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特許拒絶査定不服審判

2022-012103

改善されたイントラ・クロマ符号化および復号のための方法および装置

審判番号
2022-012103
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-076904外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年08月04日
審決日
2023年06月09日
公報発行日
2023年11月24日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (H04N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020- 76904「改善されたイントラ・クロマ符号化および復号のための方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 9月10日出願公開、特開2020-145695〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2010年(平成22年)8月11日を国際出願日(優先権主張外国庁受理 2009年8月12日 (US)米国)とする特願2012-524695号の一部を分割して平成28年2月1日に出願した特願2016-17009号の一部を分割して平成30年4月19日に出願した特願2018-80856号の一部を分割して令和2年4月23日に特願2020-76904号として出願したものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和 2年11月27日 :手続補正書の提出 令和 3年 6月30日付け :拒絶理由通知書 令和 3年12月 9日 :手続補正書および意見書の提出 令和 4年 3月31日付け :拒絶査定 令和 4年 8月 4日 :審判請求書の提出 令和 4年 9月15日 :手続補正書(方式)の提出 令和 5年 1月27日付け :拒絶理由通知書(当審) 令和 5年 4月20日 :手続補正書および意見書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1~9に係る発明は、令和5年4月20日付け手続補正(以下、本件補正という)により補正された特許請求の範囲の請求項1~9の記載により特定されるところ、その請求項7に係る発明(以下、本願発明という)は特許請求の範囲の請求項7に記載される、次のとおりのものである。(下線は本件補正により補正された箇所を示す。また、記号A~Dは分説するために審判合議体が付したものであり、請求項7の記載を、記号A~Dを用いて、以下、「構成A」~「構成D」と称する。) 【請求項7】 A ピクチャ内の少なくともブロックについてのピクチャ・データを符号化する符号化器(400)を備え、 B 前記ブロックのイントラ予測クロマ符号化のために、複数のパーティション・タイプがサポートされ、 B1 前記複数のパーティション・タイプは、16×16、8×8、4×4のサイズを有する複数のクロマ・パーティション・タイプのセットおよび複数のルマ・パーティション・タイプのセットを含み、 C1 前記ブロックを符号化するために使用される前記複数のクロマ・パーティション・タイプのセットから、前記ブロックを符号化するための、ルマ・イントラ・予測モードとは異なり得る、単一のクロマ・イントラ予測モードを用いる特定のクロマ・パーティション・タイプが決定され(860、885)、特定のルマ・パーティション・タイプは、前記複数のルマ・パーティション・タイプのセットから決定され、 C11 イントラ・ルマ・パーティション・タイプ及びクロマ・パーティション・タイプは、マクロ・ブロック内でマクロ・ブロック単位で独立して符号化され、 または C2 前記ブロックを符号化するために利用されるルマ・パーティション・タイプに応じて、前記複数のクロマ・パーティション・タイプのセットから、前記ブロックを符号化するために単一のクロマ・イントラ予測モードを用いる特定のクロマ・パーティション・タイプが決定され(670)、 C21 前記ルマ・パーティション・タイプが前記複数のルマ・パーティション・タイプのセットに含まれ、前記クロマ・パーティション・タイプは、一組のパーティション・タイプについてのルマ・パーティション・タイプと揃えられ、 C22 クロマ・パーティション・タイプではなく、ルマ・パーティション・タイプが信号伝達される、 D 装置。 第3 引用文献及び引用発明 1 引用文献1 原査定の拒絶の理由に引用された、引用文献1である特開2008-172599号公報には、以下の記載がある。(下線は強調のために当審で付した。以下同様。) (1) 「【0008】 実施の形態1. 本実施の形態1では、(Y,Cb,Cr)色空間で定義される4:2:0、4:2:2の各クロマフォーマットの映像信号、および(R,G,B)、(Y,Cb,Cr)、(X,Y,Z)などの色空間で定義される4:4:4クロマフォーマットの映像信号のいずれかを入力として映像符号化を行いビットストリームを出力する符号化装置、および該符号化装置により生成される符号化ビットストリームを入力として画像信号を復元する復号装置について述べる。以降の説明においては、3つの色成分を(C0,C1,C2)成分と総称し、4:2:0、4:2:2クロマフォーマットのときのC0成分はY成分、C1成分はCb成分、C2成分はCr成分とみなす。 【0009】 本実施の形態1における符号化装置は、図1に示すように、時間サンプリングによりフレームないしはフィールドの単位で定義される画面情報(以降、ピクチャと呼ぶ)の時系列データとして表現される映像信号を入力とする。ピクチャを時系列に並べたデータ単位をシーケンスと呼ぶ。シーケンスは、いくつかのピクチャのグループ(GOP)に分割されることがある。GOPは、任意のGOPの先頭から他のGOPに依存せずに復号を実行できることを保証し、ビットストリームに対するランダムアクセスを保証するといった用途に利用する。ピクチャはさらにマクロブロックと呼ばれる正方ブロックに分割され、マクロブロックの単位で予測・変換・量子化処理を適用して映像圧縮を行う。・・・ 【0010】 4:2:0、4:2:2、4:4:4の各クロマフォーマット時のマクロブロックは、図23においてW=H=16とした画素ブロックとして定義される。マクロブロックの単位で予測・変換・量子化処理を適用して映像圧縮を行うため、ビットストリームに多重されるマクロブロックの符号化データは、大別して2種類の情報からなる。ひとつは予測モードや動き予測情報、量子化のためのパラメータといった映像信号自体とは異なるサイド情報の類で、これらをまとめてマクロブロックヘッダと呼ぶ。もう一つは映像信号自体の情報であり、本実施の形態1では、符号化される映像信号はマクロブロックヘッダの情報に基づいて予測・変換・量子化を行った結果として得られる予測誤差信号の圧縮データであり、変換係数を量子化した形式で表現されることから、以降、量子化係数データと呼ぶ。」 (2) 「【0013】 入力映像信号3は、まずクロマフォーマット識別情報1、共通符号化・独立符号化識別情報2により、図2ないしは図3のいずれかのマクロブロックデータに分割され、イントラオンリー符号化指示情報4に従い、イントラ予測処理(C0成分イントラ予測モード決定部5、C1/C2成分イントラ予測モード決定部6、C0成分イントラ予測画像生成部7、C1/C2成分イントラ予測画像生成部8)、動き補償予測処理(C0成分動き検出部9、C1/C2成分動き検出部10、C0成分動き補償部11、C1/C2成分動き補償部12)を行って、当該マクロブロックを符号化するにあたってもっとも効率のよい予測モードを選択し(符号化モード選択部14)、予測残差を変換・量子化し(C0成分予測残差符号化部18、C1成分予測残差符号化部19、C2成分予測残差符号化部20)、予測モードや動き情報などのサイド情報と量子化された変換係数とを可変長符号化してビットストリーム30を生成する(可変長符号化部27)。また、量子化された変換係数は局所復号され(C0成分局所復号部24、C1成分局所復号部25、C2成分局所復号部26)、サイド情報と参照画像データによって得られる予測画像を加算することにより局所復号画像を得て、必要に応じて量子化に伴うブロック境界歪を抑制するデブロッキングフィルタ(デブロッキングフィルタ部28)を施した後、以降の予測処理に用いるためにフレームメモリ13および/またはラインメモリ29に格納される。イントラオンリー符号化指示情報4が「イントラ符号化のみを実施」を指示する場合は、動き補償予測処理を実行せず、イントラ予測処理のみを実行する。」 (3) 「【0015】 (1)イントラ予測処理 イントラ予測処理は、図4のC0成分イントラ予測モード決定部5、C1/C2成分イントラ予測モード決定部6、C0成分イントラ予測画像生成部7、C1/C2成分イントラ予測画像生成部8によって行われる。」 (4) 「【0016】 クロマフォーマットが4:2:0、4:2:2の場合は、Y成分の信号はC0成分イントラ予測モード決定部5によってC0成分イントラ予測モード100が決定される。ここで選択可能なモードはイントラ4x4予測モード、イントラ8x8予測モード、イントラ16x16予測モードの3種類がある。イントラ4x4予測モードとイントラ8x8予測モードについては、マクロブロックを4x4画素または8x8画素からなるブロックに分割して、図5に示すように個々のブロックごとに個別に近傍参照画素を用いた空間予測を行う。この予測方法の選択肢が9つあり、9つのうちのいずれの方法を用いて予測を行ったかをイントラ予測モードの形でサイド情報のひとつとして符号化する。図5の矩形でかこまれた4x4画素が予測対象の画素であり、斜線塗りつぶしの画素が予測画像生成のための参照画素である。矢印は参照画素が予測値に影響を与える方向を示す。Mode2は参照画素の平均値を予測値とする。図5は4x4ブロックの例を示しているが、8x8画素ブロックについても同様のモードが定義される。このような方向性を持った空間予測を行うことで被写体の輪郭やテクスチャパターンなど画像の構造情報に対して有効な予測を行うことができる。 【0017】 また、マクロブロックを細分化せずに16x16ブロックのままイントラ予測を行うモードとしてイントラ16x16予測モードがある(図6)。この場合は図6に示す4種類の空間予測方法を選択できる。これは絵柄が平坦な画像領域に対して少ないサイド情報で予測効果を高めるモードとして有効である。 【0018】 Cb、Cr成分については、C1/C2成分イントラ予測モード決定部6によって、Y成分とは個別のC1/C2成分イントラ予測モード101(C1、C2それぞれに対応するものを101a、101bとする。なお、4:2:0、4:2:2のときは101a、101bは常に同値であって、いずれか一方がビットストリームに多重化される。デコーダでは復号した値を101a、101bに設定する。)が決定される。4:2:0、4:2:2クロマフォーマットの際に選択可能なCb、Cr成分のイントラ予測モードは図7に示す。この図7は4:2:0フォーマットの場合を示す図面であるが、4:2:2フォーマットも同様のモードが用いられる。この4モードのうち、mode0のみ、Cb、Crのマクロブロック相当領域(4:2:0の場合は8x8画素ブロック、4:2:2の場合は8x16画素ブロック)を4x4ブロックに分割して、4x4ブロックの単位で周辺からの平均値予測を行う。例えば、左上の4x4ブロックに対しては領域a、領域xの全8画素を平均するか、aないしxの4画素を平均するかいずれかの値が予測値として用いられる。Mode1,2,3については、図5、図6と同様、方向性を持った空間予測となる。4:2:0、4:2:2クロマフォーマットでは、画像のテクスチャなど構造的な情報はY成分に集約され、色差成分信号であるCb、Cr成分については画像の構造情報が保存されない。そのため、このような簡易な予測モードで効率的な予測を行う。」 (5) 「【0019】 クロマフォーマットが4:4:4の場合は、C0、C1、C2の各成分がY、Cb、Crに固定されておらず、R、G、Bなどの色空間では各色成分にY成分相当の画像構造情報が保持されているため、上記のようなCb、Cr成分に対する予測では十分な予測効率が得られないことがある。そこで、本実施の形態1の符号化装置では、クロマフォーマットが4:4:4の場合にはC0、C1、C2ともに、C0成分のイントラ予測モード決定部5相当の処理によるイントラ予測モードの選択を行う。より具体的には、共通符号化・独立符号化識別情報2が「共通符号化処理」を示す場合は、C0、C1、C2成分を共通の唯一のイントラ予測モードで予測する。一方、共通符号化・独立符号化識別情報2が「独立符号化処理」を示す場合は、C0、C1、C2成分に対して個別に求めたイントラ予測モードで予測する。すなわち、クロマフォーマットが4:4:4で、かつ共通符号化・独立符号化識別情報2が「共通符号化処理」を示す場合は、C0、C1、C2成分はすべてC0成分イントラ予測モード100でイントラ予測される。クロマフォーマットが4:4:4で、かつ共通符号化・独立符号化識別情報2が「独立符号化処理」を示す場合は、C1、C2成分は図5ないしは図6に示すC0成分対応のイントラ予測モードからC0成分とは独立して求めるC1/C2成分イントラ予測モード101a、101bによってイントラ予測される。 【0020】 図4の符号化装置の構成では、クロマフォーマットが4:4:4で、かつ共通符号化・独立符号化識別情報2が「共通符号化処理」を示す場合は、C0成分はC0成分イントラ予測モード決定部5によって予測モードを決定し、C1、C2成分はC0成分で用いる予測モードをそのまま使用するか、あるいはC1/C2成分イントラ予測モード決定部6を併用してC0、C1、C2の全成分に対して最適となる唯一のイントラ予測モードをひとつ決定する。クロマフォーマットが4:4:4で、かつ共通符号化・独立符号化識別情報2が「独立符号化処理」を示す場合は、C0成分はC0成分イントラ予測モード決定部5によって予測モードを決定し、C1、C2成分はC1/C2成分イントラ予測モード決定部6により、それぞれ個別に最適なイントラ予測モードを決定する。 ・・・ 【0022】 以上の処理によって決定された各色成分ごとのイントラ予測モードに基づいて、C0成分イントラ予測画像生成部7、C1/C2成分イントラ予測画像生成部8において予測画像の生成が行われる。」 (6) 「【0037】 (4)可変長符号化処理 可変長符号化部27には、シーケンスレベルのヘッダ情報として、クロマフォーマット識別情報1、共通符号化・独立符号化識別情報2、イントラオンリー符号化指示情報4、画像サイズ情報31が入力される。また、共通符号化・独立符号化識別情報2が「独立符号化処理」を示す場合は、現在符号化処理中のピクチャがいずれの色成分に属するかを支持する色成分識別情報が入力され、これに基づいて符号化処理中のスライス先頭に色成分識別フラグ33を付与する。これによって復号装置側にて、受信したスライスがどの色成分の符号化データを含むかを識別可能とする。マクロブロックレベルの符号化データとしては、符号化モード15、イントラ予測モード100・101、動き情報102・103、量子化パラメータ32、変換ブロックサイズ指示情報104、量子化係数データ21・22・23などが入力され、ハフマン符号化ないしは算術符号化によってエントロピー符号化されてビットストリーム30に多重される。ビットストリーム30は、マクロブロックが1つないしは複数個まとまったスライスデータの単位でパケット化(AVCでは、NALユニット化とも呼ぶ)されて出力される。 【0038】 図13に、ビットストリーム30の全体図を示す。シーケンスレベルのヘッダ情報であるシーケンスパラメータセット(SPS)には、クロマフォーマット識別情報1、共通符号化・独立符号化識別情報2、イントラオンリー符号化指示情報4、画像サイズ情報31が多重化される。なお、共通符号化・独立符号化識別情報2はクロマフォーマットが4:4:4の場合のみ必要であるため、クロマフォーマット識別情報1が4:4:4である場合にのみ多重される。ピクチャレベルのヘッダ情報であるピクチャパラメータセット(PPS)には、ピクチャ先頭で用いる量子化パラメータ32の初期値などが多重される。画像符号化データはスライス以下に多重され、クロマフォーマット識別情報1、共通符号化・独立符号化識別情報2の値に応じて、図14、図15のようにデータ形式が異なる。 ・・・ 【0040】 クロマフォーマット識別情報1により、クロマフォーマットが4:4:4であると示される場合は、共通符号化・独立符号化識別情報2の値に応じて、図15のようなスライス構造になる。共通符号化・独立符号化識別情報2が「共通符号化処理」を示す場合(図15A)は、スライスは図2の構成で、クロマフォーマットのサンプル比に従ったC0、C1、C2成分の画素からなるマクロブロックの符号化データを含み、MBHには符号化モード15に相当するマクロブロックタイプが含まれ、マクロブロックタイプがイントラ予測モードを示す場合は、C0/C1/C2の全成分共通のイントラ予測モード100と、量子化係数データの量子化・逆量子化に用いる量子化パラメータ32などが含まれる。マクロブロックタイプが動き補償予測(インター)モードを示す場合は、C0/C1/C2の全成分共通の動き情報102(動きベクトルおよび参照画像インデックス)と、量子化係数データの量子化・逆量子化に用いる量子化パラメータ32などが含まれる。 【0041】 共通符号化・独立符号化識別情報2が「独立符号化処理」を示す場合(図15B)は、スライスは図3の構成で、C0、C1、C2のいずれか1つの色成分(Ck)の画素からなるマクロブロックの符号化データを含む。CkがC0、C1、C2のいずれの色成分に該当するかを指示する情報として、スライスの先頭に色成分識別フラグ33が付与される。MBHには符号化モード15に相当するマクロブロックタイプが含まれ、マクロブロックタイプがイントラ予測モードを示す場合は、Ck成分のイントラ予測モード100と、量子化係数データの量子化・逆量子化に用いる量子化パラメータ32などが含まれる。マクロブロックタイプが動き補償予測(インター)モードを示す場合は、Ck成分の動き情報102(動きベクトルおよび参照画像インデックス)と、量子化係数データの量子化・逆量子化に用いる量子化パラメータ32などが含まれる。」 (7)図4には下記の記載がある。 「 [図:0001403288000001.jpg] 」 2 引用発明 (1)上記1の【0008】の「 (R,G,B)、(Y,Cb,Cr)、(X,Y,Z)などの色空間で定義される4:4:4クロマフォーマットの映像信号の・・・を入力として映像符号化を行いビットストリームを出力する符号化装置」、「3つの色成分を (C0,C1,C2)成分と総称し」との記載、【0009】の「符号化装置は、・・・フレーム・・・単位で定義される・・・ピクチャ・・・の時系列データとして表現される映像信号を入力とする」、「ピクチャはさらにマクロブロックと呼ばれる正方ブロックに分割され、マクロブロックの単位で予測・変換・量子化処理を適用して映像圧縮を行う」との記載によれば、引用文献1には、 3つの色成分を (C0,C1,C2)成分と総称し、(R,G,B)、(Y,Cb,Cr)、(X,Y,Z)などの色空間で定義される4:4:4クロマフォーマットの映像信号を入力として映像符号化を行いビットストリームを出力する符号化装置であって、 前記符号化装置は、フレーム単位で定義されるピクチャの時系列データとして表現される映像信号を入力とし、ピクチャはさらにマクロブロックと呼ばれる正方ブロックに分割され、マクロブロックの単位で予測・変換・量子化処理を適用して映像圧縮を行うものであること、 が記載されているといえる。 (2)上記1の【0013】には、「入力映像信号3は、まずクロマフォーマット識別情報1、共通符号化・独立符号化識別情報2により、・・・マクロブロックデータに分割され、・・・イントラ予測処理(C0成分イントラ予測モード決定部5、C1/C2成分イントラ予測モード決定部6、C0成分イントラ予測画像生成部7、C1/C2成分イントラ予測画像生成部8)・・・を行って、当該マクロブロックを符号化するにあたってもっとも効率のよい予測モードを選択し(符号化モード選択部14)、予測残差を変換・量子化し(C0成分予測残差符号化部18、C1成分予測残差符号化部19、C2成分予測残差符号化部20)、予測モード・・・などのサイド情報と・・・変換係数とを可変長符号化してビットストリーム30を生成する(可変長符号化部27)」との記載が、【0015】には、「イントラ予測処理は、図4のC0成分イントラ予測モード決定部5、C1/C2成分イントラ予測モード決定部6、C0成分イントラ予測画像生成部7、C1/C2成分イントラ予測画像生成部8によって行われ」との記載がある。 さらに、上記1の図4から、符号化装置には、C0成分イントラ予測モード決定部5、C1/C2成分イントラ予測モード決定部6、C0成分イントラ予測画像生成部7、C1/C2成分イントラ予測画像生成部8、符号化モード選択部14、C0成分動き検出部9、C1/C2成分動き検出部10、C0成分動き補償部11、C1/C2成分動き補償部12、C0成分予測残差符号化部18、C1成分予測残差符号化部19、C2成分予測残差符号化部20、可変長符号化部27が含まれていることが見てとれる。 以上を踏まえると、引用文献1には、 前記符号化装置は、C0成分イントラ予測モード決定部5、C1/C2成分イントラ予測モード決定部6、C0成分イントラ予測画像生成部7、C1/C2成分イントラ予測画像生成部8、符号化モード選択部14、C0成分動き検出部9、C1/C2成分動き検出部10、C0成分動き補償部11、C1/C2成分動き補償部12、C0成分予測残差符号化部18、C1成分予測残差符号化部19、C2成分予測残差符号化部20、可変長符号化部27を含み、 前記符号化装置において、入力映像信号3は、マクロブロックデータに分割され、C0成分イントラ予測モード決定部5、C1/C2成分イントラ予測モード決定部6、C0成分イントラ予測画像生成部7、C1/C2成分イントラ予測画像生成部8によりイントラ予測処理を行って、符号化モード選択部14により当該マクロブロックを符号化するにあたってもっとも効率のよい予測モードを選択し、C0成分予測残差符号化部18、C1成分予測残差符号化部19、C2成分予測残差符号化部20により予測残差を変換・量子化し、予測モードなどのサイド情報と変換係数とを可変長符号化部27により可変長符号化してビットストリーム30を生成すること が記載されているといえる。 (3)上記1の【0016】の「C0成分イントラ予測モード決定部5によってC0成分イントラ予測モード100が決定される。ここで選択可能なモードはイントラ4x4予測モード、イントラ8x8予測モード、イントラ16x16予測モードの3種類がある。イントラ4x4予測モードとイントラ8x8予測モードについては、マクロブロックを4x4画素または8x8画素からなるブロックに分割して、・・・個々のブロックごとに個別に近傍参照画素を用いた空間予測を行う。この予測方法の選択肢が9つあり、9つのうちのいずれの方法を用いて予測を行ったかをイントラ予測モードの形でサイド情報のひとつとして符号化する。」との記載、【0017】の「マクロブロックを細分化せずに16x16ブロックのままイントラ予測を行うモードとしてイントラ16x16予測モードがある・・・。この場合は・・・4種類の空間予測方法を選択できる。」との記載、【0018】の「C1/C2成分イントラ予測モード決定部6によって、・・・個別のC1/C2成分イントラ予測モード101(C1、C2それぞれに対応するものを101a、101bとする・・・)が決定される。」との記載、【0019】の「クロマフォーマットが4:4:4の場合は、C0、C1、C2の各成分がY、Cb、Crに固定されておらず、・・・符号化装置では、クロマフォーマットが4:4:4の場合にはC0、C1、C2ともに、C0成分のイントラ予測モード決定部5相当の処理によるイントラ予測モードの選択を行う。・・・共通符号化・独立符号化識別情報2が「共通符号化処理」を示す場合は、C0、C1、C2成分を共通の唯一のイントラ予測モードで予測する。一方、共通符号化・独立符号化識別情報2が「独立符号化処理」を示す場合は、C0、C1、C2成分に対して個別に求めたイントラ予測モードで予測する。・・・クロマフォーマットが4:4:4で、かつ共通符号化・独立符号化識別情報2が「共通符号化処理」を示す場合は、C0、C1、C2成分はすべてC0成分イントラ予測モード100でイントラ予測される。クロマフォーマットが4:4:4で、かつ共通符号化・独立符号化識別情報2が「独立符号化処理」を示す場合は、C1、C2成分は・・・C0成分対応のイントラ予測モードからC0成分とは独立して求めるC1/C2成分イントラ予測モード101a、101bによってイントラ予測される。」との記載、【0022】の「以上の処理によって決定された各色成分ごとのイントラ予測モードに基づいて、C0成分イントラ予測画像生成部7、C1/C2成分イントラ予測画像生成部8において予測画像の生成が行われる。」との記載によれば、引用文献1には、 C0イントラ予測モード決定部5によってC0成分イントラ予測モード100が決定され、ここで選択可能なモードはイントラ4x4予測モード、イントラ8x8予測モード、イントラ16x16予測モードの3種類があり、 イントラ4x4予測モードとイントラ8x8予測モードについては、マクロブロックを4x4画素または8x8画素からなるブロックに分割して、個々のブロックごとに個別に近傍参照画素を用いた空間予測を行うものであり、この予測方法の選択肢が9つあり、9つのうちのいずれの方法を用いて予測を行ったかをイントラ予測モードの形でサイド情報のひとつとして符号化し、 マクロブロックを細分化せずに16x16ブロックのままイントラ予測を行うモードとしてイントラ16x16予測モードの場合は、4種類の空間予測方法を選択でき、 C1/C2成分イントラ予測モード決定部6によって、個別のC1/C2成分イントラ予測モード101a、101bが決定され、 クロマフォーマットが4:4:4の場合は、C0、C1、C2の各成分がY、Cb、Crに固定されておらず、符号化装置では、クロマフォーマットが4:4:4の場合にはC0、C1、C2ともに、C0成分のイントラ予測モード決定部5相当の処理によるイントラ予測モードの選択を行うものであり、 共通符号化・独立符号化識別情報2が「共通符号化処理」を示す場合は、C0、C1、C2成分を共通の唯一のイントラ予測モードで予測する、すなわち、C0/C1/C2成分はすべてC0成分イントラ予測モード100でイントラ予測し、 共通符号化・独立符号化識別情報2が「独立符号化処理」を示す場合は、C0、C1、C2成分に対して個別に求めたイントラ予測モードで予測する、すなわち、C1、C2成分はC0成分対応のイントラ予測モードからC0成分とは独立して求めるC1/C2成分イントラ予測モード101a、101bによってイントラ予測し、 以上の処理によって決定された各色成分ごとのイントラ予測モードに基づいて、C0成分イントラ予測画像生成部7、C1/C2成分イントラ予測画像生成部8において予測画像の生成が行われる、 ことが記載されているといえる。 (4)上記1の【0037】の「可変長符号化部27には、シーケンスレベルのヘッダ情報として、クロマフォーマット識別情報1、共通符号化・独立符号化識別情報2・・・が入力され・・・共通符号化・独立符号化識別情報2が「独立符号化処理」を示す場合は、現在符号化処理中のピクチャがいずれの色成分に属するかを支持する色成分識別情報が入力され、これに基づいて符号化処理中のスライス先頭に色成分識別フラグ33を付与する。・・・マクロブロックレベルの符号化データとしては、符号化モード15、イントラ予測モード100・101・・・量子化パラメータ32・・・などが入力され、・・・符号化されてビットストリーム30に多重化され」との記載、【0038】の「ビットストリーム30の全体図を示す。シーケンスレベルのヘッダ情報であるシーケンスパラメータセット(SPS)には、クロマフォーマット識別情報1、共通符号化・独立符号化識別情報2・・・が多重化され」との記載、【0040】の「クロマフォーマット識別情報1により、クロマフォーマットが4:4:4であると示される場合は、・・・共通符号化・独立符号化識別情報2が「共通符号化処理」を示す場合・・・は、スライスは・・・C0、C1、C2成分の画素からなるマクロブロックの符号化データを含み、MBHには符号化モード15に相当するマクロブロックタイプが含まれ、マクロブロックタイプがイントラ予測モードを示す場合は、C0/C1/C2の全成分共通のイントラ予測モード100と、・・・量子化パラメータ32などが含まれる。」との記載、【0041】の「共通符号化・独立符号化識別情報2が「独立符号化処理」を示す場合・・・は、スライスは・・・C0、C1、C2のいずれか1つの色成分(Ck)の画素からなるマクロブロックの符号化データを含む。CkがC0、C1、C2のいずれの色成分に該当するかを指示する情報として、スライスの先頭に色成分識別フラグ33が付与される。MBHには符号化モード15に相当するマクロブロックタイプが含まれ、マクロブロックタイプがイントラ予測モードを示す場合は、Ck成分のイントラ予測モード100と、・・・量子化パラメータ32などが含まれる。」との記載がある。 ここで、【0037】の「現在符号化処理中のピクチャがいずれの色成分に属するかを支持する色成分識別情報」という記載について、【0037】の「共通符号化・独立符号化識別情報2が「独立符号化処理」を示す場合」という記載や、【0041】の「共通符号化・独立符号化識別情報2が「独立符号化処理」を示す場合」という記載にあるように、「識別情報」とは何らかの状態を「示す」情報であることがいえ、また、【0041】の「CkがC0、C1、C2のいずれの色成分に該当するかを指示する情報」という記載からすると、いずれの色成分に該当するかを「指示」する情報が必要であることがいえる。 そうすると、【0037】の「現在符号化処理中のピクチャがいずれの色成分に属するかを支持する色成分識別情報」という記載は、「現在符号化処理中のピクチャがいずれの色成分に属するかを指示する色成分識別情報」の誤記であると認められる。 以上の点を踏まえると、引用文献1の上記記載によれば、引用文献1には、 可変長符号化部27には、シーケンスレベルのヘッダ情報として、クロマフォーマット識別情報1、共通符号化・独立符号化識別情報2が入力され、共通符号化・独立符号化識別情報2が「独立符号化処理」を示す場合は、現在符号化処理中のピクチャがいずれの色成分に属するかを指示する色成分識別情報が入力され、これに基づいて符号化処理中のスライス先頭に色成分識別フラグ33を付与し、マクロブロックレベルの符号化データとしては、符号化モード15、イントラ予測モード100・101、量子化パラメータ32などが入力され、符号化されてビットストリーム30に多重化され、 ビットストリーム30において、シーケンスレベルのヘッダ情報であるシーケンスパラメータセット(SPS)には、クロマフォーマット識別情報1、共通符号化・独立符号化識別情報2が多重化され、 クロマフォーマット識別情報1により、クロマフォーマットが4:4:4であると示される場合は、共通符号化・独立符号化識別情報2が「共通符号化処理」を示す場合は、スライスはC0、C1、C2成分の画素からなるマクロブロックの符号化データを含み、MBHには符号化モード15に相当するマクロブロックタイプが含まれ、マクロブロックタイプがイントラ予測モードを示す場合は、C0/C1/C2の全成分共通のイントラ予測モード100と、量子化パラメータ32などが含まれ、 共通符号化・独立符号化識別情報2が「独立符号化処理」を示す場合は、スライスはC0、C1、C2のいずれか1つの色成分(Ck)の画素からなるマクロブロックの符号化データを含み、CkがC0、C1、C2のいずれの色成分に該当するかを指示する情報として、スライスの先頭に色成分識別フラグ33が付与され、MBHには符号化モード15に相当するマクロブロックタイプが含まれ、マクロブロックタイプがイントラ予測モードを示す場合は、Ck成分のイントラ予測モード100と、量子化パラメータ32などが含まれる、 ことが記載されているといえる。 (5)以上の記載によれば、引用文献1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。(符号a~c21は合議体が付した。以下、「構成a」~「構成c21」等という。) (引用発明) a 3つの色成分を (C0,C1,C2)成分と総称し、(R,G,B)、(Y,Cb,Cr)、(X,Y,Z)などの色空間で定義される4:4:4クロマフォーマットの映像信号を入力として映像符号化を行いビットストリームを出力する符号化装置であって、 a1 前記符号化装置は、フレーム単位で定義されるピクチャの時系列データとして表現される映像信号を入力とし、ピクチャはさらにマクロブロックと呼ばれる正方ブロックに分割され、マクロブロックの単位で予測・変換・量子化処理を適用して映像圧縮を行い、(1) a2 前記符号化装置は、C0成分イントラ予測モード決定部5、C1/C2成分イントラ予測モード決定部6、C0成分イントラ予測画像生成部7、C1/C2成分イントラ予測画像生成部8、符号化モード選択部14、C0成分動き検出部9、C1/C2成分動き検出部10、C0成分動き補償部11、C1/C2成分動き補償部12、C0成分予測残差符号化部18、C1成分予測残差符号化部19、C2成分予測残差符号化部20、可変長符号化部27を含み、 a3 前記符号化装置において、入力映像信号3は、マクロブロックデータに分割され、C0成分イントラ予測モード決定部5、C1/C2成分イントラ予測モード決定部6、C0成分イントラ予測画像生成部7、C1/C2成分イントラ予測画像生成部8によりイントラ予測処理を行って、符号化モード選択部14により当該マクロブロックを符号化するにあたってもっとも効率のよい予測モードを選択し、C0成分予測残差符号化部18、C1成分予測残差符号化部19、C2成分予測残差符号化部20により予測残差を変換・量子化し、予測モードなどのサイド情報と変換係数とを可変長符号化部27により可変長符号化してビットストリーム30を生成するものであり、(2) b、b1 C0イントラ予測モード決定部5によってC0成分イントラ予測モード100が決定され、ここで選択可能なモードはイントラ4x4予測モード、イントラ8x8予測モード、イントラ16x16予測モードの3種類があり、 イントラ4x4予測モードとイントラ8x8予測モードについては、マクロブロックを4x4画素または8x8画素からなるブロックに分割して、個々のブロックごとに個別に近傍参照画素を用いた空間予測を行うものであり、この予測方法の選択肢が9つあり、9つのうちのいずれの方法を用いて予測を行ったかをイントラ予測モードの形でサイド情報のひとつとして符号化し、 マクロブロックを細分化せずに16x16ブロックのままイントラ予測を行うモードとしてイントラ16x16予測モードの場合は、4種類の空間予測方法を選択でき、 C1/C2成分イントラ予測モード決定部6によって、個別のC1/C2成分イントラ予測モード101a、101bが決定され、 クロマフォーマットが4:4:4の場合は、C0、C1、C2の各成分がY、Cb、Crに固定されておらず、符号化装置では、クロマフォーマットが4:4:4の場合にはC0、C1、C2ともに、C0成分のイントラ予測モード決定部5相当の処理によるイントラ予測モードの選択を行うものであり、(3) c2 共通符号化・独立符号化識別情報2が「共通符号化処理」を示す場合は、C0、C1、C2成分を共通の唯一のイントラ予測モードで予測する、すなわち、C0/C1/C2成分はすべてC0成分イントラ予測モード100でイントラ予測し、 c1 共通符号化・独立符号化識別情報2が「独立符号化処理」を示す場合は、C0、C1、C2成分に対して個別に求めたイントラ予測モードで予測する、すなわち、C1、C2成分はC0成分対応のイントラ予測モードからC0成分とは独立して求めるC1/C2成分イントラ予測モード101a、101bによってイントラ予測し、 c 以上の処理によって決定された各色成分ごとのイントラ予測モードに基づいて、C0成分イントラ予測画像生成部7、C1/C2成分イントラ予測画像生成部8において予測画像の生成が行われ、(3) a4 可変長符号化部27には、シーケンスレベルのヘッダ情報として、クロマフォーマット識別情報1、共通符号化・独立符号化識別情報2が入力され、共通符号化・独立符号化識別情報2が「独立符号化処理」を示す場合は、現在符号化処理中のピクチャがいずれの色成分に属するかを指示する色成分識別情報が入力され、これに基づいて符号化処理中のスライス先頭に色成分識別フラグ33を付与し、マクロブロックレベルの符号化データとしては、符号化モード15、イントラ予測モード100・101、量子化パラメータ32などが入力され、符号化されてビットストリーム30に多重化され、 ビットストリーム30において、シーケンスレベルのヘッダ情報であるシーケンスパラメータセット(SPS)には、クロマフォーマット識別情報1、共通符号化・独立符号化識別情報2が多重化され、 c21 クロマフォーマット識別情報1により、クロマフォーマットが4:4:4であると示される場合は、共通符号化・独立符号化識別情報2が「共通符号化処理」を示す場合は、スライスはC0、C1、C2成分の画素からなるマクロブロックの符号化データを含み、MBHには符号化モード15に相当するマクロブロックタイプが含まれ、マクロブロックタイプがイントラ予測モードを示す場合は、C0/C1/C2の全成分共通のイントラ予測モード100と、量子化パラメータ32などが含まれ、 c11 共通符号化・独立符号化識別情報2が「独立符号化処理」を示す場合は、スライスはC0、C1、C2のいずれか1つの色成分(Ck)の画素からなるマクロブロックの符号化データを含み、CkがC0、C1、C2のいずれの色成分に該当するかを指示する情報として、スライスの先頭に色成分識別フラグ33が付与され、MBHには符号化モード15に相当するマクロブロックタイプが含まれ、マクロブロックタイプがイントラ予測モードを示す場合は、Ck成分のイントラ予測モード100と、量子化パラメータ32などが含まれる、(4) 符号化装置。(ア) 第4 本願発明と引用発明との対比及び相違点に対する判断 1 本願発明と上記引用発明とを対比する。 (1)構成A、Dについて 構成a1、a3から、引用発明における「符号化装置」は、フレーム単位で定義されるピクチャの時系列データとして表現される映像信号を入力とし、ピクチャをマクロブロックデータに分割して符号化するものである。 また、構成a2から、引用発明における「符号化装置」は、C0成分イントラ予測モード決定部5、C1/C2成分イントラ予測モード決定部6、C0成分イントラ予測画像生成部7、C1/C2成分イントラ予測画像生成部8、符号化モード選択部14、C0成分動き検出部9、C1/C2成分動き検出部10、C0成分動き補償部11、C1/C2成分動き補償部12、C0成分予測残差符号化部18、C1成分予測残差符号化部19、C2成分予測残差符号化部20、可変長符号化部27を含む。 また、構成a3から、イントラ予測処理はC0成分イントラ予測モード決定部5、C1/C2成分イントラ予測モード決定部6、C0成分イントラ予測画像生成部7、C1/C2成分イントラ予測画像生成部8によって行われるといえる。 そうすると、上記各部を備えた構成aの「符号化装置」が、本願発明の構成Aの「ピクチャ内の少なくともブロックについてのピクチャ・データを符号化する符号化器(400)」に相当する。 また、引用発明の「符号化装置」を稼働させるためには電源等や筐体等の部材を必要とするところ、これらの部材を具備することは明らかであり、これら部材を含めたものが、本願発明の構成Dの「装置」に相当するといえる。 (2)構成B、B1について 構成a3から、引用発明は「マクロブロックデータに分割され」「イントラ予測処理を行って」、「当該マクロブロックを符号化する」にあたって、「C0成分イントラ予測モード決定部5、C1/C2成分イントラ予測モード決定部6」「によりイントラ予測を行って」「符号化モード選択部14により当該マクロブロックを符号化するにあたってもっとも効率のよい予測モードを選択」するといえる。 ここで、構成b、b1から、「C0イントラ予測モード決定部5によってC0成分イントラ予測モード100が決定され、ここで選択可能なモードはイントラ4x4予測モード、イントラ8x8予測モード、イントラ16x16予測モードの3種類があり」、「C1/C2成分イントラ予測モード決定部6によって、個別のC1/C2成分イントラ予測モード101a、101bが決定され」る。 そして、「クロマフォーマットが4:4:4の場合は、C0、C1、C2の各成分がY、Cb、Crに固定されておらず、符号化装置では、クロマフォーマットが4:4:4の場合にはC0、C1、C2ともに、C0成分のイントラ予測モード決定部5相当の処理によるイントラ予測モードの選択を行う」ことから、クロマフォーマットが4:4:4の場合には、C0、C1、C2ともに、イントラ4x4予測モード、イントラ8x8予測モード、イントラ16x16予測モードの3種類の予測モードが選択可能であるといえるところ、C0、C1、C2の各成分のうち、どれか1つがルマ成分であり、残りの2つがクロマ成分であることから、構成a3を踏まえた構成b、b1から、引用発明はルマ成分、クロマ成分のいずれについてもイントラ4x4予測モード、イントラ8x8予測モード、イントラ16x16予測モードの3種類の予測モードが選択可能であるといえる。 以上のことから、引用発明は、本願発明の構成B、B1同様に、「前記ブロックのイントラ予測クロマ符号化のために、複数のパーティション・タイプがサポートされ」、「前記複数のパーティション・タイプは、16×16、8×8、4×4のサイズを有する複数のクロマ・パーティション・タイプのセットおよび複数のルマ・パーティション・タイプのセットを含」むといえる。 (3)構成C1、C11について 上記(2)のとおり、引用発明はルマ成分、クロマ成分のいずれについてもイントラ4x4予測モード、イントラ8x8予測モード、イントラ16x16予測モードの3種類の予測モードが選択可能であるといえるから、本願発明の構成C1同様に「特定のルマ・パーティション・タイプは、前記複数のルマ・パーティション・タイプのセットから決定され」ること、「前記ブロックを符号化するために使用される前記複数のクロマ・パーティション・タイプのセットから、前記ブロックを符号化するための」、「特定のクロマ・パーティション・タイプが決定され」るといえる。 ここで、構成b、b1にあるように、引用発明は「イントラ4x4予測モードとイントラ8x8予測モードについては、マクロブロックを4x4画素または8x8画素からなるブロックに分割して、個々のブロックごとに個別に近傍参照画素を用いた空間予測を行うものであり、この予測方法の選択肢が9つあり、9つのうちのいずれの方法を用いて予測を行ったかをイントラ予測モードの形でサイド情報のひとつとして符号化し、マクロブロックを細分化せずに16x16ブロックのままイントラ予測を行うモードとしてイントラ16x16予測モードの場合は、4種類の空間予測方法を選択でき」る。 そうすると、引用発明においては、ルマ成分について、特定のルマ・パーティション・タイプが決定された後、ルマ・パーティション・タイプに応じた9つないし4つの空間予測方法が選択され、この9つないし4つの空間予測方法のいずれかの空間予測方法から、いずれの方法を用いて予測を行ったか示す情報をイントラ予測モードとして符号化することになるが、このイントラ予測モードが、本願発明の構成C1の「ルマ・イントラ・予測モード」に当たる。 また、同様に、引用発明においては、クロマ成分についても、特定のクロマ・パーティション・タイプが決定された後、クロマ・パーティション・タイプに応じた9つないし4つの空間予測方法から、いずれの方法を用いて予測を行ったか示す情報をイントラ予測モードとして符号化することになるが、このイントラ予測モードが、本願発明の構成C1の「前記ブロックを符号化するための」「単一のクロマ・イントラ・予測モード」に当たる。 さらに、引用発明においても、「イントラ・ルマ・パーティション・タイプ及びクロマ・パーティション・タイプは、マクロ・ブロック内でマクロ・ブロック単位で」「符号化され」る点で本願発明の構成C11と共通している。 ここで、構成c1にあるように、「共通符号化・独立符号化識別情報2が「独立符号化処理」を示す場合は、C0、C1、C2成分に対して個別に求めたイントラ予測モードで予測する、すなわち、C1、C2成分はC0成分対応のイントラ予測モードからC0成分とは独立して求めるC1/C2成分イントラ予測モード101a、101bによってイントラ予測」することから、ルマ成分とクロマ成分は独立して求めるイントラ予測モードによってイントラ予測されるといえる。 以上のことから、引用発明においても、本願発明の構成C11と同様に、「イントラ・ルマ・パーティション・タイプ及びクロマ・パーティション・タイプは、マクロ・ブロック内でマクロ・ブロック単位で独立して符号化され」るといえる。 また、上記(2)のとおり、ルマ・パーティション・タイプとクロマ・パーティション・タイプはいずれも16x16、8x8、4x4の3種類があり、さらに各パーティション・タイプ毎に9つないし4つのイントラ予測モード値をとることから、ルマ成分とクロマ成分が独立して符号化される場合、クロマ成分のイントラ予測モード値はルマ成分のイントラ予測モード値とは異なる値をとり得ることは明らかである。 そうすると、引用発明においても本願発明の構成C1と同様に「単一のクロマ・イントラ予測モード」は「ルマ・イントラ予測モード」とは異なり得るといえる。 (4)構成C2、C21について 上記(3)と同様に、上記(2)のとおり、引用発明はルマ成分、クロマ成分のいずれについてもイントラ4x4予測モード、イントラ8x8予測モード、イントラ16x16予測モードの3種類の予測モードが選択可能であるといえるから、本願発明の構成C1と同様に、「前記複数のクロマ・パーティション・タイプのセットから、前記ブロックを符号化するために単一のクロマ・イントラ予測モードを用いる特定のクロマ・パーティション・タイプが決定され」るといえ、この点で本願発明の構成C2と共通する。 ここで、構成c2にあるように、「共通符号化・独立符号化識別情報2が「共通符号化処理」を示す場合は、C0、C1、C2成分を共通の唯一のイントラ予測モードであるC0成分イントラ予測モード100でイントラ予測」することから、16x16、8x8、4x4という3種類のパーティション・タイプについても、C0、C1、C2成分で共通の値をとる、すなわち、ルマ成分とクロマ成分で共通の値をとることがいえる。 したがって、引用発明においても、本願発明の構成C2と同様に、「前記ブロックを符号化するために利用されるルマ・パーティション・タイプに応じて、前記複数のクロマ・パーティション・タイプのセットから、前記ブロックを符号化するために単一のクロマ・イントラ予測モードを用いる特定のクロマ・パーティション・タイプが決定され」、構成C21と同様に、「前記ルマ・パーティション・タイプが前記複数のルマ・パーティション・タイプのセットに含まれ、前記クロマ・パーティション・タイプは、一組のパーティション・タイプについてのルマ・パーティション・タイプと揃えられ」るといえる。 (5)構成C22について 構成a4にあるように、符号化されてビットストリーム30に多重化される情報として、イントラ予測モード100・101やクロマフォーマット識別情報1、共通符号化・独立符号化識別情報2があるところ、構成c21にあるように、「クロマフォーマット識別情報1により、クロマフォーマットが4:4:4であると示される場合は、共通符号化・独立符号化識別情報2が「共通符号化処理」を示す場合は、スライスはC0、C1、C2成分の画素からなるマクロブロックの符号化データを含み」「マクロブロックタイプがイントラ予測モードを示す場合は、C0/C1/C2の全成分共通のイントラ予測モード100」「が含まれ」る。 そうすると、「クロマフォーマット識別情報1により、クロマフォーマットが4:4:4であると示される場合は、共通符号化・独立符号化識別情報2が「共通符号化処理」を示す場合、引用発明は、16x16、8x8、4x4という3種類のパーティション・タイプについて、全成分共通の値が符号化されてビットストリームに多重化されるといえ、所定の1つの成分についてのパーティション・タイプが信号伝達される点で本願発明の構成C22と共通する。 しかしながら、本願発明は、「クロマ・パーティション・タイプではなく、ルマ・パーティション・タイプが信号伝達される」のに対して、引用発明はどの成分のイントラ予測モードが信号伝達されるのかは特定されていない点で相違する。 (6)以上(1)~(5)を踏まえて、本願発明と引用発明とを対比すると、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。 (一致点) A ピクチャ内の少なくともブロックについてのピクチャ・データを符号化する符号化器を備え、 B 前記ブロックのイントラ予測クロマ符号化のために、複数のパーティション・タイプがサポートされ、 B1 前記複数のパーティション・タイプは、16×16、8×8、4×4のサイズを有する複数のクロマ・パーティション・タイプのセットおよび複数のルマ・パーティション・タイプのセットを含み、 C1 前記ブロックを符号化するために使用される前記複数のクロマ・パーティション・タイプのセットから、前記ブロックを符号化するための、ルマ・イントラ・予測モードとは異なり得る、単一のクロマ・イントラ予測モードを用いる特定のクロマ・パーティション・タイプが決定され、特定のルマ・パーティション・タイプは、前記複数のルマ・パーティション・タイプのセットから決定され、 C11 イントラ・ルマ・パーティション・タイプ及びクロマ・パーティション・タイプは、マクロ・ブロック内でマクロ・ブロック単位で独立して符号化され、 または C2 前記ブロックを符号化するために利用されるルマ・パーティション・タイプに応じて、前記複数のクロマ・パーティション・タイプのセットから、前記ブロックを符号化するために単一のクロマ・イントラ予測モードを用いる特定のクロマ・パーティション・タイプが決定され、 C21 前記ルマ・パーティション・タイプが前記複数のルマ・パーティション・タイプのセットに含まれ、前記クロマ・パーティション・タイプは、一組のパーティション・タイプについてのルマ・パーティション・タイプと揃えられ、 C22’ 所定の1つの成分についてのパーティション・タイプが信号伝達される、 D 装置。 (相違点) ブロックを符号化するために利用されるルマ・パーティション・タイプに応じて、複数のクロマ・パーティション・タイプのセットから、前記ブロックを符号化するために単一のクロマ・イントラ予測モードを用いる特定のクロマ・パーティション・タイプが決定され、前記クロマ・パーティション・タイプは、一組のパーティション・タイプについてのルマ・パーティション・タイプと揃えられる場合において、伝達される信号として、 本願発明はクロマ・パーティション・タイプではなく、ルマ・パーティション・タイプが信号伝達されるのに対して、 引用発明はC0/C1/C2成分共通のパーティション・タイプが信号伝達されるにすぎず、クロマ・パーティション・タイプではなく、ルマ・パーティション・タイプが信号伝達されるとは特定されていない点。 2 相違点に対する検討及び判断 上記相違点について検討する。 一般に、各色成分の中で最も重要なものはルマ成分であるところ、引用発明において、色成分の共通なパーティション・タイプのみを信号伝達するにあたり、当該共通なパーティション・タイプとして、色成分の中で最も重要なルマ成分についてのものと定めることは、当業者が格別の困難なく想到し得ることであるといえる。 したがって、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 3 審判請求人の主張について 審判請求人は、審判請求書の「3.本願発明が特許されるべき理由」において、以下のとおり主張している。 「3.本願発明が特許されるべき理由 (中略) 審査官は、請求項1に記載の「イントラ・ルマ・パーティション・タイプ及びクロマ・パーティション・タイプが、マクロ・ブロック内で、マクロ・ブロック単位で独立して符号化される」ことが引用文献1の図15(B)に記載されていると認定しております。 しかし、引用文献1の図15(B)は、独立符号化スライスにおけるマクロ・ブロック・ヘッダの情報を示しているに過ぎません。このマクロ・ブロック・ヘッダは、C0、C1、C2のいずれか1つの色成分(Ck)の画素からなるマクロ・ブロックの符号化データを含みます。CkがC0、C1、C2のいずれの色成分に該当するかを指示する情報として、スライスの先頭に色成分識別フラグ33が付与されます。MBHには、符号化モード15に相当するマクロブロックタイプが含まれ、マクロブロックタイプがイントラ予測モードを示す場合は、Ck成分のイントラ予測モード100と、量子化係数データの量子化・逆量子化に用いる量子化パラメータ32などが含まれます。(中略) 引用文献1に記載の符号化方法は、4:4:4、4:2:2、4:2:0などのフォーマット(すなわち、クロマ及びルマのフォーマットが既知であるフォーマット)であるため、イントラ・ルマ・パーティション・タイプ及びクロマ・パーティション・タイプをマクロ・ブロック内で、マクロ・ブロック単位で独立して符号する必要がありません。 「イントラ・ルマ・パーティション・タイプ及びクロマ・パーティション・タイプが、マクロ・ブロック内で、マクロ・ブロック単位で独立して符号化される」ことは、引用文献1の図15(B)から読み取ることはできないものと思料致します。 また、審査官は、請求項1に記載の「クロマ・パーティション・タイプではなく、ルマ・パーティション・タイプが信号伝達される」ことが引用文献1の図15(A)に記載されていると認定しております。 しかし、引用文献1の図15(A)は、共通符号化スライスにおけるマクロ・ブロック・ヘッダの情報を示しているに過ぎません。引用文献1の図15(A)からは、クロマ・パーティション・タイプやルマ・パーティション・タイプなどの情報がマクロ・ブロック・ヘッダのどこに格納されているのかが不明であり、また、クロマ・パーティション・タイプではなく、ルマ・パーティション・タイプがマクロ・ブロック・ヘッダに格納されて信号伝達されるか否かも不明です。 引用文献1の図13及び図18には、クロマフォーマット識別情報のみが記載されていることを考慮しますと、引用文献1に記載の符号化方法は、クロマ・パーティション・タイプではなく、ルマ・パーティション・タイプをマクロ・ブロック・ヘッダに格納して信号伝達する処理を行うものではないものと思料致します。 「クロマ・パーティション・タイプではなく、ルマ・パーティション・タイプが信号伝達される」ことは、引用文献1の図15(A)から読み取ることはできないものと思料致します。 上述の理由により、引用文献1の記載からは、「独立符号化処理」において、イントラ・ルマ・パーティション・タイプ及びクロマ・パーティション・タイプを、マクロ・ブロック内で、マクロ・ブロック単位で独立して符号化することも、「共通符号化処理」において、クロマ・パーティション・タイプを、一組のパーティション・タイプについてのルマ・パーティション・タイプと揃え、クロマ・パーティション・タイプではなく、ルマ・パーティション・タイプを信号伝達させることも、読み取れないものと思料致します」 上記主張について検討する。 (1)4:4:4、4:2:2、4:2:0などのフォーマット(すなわち、クロマ及びルマのフォーマットが既知であるフォーマット)であることは、イントラ・ルマ・パーティション・タイプ及びクロマ・パーティション・タイプをマクロ・ブロック内で、マクロ・ブロック単位で独立して符号する必要性がないことを導くものではない。 そして、上記1(3)のとおり、引用発明においても、イントラ・ルマ・パーティション・タイプ及びクロマ・パーティション・タイプをマクロ・ブロック内で、マクロ・ブロック単位で独立して符号するものといえる。 (2)上記2において示したとおり、引用発明において、一般に、各色成分の中で最も重要なものはルマ成分であるところ、引用発明において、色成分の共通なパーティション・タイプのみを信号伝達するにあたり、当該共通なパーティション・タイプとして、色成分の中で最も重要なルマ成分についてのものと定めることは、当業者が格別の困難なく想到し得ることであるといえる。 以上のとおり、審判請求書の主張は採用できない。 第5 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について検討するまでもなく、拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-012103

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