特許拒絶査定不服審判
2022-008933
複合ケーブル
- 審判番号
- 2022-008933
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-129100外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年06月10日
- 審決日
- 2023年06月05日
- 公報発行日
- 2023年08月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社プロテリアル
- 分類
- P18 .4 -WZ (H01B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 行政事件訴訟法46条特許法39条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第39条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-129100「複合ケーブル」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 1月16日出願公開、特開2020- 9611〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年7月6日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 3年10月19日付け :拒絶理由通知書
令和 3年12月16日 :意見書、手続補正書の提出
令和 4年 3月14日付け :拒絶査定
令和 4年 6月10日 :審判請求書の提出
令和 5年 2月 1日付け :拒絶理由通知書
令和 5年 4月11日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~4に係る発明は、令和5年4月11日提出の手続補正書の請求項1~4に記載された事項により特定されるものであって、その請求項1の記載は次のとおりである。(以下、本願の請求項1に係る発明を「本願発明」という。下線は手続補正補の記載のとおりである。)
「【請求項1】
互いに接触している2本の電気機械式ブレーキ用電源線と、
互いに接触している2本の電気機械式ブレーキ用信号線が撚り合された撚り電線の周囲にシールド層が設けられたシールド電線と、
前記2本の電気機械式ブレーキ用電源線と前記シールド電線とが撚り合わされた集合体の周囲に設けられたシースと、
前記撚り電線と前記シールド層との間に充填された第1線状介在と、
前記集合体と前記シースとの間に充填された第2線状介在と、を有し、
前記2本の電気機械式ブレーキ用電源線および前記シールド電線が第1方向に撚り合わされており、前記シールド電線に含まれる前記2本の電気機械式ブレーキ用信号線も前記第1方向に撚り合わされており、
前記第1線状介在の充填率が前記第2線状介在の充填率よりも高く、
前記シールド電線は、その周方向の一部が前記2本の電気機械式ブレーキ用電源線の間にある谷間に位置する状態で、前記2本の電気機械式ブレーキ用電源線とそれぞれ接触している、
複合ケーブル。」
第3 当審における拒絶の理由
令和5年2月1日付けで、当審において通知した拒絶の理由は、「この出願の、令和3年12月16日提出の手続補正書により補正された請求項1~4に係る発明は、その出願日(平成30年7月6日)前の平成29年3月31日に出願された特許6936604号の請求項1~4に係る発明とそれぞれ同一であるから、特許法第39条第1項の規定により特許を受けることができない」というものである。
第4 先願発明
特許6936604号の請求項1に係る発明(以下「先願発明」という。)は次のとおりである。
「【請求項1】
導体からなる心線と前記心線を被覆する絶縁体とを有する複数の第1電線と、
前記第1電線よりも外径の小さい複数の第2電線が撚り合された撚り電線の周囲にシールド層が設けられたシールド電線と、
前記複数の第1電線と前記シールド電線とが撚り合わされた集合体の周囲に設けられたシースと、
前記撚り電線と前記シールド層との間に充填された第1線状介在と、
前記集合体と前記シースとの間に充填された第2線状介在と、を有し、
前記第1線状介在と前記第2線状介在とは同一の線状介在であって、かつ、前記第1線状介在の充填率が前記第2線状介在の充填率よりも高い、
複合ケーブル。」
第5 当審の判断
1 対比
本願発明と先願発明とを対比する。
(1) 本願発明と先願発明とは、いずれも「複合ケーブル」の発明である点で共通する。
(2) 「複数の第1電線」が「2本の第1電線」を含み、「電気機械式ブレーキ用電源線」が「電線」であることを踏まえれば、先願発明の「導体からなる心線と前記心線を被覆する絶縁体とを有する複数の第1電線」は、「互いに接触している」「電気機械式ブレーキ用電源線」と特定されていないものの、「2本の第1電線」といえる点で本願発明の「電気機械式ブレーキ用電源線」と共通する。
(3) 上記(2)と同様に「複数の第2電線」が「2本の第2電線」を含み、「電気機械式ブレーキ用信号線」が「電線」であることを踏まえれば、
先願発明の「複数の第2電線」は、「互いに接触している」「電気機械式ブレーキ用信号線」と特定されていないものの、「2本の第2電線」といえる点で本願発明の「電気機械式ブレーキ用信号線」と共通する。
そうすると、先願発明の「複数の第2電線が撚り合された撚り電線の周囲にシールド層が設けられたシールド電線」は、第2電線について「互いに接触している」「電気機械式ブレーキ用信号線」と特定されていないものの、「2本の第2電線が撚り合された撚り電線の周囲にシールド層が設けられたシールド電線」といえる点で本願発明の「シールド電線」と共通する。
(4) 先願発明の「前記複数の第1電線と前記シールド電線とが撚り合わされた集合体の周囲に設けられたシース」は、上記(2)と同様に第1電線について「電気機械式ブレーキ用電源線」との特定がないものの、「前記2本の第1電線と前記シールド電線とが撚り合わされた集合体の周囲に設けられたシース」といえる点で本願発明の「シース」と共通する。
(5) 先願発明の「前記撚り電線と前記シールド層との間に充填された第1線状介在」及び「前記集合体と前記シースとの間に充填された第2線状介在」は、それぞれ、本願発明の「前記撚り電線と前記シールド層との間に充填された第1線状介在」及び「前記集合体と前記シースとの間に充填された第2線状介在」に相当する。
(6) 「前記第1線状介在の充填率が前記第2線状介在の充填率よりも高い」先願発明は、「前記第1線状介在の充填率が前記第2線状介在の充填率よりも高く」といえる点で本願発明と一致する。
(7) 一致点・相違点
以上を踏まえると本願発明と先願発明とは次の点で一致し、一応相違する。
ア 一致点
「2本の第1電線と、
2本の第2電線が撚り合された撚り電線の周囲にシールド層が設けられたシールド電線と、
前記2本の第1電源線と前記シールド電線とが撚り合わされた集合体の周囲に設けられたシースと、
前記撚り電線と前記シールド層との間に充填された第1線状介在と、
前記集合体と前記シースとの間に充填された第2線状介在と、を有し、
前記第1線状介在の充填率が前記第2線状介在の充填率よりも高い、
複合ケーブル。」
イ 一応の相違点
(ア) 一致点である「2本の第1電線」について、本願発明が「互いに接触している」「電気機械式ブレーキ用電源線」であることを特定しているのに対し、先願発明にはこのような特定が無い点。
(イ) 一致点である「2本の第2電線」について、本願発明が「互いに接触している」「電気機械式ブレーキ用信号線」であることを特定しているのに対し、先願発明にはこのような特定が無い点。
(ウ) 本願発明が「前記2本の電気機械式ブレーキ用電源線および前記シールド電線が第1方向に撚り合わされており、前記シールド電線に含まれる前記2本の電気機械式ブレーキ用信号線も前記第1方向に撚り合わされて」いる点を特定しているのに対し、先願発明は、第1電線及びシールド電線の撚り方向と、第2電線の撚り方向についての特定が無い点。
(エ) 本願発明が「前記シールド電線は、その周方向の一部が前記2本の電気機械式ブレーキ用電源線の間にある谷間に位置する状態で、前記2本の電気機械式ブレーキ用電源線とそれぞれ接触している」点を特定しているのに対し、先願発明にはこのような特定が無い点。
2 一応の相違点の検討
(1) 特許6936604号の明細書(以下「先願明細書」という。)には、下記図1に示される実施形態について、「電線集合体2を構成する第1電線20は、電気機械式ブレーキの駆動源である電気モータに電力を供給する電源線である。・・・本実施形態において、2本の第1電線20は、互いに接触している。」(段落0016)、「これら第2電線31は、電気機械式ブレーキの制御用の信号を伝送するCAN信号線である。・・・本実施形態において、2本の第2電線31は、互いに接触している。また、本実施形態において、シールド電線30は、その一部が2本の第1電線20の間にある谷間に配置されている状態で、2本の第1電線20と接触している。」(段落0017)と記載されている。
「【図1】
[図:0001400098000001.jpg]
」
そして、先願発明は、上記実施形態を排除するものではなく、むしろ、先願発明書には、かかる構成が最初の実施形態として記載されていることに鑑みれば、上記1(7)イ(ア)、(イ)、(エ)の一応の相違点は、いずれも、発明が当然に備えている構成を発明特定事項として記載しているか否かにすぎず、先願発明は、上記1(7)イ(ア)、(イ)、(エ)の一応の相違点に係る本願発明の構成を含むものといえるから、これらの一応の相違点は相違ではない。
(2) 第2電線の撚り方向は、第1電線及びシールド電線の撚り方向と同じ方向又は逆方向のいずれかでしかないところ、先願明細書には、第2電線の撚り方向を特定する記載はないから、先願発明は、上記1(7)イ(ウ)の一応の相違点に係る本願発明の構成を概念的に含んでいるので、上記1(7)イ(ウ)の一応の相違点は相違ではない。
3 結論
以上のとおり、本願発明は先願発明と相違せず、同一であるから、令和5年2月1日付けで、当審において通知した拒絶の理由を解消していない。
4 請求人の主張について
(1) 請求人の主張
請求人は、令和5年4月11日提出の意見書(以下「意見書」という。)で、当審における拒絶の理由1について次の主張をした。
「(3)本願の請求項1に係る発明が拒絶理由1(先願)を解消していることについて 本願の請求項1に係る発明は、引用文献3の請求項1に係る発明(先願発明)には記載されていない、
「互いに接触している2本の電気機械式ブレーキ用電源線と、」という発明特定事項A、「互いに接触している2本の電気機械式ブレーキ用信号線が撚り合された撚り電線の周囲にシールド層が設けられたシールド電線と、」という発明特定事項B、及び、
「前記シールド電線は、その周方向の一部が前記2本の電気機械式ブレーキ用電源線の間にある谷間に位置する状態で、前記2本の電気機械式ブレーキ用電源線とそれぞれ接触している」という発明特定事項C、
を有します。
よって、本願の請求項1に係る発明は、先願発明と同一ではありませんので、特許法第39条第1項の規定により特許を受けることができない発明ではなく、拒絶理由1は解消したものと思料致します。」(意見書2ページ29~41行)
(2) 請求人の主張の検討
上記2(2)のとおり、請求人が主張する発明特定事項A、B、Cはいずれも先願発明に含まれ、相違点とならないから、請求人の主張は採用できない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第39条第1項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
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