商標拒絶査定不服審判
2022-008899
ピルテーキシンサツ
- 審判番号
- 2022-008899
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-145054
- 請求日
- 2022年06月09日
- 審決日
- 2023年02月13日
- 公報発行日
- 2023年04月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社Linc’well
- 【請求人代理人】亀卦川 巧
- 【請求人代理人】木下 洋平
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 山根 まり子
- 分類
- T18 .13 -Z (W3542)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-145054拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年11月24日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年9月30日付け:拒絶理由通知書
令和3年12月10日受付:意見書
令和4年3月8日付け:拒絶査定
令和4年6月9日受付:審判請求書
第2 本願商標
本願商標は、「ピル定期診察」の文字を標準文字で表してなり、第35類及び第42類に属する別掲1のとおりの役務を指定役務として、登録出願されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「ピル定期診察」の文字を標準文字で表してなり、近年、「ピル診察」や「ピル診療」の文字が、ピル(経口避妊薬)を処方するのに必要な診察、診療ほどの意味で使用されている実情があるところ、本願商標は、全体として「経口避妊薬の処方に必要な定まった期間ごとの診察」ほどの意味合いを容易に理解、認識させるものである。そして、「ピル診察」や「ピル診療」がオンラインで行われている実情が確認できる。そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する需要者は、「経口避妊薬の処方に必要な定まった期間ごとの診察に関する役務」であることを認識するにとどまるから、本願商標は、単に役務の内容、用途、質等を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号の該当性について
本願商標は、「ピル定期診察」の文字を標準文字で表してなり、その構成は、「ピル」、「定期」及び「診察」の文字を横一連に結合したものと容易に認識できるものである。
そして、本願商標の構成中、「定期」の文字は「期間・期限があらかじめ定まっていること。」の意味を、「診察」の文字は「医者が病状を判断するため、患者に質問したり体を調べたりすること。」の意味をそれぞれ有し一般的に親しまれている語であるところ、これらを結合した「定期診察」の文字も、「定まった期間ごとに、医師が患者を診察する」や「定期的な診察」程度の意味合いにて広く使用されているものである(大辞林第四版(株式会社三省堂) 「定期」及び「診察」の項)。
また、本願商標の構成中、「ピル」の文字は、「経口避妊薬の俗称」であって(前掲書 「ピル」の項)、医薬品の名称として使用されているものである(別掲3)。
そうすると、本願商標は、全体として「ピル(経口避妊薬)の処方に必要な定まった期間ごとの診察」や「ピル(経口避妊薬)の処方に必要な定期的な診察」程度の意味合いを容易に理解、認識させるものであり、具体的な医師の行為の一種を表したものとして看取されるものである。
ところで、「診察」や「診療」の語は、医師が、例えば、AGA(男性型脱毛症)や月経痛などの患者が訴える症状等(以下「症状等」という。)を判断する際に使用されるものである一方、本願商標の構成中、「ピル」の文字は、医薬品の名称であり、症状等に当たるものではないところ、医師による「診察」や「診療」において、患者がどのような症状等であるのかが判断され、その症状等に応じた「処方」がなされることから、「診察」や「診療」と、「処方」は、共に医師による連続した行為であり、関連性が高いものである。
そして、近年は、医療機関の広告のためのウェブサイトや、医療情報の提供をする等において、例えば、「ピル診察」や「ピル診療」の語の使用例があるように、病気、疾患の症状の種類を示す文字を省略し、当該症状等に応じた医薬品に当たる文字と共に、診察において当該医薬品を処方することを表すものとして使用されている場合があることがうかがえる(別掲3)。
また、本願商標を構成する各文字(ピル、定期診察、診察等)は、主として、医業の分野における、医療機関の広告のためのウェブサイトや、医療情報の提供をする等に使用されている。
その一方、近年は、同分野の各種診療、診察や処方(以下「診察等」という。)などの医師の行為を行うに際し、その手段として、スマートフォン(略称「スマホ」)やパーソナルコンピュータ(略称「パソコン」)などを通じたインターネット、オンラインの技術が、医師や医療機関において採用され、当該診察等を目的とするソフトウェア(スマートフォン用のアプリ(アプリケーションソフトウェアの略)も含む)の設計、開発がなされている実情があり、これらは、コンピュータソフトウェア、電子計算機用プログラム等のIT分野など、医業とは異なる分野で提供される役務である(別掲2)。
そして、同様に、例えば、医療保険(傷害や病気などに対し、医療の保障または医療費の負担を主目的とする社会保険)を提供する役務や、大学の医学部の教育課程において、医療(診察等)に係る知識を教授する役務も、医業と関連性のある事項をその対象とするものの、医業とは異なる、保険又は教育の分野におけるものである。
してみれば、診察等は、医師の行為であり、医業の分野において提供される役務であるものの、異なる分野(例えば、IT、保険、教育の分野など)においても、関連性のある役務の提供がなされているから、本願商標のように、具体的な医師の行為の一種を表したものとして看取される語から構成されるものは、必ずしも医業の分野のみにおいて、提供される役務の特徴等を表示する語にとどまるとはいえないものである。
以上を踏まえると、本願商標は、これをその指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者に、「ピル(経口避妊薬)の処方に必要な定まった期間ごとの診察に関する役務」や「ピル(経口避妊薬)の処方に必要な定期的な診察に関する役務」(例えば、「ピル(経口避妊薬)の処方に必要な定期的な診察についての広告」、「ピル(経口避妊薬)の処方に必要な定期的な診察に用いるコンピュータソフトウェアの設計」)であること、すなわち、役務の特徴、用途、質を表示記述するものとして認識されるにすぎないものであり、かつ、本願商標は、普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、自他役務の識別標識としては認識し得ないものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 請求人の主張について
請求人は、(1)原審で挙げられた各文字の使用例はいずれも医業に係るものであり、第35類と第42類に属する本願指定役務に係るものではないから、本願指定役務の業界において、本願商標が使用されていることを示すものではないこと、(2)本願商標から、仮に「経口避妊薬の処方に必要な定まった期間ごとの診察に関する役務」であることを認識した場合、本願商標は、医業ではない本願指定役務の質、特徴等を間接的に表示するものになり得たとしても、質等を直接的、具体的に表示するものではないこと、(3)本願指定役務の提供に際し、「ピル定期診察」という語が有用又は不可欠な手段として機能するものではないことは明らかであり、別の語を採用する余地は限りなくあるから、本願商標について、請求人に独占的な使用を認めたとしても、公益を害しないことは明らかであること、(4)「診察」の語は、通常、薬剤ではなく人や動物を目的語とするものであり、需要者等が、本願商標の構成文字から理解し得る「ピルを定期的に診察する」等が意味する内容は不明であるから、本願商標は、本願指定役務との関係において、役務の質等を直接的、具体的に表示するものとはいえないこと等を述べ、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない旨を主張している。
しかしながら、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、本件審判の審決時において、本願商標がその指定役務との関係で役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の指定役務に係る事業の取引者、需要者によって本願商標がその指定役務に使用された場合に、将来を含め、役務の特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足り、それが取引上現実に使用されていた事実があることまで必要とするものではない。
そして、本願商標は、全体として「ピル(経口避妊薬)の処方に必要な定まった期間ごとの診察」や「ピル(経口避妊薬)の処方に必要な定期的な診察」といった具体的な医師の行為の一種を表したものとして看取されるところ、例え、原審で挙げた使用例が、医業に関するものであり、本願指定役務と異なる分野のものであるとしても、上記1のとおり、医業とは異なる分野(例えば、IT、保険、教育の分野など)において、関連性のある役務の提供がされていること等も、本願指定役務との関係において、本願商標に接する取引者、需要者が、これをどのように認識するかを推し量る上で考慮されて然るべきである。
また、医師による診察や診療において、患者がどのような症状等であるのかが判断され、その症状等に応じた処方がなされることから、診察や診療と、処方は、共に医師による連続した行為であって、関連性が高いものであり、例えば、ピル診察やピル診療の語の使用例があるように、病気、疾患の症状の種類を示す文字を省略し、当該症状等に応じた医薬品に当たる文字と共に、診察において当該医薬品を処方することを表すものとして使用されている場合があることがうかがえる。
そうすると、本願商標は、これをその指定役務に使用しても、「ピル(経口避妊薬)の処方に必要な定まった期間ごとの診察」や「ピル(経口避妊薬)の処方に必要な定期的な診察」といった具体的な医師の行為の一種が、それら広告やソフトウェアの設計等の役務の特徴、用途、質であることを直接的かつ具体的に表示されたものと、これに接する取引者、需要者に認識されるものであり、役務の質等を間接的に表示するにすぎないものとはいえず、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものと認められるから、特定人によるその独占使用を認めるのは適当ではないとともに、自他役務の識別力を欠くものというべきである。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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