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特許拒絶査定不服審判

2022-012030

遊技機

審判番号
2022-012030
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-020305外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年08月03日
審決日
2023年03月01日
公報発行日
2023年05月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (A63F) / P18 .113-Z (A63F) / P18 .161-Z (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019- 20305「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 8月27日出願公開、特開2020-127471〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 13項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、平成31年2月7日の特許出願であって、令和2年6月5日に手続補正書が提出され、令和3年3月23日付けで拒絶の理由が通知され、同年5月25日に意見書及び手続補正書が提出され、同年11月2日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年12月21日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和4年4月21日付け(謄本送達日:同年5月10日)で、令和3年12月21日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、令和4年8月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 令和4年8月3日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和4年8月3日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正の内容

本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、令和3年5月25日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1、2のうち、請求項1における

「【請求項1】
第1の面と第2の面とに導体パターンを形成可能な基板を備え、
前記基板は、
収容ケースに収容され、
続きを表示(全13行)
遊技の用に供せず所定の検査の用に供する検査用コネクタを含むコネクタと、プロセッサと、カラーコードによって定格を表示する受動素子を実装し、
前記第1の面に、当該基板に関する基板情報を表示する情報表示部を含む情報表示領域を当該基板の縁部に隣接して設け、
前記第2の面の、前記情報表示領域に対応する位置に前記導体パターンのベタ部を設け、
前記収容ケースは、複数のケース部材により構成され、
前記複数のケース部材の係合関係を封止するとともに、所定方向に第1側から第2側にわたって所定情報を表示する封止手段と、
前記複数のケース部材のうち所定のケース部材に、特定情報を表示する特定情報表示票と、を備え、
前記基板は、
前記受動素子を前記所定方向であって当該受動素子のカラーコードの第1色帯を前記第1側に向けて実装する、
遊技機。」とあったものを、
「【請求項1】
第1の面と第2の面とに導体パターンを形成可能な基板を備え、
前記基板は、
収容ケースに収容され、
続きを表示(全13行)
遊技の用に供せず所定の検査の用に供する検査用コネクタを含むコネクタと、プロセッサと、カラーコードによって定格を表示する受動素子を実装し、
前記第1の面に、当該基板に関する基板情報を表示する情報表示部を含む情報表示領域を当該基板の縁部に隣接して設け、
前記第2の面の、前記情報表示領域に対応する位置に前記導体パターンのベタ部を設け、
前記収容ケースは、複数のケース部材により構成され、
前記複数のケース部材の係合関係を封止するとともに、当該遊技機の上下方向における下側から上側に向かって並ぶ所定情報を表示する封止シールと、
前記複数のケース部材のうち所定のケース部材に、特定情報を表示する特定情報表示票と、を備え、
前記基板は、
前記受動素子を前記上下方向であって当該受動素子のカラーコードの第1色帯を、前記所定情報の表示の開始側である前記下側に向けて実装する、
遊技機。」とすることを含む補正である(なお、下線は、補正後の箇所を明示するために当審合議体が付した。)。

2 補正の目的

本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「封止手段」に関して、「所定方向に第1側から第2側にわたって所定情報を表示する封止手段」とあったものを「当該遊技機の上下方向における下側から上側に向かって並ぶ所定情報を表示する封止シール」と限定するとともに、「受動素子」の「実装」に関して、「前記受動素子を前記所定方向であって当該受動素子のカラーコードの第1色帯を前記第1側に向けて実装する」とあったものを「前記受動素子を前記上下方向であって当該受動素子のカラーコードの第1色帯を、前記所定情報の表示の開始側である前記下側に向けて実装する」と限定することを含むものである。

したがって、本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。

3 新規事項について

本件補正は、願書に最初に添付した明細書の【0450】、【0454】~【0457】、【0482】、【0483】、【0488】~【0490】、【0512】~【0513】、【0551】、【図47】~【図49】、【図53】(1)、【図54】(1)、【図57】(1)の記載に基づくものであり、新たな技術事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

4 独立特許要件について

そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、以下に検討する。

(1)本件補正発明

本件補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A~Eは、分説するため当審判合議体にて付した。)。

「A 第1の面と第2の面とに導体パターンを形成可能な基板を備え、
B 前記基板は、
B1 収容ケースに収容され、
B2 遊技の用に供せず所定の検査の用に供する検査用コネクタを含むコネクタと、プロセッサと、カラーコードによって定格を表示する受動素子を実装し、
続きを表示(全12行)
B3 前記第1の面に、当該基板に関する基板情報を表示する情報表示部を含む情報表示領域を当該基板の縁部に隣接して設け、
B4 前記第2の面の、前記情報表示領域に対応する位置に前記導体パターンのベタ部を設け、
C 前記収容ケースは、複数のケース部材により構成され、
C1 前記複数のケース部材の係合関係を封止するとともに、当該遊技機の上下方向における下側から上側に向かって並ぶ所定情報を表示する封止シールと、
C2 前記複数のケース部材のうち所定のケース部材に、特定情報を表示する特定情報表示票と、を備え、
D 前記基板は、
D1 前記受動素子を前記上下方向であって当該受動素子のカラーコードの第1色帯を、前記所定情報の表示の開始側である前記下側に向けて実装する、
E 遊技機。」

(2)引用文献1の記載及び引用発明

ア 引用文献1の記載事項

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原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である引用文献1(特開2010-12058号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審判合議体が付した。以下同じ。)。

(ア)

「【0008】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、不正対策を施しても第三者に不正対策と気付かれにくいとともに、正規基板か不正基板かの確認作業を容易に行うことができる回路基板を備えた遊技台を提供することを目的とする。」

(イ)

「【0045】
本体102の内部における背面上部(リール110?112を支持するリールユニット上方となる部位)には、主制御基板210が配設されている。主制御基板210は、スロットマシン100の主要部分の制御(遊技の進行に関する制御)を行う制御基板であり、本実施形態においては、不正基板判定用の識別情報を備えた制御基板となっている。この主制御基板210の不正基板判定用の識別情報に関しては、詳しくは後述する。なお、主制御基板210は、透明な樹脂ケースからなる基板収納ケース240内に収納されて、筐体内部に配置されている。」

・・・

【0047】

<主制御基板>

図3及び図4は、主制御基板210の表面の外観図である。なお、本実施形態において表面とは、電子部品が実装される側の片面をいい(実装面ともいう)、裏面とは、電子部品が実装されていない側の片面をいう(ハンダが露出しているのでハンダ面ともいう)。詳しくは、図3は、電子部品を実装していない状態の主制御基板210の表面の外観図であり、基板上に形成されたグランドパターン211を表記した外観図である。また、図4は、電子部品を実装した状態の主制御基板210の表面の外観図であり、グランドパターン211は省略された外観図である。なお、図3及び図4に示すように、主制御基板210の表面の右上端部には、会社名212が記載されている(図示していないが、裏面にも会社名212は記載されている)。

・・・

【0054】

また、第1実施例では、会社名212(主制御基板210Aの基板上で最も大きな識別文字)近傍のグランドパターン211に偽造判別規則を形成しているので、偽造判別の確認を行う人は、主制御基板210Aの基板上で目立つ会社名212近傍だけを視認すればよく、偽造判別規則を見つけることが容易となっている。」

(ウ)

「【図4】
[図:0001397050000001.jpg]
」

(エ)

「【0088】
第7実施例においては、図8(a)に示すように、複数の電子部品216のうち、一部の電子部品216には、抵抗値(カラーコード)aに加えて、偽造判別用マークbが付加されている。」

(オ)

「【0099】
<基板収納ケース>
次に、図9を参照して、上述した各実施例の偽造判別規則を備えた主制御基板210をスロットマシン100の筐体内部に取り付ける方法について説明する。
【0100】
主制御基板210は、図9(a)に示すように、基板収納ケース240に収納されて、筐体内部に設置される。すなわち、基板収納ケース240は、図9(b)に示すように、前面カバー250と、背面カバー260と、主制御基板210と、を備えている。基板収納ケース240の前面カバー250及び背面カバー260は、本実施形態では透光性樹脂を用いて成型されているため、基板収納ケース240の外部から内部に収納されている主制御基板210は視認可能となっている。
【0101】
基板収納ケース240は、図9(b)に示すように、前面カバー10と背面カバー20を組み合わせることで内部に主制御基板210を収納する1つの箱体を形成するので、この組み合わせた状態で、図9(a)に示すように、基板収納ケース240はリールユニット上方の背面上に設置される。この際、基板収納ケース240は前面カバー250を前面側に向けた状態、すなわち、前面扉102を開けた場合に、前面カバー250を視認可能となるような状態で設置される。」

(カ)

「【0146】
例えば、上記実施形態及び上記変形例で用いた偽造判別規則を設けた制御基板を「所定の遊技領域に球を発射する発射装置と、発射装置から発射された球を入球可能に構成された入賞口と、入賞口に入球した球を検知する検知手段と、検知手段が球を検知した場合に球を払出す払出手段と、所定の図柄(識別情報)を変動表示する可変表示装置を備え、入賞口に遊技球が入って入賞することを契機として、可変表示装置が図柄を変動させた後に停止表示させて、遊技状態の推移を告知するようなパチンコ遊技機」に用いてもよい。」

イ 認定事項

(ア)

【図4】には、「主制御基板210の表面に、試験用コネクタCN7を含む複数のコネクタと、複数のICと、複数の抵抗が実装されていること」が図示されているものと認められる(以下「認定事項(ア)」という。)。

(イ)

【図4】には、「主制御基板210に複数の抵抗(R21~R28)が上下方向に並列状に実装されていること」が図示されているものと認められる(以下「認定事項(イ)」という。)。

ウ 引用発明

上記アの記載事項および上記イの認定事項によると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a~eは、本件補正発明のA~Eに概ね対応させて付与した。)。

「a 電子部品が実装され、グランドパターン211が形成された表面と、電子部品が実装されておらず、ハンダが露出している裏面からなる主制御基板210を備え(【0047】)、
b 主制御基板210は、
b1 透明な樹脂ケースからなる基板収納ケース240内に収納されて、筐体内部に配置されており(【0045】)、
b2 表面に、試験用コネクタCN7を含む複数のコネクタと、複数のICと、抵抗値(カラーコード)aに加えて、偽造判別用マークbが付加されている複数の抵抗が実装され(【0088】、認定事項(ア))、
続きを表示(全11行)
b3 表面の右上端部に会社名212が目立つように記載されており(【0047】、【0054】)、
c 基板収納ケース240は、
前面カバー250と、背面カバー260を備え(【0100】)、
c1´ 前面カバー10と背面カバー20を組み合わせることで内部に主制御基板210を収納する1つの箱体が形成され、
この組み合わせた状態で、前面扉102を開けた場合に、前面カバー250を前面側に向けて前面カバー250を視認可能となる状態でリールユニット上方の背面上に設置され(【0101】)、
d、d1´ 主制御基板210には、複数の抵抗(R21~R28)が上下方向に並列状に実装された(認定事項(イ))
e パチンコ遊技機(【0146】)。」

(3)引用文献2の記載及び記載された技術事項

原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能になった引用文献2(特開2017-80241号公報)には、次の事項が記載されている。

「【0029】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を詳細に説明する。この実施形態では、本発明の遊技機について説明をした後、遊技機に設けられる基板の構造について説明する。
先ず、図1を用いてパチンコ遊技機(遊技機)の主要部材の配置レイアウトを説明する。図1は、本発明の実施形態によるパチンコ遊技機を例示する正面図である。」
「【0096】
また、上記の実施形態に係る基板において、社名や基板名や管理番号などの情報を基板上に記すようにしてもよい。図6の500Sは基板の表面における情報記載領域の例であり、501Sは裏面における情報記載領域(裏面情報記載領域)の例である。500Tは基板の上辺、500B基板の下辺、500Tは基板の左辺を示している(裏面においては上下が反転するため500Tと500Bの上下関係が入れ替わっている)。なお、表面と裏面の双方に部品が実装されるようにしてもよいし、何れか一方の面にのみ部品が実装されるようにしてもよい。
【0097】
図6に示す基板においては、ベタグランドが表面と裏面の両面にそれぞれ設けられている。500Gは表面のベタグランド(表面用ベタグランド)であり、501Gは裏面のベタグランド(裏面用ベタグランド)である。なお、表面用ベタグランド500Gと裏面用ベタグランド501Gは、上述のようにレジストで覆われている。
【0098】
図6の情報記載領域および裏面情報記載領域に記された情報(ABC)はエッチング文字(銅箔文字)にて形成されている。よって、情報が立体的に形成され目立たせることができる。情報がエッチング文字で形成されるため、情報記載領域および裏面情報記載領域においては、ベタグランドが取り除かれている。図6における黒色部分はベタグランドが取り除かれた部分を示す。
【0099】
ここで、表面では情報記載領域500Sにおける表面用ベタグンラド500Gが取り除かれているが、情報記載領域500Sの裏に対応する500S´においては裏面用ベタグランド501Gが取り除かれていない。同様に、裏面では裏面情報記載領域501Sにおける裏面用ベタグランド501Gが取り除かれているが、裏面情報記載領域501Sの裏に対応する501S´においては表面用ベタグランド500Gが取り除かれていない。
【0100】
基板は、主に樹脂により形成されているため透光性を有し、ベタグランドが形成されていない領域では光が透過されるようになっている。前述のように、エッチング文字が形成される情報記載領域500Sおよび裏面情報記載領域501Sにおいてはベタグランドが取り除かれるため、光が透過しやすくなり情報が認識し難くなる虞がある。しかし、情報記載領域500Sの裏(500S´)においては裏面用ベタグランド501Gが形成され、裏面情報記載領域501Sの裏(501S´)においては表面用ベタグランド500Gが形成されるため、光が透過することが防止され情報が認識しやすいようになっている。」
「【図6】
」

[図:0001397050000002.jpg]

」

ここで、上記【図6】(a)には、「情報(ABC)が、表面の左辺に隣接して記されている」こと(以下「認定事項」という。)が図示されているものと認められる。

上記記載事項および認定事項から、引用文献2には、次の技術事項が記載されていると認められる。

「基板の表面における情報記載領域500Sに、エッチング文字(銅箔文字)にて形成されている情報(ABC)が、表面の左辺に隣接して記され、
情報がエッチング文字で形成されるため、表面の情報記載領域500Sにおいてはベタグランド500Gが取り除かれるが、情報記載領域500Sの裏に対応する500S´においては裏面用ベタグランド501Gが取り除かれない(【0096】~【0100】、認定事項)、
パチンコ遊技機(【0029】)。」(以下「引用文献2に記載された技術事項」という。)

(4)引用文献3の記載及び記載された技術事項

原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である引用文献3(特開2012-95881号公報)には、次の事項が記載されている。

「【0031】
次に、本実施形態の遊技機10が特徴とする遊技制御装置100(制御装置)について説明する。
遊技制御装置100は、例えば図3、図4に示すように、遊技機10の動作制御等を行うことで遊技の進行を統括的に制御する遊技制御基板110(制御基板)と、当該遊技制御基板110を内部に収納するための基板ボックス120と、を備えて構成される。
そして、遊技制御装置100においては、予め記憶された固有の識別情報を発信可能な電子タグ131を有する電子タグシール130や、当該遊技制御装置100の管理番号等が印字された管理番号シール140、当該遊技制御装置100を備える遊技機10の機種等が印字された機種シール150などが、基板ボックス120(具体的には、基板ボックス120が備える第1ケース部材200(後述)等)に貼着されている。
【0032】
遊技制御装置100は、遊技盤30の背面に取り付けられて当該遊技盤30が前面枠12に取り付けられることによって、例えば図2に示すように、遊技機10の背面側から視認可能に配されている。したがって、以下の説明では、遊技機10の背面側に配された遊技制御装置100を遊技機10の背面側から見た場合(図2参照)に、遊技機10の背面側から視認可能な側を上側、遊技盤30に取り付けられた側を下側とし、上になる側を後側、下になる側を前側とし、左になる側を左側、右になる側を右側とする。」
「【0040】
基板ボックス120は、例えば図3、図4に示すように、遊技制御基板110を収納するための閉止空間Sを画成する第1ケース部材200及び第2ケース部材300と、第1ケース部材200と第2ケース部材300とを合体させて閉止空間Sを画成する閉止状態を保持したまま、第1ケース部材200と第2ケース部材300とを離反不能に結合することが可能な固着封止手段(左側端封止手段400、右側端封止手段500)及び溶着封止手段600と、電子タグシール130を貼着するための貼着領域R(図23(a)において網掛けされた領域)と、貼着領域Rに貼着された電子タグシール130を保護するための保護カバー部材700と、を備えて構成される。」
「【図4】
[図:0001397050000003.jpg]
」
「【図23】
[図:0001397050000004.jpg]
」
「【0139】
貼着領域Rは、例えば図23(a)に示すように、右側端封止手段500の第1固着部(右第1固着部510)と第2固着部(右第2固着部52c0)とに跨って形成されている。
具体的には、前述したように、右第1固着部510の外面及び右第2固着部520の外面は、閉止状態において互いに面一となるよう設定されており、貼着領域Rは、当該右第1固着部510の外面(具体的には、右第1内側固着部511の外面及び右第1外側固着部512の外面)と、当該右第2固着部520の外面(具体的には、右第2内側固着部521の外面及び右第2外側固着部522の外面)と、に跨って形成されている。すなわち、貼着領域Rは、右側端封止手段500において、主固着部(右第1外側固着部512及び右第2外側固着部522)と、副固着部(右第1内側固着部511及び右第2内側固着部521)と、に跨って形成されている。
したがって、右第1固着部510と右第2固着部520との重合境界と、脆弱部(右第1脆弱部513及び右第2脆弱部523)と、の双方が貼着領域Rを横断している。
続きを表示(全14行)
【0140】
電子タグシール130は、遊技機10が設置された遊技場の従業員等が、所定の読取装置を用いて当該電子タグシール130が有する電子タグ131から当該電子タグシール130が貼着された遊技制御装置100を識別するための識別情報を読み取って、遊技制御装置100の不正交換等を確認するためのものである。
具体的には、電子タグシール130は、例えば図14(a),(b),(c)に示すように、長尺状に形成されたRFICタグ等の電子タグ131と、矩形状に形成されたベースシール132と、により構成されている。
【0141】
ベースシール132は、一方の面が粘着面になっており、他方の面に「開封禁止」の文字等が印字されている。
・・・
【0143】
ここで、電子タグ131がベースシール132の対角線上に貼り付けられているので、貼着領域Rに貼着された電子タグシール130においては、第1固着部と第2固着部との重合境界(具体的には、右第1内側固着部511と右第2内側固着部521との重合境界、右第1外側固着部512と右第2外側固着部522との重合境界)と、電子タグ131と、が交差している。これにより、基板ボックス120を開封するために第1固着部と第2固着部との重合を解除すると、当該重合部分(重合境界)で電子タグ131が破損することになるので、基板ボックス120の不正開封を抑制できるとともに、基板ボックス120の不正開封を発見し易くすることができる。
また、電子タグ131がベースシール132の対角線上に貼り付けられているので、貼着領域Rに貼着された電子タグシール130においては、脆弱部(具体的には、右第1脆弱部513、右第2脆弱部523)と、電子タグ131と、が交差している。これにより、基板ボックス120を開封するために脆弱部を破壊して外側固着部を内側固着部から切り離すと、当該脆弱部で電子タグ131が破損することになるので、基板ボックス120の不正開封を抑制できるとともに、基板ボックス120の不正開封を発見し易くすることができる。
なお、電子タグ131には、第1固着部と第2固着部との重合解除や、脆弱部の破壊などに伴って破損し易くなるよう、脆弱部(例えば、切れ込み部)が設けられていても良い。」

ここで、【0032】の記載から、【図4】、【図23】(a)における「後」は、「遊技機10」の「上になる側」を示し、「前」は、「遊技機10」の「下になる側」を示しているものと認められる。そうすると、【図4】には、「ベースシール132が貼着領域Rに貼着された状態で、「開封禁止」の文字を遊技機10の下側から上側に向けて読み取り可である」こと(以下「認定事項」という。)が図示されているものと認められる。

上記記載事項および認定事項から、引用文献3には、次の技術事項が記載されていると認められる。

「基板ボックス120は、
遊技制御基板110を収納するための閉止空間Sを画成する第1ケース部材200及び第2ケース部材300と、
第1ケース部材200と第2ケース部材300とを合体させて閉止空間Sを画成する閉止状態を保持したまま、第1ケース部材200と第2ケース部材300とを離反不能に結合することが可能な右側端封止手段500(【0040】)と、
右側端封止手段500の右第1固着部510の外面と、当該右第2固着部520の外面とに跨って形成されている貼着領域R(【0139】)と、
貼着領域Rに貼着された電子タグシール130(【0040】)とを備え、
電子タグシール130は、長尺状に形成された電子タグ131と、矩形状に形成されたベースシール132とを有し(【0140】)、
ベースシール132は、一方の面が粘着面になっており、他方の面に「開封禁止」の文字が印字され(【0141】)、
ベースシール132が貼着領域Rに貼着された状態で「開封禁止」の文字を遊技機10の下側から上側に向けて読み取り可能であって(認定事項)、
第1ケース部材200に、遊技制御装置100の管理番号等が印字された管理番号シール140や、当該遊技制御装置100を備える遊技機10の機種等が印字された機種シール150が貼着された(【0031】)、
遊技機10(【0031】)。」(以下「引用文献3に記載された技術事項」という。)

(5)引用文献4の記載及び記載された技術事項

原査定の拒絶の理由において引用された引用文献4(「抵抗の取り付けには向きがある!?」,[online],2016年3月3日,「抵抗を基板に寝かせる場合」の欄,http://www.gatelink.co.jp/hw/micon-mame/resistor/index.html,[2019年8月30日検索] )には、次の事項が記載されている。

「
[図:0001397050000005.jpg]
[図:0001397050000006.jpg]
」

4番目の図には、「複数の抵抗を上下方向に並列状に実装する」ことが図示されているものと認められる。

上記記載事項および認定事項から、引用文献4には、次の技術事項が記載されていると認められる。

「一般的な抵抗器は極性がないため、基板へどちらの向きで実装させても回路の動作には関係なく、
リード付きの抵抗は、色コードで抵抗値を判断し、
抵抗を基板に寝かせて基板に取り付ける場合、茶色の第1色帯が、上側となるように向きを統一させて、複数の抵抗を上下方向に並列状に実装することで、色コードの順番を読みやすくしたこと」が記載されている(以下「引用文献4に記載された技術事項」という。)。

(6)対比

本件補正発明と引用発明とを、分説に従い対比する。

(a)

引用発明の「表面」、「裏面」、「グランドパターン211」、「主制御基板210」は、本件補正発明の「第1の面」、「第2の面」、「導体パターン」、「基板」に相当する。

そして、引用発明の「主制御基板210」の「裏面」に「ハンダが露出している」ことは、ハンダが、「電子部品」を導体配線に接続する電気的接続手段であることが当業者における技術常識であることからみて、「裏面」は、ハンダを介して「表面」に「実装され」た「電子部品」と電気的に接続される導体配線を備えているといえる。

そうすると、引用発明が、本件補正発明の「基板」の「第2の面」に「形成」された「導体パターン」を有することは明らかである。

したがって、引用発明の構成aは、本件補正発明の構成Aに相当する。

(b、b1)

引用発明の「主制御基板210」は、上記(a)より、本件補正発明の「基板」に相当する。

そして、引用発明の「基板収納ケース240」、「収納され」ることは、それぞれ、本件補正発明の「収容ケース」、「収容され」ることに相当する。

したがって、引用発明の構成b、b1は、本件補正発明の構成B、B1に相当する。

(b2)

引用発明の「試験用コネクタCN7」、「IC」、「抵抗値(カラーコード)a」「が付加されている」「抵抗」は、それぞれ、本件補正発明の「遊技の用に供せず所定の検査の用に供する検査用コネクタ」、「プロセッサ」、「カラーコードによって定格を表示する受動素子」に相当する。

したがって、引用発明の構成b2は、本件補正発明の構成B2に相当する。

(b3)

引用発明の「会社名212が記載されている」部分は、本件補正発明の「基板情報を表示する情報表示部」に相当する。

そして、引用発明の「主制御基板210」の「表面の右上端部」は、「会社名212が記載されている」ことから、本件補正発明の「情報表示部を含む情報表示領域」が「隣接して設け」られた「基板の縁部」に相当する。

したがって、引用発明の構成b3は、本件補正発明の構成B3に相当する。

(c)

上記(b、b1)より、引用発明の「基板収納ケース240」は、本件補正発明の「収容ケース」に相当する。

そして、引用発明の「前面カバー250」および「背面カバー260」は、本件補正発明の「複数のケース部材」に相当する。

したがって、引用発明の構成cは、本件補正発明の構成Cに相当する。

(d、d1)

引用発明の「主制御基板210」は、上記(a)より、本件補正発明の「基板」に相当する。

そして、引用発明の「抵抗」は、上記(b2)より、本件補正発明の「受動素子」に相当する。

また、引用発明の「上下方向に列状に実装」することは、本件補正発明の「上下方向」に「実装する」ことに相当する。

したがって、引用発明の構成d、d1と、本件補正発明の構成D、D1は、「受動素子を上下方向」に「実装する」ことで共通する。

(e)

引用発明の「パチンコ遊技機」は、本件補正発明の「遊技機」に相当する。

したがって、引用発明の構成eは、本件補正発明の構成Eに相当する。

上記(a)~(e)によれば、本件補正発明と引用発明は、

「A 第1の面と第2の面とに導体パターンを形成可能な基板を備え、
B 前記基板は、
B1 収容ケースに収容され、
B2 遊技の用に供せず所定の検査の用に供する検査用コネクタを含むコネクタと、プロセッサと、カラーコードによって定格を表示する受動素子を実装し、
B3 前記第1の面に、当該基板に関する基板情報を表示する情報表示部を含む情報表示領域を当該基板の縁部に隣接して設け、
C 前記収容ケースは、複数のケース部材により構成され、
D 前記基板は、
D1 前記受動素子を前記上下方向に実装する、
E 遊技機。」の点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1](構成B、B4)

「基板」の「第2の面」に関して、本件補正発明は、「情報表示領域に対応する位置に導体パターンのベタ部を設け」たのに対して、引用発明は、一般的な導体配線が形成されているといえるが、本件補正発明のような「ベタ部」が設けられていない点。

[相違点2](構成C1)

本件補正発明は、「複数のケース部材の係合関係を封止するとともに、当該遊技機の上下方向における下側から上側に向かって並ぶ所定情報を表示する封止シール」を備えるのに対して、引用発明は、そのような構成を備えるか否か明らかでない点。

[相違点3](構成C2)

本件補正発明は、「複数のケース部材のうち所定のケース部材に、特定情報を表示する特定情報表示票」を備えるのに対して、引用発明は、そのような構成を備えるか否か明らかでない点。

[相違点4](構成D1)

「基板」に「上下方向に実装」された「受動素子」に関して、本件補正発明は、「受動素子のカラーコードの第1色帯を、所定情報の表示の開始側である下側に向けて実装する」のに対して、引用発明は、「カラーコード」の第1色帯が上下のいずれの方向となるように実装されているのか特定されていない点。

(7)当審合議体の判断

ア [相違点1](構成B、B4)について

上記相違点1について検討する。

引用文献2に記載された技術事項と、本件補正発明の構成B、B3、B4との対応関係について検討する。

引用文献2に記載された技術事項の「基板」、「表面」、「裏面」、「エッチング文字(銅箔文字)にて形成されている情報(ABC)」が「記され」ている部分、「情報記載領域500」、「基板」の「表面の左辺に隣接」させることは、それぞれ、本件補正発明の「基板」、「第1の面」、「第2の面」、「基板に関する基板情報を表示する情報表示部」、「情報表示領域」、「該基板の縁部に隣接して設け」ることに対応することから、引用文献2に記載された技術事項は、本件補正発明の構成B3を備える。

また、引用文献2に記載された技術事項の「情報記載領域500Sの裏に対応する500S´」、「裏面用ベタグランド501Gが取り除かれない」ことは、それぞれ、本件補正発明の「第2の面の、情報表示領域に対応する位置」、「導体パターンのベタ部を設け」ることに対応することから、引用文献2に記載された技術事項は、本件補正発明の構成B4を備える。

そして、引用文献2に記載された技術事項は、「情報記載領域500Sの裏(500S´)においては裏面用ベタグランド501Gが形成され」「るため、光が透過することが防止され情報が認識しやすいようになっている。」(【0100】)という作用効果を奏するものである。

一方、引用発明の「会社名」は、「目立つ」ものである。

そうすると、引用発明と引用文献2に記載された技術事項とは、「基板情報」を目立たせ、認識容易とするという共通の機能を有する。

したがって、引用発明の「主制御基板210」の「会社名」の記載に引用文献2に記載された技術事項を適用して、「主制御基板210」の「表面」に記載された「会社名」をエッチング文字(銅箔文字)にて形成するとともに、「表面」の「会社名」の周囲のベタグランドを取り除くが、「会社名」が形成された「表面」に対応する裏面のベタグランドを残したままとし、上記相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものであり、このものが、銅箔文字にて形成されたことに伴い発生するノイズの影響をベタグランドにより低減させるという、本件補正発明と同様の効果を奏することは、当業者に自明である。

イ [相違点2、3](構成C1、C2)について

上記相違点2、3は、「収容ケース」に係る特定事項であるのでまとめて検討する。

引用文献3に記載された技術事項と、本件補正発明の構成C1、C2との対応関係について検討する。

引用文献3に記載された技術事項の「第1ケース部材200と第2ケース部材300とを合体させて閉止空間Sを画成する閉止状態を保持したまま、第1ケース部材200と第2ケース部材300とを離反不能に結合することが可能な右側端封止手段」は、本件補正発明の「複数のケース部材の係合関係」に対応する。

そして、引用文献3に記載された技術事項の「右側端封止手段500の右第1固着部510の外面と、当該右第2固着部520の外面とに跨って形成されている貼着領域R」「に貼着された電子タグシール130」は、本件補正発明の「係合関係を封止する」「封止シール」に対応する。

また、引用文献3に記載された技術事項の「ベースシール132が貼着領域Rに貼着された状態で「開封禁止」の文字を遊技機10の下側から上側に向けて読み取り可能であ」ることは、本件補正発明の「遊技機の上下方向における下側から上側に向かって並ぶ所定情報を表示する」ことに対応する。 したがって、引用文献3に記載された技術事項は、本件補正発明の構成C1を備える。

さらに、引用文献3に記載された技術事項の「基板ボックス120」の「第1ケース部材200」、「遊技制御装置100の管理番号等が印字された管理番号シール140や、当該遊技制御装置100を備える遊技機10の機種等が印字された機種シール150」は、それぞれ、本件補正発明の「複数のケース部材のうち所定のケース部材」、「特定情報を表示する特定情報表示票」に対応する。

したがって、引用文献3に記載された技術事項は、本件補正発明の構成C2を備える。

ここで、引用文献1の【0008】には、「本発明は、」「不正対策を施しても第三者に不正対策と気付かれにくいとともに、正規基板か不正基板かの確認作業を容易に行うことができる回路基板を備えた遊技台を提供すること」を目的とすることが記載され、引用文献3の【0143】には、「基板ボックス120の不正開封を抑制できるとともに、基板ボックス120の不正開封を発見し易くすることができる。」ことが記載されている。

そうすると、引用発明と、引用文献3に記載された技術事項は、不正対策を効率良く行うとともに、不正基板の確認作業を容易に行うことができるという共通の課題を解決するものである。

したがって、引用発明の「基板収納ケース240」に引用文献3に記載された技術事項を付加して、上記相違点2、3に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

ウ [相違点4](構成D1)について

上記相違点4について検討する。

引用文献4に記載された技術事項と、本件補正発明の構成B、B3、B4との対応関係について検討する。

引用文献4に記載された技術事項の「リード付きの抵抗」、「茶色の第1色帯」は、それぞれ、本件補正発明の「受動素子」、「カラーコードの第1色帯」に対応する。

そして、引用文献4に記載された技術事項は、「色コードの順番を読みやすく」するという効果を奏するものである。

一方、引用発明においても、「主制御基板210には、複数の抵抗(R21~R28)が上下方向に並列状に実装され」るものであるから、それら複数の抵抗の確認作業を容易に行うという自明の課題を内在するものである。 また、引用文献4に記載された技術事項に示すように、「一般的な抵抗器は極性がないため、基板へどちらの向きで実装させても回路の動作には関係な」いことから、抵抗の第1色帯の開始側を上側とするか、下側とするかによって、電気回路の性能に影響を与えるものではなく、抵抗の第1色帯の開始側を上側とするか、下側とするかは、当業者が、必要に応じて選択可能な事項である。

したがって、引用発明の「上下方向に並列状に実装された」「複数の抵抗(R21~R28)」に引用文献4に記載された抵抗の確認に関する技術事項を適用して、「抵抗値(カラーコード)a」の第1色帯の開始側を上側または下側に統一し、もって、抵抗の確認を容易に行えるようにすることは当業者が容易になし得たものである。

そして、引用発明に引用文献4に記載された技術事項を適用する際に、「抵抗値(カラーコード)a」の第1色帯の開始側を、上記イにおいて検討したように、引用発明に付加された「電子タグシール130」の「「開封禁止」の文字」の読み取り方向に揃えて下側とし、もって、「基板収納ケース240」に記載された文字を含む情報全体の読み取り方向を下側から上側に統一させ、「電子タグシール130」の「開封禁止」の「文字」や、抵抗の「抵抗値(カラーコード)」の確認のための作業効率を向上させることは、当業者が適宜なし得たものである。

よって、引用発明に引用文献4に記載された技術事項を適用して、上記相違点4に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

(8)本件補正発明により奏される効果は、引用発明、引用文献2~4に記載された技術事項により奏される効果から、当業者が予測することができた程度のものである。

(9)請求人の主張について

請求人は、令和4年8月3日付けの審判請求書において、次の点について主張をする。

「また、抵抗を確認する機会は、製造工程や検査工程においておこなわれることが一般的であり、基板単体で見て、電子部品の向きが左から右、上から下のように統一されることも一般的である。
たとえ、封止シールの健全性の確認が技術常識といえる技術事項であり、カラーコードの向きを上から下にして統一する受動素子の確認が技術常識といえる技術事項であったとしても、電子部品の向きを敢えて下から上にして封止シールの健全性の確認と関連付けることまで技術常識ともいえる技術事項であるとすることはできない。
・・・
このような混乱に対する手当として、請求項1に係る発明は、「当該遊技機の上下方向における下側から上側に向かって並ぶ所定情報を表示する封止シール」という発明特定事項を有して、封止シールにおける所定情報の確認から受動素子への確認を、同じ下から上の向きにして自然に行えるようにしている(たとえば、段落番号〔0486〕参照)。
請求項1に係る発明は、封止シールの健全性の確認と受動素子の確認とに密接な関係性を見出し、封止シール基準による確認容易性、さらには受動素子の向きを従来の技術常識に縛られない形で見直して不正発見の容易性向上をはかるという技術思想を有する(たとえば、段落番号〔0486〕参照)。
引用文献1から4には、このような技術思想の開示が一切ない。このような技術思想を欠いて、単に引用文献1から4を組み合わせれば、抵抗を上から下への向きに実装することとなるので、請求項1に記載の「前記基板は、前記受動素子を前記上下方向であって当該受動素子のカラーコードの第1色帯を、前記所定情報の表示の開始側である前記下側に向けて実装する」を容易に想到できない。
また、単に引用文献1から4を組み合わせただけでは、不正発見の容易性向上をはかるという特別の効果を得ることができないし、当該効果はそれぞれの技術事項の副次的効果を超えるものである。」

そこで、上記請求人の主張について検討する。

上記「(7)」の「ウ」において検討したように、引用発明に引用文献4に記載された技術事項を適用して、「抵抗」の「抵抗値(カラーコード)a」の第1色帯の開始側を下側に統一し、もって、「電子タグシール130」の「文字」や、「抵抗」の「抵抗値(カラーコード)a」の確認作業の効率を向上させることは当業者が容易になし得たものである。

そして、このものにおいて、基板における抵抗の「抵抗値(カラーコード)a」の確認を行う際に、抵抗の第1色帯の開始側が基板面の上側にあるものが存在する場合、不正により偽造された基板に交換されたと判別可能であることは当業者において自明である。

したがって、請求人の上記本件補正発明が奏する効果についての主張は、引用発明に引用文献4に記載された技術事項を適用することにより、自ずと導かれる効果に過ぎない。

よって、請求人の上記主張を採用することはできない。

(10)小括

以上のとおり、本件補正発明は、引用発明、引用文献2~4に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易になし得たものである。

5 まとめ

本件補正は、上記4において検討したことからみて、本件補正発明が、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1 本願発明

本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和3年5月25日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(記号A~Eは、分説するため当審判合議体にて付した。)。

「【請求項1】
A 第1の面と第2の面とに導体パターンを形成可能な基板を備え、
B 前記基板は、
B1 収容ケースに収容され、
続きを表示(全13行)
B2 遊技の用に供せず所定の検査の用に供する検査用コネクタを含むコネクタと、プロセッサと、カラーコードによって定格を表示する受動素子を実装し、
B3 前記第1の面に、当該基板に関する基板情報を表示する情報表示部を含む情報表示領域を当該基板の縁部に隣接して設け、
B4 前記第2の面の、前記情報表示領域に対応する位置に前記導体パターンのベタ部を設け、
C 前記収容ケースは、複数のケース部材により構成され、
C1-2 前記複数のケース部材の係合関係を封止するとともに、所定方向に第1側から第2側にわたって所定情報を表示する封止手段と、
C2 前記複数のケース部材のうち所定のケース部材に、特定情報を表示する特定情報表示票と、を備え、
D 前記基板は、
D1-2 前記受動素子を前記所定方向であって当該受動素子のカラーコードの第1色帯を前記第1側に向けて実装する、
E 遊技機。」

2 原査定の拒絶の理由(令和3年11月2日付け)

原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

<引用文献等一覧>

1.特開2010-012058号公報

2.特開2017-080241号公報

3.特開2012-095881号公報

4.「抵抗の取り付けには向きがある!?」,[online],2016年3月3日,「抵抗を基板に寝かせる場合」の欄,http://www.gatelink.co.jp/hw/micon-mame/resistor/index.html,[2019年8月30日検索]

3 引用文献

原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1~4およびその記載事項は、前記「第2」の「4」の(2)~(5)に記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、前記「第2[理由]」で検討した本件補正発明から、「封止手段」および「受動素子」の「実装」に関する限定を省いたものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記「第2の3」「(7)当審合議体の判断」において検討したように、引用発明および引用文献2~4に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に引用発明および引用文献2~4に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定に基づいて特許を受けることができないから、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-012030

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