特許拒絶査定不服審判
2022-010765
電子デバイス
- 審判番号
- 2022-010765
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-175245
- 請求日
- 2022年07月11日
- 審決日
- 2023年06月19日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】華碩電腦股▲ふん▼有限公司
- 【請求人代理人】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 ▲吉▼田 耕一
- 審判官 富澤 哲生
- 審判官 野崎 大進
- 分類
- P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-175245「電子デバイス」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 3月22日出願公開、特開2022- 45860、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年10月19日(パリ条約による優先権主張2020年9月9日 台湾)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 9月21日付け:拒絶理由通知書
令和3年12月 8日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 4月26日付け:拒絶査定
令和4年 7月11日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提出
令和5年 1月31日付け:拒絶理由通知書
令和5年 3月30日 :意見書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和4年4月26日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。
本願請求項1~4,6~14に係る発明は、以下の引用文献A~D,F,Gに記載された発明に基づいて、本願請求項5,15に係る発明は、以下の引用文献A~Gに記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献A: 特開2016-134051号公報
引用文献B: 特開2002-162618号公報
引用文献C: 特開2018-120060号公報
引用文献D: 国際公開第2010/119663号
引用文献E: 特開2017-207923号公報
引用文献F: 特開2002-109929号公報
引用文献G: 国際公開第2012/026444号
第3 当審拒絶理由の概要
当審が令和5年1月31日付けで通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。
本願請求項1~4,6~14に係る発明は、以下の引用文献1~8に記載された発明に基づいて、本願請求項1,2,4-7,11-15に係る発明は、以下の引用文献5,1~4,6,7,9に記載された発明に基づいて、本願請求項1~4,6~14に係る発明は、以下の引用文献9,5,8に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである(当審注:それぞれ、引用文献1,引用文献5,引用文献9が主たる引用文献である。)から、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1: 特開2016-134051号公報(原査定の引用文献A)
引用文献2: 特開2002-162618号公報(原査定の引用文献B)
引用文献3: 特開2018-120060号公報(原査定の引用文献C)
引用文献4: 国際公開第2010/119663号(原査定の引用文献D)
引用文献5: 特開2017-207923号公報(原査定の引用文献E)
引用文献6: 特開2002-109929号公報(原査定の引用文献F)
引用文献7: 国際公開第2012/026444号(原査定の引用文献G)
引用文献8: 特許第5187315号公報
引用文献9: 特開2020-115255号公報
第4 本願発明
本願請求項1~10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明10」という。)は、令和5年3月30日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定されるものであり、本願発明1は次のとおりの発明である。
「【請求項1】
機能モジュールと、
当該機能モジュールを収納するための空間が設けられ、フレームと突き出し部とを有するケースと、
当該フレームに嵌合されるカバーと、が含まれ、
当該突き出し部が屋根形状であって、当該フレームの一つの側壁から、当該カバーの外へ延びて突出するように当該フレームの当該一つの側壁に位置し、また、当該突き出し部と当該フレームが、一体成型であり、
前記側壁の外面が屋根形状であり、前記突き出し部が前記側壁の起伏に沿って側壁に形成されており、前記側壁の外面がその中央位置に頂点を有し、前記突き出し部の前記屋根形状がその中央位置に頂点を有し、2つの前記屋根形状の前記頂点によって定義される方向は、前記カバーの裏面と平行であり、前記側壁が2番目の頂点に対応する位置でより厚く、前記突き出し部が前記ケースの上縁および下縁にまで伸びている
ことを特徴とする電子デバイス。」
なお、本願発明2~10は、本願発明1を減縮した発明である。
第5 引用文献の記載、引用発明等
1 引用文献1、引用発明1
(1)当審拒絶理由にて引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。
引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。
「【0022】
図1~図5に示すように、電子機器10は、ディスプレイ18を有する本体筐体(第1筐体)16の後側の連結端部16aと、ディスプレイ20を有するディスプレイ筐体(第2筐体)14の後側の連結端部14aとを、左右一対のヒンジ12,12によって回動可能に連結したものである。
【0023】
本体筐体16は、矩形平板状に構成された扁平な箱体である。本体筐体16の表面16eには、ディスプレイ18が設けられている。ディスプレイ18は、例えばタッチパネル式の液晶表示装置によって構成されており、ソフトウェアキーボードとして機能させることもできる。本体筐体16の内部には、図示しない基板、演算装置及びメモリ等の各種電子部品が設けられている。ディスプレイ18に代えて又はディスプレイ18と共に本体筐体16の表面16eにキーボード装置やタッチパッド等の物理的な入力手段を設けてもよい。
【0024】
ディスプレイ筐体14は、矩形平板状に構成され、本体筐体16よりも薄い扁平な箱体であり、ヒンジ12を通過した図示しないケーブルにより本体筐体16と電気的に接続されている。ディスプレイ筐体14の表面14eには、本体筐体16のディスプレイ18と同様なディスプレイ20が設けられている。」
「【0027】
図6~図9に示すように、ディスプレイ筐体14のヒンジ12が設けられた連結端部(後辺)14a以外の3辺である開放端部(前辺)14b、左側端部(左側辺)14c及び右側端部(右側辺)14dには、バンパー部材22が設けられている。
【0028】
バンパー部材22は、衝撃や音を吸収可能なゴム材料等の弾性体をディスプレイ筐体14を構成する樹脂と二色成形することで該ディスプレイ筐体14と一体に形成されている。バンパー部材22は、ディスプレイ筐体14の左側端部14c、開放端部14b及び右側端部14dに亘って連続しており、各端部14b~14dの外側面15(図10~図13参照)から表面方向(表面14eと直交し該表面14eから離間する方向)及び裏面方向(裏面14fと直交し該裏面14fから離間する方向)に突出した突出部22a,22bを有する。突出部22aの表面14eからの突出量(高さ寸法h1)及び突出部22bの裏面14fからの突出量(高さ寸法h2)は、いずれも0.2~0.3mm程度に設定されている。
【0029】
このように、バンパー部材22は、ディスプレイ筐体14の連結端部14a以外の3辺の外側面15を連続して覆うと共に、その表面14e及び裏面14fから突出した突出部22a,22bを有する構造とされている。」
「【0035】
また、本実施形態の場合、図2及び図12に示すように、ディスプレイ筐体14の開放端部14bでは、裏面14fとの間の角部Aが鋭角に設定されている。同様に、本体筐体16の開放端部16bについても、裏面16fとの間の角部Bが鋭角に設定されている。つまり、これら開放端部14b,16bに設けられたバンパー部材22,24は、裏面14f,16fとの間の角部が鋭角となる楔形状に構成されている。」
「【0045】
次に、電子機器10では、ディスプレイ筐体14を開き方向に回動させ、図4に示す300度程度の角度位置のテントモードとした場合には、ディスプレイ筐体14及び本体筐体16の開放端部14b,16bがそれぞれ机上に着地する。この際、各開放端部14b,16bはバンパー部材22,24で覆われており、机上にはゴム製のバンパー部材22,24が当接するため、安定性が高い。しかも、上記したように、各開放端部14b,16bの裏面14f,16f側の角部A,Bが鋭角に設定されているため、図4に示すようにこの角部A,Bが側面視2点で確実に机上に当接し、より高い安定性が確保される。」
「【図1】
[図:0001399050000001.jpg]
」
「【図4】
[図:0001399050000002.jpg]
」
「【図12】
[図:0001399050000003.jpg]
」
(2)上記(1)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「電子機器10であって、
本体筐体(第1筐体)16の後側の連結端部16aと、ディスプレイ20を有するディスプレイ筐体(第2筐体)14の後側の連結端部14aとを、回動可能に連結し、
ディスプレイ筐体14は、扁平な箱体であり、表面14eには、ディスプレイ20が設けられ、
ディスプレイ筐体14の連結端部(後辺)14a以外の3辺である開放端部(前辺)14b、左側端部(左側辺)14c及び右側端部(右側辺)14dには、バンパー部材22が設けられ、
バンパー部材22は、衝撃や音を吸収可能なゴム材料等の弾性体をディスプレイ筐体14を構成する樹脂と二色成形することで該ディスプレイ筐体14と一体に形成され、
ディスプレイ筐体14の開放端部14bでは、裏面14fとの間の角部Aが鋭角に設定され、同様に、本体筐体16の開放端部16bについても、裏面16fとの間の角部Bが鋭角に設定され、つまり、これら開放端部14b,16bに設けられたバンパー部材22,24は、裏面14f,16fとの間の角部が鋭角となる楔形状に構成され、
ディスプレイ筐体14を開き方向に回動させ、300度程度の角度位置のテントモードとした場合には、ディスプレイ筐体14及び本体筐体16の開放端部14b,16bがそれぞれ机上に着地し、この際、机上にはゴム製のバンパー部材22,24が当接し、各開放端部14b,16bの裏面14f,16f側の角部A,Bが鋭角に設定されているため、この角部A,Bが側面視2点で確実に机上に当接し、より高い安定性が確保される、
電子機器10。」
2 引用文献5
(1)当審拒絶理由にて引用された引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0015】
図3(a)は、本出願が対象とする電子機器の代表例としてのタブレット端末1を示すものであり、タブレット端末1を正面側から見た図である。タブレット端末1の正面側には、タッチパネルTPを備えるディスプレイ画面5がある。開示のタブレット端末1の筐体4には、ディスプレイ画面5を囲む筐体の端部(四つの周辺部分)の、破線で示す位置に、タブレット端末1を壁に立て掛けた時の筐体4の滑り止めとなる弾性体が取り付けられている。
【0016】
図3(b)は、図3(a)に示したタブレット端末1を底面4B側から見た図である。タブレット端末1の筐体4の底面4Bにはカメラ6が設けられている。また、タブレット端末1の筐体4の底面4Bの端部から、筐体4の4つの側面4Sに向かう部分は、側面4Sに向かって傾斜する傾斜面4Cになっている。そして、各側面4Sと各傾斜面4Cの部分(以後、傾斜面4Cに側面4Sの一部を合せた部分を境界部分と記す)に、弾性体である第1の弾性体10と第2の弾性体20が設けられている。第1の弾性体10は、境界部分の側面側に位置しており、第2の弾性体20は、第1の弾性体10に隣接して、境界部分の傾斜面側に設けられている。第1の弾性体10が隣り合う側面側に配置され、第2の弾性体20が側面の中央側に配置された実施例を、弾性体の第1の実施例とする。
【0017】
図4(a)は、図3(b)に示したタブレット端末1の要部を拡大して示す部分平面図である。具体的には、図3(b)に示したタブレット端末1の右下部分が拡大されて図4(a)に示されている。前述のように、第1の弾性体10は、各辺に隣接する辺側に設けられており、第2の弾性体20は、第1の弾性体10に隣接して、各辺の中心側に設けられている。一方、第1の弾性体10と第2の弾性体20は細長い形をしており、隣接はしているが、各辺の長手方向に対して同じ位置になく、各辺の短手方向にずれている(オフセットされている)。この状態を図4(b)を用いて説明する。」
「【0020】
そして、第1の凹部41に取り付けられる第1の弾性体10は、タブレット端末1が、垂直から50°程度の角度までの、設置面2からの起立角度が大きい範囲で設置面2に立て掛けられて使用される場合に、主に設置面2に接触する。逆に、第2の凹部42に取り付けられる第2の弾性体20は、タブレット端末1が、50°程度の角度から、20°程度までの、設置面2からの起立角度が小さい範囲で設置面2に立て掛けられて使用される場合に、主に設置面2に接触する。
【0021】
タブレット端末1が、垂直から50°程度の角度までの、設置面2からの起立角度が大きい範囲で設置面2に立て掛けられた場合、タブレット端末1の設置面2との接触面におけるタブレット端末1の荷重が水平方向に作用する力は小さい。よって、タブレット端末1の設置面2との接触面に加わる、筐体4を水平方向に滑らせる力は小さい。このため、タブレット端末1が設置面2からの起立角度が大きい範囲で設置面2に立て掛けられた時に、主に設置面2に当接する第1の弾性体10には、筐体4の水平方向への滑りを抑止する大きな摩擦力は不要である。一方、前述のように、タブレット端末1が設置面2からの起立角度が大きい範囲で設置面2に立て掛けられる時には、タブレット端末1の下端部1Lが勢いよく設置面2に置かれることが多く、筐体4に衝撃が加わり易い。そこで、第1の弾性体10には、摩擦係数よりも、弾性率が高い材料を採用する方が良い。」
「【0024】
図5(a)は、タブレット端末に取り付ける弾性体の第1の実施例の平面図、正面図、底面図及び左右の側面図を示している。なお、図4(b)で説明した第1の弾性体10と第2の弾性体20は、全く同じ形状で良いので、図5では代表して第1の弾性体10の形状を説明する。図5(b)は、図5(a)に示した第1の弾性体10を、上側から見た斜視図であり、図5(c)は、図5(a)に示した第1の弾性体10を、下側から見た斜視図である。」
「【図3】
[図:0001399050000004.jpg]
」
「【図4】
[図:0001399050000005.jpg]
」
「【図5】
[図:0001399050000006.jpg]
」
「【図10】
[図:0001399050000007.jpg]
」
(2)上記(1)から、引用文献5には、次の発明(以下、「引用発明5」という。)が記載されていると認められる。
「タブレット端末1であって、
筐体4には、ディスプレイ画面5を囲む筐体の端部(四つの周辺部分)に、タブレット端末1を壁に立て掛けた時の筐体4の滑り止めとなる弾性体が取り付けられ、
タブレット端末1の筐体4の底面4Bの端部から、筐体4の4つの側面4Sに向かう部分は、側面4Sに向かって傾斜する傾斜面4Cになっており、そして、各側面4Sと各傾斜面4Cの部分に、弾性体である第1の弾性体10が設けられ、
第1の弾性体10は、タブレット端末1が、垂直から50°程度の角度までの、設置面2からの起立角度が大きい範囲で設置面2に立て掛けられて使用される場合に、主に設置面2に接触する、
タブレット端末1。」
3 引用文献9
(1)当審拒絶理由にて引用された引用文献9には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0015】
[実施形態]
図1は、電子機器1の正面側からの斜視図であって、ディスプレイ筐体3が閉位置P0に位置された状態の図である。図2は、電子機器1の正面側からの斜視図であって、ディスプレイ筐体3が第一展開位置P1に位置された状態の図である。
【0016】
図1,2に示されるように、電子機器1は、例えば、クラムシェル型(ノートブック型)のパーソナルコンピュータとして構成されており、ベース筐体2と、ディスプレイ筐体3と、を備えている。ベース筐体2には、キーボード4(入力装置)や、不図示の基板等が収容され、ディスプレイ筐体3には、アンテナ5や、表示装置6等が収容されている。ディスプレイ筐体3は、筐体の一例である。なお、電子機器1は、この例には限定されず、例えば、タブレット型のパーソナルコンピュータや、スマートフォン、携帯電話、ゲーム機等であってもよい。」
「【0022】
具体的には、ディスプレイ筐体3は、ベース筐体2にY方向に沿って延びる二つの回転中心Ax1,Ax2(回転軸)を有したヒンジ7を介して回転可能に支持されている。ディスプレイ筐体3は、ヒンジ7の回転中心Ax1,Ax2回りに回転することで、閉位置P0(図1)と、第一展開位置P1(図2)と、第二展開位置P2(図3)と、第三展開位置P3(図4)と、の間で移動可能である。」
「【0033】
図2に示されるように、ディスプレイ筐体3は、例えば、一方向(図2ではX方向)に扁平な直方体状に構成されている。ディスプレイ筐体3は、前壁3aや、後壁3b、複数の側壁3c~3f等を有している。前壁3aは、前面3a1を含み、後壁3bは、後面3b1を含む。前壁3aは、四角形状の枠状に構成され、後壁3bは、四角形状の板状に構成されている。
【0034】
側壁3cおよび側壁3eは、それぞれ、ディスプレイ筐体3の下端部3hおよび上端部3jを構成している。下端部3hは、ヒンジ7の回転中心Ax1,Ax2と隣接(近接)している。上端部3jは、下端部3hよりもヒンジ7の回転中心Ax1,Ax2と離間している。また、側壁3dおよび側壁3fは、それぞれ、ディスプレイ筐体3の左端部3iおよび右端部3kを構成している。」
「【0036】
また、ディスプレイ筐体3は、複数の部品(分割体)が組み合わせられて構成されている。具体的には、ディスプレイ筐体3は、例えば、フロントカバー31と、リヤカバー32と、を有している。フロントカバー31は、前壁3aと、側壁3c~3fのそれぞれの一部と、を含む。リヤカバー32は、後壁3bと、側壁3c~3fのそれぞれの一部と、を含む。フロントカバー31とリヤカバー32とは、爪やネジ等によって互いに結合されている。
【0037】
次に、表示ユニット10についてより詳しく説明する。図5は、図4のV-V断面図である。図5に示されるように、表示ユニット10は、例えば、表示装置6と、フロントカバー31と、タッチパネル9と、弾性体11と、を備えている。表示装置6、フロントカバー31、およびタッチパネル9は、接着剤や両面テープ等によって互いに結合(一体化)されている。」
「【0041】
また、タッチパネル9は、表面9aと、裏面9bと、複数の端面9cと、を有している。端面9cは、表面9aと交差し、表面9aと裏面9bとの間に亘っている。本実施形態では、四つの端面9cのうちの三つが、弾性体11と間隔をあけて面している。端面9cは、第一端面の一例である。
【0042】
弾性体11は、例えば、タッチパネル9におけるフロントカバー31の左端部3i、上端部3j(図2参照)、および右端部3kに対応した三つの端面9cに沿って設けられている。すなわち、弾性体11は、全体としては、下端部3h(ヒンジ7)に向けて開放された略U字状に構成されている。弾性体11は、タッチパネル9の三つの端面9cの周囲を覆っている。なお、弾性体11は、例えば、左端部3i、上端部3j、右端部3kに加え下端部3hに対応した四つの端面9cの周囲を囲ってもよい。
【0043】
弾性体11は、例えば、エラストマやゴム等によって構成されている。本実施形態では、弾性体11は、二材成形(二色成形)等によってフロントカバー31の前面3a1と接合(一体化)されている。これにより、弾性体11およびフロントカバー31の接合面は、互いに融合している。」
「【0057】
[第1変形例]
図6は、第1変形例の電子機器1Aの断面図である。電子機器1Aは、上記実施形態の電子機器1と同様の構成を備えている。よって、電子機器1Aは、当該同様の構成に基づく上記実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0058】
ただし、本変形例では、図6に示されるように、弾性体11Aに突出部11bが設けられている点が、上記実施形態と相違している。突出部11bは、リヤカバー32の側壁3dよりも端面9cとは反対側(Y方向)に張り出している。リヤカバー32は、第二カバーの一例である。
【0059】
また、突出部11bは、例えば、弾性体11Aの長手方向、すなわち端面9cに沿う方向の全幅に亘って設けられている。なお、突出部11bは、この例には限定されず、例えば、弾性体11Aの長手方向に間欠的に設けられてもよい。
【0060】
このように、本変形例によれば、弾性体11Aに突出部11bが設けられているため、例えば、電子機器1Aが側壁3dを下に落下した場合に、突出部11bによって床面とリヤカバー32(ディスプレイ筐体3)との接触を抑制し、ひいてはディスプレイ筐体3を保護することができる。」
【図2】「
[図:0001399050000008.jpg]
」
【図6】「
[図:0001399050000009.jpg]
」
(2)上記(1)から、引用文献9には、次の発明(以下、「引用発明9」という。)が記載されていると認められる。
「電子機器1であって、
ベース筐体2と、ディスプレイ筐体3と、を備え、
ディスプレイ筐体3には、表示装置6等が収容され、
ディスプレイ筐体3は、ベース筐体2にヒンジ7を介して回転可能に支持され、
ディスプレイ筐体3は、複数の側壁3c~3f等を有し、
側壁3eは、ディスプレイ筐体3の上端部3jを構成し、
ディスプレイ筐体3は、例えば、フロントカバー31と、リヤカバー32と、を有し、フロントカバー31とリヤカバー32とは、互いに結合され、
表示ユニット10は、表示装置6と、フロントカバー31と、タッチパネル9と、弾性体11と、を備え、
タッチパネル9は、表面9aと、裏面9bと、複数の端面9cとを有し、
弾性体11が、フロントカバー31の上端部3jに沿って設けられ、
弾性体11は、二材成形(二色成形)によってフロントカバー31の前面3a1と一体化され、
弾性体11Aに突出部11bが設けられ、突出部11bは、リヤカバー32の側壁3dよりも端面9cとは反対側(Y方向)に張り出している、
電子機器1。」
4 その他の引用文献、周知技術
(1)電子デバイスにおいて、ケースと、当該ケースに嵌合されるカバーとを用いて、ケース側の空間に機能モジュールを収納することは、例えば、引用文献2(段落【0038】、図5等参照)、引用文献3(段落【0020】~【0023】、図2~7等参照)、引用文献4(段落[0014]、図1,2等参照)、引用文献6(段落【0031】、【0043】、図1等参照)、引用文献7(段落[0021]、[0027]、図1~3等参照)に示されているように周知技術である。
(2)電子デバイスにおいて、突き出し部の形状を屋根形状とすることは、例えば、引用文献5(段落【0016】~【0017】、【0024】、図3~5、図10等参照)における「第1の弾性体10」、引用文献8(段落【0011】~【0013】、図3,4等参照)における「カバー部材103」に見られるように周知技術である。
(3)異なる部材同士を一体成型することは、例えば、引用文献1(段落【0028】等参照)、引用文献9(段落【0043】等参照)に示されているように周知技術である。
第6 当審拒絶理由について(引用発明との対比・判断)
1 引用発明1との対比・判断
(1)本願発明1について
ア 本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。
(ア)引用発明1の「ディスプレイ20」は、特定の機能(表示機能)を有するモジュールであるといえるから、本願発明1の「機能モジュール」に相当する。
(イ)引用発明1の「ディスプレイ筐体14」が「扁平な箱体であり、表面14eには、ディスプレイ20が設けられ」ることについて、「ディスプレイ筐体14」が「扁平な箱体」であるとは、「ディスプレイ筐体14」に「ディスプレイ20」を収容するための空間が設けられていることを意味することが明らかであり、引用発明1の「ディスプレイ筐体14」は、本願発明1の「ケース」に相当する。
また、それゆえ、「ディスプレイ筐体14」は、当該空間を区画するための枠状の部分を有することも明らかであり、当該部分は本願発明1の「フレーム」に相当する。
(ウ)引用発明1の「ディスプレイ筐体14の連結端部(後辺)14a以外の3辺である開放端部(前辺)14b、左側端部(左側辺)14c及び右側端部(右側辺)14dには、バンパー部材22が設けられ」ること、及び、「開放端部14b,16bに設けられたバンパー部材22,24は、裏面14f,16fとの間の角部が鋭角となる楔形状に構成され」ることについて、引用文献1の図12から見て取れること等も考慮すると、引用発明1の「バンパー部材22」は、「ディスプレイ筐体14」における上記(イ)で検討した枠状の部分の一つの側壁から突出するように、枠状の部分の一つの側壁に位置するといえるものであって、本願発明1の「突き出し部」に相当する。
(エ)引用発明1では、「バンパー部材22」が「該ディスプレイ筐体14と一体に形成され」るから、「ディスプレイ筐体14」は、上記(イ)で検討した枠状の部分と、「バンパー部材22」とを有するといえる。
(オ)上記(イ)~(エ)から、引用発明1は、本願発明1の「当該機能モジュールを収納するための空間が設けられ、フレームと突き出し部とを有するケース」に相当する構成を備えるものである。
(カ)上記(ウ)で述べた、引用発明1の「バンパー部材22」が、「ディスプレイ筐体14」における上記(イ)で検討した枠状の部分の一つの側壁から突出するように、枠状の部分の一つの側壁に位置すること、及び、引用発明の「バンパー部材22」が「該ディスプレイ筐体14と一体に形成され」ることと、本願発明1の「当該突き出し部が屋根形状であって、当該フレームの一つの側壁から、当該カバーの外へ延びて突出するように当該フレームの当該一つの側壁に位置し、また、当該突き出し部と当該フレームが、一体成型であ」ることとは、上記(イ)、(ウ)でさらに検討した点を踏まえると、「当該き出し部が、当該フレームの一つの側壁から、突出するように当該フレームの当該一つの側壁に位置し、また、当該突き出し部と当該フレームが、一体成型であ」ることである点で共通する。
(キ)引用発明1の「電子機器10」は、「ディスプレイ20」と、「ディスプレイ筐体14」とが含まれるものであり、後述する相違点を除き、本願発明1の「電子デバイス」に相当する。
イ 上記アから、本願発明1と引用発明1とは、以下の点で一致する。
(一致点)
「機能モジュールと、
当該機能モジュールを収納するための空間が設けられ、フレームと突き出し部とを有するケースと、
が含まれ、
当該突き出し部が、当該フレームの一つの側壁から、突出するように当該フレームの当該一つの側壁に位置し、また、当該突き出し部と当該フレームが、一体成型である、
電子デバイス。」
ウ また、本願発明1と引用発明1とは、以下の点で相違する。
(相違点1)
本願発明1の「電子デバイス」には、「ケース」の他に、「当該フレームに嵌合されるカバー」が含まれるのに対して、引用発明1の「電子機器10」には、そのような構成は含まれず、「ディスプレイ筐体14」(単独で)が含まれる点。
(相違点2)
「突き出し部」の形状について、本願発明1では、「屋根形状」であるのに対して、引用発明1では、「楔形状」である点。
(相違点3)
「突き出し部」が「当該フレームの一つの側壁から」の「突出する」態様について、本願発明1では、「当該カバーの外へ延びて」いるものであるのに対して、引用発明1では、そのように特定されるものではない点。
(相違点4)
本願発明1は、「前記側壁の外面が屋根形状であり、前記突き出し部が前記側壁の起伏に沿って側壁に形成されており、前記側壁の外面がその中央位置に頂点を有し、前記突き出し部の前記屋根形状がその中央位置に頂点を有し、2つの前記屋根形状の前記頂点によって定義される方向は、前記カバーの裏面と平行であり、前記側壁が2番目の頂点に対応する位置でより厚く、前記突き出し部が前記ケースの上縁および下縁にまで伸びている」ものであるの対して、引用発明1は、「ディスプレイ筐体14」及び「バンパー部材22」のそれぞれの形状や両者の関係について、そのように特定されるものではない点。
エ 事案に鑑みて、相違点4について先に検討する。
電子デバイスのディスプレイを収容するケースにおける側壁の外面を屋根形状とし、当該側壁の起伏に沿って屋根形状の突き出し部を形成し、その際、前記側壁の外面がその中央位置に頂点を有し、前記突き出し部の前記屋根形状がその中央位置に頂点を有し、前記側壁が2番目の頂点に対応する位置でより厚く、前記突き出し部が前記ケースの上縁および下縁にまで伸びているものとするとの事項については、引用文献1~9のいずれにも記載されておらず、本願の優先日前において周知技術であったともいえない。
オ よって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2~9のいずれかに記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2)本願発明2~10について
本願発明2~10は、本願発明1を減縮した発明であり、いずれも相違点4に係る技術的事項を有しているから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用発明1及び引用文献2~9のいずれかに記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 引用発明5との対比・判断
上記1(1)エで述べた事項について、引用文献5には記載されていないことから、本願発明1を引用発明5と対比した場合の相違点には、少なくとも相違点4と同様のものが含まれることとなり、当該相違点については、上記1(1)エで検討したことと同様のことがいえる。
よって、本願発明1及びこれ減縮した発明である本願発明2~10は、当業者であっても、引用発明5及び引用文献1~4,6~9のいずれかに記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3 引用発明9との対比・判断
上記1(1)エで述べた事項について、引用文献9には記載されていないことから、本願発明1を引用発明9と対比した場合の相違点には、少なくとも相違点4と同様のものが含まれることとなり、当該相違点については、上記1(1)エで検討したことと同様のことがいえる。
よって、本願発明1及びこれ減縮した発明である本願発明2~10は、当業者であっても、引用発明9及び引用文献1~8のいずれかに記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第7 原査定についての判断
令和5年3月30日に提出された手続補正書により補正された請求項1~10は、相違点4に係る技術的事項を有するものとなった。
そして、当該技術的事項は、原査定における引用文献A~Gには記載されておらず、本願の優先日前における周知技術でもないので、本願発明1~10は、当業者であっても、原査定における引用文献A~Gに基づいて容易に発明をすることができたものではない。
よって、原査定を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2022-010765