2022-008598
機械読取物品用の階層的光学要素の組
- 審判番号
- 2022-008598
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-517024外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年06月07日
- 審決日
- 2022年11月24日
- 公報発行日
- 2023年05月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
- 【請求人代理人】藤井 憲
- 【請求人代理人】野村 和歌子
- 【請求人代理人】佃 誠玄
- 【請求人代理人】浅村 敬一
- 分類
- P18 .121-Z (G06K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 9項目
第1 手続の経緯
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本願は、2017年09月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年9月28日(以下、「優先日」という。) 米国 2017年4月14日 米国)を国際出願日とする出願であって、令和2年9月25日に手続補正がされ、令和3年10月7日付けで拒絶理由が通知され、これに対して令和4年1月5日に意見書が提出されたが、令和4年2月24日付けで拒絶査定がなされた(以下、「原査定」という。)。これに対して、令和4年6月7日に審判請求がなされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1ないし15に係る発明は、令和2年9月25日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定されたものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。
「【請求項1】物理的表面を含む基材と、前記物理的表面に具現化された光学コードであって、前記光学コードは、親光学要素の組と子光学要素の組との階層を含み、前記親光学要素の組は、それぞれが第1の大きさである複数の親光学要素を含み、前記子光学要素の組は、それぞれが前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさである複数の子光学要素を含む、光学コードと、を備え、前記親光学要素の組の各親光学要素は、それぞれの符号化された値を表し、前記の各親光学要素によって表された前記符号化された値は、前記子光学要素の組の対応する子光学要素のサブセットの累積的な視覚的外観に少なくとも部分的に基づいており、前記の各親光学要素の累積的な視覚的外観は、それぞれ、異なる輝度の度合いを有する階調度値の範囲において、輝度の度合いを示す視覚的階調度値であり、前記の各親光学要素によって表された前記符号化された値は、第1の閾値に関連する前記の各親光学要素のための前記視覚的階調度値に基づいており、前記子光学要素の組の各子光学要素は、それぞれの符号化された値を表し、前記子光学要素の組の各子光学要素のそれぞれによって表された前記符号化された値は、前記の各子光学要素の視覚的外観に少なくとも部分的に基づいており、前記の各子光学要素の視覚的外観は、前記階調度値の範囲におけるそれぞれの視覚的階調度値であり、前記の各子光学要素によって表された前記符号化された値は、前記第1の閾値とは異なる第2の閾値に関連する前記の各子光学要素のための前記視覚的階調度値に基づいており、前記の各子光学要素によって表された前記符号化された値は、閾値距離よりも長い距離から復号可能ではなく、前記の各親光学要素によって表された前記符号化された値は、前記閾値距離よりも長い前記距離から復号可能である、物品。」
第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は,この出願の請求項1ないし15に係る発明は,本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された事項に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
1.特開平5-019694号公報
第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1の記載
(1)本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由において引用された、特開平5-019694号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は、当審において付加した。以下、同じ。)
A 「【0018】【実施例】多解像の光学的にコード化されたラベル10を、図1に示す。ラベル10は点16aのような、7個の白いファインダ点を有している。データは、セル12のような低解像度コード化セル及びセル14のような高解像度コード化セルの形式で、ラベルにコード化されている。【0019】低解像度では、図1のラベルは、図2に示すように見える。低解像度では、高解像度コード化セル14は、目に見えない。しかし、低解像度では、低解像度データセル12は、見ることができ、黒ずんだセルとして見える。7個のファインダ状の点16aより16fは、低解像度で見え、明かるいセルとして見える。【0020】図3において、ラベル19は、低解像度情報をコード化するための六角形状の大型セルを用いている。7個のファインダ点のうちの1個のファインダ点18も、大体において六角形状である。図4において、ラベル21は、円形セルの形状で示される低解像度コード化情報を有する。この場合、7個のファインダ点の1個であるファインダ点20は、ファイダ点20を取り囲む6個の円形低解像度の暗色データセルによって形成される。続きを表示(全15行)【0021】多解像度の光学的にコード化されたラベル22の他の実施例を、図5に示す。ラベル22は、セル24のような低解像度コード化データセルを有し、同時に、セル26のような高解像度コード化データセルを有している。【0022】低解像度で見ると、図5のラベルは、図6に示すように見える。低解像度では、高解像度データセル26は、見ることができない。しかし、低解像度では、低解像度データセル24は見ることができ、明かるいセルとして見える。低解像度で見える4個のファインダ状点28aより28dは、明かるいセルとして見える。【0023】高解像度データが、低解像度データと同じラベル領域上でコード化される方法を示した光学的にコード化されるラベルの好適な実施例を図7に示す。大型セル30は、2個の対照的な小型セルあるいはサブセルを有する。小型セルは、位置1より7のうちのどの位置にあってもよい。高解像度情報は、前記大型セル30内の2個の対照的な小型セルの位置によりコード化される。特定的には、セル6と3は、大型セル30に比較すると、対照的な光学特性を有する。同様に、セル32及び34は、大型セル36と比較すると、対照的な光学特性を有するが、異なる小型セルの位置に設けられている。【0024】詳しくは、対照的な光学特性を有する、7個のうちの2個のセルの配置については、21通りの可能性のある組み合わせがある。従がって、各低解像度の大型セルは、付加的な4.39ビットの情報(21の対数基底2)をコード化することができる。【0025】大型セル内の小型セルは、大型セルの光学特性が、感知しうる程、変化しないように、そのサイズ及び数の上で制限されなければならない。これ故、大型データセルの処理中に、大型セルの低解像度イメージデータのみが、処理され、この時、小型セルの高解像度イメージデータは、大型セルの低解像度イメージデータの解読作業を妨害しないように、見えない。【0026】高解像度情報の読み取り可能性を最大にするために、セル3及び6は、大型セルの残りの部分が、白色にされている間に黒色にすることもできる。しかしながら、低解像度では、低解像度セル30は、真白あるいは真黒のように見えることが、望ましい。従がって、セル3及び6は、低解像度データを確実に読み取りうるようにするために、黒と白の間の灰色の段階のある中間部分に設定されるのが好ましい。【0027】例えば、大型セル36は、低解像度では、黒色のセロとして見える。高解像度の小型セル32及び小型セル34は、黒と白の間の灰色の段階の中間部分の対照的な光学的特性を有する。このため、低解像度で見た際に、大型セル36の光学的特性を感知しうる程、変化させることなく、小型セルの対照的な光学的特性を、高解像度データを充分に読み取りうる程度のものとしなければならない。【0028】図8は、小型セルの光学的特性が、種々の状況に対して、更に最適に対応しうる方法を示している。図7において、小型のセル3、6、32、34の対照的な光学的特性は、白色の大型セル30及び暗色の大型セル36に対して、同じ灰色度を示す。しかし、図8に示すように、小型セルと大型セルとの対照性を強調するために、暗色大型セル48内で、明灰色小型セル44及び46を使用し、大型セル42内で、暗灰色小型セル38及び40を用いることが望ましい。逆に、図9に示すように、大型セル間の対照性、つまり、他の大型セルに比較して、大型セルの光学特性を強調したい場合には、暗灰色小型セル56及び58が、暗色大型セル60内で用いられ、そして、明灰色小型セル50及び52が、明色大型セル54内で用いられる。小型セルの灰色の光学的度数の選択は、高解像度データセルの読み取り易さと低解像度データセルの読み取り易さとのバランスによる。【0029】いずれの場合にも、小型セルの作用も含めて、低解像度で見える大型セルの光学的特性によって、大型セルの数値が、決定されるのに対し、大型セル内の小型セルの位置では、高解像度情報がコード化される。【0030】コード化されたデータの全数値のための各大型セル内には、常に2個の小型セルがあるので、低解像度で見える大型セルの光学的特性は、小型セルの高解像度データの異なるコード化に対し、多少とも変化することはない。【0031】1個の大型セルの全情報量は、高解像度黒白システムのみが用いられた場合に、コード化される7ビットに比べると、4.39ビットの小型セルの情報に、1ビットの大型セルの情報を加えたものである。大型セルのデータの信頼性の向上と、必然的な結果である、誤まり訂正の必要性の減少とにより、本発明の多解像度の光学コード化ラベルによって達成されるデータ密度は、従来技術による高解像度システムのデータ密度に匹敵しうるものであり、又、多解像度コード化の他の有利な点も提供される。」
B 「【0073】【発明の効果】低解像度コード化及び解読処理の大部分の有利な点は、イメージ取得システムにおいて実現される。被写体深度が増加し、これにより、減少公差を有する固定焦点光学機器を用いることが可能となり、そして、必要な照明能力が減少される。イメージバッファメモリの必要なサイズが減少し、低速度の処理により、データ量が、減少した結果、データ処理条件が減る。例えば、低解像度情報は、1ピクセル当り4ビットで、1インチ当り32ピクセルでサンプルされる。3ピクセルの直径を有する大型セルは、1セル当り、2乃至3個のサンプルを形成する。高解像度セルの直径は、低解像度セルの直径の約1/3である。従がって、高解像度システムの光学機器及びイメージャは、低解像度システムより、機構を3倍小さく変えなければならない。これ故、可変焦点レンズ及び/又はズームレンズ、そして、イメージをとらえる前に、焦点及び/又はズームを設定するために、ラベルの距離を測定するための距離測定装置を用いる必要がある。イメージャは、より高度の解像度を有していなければならない。最後に、高解像度イメージバッファは、サンプリング係数が両方向に、係数3だけ増加するので、低解像度イメージバッファのサイズの少なくとも9倍はなければならない。【0074】本発明のラベル、処理手順及びシステムは、非常に高密度の高解像度データをコード化しながら、低解像度大型セルの特徴を利用している。低解像度データのみが必要な場合には総合的な光学リーダシステムは、高・低解像度システムよりは、はるかに複雑ではない。高解像度データのみが、必要な場合には、高解像度光学リーダシステムの付加的な複雑さが必要となる。」
C 「【図1】[図:0001396984000001.jpg]」
D 「【図7】[図:0001396984000002.jpg]」
E 「【図9】[図:0001396984000003.jpg]」
F 上記Aの段落【0018】には、“7個の白いファインダ点を有し、データが、低解像度コード化セル及び高解像度コード化セルの形式で、ラベルに光学的にコード化されているラベル”が記載されている。
G 上記Aの段落【0029】には、“低解像度で見える大型セルの光学的特性によって、大型セルの数値が決定され、大型セル内の小型セルの位置で、高解像度情報がコード化されるものであ”ることが記載されている。
H 上記Aの段落【0028】には、「図7において、小型のセル3、6、32、34の対照的な光学的特性は、白色の大型セル30及び暗色の大型セル36に対して、同じ灰色度を示す。」、さらに、「図9に示すように、大型セル間の対照性、つまり、他の大型セルに比較して、大型セルの光学特性を強調したい場合には、暗灰色小型セル56及び58が、暗色大型セル60内で用いられ、そして、明灰色小型セル50及び52が、明色大型セル54内で用いられる。」と記載され、また、図7(上記D)及び図9(上記E)によれば、「大型セル」は、暗色のものと明色のものがあることが看取できる。
してみると、引用文献1には、“大型セルは、光学特性が対照的な暗色大型セルと明色大型セルを有”することが記載されているといえる。
I 上記Aの段落【0023】には、「高解像度データが、低解像度データと同じラベル領域上でコード化される方法を示した光学的にコード化されるラベルの好適な実施例を図7に示す。大型セル30は、2個の対照的な小型セルあるいはサブセルを有する。小型セルは、位置1より7のうちのどの位置にあってもよい。高解像度情報は、前記大型セル30内の2個の対照的な小型セルの位置によりコード化される。特定的には、セル6と3は、大型セル30に比較すると、対照的な光学特性を有する。同様に、セル32及び34は、大型セル36と比較すると、対照的な光学特性を有するが、異なる小型セルの位置に設けられている」と記載され、また、図7(上記D)によれば、更に、「大型セル」は7個の領域があり各領域が「位置1より7」に対応しており、さらに、「セル6と3」及び「セル32及び34」は「小型セル」であることが看取できる。また、段落【0024】には、「詳しくは、対照的な光学特性を有する、7個のうちの2個のセルの配置については、21通りの可能性のある組み合わせがある。従がって、各低解像度の大型セルは、付加的な4.39ビットの情報(21の対数基底2)をコード化することができる。」と記載されている。
してみると、引用文献1には、“ラベルは、高解像度データを、低解像度データと同じラベル領域上でコード化させるために、大型セルに比較して対照的な光学特性を有する2個の小型セルを大型セル内に有するものであって、そして、小型セルは、大型セル内の7個の領域に対応する位置1より7ののうちのどの位置にあってもよく、高解像度情報が、大型セル内の2個の対照的な小型セルの位置によりコード化されるものであって、詳しくは、対照的な光学特性を有する7個のうちの2個のセルの配置については、21通りの可能性のある組み合わせがあり、従がって、各低解像度の大型セルは、付加的な4.39ビットの情報(21の対数基底2)をコード化することができるものであ”ることが記載されているといえる。
J 上記Aの段落【0025】には、“大型セル内の小型セルは、大型セルの光学特性が、感知しうる程、変化しないように、そのサイズ及び数の上で制限されなければならず、これ故、大型データセルの処理中に、大型セルの低解像度イメージデータのみが、処理され、この時、小型セルの高解像度イメージデータは、大型セルの低解像度イメージデータの解読作業を妨害しないように、見えないものであ”ることが記載されている。
K 上記Aの段落【0028】には、“ 大型セル間の対照性、つまり、他の大型セルに比較して、大型セルの光学特性を強調したい場合には、暗灰色小型セルが暗色大型セル内で用いられ、そして、明灰色小型セルが明色大型セル内で用いられるものである”ことが記載されている。
(2)上記AないしKの記載内容(特に、下線部を参照)からすると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「7個の白いファインダ点を有し、データが、低解像度コード化セル及び高解像度コード化セルの形式で、ラベルに光学的にコード化されているラベルにおいて、低解像度で見える大型セルの光学的特性によって、大型セルの数値が決定され、大型セル内の小型セルの位置で、高解像度情報がコード化されるものであって、大型セルは、光学特性が対照的な暗色大型セルと明色大型セルを有し、ラベルは、高解像度データを、低解像度データと同じラベル領域上でコード化させるために、大型セルに比較して対照的な光学特性を有する2個の小型セルを大型セル内に有するものであって、そして、小型セルは、大型セル内の7個の領域に対応する位置1より7のうちのどの位置にあってもよく、高解像度情報が、大型セル内の2個の対照的な小型セルの位置によりコード化されるものであって、詳しくは、対照的な光学特性を有する7個のうちの2個のセルの配置については、21通りの可能性のある組み合わせがあり、従がって、各低解像度の大型セルは、付加的な4.39ビットの情報(21の対数基底2)をコード化することができるものであって、大型セル内の小型セルは、大型セルの光学特性が、感知しうる程、変化しないように、そのサイズ及び数の上で制限されなければならず、これ故、大型データセルの処理中に、大型セルの低解像度イメージデータのみが、処理され、この時、小型セルの高解像度イメージデータは、大型セルの低解像度イメージデータの解読作業を妨害しないように、見えないものであり、大型セル間の対照性、つまり、他の大型セルに比較して、大型セルの光学特性を強調したい場合には、暗灰色小型セルが暗色大型セル内で用いられ、そして、明灰色小型セルが明色大型セル内で用いられるものである、ラベル。」
第5 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
1 引用発明は「データが、低解像度コード化セル及び高解像度コード化セルの形式で、ラベルに光学的にコード化されている」ものであるから、引用発明の「ラベル」は、「低解像度コード化セル及び高解像度コード化セルの形式で」、「光学的にコード化されている」コードを有しているものといえる。そして、引用発明のこの「低解像度コード化セル及び高解像度コード化セルの形式で」「光学的にコード化されている」コードは、本願発明の「光学コード」に相当する。
また、通常、ラベルは、他のものに取り付けるために所定の面積を有するいわゆる基板を備えているものと認められる。そして、引用発明の「低解像度コード化セル及び高解像度コード化セルの形式で」「光学的にコード化されている」コードが、当該基板の物理的表面に具現化されるものであることは明らかである。
ここで、引用発明は「大型セルは、光学特性が対照的な暗色大型セルと明色大型セルを有し」、「小型セル」は、「大型セルに比較して対照的な光学特性を有する」ものであるから、引用発明の「大型セル」及び「小型セル」は、いずれも、光学要素といえる。
そして、引用発明の「大型セル」は、「光学特性が対照的な暗色大型セルと明色大型セルを有するものであって、複数の光学要素を含むといえる。さらに、「大型セル」は「低解像度で見える」ものであるから、引用発明における「ラベルに光学的にコード化されている」「低解像度コード化セル」に対応するものであることは明らかである。
さらに、引用発明の「大型セル」は「7個の領域」からなり、また、「大型セル」内の「2個の小型セル」は「大型セルに比較して対照的な光学特性を有する」ものであるから、引用発明の「2個の小型セル」を有する「大型セル」は、「大型セルに比較して対照的な光学特性を有する2個の小型セル」の光学要素と、小型セルが配置されない「大型セル」の光学特性を有する5個の「領域」の光学要素を含んでいるといえる。
また、引用発明は、「大型セル内の小型セルの位置で、高解像度情報がコード化される」ものであるから、「大型セル」と「小型セル」が、引用発明における「ラベルに光学的にコード化されている」「高解像度コード化セル」に対応するものであることは明らかである。
さらに、引用発明は「低解像度で見える大型セルの光学的特性によって、大型セルの数値が決定され、大型セル内の小型セルの位置で、高解像度情報がコード化されるものであ」るから、「低解像度コード化セル」と、「高解像度コード化セル」は階層をなしているといえる。
そして、「小型セル」及び「領域」の大きさが、「大型セル」の大きさより小さいことは明らかである。
してみると、引用発明の「大型セル」の「暗色大型セル」及び「明色大型セル」のそれぞれは、本願発明の「親光学要素」に相当し、さらに、引用発明の「大型セル」の「暗色大型セル」及び「明色大型セル」は、本願発明の「親光学要素の組」に相当する。
また、引用発明の「2個の小型セル」及び「大型セル」内の「小型セル」が配置されない5つの「領域」のそれぞれは、本願発明の「子光学要素」に相当し、さらに、引用発明の「2個の小型セル」及び「大型セル」内の「小型セル」が配置されない5つの「領域」は、本願発明の「子光学要素の組」に相当する。
したがって、引用発明の「低解像度コード化セル及び高解像度コード化セルの形式で」「光学的にコード化されている」コードは、本願発明の「親光学要素の組と子光学要素の組との階層を含み、前記親光学要素の組は、それぞれが第1の大きさである複数の親光学要素を含み、前記子光学要素の組は、それぞれが前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさである複数の子光学要素を含む、光学コード」に相当する。
そして、引用発明の「ラベル」は、本願発明の「物理的表面を含む基材と、前記物理的表面に具現化された光学コードであって、前記光学コードは、親光学要素の組と子光学要素の組との階層を含み、前記親光学要素の組は、それぞれが第1の大きさである複数の親光学要素を含み、前記子光学要素の組は、それぞれが前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさである複数の子光学要素を含む、光学コードと、を備え」た「物品」に相当する。
2 引用発明の「大型セル」は、「光学特性が対照的な」「暗色大型セル」と「明色大型セル」の光学特性によって「大型セルの数値が決定され」るものであるから、それぞれが符号化された値を表していることは明らかである。
また、引用発明は「大型セル内の小型セルは、大型セルの光学特性が、感知しうる程、変化しないように、そのサイズ及び数の上で制限され」るものではあるが、「大型セル」内には、2つの「小型セル」が配置されるものであって、「大型セル」の外観には、2つの「小型セル」ならびに「小型セル」が配置されない5つの「領域」の光学特性が累積されることは明らかであるから、「暗色大型セル」と「明色大型セル」によって表された符号化された値は、「小型セル」の組の対応する「小型セル」のサブセットの累積的な視覚的外観に少なくとも部分的に基づいているといえる。
そして、引用発明の異なる値が符号化された「暗色大型セル」と「明色大型セル」のそれぞれの視覚的外観が、異なる輝度の度合いを有する階調度値の範囲において、輝度の度合いを示す異なる視覚的階調度値であることは明らかである。そして、「暗色大型セル」と「明色大型セル」によって表された符号化された異なる値を、2つのセルの視覚的階調度値の間の特定の値を閾値として決定することは、当該技術分野における常套手段であって、また、この特定の値を第1の閾値と称することは任意である。
してみると、引用発明の「暗色大型セル」及び「明色大型セル」と、本願発明の「前記親光学要素の組の各親光学要素」とは、「それぞれの符号化された値を表し、前記の各親光学要素によって表された前記符号化された値は、前記子光学要素の組の対応する子光学要素のサブセットの累積的な視覚的外観に少なくとも部分的に基づいており、前記の各親光学要素の累積的な視覚的外観は、それぞれ、異なる輝度の度合いを有する階調度値の範囲において、輝度の度合いを示す視覚的階調度値であり、前記の各親光学要素によって表された前記符号化された値は、第1の閾値に関連する前記の各親光学要素のための前記視覚的階調度値に基づいて」いる点で一致する。
3 引用発明の「2個の小型セル」は、「大型セル内の7個の領域に対応する大型セル内の位置1より7のうちのどの位置にあってもよく、高解像度情報が、大型セル内の2個の対照的な小型セルの位置によりコード化」できるものであって、「詳しくは、対照的な光学特性を有する7個のうちの2個のセルの配置については、21通りの可能性のある組み合わせがあり、従がって、各低解像度の大型セルは、付加的な4.39ビットの情報(21の対数基底2)をコード化することができるものであ」る。
してみると、引用発明は、「大型セル」の「2個の小型セル」の配置によって21通りの値を表すものであるが、各値の配置は、各値に対応した特定の2個の「小型セル」が有る領域と、残りの5個の「小型セル」が無い領域からなるものであるから、各値に対して有る領域(「小型セル」)と無い領域(「小型セル」が配置されない領域)はそれぞれの符号化された値を表しているといえる。
そして、引用発明の「小型セル」は「大型セルに比較して対照的な光学特性を有する」ものであるから、引用発明の「小型セル」及び「小型セル」が配置されない領域のそれぞれによって表された符号化された値は、「小型セル」及び「小型セル」が配置されない領域の視覚的外観に少なくとも部分的に基づいていることは明らかである。
さらに、引用発明において、小型セルの配置を特定するためには、「暗色大型セル」では、小型セルの「暗灰色」と「大型セル」の小型セルが配置されない領域の「暗色」を区別することが必要であり、「明色大型セル」では、小型セルの「明灰色」と大型セルの小型セルが配置されない領域の「明色」を区別することが必要であることは明らかである。そして、その区別のために、「暗色大型セル」では、小型セルの「暗灰色」の視覚的階調度値と大型セルの小型セルが配置されない領域の「暗色」の視覚的階調度値の間の閾値を用い、また、「明色大型セル」では、小型セルの「明灰色」の視覚的階調度値と大型セルの小型セルが配置されない領域の「明色」の視覚的階調度値の間の閾値を用いることは当然のことであって、また、このそれぞれの閾値を第2の閾値と称することは任意である。
また、引用発明は「大型セル間の対照性、つまり、他の大型セルに比較して、大型セルの光学特性を強調したい場合には、暗灰色小型セルが暗色大型セル内で用いられ、そして、明灰色小型セルが明色大型セル内で用いられるものである」から、この第2の閾値が、前記2で検討した第1の閾値と異なることは明らかである。
してみると、引用発明の「小型セル」及び「小型セル」が配置されない領域は、本願発明の「前記子光学要素の組の各子光学要素」とは、「それぞれの符号化された値を表し、前記子光学要素の組の各子光学要素のそれぞれによって表された前記符号化された値は、前記の各子光学要素の視覚的外観に少なくとも部分的に基づいており、前記の各子光学要素の視覚的外観は、前記階調度値の範囲におけるそれぞれの視覚的階調度値であり、前記の各子光学要素によって表された前記符号化された値は、前記第1の閾値とは異なる第2の閾値に関連する前記の各子光学要素のための前記視覚的階調度値に基づいている」点で一致する。
4 引用発明は「大型データセルの処理中に、大型セルの低解像度イメージデータのみが、処理され、この時、小型セルの高解像度イメージデータは、大型セルの低解像度イメージデータの解読作業を妨害しないように、見えないものであ」るから、低解像度の大型セルと、大型セルより小さい高解像度の小型セルを復号するにあたって、解像度に応じて、大型セルは復号できるがその距離以上では小型セルは復号できなくなる所定の距離が存在することは明らかである。
してみると、引用発明の2つの「小型セル」及び「小型セル」が配置されない領域によって表された前記符号化された値と、本願発明の「前記の各子光学要素によって表された前記符号化された値」とは、後記の点で相違するものの、“所定の距離よりも長い距離から復号可能ではな”い点では共通する。また、引用発明の「暗色大型セル」と「明色大型セル」によって表された前記符号化された値と、本願発明の「前記の各親光学要素によって表された前記符号化された値」とは、後記の点で相違するものの、“前記所定の距離よりも長い前記距離から復号可能である”点では共通する。
上記の検討から、本願発明と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「物理的表面を含む基材と、前記物理的表面に具現化された光学コードであって、前記光学コードは、親光学要素の組と子光学要素の組との階層を含み、前記親光学要素の組は、それぞれが第1の大きさである複数の親光学要素を含み、前記子光学要素の組は、それぞれが前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさである複数の子光学要素を含む、光学コードと、を備え、前記親光学要素の組の各親光学要素は、それぞれの符号化された値を表し、前記の各親光学要素によって表された前記符号化された値は、前記子光学要素の組の対応する子光学要素のサブセットの累積的な視覚的外観に少なくとも部分的に基づいており、前記の各親光学要素の累積的な視覚的外観は、それぞれ、異なる輝度の度合いを有する階調度値の範囲において、輝度の度合いを示す視覚的階調度値であり、前記の各親光学要素によって表された前記符号化された値は、第1の閾値に関連する前記の各親光学要素のための前記視覚的階調度値に基づいており、前記子光学要素の組の各子光学要素は、それぞれの符号化された値を表し、前記子光学要素の組の各子光学要素のそれぞれによって表された前記符号化された値は、前記の各子光学要素の視覚的外観に少なくとも部分的に基づいており、前記の各子光学要素の視覚的外観は、前記階調度値の範囲におけるそれぞれの視覚的階調度値であり、前記の各子光学要素によって表された前記符号化された値は、前記第1の閾値とは異なる第2の閾値に関連する前記の各子光学要素のための前記視覚的階調度値に基づいており、前記の各子光学要素によって表された前記符号化された値は、所定の距離よりも長い距離から復号可能ではなく、前記の各親光学要素によって表された前記符号化された値は、前記所定の距離よりも長い前記距離から復号可能である、物品。」
(相違点)
「所定の距離」が、本願発明では「閾値距離」であるのに対して、引用発明では、そのような閾値距離とは特定されていない点。
第6 判断
上記相違点について検討する。
引用発明のラベルの解読には、例えば、「上記第4 1 (1) B」に記載されるように、低解像度システムとして、固定焦点光学機器を用い、高解像度システムとして、可変焦点レンズ及び/又はズームレンズを用いるものを使用可能なものである。そして、このようなシステムを使用する際に、例えば、低解像度システムの固定焦点光学機器の性能に応じて、セルのサイズを調整することにより、「小型セル」によって表された符号化された値は、その距離よりも長い距離からは復号可能ではなく、「大型セル」によって表された符号化された値は、その距離よりも長い距離から復号可能である所定の距離が、特定の閾値距離となるように設定することは当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本願発明の構成によってもたらされる効果も、当業者であれば容易に予測できる程度のものであって、格別なものとは認められない。
なお、審判請求人は、審判請求書で、
「しかしながら、引用文献1に記載の大型セル内の小型セルは、その配置関係によって情報を符号化している(引用文献1の段落0024など)に過ぎず、各小型セルが符号化された値を表すことは何ら開示も示唆もされていないものと思料いたします。従いまして、引用文献1には、少なくとも、『前記子光学要素の組の各子光学要素は、それぞれの符号化された値を表し、前記子光学要素の組の各子光学要素のそれぞれによって表された前記符号化された値は、前記の各子光学要素の視覚的外観に少なくとも部分的に基づいており、前記の各子光学要素の視覚的外観は、前記階調度値の範囲におけるそれぞれの視覚的階調度値であ』ることは開示も示唆もされていないものと確信いたします。また、引用文献1には、各小型セルがそれぞれ符号化された値を表すようにすることや、その符号化された値を各小型セルの視覚的外観に少なくとも部分的に基づくようにすることについての示唆もありません。」
と主張している。
しかしながら、上記「第5 3」で検討したように、2つの「小型セル」の特定の配置が、特定の符号化された値に対応するものであるから、特定の配置における各「小型セル」及び「小型セル」が配置されない領域のそれぞれは、その配置に対応する特定の符号化された値を表すものであって、また、「小型セル」の配置は、「大型セル」内における2つの「小型セル」の視覚的階調度値が、「小型セル」が配置されない領域の視覚的階調度値とは異なることに基づいて決定されるものであるから、符号化された値を各「小型セル」及び「小型セル」が配置されない領域の視覚的外観に少なくとも部分的に基づくようにしているといえる。
したがって、上記主張を採用することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-008598