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特許拒絶査定不服審判

2022-010399

既知の密度を用いて質量流量を補償する方法

審判番号
2022-010399
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-552271外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年07月05日
審決日
2023年02月27日
公報発行日
2023年08月25日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .113-Z (G01F) / P18 .121-Z (G01F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-552271号「既知の密度を用いて質量流量を補償する方法」拒絶査定不服審判事件〔令和元年10月10日国際公開、WO2019/195074号、令和3年7月15日国内公表、特表2021-517252号〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2019年(平成31年)3月28日を国際出願日とする外国語特許出願であって(パリ条約による優先権主張 2018年4月2日 米国)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和2年 9月28日 :翻訳文の提出 令和3年 8月18日付け:拒絶理由通知書 令和4年 1月14日 :意見書、手続補正書の提出 同年 3月 4日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月 8日 :原査定の謄本の送達) 同年 7月 5日 :審判請求書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1~14に係る発明は、令和4年1月14日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次に特定されるとおりである。 「 【請求項1】 質量流量の測定を決定する方法であって、 第1の温度で流量計センサを較正するステップと、 第1の温度とは異なる第2の温度を有する流体を流量計センサを通って流すステップと、 流体密度をメータ電子機器に入力するステップと、 弾性率を変数として活用する関数を使用することなく、メータ電子機器を用いて流体の補償された質量流量値を決定するステップを含む、方法。」 第3 原査定の概要 原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての理由は、次のとおりである。 理由2(新規性欠如) 本願発明は、下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。 理由3(進歩性欠如) 本願発明は、下記の引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1:特表2012-528326号公報 第4 当審の判断 1 引用文献等 (1) 引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由において引用された引用文献1(特表2012-528326号公報)には、次の事項が記載されている。 下線は当審において付した。以下同様である。 ア 【0024】~【0032】、【図1】 「【0024】 図1には、フローメーター10と1つ以上のメーター電子機器20とを備えているコリオリフローメーターの形態をとる振動式センサーアッセンブリ5の一例が示されている。1つ以上のメーター電子機器20は、フローメーター10へ接続され、たとえば密度、質量流量、体積流量、合計質量流量、温度および他の情報の如き流動物質の特性を測定する。 【0025】 フローメーター10は、一対のフランジ101、101’と、一対のマニホールド102、102’と、一対の導管103A、103Bとを有している。これらの導管103Aおよび103Bは、既知のまたは容易に測定することができる内側断面積Aを有している。マニホールド102、102’は、導管103A、103Bの両側の端部に固定されている。本実施形態にかかるフランジ101、101’はマニホールド102、102’へ固定されている。また、本実施形態にかかるマニホールド102、102’はスペーサ106の両側の端部に固定されている。スペーサ106は、導管103Aおよび103Bの不要な振動を避けるために、本実施形態のマニホールド102とマニホールド102’との間の間隔を保持する。これらの導管はほぼ平行にマニホールドから外方に向けて延びている。流動物質を運ぶ配管システム(図示せず)の中にフローメーター10が挿入されると、流動物質がフランジ101を通ってフローメーター10の中に流入し、流入側マニホールド102を通り、流動物質の全量が導管103Aおよび103Bの中に入ることにより、導管103Aおよび103Bを流れ、流出側マニホールド102’の中へ流れ込み、フランジ101’からフローメーター10の外へと流出する。 【0026】 フローメーター10はドライバ104を備えている。ドライバ104は、当該ドライバ104が導管103A、103Bをドライブモードで振動させることができる位置で導管103A、103Bに固定されている。より具体的には、ドライバ104は、導管103Aに固定されている第一のドライバコンポーネント(図示せず)と、導管103Bに固定されている第二のドライバコンポーネント(図示せず)とを有している。ドライバ104は、マグネットが導管103Aに取り付けられかつ対向するコイルが導管103Bに取り付けられるといった、よく知られている複数の構成のうちの1つの構成を有し得る。 【0027】 本実施形態では、ドライブモードは第一の逆位相曲げモードであり、導管103A、103Bは、曲げ軸線W-WおよびW’-W’のそれぞれに対して実質的に同一の質量分布、慣性モーメントおよび弾性モジュールを有するバランスの取れたシステムを提供するために、選択され、流入側マニホールド102および流出側マニホールド102’に適切に取り付けられることが好ましい。ドライブモードが第一の逆位相曲げモードである本実施形態では、導管103Aおよび導管103Bは、それぞれ対応する曲げ軸線Wおよび曲げ軸線W’に対して互いに逆方向に向けてドライバ104により振動させられる。交流の形態を有している駆動信号が、たとえば経路110を介して一つ以上の電子機器20によって提供され、コイルを通り抜けて両方の導管103A、103Bの振動を引き起こすようになっている。当業者にとって明らかなように、他のドライブモードが用いられてもよいが、それらもまた本発明の技術範囲に含まれる。 【0028】 図示されているフローメーター10は、導管103A、103Bに固定されている一対のピックオフ105、105’を有している。より具体的には、第一のピックオフコンポーネント(図示せず)が導管103Aの位置に設けられ、第二のピックオフコンポーネント(図示せず)が導管103Bの位置に設けられている。図示されている実施形態では、ピックオフ105、105’は、導管103A、103Bの両側の端部に設けられている。ピックオフ105、105’は、導管103A、103Bの速度および位置を表わすピックオフ信号を発生するたとえばピックオフマグネットおよびピックオフコイルである電磁検出器であってもよい。たとえば、ピックオフ105、105’は、経路111、111’を通じて一つ以上の電子機器20へピックオフ信号を供給する。当業者にとって明らかなように、導管103A、103Bの運動は、流動物質のなんらかの特性、たとえば導管103A、103Bを流れる物質の質量流量および密度に比例している。 【0029】 いうまでもなく、上述のフローメーター10が、デュアルフロー導管型のフローメーターであるものの、当然、シングル導管型のフローメーターとすることも本発明の技術範囲に含まれる。さらに、フロー導管103A、103Bが湾曲したフロー導管構造を有するように示されているが、本発明は真っ直ぐなフロー導管構造を有してもよい。したがって、上述の具体的なフローメーター10の実施形態は一例に過ぎず、本発明の技術範囲を限定すべきものではない。 【0030】 図1に示されている実施形態では、一つ以上の電子機器20は、ピックオフ105、105’からピックオフ信号を受信する。経路26は、1つ以上の電子機器20にオペレータとの通信を可能とする入力手段および出力手段を提供する。一つ以上の電子機器20は、たとえば密度、質量流量、体積流量、合計質量流量、温度および他の情報の如き流動物質の特性を測定する。より具体的には、一つ以上の電子機器20は、たとえばピックオフ105、105’および1つ以上の温度センサー(図示せず)から1つ以上の信号を受け取り、この情報を用いて、たとえば密度、質量流量、体積流量、合計質量流量、温度および他の情報の如き流動物質の特性を測定する。 【0031】 たとえばコリオリフローメーターまたはデンシトメーターの如き振動式測定デバイスにより流動物質の特性が測定される技術はよく理解されている。したがって、記載を簡潔にするため、詳細な説明は省略する。 【0032】 フローメーター10の如き振動式フローメーターに関する1つの問題は、さまざまな流体の特性に起因して生じる、流量測定における誤差が存在していることである。たとえば、流量誤差は、質量流量に対するものであるかもしれないし、体積流量に対するものであるかもしれない。動作中、どれくらい大きな誤差が流量測定において存在しているかを正確に推定することは困難な場合が多い。本発明のある実施形態によれば、いったん誤差の大きさが分かってしまえば、メーター電子機器20は補償後の流量測定値を生成することができる。本発明のある実施形態によれば、メーター電子機器20は、測定可能なフローパラメーターと予測可能な流量誤差との間の相関関係に基づいて流量誤差を補償することができる。」 「【図1】 [図:0001400133000001.jpg] 」 イ 【0033】~【0049】、【図2】 「【0033】 図2には、本発明のある実施形態にかかるメーター電子機器20が示されている。メーター電子機器20は、インターフェイス201と、処理システム203とを有し得る。処理システム203は記憶システム204を有してもよい。記憶システム204は、図示されているような内部メモリーであってもよいし、または、外部メモリーであってもよい。メーター電子機器20は、駆動信号211を生成し、この駆動信号211をドライバ104へ送信することができる。加えて、メーター電子機器20は、ピックオフセンサーまたは速度センサーの信号の如きフローメーター10からのセンサー信号210を受信することができる。実施形態によっては、センサー信号210はドライバ104から受信されることとしてもよい。メーター電子機器20は、デンシトメーターとして動作することもできるし、または、コリオリフローメーターとして動作することを含む質量流量メーターとして動作することもできる。メーター電子機器20は、フロー導管103A、103Bを流れる物質のフロー特性を得るべくセンサー信号210を処理することができる。たとえば、メーター電子機器20は、位相差、周波数、時間差、密度、温度、質量流量、体積流量、メーター検証などのうちの1つ以上を求めることができる。実施形態によっては、メーター電子機器20は、たとえば1つ以上のRTDまたは他の温度測定デバイスから温度信号212を受信してもよい。 【0034】 インターフェイス201は、リード線110、111、111’を通じて、ピックオフセンサー105、105’またはドライバ104からセンサー信号210を受信することができる。インターフェイス201は、初期化、増幅、バッファリングなどの如きいかなる必要なまたは所望の信号処理を行いうる。あるいは、信号処理のうちの一部または全部を処理システム203で行うようにすることもできる。それに加えて、インターフェイス201は、メーター電子機器20と外部デバイスとの間の通信を可能とすることができる。インタフェース201は、いかなる電子通信、光学通信または無線通信を可能とすることができる。 【0035】 1つの実施形態におけるインターフェイス201は、センサー信号がアナログセンサー信号であるデジタイザ(図示さず)を有することができる。デジタイザは、アナログセンサー信号をサンプリングしてデジタル化し、デジタルセンサー信号を生じさせることができる。また、デジタイザは、必要とされる信号処理量を減らして処理時間を短縮するようにデジタルセンサー信号を縮小(decimate)するいかなる必要なデシメーションを実行することもできる。 【0036】 処理システム203は、メーター電子機器20の動作を実行することができ、また、フローメーター10からのフロー測定値を処理することができる。処理システム203は、誤差判定ルーチン213の如き1つ以上の処理ルーチンを実行することにより、1つ以上のフロー特性を求めるべく流量測定値を処理することができる。 【0037】 処理システム203は、汎用コンピュータであってもよいし、マイクロプロセッシングシステムであってもよいし、論理回路であってもよいし、または他のいかなる汎用のもしくはカスタマイズされた処理デバイスであってもよい。処理システム203は、複数の処理デバイス間に分散されるようになっている場合もある。処理システム203は、記憶システム204の如きいかなる一体化されたまたは独立した電子記憶媒体を有していてもよい。 【0038】 処理システム203は、とりわけ駆動信号211を生成すべくセンサー信号210を処理する。駆動信号211は、図1に記載のフローチューブ103A、103Bの如き関連するフローチューブを振動すべくドライバ104へ送信される。 【0039】 いうまでもなく、メーター電子機器20は、当該技術において公知となっているさまざま他の構成要素および機能を有していてもよい。簡潔化のために、これらのさらなる特徴は明細書および図面からは省略されている。したがって、本発明は図示されている特定の実施形態に限定されるべきでない。 【0040】 処理システム203がたとえば質量流量または体積流量の如きさまざまなフロー特性を生成する場合、生成された流量には誤差が付随している恐れがある。温度および圧力に起因する導管の剛性に関する誤差は通常補償されているが、フローメーター10を流れる流体の1つ以上の流体特性に起因しうるさらなる誤差が発見されている。 【0041】 本発明のある実施形態によれば、流量測定における誤差と新しいフローパラメーターV/ρとの間の関係を求めることができる。ここで、Vはフロー導管103A、103Bの流体速度であり、ρは流体密度である。流体速度Vについては、質量流量、密度、およびフローメーターの物理的特性、すなわちフローメーターの内側フロー面積に基づいて求めることができる。実験による較正を通じて、さまざまな流体について、流量測定に通常存在する誤差とフローパラメーターV/ρとの間に信頼できる相関関係が存在することが見出されている。一般的に、流量誤差は、高密度の流体、たとえば炭化水素の場合となるほどに大きくなるものの、どのような流体を用いるかにより本発明の技術範囲が限定されるべきではない。コリオリフローメーターを含むほとんどの振動式フローメーターでフローパラメーターV/ρを容易に測定することができるので、いったん与えられた密度における流量誤差とフローパラメーターとの間の関係が分かれば、測定されたフローパラメーターV/ρは流量測定における誤差を求めるためにその既知の関係と比較される。したがって、本発明のある実施形態によれば、フローパラメーターと流量誤差との間の関係が分かると、誤差が補償された流量を求めることができる。 【0042】 たとえば、コリオリフローメーターを含む振動式フローメーターが質量流量、体積流量、密度および温度などを測定することができることは一般的に知られている。そこで、質量流量は次式(1)により定義される。 【0043】 【数1】 [図:0001400133000002.jpg] 【0044】 式(1)の中の唯一の未知数はV、すなわち平均速度である。というのは、その他の変数は、メーター設計から分かるか、または、周知の技法に従ってフローメーター10を用いて容易に測定することができるからである。したがって、式(1)はVについて再配置されて解くことができる。 【0045】 【数2】 [図:0001400133000003.jpg] 【0046】 平均速度Vが計算されると、この速度を密度ρで除算することにより、求めるフローパラメーターV/ρを算出することができる。いうまでもなく、密度は、フローメーター10によって測定される密度であってもよいし、または、標準状態に基づく標準密度であってもよい。あるいは、流体組成が分かっていれば、ユーザーによって密度が入力されてもよい。ほとんどの液体が実質的に圧縮不可能であるので密度が温度または圧力に応じて著しく変わることはないものの、測定された温度および/または圧力に基づいて密度を調節することも本発明の技術範囲に含まれる。温度および/または圧力は、コリオリメーターによって測定されてもよいし、コリオリメーターの外側で測定されてもよい。 【0047】 フローパラメーターV/ρが流量誤差を求めるために有用となるためには、フローパラメーターV/ρとメーターの流量誤差との関係が必要となる。より詳しくは、異なる密度を有するさまざまな流体についてさまざまに異なるV/ρの値におけるフローパラメーターV/ρとの相関関係を知る必要がある。さらに、温度影響が懸念される場合、さまざまな温度における相関関係も同様に求めておくべきである。相関関係は、たとえばフローメーター10の最初の較正時に生成されてもよい。相関関係は、メーター特有のものでありうるので、個々のフローメーターについて異なる相関関係が必要となりうる。次いで、たとえば流量相関関係214の如き相関関係情報がメーター電子機器20の記憶システム204内に記憶される。生成される相関関係情報は、たとえばルックアップテーブル、ルックアップグラフ、式などの如きさまざまなフォーマットで将来の使用に備えて記憶されてもよい。 【0048】 注意すべきは、速度についてのいかなる計算、測定または入力であっても本発明の相関関係にとって十分であり、平均導管速度は、例示のみを意図して用いられているものであり、それにより本発明の技術範囲が限定されるべきではない。配管速度、最大チューブ速度または外部で求められた速度であっても、フローパラメーターV/ρを用いる補償に関する必要な情報を提供しうる。加えて、密度は、コリオリメーターによって測定されてもよいし、外部デバイスによって測定されてもよいし、または、ユーザーによって入力されてもよい。密度入力または速度入力がどこからもたらされるかは重要なことではない。 【0049】 本発明のある実施形態によれば、相関関係は、各密度についてフローパラメーターV/ρのさまざまな値を相関させるために、異なる密度を有しているさまざまな流体およびさまざまな流量で流れるさまざまな流体を用いてフローメーター10に対する複数の較正試験を行うことにより求められてもよい。たとえば、フローメーター10はさまざまな密度を有するさまざまな炭化水素を用いて試験された。本実施形態では炭化水素が用いられているが、いうまでもなく本発明は炭化水素に限定されるものではなく、どのような流体またはどのような種類の流体が用いられるかにより本発明の技術範囲が限定されるべきではない。流量測定値は、流体ごとにさまざまな流量において求められた。次いで、フローメーター10により求められた流量が既知の流量と比較され、流量誤差が生成された。既知の流量は、当該技術分野において公知となっているフローメーター10と直列接続された試験用メーターまたはマスターメーターによって提供されるようになっていてもよい。図3には、この結果が示されている。」 「【図2】 [図:0001400133000004.jpg] 」 ウ 【0050】~【0055】、【図3】、【図4】 「【0050】 図3は、複数の異なる流量についての密度に対する体積流量誤差を示すチャートである。図3のチャートは、体積流量として示されているが、いうまでもなくこのチャートは質量流量を示すものとして作成されてもよい。その場合であっても、本発明の技術範囲に含まれている。図3から分かるように、一般的に、流量測定における誤差は流体密度が大きくなるに従って大きくなる。実際、この具体例で試験されている最も軽い流体について、誤差は無視可能な程度であり、フローメーターの誤差というよりも検査過誤に起因するものである可能性がある。したがって、本発明のある実施形態によれば、あるしきい値密度を決め、流体密度がこのしきい値密度を超えない限り、後述する誤差判定ルーチン213が実行されないようにしてもよい。図3の情報が有用な情報を提供しているが、求めるフローパラメーターはV/ρである。したがって、同一の較正を行った場合にV/ρを算出すれば、フローパラメーターV/ρに対する流量誤差のチャートを作成することができる。 【0051】 図4には、さまざまな炭化水素についてのフローパラメーターV/ρに対する流量誤差がパラメータで表されたプロットの一例が示されている。図示されているように、ある与えられた流体密度おいて、流量誤差は、選択された炭化水素流体のフローパラメーターV/ρの自然対数に略線形の関係を有している。このことは、傾向線401~404を用いて各流体について示されている。各傾向線401~404を生成するために用いられる試験データは、比較的一定の密度に応じたものである。換言すれば、傾向線401を構成するフローパラメーターの値は同一の流体に基づいたものである。反対に、傾向線401のフローパラメーターの値は、傾向線402を構成するフローパラメーターの値とは異なる密度を有している流体についてのものである。理解することができるように、一般的に、流量誤差は、ある与えられた密度についてのフローパラメーターが大きくなるに従って大きくなる。また、ある与えられたフローパラメーター値について、密度が大きくなるに従って、流量誤差も大きくなる。このような一般的な傾向のために、個々のメーターについて、フローパラメーターV/ρと流量誤差との間に信頼できる関係が存在する。さらに、フローパラメーター値間を補間することにより、個々のメーターにより生じる流量誤差が比較的正確に求められる。 【0052】 対数目盛を用いると、単一の流体密度におけるフローパラメーターV/ρと流量誤差との間の相関関係を表わすカーブフィット式を作成することができる。理解することができるように、各密度について、その密度におけるV/ρを流量誤差に関連づける他の式を作成することができる。他の流体または他の種類の流体、たとえば非炭化水素について、V/ρと誤差との間には異なる関係が存在し、異なる形態のカーブフィットまたはルックアップテーブルが必要となる場合もある。流量誤差が体積流量誤差の観点から示されているが、いうまでもなく、質量流量誤差を用いて同様のチャートを容易に作成することができ、また、コリオリフローメーターを用いる場合、このようなプロットは、測定された質量流量を体積流量に変換するステップを排除することができる。というのは、コリオリフローメーターでは質量流量が直接測定されるからである。 【0053】 図4から分かるように、用いられる流体のV/ρの値によっては、流量誤差が-1%に近づいているものもある。このことは、流量測定において大きな誤差となりうる。したがって、誤差の補償が望ましいことが明らかである。図4から分かるように、フローパラメーターV/ρは初めは補償されていない流量を用いて算出するが、流量の誤差に基づくフローパラメーターの誤差は、相関関係の誤差に対して影響をほとんど及ぼさない。たとえば傾向線404の流量における最大誤差を取り上げると、それは-1%に近づくものの-1%には達しない。この時点でのV/ρの値は約0.0035m4/(kg*s)である。したがって、誤差が-1%であったとしても、フローパラメーターV/ρの値は、補償前の流量を用いて算出された元のフローパラメーターV/ρの0.000035m4/(kg*s)内にある。したがって、いうまでもなくフローパラメーターV/ρのこの小さな誤差に起因する補償誤差の分散は通常無視することができるものである。また、フロー補償手順を、当該補償手順への入力として用いられる速度の値が流量の訂正値と一致するまで、繰り返すことも可能である。 【0054】 いうまでもなく、図3および図4で用いられている具体的な値および流体は本発明を説明するための一例に過ぎない。したがって、図面に記載されている特定の実施形態によって本発明の技術範囲が限定されるべきではない。また、いうまでもなく、実施形態において用いられている炭化水素流体について、流量誤差とフローパラメーターV/ρの自然対数との間の相関関係はほぼ線形であるが、他の密度および他の物理的特性を有している他の流体における相関関係は線形とはならない場合もある。しかしながら、いうまでもなく、当該技術分野においてよく知られているトレンド技術を用いて同様の相関関係を生成することができる。したがって、フローメーターを用いて特定の流体または特定の種類の流体が測定されることをユーザーが知っているまたは予想している場合、そのフローメーターに対して、特定の流体または特定のクラスの流体に関する同様の相関関係を生成することができる。 【0055】 処理システム203は、図4に記載の情報または同様のプロット、ルックアップテーブル、式などを用いて、本発明のある実施形態にかかる誤差判定ルーチン213を実行することができる。」 「【図3】 [図:0001400133000005.jpg] 」 「【図4】 [図:0001400133000006.jpg] 」 エ 【0056】~【0067】、【図5】 「【0056】 図5には、本発明のある実施形態にかかる誤差判定ルーチン213が示されている。誤差判定ルーチン213は、たとえば正常運転中にメーター電子機器20により実行されるようになっていてもよい。誤差判定ルーチン213は、特定の時間間隔または測定間隔に従って実行されてもよい。たとえば、誤差判定ルーチン213は、10秒ごとに一度行われてもよいし、または、10回の測定回数ごとに一度行われてもよい。これらの数値は、例示のみを意図して提示するものであり、いかなる意味においても本発明の技術範囲を限定するものではない。それに代えて、誤差判定ルーチン213が実質的に連続的に実行されるようになっていてもよい。誤差判定ルーチン213は、流体流量の誤差を求めるために実行されてもよい。実施形態によっては、誤差判定ルーチン213が流量誤差を補償するために用いられる場合もある。 【0057】 誤差判定ルーチン213はステップ501から開始する。このステップでは、センサー信号がフローメーター10から受信される。これらのセンサー信号には、位相差、周波数、温度、圧力などが含まれ得る。受信されたセンサー信号に基づいて、誤差判定ルーチン213はステップ502へ進むことができる。このステップでは、信号が処理され、第一の質量流量、温度および体積流量のうちの1つ以上が求められる。 【0058】 ステップ503では、流体密度が求めるられる。たとえばセンサー信号に基づいて流体密度が生成される。センサー信号に基づいて密度を生成することに代えて、密度が、ユーザーにより入力されたデータに基づいて生成されてもよいし、記憶されている密度から読み出されたデータに基づいて生成されてもよい。記憶されている密度は、たとえば標準温度・圧力条件における密度であってもよい。 【0059】 流体密度はしきい値流体密度と比較されてもよい。本発明のある実施形態によれば、生成された密度がしきい値密度を超えるか否かに関する判断をすることができる。生成された密度がしきい値密度を超えていない場合、誤差判定ルーチン213は終了することとしてもよい。たとえば、図3に示されているように、密度が約750kg/m3のしきい値未満である場合、流量測定に関する誤差は、誤差判定ルーチン213を続けるほど大きくないと考えられる。しきい値は、たとえばフローメーターに必要とされる精度または測定能力に基づいて決められもよい。一方、生成された密度がしきい値を超えている場合、誤差判定ルーチン213はステップ504へ進むことができる。いうまでもなく、実施形態によっては、密度比較が省略されてもよい。このことは、たとえばフローメーター10を流れる流体がしきい値密度を超えていることが知られているような実施形態についてとりわけいえることである。上述の実施形態では、生成された密度がしきい値密度を超えているか否かに関して判断がなされる状況について記載されているものの、他の実施形態によれば、生成された密度がしきい値密度未満であるか否かに関して同様の判断がなされるようになっていてもよい。このことは、流量誤差が密度の減少に従って大きくなる場合にはとくにいえることである。 【0060】 ステップ504では、第一の質量流量、密度、およびフローメーター10の物理的特性を用いて流体速度を求めることができる。物理的特性は、たとえばフローメーター10の総内側フロー面積であってもよい。図1に示されているフローメーター10の実施形態では、フローメーター10の総内側フロー面積は、たとえばフロー導管103Aおよびフロー導管103Bの内側面積の合計のことである。流体速度Vについては、上述の式2に従って求めることが可能である。 【0061】 ステップ505では、メーター電子機器20は、ステップ502~ステップ504で生成されたデータに基づいてフローパラメーターV/ρを算出することができる。フローパラメーターV/ρは、たとえばフローメーター10により測定される動作密度を用いて算出されてもよいし、または、記憶されている密度を用いて算出されてもよい。記憶されている密度は、標準状態での流体の密度に相当しうる。それに代えて、記憶されている密度は、測定温度における流体の密度に相当するものであってもよい。 【0062】 ステップ506では、流量誤差は、ステップ505で算出されたフローパラメーターV/ρを用いて求められる。本発明のある実施形態によれば、流量誤差は、ステップ505で算出されたフローパラメーターを、メーター電子機器20に記憶されている流量相関関係214の如きフローパラメーターと流量誤差との間で予め求められている相関関係と比較することにより求められてもよい。たとえば、流量誤差は、図4に記載のグラフの如きグラフを用いて求められてもよい。それに代えて、ルックアップテーブルまたは式が、算出されたフローパラメーターV/ρに基づいて用いられてもよい。流量誤差を得るためにどのような方法が用いられるかということにより本発明の技術範囲が限定されるべきではない。ほとんどの状況では、予め求められている相関関係は、上述のように初期較正時に製造業者によって求められたものであってもよい。 【0063】 本発明の他の実施形態によれば、流量誤差は、ステップ505で算出されたフローパラメーターおよび流体密度を、1つ以上の異なる密度についてフローパラメーターと流量誤差との間で予め求められている相関関係と比較することにより求められてもよい。たとえば、図4では、4つの相関関係が求められており、各相関関係は特定の流体密度に関するものである。したがって、複数の相関関係が知られている場合、流量誤差は、適切な相関関係が用いられていることを担保するために、ステップ505で算出されたフローパラメーターだけでなくステップ503で算出された流体密度に基づいて求められることになる。 【0064】 いうまでもなく、流量誤差は、利用可能な相関関係に基づいた補間によって求められなければならない必要性がある場合もある。たとえば、図4において、測定される流体がグラフに含まれている2つの流体の間の密度である場合、流量誤差は、同一のフローパラメーターV/ρの値を有するより高い密度の流量誤差とより低い密度の流量誤差との間に位置すると考えられる。この種の補間は、流体の特性が著しく異なる場合には適切な結果をもたらさない場合もある。たとえば、図4に記載の実施形態では、較正された流体はすべて炭化水素である。したがって、測定される流体が他の炭化水素ならば、補間により適切な結果が得られると思われる。しかしながら、流体が著しく異なる特性を有している場合には適切な結果をもたらさないと考えられるので、他の相関関係を作成する必要性がある。 【0065】 さらに、温度が懸案事項である場合には、相関関係を作成する際に用いられた温度および測定温度に基づいて、流量誤差を調整することが必要となる場合もある。この調整は、温度を標準条件に合わせてもよい。「標準」条件に選択される条件は、条件が測定の間一定である限り、いかなる所望の条件であってもよい。それに代えて、流量誤差に対してなされる調整のためにさらなる較正が実行されてもよい。たとえば、図4に示されている較正と同様のさらなる較正をさまざまな温度で実行するようにしてもよい。したがって、測定温度が、較正が実行された温度と一致していない場合、流量誤差は、たとえば異なる温度における流量誤差とフローパラメーターV/ρとの間の予め求められた2つ以上の較正間を補間することにより調整されてもよい。 【0066】 測定されたフローパラメーターV/ρに基づいて流量誤差が求められると、流量測定値は、ステップ506で算出された流量誤差を考慮した補償後の流量測定値が生成されるように補償されてもよい。補償後の流量測定値は、たとえば一桁以上の精度となる。次いで、補償後の流量は、メーター電子機器20によって出力されてもよいし、または、将来の使用のために記憶されてもよい。 【0067】 それに代えて、流量誤差がしきい値と比較されてもよい。たとえば流量誤差がしきい値未満である場合、補償後の流量は生成されなくてもよい。むしろ、流量誤差を無視し、ルーチン213を終了してもよい。このことは、たとえば流量誤差が許容差範囲内にあるか、またはフローメーターの感度未満であると考えられる場合にとくにいえることである。当業者にとって流量誤差をしきい値と比較するさらなる理由が容易に認識されるだろうが、提示された特定の実施形態により本発明の技術範囲が限定されるべきではない。」 「【図5】 [図:0001400133000007.jpg] 」 オ 【0068】、【図6】 「【0068】 図6には、補償後の流量測定値に基づいたフローパラメーターV/ρのプロットの一例が示されている。いうまでもなく、図6のデータは、フローパラメーターV/ρではなく、質量流量または体積流量として容易に示すことができる。しかしながら、図4と同一の変数を用いることによって、本発明の有効性をより良好に理解するために図6を同一のスケールで表すことが可能となる。図6は、図4を用いて算出された流量誤差に基づいて流量測定値を訂正することにより作成されたものである。図から理解することができるように、ほとんどの補償後のデータは、+/-0.1%より少ない誤差を有している。このことは、計算値のうちのいくつかが-1.0%に近い誤差を有している図4のデータとは対照的である。したがって、補償後の流量測定値が補償前の流量から著しく改善されていることが明らかである。」 「【図6】 [図:0001400133000008.jpg] 」 (2) 引用発明の認定 前記(1)において摘記した事項を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明] 「 フローメーター10と1つ以上のメーター電子機器20とを備えているコリオリフローメーターの形態をとる振動式センサーアッセンブリ5であって、 1つ以上のメーター電子機器20は、フローメーター10へ接続され、たとえば密度、質量流量、体積流量、合計質量流量、温度および他の情報の如き流動物質の特性を測定するものであり、(【0024】) フローメーター10は、一対のフランジ101、101’と、一対のマニホールド102、102’と、一対の導管103A、103Bとを有しており、(【0025】) フローメーター10は、ドライバ104を備えており、ドライバ104は、当該ドライバ104が導管103A、103Bをドライブモードで振動させることができる位置で導管103A、103Bに固定されており、(【0026】) フローメーター10は、導管103A、103Bに固定されている一対のピックオフ105、105’を有しており、(【0028】) メーター電子機器20は、測定可能なフローパラメーターと予測可能な流量誤差との間の相関関係に基づいて流量誤差を補償して、補償後の流量測定値を生成することができ、(【0032】) メーター電子機器20は、インターフェイス201と、処理システム203とを有しており、(【0033】) 処理システム203は、メーター電子機器20の動作を実行することができ、また、フローメーター10からのフロー測定値を処理することができ、誤差判定ルーチン213の如き1つ以上の処理ルーチンを実行することにより、1つ以上のフロー特性を求めるべく流量測定値を処理することができるものであり、(【0036】) 処理システム203がたとえば質量流量または体積流量の如きさまざまなフロー特性を生成する場合、生成された流量には誤差が付随している恐れがあり、(【0040】) 実験による較正を通じて、さまざまな流体について、流量測定に通常存在する誤差とフローパラメーターV/ρとの間に信頼できる相関関係が存在することが見出されており、 Vはフロー導管103A、103Bの流体速度であり、ρは流体密度であり、流体速度Vについては、質量流量、密度、およびフローメーターの物理的特性、すなわちフローメーターの内側フロー面積に基づいて求めることができ、(【0041】) 質量流量は次式(1)により定義され、(【0042】、【0043】) [図:0001400133000009.jpg] 流体組成が分かっていれば、ユーザーによって密度が入力されてもよく、(【0046】) フローパラメーターと流量誤差との間の関係が分かると、誤差が補償された流量を求めることができ、(【0041】) 温度影響が懸念される場合、さまざまな温度における相関関係も同様に求めておくべきであり、(【0047】) 相関関係は、たとえばフローメーター10の最初の較正時に生成されてもよく、たとえば流量相関関係214の如き相関関係情報がメーター電子機器20の記憶システム204内に記憶され、生成される相関関係情報は、たとえばルックアップテーブル、ルックアップグラフ、式などの如きさまざまなフォーマットで将来の使用に備えて記憶されてもよく、(【0047】) 流量誤差は、質量流量誤差を用いることができ、(【0052】) 流量誤差は、算出されたフローパラメーターを、メーター電子機器20に記憶されている流量相関関係214の如きフローパラメーターと流量誤差との間で予め求められている相関関係と比較することにより求められるものであり、(【0062】) 温度が懸案事項である場合には、相関関係を作成する際に用いられた温度および測定温度に基づいて、流量誤差を調整することが必要となる場合があり、流量誤差に対してなされる調整のためにさらなる較正が実行されてもよく、さらなる較正をさまざまな温度で実行するようにしてもよく、測定温度が、較正が実行された温度と一致していない場合、流量誤差は、たとえば異なる温度における流量誤差とフローパラメーターV/ρとの間の予め求められた2つ以上の較正間を補間することにより調整されてもよく、(【0065】) 測定されたフローパラメーターV/ρに基づいて流量誤差が求められると、流量測定値は、流量誤差を考慮した補償後の流量測定値が生成されるように補償され、補償後の流量は、メーター電子機器20によって出力される、(【0066】) 振動式センサーアッセンブリ5。」 2 対比・判断 (1) 対比 本願発明と引用発明を対比する。 ア(ア) 引用発明は、「密度、質量流量、体積流量、合計質量流量、温度および他の情報の如き流動物質の特性を測定するものであり」、「測定可能なフローパラメーターと予測可能な流量誤差との間の相関関係に基づいて流量誤差を補償して、補償後の流量測定値を生成する」ものであるところ、「流量誤差は、質量流量誤差を用いることができ[る]」としているから、補償された質量流量測定値を生成しているといえる。 (イ) そうすると、引用発明の補償された質量流量測定値を生成することは、本願発明の「質量流量の測定を決定する」ことに相当するから、本願発明と引用発明は「質量流量の測定を決定する方法」の発明である点で一致する。 イ(ア) 引用発明の「振動式センサーアッセンブリ5」の「フローメーター10」は、「一対のフランジ101、101’と、一対のマニホールド102、102’と、一対の導管103A、103Bとを有しており」、「ドライバ104を備えており、ドライバ104は、当該ドライバ104が導管103A、103Bをドライブモードで振動させることができる位置で導管103A、103Bに固定されており」、「導管103A、103Bに固定されている一対のピックオフ105、105’を有して」いるものである。 (イ) 引用発明の「振動式センサーアッセンブリ5」の「メーター電子機器20」は、「フローメーター10へ接続され、たとえば密度、質量流量、体積流量、合計質量流量、温度および他の情報の如き流動物質の特性を測定するもの」である。 (ウ) 以上を踏まえると、引用発明の「フローメーター10」及び「メーター電子機器20」は、それぞれ本願発明の「流量計センサ」及び「メータ電子機器」に相当する。 ウ(ア) 引用発明では、「温度が懸案事項である場合には、相関関係を作成する際に用いられた温度および測定温度に基づいて、流量誤差を調整することが必要となる場合があ[る]」としているところ、「相関関係は、たとえばフローメーター10の最初の較正時に生成されてもよ[い]」としているから、引用発明では、相関関係を作成する際に用いられた温度において、フローメーター10の較正をしているといえる。 (イ) そうすると、引用発明の「相関関係を作成する際に用いられた温度」は、本願発明の「第1の温度」に相当し、引用発明の「フローメーター10」の「較正」をすることは、本願発明の「流量計センサを較正する」ことに相当する。 (ウ) したがって、本願発明と引用発明は「第1の温度で流量計センサを較正するステップ」を含む点で一致する。 エ(ア) 引用発明では、「測定温度が、較正が実行された温度と一致していない場合、流量誤差は、たとえば異なる温度における流量誤差とフローパラメーターV/ρとの間の予め求められた2つ以上の較正間を補間することにより調整されてもよ[い]」としているところ、上記「測定温度」とは、フローメーター10により測定が行われるときの温度を意味することは自明であるから、引用発明の「較正が実行された温度と一致していない」「測定温度」は、本願発明の「第1の温度とは異なる第2の温度」に相当する。 (イ) そして、引用発明の「測定温度」における測定では、当該温度の流体がフローメーター10の一対の導管103A、103Bを通って流れることを意味するから、このことは、本願発明の「第1の温度とは異なる第2の温度を有する流体を流量計センサを通って流す」ことに相当する。 (ウ) したがって、本願発明と引用発明は「第1の温度とは異なる第2の温度を有する流体を流量計センサを通って流すステップ」を含む点で一致する。 オ(ア) 引用発明の「メーター電子機器20」は、「測定可能なフローパラメーターと予測可能な流量誤差との間の相関関係に基づいて流量誤差を補償」するものであるところ、当該フローパラメーターとしては、流体速度Vと密度ρからなる「V/ρ」を用いている。 (イ) ここで、「流体組成が分かっていれば、ユーザーによって密度が入力され」るとしているから、密度ρは、流体密度を意味しており、「ユーザーによって」「メーター電子機器20」に入力されるものであることは明らかである。 (ウ) したがって、本願発明と引用発明は「流体密度をメータ電子機器に入力するステップ」を含む点で一致する。 カ(ア) 引用発明は、「実験による較正を通じて、さまざまな流体について、流量測定に通常存在する誤差とフローパラメーターV/ρとの間に信頼できる相関関係が存在すること」を見出したものである。 (イ) ここで、「Vはフロー導管103A、103Bの流体速度であり、ρは流体密度であり、流体速度Vについては、質量流量、密度、およびフローメーターの物理的特性、すなわちフローメーターの内側フロー面積に基づいて求めることができ、流体組成が分かっていれば、ユーザーによって密度が入力され」るから、引用発明の「フローパラメーターV/ρ」は、フロー導管103A、103Bの弾性率が与えられていなくても(弾性率が未知であっても)算出できる量である。 (ウ) そうすると、引用発明における、流量誤差とフローパラメーターV/ρの間にある相関関係は、フロー導管103A、103Bの弾性率の変動により影響を受けるものではなく、フロー導管103A、103Bの弾性率を変数として活用する関数を使用しないものである。 (エ) また、引用発明においては、質量流量測定値について、下記式に基づいて定義されており、当該式においては、弾性率をパラメータとして用いていないことが明らかである。 [図:0001400133000010.jpg] (オ) そして、前記ア及びオを踏まえると、補償された質量流量測定値を生成するのはメーター電子機器20であるから、引用発明では、フロー導管103A、103Bの弾性率を変数として活用する関数を使用することなく、メーター電子機器20を用いて流体の補償された質量流量値を決定している。 (カ) したがって、本願発明と引用発明は「弾性率を変数として活用する関数を使用することなく、メータ電子機器を用いて流体の補償された質量流量値を決定するステップ」を含む点で一致する。 キ 前記ア~カの対比結果をまとめると、本願発明の構成は、全て引用発明に含まれるから、本願発明は、引用文献1に記載された発明である。 また、本願発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2) 請求人の主張について ア 請求人の主張の概要 引用文献1の[0027]には、「ドライブモードは第一の逆位相曲げモードであり、導管103A、103Bは、曲げ軸線W-WおよびW’-W’のそれぞれに対して実質的に同一の質量分布、慣性モーメントおよび弾性モジュールを有するバランスの取れたシステムを提供するために、選択され、流入側マニホールド102および流出側マニホールド102’に適切に取り付けられることが好ましい。」と記載されており、引用文献1では、ドライブモードが第一の逆位相曲げモードである場合、導管103A、103Bは、それぞれ対応する曲げ軸線W及び曲げ軸線W’に対して互いに逆方向に向けてドライバ104により振動させられる([0027])から、導管103A、103Bの弾性率が同じであり、質量流量の定式化において、導管103A、103Bの弾性率をキャンセルすることができるので、測定温度と較正が実行された温度とが不一致である場合における流量誤差調整の際に、導管103A、103Bの弾性率についての説明が省略されているにすぎない。引用文献1では、導管103A、103Bの弾性率が既知であって、当該質量流量の演算式において弾性率が変数として利用されており、引用文献1には、請求項1の「弾性率を変数として活用する関数を使用することなく、メータ電子機器を用いて流体の補償された質量流量値を決定する」という技術的特徴が開示されていない。 イ 請求人の主張に対する当審の判断 引用文献1では、質量流量の定式化において、導管103A、103Bの弾性率をキャンセルできるので、測定温度と較正が実行された温度とが不一致である場合における流量誤差調整の際に、導管103A、103Bの弾性率についての説明が省略されているにすぎないとする主張は、引用文献1に明記されたものではないから、弾性率についての説明が省略されているとの主張を採用することはできない。 また、引用発明は、「実験による較正を通じて、さまざまな流体について、流量測定に通常存在する誤差とフローパラメーターV/ρとの間に信頼できる相関関係が存在すること」を見出したものであり、「フローパラメーターV/ρ」は、フロー導管103A、103Bの弾性率が与えられていなくても(弾性率が未知であっても)算出できる量であるから、引用発明において、質量流量を演算する際に弾性率が変数として利用されているとの主張も採用することはできない。 請求人の主張は、結局のところ、引用文献1の記載に基づかないものであるから、これにより当審の判断が左右されることはない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。 また、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-010399

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