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特許拒絶査定不服審判

2022-010424

前処理情報作成プログラム、及び前処理情報作成方法

審判番号
2022-010424
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-252373外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年07月05日
審決日
2022年11月28日
公報発行日
2023年02月24日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (G06F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-252373「前処理情報作成プログラム、及び前処理情報作成方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 7月18日出願公開、特開2019-117590〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 11項目
理 由

1.手続の経緯

本願は、平成29年12月27日の出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。

令和3年 9月16日付け:拒絶理由通知
令和3年11月22日:意見書、手続補正書
令和4年 4月 1日付け:拒絶査定
令和4年 7月 5日:審判請求

2.本願発明

本願の請求項に係る発明は、令和3年11月22日提出の手続補正書により特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「【請求項1】
前処理装置における被記録媒体の前処理に使用される前処理情報を作成する前処理情報作成装置のコンピュータに、
前記被記録媒体上に印刷する画像データを受付ける第一受付ステップと、
前記第一受付ステップにて受付けた前記画像データに対し、前記前処理を行うための前記前処理情報を前記受付けた前記画像データごとに特定する特定ステップと、
を実行させることを特徴とする前処理情報作成プログラム。」

3.原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、次のとおりのものである。

本願請求項1、4,13に係る発明は、下記の引用文献2、1、5-7に基いて、本願請求項2-3、7に係る発明は、下記の引用文献1-3に基いて、本願請求項5-6、8-12に係る発明は、下記の引用文献1-4に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1.特開2015-068947号公報

引用文献2.特開2012-207338号公報

引用文献3.特開2016-086444号公報

引用文献4.特開2001-094767号公報(周知技術を示す文献)

引用文献5.特開2005-125572号公報(周知技術を示す文献)

引用文献6.特開2011-141405号公報(周知技術を示す文献)

引用文献7.特開2015-9377号公報(周知技術を示す文献)

4.各引用文献の記載及び引用発明について

(1) 引用文献2の記載

原査定の拒絶の理由で引用された、引用文献2(特開2012-207338号公報)には、以下の事項が記載されている(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。

ア 段落【0002】-【0005】

「【背景技術】
【0002】
Tシャツまたは水着等の衣類にインクをインクジェット方式により吐出して画像を形成する画像形成方法が知られている。しかし、前記画像形成方法では、前記衣類の生地表面でインクが滲んだり、生地内部にインクが染み込んだりし、画像の形成に問題が生じる。この問題を解決するものとして、生地表面でのインクの滲みおよび生地内部へのインクの浸透を抑制するために、生地への画像の形成に先立ち、前処理剤を生地に付着させる前処理方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
・・・(中略)・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記前処理方法では、前処理剤により生地に変色が生じる。前記変色は、生地の地色がいわゆるパステルカラー(例えば、ライトブルー、ピンク等)等の薄い色の場合に特に深刻である。前記変色の問題は、衣類の生地を含む布帛全体の問題である。
【0005】
そこで、本発明は、布帛に変色が生じることのない、布帛への画像の形成に用いられる処理剤を提供することを目的とする。」

イ 段落【0019】-【0024】、【図1】

「【0019】
つぎに、本発明の画像形成方法について説明する。本発明の画像形成方法は、布帛に画像を形成する画像形成方法であって、前記布帛に処理剤を塗布する処理工程と、前記処理剤の塗布部にインクを用いて画像を印刷する画像印刷工程と、前記インクを前記布帛に熱定着させる熱定着工程とを有し、前記処理工程において、前記処理剤として、本発明の処理剤を用いることを特徴とする。
【0020】
本発明の画像形成方法において、前記処理工程および前記画像印刷工程の実施順序に制限はなく、いずれを先に実施してもよく、両工程を同時に実施してもよい。前記熱定着工程は、前記画像印刷工程後に実施する。本発明の画像形成方法は、例えば、前記3つの工程以外に、後述の熱処理工程、圧縮工程等の工程を有してもよい。
続きを表示(全12行)
【0021】
前記処理工程において、前記処理剤の塗布は、例えば、インクジェット方式、スプレー塗布、スタンプ塗布、刷毛塗り、ローラ塗布等の方法により実施できる。
【0022】
前記処理工程において、前記処理剤の塗布は、前記布帛の画像形成面の全面でもよいし、一部でもよい。一部に塗布する場合、前記布帛の画像形成面の少なくともインクによる印刷部分が塗布部になる。一部に塗布する場合、塗布部の大きさは、印刷部分よりも大きい方がよい。例えば、図1(a)に示すように、布帛(本例では、Tシャツ)100に対し、文字(X)を印刷する場合は、前記文字の線幅よりも大きな線幅で塗布部110を形成するように処理剤を塗布することが好ましい。また、図1(b)に示すように、布帛(Tシャツ)100に対し、図柄を印刷する場合は、前記図柄よりも大きな塗布部120を形成するように処理剤を塗布することが好ましい。
【0023】
つぎに、本発明の画像形成方法は、前記処理工程後、前記処理剤の塗布部に熱処理を施し、乾燥させる熱処理工程および前記処理剤の塗布部を圧縮する圧縮工程の少なくも一方の工程を有してもよい。前記熱処理は、例えば、市販のホットプレス機、オーブン、ベルトコンベアオーブン等を用いて実施できる。前記ホットプレス機を用いる場合には、前記処理剤の塗布部上に、表面が平滑なテフロン(登録商標)シートを置いた状態で熱処理を行うことが好ましい。これにより、前記布帛のケバを抑えることができ、例えば、本工程後に前記画像印刷工程を実施する場合に、その実施がよりスムースとなる。前記熱処理の温度は、特に限定されないが、例えば、160℃~185℃である。本発明の画像形成方法では、pHが5.5~9に調整された本発明の処理剤を用いているため、前記熱処理を施しても、前記布帛に変色を生じることがない。前記圧縮は、例えば、市販のホットプレス機を用いて、前記熱処理と同様の条件で実施できる。
【0024】
つぎに、前記画像印刷工程は、前記処理剤の塗布部にインクを用いて画像を印刷する工程である。」
「【図1】
[図:0001393921000001.jpg]
」

ウ 段落【0038】

「【0038】
前記画像印刷工程は、例えば、図2に示すインクジェット記録装置を用いて実施できる。本例のインクジェット記録装置では、前記画像印刷工程を、インクジェット記録により実施する。図示のとおり、このインクジェット記録装置は、布帛にインクを吐出して所望画像を印刷するインクジェットプリンタ1と、前記所望画像の画像データを取得し、且つ、前記インクジェットプリンタ1を制御する印刷制御装置70とがインターフェースを介して接続されて構成されている。」

エ 段落【0052】-【0054】

「【0052】
図2に示す印刷制御装置70は、例えば、汎用のパーソナルコンピュータ(PC)を用いて構成され、本体71と、表示部72としてのディスプレイと、操作部75としてのキーボード73およびマウス(ポインティングデバイス)74とを備えている。
【0053】
図5は、図2に示す印刷制御装置70の構成を示したブロック図である。前記印刷制御装置70は、CPU(Central Processing Unit)81、ROM(Read Only Memory)82、RAM(Random Access Memory)83、HD(Hard Disk)84、操作部75、表示部72、インターフェース(I/F)85を備えており、これらは、バスを介して相互に接続されている。前記CPU81、前記ROM82、前記RAM83および前記HD84は、前記印刷制御装置70の本体71内に組み込まれており、前記操作部75は、前記キーボード73および前記マウス74によって構成されている。
【0054】
前記HD84には、前記印刷制御装置70の動作を制御するために用いられる各種プログラムが格納されている。また、前記HD84には、ソフトウェアによって作成された種々の画像データやTシャツ等の布帛の種類毎の各種データが格納されている。前記CPU81は、前記操作部75によって入力された信号や、前記ROM82、前記RAM83および前記HD84内の各種プログラムやデータに基づいて各種演算や処理を行う。そして、前記インターフェース85を介して、前記インクジェットプリンタ1にデータ等を送信する。前記RAM83は、読み出し・書き込み可能な揮発性記憶装置であって、前記CPU81での各種演算結果等が記憶される。前記インターフェース85は、前記インクジェットプリンタ1のインターフェースと接続されており、前記印刷制御装置70と前記インクジェットプリンタ1との間の通信を可能にするものである。」

オ 段落【0057】-【0060】

「【0057】
本例のインクジェット記録装置を用いた前記Tシャツ100への所望画像の印刷は、例えば、つぎのようにして実施できる。まず、前記PCのキーボード73およびマウス74を通じて、前記Tシャツ100に印刷したい画像データを取得する。前記画像データの取得においては、前記PCにインストールされたソフトウェアを使用して画像データを作成するか、予め前記HD84に記憶された画像データを選択する。
【0058】
つぎに、前記Tシャツ100を、前記プラテン12に固定する。すなわち、前記Tシャツ100を、前記プラテン12に裾から被せ、前記プラテン12の支持面16に沿わせて皺のない状態にしつつ前記固定フレーム15で固定する。
【0059】
ついで、オペレータが印刷の実施を指示すると、前記画像データが前記インクジェットプリンタ1に前記インターフェース85を介して送信され、前記画像データに基づいて前記インクジェットヘッド5からインクが吐出されて、前記プラテン12に固定された前記Tシャツ100への印刷が実施される。
【0060】
前記インクジェット記録装置は、さらに、処理剤収容部および処理剤吐出手段を含んでもよい。前記処理剤収容部には、本発明の処理剤が収容される。本発明によれば、布帛を支持する支持面を有する支持体と、前記支持面上に布帛を固定するための固定手段と、インク収容部と、インク吐出手段とを含むインクジェット記録装置であって、さらに、処理剤収容部および処理剤吐出手段を含み、前記処理剤収容部に、本発明の処理剤が収容されており、前記処理剤収容部に収容された処理剤を前記処理剤吐出手段によって前記支持面上の布帛に吐出し、前記インク収容部に収容されたインクを前記インク吐出手段によって前記処理剤の吐出部に吐出することを特徴とするインクジェット記録装置が提供される。前記処理剤吐出手段に本発明の処理剤を供給するための構成は、前記インクジェットヘッドにインクを供給するための構成と同様とすればよい。」

(2) 引用発明

よって、上記各記載事項を関連図面に照らし、下線部に着目すれば、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「生地表面でのインクの滲みおよび生地内部へのインクの浸透を抑制するために、生地への画像の形成に先立ち、前処理剤を生地に付着させる前処理方法が提案され、しかし、前記前処理方法では、前処理剤により生地に変色が生じ、そこで、布帛に変色が生じることのない、布帛への画像の形成に用いられる処理剤を提供することを目的とし、
前記布帛に処理剤を塗布する処理工程と、前記処理剤の塗布部にインクを用いて画像を印刷する画像印刷工程と、前記インクを前記布帛に熱定着させる熱定着工程とを有し、
前記処理工程において、前記処理剤の塗布は、前記布帛の画像形成面の全面でもよいし、一部でもよく、一部に塗布する場合、前記布帛の画像形成面の少なくともインクによる印刷部分が塗布部になり、一部に塗布する場合、塗布部の大きさは、印刷部分よりも大きい方がよく、例えば、布帛(本例では、Tシャツ)100に対し、文字(X)を印刷する場合は、前記文字の線幅よりも大きな線幅で塗布部110を形成するように処理剤を塗布することが好ましく、また、布帛(Tシャツ)100に対し、図柄を印刷する場合は、前記図柄よりも大きな塗布部120を形成するように処理剤を塗布することが好ましく、
前記画像印刷工程を、インクジェット記録により実施し、このインクジェット記録装置は、布帛にインクを吐出して所望画像を印刷するインクジェットプリンタ1と、前記所望画像の画像データを取得し、且つ、前記インクジェットプリンタ1を制御する印刷制御装置70とがインターフェースを介して接続されて構成され、
続きを表示(全13行)
印刷制御装置70は、例えば、汎用のパーソナルコンピュータ(PC)を用いて構成され、
前記印刷制御装置70は、CPU81、ROM82、RAM83、HD(Hard Disk)84、操作部75、表示部72、インターフェース(I/F)85を備えており、
前記HD84には、前記印刷制御装置70の動作を制御するために用いられる各種プログラムが格納され、
前記CPU81は、前記操作部75によって入力された信号や、前記ROM82、前記RAM83および前記HD84内の各種プログラムやデータに基づいて各種演算や処理を行うものであって、
インクジェット記録装置を用いた前記Tシャツ100への所望画像の印刷は、例えば、つぎのようにして実施でき、まず、前記PCのキーボード73およびマウス74を通じて、前記Tシャツ100に印刷したい画像データを取得し、前記画像データの取得においては、前記PCにインストールされたソフトウェアを使用して画像データを作成するか、予め前記HD84に記憶された画像データを選択し、
つぎに、前記Tシャツ100を、プラテン12に固定し、
ついで、オペレータが印刷の実施を指示すると、前記画像データが前記インクジェットプリンタ1に前記インターフェース85を介して送信され、前記画像データに基づいて前記インクジェットヘッド5からインクが吐出されて、前記プラテン12に固定された前記Tシャツ100への印刷が実施され、
前記インクジェット記録装置は、さらに、処理剤収容部および処理剤吐出手段を含んでもよく、前記処理剤収容部に収容された処理剤を前記処理剤吐出手段によって前記支持面上の布帛に吐出し、前記インク収容部に収容されたインクを前記インク吐出手段によって前記処理剤の吐出部に吐出する、
前記印刷制御装置70の、前記HD84に格納された、前記印刷制御装置70の動作を制御するために用いられる各種プログラム。」

(3) 引用文献7について

原査定の拒絶の理由で周知技術を示す文献として引用された、引用文献7(特開2015-9377号公報)には、段落【0070】-【0103】、及び、【図4】に、以下の記載がある。

「【0070】
また、プリンタドライバ3Bは、アプリケーション3Aにより設定された印刷に関する設定に基づいて、印刷設定のパラメータを印刷データに付加する。これにより、印刷データにオブジェクトごとのパラメータおよび印刷設定のパラメータが付加される。プリンタドライバ3Bは、他に必要な情報があれば、その情報も付加して、制御データとしてプリンタ1に送信する。
【0071】
次に、図5のフローチャートを参照して、プリンタ1の動作を説明する。コンピュータ3から送信された制御データは、ネットワークを介して、コントローラ40の制御データ受信部51が受信する。受信した制御データは制御部53に出力される。
続きを表示(全15行)
・・・(中略)・・・
【0088】
ここで、図4の下地条件設定情報は黒テキストを綺麗に仕上げるためのものである。従って、オブジェクトの下地条件としては、オブジェクトのカテゴリのパラメータがテキストであること、且つオブジェクトの属性値のパラメータが黒(=RGB(0、0、0))であること、の2つの条件になる。
【0089】
そして、制御部53は制御データに含まれるオブジェクトごとに前記の下地条件を満たしているか否かを判定する。
図4(a)の印刷データの場合、第1のオブジェクト61はカテゴリがテキストであり、属性値が黒であるため、下地条件を満たす。従って、制御部53は、第1のオブジェクト61は下地処理を行うように下地データ(下地印刷用データ)を追加する(ステップS10)。
【0090】
つまり、第1のオブジェクト61を含む領域(最小限の領域であることが望ましい)を下地形成領域として下地データを追加する。追加された下地データは下地データ形成部56に出力される。
・・・(中略)・・・
【0103】
図4(b)は前述の処理により印刷を行った出力結果である。同図(b)に示されるように、第1のオブジェクト61の領域のみが下地形成領域となっている。それ以外の部分については、下地が形成されない。」
「【図4】
[図:0001393921000002.jpg]
」

(4) 特開2005-232633号公報(「引用文献8」)について

当審で新たに引用する、特開2005-232633号公報(以下、「引用文献8」という。)には、以下の記載がある。

ア 段落【0024】-【0025】

「【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、衣類などの布部材にインクを付着させて画像をプリントする際、インクを付着させる前に、インクを付着させる位置に応じたパターンで前処理剤を吐出させて布部材に付着させることによって、必要最小限の領域に前処理剤を塗布することができる。したがって、前処理剤の使用量を必要最小限に抑え、また、前処理剤の塗布時間、乾燥時間などを短く抑えることができ、画像プリント処理の効率化を図ることができる。また、インクを付着させる位置に、確実に前処理剤を塗布することができるので、プリント画像の大きさやプリント位置についての様々な要求に対応することが可能となる。
【0025】
また、必要以上に広い領域に前処理剤が塗布されることがないので、前処理跡ができたり、洗濯時に汚れが固着したりといった問題が生じるのを回避することができる。インクを付着させる際に、前処理剤を塗布するので、前処理した衣類や布を作り溜めしておく必要もなく、塗布した前処理剤の劣化の問題も生じない。」

イ 段落【0032】

「【0032】
本実施形態のインクジェット捺染システムは、図1に示すように、インクジェット捺染装置15とインターフェース17を介して接続されたパーソナルコンピュータ14をさらに含んでいる。パーソナルコンピュータ14は、後述するように、画像データに応じたインクと前処理剤の吐出用のデータを作成する働きをするものであり、このような処理を含む様々な処理を実行するためのソフトウェア(プログラム)がメモリ上に記憶されており、このソフトウェアに応じて動作する。インクジェット捺染装置15とパーソナルコンピュータ14間では、このインクと前処理剤の吐出用のデータや、インクジェット捺染装置15の動作状態などのデータがインターフェース17を介してやりとりされる。」

ウ 段落【0036】-【0039】

「【0036】
パーソナルコンピュータ14では、記憶されたソフトに従って動作することによって、
また、必要に応じてオペレータが操作することによって、上述のように入力された画像データから、次にプリントする画像データを選択され、まず、この画像データの判別が行われる(S202)。この判別は、インクジェット捺染装置15が、前述のようにCMYKの各色のインクを吐出するインク吐出用ヘッドを搭載するものであれば、画像データが、この各色のドットパターンの形態のものであるかどうか、また、そのドットパターンの解像度がインクジェット捺染装置15の解像度に合ったものかどうかを判別するものである。画像データが、インクジェット捺染装置15に搭載されたインク吐出用ヘッドに対応した各色のドットパターンの形態のもので、解像度もインクジェット捺染装置15に合ったものであれば、このデータをそのままインク吐出制御用のデータとして用いることができ、次のステップに進む。一方、このような形態のデータでなければ、インクジェット捺染装置15の解像度に合った、各色のドットパターンのデータに変換(S204)した後、次のステップに進む。
【0037】
次に、各色のドットパターンのデータに基づいて、同じ位置における各色のドット有無の論理和「OR」を算出し(S203)、これを、前処理剤を付着させるドットのパターンの一次データとする。図3は、この処理の原理を示す表であり、○はドット有り、×はドット無しを示しており、各位置についてのパターンを横に並べて示している。すなわち、この図3からも分かる通り、この論理和処理によって、CMYKのいずれか1つでもドットが形成される位置には、前処理剤のドットを形成し、CMYKのいずれのドットも形成されない位置には、前処理剤のドットを形成しない形態のドットパターンが算出される。
【0038】
次に、ステップS203において算出した、前処理剤を付着させるドットのパターンの一次データから、最終的な前処理剤塗布データを作成する(S205)。前処理剤塗布データには、一次データをそのまま用い、すなわち、インクのドットが形成されるのと同じ位置に、前処理剤を塗布するようにしてもよいが、前処理剤は、インクを確実に安定して固着させるために、インクのドットが形成される領域の周囲にも塗布するのが好ましい。
【0039】
このように、インクのドットが形成される領域の周囲まで前処理剤を塗布するための、前処理剤のドットの形成パターンの一例を図4に示す。図4において、黒く塗りつぶした丸は、各色のインクの少なくとも1つのドットが形成され、前処理剤のドットも形成される位置を示しており、一方、斜線をつけた丸は、インクのドットは形成されず、前処理剤のドットのみが形成される位置を示している。図4から分かるように、この例では、インクのドットが形成される位置に隣接する八方の位置にも前処理剤のドットを形成するパターンを前処理剤のドットパターンとしている。」

エ 【図4】

「
[図:0001393921000003.jpg]
」

5.対比

本願発明と引用発明とを対比する。

(1) 引用発明の「処理剤収容部および処理剤吐出手段」は、「生地表面でのインクの滲みおよび生地内部へのインクの浸透を抑制するために、生地への画像の形成に先立ち、前処理剤を生地に付着させる前処理方法」を実行するために、「前記インクジェット記録装置は、さらに、処理剤収容部および処理剤吐出手段を含んでもよく、前記処理剤収容部に収容された処理剤を前記処理剤吐出手段によって前記支持面上の布帛に吐出し、前記インク収容部に収容されたインクを前記インク吐出手段によって前記処理剤の吐出部に吐出する」から、本願発明の「前処理装置」に相当する。

引用発明の「布帛(本例では、Tシャツ)100」は、本願発明の「被記録媒体」に相当する。

引用発明の「前記インクジェットプリンタ1を制御する印刷制御装置70」は、「印刷制御装置70は、例えば、汎用のパーソナルコンピュータ(PC)を用いて構成され」、「前記インクジェット記録装置は、さらに、処理剤収容部および処理剤吐出手段を含んでもよ」い場合、「処理剤収容部および処理剤吐出手段」も制御することが明らかといえる。そして、このとき、「前記処理工程において、前記処理剤の塗布は、前記布帛の画像形成面の全面でもよいし、一部でもよく、一部に塗布する場合、前記布帛の画像形成面の少なくともインクによる印刷部分が塗布部になり、一部に塗布する場合、塗布部の大きさは、印刷部分よりも大きい方がよく、例えば、布帛(本例では、Tシャツ)100に対し、文字(X)を印刷する場合は、前記文字の線幅よりも大きな線幅で塗布部110を形成するように処理剤を塗布することが好ましく、また、布帛(Tシャツ)100に対し、図柄を印刷する場合は、前記図柄よりも大きな塗布部120を形成するように処理剤を塗布することが好まし」いものであって、印刷部分よりも大きな塗布部110を形成するように、「印刷制御装置70」は、「処理剤収容部および処理剤吐出手段」を制御しているから、本願発明の「前処理装置における被記録媒体の前処理に使用される前処理情報を作成する前処理情報作成装置のコンピュータ」に相当する。

(2) 引用発明の「インクジェット記録装置を用いた前記Tシャツ100への所望画像の印刷は、例えば、つぎのようにして実施でき、まず、前記PCのキーボード73およびマウス74を通じて、前記Tシャツ100に印刷したい画像データを取得し、前記画像データの取得においては、前記PCにインストールされたソフトウェアを使用して画像データを作成するか、予め前記HD84に記憶された画像データを選択し」ていることは、本願発明の「前記被記録媒体上に印刷する画像データを受付ける第一受付ステップ」に相当する。

(3) 引用発明の「前記インクジェット記録装置は、さらに、処理剤収容部および処理剤吐出手段を含んでもよ」い場合、「印刷制御装置70」である「前記PCにインストールされたソフトウェア」によって、「処理剤収容部および処理剤吐出手段」が制御されることが明らかであるから、本願発明の「前処理情報作成プログラム」に相当する。

(4) したがって、本願発明と引用発明との間には、次の一致点・相違点があるといえる。

[一致点]

「前処理装置における被記録媒体の前処理に使用される前処理情報を作成する前処理情報作成装置のコンピュータに、
前記被記録媒体上に印刷する画像データを受付ける第一受付ステップと、
を実行させることを特徴とする前処理情報作成プログラム。」

[相違点1]

本願発明は、さらに、「前記第一受付ステップにて受付けた前記画像データに対し、前記前処理を行うための前記前処理情報を前記受付けた前記画像データごとに特定する特定ステップと」を実行させるのに対して、引用発明では、前処理情報を受付けた画像データごとに特定することが特定されていない点。

6.当審の判断

引用発明は、「前記処理工程において、前記処理剤の塗布は、前記布帛の画像形成面の全面でもよいし、一部でもよく、一部に塗布する場合、前記布帛の画像形成面の少なくともインクによる印刷部分が塗布部になり、一部に塗布する場合、塗布部の大きさは、印刷部分よりも大きい方がよく、例えば、布帛(本例では、Tシャツ)100に対し、文字(X)を印刷する場合は、前記文字の線幅よりも大きな線幅で塗布部110を形成するように処理剤を塗布することが好ましく、また、布帛(Tシャツ)100に対し、図柄を印刷する場合は、前記図柄よりも大きな塗布部120を形成するように処理剤を塗布することが好まし」いから、印刷部分(例えば、図1(a)の「文字(X)」や、図1(b)の「図柄」)に対応して、印刷部分よりも大きな「塗布部」(図1(a)の「塗布部110」や、図1(b)の「塗布部120」)を形成するように、「印刷制御装置70」は、「処理剤収容部および処理剤吐出手段」を、印刷される特定の画像よりも大きな「塗布部」を形成するように制御するものである。

ここで、引用発明では、印刷される特定の文字や図柄が決定されて初めて、印刷部分よりも大きな塗布部を決定できることが明らかであるから、前処理の設定が行われるのは、印刷される特定の画像の決定よりも後であると解される。

一般に、特定の画像ごとに、前処理を行う範囲等の設定を行うことは、必要ならば、引用文献7(上記4.(3)を参照。)、引用文献8(上記4.(4)を参照。)に記載されるように周知技術である。

したがって、引用文献1に記載の発明において、特定の画像ごとに、前処理を行う範囲等の設定を行う上記周知技術を採用することによって、「前記被記録媒体上に印刷する画像データを受付ける第一受付ステップ」に加えて、さらに、「前記第一受付ステップにて受付けた前記画像データに対し、前記前処理を行うための前記前処理情報を前記受付けた前記画像データごとに特定する特定ステップと」を実行させることで、上記[相違点1]に係る構成とすることは、当業者が適宜選択すべき設計的事項である。

さらに、本願発明の効果も、引用発明、及び、周知技術に基づいて、当業者が予測し得る範囲内のものである。

7.むすび

以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-010424

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