願発明の「架橋材料」の解釈及び「正孔輸送層」に関する引用例1の記載 まず、本願発明の「架橋材料の架橋体」について、「前記架橋材料が、式(Y)で表される構成単位、式(X)で表される構成単位、及び下記架橋基A群から選ばれる架橋基を有する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種からなり、かつ、前記架橋基A群から選ばれる架橋基を有する構成単位として、式(2’)で表される構成単位を含む高分子化合物であり」という構成の意味について検討する。 上記「架橋材料」は、その文言が意味するとおり、架橋基を含むことが必須といえる。そうすると、引用発明の「架橋材料」が、(i)「式(Y)で表される構成単位」、(ii)「式(X)で表される構成単位」及び(iii)「架橋基A群から選ばれる架橋基を有する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種」の3つ((i)~(iii))の「構成単位」(のみ)からなり、かつ、(iii)の「架橋基A群から選ばれる架橋基を有する構成単位」として「式(2’)で表される構成単位」を含む、「高分子化合物」であると理解するのが自然といえる(当合議体注:(i)~(iii)は、合議体が便宜上付したものである。)。 上記理解を前提として、以下、検討する。 引用発明1の「正孔輸送層」(「第2の有機層」)及び「高分子化合物P5」について、引用例1には次の記載がある。 (ア) 第2の有機層を構成する架橋性高分子化合物、燐光発光性高分子化合物について (A)「第2の有機層は、1種又は2種以上の高分子化合物が配合された高分子組成物を用いて形成される層である。」、「上記高分子化合物の少なくとも1種は、架橋基を有する高分子化合物(具体的には、上記高分子化合物の少なくとも1種は、架橋基を有する構成単位を含む高分子化合物)(以下、「架橋性高分子化合物」ともいう。)である。」、「上記高分子化合物の少なくとも1種は、燐光発光性構成単位を含む高分子化合物(以下、「燐光発光性高分子化合物」ともいう。)である。」(【0331】) (B)「一種の高分子化合物が、燐光発光性構成単位及び架橋基の両方を有していてもよい・・・略・・・。すなわち、上記高分子化合物は、燐光発光性構成単位及び架橋基を有する高分子化合物(具体的には、燐光発光性構成単位、及び、架橋基を有する構成単位を含む高分子化合物)(以下、「架橋性燐光発光性高分子化合物」ともいう。)を含むものであってよい。」(【0332】) (C)「上記高分子化合物は、燐光発光性高分子化合物、及び、架橋性高分子化合物の2種を少なくとも含むものであってもよい。」(【0333】) (D)「第2の有機層が、二種以上の高分子化合物・・・略・・・が配合された高分子組成物を用いて形成される層である場合、各高分子化合物について求めた(Y1×1000)/X1の値の加重平均(二種以上の高分子化合物の配合量比からの平均値)が、0.6以上となる。」(【0336】) (イ) 架橋性高分子化合物が有する架橋基A群について (E)「架橋性高分子化合物は、本実施形態に係る発光素子の電力効率が優れるので、架橋基A群から選ばれる少なくとも1種の架橋基を有する高分子化合物であることが好ましい。」(【0338】) 「架橋基A群から選ばれる架橋基としては、本実施形態に係る発光素子の電力効率がより優れるので、好ましくは、式(XL-1)、(XL-3)、(XL-9)、(XL-16)又は(XL-17)で表される架橋基であり、・・・略・・・更に好ましくは、式(XL-1)又は(XL-17)で表される架橋基である。」(【0339】) 架橋基A群について (F)「【化12】 (架橋基A群) [図:0001408386000070.jpg] 」(【0064】) (ウ) 架橋性高分子化合物の架橋基を構成する構成単位について (G)「架橋性高分子化合物は、架橋基を有する構成単位(以下「架橋構成単位」ともいう。)を有する。架橋構成単位は、後述する式(2)又は(3)で表される構成単位であることが好ましい」(【0340】)。 (エ) 式(2)について (H)「【化75】 [図:0001408386000071.jpg] 【0344】 式中、 nAは0~5の整数を表し、nは1又は2を表す。 Ar1は、芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。 LAは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、-NR’-で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R’は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。LAが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。 Xは、架橋基A群から選ばれる架橋基を表す。Xが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。」(【0343】)、 「Xで表される架橋基の好ましい範囲、より好ましい範囲及び更に好ましい範囲は、前述の架橋基A群から選ばれる架橋基の好ましい範囲、より好ましい範囲及び更に好ましい範囲と同じである。」(【0358】) (オ) 式(3)について (I)「【化76】 [図:0001408386000072.jpg] 」(【0360】)、 「 式中、 mAは0~5の整数を表し、mは1~4の整数を表し、cは0又は1を表す。mAが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。 Ar3は、芳香族炭化水素基、複素環基、又は、少なくとも1種の芳香族炭化水素環と少なくとも1種の複素環とが直接結合した基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。 Ar2及びAr4は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。 Ar2、Ar3及びAr4はそれぞれ、当該基が結合している窒素原子に結合している当該基以外の基と、直接又は酸素原子若しくは硫黄原子を介して結合して、環を形成していてもよい。 KAは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、-NR’’-で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R’’は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。KAが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。 X’は、架橋基、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。X’が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、少なくとも1つのX’は、架橋基である。」(【0361】)、 「X’で表される架橋基の好ましい範囲、より好ましい範囲及び更に好ましい範囲は、前述の架橋基A群から選ばれる架橋基の好ましい範囲、より好ましい範囲及び更に好ましい範囲と同じである。」(【0376】) (カ) 式(2)で表される構成単位及び式(3)で表される構成単位の具体例について (J)「式(2)で表される構成単位としては、例えば、式(2-1)、(2-2)、(2-3)・・・略・・・(2-20)・・・・略・・・(2-27)・・・・略・・・又は(2-31)で表される構成単位・・・略・・・が挙げられる。式(3)で表される構成単位としては、例えば、式(3-1)、(3-2)、(3-3)・・・略・・・で表される構成単位・・・略・・・が挙げられる。」(【0377】)、 「 [図:0001408386000073.jpg] 」(【0380】)、 「 [図:0001408386000074.jpg] 」(【0380】)、 「 [図:0001408386000075.jpg] 」(【0381】) (キ) 架橋性高分子化合物に含まれる式(X)で表される構成単位について (K)「架橋性高分子化合物は、正孔輸送性が優れるので、式(X)で表される構成単位をさらに含むことが好ましい。」(【0382】) 「架橋性高分子化合物が含んでいてもよい式(X)で表される構成単位の定義及び例は、前述の高分子ホストが含んでいてもよい式(X)で表される構成単位の定義及び例と同じである。」(【0383】)、 「式(X)で表される構成単位は、正孔輸送性が優れるので、所定量、架橋性高分子化合物に含まれることが好ましい。」(【0384】) (L)(上記(K)の「高分子ホストが含んでいてもよい式(X)で表される構成単位の定義」について) 「高分子ホストは、正孔輸送性が優れるので、更に、下記式(X)で表される構成単位を含むことが好ましい。」(【0264】)、 「【化64】 [図:0001408386000076.jpg] 」(【0265】)、 「 式中、 aX1及びaX2は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。 ArX1及びArX3は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。 ArX2及びArX4は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArX2及びArX4が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。 RX1、RX2及びRX3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RX2及びRX3が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。」(【0266】)、 (ク) 架橋性高分子化合物に含まれる式(Y)で表される構成単位について (M)「架橋性高分子化合物は、式(Y)で表される構成単位をさらに含んでいてもよい。」(【0386】)、 「架橋性高分子化合物が含んでいてもよい式(Y)で表される構成単位の定義及び例は、前述の高分子ホストが含んでいてもよい式(Y)で表される構成単位の定義及び例と同じである。」(【0387】) (N)(上記(L)の「高分子ホストが含んでいてもよい式(Y)で表される構成単位の定義」について) 「高分子ホストは、好ましくは、式(Y)で表される構成単位を含む高分子化合物である。」(【0205】)、 「【化41】 [図:0001408386000077.jpg] 」(【0206】)、 「式中、ArY1は、アリーレン基、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。」(【0207】) イ 引用発明1の「高分子化合物P5」について、その構造(上記3(2))及び引用例1の上記アの各記載によれば、 「化合物MM1から形成される構成単位」及び「化合物MM2から形成される構成単位」は、式(2)(上記ア(ア)(B)、ア(エ)(H)、ア(カ)(J))で表される架橋基を有する架橋構成単位であり、 「化合物MM13から形成される構成単位」は、式(3)(上記ア(ア)(B)、ア(オ)(I)、ア(カ)(J))で表される架橋構成単位であり、 「化合物MM4から形成される構成単位」は、燐光発光性構成単位(上記ア(ア)(B))であり、「高分子化合物P5」は、「架橋性燐光発光性高分子化合物」(上記ア(ア)(B))であることが把握できる。 また、引用例1の上記ア(ア)(A)及び(C)の記載によれば、「第2の有機層」(「正孔輸送層」)は、「架橋基を有する構成単位を含む」「架橋性高分子化合物」と、「燐光発光性構成単位を含む」「燐光発光性高分子化合物」の2種を含む高分子組成物を用いて形成されてもよいこと、 上記ア(ウ)(G)の記載によれば、「架橋性高分子化合物」が有する「架橋構成単位」は、式(3)で表される構成単位としてもよいこと、 上記ア(キ)(K)、(L)及び(ク)(M)の記載によれば、「架橋性高分子化合物」には、「式(X)で表される構成単位」(上記ア(キ)(L))及び「式(Y)で表される構成単位」(上記ア(ク)(N))をさらに含んでよいこと、が理解できる。 さらに、引用例1の上記ア(イ)(E)の記載によれば、引用発明1の「高分子化合物P5」(架橋性燐光発光性高分子化合物)の「化合物MM13から形成される構成単位」は、架橋基を有する構成単位としての式(3)(上記ア(オ)(I))の式中の「X’」を、「架橋基A群」(上記ア(イ)(F))中の式「XL-17」の架橋基としている点で、発光素子の電力効率が優れるとの観点から更に好ましいものであると理解できる。 してみると、引用例1の上記アの各記載に接した当業者が、引用発明1において、架橋性燐光発光性高分子化合物である「高分子化合物P5」に替えて、正孔輸送層が、架橋性高分子化合物と燐光発光性高分子化合物の2種を含む高分子組成物を用いて形成され、架橋性高分子化合物が、式(3)(上記ア(オ)(I))で表される架橋構成単位である、「架橋基A群」から選ばれる式(XL-17)の架橋基を有する構成単位(「化合物MM13から形成される構成単位」)と、「式(X)で表される構成単位」(上記ア(キ)(L))と、「式(Y)で表される構成単位」(上記ア(ク)(N))とからなり、架橋性高分子化合物及び燐光発光性高分子化合物について加重平均で求めた(Y1×1000)/X1の値の加重平均が0.6以上である、構成として、 第2の有機層(正孔輸送層)が、架橋材料(架橋性高分子化合物)の架橋体(と燐光発光性高分子化合物)を含有し、架橋材料(架橋性高分子化合物)が、(i)式(Y)で表される構成単位と、(ii)式(X)で表される構成単位と、(iii)「架橋基A群」から選ばれる式(XL-17)の架橋基を有する構成単位(「化合物MM13から形成される構成単位」)の、3つの構成単位(のみ)からなり、かつ、架橋基を有する構成単位(「化合物MM13から形成される構成単位」)として、式(3)で表される構成単位を含む構成とすることは、容易に想到し得たことである。 そして、上記3(2)ウにおける対比(引用発明の「化合物MM13から形成される構成単位」は、本願発明の「式(2’)で表される構成単位」に相当する。)、及び、引用例1に記載の「式(Y)」及び「式(X)」が、本願発明における「式(Y)」及び「式(X)」と同じであることを踏まえると、上記構成とした後の引用発明1は、相違点1-2に係る本願発明の、「架橋材料が、式(Y)で表される構成単位、式(X)で表される構成単位、及び下記架橋基A群から選ばれる架橋基を有する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種からなり、かつ、前記架橋基A群から選ばれる架橋基を有する構成単位として、式(2’)で表される構成単位を含む高分子化合物であ」るとの構成を具備することとなる。 ウ 小括 以上のとおりであるから、引用発明1において、引用例1の記載に基づき、相違点1-2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (3) 相違点1-3について ア 引用発明1の「燐光発光性化合物5」は、引用例1の【0093】の「式(1-A)」で表される化合物に該当する。そして、引用例1の【0113】には、上記「式(1-A)」において「R11A、・・・R22A・・・略・・・がアリール基・・・略・・・である場合、発光素子の電力効率がより優れるので、デンドロンであることが好ましい。」と記載されていることから、引用発明1の「燐光発光性化合物5」は、発光素子の電力効率に優れる点において好ましいものである。 イ 一方、引用例1の【0096】~【0097】には、式(1-B)で表される燐光発光性化合物が、引用発明1の式(1-A)で表される「燐光発光性化合物5」と択一的に好ましく用いられることが記載され、当該式(1-B)で表される燐光発光性化合物の具体例として、本願発明の相違点1-3に係る構成を満たす「COM-4」(引用例1の【0168】に記載され、本願明細書の【0117】【化31】及び【0376】【化87】に記載された「金属錯体G2」と同一化合物である。)が提示されている。 ウ してみると、引用例1の上記ア及びイの記載に基づき、電力効率に優れる発光素子を提供することを目的(引用例1の【0007】)とする引用発明1において、「燐光発光性化合物5」に替えて、デンドロン構造を有し、発光素子の電力効率の点で同様に優れる「COM―4」(【0168】)を採用することは、当業者が適宜なし得る材料選択の範囲内の事項といえる。 エ 小括 以上のとおりであるから、引用発明1において、引用例1の記載に基づき、相違点1-3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (4) 本願発明の効果について 本願発明の、輝度寿命が優れる発光素子を提供することができる(【0021】)との効果は、先の出願時、本願発明の構成が奏するものとして当業者が予測することができたものであり、当該構成から当業者が予測することができた範囲の効果を超える顕著なものではない。 (5) 審判請求書における請求人の主張について ア 請求人は、 (ア) 令和5年10月31日提出の意見書3頁「(2-3)相違点3」において、上記相違点1-1について、「引用例1と引用例2とは課題の共通性がなく、当業者が、電力効率に関する引用例1と、発光寿命に関する引用例2とを組み合わせる動機付けがありません。」、 (イ) 同意見書2頁「(2-1)相違点1」において、上記相違点1-2について、「引用例1及び引用例2のいずれにも、本願で特定する高分子化合物について記載も示唆もない」、 (ウ) 同意見書2頁「(2-2)相違点2」において、上記相違点1-3について、「引用例1及び引用例2には、」「本願の「デンドロンを有する燐光発光性遷移金属錯体が、式(1)で表される金属錯体である(環L1が6員の芳香族複素環である)」という構成」「を導く動機づけがありません。」、 (エ)まとめとして、「本願発明は、引用例1及び引用例2からは、当業者が容易に想到することはできません。」、「本願発明は、上記本願発明特有の構成を有することにより、輝度寿命が優れるという顕著な効果が得られることは、本願明細書の実施例より明らかです。」と主張する。 イ しかしながら、上記(イ)の主張については、上記(2)イで述べたとおり、引用例1には、引用発明1の「正孔輸送層」(第2の有機層)の高分子化合物(P5)について、燐光発光性高分子化合物及び架橋性高分子化合物の2種を含むものとすること、架橋性高分子化合物について、式(X)で表される構成単位や式(Y)で表される構成単位をさらに含んでいてもよいことが記載され、これらの式(X)(で表される構成単位)及び式(Y)(で表される構成単位)は、本願発明の式(X)(で表される構成単位)及び式(Y)(で表される構成単位)と同じであるから、引用例1には、「本願で特定する高分子化合物」の構成とすることは記載、示唆されているといえる。 また、上記(ウ)の主張については、上記(3)で述べたとおり、引用例1には、燐光発光性化合物について、発光素子の電力効率がより優れることからデンドロン構造を有することが好ましいことが記載されているから、電力効率に優れる発光素子を提供することを目的とする引用発明1において、燐光発光性化合物のデンドロン構造に着目し、デンドロン構造を有し発光素子の電力効率がより優れる点で同様な「COM-4」(【0168】)を採用することは、当業者が適宜なし得る材料選択の範囲内の事項である。 そして、上記(ア)の主張については、上記(1)で述べたとおり、引用文献1及び2に接した当業者であれば、引用発明1のデンドロン構造を有する燐光発光性化合物においても、上記(1)アで述べた問題(ホストからゲストへのエネルギーの移動が抑制されるという問題)が生じる事に気付くといえる。また、電力効率に優れる発光素子を提供することを課題とする引用発明1においても、発光寿命(半減寿命)が長いことは望まれる特性である。そうすると、引用文献2の上記(1)アの課題解決手段を心得た当業者が、長い発光寿命が得られるように、引用発明1において、フェルスター型ホストとして、引用文献2に具体例として示されたH-7(DIC-TRZ(ΔEst=0.06eV))、H-6(Cz2BP(ΔEst=0.21eV))や、「H-4」及び「H-5」の置換基「R」の「~」部分を最も単純な直接結合としたもの(それぞれ4CzIPN(ΔEst=0.083eV)、2CzPN(ΔEst=0.09eV))などのTADF材料を採用することは容易になし得たことである。 上記(エ)の効果に係る主張についても、「輝度寿命が優れる」とのことは、本願発明の構成が奏する効果として当業者が予測可能することができた範囲の効果を超える顕著なものとはいえない。 以上のとおりであるから、請求人の主張を採用することはできない。 (6) 引用文献1の実施例18以外に係る発光素子に基づく発明を主引用発明とした場合 ア 実施例10に基づいて主引用発明を認定した場合 実施例10(【0812】~【0817】、【0825】【表6】等)に係る「発光素子10」を引用発明10とすると、その構成材料(高分子化合物P1(【0691】)、DCzDBT、燐光発光性化合物3(【0647】)等)からみて、本願発明と、引用発明10とは、上記4で抽出した相違点1-1に加えて、以下の相違点でも相違する。 (相違点10-2) 「架橋材料」が、本願発明においては、「式(Y)で表される構成単位、式(X)で表される構成単位、及び」「架橋基A群から選ばれる架橋基を有する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種からなり、かつ、前記架橋基A群から選ばれる架橋基を有する構成単位として、式(2’)で表される構成単位を含む高分子化合物であ」るのに対して、 引用発明10においては、「高分子化合物P1」は、そのような架橋材料(高分子化合物)となっていない点。 相違点10-2について検討すると、上記(2)ア(ア)~(ク)で述べた引用例1の記載、示唆に基づき、引用発明10において、正孔輸送層(第2の有機層)を、架橋性高分子化合物と燐光発光性高分子化合物の2種を含む高分子組成物を用いて形成し、架橋性高分子化合物が、式(Y)で表される構成単位、式(X)で表される構成単位、及び、架橋基A群から選ばれる架橋基を有する構成単位として、電力効率が優れることから好ましい式(XL-3)、(XL-9)、(XL-16)又は(XL-17)で表される架橋基(上記(2)ア(イ)(E),(F))を有し、式(3)で表される構成単位(のみ)からなる構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 そして、上記構成とした後の引用発明10においては、式(3)、式(Y)及び式(X)が、それぞれ本願発明の式(2’)、式(Y)及び式(X)に対応し、式(XL-3)、(XL-9)、(XL-16)又は(XL-17)で表される架橋基が、本願発明の「架橋基A群から選ばれる架橋基」に対応するから、相違点10-2に係る本願発明の構成を具備することとなる。 相違点1-1については上記(1)で既に述べたとおりである。 イ 実施例11に基づいて主引用発明を認定した場合 実施例11(【0818】~【0819】、【0825】【表6】等)に係る「発光素子11」を引用発明11とすると、その構成材料(高分子化合物P3(【0723】)、DCzDBT、燐光発光性化合物3等)からみて、本願発明と、引用発明11は、上記4で抽出した相違点1-1及び上記アで抽出した相違点10-2と同じ点で相違する。 そうすると、相違点についての判断は、上記アにおける相違点についての判断と同じである。 ウ 実施例12に基づいて主引用発明を認定した場合 実施例12(【0820】~【0821】、【0825】【表6】等)に係る「発光素子12」を引用発明12とすると、その構成材料(高分子化合物P4(【0729】)、DCzDBT、燐光発光性化合物3等)からみて、本願発明と、引用発明12は、上記4で抽出した相違点1-1及び上記アで抽出した相違点10-2と同じ点で相違する。 そうすると、相違点についての判断は上記アにおける相違点についての判断と同じである。 エ 実施例14に基づいて主引用発明を認定した場合 実施例14(【0835】~【0840】、【0844】【表8】等)に係る「発光素子14」を引用発明14とすると、その構成材料(高分子化合物P1、DCzDBT、燐光発光性化合物3等)からみて、本願発明と、引用発明14は、上記アで抽出した相違点1-1及び上記アで抽出した相違点10-2と同じ点で相違する。 そうすると、相違点についての判断は、上記アにおける相違点についての判断と同じである。 オ 実施例17に基づいて主引用発明を認定した場合 実施例17(【0857】~【0862】、【0868】【表10】等)に係る「発光素子17」を引用発明17とすると、その構成材料(高分子化合物P1、DCzDBT、燐光発光性化合物5等)からみて、本願発明と、引用発明17は、上記4で抽出した相違点1-1及び相違点1-3に加えて、上記アで抽出した相違点10-2と同じ点で相違する。 してみると、相違点についての判断は、上記(1)、(3)及び上記アにおける判断と同じである。 6 まとめ 本願発明は、引用例1に記載された発明及び引用例2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第3 むすび 本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-012279

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