特許拒絶査定不服審判
2022-010186
携帯端末
- 審判番号
- 2022-010186
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-086408外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年07月01日
- 審決日
- 2022年12月15日
- 公報発行日
- 2023年01月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社デンソーウェーブ
- 【請求人代理人】田下 明人
- 分類
- P18 .121-WY (G06K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第164条、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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特願2018- 86408「携帯端末」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年10月31日出願公開、特開2019-192079、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年4月27日の出願であって、令和3年12月13日付けで拒絶の理由が通知され、令和4年2月17日に意見書とともに手続補正書が提出され、同年3月31日付けで拒絶査定(謄本送達日同年4月5日)がなされ、これに対して同年7月1日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされ、同年8月5日付けで審査官(以下、「前置審査官」という。)により特許法164条3項の規定に基づく報告(以下、「前置報告」という。)がなされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(令和4年3月31日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項1-2
・引用文献1-3
<引用文献等一覧>
1.特開2011-034465号公報
2.特開2001-057481号公報
3.国際公開第2005/017821号
第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正(本件補正)は、特許法17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
本件補正によって、請求項1に、「表面に表示画面が配置され」という事項、「裏面」という事項、及び「の前記表示画面側」という事項(以上をまとめて、「本件補正事項」という。)を追加する補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認める。
そして、「表面に表示画面が配置され」という事項を追加する補正は、本件補正前の「筐体」が、表面に表示画面が配置されるものであることを限定的に減縮するものであり、「裏面」という事項を追加する補正は、本件補正前の「ホルダ」が、裏面に対して突出するものであることを限定的に減縮するものであり、「の前記表示画面側」という事項を追加する補正は、本件補正前の「筐体内」に配置される「平板状の金属ホルダ」の位置を限定的に減縮するものと認められる。
また、当初明細書の段落【0013】には、「図4等に示すように、筐体11の表面11aには、狭額縁化(狭ベゼル化)されるように大型化された表示画面24aが配置されている。…中略…なお、筐体11の裏面11bは、把持部12の一部を構成する「一面」の一例に相当し得る。」と記載され、また図面の図9には、「金属ホルダ60」及び「表示画面24a」が、「筐体11」の「表面11a」に沿うように設けられている様子を読取ることができるから、本件補正事項は、当初明細書等に記載された事項であり、新規事項を追加するものではない。
そして、以下、第4~第6に示すように、本件補正後の請求項1~2に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。
第4 本願発明
本願請求項1~2に係る発明(以下、「本願発明1」~「本願発明2」といい、これらをまとめて「本願発明」などという。)は、本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1~2に記載された、次のとおりのものと認める。(なお、この項において、下線は補正箇所を示すものとして審判請求人が付加したものである。)
「 【請求項1】
情報コードを光学的に読み取る読取部と、
アンテナを介して無線通信を行う無線通信部と、
長手方向一側が薄板状の把持部として構成され表面に表示画面が配置される筐体と、
前記筐体の長手方向他側に組み付けられて、前記読取部を保持するホルダと、
を備える携帯端末であって、
前記ホルダは、前記把持部の一部を構成する裏面に対して突出するように前記筐体に組み付けられ、
前記筐体内の前記表示画面側には、平板状の金属ホルダが前記筐体の長手方向に沿って配置され、
前記アンテナは、前記ホルダの前記把持部側と前記裏面の前記ホルダ側との間であって前記ホルダの突出端部と前記裏面との間に設けられる支持面を利用して前記金属ホルダに対して前記ホルダ側ほど離れるようにして配置されることを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記支持面は、前記筐体に対して着脱可能に組み付けられる蓋部の内面側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。」
第5 引用例、引用発明等
1 引用例1に記載された事項及び引用発明
ア 原査定の拒絶の理由において引用した、本願の出願前に既に公知である、特開2011-34465号公報(平成23年2月17日公開。以下、これを「引用例1」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。(下線は当審で付加。以下同様。)
(ア) 「【0026】
図1~7を参照して、本発明に係る実施の形態を説明する。先ず、図1を参照して、本発明に係るリーダライタ機能を有したリーダライタ装置としてのハンディターミナル10の概略図を説明する。
【0027】
本実施の形態のハンディターミナル10は、スーパーマーケット,コンビニエンスストア,個人商店等の店舗で使用される。ハンディターミナル10は、各種情報の入力及び記憶機能と、RFIDタグの情報読み取り機能と、商品に付されたバーコードの情報を読み取るバーコード読み取り機能と、を有する。例えば、ハンディターミナル10でRFIDタグの情報を読み取る場合、図1に示す表示部14の近くにRFIDタグを位置させることにより、RFIDタグの情報の読み取りが行われる。ここで、ハンディターミナル10は、少なくともRFIDタグの読み取り機能を有する携帯端末装置であればよい。また、ハンディターミナル10は、店舗使用以外の他の用途で使用されるものとしてもよい。
【0028】
図1に示すように、ハンディターミナル10は、ベゼル1と、ケース2と、を備える。ベゼル1は、表示部14のカバー(枠形カバー)である。ケース2は、樹脂性のケースであり、上ケース2A、下ケース2Bを備える。上ケース2Aは、ハンディターミナル10の各部品(表示部14等)を保持するためのケースである。また、ハンディターミナル10は、正面に表示部14、タッチパネル16、キー入力部12Aを備える。また、ハンディターミナル10は、先端にスキャナ部18を備える。
【0029】
表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)より構成され、各種画面を表示する。タッチパネル16は、表示部14と一体的に構成される。キー入力部12Aは、各種機能キー、文字・数字入力キー、カーソルキー等を有し、ユーザによる各キー押下により、各種機能の決定、文字・数字、移動等の入力を受け付ける。スキャナ部18は、バーコードや二次元コードから反射された反射光を受光して、バーコードの情報を読み取る。
【0030】
図2に、ハンディターミナル10からベゼル1を取り外した状態を示す。図2に示すように、上ケース2Aの外面にループ状のRFアンテナ(以下、ループアンテナ21と記す)が配置され、ループアンテナ21は、表示部14(タッチパネル16)の周囲に巻線されている(巻線として形成されている)。ループアンテナ21の巻線形状は、図9により後述する。
【0031】
具体的には、ループアンテナ21は、RFIDタグの情報読み取りや情報の読み書きを行うためのコイルアンテナであり、コイル状の銅泊の線を含むFPC(Flexible Printed Circuits)により構成されたアンテナである。」
(イ) 「【0036】
表示部14は、LCD等により構成される。表示部14は、CPU11から入力される表示情報に応じて各種表示を行う。また、表示部14の枠(フレーム)は、耐性向上のため金属部品で構成される。」
(ウ) 「【0041】
リーダライタ部20は、ループアンテナ21を有し、CPU11の指示に従い、ループアンテナ21を介してRFIDタグの情報を読み取り、読み書きする。より具体的には、リーダライタ部20は、RFIDタグがループアンテナ21の読取可能範囲に配置された状態で、CPU11から入力された送信信号を変調してループアンテナ21に入力する。すると、ループアンテナ21から発生する電磁界を介して、RFIDタグ内のループアンテナに電流が発生し、その電気信号が復調され符号化されることにより、RFIDタグ側で情報が受信される。そして、RFIDタグ内のメモリの情報読み出し又は情報書き込みが行われる。また、RFIDタグから、メモリから読み出した情報等の送信情報の信号に応じてループアンテナ21に発生する電磁界を介して、ループアンテナ21に電流が流れ、リーダライタ部20によりその電気信号が変調され符号化されることにより、リーダライタ部20側で情報が受信される。」
(エ) 「【0047】
ループアンテナ21は、上ケース2Aの外面に配置され、且つ表示部14(タッチパネル16)の周囲に巻線される。また、ループアンテナ21の一部は、上ケース2Aに空けられた隙間を通して上ケース2Aの内面に配線される。また、ループアンテナ21と上ケース2Aとは両面テープ(図示省略)により接着される。また、ループアンテナ21は、ベゼル1で覆われる。」
(オ) 「【0057】
以上、本実施の形態によれば、上ケース2Aの外面にループアンテナ21を配置するので、ループアンテナ21とRFIDタグのループアンテナとの距離をより短くすることができるので、通信損失を少なくすることができる。また、上ケース2Aの外面にループアンテナ21を配置するので、ループアンテナ21のループ面積を広く取ることができる。また、上ケース2A等を介して金属部品(表示部14の枠)と離れた位置にループアンテナ21を配置するので、金属部品による磁界の阻害を防止することができる。このため、ハンディターミナル10の通信範囲の広範囲化を実現することができる。」
(カ) 「図1
[図:0001393011000001.jpg]
」
イ 引用発明
上記ア(ア)~(カ)の記載事項から、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「リーダライタ機能を有したリーダライタ装置としてのハンディターミナル10(【0026】)であって、
ハンディターミナル10は、RFIDタグの情報読み取り機能と、商品に付されたバーコードの情報を読み取るバーコード読み取り機能と、を有し(【0027】)、
ハンディターミナル10は、ベゼル1と、ケース2と、を備え、ケース2は、上ケース2A、下ケース2Bを備え、正面に表示部14を備えるとともに、先端にスキャナ部18を備え(【0028】、図1)、
スキャナ部18は、バーコードや二次元コードから反射された反射光を受光して、バーコードの情報を読み取り(【0029】)、
ループアンテナ21は、RFIDタグの情報読み取りや情報の読み書きを行うためのコイルアンテナであり(【0031】)、
表示部14の枠(フレーム)は、耐性向上のため金属部品で構成され(【0036】)、
リーダライタ部20は、ループアンテナ21を有し、CPU11の指示に従い、ループアンテナ21を介してRFIDタグの情報を読み取り、読み書きをし(【0041】)、
ループアンテナ21は、上ケース2Aの外面に配置され、且つ表示部14の周囲に巻線され、ループアンテナ21の一部は、上ケース2Aに空けられた隙間を通して上ケース2Aの内面に配線され、ループアンテナ21はベゼル1で覆われ(【0047】)、
上ケース2Aの外面にループアンテナ21を配置するので、ループアンテナ21とRFIDタグのループアンテナとの距離をより短くすることができるので、通信損失を少なくすることができ、上ケース2A等を介して金属部品(表示部14の枠)と離れた位置にループアンテナ21を配置するので、金属部品による磁界の阻害を防止することができる(【0057】)
ハンディターミナル10。」
2 引用例2に記載された事項
ア 原査定の拒絶の理由において引用した、本願の出願前に既に公知である、特開2001-57481号公報(平成13年2月27日公開。以下、これを「引用例2」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。
(ア) 「【0020】
【発明の実施の形態】この発明の第1の実施の形態を図1に基づいて説明する。図1はこの発明の第1の実施の形態のバーコードリーダ取り付け具の取付状態の斜視図である。図1において、1は携帯情報端未、2は携帯情報端末1のケース面に粘着剤により固定されたプラスチック成形品であるバーコードリーダ取り付け具、3はバーコードリーダ、4は携帯情報端末1のインターフェースコネクタと接続しているバーコードリーダ3の通信ケーブルである。携帯情報端末1は、従来例と同様に商品のバーコードを読み取るバーコードリーダからの情報に数量、日付などをキー入力して加工、収集して、ホストコンピュータに転送する。バーコードリーダ3は、カードサイズ、名刺サイズ以下の非常に小型軽量のものが使用でき、読み取り口5によりバーコードを読み取る。バーコードリーダ取り付け具2は、携帯情報端末1に上記のように取り付けられるとともに、バーコードリーダ3をバーコードの読み取りのできる状態で保持することができる。
【0021】このような構成において、バーコードリーダ3はバーコードリーダ取り付け具2にねじ2aで固定され、読み取り口5からレーザービームを携帯情報端末の前方向イに射出してバーコードに当て、その反射光を受光して電気信号化、信号処理を行い、通信ケーブル4を通じて携帯情報端末1にバーコードデータの転送を行う。
【0022】以上のようにこの実施の形態によれば、バーコードリーダ取り付け具2により、汎用の携帯情報端末1に対して、小型のバーコードリーダを読み取りのできる状態で保持することが可能となる。このため、操作時に両手を使う必要がない等、携帯情報端末1とバーコードリーダ3が同一ケース内に一体化されたものと同様の操作性を得ることができる。また、既存の汎用携帯情報端末1を利用できるため、携帯情報端末1とバーコードリーダ3が同一ケース内に一体化されたものに比べて安価である。」
(イ) 「図1
[図:0001393011000002.jpg]
」
3 引用例3に記載された事項
ア 原査定の拒絶の理由において引用した、本願の出願前に既に公知である、国際公開第2005/017821号(2005年2月24日国際公開。以下、これを「引用例3」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。
(ア) 「[0040] (第6実施例、図11及び図12参照)
第6実施例は前記リーダライタ1を組み込んだ移動体通信装置(携帯電話)70である。この移動体通信装置70は、中折れ式の筐体71の裏面側に設けた充電式電池パック75の収容部分にコントロール基板6とアンテナ基板4をスペース効率よく組み込んだものである。
[0041] 詳しくは、電池パック75を収容するために筐体71に設けた開口部72に対向する位置に、チップ型コイル5や送受信回路を設けたコントロール基板6が配置され、開口部72に嵌合可能な蓋部材73の裏面に、ループアンテナ2やコンデンサ3を設けたアンテナ基板4が貼着されている。
[0042] アンテナ基板4は樹脂フィルムからなり、ループアンテナ2及びコンデンサ3は第1実施例で説明したようにコイルパターンとして樹脂フィルム上に印刷したもの、及び、薄膜コンデンサである。この場合、蓋部材73がアンテナ基板を兼ねていることになる。ループアンテナ2の大きさは数cm×数cmであって、コンデンサ3とで構成する共振回路の共振周波数はコントロール基板6から発信される13.56MHzにチューニングされている。
[0043] 以上の構成により、チップ型コイル5とループアンテナ2とが磁束φ1によって磁気結合し、コントロール基板6とアンテナ基板4とがスペース効率よく筐体70に組み込まれることになる。」
(イ)「図11
[図:0001393011000003.jpg]
」
4 引用例4に記載された事項
ア 前置報告において、前置審査官によって引用された、本願の出願前に既に公知である、特開2009-290300号公報(平成21年12月10日公開。以下、これを「引用例4」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。
(ア) 「【0009】
以下、本発明をRFIDタグのデータの読取り及び書込みと、バーコードや二次元コード等の光学情報の読取りとの双方が可能な携帯型RFIDリーダライタに適用した一実施形態について図面を参照して説明する。
図2は、携帯型RFIDリーダライタの概略構成を示す縦断側面図、図3は、その分解図、図4は、内部構成を示す下面図であり、本発明に関連した構成のみを示した。携帯型RFIDリーダライタ(以下、リーダライタと略す)1は、上ケース2と下ケース3とからなる本体4内に制御ユニット5を位置決め状態で収納して構成されている。
【0010】
本体4(下ケース3)の先端面部には、光学情報読取用の読取口6が形成されている。本体4(上ケース2)の基端部(グリップ部)の上面部には、電源スイッチ、報知用LED、スピーカ、数字キーや機能キー等の複数個の操作キー(何れも図示せず)を有するキー操作部7が設けられている。また、本体4には、図示しない読取指示用のトリガスイッチが設けられている。
【0011】
制御ユニット5は、マグネシウムからなる金属製のホルダ8の下面に、メイン制御基板9、RFID用制御基板10、光学情報読取部11をネジ止めして構成されている。RFID用制御基板10にはRFID用アンテナ12が同軸ケーブル13により接続されている。ホルダ8は容器状に形成されており、その上面には図示しない液晶表示部(電子装置に相当)が収納されてメイン制御基板9と接続されている。
【0012】
メイン制御基板9はマイコンを主体として構成されており、トリガスイッチやキー操作部7等からの操作信号の入力に応じて報知用LED、スピーカ、液晶表示部などを制御する。本体4内には、電源となるバッテリ及び電源部、外部(ホスト装置)との間でのデータ通信を行うための外部インターフェース等も設けられている。
RFID用制御基板10は、メイン制御基板9からの指令に応じてRFID用アンテナ12に送信信号を出力し、RFタグ(図示せず)との間で電磁波による通信を行うことによりデータの読取り及び書込みを行う。」
(イ)「【0017】
図1は、上記構成におけるRFID用アンテナ12とホルダ8との位置関係を概略的に示している。この図1に示すように、金属性のホルダ8がRFID用アンテナ12の後方に近接して配置されている場合は、RFID用アンテナ12が金属製のホルダ8の影響を受け、RFID用アンテナ12の通信距離が変動する。この変動は、通信距離が短くなる場合と、長くなる場合がある。つまり、金属製のホルダ8はRFID用アンテナ12の反射器として機能し、その反射器としての効果が、RFID用アンテナ12とホルダ8との間の距離、或いはホルダ8の形状によって大きく異なるのである。」
(ウ) 「図1
[図:0001393011000004.jpg]
」
(エ)「図2
[図:0001393011000005.jpg]
」
5 引用例5に記載された事項
ア 前置報告において、前置審査官によって引用された、本願の出願前に既に公知である、特開2000-163529号公報(平成12年6月16日公開。以下、これを「引用例5」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。
(ア) 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、商品に付された商品コード等のバーコード(コードシンボル)を光学的に読み取ることが可能であり、かつ、ICカードや無線タグに内蔵されたICチップに対してデータを電磁誘導により読み書きすることが可能なハンディターミナルに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、商品に付される商品コード等のバーコード(コードシンボル)を光学的に読み取ることが可能であり、かつ、ICカードや無線タグに内蔵されたICチップに対してデータを電磁誘導により読み書きすることが可能なハンディターミナルが、物流・流通市場における物品や製品の管理等に利用されている。より具体的には、例えば、物流コンテナに取り付けられた無線タグのデータを読み取ることによるコンテナの管理と、そのコンテナに収納されている製品に付されたバーコードを読み取ることによる製品の入荷状況の管理とを1台のハンディターミナルによって実現するようにしたものがある。
【0003】ここで、図5(a)は従来のハンディターミナル100を概略的に示す平面図、図5(b)はその縦断側面図である。ハンディターミナル100の本体ハウジング101は、細長いハンドル部102と先端を下方に湾曲させた読取部103とにより形成されている。この読取部103の湾曲部位の先端には、矩形状の開口部104が形成されている。
【0004】本体ハウジング101のハンドル部102の上面には、商品コードや数量等を入力するためのテンキーやファンクションキー等の複数のキーが配列されたキーボード105が配設されている。また、本体ハウジング101の読取部103の上面には、液晶ディスプレイを備えた表示部106やデータの読取確認のためのLED(Light Emitting Diode)等の発光素子107が配設されている。
【0005】また、本体ハウジング101には、開口部104に対して所定の角度で配設された反射ミラー108が内蔵されている。さらに、本体ハウジング101の内部には、半導体レーザ光源、スキャニングミラー、受光素子等を備えるバーコードスキャナモジュール109が、反射ミラー108に対向して設けられている。そして、バーコードスキャナモジュール109から出射されるレーザ光を反射ミラー108を介して開口部104からバーコードBCに照射し、このバーコードBCによって反射された反射光をバーコードスキャナモジュール109に入射させることよって形成される光路lを介して、バーコードBCのデータは読み取られることになる。
【0006】加えて、本体ハウジング101の読取部103の下面であって、開口部104よりもハンドル部102側に寄った位置には、ICカード・無線タグ用リーダ/ライタアンテナ(以下、アンテナという。)110が設けられている。ここで、図6はアンテナ110を概略的に示す外観斜視図である。図6に示すように、アンテナ110は、平板状のプリント基板110aの上にコイルcを形成したものである。このコイルcに電流を流した場合には、図6に示すような磁界hが発生する。そして、このアンテナ110が発生する磁界hへと無線タグTが接近した場合には、無線タグTに内蔵されたコイルアンテナ(図示せず)に誘導起電力が発生して無線タグTのICチップ(図示せず)に記憶されたデータがアンテナ110に対して送信され、または、アンテナ110から無線タグTのICチップに対してデータが送信されることになる。
【0007】このような構成において、このハンディターミナル100で商品に付された商品コード等のバーコードBCを読取走査する場合には、操作者は本体ハウジング10のハンドル部102を把持して開口部104をバーコードBCに対向させる。すると、開口部104を通過したレーザ光がバーコードBCに照射され、このバーコードBCからの反射光が開口部104を介して反射ミラー108によって反射されてバーコードスキャナモジュール109に入射させることによって形成される光路lを介して、このハンディターミナル100はバーコードBCのデータを光学的に読取走査することができる。
【0008】一方、このハンディターミナル100で無線タグTに記憶されたデータを読み取る場合には、操作者は本体ハウジング101のハンドル部102を把持してアンテナ110を無線タグTに対向させる。すると、アンテナ110からの磁界hによって無線タグTのコイルアンテナに誘導起電力が発生し、この無線タグTのICチップに記憶されたデータをアンテナ110に対して送信させることにより、このハンディターミナル100は無線タグTに記憶されたデータを読み取ることができ、また、ハンディターミナル100は無線タグTにデータを書き込むことができる。」
(イ) 「図5
[図:0001393011000006.jpg]
」
第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「スキャナ部18」は、「バーコードや二次元コードから反射された反射光を受光して、バーコードの情報を読み取」るものであるから、本願発明1の「情報コードを光学的に読み取る読取部」に相当する。
イ 引用発明の「リーダライタ部20」は、「ループアンテナ21を介してRFIDタグの情報を読み取り、読み書きを」するものであるから、本願発明1の「アンテナを介して無線通信を行う無線通信部」に相当する。
ウ 引用発明の「ケース2」は、「上ケース2A、下ケース2Bを備え、正面に表示部14を備える」ものであるところ、「表示部14」は本願発明1の「表示画面」に相当するから、引用発明の「ケース2」は、本願発明1の「表面に表示画面が配置される筐体」に相当する。
また、引用発明の「ハンディターミナル10」は、「ベゼル1と、ケース2と、を備え」るものであるところ、その使用形態からして、当該「ハンディターミナル10」の「ケース2」部分を把持して使用することになるから、以上を総合して、引用発明は、本願発明1の「長手方向一側が薄板状の把持部として構成され表面に表示画面が配置される筐体」を備えるといえる。
エ 引用発明の「金属部品で構成され」る「表示部14の枠(フレーム)」は、本願発明1の「平板状の金属ホルダ」とは、“金属ホルダ”である点で共通する。
そして、当該「表示部14の枠(フレーム)」が、「表示部14」側にあることは自明である。また、上記ウの認定を踏まえれば、「表示部14の枠(フレーム)」は“筐体の長手方向に沿って配置される”といえることから、以上を総合して、引用発明と本願発明1とは、下記の点(相違点1)で相違するものの、“前記筐体内の前記表示画面側には、金属ホルダが前記筐体の長手方向に沿って配置される”点で一致する。
オ 引用発明の「ハンディターミナル10」は、本願発明1の「携帯端末」に相当するから、上記ア~エの検討を踏まえ、引用発明と本願発明1とは、次の一致点及び相違点を有する。
〈一致点〉
情報コードを光学的に読み取る読取部と、
アンテナを介して無線通信を行う無線通信部と、
長手方向一側が薄板状の把持部として構成され表面に表示画面が配置される筐体と、
を備える携帯端末であって、
前記筐体内の前記表示画面側には、金属ホルダが前記筐体の長手方向に沿って配置されることを特徴とする携帯端末。
〈相違点1〉
本願発明1の「金属ホルダ」が「平板状」であるのに対し、引用発明の「表示部14の枠(フレーム)」の形状は不明な点。
〈相違点2〉
本願発明1が、「前記筐体の長手方向他側に組み付けられて、前記読取部を保持するホルダ」を備え、「前記ホルダは、前記把持部の一部を構成する裏面に対して突出するように前記筐体に組み付けられ」るのに対し、引用発明の「ハンディターミナル10」は、「先端にスキャナ部18を備え」るものの、当該「スキャナ部18」を保持するホルダについて特定されていない点。
〈相違点3〉
本願発明1が、「前記アンテナは、前記ホルダの前記把持部側と前記裏面の前記ホルダ側との間であって前記ホルダの突出端部と前記裏面との間に設けられる支持面を利用して前記金属ホルダに対して前記ホルダ側ほど離れるようにして配置される」ものであるのに対し、引用発明は、そのような構成を有しない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑み、先に上記相違点2及び相違点3についてまとめて検討する。
本願発明は、従来、情報コードを光学的に読み取る情報コードリーダとしての機能に加えて無線通信機能を有する携帯端末に関する技術が知られていて、この情報読取装置は、バーコードを光学的に読み取るコードリード部とデータキャリアに記録される情報を電磁波によって読み取るデータキャリアリード部とを一体に備え、バーコードとデータキャリアを同時に及び/又は別々に読み取るように構成されていたことを背景とし(【0002】)、無線通信機能を有する携帯端末では、筐体内に補強用の金属ホルダなどの金属体が収容される場合が多く、このような金属体からアンテナをできるだけ離すように配置する必要があるが、アンテナを筐体内の金属体から単に離すような配置構成では、筐体の厚みが増してしまい、筐体の小型化や薄型化が困難になるという問題があったことを解決しようとする課題とし(【0004】)、小型化や薄型化を阻害することなく無線通信性能を向上させ得る構成を提供することを目的としてなされたものである。(【0005】)
一方、引用発明は、リーダライタ装置のケース内には空きスペースが少なく、アンテナ実装位置を確保しづらいため、ループアンテナのループ面積が小さくなってしまい(引用例1の【0010】)、リーダライタ装置内部に金属部品が存在する場合(例えば、リーダライタ装置内部にあるLCD(Liquid Crystal Display)の枠が金属部品である場合)、金属部品とループアンテナとの距離が近いと、ループアンテナから出力された磁界が金属部品により阻害されてしまい(同【0011】)、ループアンテナを、リーダライタ装置内部にモジュールとして組み込んだ場合、RFIDタグ内にあるループアンテナとリーダライタ装置のループアンテナとの距離が離れてしまい、通信損失が大きくなってしまう(同【0012】)といった理由により、リーダライタ装置の通信範囲を広く取ることができないことを解決しようとする課題とするものであり(同【0013】)、そのために、「上ケース2Aの外面にループアンテナ21を配置する」ことにより、「ループアンテナ21とRFIDタグのループアンテナとの距離をより短くすることができるので、通信損失を少なくすることができ」るとともに、「上ケース2A等を介して金属部品(表示部14の枠)と離れた位置にループアンテナ21を配置する」ことにより、「金属部品による磁界の阻害を防止」して当該課題を解決するものである。
ここで、引用発明は、「ケース2」に、「スキャナ部18」を取り付けるためのホルダなどを設けるものではなく、また、仮に「スキャナ部18」を取り付けるためにホルダを別途設けるとしても、当該ホルダを、「上ケース2Aの外面に配置」される「ループアンテナ21」のために、「ケース2」の裏面に設ける動機付けに欠けるものといわざるを得ない。(相違点2)
そして、本願発明1は、とりわけ、相違点3に係る構成、すなわち「アンテナ」を「前記ホルダの前記把持部側と前記裏面の前記ホルダ側との間であって前記ホルダの突出端部と前記裏面との間に設けられる支持面を利用して前記金属ホルダに対して前記ホルダ側ほど離れるようにして配置」することによって、上記課題、すなわち筐体の小型化や薄型化が困難になるという問題の解決を図り、この構成を採用することにより、読取部を保持するホルダの突出を利用してアンテナを配置することでデッドスペースをうまく活用して、小型化・薄型化に寄与しつつ無線通信性能を担保するという格別な効果を奏するものであり、単にアンテナと金属部品との配置を工夫して磁界の阻害を防止するに止まる引用発明からは、当業者といえども、相違点2に加えて相違点3に係る構成を想起することは容易とはいえない。
上記第5 2~5に示した引用例2~5のいずれにも、上記相違点3に係る構成は開示されておらず、本願出願前の周知技術ともいえない。
したがって、本願発明1は、上記相違点1について検討するまでもなく、当業者であっても、引用発明、引用例2及び3に記載された技術的事項、さらには上記引用例4及び5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
2 本願発明2について
本願発明2は本願発明1をさらに限定するものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用例2及び3に記載された技術的事項、さらには上記引用例4及び5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第7 原査定について
<特許法第29条第2項について>
審判請求時の補正により、本願発明1~2は上記第4に示すとおりのものとなり、上記第6に示すとおり、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1~3(上記引用例1~3)に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-010186