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特許拒絶査定不服審判

2022-008685

ピクセル構造およびその表示方法、表示装置

審判番号
2022-008685
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-147610
請求日
2022年06月07日
審決日
2023年04月17日
公報発行日
2023年10月27日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
  • 【請求人代理人】村山 靖彦
  • 【請求人代理人】実広 信哉
審判長/審判官
  • 審判長 中塚 直樹
  • 審判官 波多江 進
  • 審判官 後藤 慎平
分類
P18 .572-Z (G09F) / P18 .113-Z (G09F) / P18 .121-Z (G09F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第44条、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-147610「ピクセル構造およびその表示方法、表示装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年12月10日出願公開、特開2020-197752〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 1 分割出願の経緯の概略 本願は、令和2年9月2日にされた特許法44条1項の規定による特許出願であって、2015年(平成27年)1月20日を国際出願日とする特願2017-536995号(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年9月30日、中国)を最先の出願とする、いわゆる第2世代の分割出願であるところ、出願の分割の経緯は、次のとおりである。なお、括弧内は当該出願の出願日を示す。 最先の出願 :特願2017-536995号(平成27年 1月20日) 第1世代分割:特願2019- 39640号(平成31年 3月 5日) 本願 :特願2020-147610号(令和 2年 9月 2日) 2 本願の手続の経緯の概略 本願の出願後の手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和2年 9月 3日 :翻訳文の提出 令和3年 7月21日付け:拒絶理由通知書 同年11月 2日 :意見書、手続補正書の提出 令和4年 1月25日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同年 2月 7日 :原査定の謄本の送達) 同年 6月 7日 :審判請求書、手続補正書の提出 同年 7月19日付け:前置報告書 同年 8月 4日 :上申書の提出 同年11月 1日 :上申書の提出 第2 令和4年6月7日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和4年6月7日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 本件補正の内容 令和4年6月7日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について補正をするものであって、本件補正前(令和3年11月2日にされた手続補正後をいう。)の特許請求の範囲の請求項1及び本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、それぞれ次の(1)及び(2)に示すとおりである(下線は補正箇所を示す。)。 (1) 本件補正前 「 【請求項1】 順に交互に配列され、かつ行方向および列方向において交互に配列された複数の第1ピクセル単位と複数の第2ピクセル単位とを含むピクセル構造であって、前記ピクセル構造の縁に位置する第1ピクセル単位および第2ピクセル単位のほか、各第1ピクセル単位は4つの第2ピクセル単位と隣り合い、各第2ピクセル単位は4つの第1ピクセル単位と隣り合い、前記第1ピクセル単位は前記行方向または前記列方向に対して斜線に配列された第1サブピクセルと第2サブピクセルとを含み、前記第2ピクセル単位は前記斜線に沿って配列された第3サブピクセルと第4サブピクセルとを含み、前記第1サブピクセルと前記第3サブピクセルは異なる基本色を備え、前記第2サブピクセルと前記第4サブピクセルは同一の基本色を備え、 前記第1サブピクセルは赤色サブピクセルであり、前記第3サブピクセルは青色サブピクセルであり、前記第2サブピクセルおよび前記第4サブピクセルの各々は緑色サブピクセルであり、 前記第2サブピクセルの面積は前記第4サブピクセルの面積と基本的に同一であり、前記第1サブピクセルの面積は前記第2サブピクセルの面積より大きく、前記第3サブピクセルの面積は前記第2サブピクセルの面積より大きく、 前記第1サブピクセルは第1対称軸を有し、第2サブピクセルは第2対称軸を有し、第3サブピクセルは第3対称軸を有し、第4サブピクセルは第4対称軸を有し、前記第1対称軸、前記第2対称軸、前記第3対称軸および前記第4対称軸は、同一方向に沿って延伸し、 前記緑色サブピクセルの形状は、菱形および円形から選ばれ、 前記緑色サブピクセルの形状は第1接続線に対して対称であり、前記第1接続線は前記斜線に沿って配列された2つの隣り合う赤色サブピクセルの中心を接続し、前記緑色サブピクセルの形状は第2接続線に対しても対称であり、前記第2接続線は前記第1接続線に垂直であるとともに2つの隣り合う青色サブピクセルの中心を接続する、ピクセル構造。」 (2) 本件補正後 「 【請求項1】 順に交互に配列され、かつ行方向および列方向において交互に配列された複数の第1ピクセル単位と複数の第2ピクセル単位とを含むピクセル構造であって、前記ピクセル構造の縁に位置する第1ピクセル単位および第2ピクセル単位のほか、各第1ピクセル単位は4つの第2ピクセル単位と隣り合い、各第2ピクセル単位は4つの第1ピクセル単位と隣り合い、前記第1ピクセル単位は前記行方向または前記列方向に対して斜線に配列された第1サブピクセルと第2サブピクセルとを含み、前記第2ピクセル単位は前記斜線に沿って配列された第3サブピクセルと第4サブピクセルとを含み、前記第1サブピクセルと前記第3サブピクセルは異なる基本色を備え、前記第2サブピクセルと前記第4サブピクセルは同一の基本色を備え、 前記第1サブピクセルは赤色サブピクセルであり、前記第3サブピクセルは青色サブピクセルであり、前記第2サブピクセルおよび前記第4サブピクセルの各々は緑色サブピクセルであり、 前記第2サブピクセルの面積は前記第4サブピクセルの面積と基本的に同一であり、前記第1サブピクセルの面積は前記第2サブピクセルの面積より大きく、前記第3サブピクセルの面積は前記第2サブピクセルの面積より大きく、 前記第1サブピクセルは第1対称軸を有し、第2サブピクセルは第2対称軸を有し、第3サブピクセルは第3対称軸を有し、第4サブピクセルは第4対称軸を有し、前記第1対称軸、前記第2対称軸、前記第3対称軸および前記第4対称軸は、同一方向に沿って延伸し、それぞれ前記第1サブピクセル、前記第2サブピクセル、前記第3サブピクセルおよび前記第4サブピクセルの対角線であり、 前記緑色サブピクセルの形状は、菱形および円形から選ばれ、 前記緑色サブピクセルの形状は第1接続線に対して対称であり、前記第1接続線は前記斜線に沿って配列された2つの隣り合う赤色サブピクセルの中心を接続し、前記緑色サブピクセルの形状は第2接続線に対しても対称であり、前記第2接続線は前記第1接続線に垂直であるとともに2つの隣り合う青色サブピクセルの中心を接続し、 表示装置において、各ピクセル単位は、右側もしくは左側の隣り合うピクセル単位のサブピクセルまたは上方もしくは下方の隣り合うピクセル単位のサブピクセルをさらに借用して三原色の表示を実現し、前記第1ピクセル単位は、隣り合う第2ピクセル単位における第3サブピクセルをさらに借用し、前記第2ピクセル単位は、隣り合う第1ピクセル単位における第1サブピクセルをさらに借用し、簡単なピクセルシェア算出方法によって、二つのサブピクセルを各々が有する第1および第2ピクセル単位の三原色の表示を実現し、前記第1サブピクセルおよび前記第3サブピクセルの理論的輝度値とは、前記第1サブピクセルおよび前記第3サブピクセルの基本色に対応する色の輝度値を指し、前記第1サブピクセルの実際の輝度値を、前記第1ピクセル単位が必要とする前記第1サブピクセルに対応する基本色の理論的輝度値と、それが隣り合う、少なくとも一つの第2ピクセル単位が必要とする、前記第1サブピクセルに対応する基本色の理論的輝度値との重み付け総和として設定し、前記第3サブピクセルの実際の輝度値を、前記第2ピクセル単位が必要とする前記第3サブピクセルに対応する基本色の理論的輝度値と、それが隣り合う、少なくとも一つの第1ピクセル単位が必要とする、前記第3サブピクセルに対応する基本色の理論的輝度値との重み付け総和として設定する、ピクセル構造。」 2 本件補正の適否についての当審の判断 (1) 本件補正の目的について ア 本件補正で請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1に次の2つの発明特定事項を追加するものである。 (ア) 「それぞれ前記第1サブピクセル、前記第2サブピクセル、前記第3サブピクセルおよび前記第4サブピクセルの対角線であり」 (イ) 「表示装置において、各ピクセル単位は、右側もしくは左側の隣り合うピクセル単位のサブピクセルまたは上方もしくは下方の隣り合うピクセル単位のサブピクセルをさらに借用して三原色の表示を実現し、前記第1ピクセル単位は、隣り合う第2ピクセル単位における第3サブピクセルをさらに借用し、前記第2ピクセル単位は、隣り合う第1ピクセル単位における第1サブピクセルをさらに借用し、簡単なピクセルシェア算出方法によって、二つのサブピクセルを各々が有する第1および第2ピクセル単位の三原色の表示を実現し、前記第1サブピクセルおよび前記第3サブピクセルの理論的輝度値とは、前記第1サブピクセルおよび前記第3サブピクセルの基本色に対応する色の輝度値を指し、前記第1サブピクセルの実際の輝度値を、前記第1ピクセル単位が必要とする前記第1サブピクセルに対応する基本色の理論的輝度値と、それが隣り合う、少なくとも一つの第2ピクセル単位が必要とする、前記第1サブピクセルに対応する基本色の理論的輝度値との重み付け総和として設定し、前記第3サブピクセルの実際の輝度値を、前記第2ピクセル単位が必要とする前記第3サブピクセルに対応する基本色の理論的輝度値と、それが隣り合う、少なくとも一つの第1ピクセル単位が必要とする、前記第3サブピクセルに対応する基本色の理論的輝度値との重み付け総和として設定する」 イ 以下、前記ア(イ)の発明特定事項を追加する補正の目的について検討する。 (ア) 前記ア(イ)の発明特定事項は、「表示装置において」「三原色の表示を実現」するための「ピクセルシェア算出方法」を特定するものであるところ、本件補正前の請求項1に係る発明は「ピクセル構造」であって、「表示装置」や「ピクセルシェア算出方法」を発明特定事項とするものではないから、前記ア(イ)の発明特定事項を追加する補正は、本件補正前の請求項1に係る発明の発明特定事項を限定するものとは認められない。 (イ)a また、前記(ア)のとおり本件補正前の請求項1に係る発明は「ピクセル構造」という物の発明であるところ、前記ア(イ)の発明特定事項は表示装置の表示方法又はピクセル構造の表示方法を特定するものである。このことは、前記ア(イ)の発明特定事項における実際の輝度値を2つの理論的輝度値の重み付け総和として設定するとの特定が、本件補正前の「ピクセル構造」の発明である請求項1-10及び「表示装置」の発明である請求項15-16では特定されておらず、「ピクセル構造の表示方法」の発明である請求項11-14の一部である請求項12-14において特定されていることからも裏付けられる。 b そして、前記ア(イ)の発明特定事項により表示装置又はピクセル構造の表示方法を特定することによっては、物の発明としてのピクセル構造が実質的に特定されるとは認められない。この観点からみても、前記ア(イ)の発明特定事項を追加する補正は、本件補正前の請求項1に係る発明である「ピクセル構造」の発明特定事項を限定するものとは認められない。 ウ そうすると、本件補正で請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1に係る発明の発明特定事項を限定するものではない補正を含むものであり、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮、すなわち、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とする補正には該当しない。 エ また、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、請求項の削除、誤記の訂正又は明瞭でない記載の釈明のいずれを目的とするものにも該当しない。 オ したがって、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法17条の2第5項各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しない。 (2) 本件補正の適否についての当審の判断のまとめ 前記(1)に示したとおり、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法17条の2第5項各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しないから、本件補正は、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 原査定における拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての理由1(新規性の欠如)、理由2(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。 理由1 (新規性の欠如) 本願発明は、本願の優先日前に発行された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。 理由2 (進歩性の欠如) 本願発明は、本願の優先日前に発行された下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 1.米国特許出願公開第2014/0252321号明細書 3 当審の判断 (1) 引用文献1に記載された事項及び引用発明等の認定 ア 引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に発行された前記引用文献1には、以下の事項が記載されている。()内の翻訳は当合議体によるもので、下線は当合議体が付したものである。 (ア) [0002]-[0003] 「[0002] 1. Field」 (1. 発明の分野) 「[0003] Aspects of embodiments of the present invention relate to an organic light-emitting display device.」 (本発明の実施形態の側面は、有機発光表示装置に関するものである。) (イ) [0051]-[0064] 「[0051] Referring to FIG. 2, the plurality of pixel regions PA of the organic light-emitting display device 1 include a plurality of first pixels 100, a plurality of second pixels 200, and a plurality of third pixels 300.」 (図2を参照すると、有機発光表示装置1の複数の画素領域PAは、複数の第1画素100、複数の第2画素200、および複数の第3画素300を含む。) 「[0052] Each of the first pixels 100 may have a smaller area than adjacent second and third pixels 200 and 300, and may have a polygonal shape, for example, a rectangular (or substantially rectangular) shape. In this specification, a polygonal shape and a rectangular shape include a shape having rounded corners. That is, the first pixels 100 may have a rectangular shape having rounded corners. The plurality of first pixels 100 may have the same rectangular shape. The first pixels 100 are spaced apart from each other and are aligned in a first virtual line VL1. The first pixels 100 may emit green light and may include an organic emission layer for emitting green light.」 (第1画素100の各々は、隣接する第2画素200及び第3画素300よりも小さい面積を有していてもよく、多角形の形状、例えば矩形(又は実質的に矩形)形状を有していてもよい。本明細書において、多角形形状及び矩形形状は、角丸を有する形状を含む。すなわち、第1画素100は、角が丸められた矩形形状を有していてもよい。また、複数の第1画素100は、同じ矩形形状を有していてもよい。第1画素100は、互いに間隔をあけて、第1仮想線VL1に整列される。第1画素100は、緑色光を放出してもよく、緑色光を放出するための有機発光層を含んでもよい。) 「[0053] The second pixels 200 are located to have centers at first corners P1 of a virtual rectangle VS having a center corresponding to the center of the first pixel 100, and the third pixels 300 are located to have centers at second corners P2 of the virtual rectangle VS. The virtual rectangle VS may be a square.」 (第2画素200は、第1画素100の中心に対応する中心を有する仮想矩形VSの第1角P1に中心を有するように配置され、第3画素300は、仮想矩形VSの第2角P2に中心を有するように配置される。仮想矩形VSは、正方形であってもよい。) 「[0054] The second pixels 200 are spaced apart from the first pixels 100 and have centers corresponding to the first corners P1 of the virtual rectangle VS. Each of the second pixels 200 may have a larger area than adjacent first pixels 100, and may have a polygonal shape, for example, a rectangular shape. The plurality of second pixels 200 may have the same rectangular shape. The second pixels 200 are spaced apart from each other with respect to the first pixels 100. The second pixels 200 may emit blue light and may include an organic emission layer for emitting blue light.」 (第2画素200は、第1画素100から間隔をあけて配置され、仮想矩形VSの第1角P1に対応する中心を有する。第2画素200の各々は、隣接する第1画素100よりも大きな面積を有し、多角形の形状、例えば、矩形形状を有してもよい。複数の第2画素200は、同じ矩形形状を有してもよい。第2画素200は、第1画素100に対して互いに間隔をあけて配置される。第2画素200は、青色光を放出してもよく、青色光を放出するための有機発光層を含んでもよい。) 「[0055] The third pixels 300 are spaced apart from the first pixels 100 and the second pixels 200 and have centers corresponding to the second corners P2 adjacent to the first corners P1 of the virtual rectangle VS. Each of the third pixels 300 may have a larger area than adjacent first pixels 100. In addition, each of the third pixels 300 may have the same area as each of the second pixels 200, and may have a polygonal shape, for example, a rectangular shape. The plurality of third pixels 300 may have the same rectangular shape. The third pixels 300 are spaced apart from each other with respect to the first pixels 100. The third pixels 300 may emit red light and may include an organic emission layer for emitting red light.」 (第3画素300は、第1画素100及び第2画素200から間隔をあけて配置され、仮想矩形VSの第1角P1に隣接する第2角P2に対応する中心を有している。第3画素300の各々は、隣接する第1画素100よりも大きな面積を有していてもよい。さらに、第3画素300の各々は、第2画素200の各々と同じ面積を有してもよく、多角形の形状、例えば、矩形形状を有してもよい。複数の第3画素300は、同じ矩形形状を有してもよい。第3画素300は、第1画素100に対して互いに間隔をあけて配置される。第3画素300は、赤色光を放出してもよく、赤色光を放出するための有機発光層を含んでもよい。) 「[0056] The second and third pixels 200 and 300 are alternately aligned on a second virtual line VL2, and thus the second pixels 200 having centers corresponding to the first corners P1 and the third pixels 300 having centers corresponding to the second corners P2 surround the first pixels 100.」 (第2画素200と第3画素300は、第2仮想線VL2上に交互に配置されているため、第1角部P1に対応する中心を有する第2画素200と第2角部P2に対応する中心を有する第3画素300が第1画素100を囲む。) 「[0057] The above-described pixel alignment may form gaps having a first length L1 between second and third pixels 200 and 300, and a second length L2 between the first and second pixels 100 and 200, and between the first and third pixels 100 and 300, and may form a gap having a third length L3 greater than the first length L1 or the second length L2 between adjacent first pixels 100.」 (上記画素配列は、第2画素200と第3画素300との間に第1長さL1を有する間隙を形成し、第1画素100と第2画素200との間、及び第1画素100と第3画素300との間に第2長さL2を有し、隣接する第1画素100間に第1長さL1又は第2長さL2よりも大きい第3長さL3を有する間隙を形成しても良い。) 「[0058] Accordingly, in a deposition process using a fine metal mask (FMM) and for forming each of the organic emission layer for emitting green light, the organic emission layer for emitting blue light, and the organic emission layer for emitting red light, which are respectively included in the first, second, and third pixels 100, 200, and 300, the reliability of deposition may be improved.」 (したがって、FMM(Fine Metal Mask)を用い、第1画素100、第2画素200、第3画素300にそれぞれ含まれる緑色光を発光する有機発光層、青色光を発光する有機発光層、赤色光を発光する有機発光層のそれぞれを形成する蒸着工程においては、蒸着の信頼性を向上させることができる。) 「[0059] In addition, since the second and third pixels 200 and 300 are aligned to surround the first pixels 100, an aperture ratio of each of the first, second, and third pixels 100, 200, and 300 may be improved. As such, a manufacturing time and a manufacturing cost of the organic light-emitting display device 1 may be reduced and the quality of an image displayed by the organic light-emitting display device 1 may be improved.」 (また、第2画素200及び第3画素300が第1画素100を囲むように配置されているため、第1画素100、第2画素200及び第3画素300の各々の開口率を向上させることができる。そのため、有機発光表示装置1の製造時間および製造コストを低減することができ、有機発光表示装置1が表示する画像の品質を向上させることができる。) (ウ) FIG.1-FIG.2 「 [図:0001402277000001.jpg] 」 イ 引用文献1から読み取れる事項の認定 前記ア(ウ)で摘記した引用文献1のFIG.2から、次の事項が読み取れる。 (ア) 第1仮想線VL1及び第2仮想線VL2は行方向に延びる線であること。 (イ) 第2画素200と第3画素300は、第2仮想線VL2に直交する列方向に延びる線上に交互に配置されること。 (ウ) 正方形である仮想矩形VSの辺は、行方向及び列方向に延びること。 (エ) 第1画素100、第2画素200、及び第3画素300の各々は、正方形が角丸を有する形状であること。 (オ) 第1画素100、第2画素200、及び第3画素300の各々は、2つの対角線がそれぞれ行方向及び列方向に延びること。 ウ 引用発明の認定 前記アに摘記した引用文献1の記載事項及び前記イにおいて認定した事項を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「複数の第1画素100、複数の第2画素200、及び複数の第3画素300を含む有機発光表示装置1の複数の画素領域PAであって、([0051]) 第1画素100の各々は、隣接する第2画素200及び第3画素300よりも小さい面積を有し、複数の第1画素100は、同じ矩形形状を有しており、第1画素100は、互いに間隔をあけて、第1仮想線VL1に整列され、第1画素100は、緑色光を放出し、([0052]) 第2画素200は、第1画素100の中心に対応する中心を有する仮想矩形VSの第1角P1に中心を有するように配置され、第3画素300は、仮想矩形VSの第2角P2に中心を有するように配置され、仮想矩形VSは、正方形であり、([0053]) 第2画素200は、第1画素100から間隔をあけて配置され、仮想矩形VSの第1角P1に対応する中心を有し、第2画素200の各々は、隣接する第1画素100よりも大きな面積を有し、複数の第2画素200は、同じ矩形形状を有し、第2画素200は、青色光を放出し([0054]) 第3画素300は、第1画素100及び第2画素200から間隔をあけて配置され、仮想矩形VSの第1角P1に隣接する第2角P2に対応する中心を有しており、第3画素300の各々は、隣接する第1画素100よりも大きな面積を有しており、第3画素300の各々は、第2画素200の各々と同じ面積を有しており、複数の第3画素300は、同じ矩形形状を有しており、第3画素300は、赤色光を放出し、([0055]) 第2画素200と第3画素300は、第2仮想線VL2上に交互に配置され、第1角部P1に対応する中心を有する第2画素200と第2角部P2に対応する中心を有する第3画素300が第1画素100を囲み、([0056]) 第1仮想線VL1及び第2仮想線VL2は行方向に延びる線であり、(前記イ(ア)の認定事項) 第2画素200と第3画素300は、第2仮想線VL2に直交する列方向に延びる線上に交互に配置され、(前記イ(イ)の認定事項) 正方形である仮想矩形VSの辺は、行方向及び列方向に延び、(前記イ(ウ)の認定事項) 第1画素100、第2画素200、及び第3画素300の各々は、正方形が角丸を有する形状であり、(前記イ(エ)の認定事項) 第1画素100、第2画素200、及び第3画素300の各々は、2つの対角線がそれぞれ行方向及び列方向に延び、(前記イ(オ)の認定事項) 画素配列は、第2画素200と第3画素300との間に第1長さL1を有する間隙を形成し、第1画素100と第2画素200との間、及び第1画素100と第3画素300との間に第2長さL2を有し、隣接する第1画素100間に第1長さL1又は第2長さL2よりも大きい第3長さL3を有する間隙を形成し、([0057]) したがって、FMM(Fine Metal Mask)を用い、第1画素100、第2画素200、第3画素300にそれぞれ含まれる緑色光を発光する有機発光層、青色光を発光する有機発光層、赤色光を発光する有機発光層のそれぞれを形成する蒸着工程においては、蒸着の信頼性を向上させることができ、([0058]) また、第2画素200及び第3画素300が第1画素100を囲むように配置されているため、第1画素100、第2画素200及び第3画素300の各々の開口率を向上させることができ、そのため、有機発光表示装置1の製造時間および製造コストを低減することができ、有機発光表示装置1が表示する画像の品質を向上させることができる、([0059]) 複数の画素領域PA。」 (2) 対比 ア 対比分析 本願発明と引用発明を対比する。 (ア)a 引用発明は、「第1画素100は、互いに間隔をあけて、第1仮想線VL1に整列され」、「第2画素200は、第1画素100の中心に対応する中心を有する仮想矩形VSの第1角P1に中心を有するように配置され、第3画素300は、仮想矩形VSの第2角P2に中心を有するように配置され、仮想矩形VSは、正方形であり」、「第2画素200と第3画素300は、第2仮想線VL2上に交互に配置され、第1角部P1に対応する中心を有する第2画素200と第2角部P2に対応する中心を有する第3画素300が第1画素100を囲み」、「第1仮想線及び第2仮想線は行方向に延びる線であり」、「第2画素200と第3画素300は、第2仮想線VL2に直交する列方向に延びる線上に交互に配置され」「正方形である仮想矩形VSの辺は、行方向及び列方向に延び[る]」ものである。 b 引用発明の前記aの構成を総合すると、引用発明の第3画素300と第1画素100の複数の組が本願発明の「複数の第1ピクセル単位」に相当し、引用発明の第2画素200と第1画素100の複数の組が本願発明の「複数の第2ピクセル単位」に相当するということができる。 c このとき、引用発明における第3画素300と第1画素100の複数の組と、第2画素200と第1画素100の複数の組は、本願発明と同様に、「順に交互に配列され、かつ行方向および列方向において交互に配列された」ものとなる。 d 引用発明の「複数の第1画素100、複数の第2画素200、及び複数の第3画素300を含む」「複数の画素領域PA」は、本願発明の「ピクセル構造」に相当する。 e 前記b~dをまとめると、本願発明と引用発明は、「順に交互に配列され、かつ行方向および列方向において交互に配列された複数の第1ピクセル単位と複数の第2ピクセル単位とを含むピクセル構造であ[る]」点で一致する。 (イ)a 引用発明の前記(ア)aの構成を総合すると、引用発明の第3画素300と第1画素100の複数の組及び第2画素200と第1画素100の複数の組は、複数の画素領域の縁に位置するものを除いて、第3画素300と第1画素100の各組は四つの第2画素200と第1画素100の組と隣り合い、第2画素200と第1画素100の各組は四つの第3画素300と第1画素100の組と隣り合うこととなる。 b したがって、本願発明と引用発明は、「前記ピクセル構造の縁に位置する第1ピクセル単位および第2ピクセル単位のほか、各第1ピクセル単位は4つの第2ピクセル単位と隣り合い、各第2ピクセル単位は4つの第1ピクセル単位と隣り合[う]」点で一致する。 (ウ)a 引用発明の前記(ア)aの構成を総合すると、引用発明の第3画素300と第1画素100は行方向及び列方向に対して斜線に配置され、第2画素200と第1画素100もまた行方向及び列方向に対して斜線に配置されることとなる。 b このとき、引用発明の「第3画素300」が本願発明の「第1サブピクセル」に相当し、以下同様に、「第2画素200」が「第3サブピクセル」に相当し、第3画素300と組を構成する「第1画素100」が「第2サブピクセル」に相当し、第2画素200と組を構成する「第1画素100」が「第4サブピクセル」に相当する。 c したがって、本願発明と引用発明は、「前記第1ピクセル単位は前記行方向または前記列方向に対して斜線に配列された第1サブピクセルと第2サブピクセルとを含み、前記第2ピクセル単位は前記斜線に沿って配列された第3サブピクセルと第4サブピクセルとを含[む]」点で一致する。 (エ)a 前記(ウ)bを踏まえると、引用発明の「第3画素300は、赤色光を放出[する]」ことは、本願発明の「前記第1サブピクセルは赤色サブピクセルであ[る]」ことに相当する。 b 前記(ウ)bを踏まえると、引用発明の「第2画素200は、青色光を放出[する]」ことは、本願発明の「前記第3サブピクセルは青色サブピクセルであ[る]」ことに相当する。 c 前記(ウ)bを踏まえると、引用発明の「第1画素100は、緑色光を放出[する]」ことは、本願発明の「前記第2サブピクセルおよび前記第4サブピクセルの各々は緑色サブピクセルであ[る]」ことに相当する。 d 前記a~cから、引用発明が、本願発明の「前記第1サブピクセルと前記第3サブピクセルは異なる基本色を備え、前記第2サブピクセルと前記第4サブピクセルは同一の基本色を備え」との構成を備えることは自明である。 e 前記a~dをまとめると、本願発明と引用発明は、「前記第1サブピクセルと前記第3サブピクセルは異なる基本色を備え、前記第2サブピクセルと前記第4サブピクセルは同一の基本色を備え、前記第1サブピクセルは赤色サブピクセルであり、前記第3サブピクセルは青色サブピクセルであり、前記第2サブピクセルおよび前記第4サブピクセルの各々は緑色サブピクセルであ[る]」点で一致する。 (オ)a 引用発明の「第1画素100の各々は…同じ矩形形状を有して[いる]ことは、前記(ウ)bを踏まえると、本願発明の「前記第2サブピクセルの面積は前記第4サブピクセルの面積と基本的に同一であ[る]」ことに相当する。 b 引用発明の「第3画素300の各々は、隣接する第1画素100よりも大きな面積を有して[いる]」ことは、前記(ウ)bを踏まえると、本願発明の「前記第1サブピクセルの面積は前記第2サブピクセルの面積より大き[い]」ことに相当する。 c 引用発明の「第2画素200の各々は、隣接する第1画素100よりも大きな面積を有し[ている]」は、前記(ウ)bを踏まえると、本願発明の「「前記第3サブピクセルの面積は前記第2サブピクセルの面積より大き[い]」こと」に相当する。 d 前記a~cをまとめると、本願発明と引用発明は、「前記第2サブピクセルの面積は前記第4サブピクセルの面積と基本的に同一であり、前記第1サブピクセルの面積は前記第2サブピクセルの面積より大きく、前記第3サブピクセルの面積は前記第2サブピクセルの面積より大き[い]」点で一致する。 (カ)a 引用発明は、「第1画素100、第2画素200、及び第3画素300の各々は、正方形が角丸を有する形状であ[る]」ところ、正方形が角丸を有する形状の対角線は対称軸となる。そうすると、前記(ウ)bを踏まえると、本願発明と引用発明は、「前記第1サブピクセルは第1対称軸を有し、第2サブピクセルは第2対称軸を有し、第3サブピクセルは第3対称軸を有し、第4サブピクセルは第4対称軸を有[する]」点で共通する。 b 引用発明は、「第1画素100、第2画素200、及び第3画素300の各々は、2つの対角線がそれぞれ行方向及び列方向に延び[る]」から、前記aを踏まえると、本願発明と引用発明は、「前記第1対称軸、前記第2対称軸、前記第3対称軸および前記第4対称軸は、同一方向に沿って延伸[する]」点で一致する。 c 前記a~bをまとめると、本願発明と引用発明は、「前記第1サブピクセルは第1対称軸を有し、第2サブピクセルは第2対称軸を有し、第3サブピクセルは第3対称軸を有し、第4サブピクセルは第4対称軸を有し、前記第1対称軸、前記第2対称軸、前記第3対称軸および前記第4対称軸は、同一方向に沿って延伸[する]」点で一致する。 (キ) 引用発明は、「第1画素100」は「正方形が角丸を有する形状」であるところ、正方形は菱形の一形態であり、「正方形が角丸を有する形状」は略菱形であるといえるから、前記(ウ)b及び(エ)cを踏まえると、本願発明と引用発明は、「前記緑色サブピクセルの形状は、略菱形から選ばれ[る]」点で共通する。 (ク)a 引用発明の前記(ア)aの構成、「第1画素100」は「正方形が角丸を有する形状であ[る]」こと、「第1画素100」は「2つの対角線がそれぞれ行方向及び列方向に延び[る]」こと及び前記(ウ)bの対比を総合すると、引用発明の第1画素100は、斜線に沿って配列された2つの隣り合う第3画素300の中心を接続する第1接続線に対して対称であり、かつ、第1接続線に垂直であるとともに2つの隣り合う第2画素200の中心を接続する第2接続線に対しても対称となる。 b したがって、前記a及び前記(エ)a~cを踏まえると、本願発明と引用発明は、「前記緑色サブピクセルの形状は第1接続線に対して対称であり、前記第1接続線は前記斜線に沿って配列された2つの隣り合う赤色サブピクセルの中心を接続し、前記緑色サブピクセルの形状は第2接続線に対しても対称であり、前記第2接続線は前記第1接続線に垂直であるとともに2つの隣り合う青色サブピクセルの中心を接続する」点で一致する。 イ 一致点及び相違点 前記アの対比分析の結果をまとめると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次の(ア)及び(イ)に示すとおりである。 (ア) 一致点 「順に交互に配列され、かつ行方向および列方向において交互に配列された複数の第1ピクセル単位と複数の第2ピクセル単位とを含むピクセル構造であって、前記ピクセル構造の縁に位置する第1ピクセル単位および第2ピクセル単位のほか、各第1ピクセル単位は4つの第2ピクセル単位と隣り合い、各第2ピクセル単位は4つの第1ピクセル単位と隣り合い、前記第1ピクセル単位は前記行方向または前記列方向に対して斜線に配列された第1サブピクセルと第2サブピクセルとを含み、前記第2ピクセル単位は前記斜線に沿って配列された第3サブピクセルと第4サブピクセルとを含み、前記第1サブピクセルと前記第3サブピクセルは異なる基本色を備え、前記第2サブピクセルと前記第4サブピクセルは同一の基本色を備え、 前記第1サブピクセルは赤色サブピクセルであり、前記第3サブピクセルは青色サブピクセルであり、前記第2サブピクセルおよび前記第4サブピクセルの各々は緑色サブピクセルであり、 前記第2サブピクセルの面積は前記第4サブピクセルの面積と基本的に同一であり、前記第1サブピクセルの面積は前記第2サブピクセルの面積より大きく、前記第3サブピクセルの面積は前記第2サブピクセルの面積より大きく、 前記第1サブピクセルは第1対称軸を有し、第2サブピクセルは第2対称軸を有し、第3サブピクセルは第3対称軸を有し、第4サブピクセルは第4対称軸を有し、前記第1対称軸、前記第2対称軸、前記第3対称軸および前記第4対称軸は、同一方向に沿って延伸し、 前記緑色サブピクセルの形状は、略菱形から選ばれ、 前記緑色サブピクセルの形状は第1接続線に対して対称であり、前記第1接続線は前記斜線に沿って配列された2つの隣り合う赤色サブピクセルの中心を接続し、前記緑色サブピクセルの形状は第2接続線に対しても対称であり、前記第2接続線は前記第1接続線に垂直であるとともに2つの隣り合う青色サブピクセルの中心を接続する、ピクセル構造」である点。 (イ) 相違点 緑色サブピクセルの形状について、本願発明は「菱形および円形から選ばれ[る]」のに対して、引用発明は、「正方形が角丸を有する形状であ[る]」点。 (3) 判断 ア 相違点についての検討 前記相違点について検討する。 引用文献1においては、「本明細書において、多角形形状及び矩形形状は、角丸を有する形状を含む」([0052])とされているところ、角丸を有しない矩形形状も開示されていることは自明である。そして、その具体的な形状として「正方形が角丸を有する形状」がFIG.2に図示されている以上、角丸を有しない正方形、すなわち角丸を有しない菱形についても実質的に開示されているといえる。よって、前記相違点は実質的な相違点ではない。 また、引用発明が角丸を有しない正方形を実質的に開示するものではないとしても、角丸を有しない矩形形状が開示されていることを考慮すれば、角丸を有しない正方形とすることは当業者が適宜なし得る設計変更にすぎない。そして、本願発明の奏する効果としては、引用発明からは予測困難な効果であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本願発明は、引用発明と同一であるか、又は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 イ 請求人の主張について (ア) 審判請求書における請求人の主張内容 請求人は、審判請求書において以下の主張をしている。 a 主張1 引用文献1では、スペーサ41のために、赤色サブピクセル、緑色サブピクセル、及び青色サブピクセルは、本件補正後の請求項1において「表示装置において、各ピクセル単位は、右側もしくは左側の隣り合うピクセル単位のサブピクセルまたは上方もしくは下方の隣り合うピクセル単位のサブピクセルをさらに借用して三原色の表示を実現し、前記第1ピクセル単位は、隣り合う第2ピクセル単位における第3サブピクセルをさらに借用し、前記第2ピクセル単位は、隣り合う第1ピクセル単位における第1サブピクセルをさらに借用し、簡単なピクセルシェア算出方法によって、二つのサブピクセルを各々が有する第1および第2ピクセル単位の三原色の表示を実現し、前記第1サブピクセルおよび前記第3サブピクセルの理論的輝度値とは、前記第1サブピクセルおよび前記第3サブピクセルの基本色に対応する色の輝度値を指し、前記第1サブピクセルの実際の輝度値を、前記第1ピクセル単位が必要とする前記第1サブピクセルに対応する基本色の理論的輝度値と、それが隣り合う、少なくとも一つの第2ピクセル単位が必要とする、前記第1サブピクセルに対応する基本色の理論的輝度値との重み付け総和として設定し、前記第3サブピクセルの実際の輝度値を、前記第2ピクセル単位が必要とする前記第3サブピクセルに対応する基本色の理論的輝度値と、それが隣り合う、少なくとも一つの第1ピクセル単位が必要とする、前記第3サブピクセルに対応する基本色の理論的輝度値との重み付け総和として設定する」と特定されたように三原色表示を実現することができない。 b 主張2 本願の補正後の請求項1に係る発明では、3種類のサブピクセルがより均一に配置されているため、上記の簡単なピクセルシェア算出方法を使用して三原色の表示を実現できる。このような簡単なピクセルシェア算出方法は、引用文献1に記載のスペーサを備えたピクセル構造には適用することができない。仮にこのような簡単なピクセルシェア算出方法を引用文献1に記載の発明に適用したとても、引用文献1に記載の発明においては本願発明のように均一な表示を得ることができない。 (イ) 審判請求書における請求人の主張についての検討 審判請求書における請求人の主張について検討する。 a 主張1についての検討 請求人の主張する三原色表示について特定は、却下された本件補正後の請求項1に基づくものであり、採用できない。 また、三原色表示についての当該特定は、ピクセル構造を実質的に特定するものとは解されないことは前記第2の2(1)イ(イ)で説示したとおりであり、当該特定は引用発明に対する相違点とはならない。 b 主張2についての検討 まず、「3種類のサブピクセルがより均一に配置されている」旨の主張について検討すると、本願発明はスペーサの有無を発明特定事項とするものではないから、本願発明と引用発明のサブピクセル配置に相違がないことは前記(2)で検討したとおりである(なお、一応の相違点である引用発明の第1画素100が角丸を有する形状であることはサブピクセル配置に影響を与えるものではない。)。 また、ピクセルシェア算出方法を使用した三原色表示の実現についての主張は前記aで検討したとおりである。 c 審判請求書における請求人の主張についてのまとめ 前記a、bで検討したとおり、審判請求書における請求人の主張はいずれも採用できない。 (ウ) 上申書における請求人の主張内容 請求人は、令和4年11月1日に提出した上申書(以下、単に「上申書」という。)において以下の主張をしている。 請求人は、前置報告書における特許法第36条第6項第2号の記載に基づく指摘に対して、請求項1において、「緑色サブピクセルの形状」から「円形」を削除して「前記緑色サブピクセルの形状は、菱形から選ばれ[る]」ことを特定し、表示のピクセルシェア算出方法についての特定事項を削除する以下の補正を行う準備がある。 「〔請求項1の補正案〕 順に交互に配列され、かつ行方向および列方向において交互に配列された複数の第1ピクセル単位と複数の第2ピクセル単位とを含むピクセル構造であって、前記ピクセル構造の縁に位置する第1ピクセル単位および第2ピクセル単位のほか、各第1ピクセル単位は4つの第2ピクセル単位と隣り合い、各第2ピクセル単位は4つの第1ピクセル単位と隣り合い、前記第1ピクセル単位は前記行方向または前記列方向に対して斜線に配列された第1サブピクセルと第2サブピクセルとを含み、前記第2ピクセル単位は前記斜線に沿って配列された第3サブピクセルと第4サブピクセルとを含み、前記第1サブピクセルと前記第3サブピクセルは異なる基本色を備え、前記第2サブピクセルと前記第4サブピクセルは同一の基本色を備え、 前記第1サブピクセルは赤色サブピクセルであり、前記第3サブピクセルは青色サブピクセルであり、前記第2サブピクセルおよび前記第4サブピクセルの各々は緑色サブピクセルであり、 前記第2サブピクセルの面積は前記第4サブピクセルの面積と基本的に同一であり、前記第1サブピクセルの面積は前記第2サブピクセルの面積より大きく、前記第3サブピクセルの面積は前記第2サブピクセルの面積より大きく、 前記第1サブピクセルは第1対称軸を有し、第2サブピクセルは第2対称軸を有し、第3サブピクセルは第3対称軸を有し、第4サブピクセルは第4対称軸を有し、前記第1対称軸、前記第2対称軸、前記第3対称軸および前記第4対称軸は、同一方向に沿って延伸し、それぞれ前記第1サブピクセル、前記第2サブピクセル、前記第3サブピクセルおよび前記第4サブピクセルの対角線であり、 前記緑色サブピクセルの形状は、菱形から選ばれる、ピクセル構造。」 当該補正後の請求項1に記載の特徴は、引用文献1から5のいずれにも開示されておらず、第1、第2、及び第3サブピクセルが非常に単純で均一かつ対称的に分散されたピクセル構造を得ることができる。すなわち、第1及び第2ピクセル単位のすべてのサブピクセルは、ピクセル構造の表示に同一の影響を及ぼす。 上記の均一で対称的なピクセル構造により、3種類のサブピクセルがより均一に配置されているため、簡単なピクセルシェア算出方法を使用して三原色の表示を実現することができる。 (エ) 上申書における請求人の主張についての検討 上申書における請求人の主張について検討する。 a 請求人の提示する補正案は、本願発明に対して、「前記第1対称軸、前記第2対称軸、前記第3対称軸および前記第4対称軸」が「それぞれ前記第1サブピクセル、前記第2サブピクセル、前記第3サブピクセルおよび前記第4サブピクセルの対角線であ[る]」との発明特定事項を追加するとともに、緑色サブピクセルの形状から「円形」を削除するものであるところ、これらの点はいずれも引用発明でも同様であるから、前記アで検討した結論に影響しない(なお、請求人の提示する請求項1の補正案では、請求人が補正の内容として説明する事項に加えて、本件補正前及び本件補正後の請求項1から「前記緑色サブピクセルの形状は第1接続線に対して対称であり、前記第1接続線は前記斜線に沿って配列された2つの隣り合う赤色サブピクセルの中心を接続し、前記緑色サブピクセルの形状は第2接続線に対しても対称であり、前記第2接続線は前記第1接続線に垂直であるとともに2つの隣り合う青色サブピクセルの中心を接続する」との発明特定事項が削除されているが、この点も引用発明に対する新たな相違をもたらすものではない。)。 b また、第1、第2、及び第3サブピクセルが非常に単純で均一かつ対称的に分散されたピクセル構造を得ることができる旨の主張については、本願発明及び請求人の提示する補正案の請求項に係る発明と引用発明との相違点は第1画素100が角丸を有する形状である点のみであるところ、この点は実質的な相違点ではないか、当業者が容易になし得たものであることは、前記アで検討したとおりである。 c よって、上申書における請求人の主張は採用できない。 (4) 当審の判断のまとめ 以上検討のとおり、本願発明は、引用発明と同一であるか、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。また、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-008685

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